JP3473517B2 - 指向性拡声装置 - Google Patents

指向性拡声装置

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JP3473517B2
JP3473517B2 JP26958399A JP26958399A JP3473517B2 JP 3473517 B2 JP3473517 B2 JP 3473517B2 JP 26958399 A JP26958399 A JP 26958399A JP 26958399 A JP26958399 A JP 26958399A JP 3473517 B2 JP3473517 B2 JP 3473517B2
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克彦 増田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数のスピーカ
を用いて異なる領域で異なる信号源の音を聴取すること
ができる指向性拡声装置、より詳しくいえば、所定の聴
取エリアで或る信号源の音を聞きにくくしたり、異なる
聴取エリアでは別々の音を聞き取れるように、複数の聴
取エリアに別々の音情報を伝達することができる指向性
拡声装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、同一空間の異なる領域で、異なる
音を同時に聴き取れるようにするための装置として、ス
ピーカから放射される音の指向性を2以上の所望の方向
に制御するようにしたものがあった。例えば、特開平6
−205496号公報(「スピーカ装置」)には、図1
に示されるように、複数のスピーカユニットを直線状に
配置したアレイスピーカ(AS)に供給する2チャンネ
ルの入力信号(IN1,IN2)をディジタルフィルタ
(DF1〜m)により、遅延時間等を異ならせるディジ
タル信号処理を個別に施し、これによって、アレイスピ
ーカ(AS)から放音される各入力信号音の指向性(D
1,D2)を制御する装置が記載されている。しかしな
がら、このような装置では、両入力信号(IN1,IN
2)に対しゲインが一定であると、チャンネルソース側
にレベル差が生じた場合に、他チャンネルの抑圧比が十
分でなく、聴きたくないチャンネルの音が大きく聞こえ
てしまうことになる。
【0003】また、本発明者等は、2チャンネルの入力
信号からディジタル信号処理により打ち消し音を合成
し、近接配置された2つのスピーカから放射することに
よって、同じ空間の異なる領域にいる2人(あるいは2
つのグループ)の聴取者が別々の音源の音を同時に聴き
取れるようにしたスピーカ装置を特願平10−3937
8号により提案した(以下、この提案を「前記提案」と
いう。)。しかしながら、このスピーカ装置でも、やは
り、両入力信号に対しゲインが一定であると、チャンネ
ルソース側にレベル差が生じた場合には、他チャンネル
の抑圧比が十分でなく、聴きたくないチャンネルの音が
大きく聞こえてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な不都合に鑑み、複数のスピーカを備える音源装置から
複数音を異なる方向に放射し、或る領域でソースの音を
聴きにくくしたり、或いは、異なる領域では異なるソー
スの音を同時に聴き取ることができるようにした指向性
拡声システムにおいて、ソースの音量が変動しても他チ
ャンネルの抑圧効果の高い最適音量比率が得られ、ソー
スの質や内容に拘わらず最適な他チャンネル抑圧効果を
確実に得ることができるように改良された指向性拡声装
置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の特徴に
従うと、入力される複数の音響信号(Sa,Sb:X
i)のレベルを聴感上一致するように調整するレベル調
整手段(2)と、レベル調整された複数の音響信号(S
A,SB:Xo)を制御して複数のスピーカ駆動信号
(Sx,Sy)を生成する指向性制御手段(4a〜7
b)と、生成されたスピーカ駆動信号で駆動されること
により、各音響信号に基づく音を複数の異なる方向の聴
取エリアに放射する複数のスピーカ(9a1〜9b2)
と、入力される各音響信号(Sa,Sb:Xi)が少な
くとも音声信号であるか音楽信号であるかを判別する入
力信号判別手段(S2,図7)とを具備し、レベル調整
手段(2)は、音声信号と判別された音響信号のレベル
を、音楽信号と判別された音響信号のレベルよりも大き
くなるように調整を行う指向性拡声装置が提供される。
【0006】この発明の第2の特徴に従うと、入力され
る複数の音響信号(Sa,Sb:Xi)のレベルを聴感
上一致するように調整するレベル調整手段(2)と、レ
ベル調整された複数の音響信号(SA,SB:Xo)を
制御して複数のスピーカ駆動信号(Sx,Sy)を生成
する指向性制御手段(4a〜7b)と、生成されたスピ
ーカ駆動信号で駆動されることにより、各音響信号に基
づく音を複数の異なる方向の聴取エリアに放射する複数
のスピーカ(9a1〜9b2)と、レベル調整された所
定時間の各音響信号(SA,SB:Xo)について、前
サンプル値に遡るに従って指数関数的に減衰する重みを
付けて平均値(|Xo|)を検出するレベル検出手段
(S7,S11)とを具備し、レベル調整手段(2)
は、検出された平均値(|Xo|)に基づいて、対応す
る音響信号のレベル調整動作を行う指向性拡声装置が提
供される。
【0007】この発明の第3の特徴に従うと、入力され
る複数の音響信号(Sa,Sb:Xi)のレベルを聴感
上一致するように調整するレベル調整手段(2)と、レ
ベル調整された複数の音響信号(SA,SB:Xo)を
制御して複数のスピーカ駆動信号(Sx,Sy)を生成
する指向性制御手段(4a〜7b)と、生成されたスピ
ーカ駆動信号で駆動されることにより、各音響信号に基
づく音を複数の異なる方向の聴取エリアに放射する複数
のスピーカ(9a1〜9b2)とを具備し、レベル調整
手段(2)は、入力される各音響信号(Sa,Sb)に
対して、周波数帯域の狭い方の音響信号に適合した周波
数ゲイン特性を有する指向性拡声装置が提供される。
【0008】なお、この発明による指向性拡声装置のレ
ベル調整手段、指向性制御手段及びスピーカは、それぞ
れ、入力される第1及び第2の音響信号(Sa,Sb)
のレベルを聴感上一致するように調整するレベル調整手
段(2)、レベル調整された第1及び第2の音響信号
(SA,SB:Xo)を制御して第1及び第2のスピー
カ駆動信号(Sx,Sy)を生成する指向性制御手段
(4a〜7b)、及び、制御周波数帯域の音波の8分の
1波長〜1波長の間隔で配置され、生成された第1及び
第2のスピーカ駆動信号でそれぞれ駆動されることによ
り、各音響信号に基づく音を2つの異なる方向の聴取エ
リアに放射する第1及び第2のスピーカ(9a1・9a
2,9b1・9b2)で構成することができる。
【0009】また、この発明の第1の特徴に従う指向性
拡声装置は、さらに、レベル調整された所定時間の各音
響信号(SA,SB:Xo)について、前サンプル値に
遡るに従って指数関数的に減衰する重みを付けて平均値
(|Xo|)を検出するレベル検出手段(S7,S1
1)を貝備し、レベル調整手段(2)は、検出された平
均値(|Xo|)に基づいて、対応する音響信号のレベ
ル調整動作を行う。
【0010】この発明の他の特徴に従うと、さらに、入
力される各音響信号(Sa,Sb:Xi)が無音乃至微
小音量状態であることを検出する無音検出手段(S1,
M2・M4)を具備し、レベル調整手段(2)は、この
無音乃至微小音量状態の検出に応じて、対応する音響信
号のレベル調整動作を停止する(S3)。また、レベル
調整手段(2)は、無音乃至微小音量状態の検出から非
検出に移行したとき、所定時間の間、対応する音響信号
のレベルを増大させるように構成することができる。
【0011】この発明の他の特徴に従うと、さらに、2
つの画面を表示する表示手段を具備し、入力される音響
信号のうち、一方の音響信号は一方の画面に対応し、他
方の音響信号は他方の画面に対応するように構成するこ
とができる。入力される各音響信号は、互いに異なる言
語を表わす音声信号である場合もあれば、入力される音
響信号のうち、一方の音響信号は音声信号であり、他方
の音響信号は音楽信号である場合もある。
【0012】〔作用〕この発明の主たる特徴によると、
入力される複数の音響信号(Sa,Sb)のレベルをレ
ベル調整手段(2)により聴感上一致するように調整
し、レベル調整された複数の音響信号(SA,SB:X
o)を指向性制御手段(4a〜7b)により制御して複
数のスピーカ駆動信号(Sx,Sy)を生成し、生成さ
れたスピーカ駆動信号(Sx,Sy)で複数のスピーカ
(9a1〜9b2)を駆動することにより、各音響信号
に基づく音を複数の異なる方向の聴取エリアに放射する
ようにしている。従って、音響信号(Sa,Sb)のソ
ース(1a,1b)の音量が変動しても他チャンネルの
抑圧効果の高い最適音量比率が得られ、ソースの質や内
容に拘わらず最適な他チャンネル抑圧効果を得ることが
できるので、或る領域でソースの音を聴きにくくした
り、或いは、異なる領域では異なるソースの音を同時に
聴き取るという指向性聴取効果を、確実なものとするこ
とができる。
【0013】この際、第1の特徴によると、入力される
各音響信号(Sa,Sb:Xi)が少なくとも音声信号
であるか音楽信号であるかを入力信号判別手段〔S2
(図5)、図7〕により判別し、レベル調整手段(2)
では、この判別結果に対応してレベル目標値(Ad,A
m)を選択し、選択されたレベル目標値に基づいてレベ
ル調整を行うようにしている。ここで、一般に、音楽の
方がマスキング効果が高い、つまり、邪魔になると感じ
る音圧レベルが音声(会話)より低い。従って、音楽の
場合は、音声(会話)よりも低くなるように入力レベル
を制御することにより、「2画面音楽モード」のよう
に、入力される音響信号のうち、一方の音響信号が音声
信号であり、他方の音響信号が音楽信号である場合に、
互いの妨害量が聴感上同程度となるように音量を調整す
ることができる。
【0014】また、第2の特徴によると、レベル検出手
段(S7,S11)を用いて、レベル調整された所定時
間の各音響信号(SA,SB:Xo)について、前サン
プル値に遡るに従って指数関数的に減衰する重みを付け
る、つまり、離散データで前サンプル値に指数減衰的な
重みをつけて現サンプル値と足し込む方法で、平均値
(|Xo|)を検出し、レベル調整手段(2)では、検
出された平均値(|Xo|)に基づいて、対応する音響
信号のレベル調整動作を行うようにしいる。従って、メ
モリが少なくても実現しやすい時間平均値検出手法を用
いて、レベル調整を簡単な構成で確実に実行することが
できる。
【0015】さらに、第3の特徴によると、レベル調整
手段(2)は、入力される各音響信号(Sa,Sb)に
対して、周波数帯域の狭い方の音響信号に適合した周波
数ゲイン特性を有するように帯域調整を行うようにして
いる。つまり、この発明によるシステムの要点は、如何
に聴きたくない方の音を抑圧するかにあるので、一方が
会話(音声)で他方が音楽の場合、周波数帯域の狭い音
声に適合した周波数ゲイン特性を持たせることにより、
音楽の音声への妨げを減ずることができる。
【0016】なお、入力される第1及び第2の音響信号
(Sa,Sb)のレベルをレベル調整手段(2)により
聴感上一致するように調整し、レベル調整された第1及
び第2の音響信号(SA,SB:Xo)を指向性制御手
段(4a〜7b)により制御して第1及び第2のスピー
カ駆動信号(Sx,Sy)を生成し、制御周波数帯域の
音波の8分の1波長〜1波長の間隔で並置された第1及
び第2のスピーカ(9a1・9a2,9b1・9b2)
を、生成された第1及び第2のスピーカ駆動信号(S
x,Sy)でそれぞれ駆動することにより、各音響信号
に基づく音を2つの異なる方向の聴取エリアに放射する
構成を採ると、特に、中低音成分の多い第1及び第2の
音響信号(Sa,Sb)に対して、良好な指向特性をも
つ音源システムを実現することができる。
【0017】この発明の他の特徴によると、さらに、入
力される各音響信号(Sa,Sb:Xi)が無音乃至微
小音量状態であることを無音検出手段(S1,M2・M
4)により検出し、レベル調整手段(2)では、この無
音乃至微小音量状態の検出に応じて、対応する音響信号
のレベル調整動作を停止するようにしている(S3)の
で、無音或いは小音量の信号が入力された時に、不必要
にゲインが上がらないようにすることができる。
【0018】また、レベル調整手段(2)は、無音乃至
微小音量状態の検出から非検出に移行したとき、所定時
間の間、対応する音響信号のレベルを増大させるように
先行音マスクをかけている。「2カ国語会話モード」の
ように、入力される各音響信号が互いに異なる言語を表
わす音声信号である場合には、一般に、一方が無音で他
方が会話が開始しているとき、無音側のエリアにいる視
聴者の注意は、聴いていない他側のエリアに対する音の
みが聞こえてしまうので、そちらに引きつけられる。し
かしながら、この発明では、無言の後に発音する音声
を、先行していた方の音量より、やや大きめ(但し、結
果的に対等に注意を引く程度)になるように、先行音マ
スクをかけて、より注意を引くようにすることができ
る。
【0019】この発明の他の特徴によると、さらに、2
つの画面を表示する表示手段を設け、入力される音響信
号のうち、一方の音響信号が一方の画面に対応し、他方
の音響信号が他方の画面に対応するように構成すること
により、オーディオビデオシステムにおいて、例えば、
「2画面音楽モード」のように、一方の音響信号が音声
で他方の音響信号が音楽である場合に、音声サービス及
び音楽サービスを異なるエリアで確実に視聴することが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、この発
明の好適な実施例について詳述する。なお、以下の実施
例は、単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しな
い範囲で種々の変更が可能である。
【0021】〔システム構成〕図2には、この発明の一
実施例による指向性拡声装置の構成を表わすブロック図
が示されている。この指向性拡声装置の例においては、
内容種別の異なる(つまり、相関のない)第1チャンネ
ル及び第2チャンネル音響信号源1a,1bからの第1
及び第2アナログ音響信号Sa,Sbは、ゲインコント
ロール回路2を介してゲイン調整がなされた上、近接音
源制御(PSC:Proximate Sourse Control)方式の近
接制御装置3(以下、近接音源制御方式を「PSC方
式」、近接制御装置を「PSC装置」という。)に入力
される。
【0022】ゲインコントロール回路2は、例えば、図
3に示されるように、アナログ音響信号Sa,Sbをア
ナログディジタル変換器(ADC)21a,21bでデ
ィジタル音響信号に変換した後ディジタルゲイン制御器
22a,22bで信号値を制御し、所望の信号値に調整
された第1及び第2ディジタル音響信号SA,SBを出
力する。
【0023】PSC装置3は、第1及び第2遅延器4
a,4b、第1及び第2ディジタルフィルタ5a,5
b、第1及び第2加算器6a,6b、第1及び第2増幅
回路7a,7b、第1及び第2クロスオーバ回路8a,
8b、第1及び第2低音用スピーカ9a1,9b1並び
に第1及び第2高音用スピーカ9a2,9b2を備え、
例えば、聴取空間における異なる2点Pa,Pb及びそ
の近傍A,Bで、夫々、第1チャンネル又は第2チャン
ネル音響信号源1a,1bからの第1及び第2ディジタ
ル音響信号成分SA,SBのみが聴取され、第2チャン
ネル又は第1チャンネル音響信号源1b,1aからの第
2及び第1音響信号Sb,Saに由来するクロストーク
音を聞こえないようにするための指向性音源装置として
機能する。
【0024】PSC装置3において、第1遅延器4a及
び第1ディジタルフィルタ5aには第1ディジタル音響
信号SAが供給され、第2遅延器4b及び第2ディジタ
ルフィルタ5bには第2ディジタル音響信号SBが供給
される。第1遅延器4a及び第2ディジタルフィルタ5
bの出力信号は第1加算器6aで加算され、この加算に
より得られる第1ディジタル加算信号SXは第1増幅回
路7aで増幅され、一方、第2遅延器4b及び第1ディ
ジタルフィルタ5aの出力信号は第2加算器6bで加算
され、この加算により得られる第2ディジタル加算信号
SYは第2増幅回路7bで増幅される。
【0025】なお、第1遅延器4a及び第2ディジタル
フィルタ5bと第1加算器6aとの間、並びに、第2遅
延器4b及び第1ディジタルフィルタ5aと第2加算器
6bとの間には、必要に応じて、適当な減衰器を介挿す
ることができる。また、各増幅回路7a,7bは、例え
ば、図4の符号“7”で示すように、ディジタルアナロ
グ変換器(DAC)71及びアナログ電力増幅器72に
より成り、各ディジタル加算信号PX,PYをアナログ
信号に変換した上増幅して第1及び第2スピーカ駆動信
号Px,Pyを出力する。
【0026】各増幅回路7a,7bから出力される第1
及び第2スピーカ駆動信号Px,Pyは、第1及び第2
クロスオーバ回路8a,8bにより周波数に応じて分配
され、第1及び第2低音用スピーカ9a1,9b1並び
に第1及び第2高音用スピーカ9a2,9b2に入力さ
れ、音波として聴取空間に放音される。
【0027】〔PSC方式の原理〕この実施例における
PSC方式については、既に前記提案で詳しく説明され
ているので、ここでは簡単に説明する。今、図2におい
て、ゲインコントロール回路2(=図3のゲイン制御器
2g1,2g2)がないものと仮定し、両スピーカ9a
1・9a2,9b1・9b2に対する音響聴取空間にお
ける或る一点Paを考えると、この点Paで聴取される
音は、第1及び第2低音用スピーカ9a1,9b1並び
に第1及び第2高音用スピーカ9a2,9b2から放音
される音響による音圧を線形的に重ね合わせたものにな
る。従って、当該聴取点Paでの音圧S(ω)は、第1
チャンネル音響信号Saの電圧をX(ω)、第2チャン
ネル音響信号Sbの電圧をY(ω)とする(ωは音波信
号の角周波数)と、次式(1)で表わすことができる: S=(αX+βY)+(γX+δY) …(1) ここで、αは、回路要素1a→4a→6a→7a→8a
→9a1,9a2→空間→Paを経路とする要素1a〜
9a1・9a2〜Pa間の伝達関数、βは、回路要素1
b→5b→6a→7a→8a→9a1,9a2→空間→
Paを経路とする要素1b〜9a1・9a2〜Pa間の
伝達関数、γは、回路要素1a→5a→6b→7b→8
b→9b1,9b2→空間→Paを経路とする要素1a
〜9b1・9b2〜Pa間の伝達関数、δは、回路要素
1b→4b→6b→7b→8b→9b1,9b2→空間
→Pbを経路とする要素1b〜9b1・9b2〜Pa間
の伝達関数である。
【0028】すなわち、右辺第1項は、第1低音用及び
高音用スピーカ9a1,9a2から放射されて聴取点P
aで聴取される音を表わし、右辺第2項は、第2低音用
及び高音用スピーカ9b1,9b2から放射されて同聴
取点Paで聴取される音を表わしている。従って、第2
ディジタルフィルタ5bのディジタル係数を調整して係
数βを変化させβ=−δを成立させると、式(1)から
式(2)が得られ、第2チャンネル音響信号電圧Yを含
む項を消去することができる。 S=αX+γX=(α+γ)X …(2)
【0029】この意味は、聴取点Paにおいては、第1
チャンネル音響信号Sa(信号電圧X)に由来する音の
みが聴取され、第2チャンネル音響信号Sb(信号電圧
Y)に由来するクロストーク音〔(β+δ)Y〕は聞こ
えないことを示す。
【0030】また、同様の操作を、両低音用スピーカ9
a1,9b1並びに両高音用スピーカ9a2,9b2間
の中心線に関する聴取点Paの対称的な他の一点Pbに
ついても、第1ディジタルフィルタ5aに対し、α=−
γの調整を行うことにより、当該聴取点Pbでは、第2
チャンネル音響信号Sb(信号電圧Y)に由来する音の
みが聴取され、第1チャンネル音響信号Sa(信号電圧
X)に由来するクロストーク音〔(α+γ)X〕を聞こ
えないようにすることができる。
【0031】このような構成で各ディジタルフィルタ5
a,5bによって、β=−δ或いはα=−γを成立させ
得るのは聴取空間内のただ1点であり、その1点(以
下、「打消しポイント」という。)においてクロストー
クはゼロとなる。また、打消しポイントの周囲には、そ
れに準ずるクロストークの少ない領域が生じる。
【0032】例えば、第2ディジタルフィルタ5bのフ
ィルタ係数を調整してβ=−δを成立させることにより
聴取点Paにおけるクロストークをゼロとした場合に
は、聴取点Paの近傍領域Aでクロストークが低減さ
れ、また、第1ディジタルフィルタ5aのフィルタ係数
の調整により聴取点Pbにおけるクロストークをゼロと
した場合には、これと対称的な聴取点Pbの近傍領域B
でクロストークが低減される。
【0033】図2のように低音用スピーカ9a1,9b
1並びに高音用スピーカ9a2,9b2を並置したシス
テムにおいて、放射される音の波長をλとしたとき、ス
ピーカ間隔を変化させた場合にクロストークが−10d
Bとなるクロストーク低減領域は、所定の波長λに対し
てスピーカ間隔の関数として変化する。スピーカ9a1
−9b1,9a2−9b2同士を十分に離して“スピー
カ間隔d1>波長λ”の関係にした場合は、ほぼ円形の
小領域でクロストークが低減される〔前記提案の図2
(A)を参照。〕。また、両スピーカ9a1−9b1,
9a2−9b2間を接近させて“スピーカ間隔d2>
(1/8)×波長λ”の関係にした場合は、クロストー
ク低減領域は大きく拡大されるが、第1チャンネル及び
第2チャンネル音響信号成分についてのクロストーク低
減領域が互いに重なり合ってしまう〔前記提案の図2
(C)を参照。〕。
【0034】しかしながら、この実施例のようにスピー
カ間隔d0を (1/8)×λ < d0 < λ …(3) とした場合には、例えば、図2に示すように、各音響信
号成分のクロストーク低減領域A,Bが独立し而も大き
な体積のものとなる。
【0035】このようなPSC方式による音場は図2の
PSC装置3により実現され、低音用スピーカ9a1,
9b1並びに高音用スピーカ9a2,9b2は、第1チ
ャンネル及び第2チャンネル音響信号Sa,Sbの主た
る制御周波数領域の音波の8分の1波長〜1波長を満足
する間隔(d0)をおいて配置される。例えば、外側に
配置される低音用スピーカ9a1,9b1の中心間の間
隔を40cm、内側に配置される高音用スピーカ9a
2,9b2の中心間の間隔は5cmとすると、内側の高
音用スピーカ9a2,9b2は、ほぼ850〜6800
Hzの帯域で、また、外側の低音用スピーカ9a1,9
b1は、ほぼ106〜850Hzの帯域で、良好な指向
性が得られ、総合的には、110〜6800Hzの広帯
域で所望エリアでの所望クロストーク低減が得られる。
【0036】〔ゲインコントロール〕このように、PS
C方式では、PSC装置3に入力される各チャンネル音
響信号SA,SBに基づく2チャンネルの音の音域がオ
ーバーラップしても、このオーバーラップ分を打ち消す
音をPSC装置3により発生させることによって、特定
の方向の音圧を下げ、良好にクロストークが低減する領
域A,Bを独立させ而も大きな体積のものとすることが
できる。しかしながら、クロストーク低減領域A,Bで
は、一方のチャンネル音が他方のチャンネル音の音域と
オーバーラップしていることにより、各チャンネル音響
信号源1a,1b側から入力される各チャンネル音響信
号Sa,Sb自体にレベル差が生じた場合には、他チャ
ンネルとの抑圧比が十分でなく、聴きたくない他チャン
ネル音が大きく聞こえてしまうことになる。
【0037】このため、この発明の一実施例では、図2
及び図3に示すように、第1チャンネル及び第2チャン
ネル音響信号源1a,1bとPSC装置3との間にゲイ
ンコントロール回路2を設け、両音響信号源1a,1b
から入力される第1チャンネル及び第2チャンネル音響
信号Sa,Sbに対してゲインコントロールを行い、両
チャンネルの音圧を聴感上一致するように調整する。
【0038】図5及び図6は、この発明の一実施例によ
るゲインコントロールのアルゴリズムを示すフローチャ
ートである。この処理フローでは、ゲインコントロール
回路2への第1チャンネル又は第2チャンネル音響信号
Sa,Sbに対応して、何れかのディジタルゲイン制御
器22a,22bに入力される入力信号電圧をXiで表
わし、ここから出力される出力信号電圧をXoで表わす
ものとする。また、この処理フローは、例えば、ディジ
タル処理部(ADC21a,21b〜DAC71間)の
処理クロック〔AD、DA変換クロック(サンプリング
周波数)、DSP動作クロック等〕の割込みにより起動
することができる。
【0039】この処理フローがディジタル処理クロック
等の割込みでスタートすると、第1ステップS1におい
て、信号電圧Xiの所定時間平均値|Xi|が、無信号
(無音若しくは小音量)状態に対応する所定の閾値Tを
超えているか否かを調べ、この平均値|Xi|が閾値T
を超えているとステップS2に進む。値|Xi|が閾値
T以下の場合には、無信号状態であるとみなしてステッ
プS3に進み現在のゲイン値Gを維持し、次のステップ
S4において、このゲイン値Gでディジタルゲイン制御
器22a,22bを動作させ、出力信号電圧Xo=G・
Xiを出力させる。このステップS1→S3→S4の処
理により、無音若しくは小音量の時には、むやみにゲイ
ンが上がらないようにすることができる。
【0040】一方、ステップS2に進んだ場合には、入
力された音響信号Sa,Sbが音楽であるか否か判別
し、音楽であると判別された場合はステップS5(図
6)に進み、音楽でない、つまり、会話(音声)である
と判断された場合には、ステップS6に進む。ステップ
S6においては、現在のゲイン値Gによりゲイン制御器
22a,22bを動作し、現サンプル値Xiに係数Gを
乗じて出力信号電圧Xo=G・Xiを出力させ、次のス
テップS7にて、この出力信号電圧Xoの所定時間平均
値|Xo|を、調整すべき会話(音声)レベルに応じて
予め設定されている会話時出力目標値Adと比較する。
【0041】ステップS7において、比較した結果、|
Xo|>Adであると判定された場合(YES)は、ス
テップS8に進み、ディジタルゲイン制御器22a,2
2bのゲイン値Gを、現在のゲイン値Gに所定のゲイン
増分dGを差し引いた値G−dGに設定し直してリター
ンする。ステップS7で|Xo|=Adであると判定さ
れた場合は、ステップS9に進んで、現在設定されてい
るゲイン値Gを維持してリターンする。また、ステップ
S7で|Xo|<Adであると判定された場合(NO)
は、ステップS10に進み、ディジタルゲイン制御器2
2a,22bのゲイン値Gを、現在のゲイン値Gからゲ
イン増分dGを加えた値G+dGに設定した上、リター
ンする。
【0042】ステップS2で音楽と判別されてステップ
S5(図6)に進んだ場合は、現在のゲイン値Gにより
ゲイン制御器22a,22bを動作し、現サンプル値X
iに係数Gを乗じて出力信号電圧Xo=G・Xiを出力
させ、次のステップS11にて、この出力信号電圧Xo
の所定時間平均値|Xo|を、調整すべき音楽レベルに
応じて予め設定されている音楽時出力目標値Amと比較
する。この音楽時出力目標値Amは、ステップS7で比
較される会話時出力目標値Adより小さく〔Am<A
d〕設定される。これは、クロストーク低減領域A,B
で低減させる音(聞きたくない音、邪魔になる音)が音
楽であるか或いは会話(音声)であるかにより、邪魔に
なると感じる音圧レベルが異なる(同一音圧レベルで
は、ムード的な音楽の方が意味内容をもつ会話(音声)
よりも邪魔と感じる比率が高い)からである。
【0043】ステップS11での比較の結果、|Xo|
>Amであると判定された場合(YES)は、ステップ
S12に進み、ディジタルゲイン制御器22a,22b
のゲイン値Gを、現在のゲイン値Gに所定のゲイン増分
dGを差し引いた値G−dGに設定し直してリターンす
る。ステップS11で|Xo|=Amであると判定され
た場合は、ステップS13に進んで、現在設定されてい
るゲイン値Gを維持してリターンする。また、ステップ
S11で|Xo|<Amであると判定された場合(N
O)は、ステップS14に進み、ディジタルゲイン制御
器22a,22bのゲイン値Gを、現在のゲイン値Gか
らゲイン増分dGを加えた値G+dGに設定した上、リ
ターンする。
【0044】なお、ステップS8,S10,S12,S
14において、ゲイン値GつまりステップS6,S5で
現サンプル値Xiに乗じる係数Gを求めるために用いる
ゲイン増分dGの値は、予め定数を設定しておいてもよ
いし、時間平均値|Xo|と目標値(定数)Am,Ad
との比率に応じて算出してもよい。
【0045】〔音量の時間平均〕この発明のゲインコン
トロールによると、後述する各聴取モードにおいて、図
5及び図6のゲインコントロール・アルゴリズムのステ
ップS6〜S10,S5・S11〜S14につき説明し
たように、入力音が会話(音声)モードであるか音楽モ
ードであるかというような入力音モードに応じて出力目
標値(定数)〔Ad,Am〕を設定し、出力音量〔X
o〕の時間平均値〔|Xo|〕と出力目標値〔Ad,A
m〕との差に応じて係数〔G〕を求め、求められた係数
〔G〕を現サンプル値〔Xi〕に乗じて出力することに
より、出力目標値〔Ad,Am〕に近づける処理が行わ
れ、これによって、両チャンネルの音圧を聴感上一致す
るように調整することができる。そこで、ステップS
7,S11等における、レベル調整のための出力音量の
時間平均を用いた音量レベル検出について説明する。
【0046】ステップS7,S11において目標値(定
数)Am,Adに対して出力音量(Xo)の時間平均値
|Xo|を比べるための方法には、一定時間の積分値を
とるオーソドックスな方法と、離散データで前サンプル
値に指数減衰的な重みをつけて現サンプル値と足し込ん
で使用する指数減衰的方法との、2つの方法が考えられ
るが、後者の指数減衰的方法は、メモリが少なくても実
現しやすいという利点がある。
【0047】また、この発明では、ステップS1→S3
→S4で説明したように、入力音量〔Xi〕の時間平均
値〔|Xi|〕がある値以下の場合は現サンプル値〔X
i〕に対する係数〔G〕を更新しないようにして、無音
(もしくは小音量)時にむやみにゲインを上げない処理
が行われ、このためにステップS1等で無音の検出を行
うが、この検出には、上述した出力音量〔Xo〕の時間
平均〔|Xo|〕よりもさらに短時間の時間平均を使う
のが好ましい。ステップS1等での入力音量の時間平均
値の算出についても、上述した2つの方法が考えられ
る。
【0048】〔入力音モードの判断〕ステップS7〜S
10,S11〜S14で行われる音楽入力モード或いは
会話(音声)入力モードに応じた処理のために、ステッ
プS2において入力音が音楽であるか否か判別される。
図7は、このような入力音モードの判断のために利用す
ることができるモード判断アルゴリズムのフローチャー
トを示す。このアルゴリズムでは、入力音響信号の自己
相関を用い、 〔雑音信号の自己相関値〕<〔音声信号の自己相関値〕 <〔音楽信号の自己相関値〕 の関係があり、騒音閾値Tn及び音声閾値Tmが、 騒音閾値Tn < 音声閾値Tm の関係をもって、予め設定されているものとする。
【0049】このアルゴリズムの処理フローが、例え
ば、ディジタル処理クロックの割込みでスタートする
と、第1ステップM1では、これまでに入力されてきた
音響信号Sa,Sbのディジタル変換データからその自
己相関値SCを算出する。次のステップM2では、自己
相関値SCが騒音閾値Tnを超えているか否か判別し、
超えていればステップM3に進み、超えていない場合に
は、ステップM4にて入力音響信号は「騒音又は無信
号」であると判断される。
【0050】一方、ステップM3においては、自己相関
値SCが音声閾値Tmを超えているか否か判別し、超え
ていれば、ステップM5で入力音響信号は「音楽」であ
ると判断される。また、自己相関値SCが音声閾値Tm
を超えていない場合には、ステップM4において、入力
音響信号は「音声(人声)」であると判断される。
【0051】なお、このような入力音が音楽であるか音
声(人声)であるか等の判断は、上述の自己相関による
ものだけでなく、入力音響信号の包絡線波形をパターン
判別する等、任意の方法を採用することができる。
【0052】〔聴取モード及び音量調節〕この発明によ
る指向性拡声装置では、図2に示すように、両チャンネ
ルの音量を聴感上一致するように音圧を調整するゲイン
コントロール回路2を具える。このゲインコントロール
による音量調節は、いくつかの聴取モードによってレベ
ル設定が異なるが、この聴取モードには以下のようなも
のがある:
【0053】(1)2か国語モード このモードでは、例えば、同一画面を表示しつつ、視聴
する位置によって、一方チャンネルには英語、他方チャ
ンネルには日本語など、異なる言語情報をサービスす
る。 (2)2画面会話モード このモードは、例えば、一つの受像器に同時に2画面を
表示しつつ、視聴する位置によって、一方のチャンネル
は左側画面あるいは主画面の音響情報を、他方のチャン
ネルには右画面あるいは副画面の音響情報をサービスす
る場合に、各チャンネルソースが、例えば、ニュース、
ドラマなど、どちらも音声中心のプログラムである場合
のモードである。 (3)2画面音楽モード このモードは、例えば、一つの受像器に同時に2画面を
表示しつつ、視聴する位置によって、一方のチャンネル
は左側画面あるいは主画面の音響情報を、他方チャンネ
ルには右画面あるいは副画面の音響情報をサービスする
場合に、両チャンネルソースの一方が音楽のプログラム
であり、他方が会話(音声)や音声中心のプログラムか
ら成っている場合のモードである。 (4)高齢者(難聴者)モード このモードでは、視聴する位置によって、一方チャンネ
ルには健常者用の音響情報を、他方チャンネルには高齢
者(難聴者)用の音響情報をサービスする。等々。
【0054】この発明によるゲインコントロールにおい
ては、上述の2か国語モード、2画面会話モードでは、
2つのチャンネルソースの平均音圧レベルが等しくなる
ような調整を行う。ただし、無音期間には、図5のステ
ップS1→S3→S4のように、一定以上にゲインを上
げることをしない。これは、他の聴取モードでも同様で
ある。
【0055】2画面音楽モードでは、一般に、音楽の方
がマスキング効果が高い(邪魔になると感じる音圧レベ
ルが会話より低い)ので、例えば、前述の音楽時及び会
話時出力目標値Am,AdをAm<Adの関係に設定す
る(図5のステップS7及び図6のステップS11)等
の方法を用い、互いの妨害量が同程度となるように、音
量を調整する。さらに、図5のステップS2の判別ブロ
ックにおけるように、プログラムまたはソースによって
モードの自動切り替えをするために、図7に例示した方
法等で、音楽または会話(音声)の検出をしたり、或い
は、音楽か会話(音声)かの判定をする。
【0056】また、2カ国語会話モードにおいて、一方
のチャンネルが無音であり他方のチャンネルで会話が開
始しているときは、無音側チャンネルの視聴者は、小音
圧であったとしても、聴いていない他方のチャンネル音
のみが聞こえてしまうので、無音側視聴者の注意は他チ
ャンネル音に引きつけられる傾向がある。従って、その
後発音を開始する無音側チャンネルの音声は、先行して
いた他方側チャンネルの音量よりやや大きめにして先行
音マスク処理を行い、より注意を引くようにする。ただ
し、この音量増大値は、結果的に対等に注意を引く程度
の音量とし、時間経過と共に徐々に低下して所定時間後
には消滅させるようにする。
【0057】この発明による指向性拡声システムの要点
は、如何に聴きたくない方の音を抑圧するかにある。従
って、例えば、一方のチャンネルが会話(音声)であり
他方のチャンネルが音楽である2画面音楽モードのよう
な場合、ゲインコントロールに際し、周波数帯域の狭い
方(この場合は音声)に適合した周波数ゲイン特性を持
たせる帯域調整を適用することよって、音楽の音声への
妨げを減ずることができる。
【0058】〔他の実施態様〕以上の実施例では、制御
される周波数領域の音波の8分の1波長〜1波長の間隔
を介して2つのスピーカを近接配置し、制御周波数領域
にあり内容種別の異なる第1チャンネル及び第2チャン
ネル音響信号に基づく音波を両スピーカから放射させる
PSC方式の指向性拡声システムにこの発明を適用した
例について説明した。しかしながら、この発明は、複数
の異なる音響信号に基づく音を各音域のオーバーラップ
を許して異なる方向に放射させる際、オーバーラップ分
を打ち消すように音響信号を制御して所望の指向性を得
る任意の指向性拡声システムに適用することができ、例
えば、前掲特開平6−205496号公報のようなアレ
イスピーカを利用した指向性拡声システムにも適用可能
である。すなわち、この発明のポイントは、異なる複数
の音を異なる方向に制御する場合であり、かつ、少なく
とも片方の音が他方向の音域とオーバーラップし、この
オーバーラップ分を打ち消す音を発生している場合に、
双方の音圧レベルを聴感上一致するように制御すること
にある。
【0059】なお、PSC方式については、例えば、既
に本発明者等によって提案したフィルタ係数制御(特願
平11−101805,102110各号)により音波
打消し領域(位置、方向)を調整したり、アレイスピー
カ方式を併用したシステム(特願平11−242970
号)にすることができるので、この発明をPSC方式で
実施する場合には、このようなフィルタ係数制御やアレ
イスピーカ方式併用システムを採用することができる。
【0060】また、この発明による指向性拡声装置は、
前述したように、テレビジョンやラジオ等の音声多重放
送の受信機のスピーカとして用い、2か国語放送のよう
な音声多重放送の主・副チャンネルを2人(或いは2グ
ループ)で同時に別々の音声で楽しんだりする放送音聴
取システムだけでなく、屋内等において、同じ空間にい
る2人(或いは2グループ)の聴取者が別々の音源の音
を聴き取れるようにしたり、同じ空間内で或る位置(方
向)の人或いはグループでは音を聞こえにくくする他の
任意の指向性拡声システムに用いることができる。
【0061】〔発明の効果〕以上説明したように、この
発明によれば、入力される複数の音響信号のレベルをレ
ベル調整手段により聴感上一致するように調整し、レベ
ル調整された複数の音響信号を指向性制御手段により制
御して複数のスピーカ駆動信号を生成し、生成されたス
ピーカ駆動信号で複数のスピーカを駆動することによ
り、各音響信号に基づく音を複数の異なる方向の聴取エ
リアに放射するようにしている。従って、音響信号ソー
スの音量が変動しても他チャンネルの抑圧効果の高い最
適音量比率が得られ、ソースの質や内容に拘わらず最適
な他チャンネル抑圧効果を得ることができるので、或る
領域でソースの音を聴きにくくしたり、或いは、異なる
領域では異なるソースの音を同時に聴き取るという指向
性聴取効果を、確実なものとすることができる。
【0062】さらに、この発明によれば、入力される各
音響信号が少なくとも音声信号であるか音楽信号である
かを判別し、レベル調整手段では、この判別結果に対応
してレベル目標値を選択し、選択されたレベル目標値に
基づいてレベル調整を行うようにしている。従って、音
楽の場合は、音声(会話)よりも低くなるように入力レ
ベルを制御することにより、「2画面音楽モード」のよ
うに、入力される音響信号のうち、一方の音響信号が音
声信号であり、他方の音響信号が音楽信号である場合
に、互いの妨害量が聴感上同程度となるように音量を調
整することができる。
【0063】さらに、この発明によれば、レベル調整さ
れた所定時間の各音響信号について、前サンプル値に遡
るに従って指数関数的に減衰する重みを付けて平均値を
検出し、レベル調整手段では、検出された平均値に基づ
いて、対応する音響信号のレベル調整動作を行うように
しているので、レベル平均値検出及びレベル調整を簡単
な構成で確実に実行することができる。
【0064】さらに、この発明によれば、レベル調整手
段は、入力される各音響信号に対して、周波数帯域の狭
い方の音響信号に適合した周波数ゲイン特性を有するよ
うに帯域調整を行うようにしているので、一方が会話
(音声)で他方が音楽の場合、周波数帯域の狭い音声に
適合した周波数ゲイン特性を持たせることにより、音楽
の音声への妨げを減ずることができる。
【0065】なお、入力される第1及び第2の音響信号
のレベルをレベル調整手段により聴感上一致するように
調整し、レベル調整された第1及び第2の音響信号を指
向性制御手段により制御して第1及び第2のスピーカ駆
動信号を生成し、制御周波数帯域の音波の8分の1波長
〜1波長の間隔で並置された第1及び第2のスピーカ
を、生成された第1及び第2のスピーカ駆動信号でそれ
ぞれ駆動することにより、各音響信号に基づく音を2つ
の異なる方向の聴取エリアに放射するPSC装置の構成
を採ると、特に、中低音成分の多い第1及び第2の音響
信号に対して、良好な指向特性をもつ音源システムを実
現することができる。
【0066】さらに、この発明によれば、入力される各
音響信号が無音乃至微小音量状態であることを検出し、
レベル調整手段では、この無音乃至微小音量状態の検出
に応じて、対応する音響信号のレベル調整動作を停止す
るようにしているので、無音或いは小音量の信号が入力
された時に、不必要にゲインが上がらないようにするこ
とができる。レベル調整手段は、また、無音乃至微小音
量状態の検出から非検出に移行したとき、所定時間の
間、対応する音響信号のレベルを増大させるように先行
音マスクをかけているので、無言の後に発音する音声
を、先行していた方の音量よりやや大きめに先行音マス
クをかけて、より注意を引くようにすることができる。
【0067】さらに、この発明によればに、2つの画面
を表示する表示手段を設け、入力される音響信号のう
ち、一方の音響信号が一方の画面に対応し、他方の音響
信号が他方の画面に対応するように構成することによ
り、オーディオビデオシステムにおいて、「2画面音楽
モード」のように、一方の音響信号が音声で他方の音響
信号が音楽である場合に、音声サービス及び音楽サービ
スを異なるエリアで確実に視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、指向性拡声装置に関する従来技術を示
す図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による指向性拡声
装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例による指向性拡声
装置におけるゲインコントロール回路の一構成例であ
る。
【図4】図4は、この発明の一実施例による指向性拡声
装置における増幅回路の一構成例である。
【図5】図5は、この発明の一実施例によるゲインコン
トロールのアルゴリズムを表わすフローチャートの一部
である。
【図6】図6は、この発明の一実施例によるゲインコン
トロールのアルゴリズムを表わすフローチャートの他部
である。
【図7】図7は、この発明の一実施例による入力音モー
ド判断のアルゴリズムを表わすフローチャートである。
【符号の説明】
3 近接制御音源(PSC装置)、 6a,6b 加算器、 9a1,9b1 第1及び第2低音用スピーカ、 9a2,9b2 第1及び第2高音用スピーカ、 Sa,Sb 入力される第1及び第2音響信号、 SA,SB 調整された第1及び第2音響信号、 SX,SY 第1及び第2ディジタル加算信号、 Sx,Sy 第1及び第2スピーカ駆動信号、 Pa,Pb 打消しポイント(クロストークがゼロの聴
取点)、 A,B クロストーク低減(−10dB)領域、 Xi,|Xi| ディジタル入力音響信号及びその時間
平均値、 Xo,|Xo| 調整された音響信号及びその時間平均
値、 T,Tn,Tm 無信号閾値、騒音閾値及び音声閾値、 G,dG ゲイン及びゲイン増分、 Ad 会話時出力目標値、 Am 音楽時出力目標値。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04S 1/00 G10L 3/00 531N (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04S 7/00 G10L 15/10 H04N 5/45 H04N 5/60 H04S 1/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力される複数の音響信号のレベルを聴感
    上一致するように調整するレベル調整手段と、 レベル調整された複数の音響信号を制御して複数のスピ
    ーカ駆動信号を生成する指向性制御手段と、 生成されたスピーカ駆動信号で駆動されることにより、
    各音響信号に基づく音を複数の異なる方向の聴取エリア
    に放射する複数のスピーカと、 入力される各音響信号が少なくとも音声信号であるか音
    楽信号であるかを判別する入力信号判別手段とを具備
    し、 前記レベル調整手段は、音声信号と判別された音響信号
    のレベルを、音楽信号と判別された音響信号のレベルよ
    りも大きくなるように調整を行うことを特徴とする指向
    性拡声装置。
  2. 【請求項2】入力される複数の音響信号のレベルを聴感
    上一致するように調整するレベル調整手段と、 レベル調整された複数の音響信号を制御して複数のスピ
    ーカ駆動信号を生成する指向性制御手段と、 生成されたスピーカ駆動信号で駆動されることにより、
    各音響信号に基づく音を複数の異なる方向の聴取エリア
    に放射する複数のスピーカと、 レベル調整された所定時間の各音響信号について、前サ
    ンプル値に遡るに従って指数関数的に減衰する重みを付
    けて平均値を検出するレベル検出手段とを具備し、 前記レベル調整手段は、検出された平均値に基づいて、
    対応する音響信号のレベル調整動作を行うことを特徴と
    する指向性拡声装置。
  3. 【請求項3】入力される複数の音響信号のレベルを聴感
    上一致するように調整するレベル調整手段と、 レベル調整された複数の音響信号を制御して複数のスピ
    ーカ駆動信号を生成する指向性制御手段と、 生成されたスピーカ駆動信号で駆動されることにより、
    各音響信号に基づく音を複数の異なる方向の聴取エリア
    に放射する複数のスピーカとを具備し、 前記レベル調整手段は、入力される各音響信号に対し
    て、周波数帯域の狭い方の音響信号に適合した周波数ゲ
    イン特性を有することを特徴とする指向性拡声装置。
  4. 【請求項4】さらに、 レベル調整された所定時間の各音響信号について、前サ
    ンプル値に遡るに従って指数関数的に減衰する重みを付
    けて平均値を検出するレベル検出手段を貝備し、 前記レベル調整手段は、検出された平均値に基づいて、
    対応する音響信号のレベル調整動作を行うことを特徴と
    する請求項1又は3に記載の指向性拡声装置。
  5. 【請求項5】さらに、 入力される各音響信号が無音乃至微小音量状態であるこ
    とを検出する無音検出手段を具備し、 前記レベル調整手段は、この無音乃至微小音量状態の検
    出に応じて、対応する音響信号のレベル調整動作を停止
    することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記
    載の指向性拡声装置。
  6. 【請求項6】前記レベル調整手段は、無音乃至微小音量
    の状態から非検出に移行したとき、所定時間の間、対応
    する音響信号のレベルを増大させることを特徴とする請
    求項5に記載の指向性拡声装置。
  7. 【請求項7】さらに、 2つの画面を表示する表示手段を具備し、 入力される音響信号のうち、一方の音響信号は一方の画
    面に対応し、他方の音響信号は他方の画面に対応するこ
    とを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の指
    向性拡声装置。
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