JP3473103B2 - 弾性材または軟質材の除去加工方法 - Google Patents

弾性材または軟質材の除去加工方法

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JP3473103B2 JP10049194A JP10049194A JP3473103B2 JP 3473103 B2 JP3473103 B2 JP 3473103B2 JP 10049194 A JP10049194 A JP 10049194A JP 10049194 A JP10049194 A JP 10049194A JP 3473103 B2 JP3473103 B2 JP 3473103B2
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茂 大柳
龍行 花沢
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、弾性材または軟質材の
除去加工方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、ゴム状で弾性または軟らかさを持
った素材は、防振、緩衝、防音など目的の多様化により
多くの種類のものが作られている。これら種々の素材は
使用目的において、任意の形状にする場合、型取りをし
て製作する方法が行われている。その際、アンダーカッ
ト部が生じる被加工品の型取り、および緻密な形状が必
要な被加工品を得ることが困難である。また刃物、砥石
などの工具を用いた常温での除去加工においては、被加
工品に裂け、むしれなどが生じて形状精度、寸法精度、
表面粗さなどについて高精度な加工結果を得ることが困
難であるという問題があった。 【0003】前記問題を解決するために、特開昭61−
30344号公報には、ゴムに液体窒素を噴霧し、表面
を冷却硬化して切削加工を行う方法が開示されている。
しかし、前記の方法では、表面を硬化させて加工を進行
するので内部は柔らかく加工する際の力により被加工品
に歪みが生じて精度を向上させることが困難である、液
体窒素を噴霧することで被加工品の表面に霜が多量に付
着するので加工開始点を見つけることが難しい、作業域
に液体窒素を噴霧するための配管が露出することで除去
加工する際に加工工具またはこれを保持する駆動部に接
触するという危険性がある、高額な液体窒素を用いてい
る、など多くの問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、被加工品全
体を冷却、硬化させて加工を進行させることで、前記従
来の問題を解消し、精度の高い加工品を作業域内での接
触の危険を防止して、安価に除去加工ができる方法を提
供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、弾性材または軟質材を有する被加工品を保
持手段により加工台に固定すると共に、冷凍装置により
冷却し内部まで硬化させた状態で除去加工を行う前記
保持手段として水膜を前記冷凍装置により氷結させて前
記加工台に固定し、前記水膜の形成を、前記加工台の上
に何も乗せない状態で前記冷凍装置により前記加工台の
上を氷点下にし、しばらく放置させ大気中の水分により
前記加工台の上に霜が付着するのを待ち、付着したら再
び前記冷凍装置を調整して前記加工台の上を常温に上昇
させ霜を解かして行うことを特徴とする除去加工方法、
という技術的手段を採用するものである。 【0006】 【作用】請求項1の発明によれば、弾性材または軟質材
を冷凍装置で冷却、硬化させて除去加工を行うので、被
加工品の裂け、むしれなどの発生が無く、かつ加工の際
の歪みの原因となる加工熱をおさえることで、寸法精
度、形状精度、表面粗さなどの高い精度を平面的な2次
元加工品に限らず、自由な曲面を持つ3次元的な構造体
部品に対して得ることができる。また、作業域内での配
管などとの接触の危険を防止した安全な作業を、液体窒
素を用いず安価に行うことができる。 【0007】また、被加工品を保持による歪み無く簡単
で安価に保持することができる。更に、非常に薄い氷の
皮膜ができるため、被加工品の浮き上がり量は非常に少
なく、薄い氷の皮膜の方が密着性が高い。 【0008】 【実施例】図1は本発明の第1実施例であって平面的な
被加工品を冷凍装置により冷却、硬化させて除去加工を
行う際の機器の配列例を示す正面図である。図1におい
て弾性材または軟質材1と硬質材2で構成され一体とな
った被加工品3の上平面部を平滑に研削で除去加工を行
う時、被加工品3を積載保持するためのテーブル5は、
被加工品3の中で除去されない部位から冷却が行える形
をしており、その内部には冷却機能を持ったペルチエ素
子等の冷凍機4を有している。ここで、テーブル5また
は補助テーブル6は加工台をなしている。そして冷凍機
4に流れる電気量、冷媒量などを変化させ被加工品3の
冷却、硬化の温度を調整するための制御ユニット8から
成る。 【0009】またテーブル5は、被加工品3に求められ
る精度に合わせた平滑な面が必要な場合、テーブル5の
上面を研削加工し平滑に整える必要があるが、多種多様
な被加工品3に対処する都度加工をしているとテーブル
5が薄くなってしまい、冷凍機4が露出する危険があ
る。これを防止するため補助テーブル6をテーブル5の
上に設置し、補助テーブル6上面を加工し必要な平滑面
を得ている。 【0010】除去加工の方法は、まず補助テーブル6の
上に被加工品3を乗せて保持手段により固定を行うが、
その固定方法として、補助テーブル6の表面に固定の媒
体となる水7を薄く噴霧し、その上に被加工品3を乗
せ、制御ユニット8により温度制御を行い、固定の媒体
となる水7を氷結させる方法がある。すなわち水膜7が
氷結して保持手段を形成する。しかし、水が凍る際の膨
張現象により10μmほど被加工品3が浮き上がるの
で、加工前に被加工品3の厚み、および冷凍、硬化させ
た時の浮き上がり量をあらかじめ測定しておき加工途中
または最終仕上げの寸法確認時に、注意する必要があ
る。 【0011】また補助テーブル6の上に何も乗せない状
態で制御ユニット8により補助テーブル6の上を氷点下
にし、しばらく放置させ大気中の水分により補助テーブ
ル6の上に霜が付着するのを待ち、付着したら再び制御
ユニット8を調整して補助テーブル6の上を常温に上昇
させ霜を解かし、薄い水の膜を残す。その後に被加工品
3を乗せ、制御ユニット8を調整し水7を氷結させる方
法がある。この方法の方が被加工品3の保持に時間は要
するが、非常に薄い氷の皮膜ができるため、被加工品3
の浮き上がり量は非常に少なく、薄い氷の皮膜の方が密
着性が高い。 【0012】この他に補助テーブル6の上に被加工品3
を乗せてから水7を薄く噴霧し水7を氷結させる方法が
考えられるが、被加工品3の浮き上がりはないが全体を
氷が覆うため、除去加工した際に氷が割れやすく、被加
工品3が飛散し易いので望ましくない。このような方法
で被加工品3を固定し、さらに弾性材または軟質材1が
硬化する領域まで冷却を行う。 【0013】弾性材または軟質材1全体が硬化した状態
にて、加工工具9により除去加工を開始する。この手順
で除去加工を完了させ必要形状が得られた後、制御ユニ
ット8により冷凍機4に流れる電気、冷媒などを変化さ
せて温度制御を行い、固定の媒体となる水7が氷解し、
かつ弾性材または軟質材1が軟化する領域まで温度上昇
させて、被加工品3を取り外す。 【0014】そのほか、加工の際の注意点として、温度
変化による被加工品3の熱収縮および膨張から起こる寸
法変化を考慮しなければならない。また冷却、硬化させ
た状態で、直ちに除去加工を行えば良いが、そのままの
状態で放置すると、液体窒素を表面に噴霧する方法とは
比較にならない程ではあるが、微量な霜が付着する。こ
れを防止するためには加工領域をドライな状態に保つこ
とが必要になる。 【0015】また、被加工品3の保持手段として水7の
氷結以外に、真空吸着による方法を用いても良い。この
方法によれば水の膨張現象による被加工品3の浮き上が
りが防止できる。図2は本発明の第2実施例であって異
形状をした複雑な被加工品を冷凍装置により冷却、硬化
して除去加工を行う際の機器の配置例を示す正面図であ
る。 【0016】第2実施例では、曲面形状をした複雑な弾
性材または軟質材1と硬質材2で構成され一体となった
被加工品3を3次元的に切削で除去加工を行う例を示
す。図2において第1実施例に対応する部材には同じ符
号を付して説明を省略する。この場合も、テーブル5の
上に取付けられている補助テーブル6は冷却、硬化を効
率良く行い、かつ保持する力を大きくする目的から、除
去されない部位から冷却を行い、接触面積を広く取るこ
とができる形状をしている。保持手段としてこの被加工
品3を包み込むように保持する形を用いれば被加工品3
を固定するための保持手段として水7を用いる必要は少
なくなり浮き上がりが防止できる。この方法で更に冷却
効果を高めるために、テーブル5と補助テーブル6は分
離ではなく一体化しても良い。 【0017】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば弾性材または軟質材を有する被加工品を、裂け、
むしれなどの発生が無く、かつ加工の際の歪みの原因と
なる加工熱をおさえ、寸法精度、形状精度、表面粗さな
どを高い精度で平面的な2次元加工品に限らず自由な曲
面を持つ3次元的な構造体部品に対して得ることができ
る。 【0018】また、加工箇所に霜の付着が少ないため加
工開始点を確認しやすい、作業域内での配管などとの接
触の危険を防止した安全な作業ができる、液体窒素を用
いず安価に加工を行うことができる、という効果が得ら
れる。さらに、被加工品の加工台への固定を歪み無く、
簡単で強固にすることが出来、被加工品に固定による傷
がつかないという効果が得られる。 【0019】また、水が凍る際の膨張現象による被加工
品の浮き上がりを極めて少なくできるので加工精度が大
幅に改善されると共に被加工品と加工台との密着性が高
くなる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施例であって平面的な被加工品
を冷凍装置により冷却、硬化して除去加工を行う際の機
器の配置例を示す正面図である。 【図2】本発明の第2実施例であって異形状をした複雑
な被加工品を冷凍装置により冷却、硬化して除去加工を
行う際の機器の配置例を示す正面図である。 【符号の説明】 1 弾性材または軟質材 2 硬質材 3 弾性材または軟質材と硬質材とが一体となった被加
工品 4 冷凍装置をなす冷凍機 5 加工台をなすテーブル 6 加工台をなす補助テーブル 7 固定の媒体となる水 8 制御ユニット 9 加工工具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花沢 龍行 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 横井 政雄 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−188036(JP,A) 特開 昭62−162437(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 3/08 B24B 1/00 B24B 41/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 弾性材または軟質材を有する被加工品を
    保持手段により加工台に固定すると共に、冷凍装置によ
    り冷却し内部まで硬化させた状態で除去加工を行う除去
    加工方法であって、 前記保持手段は水膜を前記冷凍装置により氷結させて前
    記加工台に固定するものであり、前記水膜の形成を、前
    記加工台の上に何も乗せない状態で前記冷凍装置により
    前記加工台の上を氷点下にし、しばらく放置させ大気中
    の水分により前記加工台の上に霜が付着するのを待ち、
    付着したら再び前記冷凍装置を調整して前記加工台の上
    を常温に上昇させ霜を解かして行う ことを特徴とする除
    去加工方法。
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