JP3474024B2 - 生分解性複合繊維 - Google Patents

生分解性複合繊維

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JP3474024B2
JP3474024B2 JP11040795A JP11040795A JP3474024B2 JP 3474024 B2 JP3474024 B2 JP 3474024B2 JP 11040795 A JP11040795 A JP 11040795A JP 11040795 A JP11040795 A JP 11040795A JP 3474024 B2 JP3474024 B2 JP 3474024B2
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まどか 平野
健二 山田
繁満 村瀬
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Research Institute of Innovative Technology for Earth
Unitika Ltd
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Research Institute of Innovative Technology for Earth
Unitika Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、生分解速度の速い生分
解性複合繊維に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、産業用資材繊維としては、強度等
の糸質及び耐候性の優れたものが要求されており、主と
してポリアミド、芳香族ポリエステル、ビニロン、ポリ
オレフィン等からなるものが使用されている。しかし、
これらの繊維は分解性がなく、自然環境中に放置される
と種々の公害を引き起こすという問題がある。この問題
は、使用後、焼却、埋め立て、回収再生により処理する
ことにより解決されるが、これらの処理には多大の費用
や手間を要するために現実にはこのような処理は殆ど行
われていない。 【0003】近年、これらの問題の解決方法として、微
生物や太陽光により自然環境中で分解される繊維が提案
されている。しかし、これらの中には分解に要する時間
がかなり長いものもあり、分解速度の点では必ずしも満
足できるものではなく、その向上が望まれていた。 【0004】生分解速度の速い樹脂組成物として、特開
平6−299077号報には、生分解性プラスチックと水溶性
熱可塑性樹脂を混合して得られる生分解性樹脂組成物が
提案されているが、これは表面に水溶性ポリマーが存在
するために使用中の物性低下が起こるという問題があ
る。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、実用に供す
ることができる一定の物理的性質を有し、使用後は自然
環境中で完全に分解され、かつ分解速度の速い生分解性
複合繊維を提供しようとするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は、芯成分が熱可塑性水溶性
ポリマー50〜70重量%と非水溶性熱可塑性生分解性
ポリマー30〜50重量%との混合物からなり、鞘部が
非水溶性熱可塑性生分解性ポリマーからなる芯鞘型生分
解性複合繊維にある。 【0007】以下、本発明について詳細に説明する。 【0008】本発明において用いられる生分解性ポリマ
ーの代表的なものとして、脂肪族ポリエステルが挙げら
れる。具体的には、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−
β−プロピオラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、ポリ−4−ヒド
ロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポ
リヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネー
ト、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペー
ト等のジカルボン酸とグリコールとの縮重合物、上記の
共重合体、混合物等が挙げられる。 【0009】芯部に用いられる水溶性ポリマーの代表的
なものとして、ポリエチレングリコールやポリプロピレ
ングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコ
ール系共重合体等が挙げられる。 【0010】本発明の複合繊維において、鞘部には非水
溶性生分解性ポリマーを用いることが必要である。これ
は、得られる繊維の強度等の優れた物理的特性を保持す
るためであり、また、芯部の分解による糸条の特性の低
下を防ぐためである。用いる生分解性ポリマーの種類や
層の厚さ等により、これらの性質を制御することが可能
である。 【0011】一方、芯部には水溶性ポリマーが用いられ
るが、非水溶性生分解性ポリマーを30〜50重量%の
範囲で混合したものを用いる。非水溶性生分解性ポリマ
ーの混合率が50重量%を超えると、水溶性ポリマーの
特性の顕著な効果が見られなくなる。 【0012】この水溶性ポリマーの膨潤性の度合い、水
による溶出速度及び分解速度等は、用いるポリマーの種
類や非水溶性生分解性ポリマーとの混合率等によって制
御することが可能である。 【0013】芯鞘の複合比は、重量比で1/1〜3/1
とするのが適当である。鞘成分の割合が大きすぎると芯
成分に水分の影響が及ぶのが遅くなり、生分解速度が低
下する。一方、鞘成分の割合が小さすぎると繊維の強度
が低下する。 【0014】本発明の複合繊維を製造するには、上記の
ようなポリマーを用いて、芯鞘の2層からなる複合ノズ
ルより溶融紡出する。 【0015】紡糸温度は、用いるポリマーの種類により
異なるが、生分解性ポリマーとして前記のような脂肪族
ポリエステルを用いる場合、 150〜300 ℃とすることが
適当である。紡糸温度が 150℃未満であると溶融押し出
しが困難であり、 300℃を超えるとポリマーの熱分解が
顕著となり、高強度の繊維を得ることが困難となる。 【0016】溶融紡出された糸条は、紡糸口金直下に設
置された環状又は横型吹付により冷却される。冷却固化
した糸条は紡糸油剤を付与した後、一旦巻き取った後又
は巻き取ることなく連続して延伸される。 【0017】延伸は、室温あるいは加熱ローラや熱プレ
ート、オーブン等を用い、1段又は多段階で行われる。
特に、寸法安定性が必要な場合、延伸に引き続き定長熱
処理又は弛緩熱処理を加えることが望ましい。 【0018】このようにして、実用に耐え得る一定の糸
質性能と生分解性とを有する芯鞘型複合繊維を製造する
ことができる。 【0019】 【作用】本発明の複合繊維の分解速度が速い理由は次の
とおりである。すなわち、自然環境中に廃棄された繊維
は、断面や鞘部の分解により生じた亀裂から水分や微生
物が侵入し、芯部の水溶性ポリマーがそれにより膨潤ま
たは溶出、分解が起こり、繊維の形態の崩壊、体積や重
量の減少が急速に起こる。このため、繊維の表面積が増
加し、また、生分解を引き起こす微生物の生息しやすい
環境となるため、その後の繊維の分解速度も促進され
る。また、繊維及び自然環境中に存在する水溶性ポリマ
ーも微生物により分解される。 【0020】 【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、測定及び評価方法は次の通りである。 (a) 強伸度 JIS L 1013に準じて測定した。 (b) メルトフローレート ASTM D 1238 (L) に準じて測定した。 (c) 生分解性 7月から10月にかけての3カ月間、試料を土壌中に埋設
した後、重量減少率を測定し、次の3段階で評価した。 ○:30%以上、 △:10〜30%未満、 ×:10%未満 【0021】実施例1メルトフローレートが約30g/10分のポリエチレン
グリコール(60重量%)とメルトフローレートが約3
0g/10分のポリブチレンサクシネート(40重量
%)からなる混合物を芯成分とし、メルトフローレート
が約30g/10分のポリブチレンサクシネート(90
重量%)とポリエチレンサクシネート(10重量%)か
らなる混合物を鞘成分とし、 それぞれ別々にエクストル
ーダー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度160℃で溶融
し、芯鞘重量比が3/1となるように、直径0.5mm
の紡糸孔を36個有する紡糸口金を用いて紡出後、横型
吹付により冷却固化させ、紡糸油剤を付与した後、10
00m/分の速度で引き取り、連続して第1段目延伸倍
率1.3倍、総延伸倍率3.8倍で延伸を行い、315
d/36fの同心円型芯鞘型複合繊維を得た。実施例2及び比較例1〜5 表1に示すポリマーを用い、表1に示す鞘芯複合重量比
の複合繊維を実施例1準じた方法で製造した。実施例
1〜2及び比較例1〜5で得られた複合繊維の特性値を
表1に示す。 【0022】なお、表1において、ポリマーの略号は、
次のものを表し、かっこ内の数値は共重合モル比を示
す。 PEG:ポリエチレングリコール PPG:ポリプロピレングリコール PVA:ポリビニルアルコール PBS:ポリブチレンサクシネート PBA:ポリブチレンアジペート PES:ポリエチレンサクシネート PCL:ポリ−ε−カプロラクトン 【0023】 【表1】 【0024】実施例1〜2では、糸質性能及び生分解性
の両特性をともに満足する繊維が得れたが、比較例1〜
2及び比較例5では、糸質特性には優れるものの、生分
解性に劣り、比較例3〜4では、生分解性には優れるも
のの、糸質特性に劣るものしか得られなかった。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、実用に供することがで
きる一定の物理的性質を有し、使用後は自然環境中で完
全に分解され、かつ分解速度の速い生分解性複合繊維が
提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村瀬 繁満 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ 株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平5−163616(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/00 - 8/18

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求請1】 芯成分が熱可塑性水溶性ポリマー50〜
    70重量%と非水溶性熱可塑性生分解性ポリマー30
    50重量%との混合物からなり、鞘部が非水溶性熱可塑
    性生分解性ポリマーからなる芯鞘型生分解性複合繊維。
JP11040795A 1995-05-09 1995-05-09 生分解性複合繊維 Expired - Lifetime JP3474024B2 (ja)

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