JP3473767B2 - 走査型投影露光装置、及び該装置を用いる素子製造方法 - Google Patents

走査型投影露光装置、及び該装置を用いる素子製造方法

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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70058Mask illumination systems

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体素子又は
液晶表示素子等をフォトリソグラフィ工程で製造する際
に、レチクル及び感光性の基板を同期して走査しながら
そのレチクルのパターンを逐次その基板上に投影露光す
る、所謂スリットスキャン露光方式の投影露光装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子又は液晶表示素子等をフォト
リソグラフィ工程で製造する際に、フォトマスク又はレ
チクル(以下、まとめて「レチクル」と呼ぶ)のパター
ン像を、投影光学系を介してフォトレジスト等が塗布さ
れた基板(ウエハ又はガラスプレート等)上に投影露光
する投影露光装置が使用されている。斯かる投影露光装
置においては、前回の露光及びプロセス処理により形成
されたウエハ等の基板上のチップパターンに対して、今
回露光するレチクルのパターンを露光フィールド全域に
亘って正確に重ね合わせて露光を行うこと、即ち重ね合
わせ精度を高精度に維持して露光を行うことが要求され
ている。
【0003】この重ね合わせ精度を悪化させる要因の中
に、投影露光装置の投影光学系が持つ投影像の歪みがあ
る。特に1枚の基板上の各レイアの回路パターンを異な
る投影露光装置を用いて形成する際に、投影露光装置間
の投影像の歪みが異なると重ね合わせ誤差が生ずる。ま
た、その基板がプロセス処理による加熱等で歪み、これ
に伴い前回露光したパターンも歪むことが有り得るが、
この場合のパターンの歪みも、結果的に前回使用した投
影露光装置による投影像の歪みと同じような歪みとな
る。
【0004】これに関して、従来の投影露光装置として
は、感光基板上の露光フィールド全体にレチクルのパタ
ーンを一括して縮小投影する一括露光方式(又は、「フ
ル・フィールド方式」とも呼ばれる)の装置(ステッパ
ー等)が一般的であった。このような一括露光方式の投
影露光装置では、投影光学系の一部のレンズエレメン
ト、又はレチクルを光軸方向に駆動するか、又は光軸に
対して傾斜させることにより、積極的に投影パターンを
台形状に歪ませて、前回露光されたパターンと歪みの状
態を一致させて露光する方式が提案されている(例え
ば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文
献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−7129号公報
【特許文献2】特開昭62−24624号公報
【特許文献3】特開平2−609号公報
【特許文献4】特開平2−652号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の重ね
合わせ精度の改善方式は、一括露光方式(フル・フィー
ルド方式)を前提として提案されたものである。ところ
が、近年、レチクルのパターン領域をスリット状に照明
し、そのスリット状の照明領域に対してレチクルを走査
し、レチクルの走査と同期してそのスリット状の照明領
域と共役な露光領域に対して感光基板を走査することに
より、レチクルのパターンを逐次感光基板上に投影露光
する方式である、所謂スリットスキャン露光方式の投影
露光装置が開発されている。
【0007】このスリットスキャン露光方式では、レチ
クル上の照明領域が一括露光方式に比べて小さいため、
投影像の歪みの量、及び照度の不均一性が小さく抑えら
れるという利点があるのみならず、走査方向に関しては
投影光学系のフィールドサイズの制限を受けずに大面積
の露光が行えるという利点がある。しかしながら、スリ
ットスキャン露光方式においては、投影光学系のフィー
ルドの一部のみを使用し、且つ走査露光時に同一パター
ンが投影光学系のフィールド内の複数の箇所を通過する
ため、投影光学系のレンズエレメントの単なる傾斜等で
は、投影像を全体として台形状等に歪ませることはでき
ない。そのため、従来の一括露光方式用の重ね合わせ精
度の改善方式では、スリットスキャン露光方式の投影露
光装置での重ね合わせ精度の向上を図れないという不都
合があった。
【0008】本発明は斯かる点に鑑み、重ね合わせ精度
を高精度に維持できるスリットスキャン露光方式の投影
露光装置を提供することを目的とする。また、本発明
は、重ね合わせ精度を向上させるために走査速度や投影
像の歪み状態を変えた場合でも、スリットスキャン露光
後の基板上の露光量の均一性を良好に維持できるスリッ
トスキャン露光方式の投影露光装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による走査型投影
露光装置は、例えば図1及び図7に示すように、照明光
で所定の照明領域を照明する照明光学系(1〜3,5〜
7)と、その所定の照明領域に対して転写用のパターン
が形成されたマスクを所定の方向に走査するマスクステ
ージ(RST)と、その所定の照明領域内のそのマスク
のパターンの像を感光性の基板上に結像投影する投影光
学系(PL)と、その所定の照明領域と共役な露光領域
に対して所定の方向にその基板を走査する基板ステージ
(WST)とを有し、その所定の照明領域及びその露光
領域に対してそれぞれそのマスク及びその基板を同期し
て走査すると共に、そのマスクのパターンの像をその基
板上に投影することによりその基板を走査露光する走査
型投影露光装置において、その照明領域を設定する光学
手段(5)と、その照明領域内におけるその所定方向と
直交する方向の照度分布を可変な照度分布制御手段
(4)とを備え、その照度分布制御手段(4)は透過率
分布が所望状態に設定可能な光学フィルタを含むもので
ある。
【0010】また、本発明による素子製造方法は、本発
明の走査型投影露光装置を用いるものである。
【0011】
【作用】本発明によれば、その照明領域を設定する光学
手段(5)とは別に、その照明領域内におけるその所定
方向と直交する方向の照度分布を可変な照度分布制御手
段(4)を設けているので、スリットスキャン露光後の
基板上の露光量の均一性を良好に維持できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明による走査型投影露光装置の一
実施例につき図面を参照して説明する。図1は本実施例
のスリットスキャン露光方式の投影露光装置の概略的な
構成を示し、この図1において、光源1で発生した照明
光ILは不図示のシャッターを通過した後、コリメータ
レンズ、及びフライアイレンズ等からなる照度均一化光
学系2により照度分布がほぼ均一な光束に変換される。
照明光ILとしては、例えばKrFエキシマレーザ光や
ArFエキシマレーザ光等のエキシマレーザ光、銅蒸気
レーザやYAGレーザの高調波、あるいは超高圧水銀ラ
ンプからの紫外域の輝線(g線、i線等)等が用いられ
る。
【0013】照度均一化光学系2を射出した光束は、リ
レーレンズ3を介して、レチクルブラインド5に達す
る。レチクルブラインド5は、レチクルRのパターン形
成面及びウエハWの露光面と光学的に共役な面に配置さ
れ、レチクルブラインド5のリレーレンズ3側に密着す
るように、透過率分布が所望の状態に設定できる可変N
Dフィルター4が設置されている。レチクルブラインド
5においては、複数枚の可動遮光部(例えば2枚のL字
型の可動遮光板)を例えばモータにより開閉することに
より開口部の大きさ(スリット幅等)を調整する。その
開口部の大きさを調整することにより、レチクルRを照
明する照明領域IARを任意の形状及び大きさに設定す
る。
【0014】また、可変NDフィルター4は、例えば二
重すだれ構造、液晶表示パネル、エレクトロクロミック
デバイス、又は所望の形状のNDフィルターより構成さ
れ、可変NDフィルタ制御部22が可変NDフィルター
4を出し入れする等により、レチクルR上の照明領域I
AR内の照度分布を意図的に不均一にし、結果的に走査
中のウエハW上の露光量を一定に保つことができる。通
常は、可変NDフィルター4の全体が100%透過にな
っており、レチクルR上の照明領域IAR内の照度分布
は均一である。可変NDフィルター4の詳細は後述す
る。
【0015】可変NDフィルター4及びレチクルブライ
ンド5を通過した光束は、リレーレンズ6及びダイクロ
イックミラー7を介して回路パターン等が描かれたレチ
クルRを照明する。レチクルRはレチクルステージRS
T上に真空吸着され、このレチクルステージRSTは、
照明光学系の光軸IXに垂直な平面内で2次元的に微動
してレチクルRを位置決めする。
【0016】また、レチクルステージRSTはリニアモ
ータ等で構成されたレチクル駆動部(不図示)により、
所定の方向(走査方向)に指定された走査速度で移動可
能となっている。レチクルステージRSTは、レチクル
Rの全面が少なくとも照明光学系の光軸IXを横切るこ
とができるだけの移動ストロークを有している。レチク
ルステージRSTの端部には干渉計16からのレーザビ
ームを反射する移動鏡15が固定されており、レチクル
ステージRSTの走査方向の位置は干渉計16によっ
て、例えば0.01μm程度の分解能で常時検出され
る。干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情
報はステージ制御系19に送られ、ステージ制御系19
はレチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチク
ル駆動部(不図示)を介して、レチクルステージRST
を駆動する。不図示のレチクルアライメント系により所
定の基準位置にレチクルRが精度良く位置決めされるよ
うに、レチクルステージRSTの初期位置が決定される
ため、移動鏡15の位置を干渉計16で測定するだけで
レチクルRの位置を十分高精度に測定したことになる。
【0017】さて、レチクルRを通過した照明光IL
は、例えば両側テレセントリックな投影光学系PLに入
射し、投影光学系PLはレチクルRの回路パターンを例
えば1/5あるいは1/4に縮小した投影像を、表面に
フォトレジスト(感光材)が塗布されたウエハW上に形
成する。本実施例の投影露光装置においては、図2に示
すようにレチクルRの走査方向(x方向)に対して垂直
な方向に長手方向を有する長方形(スリット状)の照明
領域IARでレチクルRが照明され、レチクルRは露光
時に−x方向に速度VRでスキャンされる。照明領域I
AR(中心は光軸IXとほぼ一致)は投影光学系PLを
介してウエハW上に投影され、スリット状の投影領域I
Aが形成される。ウエハWはレチクルRとは倒立結像関
係にあるため、ウエハWは速度VR の方向とは反対方向
(+x方向)にレチクルRに同期して速度VW でスキャ
ンされ、ウエハW上のショット領域SAの全面が露光可
能となっている。走査速度の比VW/VR は正確に投影
光学系PLの縮小倍率に応じたものになっており、レチ
クルRのパターン領域PAのパターンがウエハW上のシ
ョット領域SA上に正確に縮小転写される。照明領域I
ARの長手方向の幅は、レチクルR上のパターン領域P
Aよりも広く、遮光領域STの最大幅よりも狭くなるよ
うに設定され、スキャンすることによりパターン領域P
A全面が照明されるようになっている。
【0018】再び図1の説明に戻って、ウエハWはウエ
ハホルダ9上に真空吸着され、ウエハホルダ9はウエハ
ステージWST上に保持されている。ウエハホルダ9は
不図示の駆動部により、投影光学系PLの最良結像面に
対し、任意方向に傾斜可能で、且つ光軸IX方向(z方
向)に微動が可能である。また、光軸IXの回りの回転
動作も可能である。一方、ウエハステージWSTは前述
のスキャン方向(x方向)の移動のみならず、複数のシ
ョット領域に任意に移動できるようにスキャン方向に垂
直な方向(y方向)にも移動可能に構成されており、ウ
エハW上の各ショット領域をスキャン露光する動作と、
次のショット露光開始位置まで移動する動作とを繰り返
すステップ・アンド・スキャン動作を行う。モータ等の
ウエハステージ駆動部(不図示)はウエハステージWS
Tをxy方向に駆動する。ウエハステージWSTの端部
には干渉計18からのレーザビームを反射する移動鏡1
7が固定され、ウエハステージWSTのxy平面内での
位置は干渉計18によって、例えば0.01μm程度の
分解能で常時検出されている。ウエハステージWSTの
位置情報(又は速度情報)はステージ制御系19に送ら
れ、ステージ制御系19はこの位置情報(又は速度情
報)に基づいてウエハステージWSTを制御する。
【0019】また、図1において、ウエハW上の位置合
わせ用のアライメントマーク(ウエハマーク)の位置を
検出するためのウエハアライメント系(後述)が設けら
れ、そのアライメント系の計測結果が、装置全体の動作
を制御する主制御系20に供給され、主制御系20で
は、ウエハマークの計測された位置よりウエハW上のシ
ョット領域の配列及びこの配列の歪みを算出する。この
際に、ウエハW上のショット領域の配列方向と、レチク
ルRの走査方向と共役な方向との相対角度も算出され、
この相対角度情報がステージ制御系19に供給される。
その相対角度情報を基にステージ制御系19は、レチク
ルRの走査方向に対するウエハWの走査方向の相対角度
を制御する。
【0020】投影光学系PLの側方に、TTL(スルー
・ザ・レンズ)方式のウエハアライメント系が設けら
れ、ウエハアライメント系の光源23としては、通常H
e−Neレーザ光等のようにフォトレジストを感光させ
ない波長の光を発生する光源が使用される。光源23で
発生された光束はビームスプリッター26に入射する。
ビームスプリッター26で反射された光束は、ミラー2
5で反射された後、投影光学系PLを介してウエハW上
のアライメント用のウエハマークを照明する。ウエハマ
ークからの反射光あるいは回折光は、再び投影光学系P
L、ミラー25、ビームスプリッター26を介して光電
センサ24で受光される。この検出信号が主制御系20
に供給され、主制御系20はウエハマークの計測された
座標からウエハW上の各ショット領域に既に形成されて
いるチップパターンの歪みの状態を求める。これによ
り、前回露光され処理されたウエハWの各ショット領域
のチップパターンに対して、レチクルRの投影像が正確
に重ね合わせて露光されるようにウエハWの位置合わせ
がなされる。ウエハWのアライメント方法は種々提案さ
れているが、他の方法でも同様に使用できる。
【0021】また、図1の装置には、投影光学系PLの
最良結像面に向けてピンホール、あるいはスリット像を
形成するための結像光束を光軸IX方向に対して斜め方
向より供給する照射光学系13と、その結像光束のウエ
ハWの表面での反射光束をスリットを介して受光する受
光光学系14とからなる斜入射方式のウエハ位置検出系
(焦点検出系)が、投影光学系PLを支える支持部(不
図示)に固定されている。このウエハ位置検出系の構成
等については、例えば特開昭60−168112号公報
に開示されており、ウエハ表面の結像面に対する上下方
向(z方向)の位置偏差を検出し、ウエハWと投影光学
系PLとが所定の間隔を保つ様にウエハホルダ9をz方
向に駆動するために用いられる。ウエハ位置検出系から
のウエハ位置情報は、主制御系20を介してステージ制
御系19に送られる。ステージ制御系19はこのウエハ
位置情報に基づいてウエハホルダ9をz方向に駆動す
る。
【0022】なお、本実施例では結像面が零点基準とな
るように、予め受光光学系14の内部に設けられた不図
示の平行平板ガラス(プレーンパラレル)の角度が調整
され、ウエハ位置検出系のキャリブレーションが行われ
るものとする。また、例えば特開昭58−113706
号公報に開示されているような水平位置検出系を用いた
り、あるいは投影光学系PLのイメージフィールド内の
任意の複数の位置での焦点位置を検出できるようにウエ
ハ位置検出系を構成する(例えば複数のスリット像をイ
メージフィールド内に形成する)ことによって、ウエハ
W上の所定領域の結像面に対する傾きを検出可能に構成
してもよい。
【0023】ところで、図1の装置には投影光学系PL
の結像特性を補正するための補正機構が設けられてい
る。この補正機構は、大気圧変化、照明光吸収等による
投影光学系PL自体の結像特性の変化を補正すると共
に、ウエハW上の前回の露光ショットの歪みに合わせて
レチクルRのパターンの投影像を歪ませる働きをもつ。
以下に補正機構の説明を行う。投影光学系PLの結像特
性としては焦点位置、像面湾曲、ディストーション、非
点収差等があり、それらを補正する機構はそれぞれ考え
られるが、ここでは投影像の歪みに関する補正機構のみ
の説明を行う。
【0024】図1に示すように、本実施例では結像特性
制御部12によってレチクルR又は投影光学系PL内の
レンズエレメント27を駆動することにより、結像特性
の補正を行う。投影光学系PL内において、レチクルR
に最も近いレンズエレメント27は支持部材28に固定
され、レンズエレメント27に続くレンズエレメント2
9,30,31,…は投影光学系PLの本体に固定され
ている。なお、本実施例において、投影光学系PLの光
軸IXはレンズエレメント29以下の投影光学系PL本
体の光軸を指すものとする。支持部材28は伸縮自在の
複数(少なくとも2つ以上で、図1中では2つを図示)
の駆動素子11を介して投影光学系PLの本体と連結さ
れている。
【0025】ここで、レンズエレメント27が光軸IX
の方向に平行移動した場合、その移動量に応じた変化率
で投影倍率(投影像の寸法の拡大縮小率)が変化する。
この状態を図3(a)に示し、図3(a)の正方形の投
影像32が投影光学系PLにより投影された歪みの無い
場合の正方形のパターンの像とする。この場合、レンズ
エレメント27を例えば上方に移動したとすると、投影
倍率が大きくなり投影像32の各頂点は矢印の方向に移
動し、正方形のパターンの像は等方的に拡大された投影
像32Aのように投影される。同様に歪みが無い状態の
スリット状の露光領域IA0 も等方的に拡大されて、露
光領域IA1 のように投影される。
【0026】次に、レンズエレメント27が光軸IXに
垂直な平面に対して傾斜した場合を図3(b)に示す。
傾斜時の回転軸をRXとすると、図3(b)のように正
方形の投影像32の頂点は矢印の方向に伸縮し、全体と
して台形状の投影像32Bのように投影される。同様
に、走査露光時の露光領域IA0 も露光領域IA2 のよ
うな台形状となる。図3(b)では、回転軸RXを走査
方向(x方向)に対して垂直な方向(y方向)に取った
例を示したが、回転軸RXをどの方向に取っても、図3
(b)の例と同様に回転軸に対して一方の倍率が小さ
く、多方の倍率が大きくなるというような変形を行うこ
とができる。
【0027】次にレチクルRを駆動する場合について説
明する。レチクルRは前記のようにレチクルステージR
ST上に載置されている。レチクルステージRSTは伸
縮自在の複数(少なくとも2つ以上で、図1中では2つ
を図示)の駆動素子10により、不図示の投影露光装置
の本体(架台)に連結されている。投影光学系PLも不
図示ではあるがその本体に固定されているため、駆動素
子10により投影光学系PLとレチクルRとの間隔を変
化させることができる。ここで、レチクルRが光軸IX
に平行移動した場合を、図3(c)に示す。図3
(a),(b)と同様に、図3(c)において、本来の
正方形の投影像32が投影像32Cのように変化する。
投影像32Cの歪みはいわゆる糸巻型ディストーション
と呼ばれているもので、レチクルRが逆方向に動いたと
きは、投影像32の各頂点が内側に大きく動き、いわゆ
る樽型ディストーションと呼ばれる歪みになる。露光領
域IA0も同様に露光領域にIA3 に変化する。
【0028】上記の様にレチクルRあるいはレンズエレ
メント27を駆動する場合、それに伴って焦点位置ある
いは像面が変化するが、その量は各駆動量から主制御系
20が計算できる。そして、主制御系20がウエハ位置
検出系(13,14)の零点基準に対してその計算で求
めた量だけオフセットを加えることにより、ウエハWの
露光面が常に焦点位置に来るように制御する。これによ
り、レチクルRあるいはレンズエレメント27の駆動に
より投影光学系PLの焦点位置又は像面位置が変化して
も、その変化に追従して焦点位置又は像面位置が調整さ
れる。
【0029】なお、投影像の歪みの補正方法は上記の方
法に限定されず、例えば投影光学系PL内部の一部のレ
ンズ間隔を密封して、その内部の空気圧力を変化させる
方法等も使用できる。一括露光方式の場合は上記の方法
の組合せにより、正方形の投影像32をある程度任意の
形状に変化させることで、ウエハW上に前回露光された
ショット領域の歪みに合わせて露光を行うことができ
る。しかし、スリットスキャン露光方式で露光を行う場
合は、ウエハW上の各ショット領域内のパターンが露光
領域IA内を走査に応じて通過しながら露光されてい
く。そのため、例えば図3(b)に示すように、露光領
域IA0 を台形状の露光領域IA2 にしても露光される
パターンは全体としては台形状とならず、むしろ同一パ
ターンが露光中に異なる位置に露光されていくので、像
が不鮮明になるだけである。本実施例ではこの問題を以
下のように解決する。
【0030】補正方法の説明の前に、先ず補正量の求め
方について簡単に説明を行う。従来の技術で説明したよ
うに、前回露光されているパターンが歪む要因として、
先ず前回のパターンを露光した露光装置と今回露光する
露光装置とが異なり、投影光学系の持つ投影像の歪みが
異なることがある。この場合、今回の露光装置から見る
とウエハ上の各ショット領域のパターンが歪んでいるこ
とになる。これは例えば、ウエハ上のパターンが粗くて
もよいレイア(層)については、投影像の歪みはあまり
良好に除去されていないが、解像力についての仕様は満
足する旧型の露光装置を使用する場合、あるいは個々の
露光装置の投影像の歪みは要求精度内に入っているが、
歪みの出方が不規則の場合には無視できなくなる。
【0031】この場合、前回の露光を行った露光装置の
投影像の歪みの特性を、図1の入力手段21を介して主
制御系20に入力する。入力手段21としては例えば磁
気ディスク装置、磁気テープ装置、あるいはキーボード
等が考えられる。投影像の歪みの特性は、数式、数式の
係数あるいはショット内の所定の座標位置の各点が露光
時にどれだけずれた点に露光されるか等を示すテーブル
等の形で主制御系20に入力される。主制御系20内に
は、自分自身の投影光学系PLの歪み量と、結像特性補
正手段による補正後の歪み量を求める数式とが予め用意
されており、主制御系20は前回の露光ショットとの誤
差量を最小にするための補正量の算出を行い、結像特性
制御部12を介して結像特性の補正を行う。
【0032】次に上記の補正だけでは不十分である場
合、即ちプロセス処理における温度上昇等によってウエ
ハWに歪みが発生する場合について説明を行う。上述の
説明のように、ウエハWの各ショット領域にはアライメ
ント用のウエハマークが付設されており、これらウエハ
マークにより各ショット領域の座標を計測できるように
なっている。通常の位置合わせは、1ショット毎にそれ
ぞれウエハマークの座標計測を行うダイ・バイ・ダイ方
式ではなく、1ウエハ当り例えば10個程度の予め選択
されたショット領域(サンプルショット)の座標位置を
計測して統計処理(例えば最小自乗法)によりウエハ全
体のショット配列を求めるエンハンスト・グローバル・
アライメント方式(以下、「EGA方式」と呼ぶ)が使
用されている(例えば特開昭61−44429号公報参
照)。
【0033】このEGA方式によるショット配列の計算
(即ち、スケーリングや直交度を表すパラメータの計
算)により、ウエハ全体にどのような歪みが発生してい
るのかが分かるため、個々のショット領域の形がどのよ
うに変形しているのか推定することができる。図4は、
ウエハW上の各ショット領域の変形の状態を模式的に示
し、この図4において、各ショット領域SAi に近接す
るストリートライン上には、そのショット領域SAi
中心のx座標及びy座標をそれぞれ示すためのウエハマ
ークMxi,Myi が形成されている。これらウエハマー
クMxi,Myi は、そのショット領域SAi にチップパ
ターンを露光する際に同時に露光されたものである。
【0034】これらウエハマークMxi,Myi の座標位
置を、図1のウエハアライメント系の光電センサ24の
検出信号及びウエハステージ用の干渉計18の計測値よ
り求めることができる。その後、前記のように主制御系
20は、ウエハ全体で各ショット領域の中心がどのよう
な配列になっているのかを求める。図4の例では一点鎖
線で示す格子状の配列パターン35が得られる。この配
列パターン35より、各ショット領域がどのように歪ん
でいるのかが分かる。これにより各ショット領域SAi
毎に今回露光する投影像の歪みの最適値を求めることが
できる。
【0035】なお、図5に示すように、各ショット領域
SA毎にそれぞれ例えば4隅に十字型のウエハマーク3
3A〜33Dを形成しておき、これらウエハマーク33
A〜33Dの座標位置を計測することにより、各ショッ
ト領域SA内に形成されているチップパターンの歪みを
それぞれ直接測定する方法も考えられる。以上の方法に
より、これからウエハW上の各ショット領域に露光する
投影像の歪みの補正量を求めることができる。
【0036】次に、本例のスリットスキャン露光方式の
投影露光装置における投影像の歪みの補正方法につき説
明する。先ず、単純に倍率成分のみが変化した場合、図
1の投影光学系PLのレンズエレメント27の移動によ
り投影倍率を一致させ、走査方向と直角な方向の投影倍
率をウエハW上のパターンの倍率に合わせる(図3
(a)参照)。次に、実際に走査露光を行うときに、レ
チクルRの走査速度とウエハWの走査速度との相対速度
を倍率誤差の比だけ変えて、走査方向の倍率を一致させ
る。つまり、倍率を大きくしたい場合、ウエハ側を速く
移動させればよい。
【0037】また、倍率の変化及び相対走査速度差によ
り、ウエハWに対する実際の露光量が目標露光量に対し
て若干変化する。この変化量は通常無視してよいレベル
であるが、必要に応じて補正を行うこともできる。この
ような露光量の補正は、レチクルR及びウエハWの走査
速度自体(相対速度ではなくそれぞれの走査速度)を変
化させる、レチクルブラインド5で照明領域のスリット
の幅(走査方向の長さ)を変える、高速でオン/オフす
るシャッター(不図示)の開時間と閉時間との比を変え
る、又は可変NDフィルター4の濃度を変える等の手法
により実現できる。
【0038】次に、台形状の歪みに対する補正について
説明を行う。台形状歪みは、図6に示すように走査方向
に倍率が変化していく成分と、図7に示すように走査方
向に直交する方向に倍率が変化していく成分とに分けら
れる。先ず、走査方向に倍率が変化していく台形状歪み
の補正法を図6を参照して説明する。図6は、説明の便
宜上ウエハW上の或るショット領域上のパターン34A
を固定して、スリット状の露光領域が移動するように表
現している(実際にはスリット状の露光領域に対してウ
エハW側が移動する)。
【0039】図6の場合、露光位置xも応じてパターン
34Aの倍率が一定の割合で大きくなっているため、既
に説明した全体の倍率が等方的に変化する場合を応用し
て、投影光学系PLの投影倍率を連続的に変化させてや
ればよい。しかしスリット状の露光領域自体にも幅があ
るため、初期位置でのスリット状の投影領域IAi の形
状を台形状に変化させる(図3(b)参照)。そして、
図6において、スリット状の露光領域を台形状にしたま
ま、走査により変化した露光位置xに応じて投影倍率を
変化させて、最終位置での投影領域IAf まで露光を行
うことにより、走査露光後の投影像が台形状になる。
【0040】なお、連続的に投影倍率を変化させずと
も、段階的に、即ち所定距離だけウエハを移動させる度
に投影倍率を変化させるようにしてもよい。また、走査
方向の倍率についても全体の倍率が等方的に変化したと
きと同様に、ウエハステージWSTを倍率が大きい所で
速くなるように、つまり図6の例ではウエハステージW
STの走査速度VW が位置x1〜x2まで直線36Aに
沿って連続的に速くなるように走査してやればよい。ま
た、ウエハW上での露光量についても、直線36Bに沿
って次第にスリット状の露光領域内の単位面積当りの光
量(照度)ELが大きくなるように制御することによ
り、走査露光後のウエハW上の各点での露光量が一定に
なる。
【0041】以上の動作をまとめると、走査露光中に主
制御系20は、レチクル側の干渉計16の計測値に応じ
て、レンズエレメント27の上下駆動、ウエハステ
ージWSTの速度制御、可変NDフィルター4の濃度
制御(に関しては前記の様に他の手法も考えられ
る。)を行う必要がある。これに関して、例えば倍率成
分のみは補正機構があるが、台形成分の歪みの補正がで
きない露光装置(例えばレンズエレメント27が、光軸
IXに平行に上下できるのみで傾斜はできない)では、
スリット状の露光領域IAi 〜IAf を長方形のままに
して倍率成分のみ変化させる方法を用いることにより、
完全ではないが或る程度の補正ができる。このとき、ス
リット状の露光領域の走査方向の幅(スリット幅)が小
さい程誤差が小さくなるので、スリット幅を小さくして
露光を行うことが望ましい。これは、露光中に倍率が変
化してしまうことによる1つのパターンの像のぼけを防
ぐためである。
【0042】次に、図7を参照して、走査方向と直交す
る方向に倍率が変化する台形状の歪みの補正方法につい
て説明する。図7も、図6と同様にウエハW上のパター
ン34Bが固定でスリット状の露光領域が移動する様に
表現されている。この場合、図7に示すように、初期位
置の露光領域IAi を手前側(図7の紙面上の下側)の
倍率が大となるような台形状に歪ませる。次に走査開始
時に前回露光されたパターン34Bの台形の辺L1と、
露光領域IAi の辺L2とが平行になるように、レチク
ルRとウエハWとの相対角度を変える。具体的にはウエ
ハWを回転させることにより実現する。
【0043】そして、図7に示すように走査露光により
スリット状の露光領域の位置が露光領域IAi 、I
m 、IAf と変化するのに応じて、その相対角度を次
第に変化させる。即ち、前回形成されたパターン34B
の中心と、露光領域IAm の中心とが一致するとき両者
の相対角度が0となり、走査の終端で台形状のパターン
34Bの辺L3と露光領域IAf の辺L4とが平行にな
るように相対角度を変化させていく。この場合、走査方
向と台形の倍率変化方向とが一致する場合(図6の場
合)のようには完全に投影像をパターン34Bに重ね合
わせることはできないが、近似的に走査方向と直交する
方向に倍率が変化する台形状の歪みを実現することがで
きる。但し、厳密に言うと、本実施例の方法では、投影
像は扇状に歪む。
【0044】本方法ではレチクルRとウエハWとの相対
角度を変えることにより、倍率が小さい部分(図7の位
置y2)に比べて倍率が大きい部分(図7の位置y1)
でのウエハWの走査速度VW (ひいてはウエハWの相対
速度)が速くなっており、これにより走査方向の倍率も
補正される。また、ウエハW上の露光量に関しては走査
方向と直交する方向に露光面積が変化するため、図1の
可変NDフィルター4により図7の直線37で示すよう
に図7の下側の照度ELが大きくなるように制御すれば
よい。又は、スリット状の露光領域の走査方向の幅が図
7の下側で大きくなるように、図1のレチクルブライン
ド5の開口部の形状を変えて、レチクルRを照明してや
ればよい。
【0045】図7の場合も、図6の場合と同様に露光装
置が台形歪の補正機構を待っていないときには、レチク
ルRとウエハWとの相対角度のみを変えるといった不完
全な方法を使用しても良い。以上のように台形状の歪み
成分に関しては、走査方向へ倍率が変化する成分と、走
査方向に直角な方向に倍率が変化する成分とに分けて補
正を行うことができる。これらの応用例として、長方形
に歪んでいる場合、前記の等方的倍率補正の内、走査方
向に対応したものか、走査方向に直交する方向に対応し
たものの内で該当するものだけを実施するか、又は両者
の比率を変えて実施すればよい。
【0046】また、図8に示すように、ウエハW上のシ
ョット領域に形成されているパターン34Cが菱形状に
歪んでいる場合は、スリット状の露光領域IAi の形状
は走査開始から走査終了まで変化させる必要はない。そ
して、レチクルRとウエハWとの相対角度を変えた状態
で、レチクルRの走査方向と共役な方向であるx方向に
対して相対角度θで交差する方向に、ウエハWを走査速
度VW で走査することにより、近似的に投影像をパター
ン34Cに合わせて菱形状に歪ませることができる。
【0047】更に、図9に示すように、ウエハW上のパ
ターン34Dが糸巻型(又は樽型)のディストーション
を有する場合に関しても、スリットスキャン露光方式の
投影露光装置の場合には完全に補正することはできない
が、近似的に以下の様な方法が考えられる。即ち、図9
に示すように、前回に露光されたショット領域内のパタ
ーン34Dの中心と、露光領域IAm の中心とが一致す
るときは投影倍率を小さくし、両端では露光領域IAi
及びIAf をそれぞれ台形状にして投影倍率を大きくし
て連続的に露光を行う。また、走査方向に関しては曲線
38Aで示すように、ウエハWの走査速度VW(ひいては
相対走査速度)を中心で小さく、両端で大きくなるよう
にすればよい。また、露光量に関しても同様に曲線38
Bで示すように、照度分布ELが両端で大きく、中心で
小さくなるようにしてやればよい。
【0048】上記の方法で糸巻き状のパターン34Dの
外周部では投影像がほぼ一致するが、このようなディス
トーションは内部の変化も一様等方的ではないので、レ
チクルRの上下動と組み合わせて走査される像自体に糸
巻き状のディストーションを発生させ、図3(c)の場
合より補正精度を上げるという方法をとることもでき
る。以上の方法を組み合わせることにより、より複雑な
形状の歪みに対応できる。また、上述実施例では説明し
なかったが、レチクルRを傾斜させてもよい。
【0049】なお、上述実施例では、前回露光されたシ
ョット領域内のパターンの歪みに合わせて、今回露光す
るレチクルRの投影像の歪みの状態を設定する例を扱っ
てきたが、本発明の他の実施例としては、例えばウエハ
上の第1レイアへの露光(つまり重ね合わせを考慮する
必要がない場合の露光)の際に、次のレイアへの露光を
行う露光装置の投影像の歪みに合わせて予め投影像を歪
せる方法、あるいはプロセスによるウエハ自体の歪みを
予め予想しておき、露光時に逆の歪みを与えて歪みを打
ち消す方法等も考えられる。更に、露光動作中にウエハ
Wが露光光を吸収して膨張したり、レチクルRが露光光
を吸収して投影像が歪む場合も補正が可能である。
【0050】また、レチクルRに形成されたパターンの
透過率分布(パターン存在率分布)が著しく偏り、例え
ば図7において上半分はほとんど光を透過せず、下半分
がほぼ全ての光を透過するような場合、投影光学系PL
内部の熱分布が非対称になり、結果として露光された像
が図7のパターン34Bの如く台形状に変形することが
考えられる。この様な場合にも本発明を適用することに
より、その露光された像の歪みを補正することができ
る。これらの要因による投影像の歪み量の計算に関して
は、一括露光方式の露光装置では例えば特開平1−83
号公報で開示されている。これらは熱伝導計算により投
影像の歪みを求めたり、空間像計測により投影像の歪み
を実測するものである。また、投影像の歪みを画像合成
(画面継ぎ)の際に最適化する方法も特開平5−628
78号公報で開示されているが、この場合にも本発明を
適用できる。
【0051】以上のように、本実施例の走査型投影露光
装置は、照明光で所定の照明領域を照明する照明光学系
(1〜3,6,7)と、その所定の照明領域に対して転
写用のパターンが形成されたマスク(R)を所定の方向
に走査するマスクステージ(RST)と、その所定の照
明領域内のマスク(R)のパターンの像を感光性の基板
(W)上に結像投影する投影光学系(PL)と、その所
定の照明領域と共役な露光領域に対して所定の方向に基
板(W)を走査する基板ステージ(WST)とを有し、
その所定の照明領域及びその露光領域に対してそれぞれ
マスク(R)及び基板(W)を同期して走査することに
より、マスク(R)のパターンの像を逐次基板(W)上
に投影露光する走査型投影露光装置において、基板
(W)上に既に形成されているパターンの歪みに応じ
て、マスクステージ(RST)によるマスク(R)の走
査方向と基板ステージ(WST)による基板(W)の走
査方向との相対角度θを変化させる相対角度制御手段
(19)を設けたものである。
【0052】また、本実施例の別の走査型投影露光装置
は、その前述の走査型投影露光装置と同じ前提部におい
て、例えば図1に示すように、マスクステージ(RS
T)によるマスク(R)の走査速度と基板ステージ(W
ST)による基板(W)の走査速度との相対走査速度を
調整する相対速度調整手段(19)と、投影光学系(P
L)による投影像の歪みを補正する結像特性補正手段
(12)とを有し、基板(W)上に既に形成されている
パターンの歪みに応じて、相対速度調整手段(19)を
介してマスク(R)と基板(W)との相対走査速度を調
整するのと並行して、結像特性補正手段(12)を介し
て投影光学系(PL)による基板(W)上への投影像の
歪みの状態を補正するようにしたものである。
【0053】この場合、上記の照明光学系(1〜3、5
〜7)に、投影光学系(PL)による投影像の歪みの状
態に応じてその所定の照明領域内の照度分布を調整する
照度分布制御手段(4)を設けることが望ましい。斯か
る走査型投影露光装置によれば、例えば図8に示すよう
に、基板(W)上にそれまでの工程で形成されているパ
ターン(34C)が菱形に歪んでいる場合には、マスク
(R)の走査方向と共役な方向(x方向)に対して角度
θで交差する方向に基板(W)を走査する。これによ
り、スリット状の露光領域(IAi)が菱形のパターン
(34C)に沿って移動するため、重ね合わせ誤差が小
さくなる。
【0054】また、その別の走査型投影露光装置によれ
ば、予め基板(W)上にそれまでの工程で形成されたパ
ターンの歪みの状態を求めておく。そして、マスク
(R)及び基板(W)を走査するのと並行して、基板
(W)上のパターンの歪みの状態に応じて結像特性補正
手段(12)を介して、例えば投影光学系(PL)のレ
ンズエレメントを駆動するか、あるいはマスク(R)を
連続的に駆動する等して、マスクパターンの投影像の歪
みの状態を連続的に変化させていく。従って、マスクの
走査位置に応じてマスクの投影像の歪みの状態を刻々に
変化させることができ、基板(W)上のパターンが例え
ば台形状又は樽型状等に歪んでいても、それに応じてマ
スクパターンの投影像を歪ませることができ、重ね合わ
せ精度が向上する。更に、本発明においては、走査方向
への倍率誤差を補正するために、マスク(R)と基板
(W)との相対走査速度の制御を行う方法を併用してい
る。
【0055】また、上記の照明光学系(1〜3、5〜
7)に、投影光学系(PL)による投影像の歪みの状態
に応じてその所定の照明領域内の照度分布を調整する照
度分布制御手段(4)を設けた場合には、例えば基板
(W)の走査速度の速い領域ではその照明領域内の照度
を高め、逆に基板(W)の走査速度の遅い領域ではその
照明領域内の照度を低くする。また、結像特性補正手段
(12)を介して例えばマスク(R)のパターン像を拡
大した場合にはその照明領域内の照度を高くする。これ
により、重ね合わせ精度を向上するため、走査速度や投
影像の歪みの状態を変えた場合でも、基板(W)上に投
影されるマスクパターンの投影像の照度分布が均一に維
持される。
【0056】なお、本発明は上述実施例に限定されず、
本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得
る。
【0057】
【発明の効果】本発明の走査型の投影露光装置によれ
ば、照明領域を設定する光学手段とは別に、照明領域内
における走査方向と直交する方向の照度分布を可変な照
度分布制御手段を設け、その照度分布制御手段は透過率
分布が所望状態に設定可能な光学フィルタを含むもので
あるため、スリットスキャン露光後の基板上の露光量の
均一性を良好に維持できる。従って、投影像の拡大縮小
に応じて照度分布を変えることもでき、投影像を大きく
歪ませた際にもスリットスキャン露光方式で露光した後
の基板上の露光量の均一性を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のスリットスキャン露光方
式の投影露光装置の概略を示す構成図である。
【図2】 図1の投影露光装置におけるレチクルR及び
ウエハWの走査の状態を示す斜視図である。
【図3】 (a)は図1でレンズエレメント27を光軸
方向に駆動したときの投影像の変化を示す図、(b)は
図1でレンズエレメント27を光軸に垂直な平面に対し
て傾斜させたときの投影像の変化を示す図、(c)は図
1でレチクルRを光軸方向に駆動したときの投影像の変
化を示す図である。
【図4】 ウエハのプロセスによるショット配列の歪み
の測定法の一例の説明に供する図である。
【図5】 ウエハのプロセスによるショット領域内のパ
ターンの歪みの測定法の一例の説明に供する図である。
【図6】 走査方向に倍率が変化する台形歪みに投影像
の歪みを合わせる方法の説明図である。
【図7】 走査方向に直角な方向に倍率が変化する台形
歪みに投影像の歪みを合わせる方法の説明図である。
【図8】 菱形状の歪みに投影像の歪みを合わせる方法
の説明図である。
【図9】 糸巻状の歪みに投影像の歪みを合わせる方法
の説明図である。
【符号の説明】
1…光源、2…照度分布均一化光学系、3,6…リレー
レンズ、4…可変NDフィルター、5…レチクルブライ
ンド、R…レチクル、PL…投影光学系、W…ウエハ、
RST…レチクルステージ、WST…ウエハステージ、
10,11…駆動素子、12…結像特性制御部、16…
レチクル側の干渉計、18…ウエハ側の干渉計、19…
ステージ制御系、20…主制御系、21…投影像の歪み
の入力手段、22…可変NDフィルター制御部、27…
レンズエレメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−142313(JP,A) 特開 平7−135132(JP,A) 特開 平7−37774(JP,A) 特開 平6−132195(JP,A) 特開 平4−277612(JP,A) 特開 平4−196513(JP,A) 特開 平1−298719(JP,A) 特開 平1−175730(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照明光で所定の照明領域を照明する照明
    光学系と、前記所定の照明領域に対して転写用のパター
    ンが形成されたマスクを所定の方向に走査するマスクス
    テージと、前記所定の照明領域内の前記マスクのパター
    ンの像を感光性の基板上に結像投影する投影光学系と、
    前記所定の照明領域と共役な露光領域に対して所定の方
    向に前記基板を走査する基板ステージとを有し、前記所
    定の照明領域及び前記露光領域に対してそれぞれ前記マ
    スク及び前記基板を同期して走査すると共に、前記マス
    クのパターンの像を前記基板上に投影することにより前
    記基板を走査露光する走査型投影露光装置において、 前記照明領域を設定する光学手段と、 前記照明領域内における前記所定方向と直交する方向の
    照度分布を可変な照度分布制御手段とを備え、 前記照度分布制御手段は透過率分布が所望状態に設定可
    能な光学フィルタを含む ことを特徴とする走査型投影露
    光装置。
  2. 【請求項2】 前記光学手段は、前記照明領域を任意の
    形状及び大きさに設定可能であることを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記光学フィルタは出し入れ可能である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記マスクステージの移動を制御するた
    めに前記マスクステージを位置情報を計測する第1干渉
    計と、 前記基板ステージの移動を制御するために前記基板ステ
    ージの位置情報を計測する第2干渉計と、 前記投影光学系によって形成される投影像の特性を調整
    する像調整手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に
    記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記マスクステージの移動を制御するた
    めに前記マスクステージを位置情報を計測する第1干渉
    計と、 前記基板ステージの移動を制御するために前記基板ステ
    ージの位置情報を計測する第2干渉計と、 前記マスクを移動することによって前記マスクと前記投
    影光学系との間隔を可変なマスク駆動手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に
    記載の装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜の何れか一項に記載の走査
    型投影露光装置を用いる素子製造方法。
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