JP3470820B2 - 自転車用変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、歯数の異なる複数枚の
フロントホィールと歯数の異なる複数枚のリアギヤとを
有し、前記フロントホィールとリアギヤとにわたって巻
き掛けたチェーンに作用させて変速するフロントホィー
ル変速用のフロントディレーラとリアギヤ変速用のリア
ディレーラとを有するとともに、これら両ディレーラを
一本の変速用レバーで操作すべく構成した自転車用変速
装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】上記自転車用変速装置として、従来、例
えばＵＳＰ．４１９４４０８号に示されるものがあっ
た。すなわち、２枚のフロントホィールにフロントディ
レーラによってチェンを掛け換えるように、かつ、５枚
のリアギヤにリアディレーラによってチェンを掛け換え
るように構成するとともに、一本の変速レバーによって
回動操作する一対の変速カム、この変速カムのうちの一
方により揺動操作されてフロントディレーラからの変速
ワイヤを引っ張り操作したり緩め操作する揺動リンク、
他方の変速カムにより揺動操作されてリアディレーラか
らの変速ワイヤを引っ張り操作したり緩め操作する揺動
リンクを備え、一本の変速レバーを揺動操作すると、一
対の変速カムの作用によりフロントディレーラとリアデ
ィレーラとの一方または両方が作動してフロントホィー
ルとリアギヤの一方または両方でチェンが掛け換わり、
１０段階の変速段に変速するようになっている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】従来、変速操作をする
と、チェンが小径側のフロントホィールから大径側のフ
ロントホィールに掛け換わるとともに最小のリアギヤか
ら最大のリアギヤに掛け換わるとか、大径側のフロント
ホィールから小径側のフロントホィールに掛け換わると
ともに最大のリアギヤから最小のリアギヤに掛け換わる
場合があり、すなわち、チェンがフロント側とリア側の
両側で掛け換わる場合があり、実際の変速が完了するの
に比較的時間が掛かることがあった。なぜなら、チェン
がフロント側とリア側で同時に掛け換わるとチェン外れ
が発生しやすくなる。このため、変速に伴うチェン外れ
を防止できるようにするには、チェンがフロント側で掛
け換わった後にリア側で掛け換わるなど、フロント側で
チェンが掛け換わるタイミングと、リア側でチェンが掛
け換わるタイミングとを相違させる必要があるからであ
る。本発明の目的は、フロントホィールとリアギヤの組
み合わせによって得られる全ての変速段が操作簡単に現
出できるばかりではなく、いずれの変速段に切り換える
場合にも迅速に変速する自転車用変速装置を提供するこ
とにある。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明による自転車用変
速装置にあっては、目的達成のために、歯数の異なる複
数枚のフロントホィールと歯数の異なる複数枚のリアギ
ヤとを有し、前記フロントホィールとリアギヤとにわた
って巻き掛けたチェーンに作用させて変速するフロント
ホィール変速用のフロントディレーラとリアギヤ変速用
のリアディレーラとを有するとともに、これら両ディレ
ーラを一本の変速用レバーで操作すべく構成したものに
おいて、前記複数枚のフロントホィールと複数枚のリア
ギヤとの組み合わせによって得られる全ての変速段を現
出し、かつ、変速の際には、前記フロントディレーラと
リアディレーラのいずれか一方のみを操作して変速する
変速連動手段を介して、前記変速用レバーと両ディレー
ラとを連動してあることを特徴とする。そして、変速連
動手段は、変速用レバーが増速側に繰り返し変速操作さ
れた際には、フロントディレーラの操作を停止するとと
もにリアディレーラのみを変速操作してチェンを順次最
小径側のリアギヤに掛け換え、チェンが最小径のリアギ
ヤに掛かると、リアディレーラの操作を停止するととも
にフロントディレーラのみを変速操作してチェンを順次
最大径側のフロントホィールに掛け換える。また、変速
用レバーが減速側に繰り返し変速操作された際には、フ
ロントディレーラの操作を停止するとともにリアディレ
ーラのみを変速操作してチェンを順次最大径側のリアギ
ヤに掛け換え、チェンが最大径のリアギヤに掛かると、
リアディレーラの操作を停止するとともにフロントディ
レーラのみを変速操作してチェンを順次最小径側のフロ
ントホィールに掛け換える。 【０００５】 【作用】一本の変速レバーを操作すると、変速連動手段
による変速レバーと両ディレーラの連動のために、フロ
ントディレーラのみが作動してフロント側のみでチェン
が掛け換わるか、あるいは、リアディレーラのみが作動
してリア側のみでチェンが掛け換わり、レバー操作に対
応した所定の変速段に切り換わる。レバー操作に対応す
る変速段としては、変速連動手段の作用により、複数枚
のフロントホィールと複数枚のリアギヤとの組み合わせ
によって得られる全ての変速段が現出される。 【０００６】 【発明の効果】一本の変速レバーを操作するだけの簡単
な変速操作により、複数枚のフロントホィールと複数枚
のリアギヤとの組み合わせによって得られる全ての変速
段に変速できることから、走行負荷の微妙な変化に応じ
て微妙に速度調節するとか、すべての変速段を無駄なく
使用して楽に走行できるとともに、操作面でも楽であり
ながら、いずれの変速段を現出する場合でも、チェンが
フロント側かリア側のいずれか一方のみで掛け換わるだ
けで迅速に変速が完了することにより、チェン外れが発
生しにくく、かつ、常に応答性よく変速するように変速
性の優れたものになった。 【０００７】 【実施例】図１に示すように、自転車用車体フレーム１
のボトムブラケットに回動可能に取り付けて、クランク
２によって回動駆動するように構成した歯数の異なる３
枚のフロントホィールＦ１，Ｆ２，Ｆ３、前記自転車用
車体フレーム１のシートチューブに締め付けバンド３ａ
により取り付けて、チェンガイド３ｂによりチェン４を
前記フロントホィールＦ１〜Ｆ３に掛け換えるように構
成したフロントディレーラ３、自転車用車体フレーム１
のリヤフォークエンドに回動可能に取り付けるととも
に、前記フロントホィールＦ１，Ｆ２，Ｆ３によりチェ
ン４を介して回動駆動されて自転車用後輪を駆動するよ
うに構成した歯数の異なる７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７、
自転車用車体フレーム１のリヤフォークエンドにブラケ
ット体５ａにより取り付けて、ガイドプーリ５ｂにより
チェン４を前記リヤギアＧ１〜Ｇ７に掛け換えるように
構成したリアディレーラ５のそれぞれにより、自転車用
変速装置を構成してある。 【０００８】この変速装置の変速操作を可能にするに、
図１に示すように、フロントディレーラ３を、車体フレ
ーム１のシートチューブに取り付けるように構成したフ
ロント電動変速機構２０によって操作するように構成
し、リアディレーラ５を、車体フレーム１のバックフォ
ークに取り付けるように構成したリア電動変速機構３０
によって操作するように構成し、前記フロント電動変速
機構２０およびリア電動変速機構３０を制御するように
構成して前記フロント電動変速機構２０のケース２１に
内装した変速制御器４０を、ハンドルバー８の握り部８
ａの付近にブレーキレバー７と一挙に取り付けられるよ
うにブレーキレバー用ブラケット９に装着した一本の変
速レバー１０に連係させることにより、フロントディレ
ーラ３とリアディレーラ５のいずれもを一本の変速レバ
ー１０に連動させてある。 【０００９】フロント電動変速機構２０は、図１に示す
如く車体フレーム１のシートチューブに固定するように
構成したケース２１、このケース２１に内装した、図３
に示す如き巻き取り体２２、減速機構２３、正逆転駆動
可能な電動モータ２４、駆動回路２５、電池電源２６、
巻き取り体２２の回転位置を検出し、この検出結果をフ
ロント側の変速段の検出結果として、かつ、電気信号と
して取り出す回転ポテンショメータ２７によって構成し
てある。そして、前記変速制御器４０から所定の信号が
入ると、駆動回路２５が電動モータ２４を正回転または
逆回転方向に駆動制御する。すると、電動モータ２４の
回動力が減速機構２３により減速して巻き取り体２２に
伝達され、巻き取り体２２が変速ワイヤ６ａを巻き取り
あるいは繰り出し操作する。巻き取り体２２が変速ワイ
ヤ６ａの巻き取り操作をすると、変速ワイヤ６ａによる
引っ張り力により、フロントディレーラ３のチェンガイ
ド３ｂとバンド３ａとを連結している揺動リンク３ｃが
バンド３ａに対して車体内方側に揺動してチェンガイド
３ｂがチェン４に押圧作用し、チェン４がフロントホィ
ールＦ１〜Ｆ３の大径側から小径側に掛け換わる。巻き
取り体２２が変速ワイヤ６ａの繰り出し操作をすると、
フロントディレーラ３が備えるリターンばね（図示せ
ず）による操作力により、揺動リンク３ｃがバンド３ａ
に対して車体外方側に揺動してチェンガイド３ｂがチェ
ン４に押圧作用し、チェン４がフロントホィールＦ１〜
Ｆ３の小径側から大径側に掛け換わる。チェン４が所定
のフロントホィールに掛け換わって制御目標の変速段に
なると、ポテンショメータ２７からの検出結果に基いて
変速制御器４０が駆動回路２５に送信し、駆動回路２５
が電動モータ２４を停止操作して巻き取り体２２による
変速ワイヤ６ａの巻き取りまたは繰り出しを停止操作す
る。すると、変速ワイヤ６ａおよびリターンばねによる
操作が停止してチェンガイド３ｂのチェン掛け換え作動
が停止する。したがって、フロント電動変速機構２０
は、変速制御器４０からの信号に基づいて変速ワイヤ６
ａを介してフロントディレーラ３を操作する。 【００１０】リア電動変速機構３０は、フロント電動変
速機構２０と同様に、図１に示す如く車体フレーム１の
バックフォークに固定するように構成したケース３１、
このケース３１に内装した図３に示す如き巻き取り体３
２、減速機構３３、正逆転駆動可能な電動モータ３４、
駆動回路３５、電池電源３６、巻き取り体３２の回転位
置を検出し、この検出結果をフロント側の変速段の検出
結果として、かつ、電気信号として取り出す回転ポテン
ショメータ３７によって構成してある。そして、前記変
速制御器４０から所定の信号が入ると、駆動回路３５が
電動モータ３４を駆動制御して巻き取り体３２が変速ワ
イヤ６ｂの巻き取り操作あるいは繰り出し操作をする。
変速ワイヤ６ｂの巻き取り操作をすると、変速ワイヤ６
ｂによる引っ張り力により、リアディレーラ５のブラケ
ット体５ａと、ガイドプーリ５ｂ用の支持体５ｃとを連
結している揺動リンク５ｄがブラケット体５ａに対して
車体内方側に揺動してガイドプーリ５ｂがチェン４に押
圧作用し、チェン４がリアギヤＧ１〜Ｇ７の小径側から
大径側に掛け換わる。巻き取り体３２が変速ワイヤ６ｂ
の繰り出し操作をすると、リアディレーラ５が備えるリ
ターンばね（図示せず）による操作力により、揺動リン
ク５ｄがブラケット体５ａに対して車体外方側に揺動し
てガイドプーリ５ｂがチェン４に押圧作用し、チェン４
がリアギヤＧ１〜Ｇ７の大径側から小径側に掛け換わ
る。チェン４が所定のリアギヤに掛け換わって制御目標
の変速段になると、ポテンショメータ３７からの検出結
果に基いて変速制御器４０が駆動回路３５に送信し、駆
動回路３５が電動モータ３４を停止制御して巻き取り体
３２による変速ワイヤ６ｂの巻き取りまたは繰り出し操
作を停止する。すると、変速ワイヤ６ｂおよびリターン
ばねによる操作が停止してガイドプーリ５ｂのチェン掛
け換え作動が停止する。したがって、リア電動変速機構
３０は、変速制御器４０からの信号に基づいて変速ワイ
ヤ６ｂを介してリアディレーラ３を操作する。 【００１１】前記変速レバー１０は、図２に示す如くそ
の基部１０ａを前記レバーブラケット９のレバー支持部
９ａに回動可能に取り付けることにより、ハンドルバー
８の握り部８ａを支持したままの手によって軸芯１１ま
わりで揺動操作できるように、かつ、レバー基部１０ａ
に備えてあるスイッチ操作部１０ｂが前記レバーブラケ
ット９の備えるストッパー部９ｂに接当する増速位置Ｕ
と、前記スイッチ操作部１０ｂが前記レバーブラケット
９の備えるストッパー部９ｃに接当する減速位置Ｄとに
中立位置Ｎを挟んで揺動操作するようにしてある。 【００１２】変速レバー１０の基部１０ａの一側面側に
リターンばね１２を配置し、レバー基部１０ａにばね押
し部１０ｃを備えるとともに、前記レバー支持部９ａに
ばね受け部９ｄを備えてある。変速レバー１０を増速位
置Ｕに操作する際には、前記ばね受け部９ｄがリターン
ばね１２の一端側を受け止め支持するとともに、前記ば
ね押し部１０ｃがリターンばね１２の他端側をレバー移
動側に押し操作することにより、リターばね１２が弾性
変形して変速レバー１０を中立位置Ｎに揺動付勢する。
変速レバー１０を減速位置Ｄに操作する際には、前記ば
ね受け部９ｄがリターンばね１２の他端側を受け止め支
持するとともに、前記ばね押し部１０ｃがリターンばね
１２の一端側を変速レバー移動側に押し操作することに
より、リターンばね１２が弾性変形して変速レバー１０
を中立位置Ｎに揺動付勢する。すなわち、変速レバー１
０をリターばね１２によって中立位置Ｎに保持できるよ
うにし、かつ、増速位置Ｕや減速位置Ｇに操作した変速
レバー１０はリターンばね１２によって中立位置Ｎに自
動復帰するようにしてある。 【００１３】前記レバー支持部９ａに一対の検出スイッ
チ１３ａ，１３ｂを支持させるとともに、変速レバー１
０を増速位置Ｕに操作すると、前記スイッチ操作部１０
ｂが一方の検出スイッチ１３ａを押圧操作し、変速レバ
ー１０を減速位置Ｕに操作すると、前記スイッチ操作部
１０ｂが他方の検出スイッチ１３ｂを押圧操作するよう
構成してある。すなわち、増速側への変速操作が行われ
ると、これを一方の検出スイッチ１３ａによって検出す
るとともに電気信号として変速制御器４０に送信し、減
速側への変速操作が行われると、これを他方の検出スイ
ッチ１３ｂによって検出するとともに電気信号として変
速制御器４０に送信するようにしてある。 【００１４】変速制御器４０は、図４に示す如く制御部
４１、変速操作検出手段４２、フロント変速段検出手段
４３、リア変速段検出手段４４、制御変速段設定手段４
５を備えるようにマイクロコンピュータによって構成し
てある。変速レバー１０を増速位置Ｕまたは減速位置Ｎ
に操作すると、前記検出スイッチ１３ａ，１３ｂからの
信号を制御部４１と変速操作検出手段４２とによって処
理し、変速操作検出手段４２により、変速操作された方
向が増速側と減速側のいずれであるかを検出する。さら
に、前記ポテンショメータ２７，３７からの信号を制御
部４１とフロント変速段検出手段４３とリア変速段検出
手段４４によって処理し、フロント変速段検出手段４３
によってフロント側が高速Ｔ、中速Ｍ、低速Ｌのうちの
いずれの変速段であるかを検出し、リア変速段検出手段
４４によってリア側が第１速〜第７速のうちのいずれの
変速段にあるかを検出し、制御変速段設定手段４５が、
変速操作検出手段４２による検出変速操作方向と、フロ
ント変速段検出手段４３によるフロント側の検出変速段
と、リア変速段検出手段４４によるリア側の検出変速段
と、予め設定入力してある変速パターンとに基づいて切
り換え操作すべき制御目標変速段を設定する。制御目標
変速段を設定するに当たり、図５に示す如く３枚のフロ
ントホィールＦ１〜Ｆ３と、７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７
との組み合わせによって得られる第１段〜第２１段の変
速段を備える変速パターンを予め設定入力してあり、第
１段から第２１段のうちのいずれかの変速段を制御目標
変速段として設定するように、かつ、変速レバー１０を
増速位置Ｕに操作した場合には、変速操作前に現出され
ていた変速段から実線の矢印方向に一段階変化する変速
段を制御目標変速段として設定し、変速レバー１０を減
速位置Ｄに操作した場合には、変速操作前に現出されて
いた変速段から破線の矢印方向に一段階変化する変速段
を制御目標変速段として設定する。そして、制御部４１
が制御変速段設定手段４５によって設定された制御目標
変速段を現出する操作位置にフロントディレーラ３およ
びリアディレーラ５を移動あるいは停止操作させるべき
信号を駆動回路２５および３５に送信する。 【００１５】尚、図５に示す低速Ｌ、中速Ｍ、高速Ｔは
フロント側の変速段であり、低速Ｌはチェン４がフロン
トホィールＦ１〜Ｆ３のうちの最小径のフロントホィー
ルＦ３に掛かる変速段で、中速Ｌはチェン４が中間径の
フロントホィールＦ２に掛かる変速段で、高速Ｔはチェ
ン４が最大径のフロントホィールＦ１に掛かる変速段で
ある。第１速〜第７速は、リア側の変速段であり、第１
速はチェン４がリアギヤＧ１〜７のうちの最大径のリア
ギヤＧ１に掛かる変速段で、第２速はチェン４が前記リ
アギヤＧ１の次に外径が大きいリアギヤＧ２に掛かる変
速段で、第３速はチェン４が前記リアギヤＧ２の次に外
径が大きいリアギヤＧ３に掛かる変速段で、第４速はチ
ェン４が前記リアギヤＧ３の次に外径が大きいリアギヤ
Ｇ４に掛かる変速段で、第５速はチェン４が前記リアギ
ヤＧ４の次に外径が大きいリアギヤＧ５に掛かる変速段
で、第６速はチェン４が前記リアギヤＧ５の次に外径が
大きいリアギヤＧ６に掛かる変速段で、第７速はチェン
４が最小径のリアギヤＧ７に掛かる変速段である。そし
て、第１段〜第２１段は、フロント側とリア側との組み
合わせによって得られる変速装置全体としての変速段で
あり、そのうちの第１段〜第７段はフロント側が低速Ｌ
で、リア側が第１速〜第７速のいずれかにある時の変速
段で、第８段〜第１４段はフロント側が中速Ｍで、リア
側が第１速〜第７速のいずれかにある時の変速段で、第
１５段〜第２１段はフロント側が高速Ｔで、リア側が第
１速〜第７速のいずれかにある時の変速段である。たと
えば、第１段は、フロント側が低速Ｌでリア側が第１速
にある変速段である。第７段は、フロント側が低速Ｌで
リア側が第７速にある変速段である。第８段は、フロン
ト側が中速Ｍでリア側が第１速にある変速段である。第
１４段は、フロント側が中速Ｍで、リア側が第７速にあ
る変速段である。第１５段は、フロント側が高速Ｔでリ
ア側が第１速にある変速段である。第２１段は、フロン
ト側が高速Ｔでリア側が第７速にある変速段である。 【００１６】要するに、変速レバー１０を増速位置Ｕに
操作すると、変速制御器４０が図５の如く制御目標変速
段の設定を行うとともに、フロント電動変速機構２０お
よびリア電動変速機構３０に所定の送信を行うことによ
り、フロントディレーラ３とリアディレーラ５のうち、
変速操作前にあった変速段によって決まるいずれか一方
のみを操作し、図５に示す如く変速操作前にあった変速
段から実線の矢印方向に一段階変化した変速段に切り換
わる。変速レバー１０を減速位置Ｕに操作すると、変速
制御器４０が図５の如く制御目標変速段の設定を行うと
ともに、フロント電動変速機構２０およびリア電動変速
機構３０に所定の送信を行うことにより、フロントディ
レーラ３とリアディレーラ５のうち、変速操作前にあっ
た変速段によって決まるいずれか一方のみを操作し、図
５に示す如く変速操作前にあった変速段から破線の矢印
方向に一段階変化した変速段に切り換わる。そして、全
体としては、変速制御器４０が図５の如く制御目標変速
段の設定を行うことにより、３枚のフロントホィールＦ
１〜Ｆ３と７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７との組み合わせに
よって得られる全ての変速段としての第１段〜第２１段
の２１段階の変速段に切り換わる。 【００１７】すなわち、チェン４が最小径のフロントホ
ィールＦ３と最大径のリアギヤＧ１に掛かった第１段に
ある状態から増速側に繰り返し変速操作すると、フロン
トディレーラ３が停止操作されてチェン４が最小径のフ
ロントホィールＦ３に掛かったままに保持され、リアデ
ィレーラ５だけが変速操作されてチェン４が順次最小側
のリアギアに掛け換わり、第１段から第７段に順位切り
換わって行く。チェン４が最小径のリアギヤＧ７に掛か
った第７段になってからさらに増速側に変速操作する
と、リアディレーラ５が停止操作されてチェン４が最小
径リアギヤＧ７に掛かったままに保持され、フロントデ
ィレーラ３だけが変速操作されてチェン４が順次最大径
側のフロントホィールに掛け換わり、第７段から第１４
段、第２１段に順次切り換わって行く。チェン４が中径
のフロントホィールＦ２と最大径のリアギヤＧ１に掛か
った第８段にある状態から増速側に繰り返し変速操作す
ると、フロントディレーラ３が停止操作されてチェン４
が中径のフロントホィールＦ２に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最小側のリアギアに掛け換わり、第８段から第１４
段に順位切り換わって行く。チェン４が最小径のリアギ
ヤＧ７に掛かった第１４段になってからさらに増速側に
変速操作すると、リアディレーラ５が停止操作されてチ
ェン４が最小径リアギヤＧ７に掛かったままに保持さ
れ、フロントディレーラ３だけが変速操作されてチェン
４が最大径のフロントホィールＦ１に掛け換わり、第１
４段から第２１段に切り換わる。チェン４が最大径のフ
ロントホィールＦ１と最大径のリアギヤＧ１に掛かった
第１５段にある状態から増速側に繰り返し変速操作する
と、フロントディレーラ３が停止操作されてチェン４が
最大径のフロントホィールＦ１に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最小側のリアギアに掛け換わり、第１５段から第２
１段に順位切り換わって行く。 【００１８】チェン４が最大径のフロントホィールＦ１
と最小径のリアギヤＧ７に掛かった第２１段の状態から
減速側に繰り返し変速操作すると、フロントディレーラ
３が停止操作されてチェン４が最大径のフロントホィー
ルＦ１に掛かったままに保持され、リアディレーラ５だ
けが変速操作されてチェン４が順次最大径側のリアギヤ
に掛け換わり、第２１段から第１５段に順次切り換わっ
て行く。第１５段になってからさらに減速操作すると、
リアディレーラ５が停止操作されてチェン４が最大径の
リアギヤＧ１に掛かったままに保持され、フロントディ
レーラ３だけが変速操作されてチェン４が順次最小径側
のフロントホィールに掛け換わり、第１５段から第８
段、第１段に順次切り換わって行く。チェン４が中径の
フロントホィールＦ２と最小径のリアギヤＧ７に掛かっ
た第１４段の状態から減速側に繰り返し変速操作する
と、フロントディレーラ５が停止操作されてチェン４が
中径のフロントホィールＦ２に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最大径側のリアギヤに掛け換わり、第１４段から第
８段に順次切り換わって行く。第８段になってからさら
に減速操作すると、リアディレーラ５が停止操作されて
チェン４が最大径のリアギヤＧ１に掛かったままに保持
され、フロントディレーラ３だけが変速操作されてチェ
ン４が最小径のフロントホィールＦ３に掛け換わり、第
８段から第１段に切り換わる。チェン４が最小径のフロ
ントホィールＦ３と最小径のリアギヤＧ７に掛かった第
７段の状態から減速側に繰り返し変速操作すると、フロ
ントディレーラ３が停止操作されてチェン４が最小径の
フロントホィールＦ３に掛かったままに保持され、リア
ディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が順次最大
径側のリアギヤに掛け換わり、第７段から第１段に順次
切り換わって行く。 【００１９】〔別実施例〕前記フロント電動変速機構や
リア電動変速機構に換え、自転車駆動用のチェンやギヤ
あるいはホィールの回動力をチェンガイドやガイドプー
リを作動させる動力に変換する機構を備えるとともに、
この変換機構を入り切り操作する制御機構を入り操作状
態と切り操作状態とに電気信号によって切り換え制御す
るように備え、所定の電気信号が入ると、チェンガイド
やガイドプーリが自転車走行用駆動力で作動してチェン
の掛け換えを行うように構成する変速機構を採用して実
施してもよい。また、変速レバーと両ディレーラとを電
気的に連動させる他、変速レバーの操作力をカム機構と
変速ワイヤとによってディレーラに操作力として伝達す
るように、変速レバーと両ディレーラとを機械式に連動
させ、変速レバーを操作する人為操作力のみによって両
ディレーラを作動させるように構成して実施してもよ
い。したがって、これら機械式や電気式の連動機構、お
よび、前記変速制御器４０を変速連動手段４０と総称す
る。 【００２０】フロントホィールとして３枚のホィールを
採用し、リアギヤとして７枚のギヤを採用し、全体とし
て２１段階に変速できるように変速装置を構成する他、
２枚など３枚以外のフロントホィールを採用し、６枚や
８枚など７枚以外のリヤギヤを採用し、２２段以上や２
１段未満の変速ができるように変速装置を構成する場合
にも本発明は適用できる。 【００２１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
フロントホィールと歯数の異なる複数枚のリアギヤとを
有し、前記フロントホィールとリアギヤとにわたって巻
き掛けたチェーンに作用させて変速するフロントホィー
ル変速用のフロントディレーラとリアギヤ変速用のリア
ディレーラとを有するとともに、これら両ディレーラを
一本の変速用レバーで操作すべく構成した自転車用変速
装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】上記自転車用変速装置として、従来、例
えばＵＳＰ．４１９４４０８号に示されるものがあっ
た。すなわち、２枚のフロントホィールにフロントディ
レーラによってチェンを掛け換えるように、かつ、５枚
のリアギヤにリアディレーラによってチェンを掛け換え
るように構成するとともに、一本の変速レバーによって
回動操作する一対の変速カム、この変速カムのうちの一
方により揺動操作されてフロントディレーラからの変速
ワイヤを引っ張り操作したり緩め操作する揺動リンク、
他方の変速カムにより揺動操作されてリアディレーラか
らの変速ワイヤを引っ張り操作したり緩め操作する揺動
リンクを備え、一本の変速レバーを揺動操作すると、一
対の変速カムの作用によりフロントディレーラとリアデ
ィレーラとの一方または両方が作動してフロントホィー
ルとリアギヤの一方または両方でチェンが掛け換わり、
１０段階の変速段に変速するようになっている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】従来、変速操作をする
と、チェンが小径側のフロントホィールから大径側のフ
ロントホィールに掛け換わるとともに最小のリアギヤか
ら最大のリアギヤに掛け換わるとか、大径側のフロント
ホィールから小径側のフロントホィールに掛け換わると
ともに最大のリアギヤから最小のリアギヤに掛け換わる
場合があり、すなわち、チェンがフロント側とリア側の
両側で掛け換わる場合があり、実際の変速が完了するの
に比較的時間が掛かることがあった。なぜなら、チェン
がフロント側とリア側で同時に掛け換わるとチェン外れ
が発生しやすくなる。このため、変速に伴うチェン外れ
を防止できるようにするには、チェンがフロント側で掛
け換わった後にリア側で掛け換わるなど、フロント側で
チェンが掛け換わるタイミングと、リア側でチェンが掛
け換わるタイミングとを相違させる必要があるからであ
る。本発明の目的は、フロントホィールとリアギヤの組
み合わせによって得られる全ての変速段が操作簡単に現
出できるばかりではなく、いずれの変速段に切り換える
場合にも迅速に変速する自転車用変速装置を提供するこ
とにある。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明による自転車用変
速装置にあっては、目的達成のために、歯数の異なる複
数枚のフロントホィールと歯数の異なる複数枚のリアギ
ヤとを有し、前記フロントホィールとリアギヤとにわた
って巻き掛けたチェーンに作用させて変速するフロント
ホィール変速用のフロントディレーラとリアギヤ変速用
のリアディレーラとを有するとともに、これら両ディレ
ーラを一本の変速用レバーで操作すべく構成したものに
おいて、前記複数枚のフロントホィールと複数枚のリア
ギヤとの組み合わせによって得られる全ての変速段を現
出し、かつ、変速の際には、前記フロントディレーラと
リアディレーラのいずれか一方のみを操作して変速する
変速連動手段を介して、前記変速用レバーと両ディレー
ラとを連動してあることを特徴とする。そして、変速連
動手段は、変速用レバーが増速側に繰り返し変速操作さ
れた際には、フロントディレーラの操作を停止するとと
もにリアディレーラのみを変速操作してチェンを順次最
小径側のリアギヤに掛け換え、チェンが最小径のリアギ
ヤに掛かると、リアディレーラの操作を停止するととも
にフロントディレーラのみを変速操作してチェンを順次
最大径側のフロントホィールに掛け換える。また、変速
用レバーが減速側に繰り返し変速操作された際には、フ
ロントディレーラの操作を停止するとともにリアディレ
ーラのみを変速操作してチェンを順次最大径側のリアギ
ヤに掛け換え、チェンが最大径のリアギヤに掛かると、
リアディレーラの操作を停止するとともにフロントディ
レーラのみを変速操作してチェンを順次最小径側のフロ
ントホィールに掛け換える。 【０００５】 【作用】一本の変速レバーを操作すると、変速連動手段
による変速レバーと両ディレーラの連動のために、フロ
ントディレーラのみが作動してフロント側のみでチェン
が掛け換わるか、あるいは、リアディレーラのみが作動
してリア側のみでチェンが掛け換わり、レバー操作に対
応した所定の変速段に切り換わる。レバー操作に対応す
る変速段としては、変速連動手段の作用により、複数枚
のフロントホィールと複数枚のリアギヤとの組み合わせ
によって得られる全ての変速段が現出される。 【０００６】 【発明の効果】一本の変速レバーを操作するだけの簡単
な変速操作により、複数枚のフロントホィールと複数枚
のリアギヤとの組み合わせによって得られる全ての変速
段に変速できることから、走行負荷の微妙な変化に応じ
て微妙に速度調節するとか、すべての変速段を無駄なく
使用して楽に走行できるとともに、操作面でも楽であり
ながら、いずれの変速段を現出する場合でも、チェンが
フロント側かリア側のいずれか一方のみで掛け換わるだ
けで迅速に変速が完了することにより、チェン外れが発
生しにくく、かつ、常に応答性よく変速するように変速
性の優れたものになった。 【０００７】 【実施例】図１に示すように、自転車用車体フレーム１
のボトムブラケットに回動可能に取り付けて、クランク
２によって回動駆動するように構成した歯数の異なる３
枚のフロントホィールＦ１，Ｆ２，Ｆ３、前記自転車用
車体フレーム１のシートチューブに締め付けバンド３ａ
により取り付けて、チェンガイド３ｂによりチェン４を
前記フロントホィールＦ１〜Ｆ３に掛け換えるように構
成したフロントディレーラ３、自転車用車体フレーム１
のリヤフォークエンドに回動可能に取り付けるととも
に、前記フロントホィールＦ１，Ｆ２，Ｆ３によりチェ
ン４を介して回動駆動されて自転車用後輪を駆動するよ
うに構成した歯数の異なる７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７、
自転車用車体フレーム１のリヤフォークエンドにブラケ
ット体５ａにより取り付けて、ガイドプーリ５ｂにより
チェン４を前記リヤギアＧ１〜Ｇ７に掛け換えるように
構成したリアディレーラ５のそれぞれにより、自転車用
変速装置を構成してある。 【０００８】この変速装置の変速操作を可能にするに、
図１に示すように、フロントディレーラ３を、車体フレ
ーム１のシートチューブに取り付けるように構成したフ
ロント電動変速機構２０によって操作するように構成
し、リアディレーラ５を、車体フレーム１のバックフォ
ークに取り付けるように構成したリア電動変速機構３０
によって操作するように構成し、前記フロント電動変速
機構２０およびリア電動変速機構３０を制御するように
構成して前記フロント電動変速機構２０のケース２１に
内装した変速制御器４０を、ハンドルバー８の握り部８
ａの付近にブレーキレバー７と一挙に取り付けられるよ
うにブレーキレバー用ブラケット９に装着した一本の変
速レバー１０に連係させることにより、フロントディレ
ーラ３とリアディレーラ５のいずれもを一本の変速レバ
ー１０に連動させてある。 【０００９】フロント電動変速機構２０は、図１に示す
如く車体フレーム１のシートチューブに固定するように
構成したケース２１、このケース２１に内装した、図３
に示す如き巻き取り体２２、減速機構２３、正逆転駆動
可能な電動モータ２４、駆動回路２５、電池電源２６、
巻き取り体２２の回転位置を検出し、この検出結果をフ
ロント側の変速段の検出結果として、かつ、電気信号と
して取り出す回転ポテンショメータ２７によって構成し
てある。そして、前記変速制御器４０から所定の信号が
入ると、駆動回路２５が電動モータ２４を正回転または
逆回転方向に駆動制御する。すると、電動モータ２４の
回動力が減速機構２３により減速して巻き取り体２２に
伝達され、巻き取り体２２が変速ワイヤ６ａを巻き取り
あるいは繰り出し操作する。巻き取り体２２が変速ワイ
ヤ６ａの巻き取り操作をすると、変速ワイヤ６ａによる
引っ張り力により、フロントディレーラ３のチェンガイ
ド３ｂとバンド３ａとを連結している揺動リンク３ｃが
バンド３ａに対して車体内方側に揺動してチェンガイド
３ｂがチェン４に押圧作用し、チェン４がフロントホィ
ールＦ１〜Ｆ３の大径側から小径側に掛け換わる。巻き
取り体２２が変速ワイヤ６ａの繰り出し操作をすると、
フロントディレーラ３が備えるリターンばね（図示せ
ず）による操作力により、揺動リンク３ｃがバンド３ａ
に対して車体外方側に揺動してチェンガイド３ｂがチェ
ン４に押圧作用し、チェン４がフロントホィールＦ１〜
Ｆ３の小径側から大径側に掛け換わる。チェン４が所定
のフロントホィールに掛け換わって制御目標の変速段に
なると、ポテンショメータ２７からの検出結果に基いて
変速制御器４０が駆動回路２５に送信し、駆動回路２５
が電動モータ２４を停止操作して巻き取り体２２による
変速ワイヤ６ａの巻き取りまたは繰り出しを停止操作す
る。すると、変速ワイヤ６ａおよびリターンばねによる
操作が停止してチェンガイド３ｂのチェン掛け換え作動
が停止する。したがって、フロント電動変速機構２０
は、変速制御器４０からの信号に基づいて変速ワイヤ６
ａを介してフロントディレーラ３を操作する。 【００１０】リア電動変速機構３０は、フロント電動変
速機構２０と同様に、図１に示す如く車体フレーム１の
バックフォークに固定するように構成したケース３１、
このケース３１に内装した図３に示す如き巻き取り体３
２、減速機構３３、正逆転駆動可能な電動モータ３４、
駆動回路３５、電池電源３６、巻き取り体３２の回転位
置を検出し、この検出結果をフロント側の変速段の検出
結果として、かつ、電気信号として取り出す回転ポテン
ショメータ３７によって構成してある。そして、前記変
速制御器４０から所定の信号が入ると、駆動回路３５が
電動モータ３４を駆動制御して巻き取り体３２が変速ワ
イヤ６ｂの巻き取り操作あるいは繰り出し操作をする。
変速ワイヤ６ｂの巻き取り操作をすると、変速ワイヤ６
ｂによる引っ張り力により、リアディレーラ５のブラケ
ット体５ａと、ガイドプーリ５ｂ用の支持体５ｃとを連
結している揺動リンク５ｄがブラケット体５ａに対して
車体内方側に揺動してガイドプーリ５ｂがチェン４に押
圧作用し、チェン４がリアギヤＧ１〜Ｇ７の小径側から
大径側に掛け換わる。巻き取り体３２が変速ワイヤ６ｂ
の繰り出し操作をすると、リアディレーラ５が備えるリ
ターンばね（図示せず）による操作力により、揺動リン
ク５ｄがブラケット体５ａに対して車体外方側に揺動し
てガイドプーリ５ｂがチェン４に押圧作用し、チェン４
がリアギヤＧ１〜Ｇ７の大径側から小径側に掛け換わ
る。チェン４が所定のリアギヤに掛け換わって制御目標
の変速段になると、ポテンショメータ３７からの検出結
果に基いて変速制御器４０が駆動回路３５に送信し、駆
動回路３５が電動モータ３４を停止制御して巻き取り体
３２による変速ワイヤ６ｂの巻き取りまたは繰り出し操
作を停止する。すると、変速ワイヤ６ｂおよびリターン
ばねによる操作が停止してガイドプーリ５ｂのチェン掛
け換え作動が停止する。したがって、リア電動変速機構
３０は、変速制御器４０からの信号に基づいて変速ワイ
ヤ６ｂを介してリアディレーラ３を操作する。 【００１１】前記変速レバー１０は、図２に示す如くそ
の基部１０ａを前記レバーブラケット９のレバー支持部
９ａに回動可能に取り付けることにより、ハンドルバー
８の握り部８ａを支持したままの手によって軸芯１１ま
わりで揺動操作できるように、かつ、レバー基部１０ａ
に備えてあるスイッチ操作部１０ｂが前記レバーブラケ
ット９の備えるストッパー部９ｂに接当する増速位置Ｕ
と、前記スイッチ操作部１０ｂが前記レバーブラケット
９の備えるストッパー部９ｃに接当する減速位置Ｄとに
中立位置Ｎを挟んで揺動操作するようにしてある。 【００１２】変速レバー１０の基部１０ａの一側面側に
リターンばね１２を配置し、レバー基部１０ａにばね押
し部１０ｃを備えるとともに、前記レバー支持部９ａに
ばね受け部９ｄを備えてある。変速レバー１０を増速位
置Ｕに操作する際には、前記ばね受け部９ｄがリターン
ばね１２の一端側を受け止め支持するとともに、前記ば
ね押し部１０ｃがリターンばね１２の他端側をレバー移
動側に押し操作することにより、リターばね１２が弾性
変形して変速レバー１０を中立位置Ｎに揺動付勢する。
変速レバー１０を減速位置Ｄに操作する際には、前記ば
ね受け部９ｄがリターンばね１２の他端側を受け止め支
持するとともに、前記ばね押し部１０ｃがリターンばね
１２の一端側を変速レバー移動側に押し操作することに
より、リターンばね１２が弾性変形して変速レバー１０
を中立位置Ｎに揺動付勢する。すなわち、変速レバー１
０をリターばね１２によって中立位置Ｎに保持できるよ
うにし、かつ、増速位置Ｕや減速位置Ｇに操作した変速
レバー１０はリターンばね１２によって中立位置Ｎに自
動復帰するようにしてある。 【００１３】前記レバー支持部９ａに一対の検出スイッ
チ１３ａ，１３ｂを支持させるとともに、変速レバー１
０を増速位置Ｕに操作すると、前記スイッチ操作部１０
ｂが一方の検出スイッチ１３ａを押圧操作し、変速レバ
ー１０を減速位置Ｕに操作すると、前記スイッチ操作部
１０ｂが他方の検出スイッチ１３ｂを押圧操作するよう
構成してある。すなわち、増速側への変速操作が行われ
ると、これを一方の検出スイッチ１３ａによって検出す
るとともに電気信号として変速制御器４０に送信し、減
速側への変速操作が行われると、これを他方の検出スイ
ッチ１３ｂによって検出するとともに電気信号として変
速制御器４０に送信するようにしてある。 【００１４】変速制御器４０は、図４に示す如く制御部
４１、変速操作検出手段４２、フロント変速段検出手段
４３、リア変速段検出手段４４、制御変速段設定手段４
５を備えるようにマイクロコンピュータによって構成し
てある。変速レバー１０を増速位置Ｕまたは減速位置Ｎ
に操作すると、前記検出スイッチ１３ａ，１３ｂからの
信号を制御部４１と変速操作検出手段４２とによって処
理し、変速操作検出手段４２により、変速操作された方
向が増速側と減速側のいずれであるかを検出する。さら
に、前記ポテンショメータ２７，３７からの信号を制御
部４１とフロント変速段検出手段４３とリア変速段検出
手段４４によって処理し、フロント変速段検出手段４３
によってフロント側が高速Ｔ、中速Ｍ、低速Ｌのうちの
いずれの変速段であるかを検出し、リア変速段検出手段
４４によってリア側が第１速〜第７速のうちのいずれの
変速段にあるかを検出し、制御変速段設定手段４５が、
変速操作検出手段４２による検出変速操作方向と、フロ
ント変速段検出手段４３によるフロント側の検出変速段
と、リア変速段検出手段４４によるリア側の検出変速段
と、予め設定入力してある変速パターンとに基づいて切
り換え操作すべき制御目標変速段を設定する。制御目標
変速段を設定するに当たり、図５に示す如く３枚のフロ
ントホィールＦ１〜Ｆ３と、７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７
との組み合わせによって得られる第１段〜第２１段の変
速段を備える変速パターンを予め設定入力してあり、第
１段から第２１段のうちのいずれかの変速段を制御目標
変速段として設定するように、かつ、変速レバー１０を
増速位置Ｕに操作した場合には、変速操作前に現出され
ていた変速段から実線の矢印方向に一段階変化する変速
段を制御目標変速段として設定し、変速レバー１０を減
速位置Ｄに操作した場合には、変速操作前に現出されて
いた変速段から破線の矢印方向に一段階変化する変速段
を制御目標変速段として設定する。そして、制御部４１
が制御変速段設定手段４５によって設定された制御目標
変速段を現出する操作位置にフロントディレーラ３およ
びリアディレーラ５を移動あるいは停止操作させるべき
信号を駆動回路２５および３５に送信する。 【００１５】尚、図５に示す低速Ｌ、中速Ｍ、高速Ｔは
フロント側の変速段であり、低速Ｌはチェン４がフロン
トホィールＦ１〜Ｆ３のうちの最小径のフロントホィー
ルＦ３に掛かる変速段で、中速Ｌはチェン４が中間径の
フロントホィールＦ２に掛かる変速段で、高速Ｔはチェ
ン４が最大径のフロントホィールＦ１に掛かる変速段で
ある。第１速〜第７速は、リア側の変速段であり、第１
速はチェン４がリアギヤＧ１〜７のうちの最大径のリア
ギヤＧ１に掛かる変速段で、第２速はチェン４が前記リ
アギヤＧ１の次に外径が大きいリアギヤＧ２に掛かる変
速段で、第３速はチェン４が前記リアギヤＧ２の次に外
径が大きいリアギヤＧ３に掛かる変速段で、第４速はチ
ェン４が前記リアギヤＧ３の次に外径が大きいリアギヤ
Ｇ４に掛かる変速段で、第５速はチェン４が前記リアギ
ヤＧ４の次に外径が大きいリアギヤＧ５に掛かる変速段
で、第６速はチェン４が前記リアギヤＧ５の次に外径が
大きいリアギヤＧ６に掛かる変速段で、第７速はチェン
４が最小径のリアギヤＧ７に掛かる変速段である。そし
て、第１段〜第２１段は、フロント側とリア側との組み
合わせによって得られる変速装置全体としての変速段で
あり、そのうちの第１段〜第７段はフロント側が低速Ｌ
で、リア側が第１速〜第７速のいずれかにある時の変速
段で、第８段〜第１４段はフロント側が中速Ｍで、リア
側が第１速〜第７速のいずれかにある時の変速段で、第
１５段〜第２１段はフロント側が高速Ｔで、リア側が第
１速〜第７速のいずれかにある時の変速段である。たと
えば、第１段は、フロント側が低速Ｌでリア側が第１速
にある変速段である。第７段は、フロント側が低速Ｌで
リア側が第７速にある変速段である。第８段は、フロン
ト側が中速Ｍでリア側が第１速にある変速段である。第
１４段は、フロント側が中速Ｍで、リア側が第７速にあ
る変速段である。第１５段は、フロント側が高速Ｔでリ
ア側が第１速にある変速段である。第２１段は、フロン
ト側が高速Ｔでリア側が第７速にある変速段である。 【００１６】要するに、変速レバー１０を増速位置Ｕに
操作すると、変速制御器４０が図５の如く制御目標変速
段の設定を行うとともに、フロント電動変速機構２０お
よびリア電動変速機構３０に所定の送信を行うことによ
り、フロントディレーラ３とリアディレーラ５のうち、
変速操作前にあった変速段によって決まるいずれか一方
のみを操作し、図５に示す如く変速操作前にあった変速
段から実線の矢印方向に一段階変化した変速段に切り換
わる。変速レバー１０を減速位置Ｕに操作すると、変速
制御器４０が図５の如く制御目標変速段の設定を行うと
ともに、フロント電動変速機構２０およびリア電動変速
機構３０に所定の送信を行うことにより、フロントディ
レーラ３とリアディレーラ５のうち、変速操作前にあっ
た変速段によって決まるいずれか一方のみを操作し、図
５に示す如く変速操作前にあった変速段から破線の矢印
方向に一段階変化した変速段に切り換わる。そして、全
体としては、変速制御器４０が図５の如く制御目標変速
段の設定を行うことにより、３枚のフロントホィールＦ
１〜Ｆ３と７枚のリアギヤＧ１〜Ｇ７との組み合わせに
よって得られる全ての変速段としての第１段〜第２１段
の２１段階の変速段に切り換わる。 【００１７】すなわち、チェン４が最小径のフロントホ
ィールＦ３と最大径のリアギヤＧ１に掛かった第１段に
ある状態から増速側に繰り返し変速操作すると、フロン
トディレーラ３が停止操作されてチェン４が最小径のフ
ロントホィールＦ３に掛かったままに保持され、リアデ
ィレーラ５だけが変速操作されてチェン４が順次最小側
のリアギアに掛け換わり、第１段から第７段に順位切り
換わって行く。チェン４が最小径のリアギヤＧ７に掛か
った第７段になってからさらに増速側に変速操作する
と、リアディレーラ５が停止操作されてチェン４が最小
径リアギヤＧ７に掛かったままに保持され、フロントデ
ィレーラ３だけが変速操作されてチェン４が順次最大径
側のフロントホィールに掛け換わり、第７段から第１４
段、第２１段に順次切り換わって行く。チェン４が中径
のフロントホィールＦ２と最大径のリアギヤＧ１に掛か
った第８段にある状態から増速側に繰り返し変速操作す
ると、フロントディレーラ３が停止操作されてチェン４
が中径のフロントホィールＦ２に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最小側のリアギアに掛け換わり、第８段から第１４
段に順位切り換わって行く。チェン４が最小径のリアギ
ヤＧ７に掛かった第１４段になってからさらに増速側に
変速操作すると、リアディレーラ５が停止操作されてチ
ェン４が最小径リアギヤＧ７に掛かったままに保持さ
れ、フロントディレーラ３だけが変速操作されてチェン
４が最大径のフロントホィールＦ１に掛け換わり、第１
４段から第２１段に切り換わる。チェン４が最大径のフ
ロントホィールＦ１と最大径のリアギヤＧ１に掛かった
第１５段にある状態から増速側に繰り返し変速操作する
と、フロントディレーラ３が停止操作されてチェン４が
最大径のフロントホィールＦ１に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最小側のリアギアに掛け換わり、第１５段から第２
１段に順位切り換わって行く。 【００１８】チェン４が最大径のフロントホィールＦ１
と最小径のリアギヤＧ７に掛かった第２１段の状態から
減速側に繰り返し変速操作すると、フロントディレーラ
３が停止操作されてチェン４が最大径のフロントホィー
ルＦ１に掛かったままに保持され、リアディレーラ５だ
けが変速操作されてチェン４が順次最大径側のリアギヤ
に掛け換わり、第２１段から第１５段に順次切り換わっ
て行く。第１５段になってからさらに減速操作すると、
リアディレーラ５が停止操作されてチェン４が最大径の
リアギヤＧ１に掛かったままに保持され、フロントディ
レーラ３だけが変速操作されてチェン４が順次最小径側
のフロントホィールに掛け換わり、第１５段から第８
段、第１段に順次切り換わって行く。チェン４が中径の
フロントホィールＦ２と最小径のリアギヤＧ７に掛かっ
た第１４段の状態から減速側に繰り返し変速操作する
と、フロントディレーラ５が停止操作されてチェン４が
中径のフロントホィールＦ２に掛かったままに保持さ
れ、リアディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が
順次最大径側のリアギヤに掛け換わり、第１４段から第
８段に順次切り換わって行く。第８段になってからさら
に減速操作すると、リアディレーラ５が停止操作されて
チェン４が最大径のリアギヤＧ１に掛かったままに保持
され、フロントディレーラ３だけが変速操作されてチェ
ン４が最小径のフロントホィールＦ３に掛け換わり、第
８段から第１段に切り換わる。チェン４が最小径のフロ
ントホィールＦ３と最小径のリアギヤＧ７に掛かった第
７段の状態から減速側に繰り返し変速操作すると、フロ
ントディレーラ３が停止操作されてチェン４が最小径の
フロントホィールＦ３に掛かったままに保持され、リア
ディレーラ５だけが変速操作されてチェン４が順次最大
径側のリアギヤに掛け換わり、第７段から第１段に順次
切り換わって行く。 【００１９】〔別実施例〕前記フロント電動変速機構や
リア電動変速機構に換え、自転車駆動用のチェンやギヤ
あるいはホィールの回動力をチェンガイドやガイドプー
リを作動させる動力に変換する機構を備えるとともに、
この変換機構を入り切り操作する制御機構を入り操作状
態と切り操作状態とに電気信号によって切り換え制御す
るように備え、所定の電気信号が入ると、チェンガイド
やガイドプーリが自転車走行用駆動力で作動してチェン
の掛け換えを行うように構成する変速機構を採用して実
施してもよい。また、変速レバーと両ディレーラとを電
気的に連動させる他、変速レバーの操作力をカム機構と
変速ワイヤとによってディレーラに操作力として伝達す
るように、変速レバーと両ディレーラとを機械式に連動
させ、変速レバーを操作する人為操作力のみによって両
ディレーラを作動させるように構成して実施してもよ
い。したがって、これら機械式や電気式の連動機構、お
よび、前記変速制御器４０を変速連動手段４０と総称す
る。 【００２０】フロントホィールとして３枚のホィールを
採用し、リアギヤとして７枚のギヤを採用し、全体とし
て２１段階に変速できるように変速装置を構成する他、
２枚など３枚以外のフロントホィールを採用し、６枚や
８枚など７枚以外のリヤギヤを採用し、２２段以上や２
１段未満の変速ができるように変速装置を構成する場合
にも本発明は適用できる。 【００２１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】自転車用変速装置全体の概略側面図
【図２】変速レバー取り付け部の断面図
【図３】電動変速制御機構の概略斜視図
【図４】制御系のブロック図
【図５】変速パターンの説明図
【符号の説明】
３ フロントディレーラ
４ チェン
５ リアディレーラ
１０ 変速レバー
４０ 変速連動手段
Ｆ１〜Ｆ３ フロントホィール
Ｇ１〜Ｇ７ リアギヤ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】歯数の異なる複数枚のフロントホィール
（Ｆ１〜Ｆ３）と歯数の異なる複数枚のリアギヤ（Ｇ１
〜Ｇ７）とを有し、前記フロントホィール（Ｆ１〜Ｆ
３）とリアギヤ（Ｇ１〜Ｇ７）とにわたって巻き掛けた
チェン（４）に作用させて変速するフロントホィール変
速用のフロントディレーラ（３）とリアギヤ変速用のリ
アディレーラ（５）とを有するとともに、これら両ディ
レーラ（３），（５）を一本の変速用レバー（１０）で
操作すべく構成した自転車用変速装置において、 前記複数枚のフロントホィール（Ｆ１〜Ｆ３）と複数枚
のリアギヤ（Ｇ１〜Ｇ７）との組み合わせによって得ら
れる全ての変速段を現出し、かつ、変速の際には、前記
フロントディレーラ（３）とリアディレーラ（５）のい
ずれか一方のみを操作して変速する変速連動手段（４
０）を介して、前記変速用レバー（１０）と両ディレー
ラ（３），（５）とが連動されており、 前記変速連動手段（４０）は、 前記変速用レバー（１０）が増速側に繰り返し変速操作
された際には、前記フロントディレーラ（３）の操作を
停止するとともに前記リアディレーラ（５）のみを変速
操作して前記チェン（４）を順次最小径側のリアギヤに
掛け換え、前記チェン（４）が最小径のリアギヤ（Ｇ
７）に掛かると、前記リアディレーラ（５）の操作を停
止するとともに前記フロントディレーラ（３）のみを変
速操作して前記チェン（４）を順次最大径側のフロント
ホィールに掛け換え、 前記変速用レバー（１０）が減速側に繰り返し変速操作
された際には、前記フロントディレーラ（３）の操作を
停止するとともに前記リアディレーラ（５）のみを変速
操作して前記チェン（４）を順次最大径側のリアギヤに
掛け換え、前記チェン（４）が最大径のリアギヤ（Ｇ
１）に掛かると、前記リアディレーラ（５）の操作を停
止するとともに前記フロントディレーラ（３）のみを変
速操作して前記チェン（４）を順次最小径側のフロント
ホィールに掛け換える、 自転車用変速装置。
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