JP3465612B2 - X線映像装置 - Google Patents
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Description
写体の画像を得るX線映像装置に関し、とくに、大動脈
から下肢まで血管を連続的に撮影するのに好適なX線映
像装置に関する。 【0002】 【従来の技術】X線映像装置により血管の画像を得る方
法として、造影剤を血管中に注入してX線撮影を行う方
法(DAモードという)が知られている。また、RSM
・DSA(Realtime Smoothed Mask-Digital Substract
ion Angiography)モードにより撮影することも有効で
ある。このRSM・DSAモードは、造影剤を血管中に
注入したとき、通常のX線画像であるライブ像と、ぼけ
たX線画像であるファジーマスク像とを、同時期に時分
割的に得て、これらの間の減算を行い、背景画像をキャ
ンセルして血管の画像のみを抽出するものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、DAモ
ードでは大動脈部分では良好なコントラストの画像を得
ることができるが、末梢血管では十分なコントラストの
画像が得にくいという欠点がある。逆に、RSM・DS
Aモードでは、血管径が比較的小さい場合に良好なコン
トラストの画像が得られるが、血管径が大きな場合には
そのエッジのみが抽出されて中抜けした画像となってし
まい、十分なコントラストの画像を得ることができな
い。 【0004】そこで、造影剤を1回注入し、その注入し
た造影剤が大動脈から下肢まで流れていくときにそれを
撮像系で追跡しながら、その血管の全体の画像を得よう
とする場合は、いずれのモードでも不都合が生じる。つ
まり、大動脈起始部から下肢末梢血管まで、血管径は大
きく変化し、同濃度の造影剤が充満したと仮定しても、
血管コントラストには大きな差が生じる。加えて、造影
剤注入部位から離れるにつれて造影剤と血液が混合され
るので、大動脈起始部では血管コントラストは高く、下
肢末梢血管にいくにしたがいコントラストがさらに低下
することになる。そのため、DAモードで撮影すれば、
血管コントラストが確保される大動脈起始部から骨盤領
域程度までは良好なコントラストの画像が得られるもの
の、血管コントラストが低下する下肢領域では十分なコ
ントラストの画像を得ることが難しくなる。他方、RS
M・DSAモードでは、その抽出能が対象となる血管径
に依存するため、血管径が小さくなる骨盤から下肢末梢
領域では良好なコントラストの画像が得られるが、血管
径の大きな大動脈起始部から腹部にかけての大動脈部分
では十分なコントラストの画像が得にくくなる。 【0005】そのため、被写体の部位ごとに造影剤の注
入を行って、その部位の血管径に適したモードでの撮影
を行うことも考えられる。しかし、そうすると複数回の
造影剤注入・撮影が必要となり、時間がかかるとともに
被写体(患者)の負担が増加するという問題が生じる。 【0006】この発明は、上記に鑑み、血管径に対応し
てつねに適切なコントラストの画像が得られるように改
善し、とくに1回の造影剤注入で大動脈から下肢までの
血管の全体の画像を得る場合にどの部位でも良好なコン
トラストの画像を得ることができる、X線映像装置を提
供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明によるX線映像装置においては、造影剤注
入時に、血管径の大きい部位から抹消血管まで流れてい
く造影剤の流れを追跡するように撮影視野を移動させて
血管径の大きい部位から抹消血管までの、被写体の通常
のX線画像と高周波数成分を抑えたX線画像とを、同時
期に時分割的に連続して得るX線撮像手段と、撮像され
た上記の通常のX線画像と高周波数成分を抑えたX線画
像とを、それらの割合を、上記撮影視野の移動の位置ご
とに、高周波成分を抑えたX線画像の割合が血管径の大
きい部位に対して血管径の小さい部位では大きくなるよ
うに変更して、減算する手段とが備えられることが特徴
となっている。 【0008】X線撮像手段の撮影視野が、造影剤注入時
に、血管径の大きい部位から抹消血管まで流れていく造
影剤の流れを追跡するように移動させられ、血管径の大
きい部位から抹消血管までのX線画像が撮像される。そ
の際に、周波数成分の異なるX線画像、つまり通常の画
像と高周波成分を抑えた(ぼけた)画像とが同時期に時
分割的に得られる。これら通常の画像とぼけた画像との
間の減算を行う際に、それらの割合が上記撮影視野の移
動の位置ごとに変更され、ぼけた画像の割合が血管径の
大きい部位に対して血管径の小さい部位では大きくなる
ようにされる。そのため、血管径が変化してもつねに良
好なコントラストの画像を得ることができる。つまり、
血管径が大きい部位での画像についてはぼけた画像をほ
ぼ0にして実質的にDAモードとすることによって良好
なコントラストの画像を得、末梢血管ではぼけた画像の
割合を最大にして実質的にRSM・DSAモードとする
ことによってこの部分でも良好なコントラストの画像を
得るとともに、その中間の部位では、減算の割合を中間
的なものに変化させることによってその部位での血管径
に合わせた減算を行って良好なコントラストの画像を得
ることができる。そのため、とくに1回の造影剤注入で
大動脈から下肢までの血管の全体の画像を得る場合にど
の部位でも良好なコントラストの画像を得ることができ
る。 【0009】 【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。図1におい
て、X線管球11から発生したX線はコリメータ12に
よってコリメーションされ、検診台21上に載置された
被写体20に照射される。この被写体20を透過したX
線はイメージインテンシファイア13に入射し、X線透
過像が光学像に変換されて出力される。この出力される
光学像は光学系14を経るとともに、絞り15によって
適正光量にまで減光されてテレビカメラ16に導かれ
る。テレビカメラ16から得られる映像信号は画像処理
装置17によってサブトラクション処理等を受けた後、
画像モニター装置18に送られて表示される。X線管球
11、コリメータ12およびイメージインテンシファイ
ア13はX線制御装置19によってコントロールされ
る。またこのX線制御装置19は画像処理装置17と情
報のやり取りを行い、必要な情報を共有している。 【0010】X線管球11はX線制御装置19によって
制御されることにより、図2の(a)に示すようにパル
ス状にX線曝射を行っている。一方、イメージインテン
シファイア13の電極電圧がX線制御装置19によって
制御されて、図2の(b)に示すようにファジー電圧と
ノーマル電圧とに、パルス状X線曝射の各々ごとに切り
換えられている。電極にファジー電圧が加えられると、
イメージインテンシファイア13の出力画像のピントが
緩くなってぼけた画像が出力されるようになり、ノーマ
ル電圧のときは通常のシャープな画像が得られる。その
ため、図2の(c)に示すようにファジー電圧時のパル
ス状X線曝射によってぼけたFM(ファジーマスク)像
が得られ、ノーマル電圧時のパルス状X線曝射によって
L(ライブ)像が得られる。 【0011】これらのファジーマスク像とライブ像は、
画像処理装置17において一時的に貯えられ、相互につ
ぎのように減算される。 I=L−a×FM … この減算の結果得られるI像は、画像モニター装置18
に送られて表示される。上記の減算において、減算の割
合つまりFMについての係数aは、0≦a≦1の範囲で
任意に変更される。 【0012】係数a=0とすれば、I=Lとなってライ
ブ像が得られて表示されることになる。また、係数a=
1とすれば、I=L−FMとなってRSM・DSA像そ
のものとなる。係数aを0から1の範囲の任意の値とす
ることにより、ライブ像とRSM・DSA像との中間の
画像を自由に作ることができる。 【0013】ここで図3のように被写体20の大動脈か
ら下肢までの血管の全体を1回の造影剤注入で撮影する
ものとする。左心室41で造影剤を注入すると、その造
影剤は大動脈弓部42を通過して腹部大動脈43に達す
る。その後、造影剤は腹部大動脈43から総腸骨動脈4
4を経て大腿動脈45に達し、さらに下肢末梢血管46
へと流れていく。そこで、撮影視野がこの造影剤の流れ
を追跡するように体軸に沿って位置31から位置34へ
と移動するよう、検診台21(または、図示しないがC
アーム等のX線管球11、イメージインテンシファイア
13等を保持する装置)を動かしながら撮影を行う。 【0014】そして、その移動の位置ごとに上記式の
係数aを図4のように変化させる。すなわち、位置32
付近まではa=0としてライブ像を得る。腹部大動脈4
3までは、対象とする血管径が大きく、コントラストが
十分であるから、ライブ像を得れば良好が画像が得られ
る(DAモードと同じ)。 【0015】腹部大動脈43から総腸骨動脈44を経て
大腿動脈45に至る間は、血管径が大きく変化し、血管
コントラストが徐々に低下してくる。そのため、位置3
2〜33では、上記式の係数aを0<a<1の範囲で
増加させる。その結果、得られるI像はライブ像からR
SM・DSA像へと徐々に変化していく。 【0016】下肢末梢血管46に至ると、血管径はさら
に細くなるとともに造影剤が血液と混合する。そこで、
位置33付近から終わりまで上記式の係数a=1とし
て、RSM・DSA像そのものを得る。 【0017】したがって、大動脈から下肢までの血管の
全体を1回の造影剤注入で視野を追跡させながら撮影す
る場合に、その各部位の血管径の大きさに合わせたモー
ドで撮影することができ、どの部分でもつねに最適なコ
ントラストの画像を得ることができる。 【0018】なお、上記式のようにライブ像とファジ
ーマスク像との減算を行う際の減算割合を変化させるの
ではなく、ファジーマスク像とRSM・DSA像の加算
割合を変化させるようにしてもよい。もっともRSM・
DSA=L−FMであるから次の式のようになって、
結局FMの係数の表現を変えただけで実質的には式と
同じになる。 RSM・DSA+b×FM=L−FM+b×FM=L−
(1−b)FM … 【0019】また、係数a(またはb)の変化のタイミ
ングおよび変化に要する時間(図4における傾き)は任
意に設定可能である。このタイミングは検診台21(あ
るいはCアーム等)の移動時、その位置を検出するよう
にし、その検出された位置によって、上記の係数a(ま
たはb)の変化のタイミングを定めることもできる。 【0020】係数a(またはb)は0≦a≦1の範囲で
任意の値とすることができるが、必ずしもa=0あるい
はa=1の状態が存在しなくてもよい。 【0021】さらに、ライブ像とファジーマスク像とを
記録しておいて、これらを撮影後に読み出し、画像処理
装置17において係数a(またはb)を任意に変えて画
像を得るようにしてもよい。これによれば、係数a(ま
たはb)の設定や変更箇所を変化させてみて画像を得る
ことができ、後処理の試行錯誤により最適な画像を得る
ことができる。 【0022】上記では、イメージインテンシファイア1
3の電極電圧を切り換えることにより、通常の周波数成
分のライブ像と高周波成分が抑えられた(ぼけた)ファ
ジーマスク像を切り換えて順次得るようにしているが、
他に、光学系14を工夫することなどにより鮮明なライ
ブ像とぼけたファジーマスク像を得ることもできる。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、この発明のX線映
像装置によれば、血管径に対応してつねに適切なコント
ラストの画像を得ることができる。とくに1回の造影剤
注入で大動脈から下肢までの血管の全体の画像を得る場
合にどの部位でも良好なコントラストの画像を得ること
ができる。この場合、造影剤の注入および撮影回数が1
回で済むので、被写体(患者)の負担を軽減することが
できる。
図。 【図4】位置ごとの係数aの変化を示すグラフ。 【符号の説明】 11 X線管球 12 コリメータ 13 イメージインテンシファイア 14 光学系 15 絞り 16 テレビカメラ 17 画像処理装置 18 画像モニター装置 19 X線制御装置 20 被写体 21 検診台 31〜34 体軸方向の位置 41 左心室 42 大動脈弓部 43 腹部大動脈 44 総腸骨動脈 45 大腿動脈 46 下肢末梢血管
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 造影剤注入時に、血管径の大きい部位か
ら抹消血管まで流れていく造影剤の流れを追跡するよう
に撮影視野を移動させて血管径の大きい部位から抹消血
管までの、被写体の通常のX線画像と高周波数成分を抑
えたX線画像とを、同時期に時分割的に連続して得るX
線撮像手段と、撮像された上記の通常のX線画像と高周
波数成分を抑えたX線画像とを、それらの割合を、上記
撮影視野の移動の位置ごとに、高周波成分を抑えたX線
画像の割合が血管径の大きい部位に対して血管径の小さ
い部位では大きくなるように変更して、減算する手段と
を備えることを特徴とするX線映像装置。
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