JP3465186B2 - 法面及び地山補強のためのねじり補強部材、及びその製造方法 - Google Patents

法面及び地山補強のためのねじり補強部材、及びその製造方法

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JP3465186B2
JP3465186B2 JP2000214314A JP2000214314A JP3465186B2 JP 3465186 B2 JP3465186 B2 JP 3465186B2 JP 2000214314 A JP2000214314 A JP 2000214314A JP 2000214314 A JP2000214314 A JP 2000214314A JP 3465186 B2 JP3465186 B2 JP 3465186B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、法面の保護、あるいは
この法面を構成している地山の補強を行うための部材に
関するもので、特に、自身が地山内に埋設固定された
り、あるいは法面上の吹付法枠あるいはプレキャスト支
持板等を法面上に固定することにより、法面や地山の崩
壊を防止することになるねじり補強部材、及びその製造
方法に関するものである。なお、本発明で述べる「ねじ
り補強部材」は、プレキャスト支持板等を法面上に固定
し、あるいはそれ自身が地山内に固定されることになる
ものを総称しているものであり、吹付法枠工において使
用される「アンカーバー」、鉄筋挿入工において使用さ
れる「鉄筋」や「ロックボルト」、あるいは擁壁やプレ
キャスト支持板等を固定するための「グラウンドアンカ
ー」等を含む広い概念のものである。
【0002】
【従来の技術】法面、及びこれを構成している地山は、
これをそのまま放置しておくと、法面であればその表面
が流亡し、地山であれば、その内部に発生することのあ
る「すべり面」にて崩壊し易いため、何等かの手段によ
り保護を行ったり、補強を行ったりしておかなければな
らない。これらの法面の保護あるいは地山の補強を行う
ために、従来より採用されている手段または工法として
は、施工対象位置が法面であるか、あるいは地山内のど
の程度の深さ部分かに応じて、図12に示すような吹付
法枠工法、図13に示すような鉄筋やロックボルトを使
用した鉄筋挿入工、図14〜図16に示すようなグラウ
ンドアンカー工法等がある。
【0003】図12に示す吹付法枠工法は、主として法
面それ自体の保護を行うものであり、鋼線材31等を組
み合わせて、例えば格子状の大型法枠を形成し、この大
型法枠を法面20上から地山内に打ち込まれるアンカー
バー32によって法面20上に固定する。そして、この
大型法枠に対してモルタルやコンクリートを吹き付ける
ことにより、格子状のコンクリート製法枠、つまり吹付
法枠30を法面20上に形成する。これにより、吹付法
枠30が法面20上を覆うことになり、法面20表面の
洗掘や雑草の繁茂を防止するとともに、吹付法枠30自
体の自重による押圧、あるいは吹付法枠30自体の強度
によって、法面20自体の崩壊を防止するものである。
【0004】図13に示す鉄筋挿入工は、主として地山
の比較的浅い部分を補強するものであり、法面20上か
ら削孔した取付穴内にグラウトを流し込んでおき、この
グラウト中に鉄筋やロックボルトを挿入した後、グラウ
トを固化することにより、使用した鉄筋やロックボルト
を地山に対して固定するようにしたものである。これら
の鉄筋やロックボルトは、そのまま固化したグラウトと
ともに地山内の補強材とすることもあるが、図13に示
すように、その法面20から突出している上端にプレキ
ャスト支持板40や擁壁等を連結することにより、プレ
キャスト支持板40による法面20の保護を行うととも
に、プレキャスト支持板40の自重による押圧や、鉄筋
やロックボルトが有している強度により、地山内の補強
を行うものである。
【0005】図14及び図15に示したグラウンドアン
カー工法は、実開平3−79337号公報に示されてい
るものであり、法面20に対して削孔した取付孔21内
にグラウトを打設し、このグラウト内に挿入したグラウ
ンドアンカー50の外端部にて法面20のための土留枠
や擁壁を固定するようにしたものである。そして、図1
4のグラウンドアンカー50は、その地中側端部をグラ
ウト内に露出させることによりグラウトに対する定着を
向上させるようにしたものであり、図15のグラウンド
アンカー50は、その地中側端部に拡開スペーサを設け
ておいて、この拡開スペーサによってグラウトに対する
定着を向上させたものである。
【0006】図16に示したグラウンドアンカー工法
は、地山内の比較的深い部分の補強を行うものであり、
図14及び図15の工法で採用しているグラウンドアン
カー50(ボルト)をアンカーケーブルに代えたもの
で、このアンカーケーブルをシース管内に入れて、シー
ス管毎法面20の取付孔21に挿入するようにしたもの
である。そして、この図16に示したグラウンドアンカ
ー工法では、アンカーケーブルの外端部をプレキャスト
支持板40等に連結するにあたって、各アンカーケーブ
ルの張力を調整できるようにしたものであり、施工現場
の状況等に応じてプレキャスト支持板40等の法面20
上への緊張力を調整できるようにしたものである。
【0007】なお、以上のように例示した各従来工法
は、あくまでもプロトタイプ化して説明したものであっ
て、例えば図13の鉄筋挿入工について図16等で示し
たグラウンドアンカーが採用されることもあり、各工法
間に上記のような明確な区別があるものではない。
【0008】さて、以上のいずれの工法においても、ア
ンカーバー32、鉄筋またはロックボルト、グラウンド
アンカーを法面20を構成している地山内にしっかりと
固定しなければならないものであることは当然として、
ロックボルトやグラウンドアンカー等の外端部を法枠3
1やプレキャスト支持板40等に対してもしっかりと固
定しなければならない。そのこと自体は、これら図12
〜図16に示した従来工法では、略完成または達成され
たものとなっている。
【0009】しかしながら、法面20を構成している地
山の崩壊は、法面20の洗掘をきっかけとして表面から
順に発生することもあるが、一般的には地山内に生ずる
「すべり面」にて地山毎崩落するという形で発生するこ
とが多い。この「すべり面」は、地山のどの部分で発生
するにせよ、その面と平行(法面20と略平行な方向が
多い)な横からの力によって発生するものである。この
ような「すべり面」が発生し得る地山の補強を十分なも
のとするためには、上述したようなロックボルトやグラ
ウンドアンカー等が、この「すべり面」を発生させる横
からの力に十分耐え得るものとしなければならない。そ
のためには、グラウンドアンカーやアンカーバー32等
の径を太くする方法で対応できるが、これを包み込むグ
ラウトの防食対策上所定のかぶりを確保しなければなら
ない、つまり取付孔21を大きくすることが考えられ
る。ところが、これらのグラウンドアンカー工法等が必
要な法面20の面積は通常広大であり、その全体の保護
を太くしたロックボルトやグラウンドアンカーで行った
り、大きな取付孔21を形成して行おうとすると、非常
に大きなコストが掛かってしまうことになる。
【0010】また、上述した従来の工法では、吹付法枠
30等のアンカーバー32やロックボルト等の「引張強
度」については十分検討を行ってはいるが、その「剪断
強度」や「曲げ強度」については、その検討を十分に行
っていないのが実状である。このため、従来より提案さ
れてきているアンカーバー32やロックボルト等は、
「すべり面」を引き起すような力に対して十分な検討が
なされたものであるとは言い難く、補強したはずの地山
内で「すべり面」から地山の崩壊が発生する可能性が高
まる。「すべり面」からの崩壊が発生すれば、その上側
で当該地山を構成している土砂が、さらにその上にある
吹付法枠30やプレキャスト支持板40等とともに、ひ
と固まりとなって滑落するということもあり得る。
【0011】そこで、本発明者は、この種の法面あるい
は地山補強材について、その引張り強度は当然として、
剪断強度や曲げ強度についても十分なものとして、法面
20の安定化や地山の補強を確実に行うことができるよ
うにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重
ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の実状
に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題
は、この種の法面や地山の補強部材について、その引張
り強度は勿論、剪断強度及び曲げ強度についても十分高
くすることであり、これを低コストで達成することであ
る。
【0013】すなわち、本発明の目的とするところは、
次の諸点にある。 固化したグラウトに対する一体化抵抗力(引張り強
度)は勿論、すべり面と略平行な全ての方向に対する抵
抗力(剪断強度や曲げ強度)についても増大させること
のできるねじり補強部材10とすること。 法面20に形成した取付孔21内に挿入するにあたっ
て、その作業を簡単に行えて、しかも引張り材11が取
付孔21の略中心になるようにすることのできるねじり
補強部材10とすること。 要求されている各強度を達成するものとして、取付孔
21や引張り材11の直径を大きくすることに比較すれ
ば、安価なねじり補強部材10とすること。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず請求項1に係る発明の採った手段は、後述す
る実施の形態の説明中において使用する符号を付して説
明すると、「法面20上に形成あるいは設置した吹付法
枠30用の法枠31あるいはプレキャスト支持板40等
を法面20上に固定すべく、法面20内に埋設されてそ
の上端側で法枠31あるいはプレキャスト支持板40等
に連結されるねじり補強部材10であって、このねじり
補強部材10を、鉄筋等によって略直線状に形成した引
張り材11と、この引張り材11の外周表面に沿わせる
べく鉄筋等によって緩やかな曲線でねじり加工したねじ
り材12とにより構成したことを特徴とする法面及び地
山補強のためのねじり補強部材10」である。
【0015】すなわち、この請求項1に係るねじり補強
部材10は、1本の略直線状の引張り材11の外周に、
例えば2本のねじり材12を言わば巻き付けて一体化す
ることにより構成したものである。また、このねじり補
強部材10は、例えば図2に示すように、法面20の取
付孔21内に注入したグラウト14内に挿入して、グラ
ウト14を固化させることにより、法面20を形成して
いる地山内に固定的に埋設されるものである。
【0016】このねじり補強部材10の外端部は、図2
にも示すように、法面20上に突出されるものであり、
この外端部には、固化したグラウトの表面に当接される
座金を押圧するナットが締着されることもあるが、図1
あるいは図10に示すように、プレキャスト支持板40
が連結されたり、あるいは図12に示した法枠31が連
結されたりする。これにより、この請求項1に係るねじ
り補強部材10は、これと取付穴21内にて固化したグ
ラウトとにより地山内を補強することは当然として、そ
の先端に連結した法枠31やプレキャスト支持板40等
を法面20上にしっかりと固定し、法面20の安定化を
図り、かつ地山内の確実な補強を行うのである。
【0017】以上のように、このねじり補強部材10
は、1本の引張り材11の外周に、少なくとも1本のね
じり材12を沿わせたものとする必要があるが、その理
由は、引張り材11の軸方向の引張り強度を、引張り材
11とねじり材12との各引張り強度の「和」とするだ
けでなく、引張り材11の軸方向と略直交するあらゆる
方向からの力に対する抵抗力、つまり曲げ強度及び剪断
強度を増大させる必要があるからである。換言すれば、
このねじり補強部材10は、中心の引張り材11に対し
て各ねじり材12がねじれた状態で絡みついていること
により、引張り材11のあらゆる横方向からの力にも対
抗できるものとなっていて、比較的少ない材料で十分な
剪断及び曲げ強度を有したものとなっているのである。
【0018】この請求項1のねじり補強部材10につい
て、引張り補強材、剪断補強材、及び曲げ補強材として
の各評価を行ってみると、図9の(a)〜(c)を参照
した次に示す通りの良い結果を生むものである。
【0019】(引張り補強材としての評価)本発明に係
るねじり補強部材10は、引張り材11の外周に少なく
とも1本のねじり材12を絡ませたものであるから、そ
の引張り強度が引張り材11のそれとねじり材12との
複合となって増大していることは当然として、各ねじり
材12が固化したグラウト14に対しても絡まり合った
ものとなるから、法面20に対する引張り強度は相当増
大することになる。
【0020】すなわち、本発明のねじり補強部材10
は、その外端にてプレキャスト支持板40に引張り材1
1と複合して引っ張られることになり、引張強度が増加
する状態となって、法面20に引っ張られることにな
る。また、法面20を構成している部分が図9の(a)
中のすべり面によって、すべり面より奥の所謂定着長部
分でもこのねじり補強部材10を配置しておけば、引張
り材11と複合されて引っ張ることになるため、十分な
機能を発揮することになるのである。
【0021】(剪断補強材としての評価)本発明に係る
ねじり補強部材10は、引張り材11の外周に少なくと
も1本のねじり材12をねじった状態で一体化したもの
であるから、その横方向から加わる剪断応力に対して引
張り材11と少なくとも1本のねじり材12とからなる
全体で対抗することになり、十分な剪断補強材としての
機能を発揮することになる。
【0022】特に、ねじり材12は引張り材11に絡ま
っているのであるから、ねじり補強部材10の横方向か
らみた場合どこかに存在していることになる。つまり、
剪断応力が加わる方向からこのねじり補強部材10を見
た場合、その方向に対して引張り材11とねじり材12
とが重なった部分が必ず存在し、この引張り材11とね
じり材12とが重なった部分が剪断補強材としての最大
機能を発揮することになる。
【0023】従って、本発明のねじり補強部材10を法
面20の安定化のために使用すれば、図9の(b)に示
すように、法面20を構成している部分が地山に対して
ズレ落ちようとするとき(つまり「すべり面」が生じよ
うとするとき)に加わる剪断応力に対して、図13に示
した従来のロックボルト等と比較すれば、十分抗するこ
とができるのである。
【0024】なお、「すべり面」が生じ易い部分は、法
面20の表面からの所謂ボーリング調査によって推定す
ることができるが、引張り材11上の推定された深さ部
分にねじり材12を取付けるようにすれば、非常に効果
的なねじり補強部材10とすることができるものであ
る。これが後述する請求項2のねじり補強部材10であ
る。
【0025】また、このねじり補強部材10の有する剪
断力をさらに期待する場合には、同種のねじり補強部材
10を同位置に配置角度を代えて取り付けることによ
り、容易に対応することが可能となる。
【0026】(曲げ補強材としての評価)図9の(b)
に示した剪断応力が、ねじり補強部材10の長さ方向の
広い範囲に加われば、その部分を今度は曲げようとする
力になるが、この曲げ応力に対しても、本発明のねじり
補強部材10は補強材としての機能を十分発揮すること
になる。その理由は、上記剪断補強材としての評価の項
で述べたのと同じ理由による。
【0027】また、この請求項1のねじり補強部材10
について、その製造方法と実際の施工上から検討してみ
ると、まず製造は、通常のねじり補強部材と同様な異形
あるいは丸型鉄筋等によって略直線状の引張り材11と
して、この引張り材11の外周に、「ねじり加工」を施
したねじり材12を一体化することにより完成される。
この場合、ねじり材12には枝に絡まる「つた」のよう
なねじり加工が施してあるため、略直線状の引張り材1
1に沿わせるようにすることにより、このねじり材12
は、引張り材11に対してつたが枝に絡まるように自然
に一体化されることになる。この一体化作業は、施工現
場においても行えるものであり、ねじり補強部材10自
体の製造を容易にしているものである。
【0028】また、このねじり補強部材10を使用し
て、吹付法枠30の法枠31やプレキャスト支持板40
等を法面20上固定するには、通常、次のようになされ
る。まず、法面20を形成している地山に対して図1等
に示す取付孔21を形成し、この取付孔21内にグラウ
ト14を所定量注入する。このグラウト14内にこれが
固化しない間に、本発明のねじり補強部材10を挿入す
るのであるが、本発明のねじり補強部材10では、この
ときに、次の二つの重要な機能を発揮することになる。
【0029】まず、第1に引張り材11の表面にはねじ
り材12が「つた」のようにねじられた状態で絡み付い
ているため、このねじり材12がグラウト14の螺施案
内材としての役目を果し、グラウト14のねじり材12
に沿っての上昇を容易にし、結果としてねじり補強部材
10の取付孔21内への挿入が簡単に行えることが重要
な機能である。つまり、このねじり補強部材10を取付
孔21内のグラウト14中に挿入すれば、グラウト14
はこのねじり補強部材10のねじり材12に沿って登っ
てくるような状態となり、ねじり補強部材10自体の挿
入と、ねじり補強部材10周囲へのグラウト14の打設
を完全なものとするのである。
【0030】第2に重要な機能は、このねじり補強部材
10においては、ねじり材12がねじられた状態で最外
層に位置しているから、このねじり材12の存在によっ
て、引張り材11が常に取付孔21の略中心となるよう
に位置決めされることになることである。つまり、取付
孔21の内壁にはねじり材12が当接するから、このね
じり材12が絡み付いた引張り材11は取付孔21の常
に略中心に位置することになる。これによりねじり材1
2による螺旋案内部が、取付孔21の内壁と引張り材1
1との間に確保されることになり、引張り材11の周囲
に打設されたようになるグラウト14に対しては勿論、
ねじり補強部材10の挿入に際して取付孔21の内壁が
崩れてこぼれ落ちる土や小石等に対する案内面を形成す
ることになり、ねじり補強部材10の取付孔21内への
挿入を容易にするのである。また、ねじり補強部材10
の引張り材11を取付孔21の中心に位置させるという
ことは、その周囲で固化したグラウト14に対しても中
心となることを意味しているのであり、これにより、完
成後においてのねじり補強部材10の剪断強度等を十分
なものにするのである。
【0031】なお、この請求項1のねじり補強部材10
の施工順序に関して、上記とは逆にすることも考えられ
る。つまり、地山に形成した取付孔21内に、当該ねじ
り補強部材10を挿入し、その後に、この取付孔21内
にグラウト14を所定量注入するのである。当該ねじり
補強部材10の取付穴21内への挿入に際して、上述し
た第2機能、すなわちねじり材12が取付穴21に対す
る案内役を果たして、ねじり補強部材10の引張り材1
1を取付穴21の略中心に常に位置させるようになるこ
とは言うまでもない。同様に、ねじり補強部材10が取
付穴21内に存在していたとしても、そのねじり材12
がグラウト14のための螺旋階段の役目を果たすことに
なるから、上記の第1機能を発揮し、グラウト14の取
付穴21内への注入は確実になされることになるのであ
る。
【0032】以上のように、各ねじり補強部材10をグ
ラウト14によって法面20の取付孔21内に固定した
後には、図2に示すように、引張り材11の頭部11a
が法面20上に突出することになり、これに吹付法枠3
0の法枠31やプレキャスト支持板40を連結するので
あるが、この連結は、図4に示すようになされる。
【0033】図4の(1)では、例えばプレキャスト支
持板40の中心に形成した連結穴41内に、各ねじり材
12の上端をも僅かに臨ませて、その周囲にグラウト1
4を注入する。これにより、ねじり補強部材10の上端
部はプレキャスト支持板40の連結穴41内にて固定さ
れることになる。なお、グラウト14が固化する前に、
引張り材11の頭部11aに螺着されてプレキャスト支
持板40の上面等に当接する締付ナット42による引張
り材11の緊張力の調整を行っておくものとする。
【0034】図4の(2)では、その概略は上記図4の
(1)と略同じであるが、各ねじり材12の上端を折曲
しておくことが異なるものである。各ねじり材12の上
端折曲部は、プレキャスト支持板40に係合部があれば
これに係合させ、係合部がなければグラウト14中に埋
設することにより、プレキャスト支持板40と一体化さ
れるものであり、ねじり補強部材10とプレキャスト支
持板40との連結をより一層強固にするものである。
【0035】図4の(3)では、各ねじり材12の上端
に、例えば螺着によりグリップ12bを取り付けてお
き、このグリップ12bを有するねじり材12を引張り
材11に巻き付けたねじり補強部材10が示してある。
このねじり補強部材10では、これに引っ張り力が作用
した場合に、グリップ12b部分の剪断面の大きさか
ら、引っ張り抵抗力が確保できることになる。これによ
り、このねじり補強部材10もプレキャスト支持板40
等に対する連結を確実に行うものである。
【0036】なお、このねじり補強部材10の上端に連
結されるものが吹付法枠30の法枠31である場合に
は、引張り材11の頭部11aと法枠31とを緊締線等
によって連結すればよい。
【0037】以上の説明では、当該ねじり補強部材10
を、従来工法を示す図13中のロックボルトと同様な使
い方をした例を中心に行ったが、当然のことながら、当
該ねじり補強部材10は、図12に示したアンカーバー
32に代えて使用し、法枠31の法面20上に対する固
定を行うものとして実施してもよいものである。同様
に、ねじり補強部材10は、図14〜図16に示した各
グラウンドアンカーに代えて使用するようにしてもよい
ものであり、この場合にも、上述したのと同様な結果を
得ることができるものである。従って、この請求項1に
係るねじり補強部材10は、 固化したグラウトに対する一体化抵抗力(引張り強
度)は勿論、法面20と略平行な全ての方向に対する抵
抗力(剪断強度や曲げ強度)についても増大させること
ができる。 法面20に形成した取付孔21内に挿入するにあたっ
て、その作業を簡単に行えて、しかも引張り材11が取
付孔21の略中心になるようにすることができる。 要求されている各強度を達成するものとして、取付孔
21や引張り材11の直径を大きくすることに比較すれ
ば、安価なものとすることができる。 従来の吹付法枠工において使用される「アンカーバ
ー」、同鉄筋挿入工において使用される「鉄筋」や「ロ
ックボルト」、あるいは擁壁やプレキャスト支持板等を
固定するための従来から使用されている「グラウンドア
ンカー」に合わせて使用することができ、その際にも、
上記〜の機能を十分発揮することができる。 といった優れた機能を有したものとなっているのであ
る。
【0038】さて、上記課題を解決するために、請求項
2に係る発明の採った手段は、上記請求項1のねじり補
強部材10について、「各ねじり材12は、引張り材1
1の先端部、中間部あるいは頭部等の少なくとも一部に
沿わせるようにしたこと」である。
【0039】すなわち、この請求項2のに係るねじり補
強部材10は、1本の引張り材11の外周面に対するね
じり材12の沿わせを部分的に行ったものであることを
明記したものであるが、これにより、その目的としてい
る機能を十分確保しながら、言わば必要な部分にのみね
じり材12を沿わせることにより、全体のコストダウン
を図ったものである。
【0040】例えば、ボーリング調査等によって、図1
0の一点鎖線にて示した位置(面)で「すべり面」が発
生し易いと予じめ分かれば、この予測すべり面をカバー
する長さの引張り材11とするとともに、この引張り材
11と予測すべり面とが交差する部分にねじり材12を
一体化するようにすればよいのである。
【0041】従って、この請求項2のねじり補強部材1
0は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、
曲げや剪断応力の加わりそうな部分だけにねじり材12
を巻き付けておくことができるのであり、製造や施工を
より一層簡単なものとすることが可能になっているので
ある。
【0042】そして、上記課題を解決するために、請求
項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請
求項2のねじり補強部材10について、「ねじり加工
は、引張り材11に対して少なくとも1巻行うようにし
たこと」である。
【0043】すなわち、この請求項3のねじり補強部材
10では、引張り材11の外周に巻き付けて一体化され
るねじり材12について、その巻き数を少なくとも1巻
としたものである。そのようにする理由は、ねじり材1
2が一体化されている引張り材11の部分を側方からみ
た場合、ねじり材12の一部が必ず正面に現れるように
する必要があるからである。こうすることにより、ねじ
り補強部材10の側方からの全ての応力に対してねじり
材12の少なくとも1箇所において大きく対抗できるこ
とになるのである。
【0044】従って、この請求項3のねじり補強部材1
0は、上記請求項1または2のねじり補強部材10と同
様な機能を発揮するほか、少ない材料でその機能を確実
に発揮させることができて、安価に製造できるものとし
得るのである。
【0045】なお、本発明のねじり補強部材10を製造
するにあっては、各ねじり材12の引張り材11に対す
る一体化を、前述した取付板15や、図5に示すような
取付クリップ13を使用して実施してもよい。すなわ
ち、このねじり補強部材10は、その引張り材11に対
して各ねじり材12を一体化するにあたって、図5の
(a)に示すような取付クリップ13を引張り材11の
頭部11a等に取付けておき、この取付クリップ13に
ねじり材12の外端部12aを係合させるようにしても
よいものである。
【0046】引張り材11として、表面に凹凸を形成し
た鉄筋のような材料を使用すれば、その外周面に沿わせ
るねじり材12の一体化は、これら引張り材11の凹凸
によってしっかりと行えるのであるが、取付クリップ1
3を使用することにより、引張り材11とねじり材12
の一体化はより一層確実となる。それだけでなく、引張
り材11やねじり材12の物性に悪影響を及ぼす溶接を
行わなくてよいから、この取付クリップ13による一体
化を行えば、溶接熱による引張り材11やねじり材12
の強度低下を防止することができるのである。
【0047】そして、上記課題を解決するために、請求
項4に係る発明の採った手段は、 「法面20上に形成あ
るいは設置した吹付法枠30用の法枠31あるいはプレ
キャスト支持板40等を法面20上に固定すべく、法面
20を構成している地山内に埋設されてその上端側で法
枠31あるいはプレキャスト支持板40等に連結される
ねじり補強部材10の製造方法であって、 鉄筋等によっ
て略直線状に形成した引張り材11と、この引張り材1
1の先端部、中間部あるいは頭部等の少なくとも一部に
沿わせることのできる長さを有し鉄筋等によって形成し
たねじり材12とを用意して、このねじり材12に、引
張り材11の外周表面に少なくとも1巻で沿わせるべく
緩やかな曲線でねじり加工を施し、 このねじり材12の
一端を引張り材11の先端部、中間部あるいは頭部等の
いずれかに宛って固定したまま、他端を引張り材11の
外周にて少なくとも1巻させることにより、このねじり
材12を引張り材11上に巻き付けて一体化するように
したことを特徴とするねじり補強部材10の製造方法」
である。 すなわち、この請求項4の発明は、上述してき
たねじり補強部材10を具体的に製造し、組み立てる方
法について規定したものであり、上述したの点、 「法
面20に形成した取付孔21内に挿入するにあたって、
その作業を簡単に行えて、しかも引張り材11が取付孔
21の略中心になるようにすることのできるねじり補強
部材10とすること」ができることを具体的にした方法
に関するものなのである。 この方法によれば、まず、ね
じり材12の引張り材11上に対する巻き付けが、作業
のしにくい施工現場であろうが工場内であろうが溶接等
の固着手段を使用することなく簡単に行え、両者の一体
化が簡単に行えるのである。そして、ねじり材12の引
張り材11上に対する巻き付け場所、つまり一体化場所
は、施工現場の状況に応じた個所、つまり必要深さに自
由に設定できることになり、上記の効果を発揮するの
である。 従って、この請求項4の製造方法によれば、上
記段落0041で述べたように 、曲げや剪断応力の加わ
りそうな部分だけにねじり材12を巻き付けておくこと
ができるのであり、ねじり補強部材10の製造や施工を
より一層簡単なものとすることが可能になっているので
ある。
【0048】
【発明の実施の形態】次に、上記のように構成した各発
明を、図面に示した実施の形態に従って説明すると、図
1には本発明に係るねじり補強部材10を使用して、プ
レキャスト支持板40を法面20上に固定したときの部
分縦断面図が示してある。
【0049】図1に示したねじり補強部材10は、図5
〜図8に示すようにして組立てられるものであるが、図
2に示したように、まず法面20に前述した各取付孔2
1内に挿入されるものである。取付孔21の直径は、本
実施形態の場合約50〜90mmであり、この取付孔2
1内に入り得るように、ねじり補強部材10を構成して
いる引張り材11及び(2本の)ねじり材12の直径が
決められている。
【0050】この場合、ねじり補強部材10の最大径部
分が取付孔21の内径と略同じであっても、ねじり補強
部材10の挿入や引張り材11の位置決めには、ねじり
材12の「ねじり」によって全く悪影響は生じない。そ
の理由は、まず各ねじり材12がねじられたものである
ことから、取付孔21の内壁が崩れたとしても、その崩
れによる土や小石はねじられたねじり材12間の隙間に
入ることが可能となり、ねじり補強部材10の取付孔2
1内への挿入がスムーズに行える。また、ねじられた各
ねじり材12が引張り材11の外周面に位置しているこ
とから、引張り材11は、少なくともねじり材12の直
径分の寸法だけ、取付孔21の内壁から離されることに
なり、結局引張り材11は取付孔21の略軸心に沿った
位置に配置されるからである。
【0051】また、このねじり補強部材10を構成して
いる引張り材11は、前述したような鉄筋に限らず、例
えば、異形棒鋼、ねじ節異形棒鋼等の鉄筋、鉄管、ロッ
クボルト、あるいはFRP等の新素材によって形成した
ものを採用して実施してもよいものである。このこと
は、ねじり補強部材10を構成しているねじり12につ
いても、ねじり加工が可能な材料であれば、同様にいえ
るものである。
【0052】さて、以上のようなねじり補強部材10
は、通常、次のような構成物を使用して、以下に示すよ
うに組立てられる。ねじり補強部材10を構成している
引張り材11としては、直径が約25mm程度の異形鉄
筋(表面に凹凸を多数形成したもの)を採用した場合
に、ねじり材12としては直径が約10mm程度の通常
鉄筋が採用される。このような引張り材11の頭部11
a近傍(直下)に、図5に示したように、ねじり材12
支持用の取付クリップ13を取付ることもある。引張り
材11の表面は前述した通り多数の凹凸があって、それ
だけで各ねじり材12の一体化は後述する理由によって
も確実に行えるものであるが、この引張り材11に弾力
性のある取付クリップ13を嵌めておいて、この取付ク
リップ13を利用するようにすれば、各ねじり材12の
引張り材11に対する一体化をより一層確実に行えるこ
とは言うまでもない。なお、本実施形態での各取付クリ
ップ13は、図5に示したように、引張り材11に嵌合
される取付部13aと、この取付部13aの両側に突出
する連結部13bとからなるものであり、この13bに
は、各ねじり材12の外端部12aが挿入されて連結さ
れる。
【0053】そこで、今度は、図6に示すように、まず
1本のねじり材12を引張り材11の外周に巻き付け
る。つまり、各ねじり材12には、丁度木にからまって
いた「つた」のような「ねじり」が予め付与してあり、
図6に示した本実施形態のものの場合、その全長に対し
て、1.5回のねじりが付与してある。このねじりによ
って、ねじり材12は引張り材11の外周面に自然に絡
み付くような状態で取付けられることになるのであり、
その予め付与してあったねじりによって引張り材11の
外周面にぴったりと保持されることになる。2本目のね
じり材12についても同様にすれば、図7に示したよう
に、互いに重なり合うことなく、引張り材11の外周面
に取付られる。この場合、前述した取付クリップ13を
使用してもよい。
【0054】以上のことだけで、2本のねじり材12
の、1本の引張り材11に対する取付は十分であるが、
必要であれば、図8に示したように、取付クリップ13
以外の部分において結束バンドを使用して、各引張り材
11とねじり材12との一体化を行うようにしてもよ
い。なお、この組付作業は、予めねじりを付与したねじ
り材12を使用すれば、施工現場においても、組立工具
なしで簡単に行える。しかも、組立後は、各ねじり材1
2の変形抵抗により、強い拘束力で引っ張り材11と結
合することができる。
【0055】各ねじり材12は、図1や図2に示したよ
うに、引張り材11の全長にわたって取付けるようにし
てもよいが、図10に示すような代表的位置にのみ取付
るように実施してもよい。引張り材11のどの位置にね
じり材12を取付けるかは、施工現場の状況による。例
えば、ボーリング調査によって「すべり面」が生じ易い
部分が、図10の一点鎖線で示した位置にあると分かっ
たとすれば、この部分を中心にして各ねじり材12を設
けるようにすればよいし、相当な深さまでぜい弱地盤が
続いているとすれば、これを通り越した先端(内奥)に
各ねじり材12を取付けるようにすればよい。
【0056】以上のように形成された本発明のねじり補
強部材10は、次のようにして施工され、プレキャスト
支持板40等の法面20上に対する固定がなされる。ま
ず、法面20に対しては、従来の安定化工法と同様に、
当該ねじり補強部材10が挿入されるべき取付孔21を
形成するのであり、この取付孔21内にグラウト14を
注入しておく。その後、完成されたねじり補強部材10
をこのグラウト14中に埋設すれば、前述したように、
各ねじり材12が案内役を果たすことにより、ねじり補
強部材10の周囲に、図2等に示したように、グラウト
14が打設された状態となる。
【0057】このグラウト14が固化する前に、図3及
び図4に示したように、法面20上に設置したプレキャ
スト支持板40に対して、例えば引張り材11の頭部1
1aに螺着したナットとプレキャスト支持板40との当
接により、ねじり補強部材10のプレキャスト支持板4
0に対する連結調整を行うのである。
【0058】このねじり補強部材10のプレキャスト支
持板40に対する連結は、図4の(1)〜(3)の手段
を採用して行ってもよい。図4の(1)では、プレキャ
スト支持板40の中心に形成してある連結穴41に各ね
じり材12の外端部12aを臨ませておいて、この連結
穴41内にグラウト14を注入して固化させることによ
り行うものである。図4の(2)では、連結穴41内に
臨ませた各ねじり材12の外端部12aをねじり補強部
材10形に曲げて、これをプレキャスト支持板40側に
係合させる。このような状態で、連結穴41にグラウト
14を注入して固化させることによりねじり補強部材1
0とプレキャスト支持板40との連結を行うものであ
る。図4の(3)では、各ねじり材12の上端に、例え
ば螺着によりグリップ12bを取り付けておき、このグ
リップ12bを有するねじり材12を引張り材11に巻
き付けたねじり補強部材10が示してある。このねじり
補強部材10では、これに引っ張り力が作用した場合
に、グリップ12b部分の剪断面の大きさから、引っ張
り抵抗力が確保できることになる。これにより、このね
じり補強部材10もプレキャスト支持板40等に対する
連結を確実に行うものである。
【0059】勿論、本発明のねじり補強部材10は、図
11に示した吹付法枠30の固定にも利用される。つま
り、図12に示したアンカーバー32に代えて本発明の
ねじり補強部材10を使用し、このねじり補強部材10
によって吹付法枠30を構成するための法枠31を法面
20上に固定するのである。その後に、法枠31にモル
タル等を吹き付けて吹付法枠30とすることは、従来の
吹付法枠工と同様であるが、図11に示したものでは、
その剪断強度や曲げ強度、そして引張り強度が従来の吹
付法材より向上していることは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】以上、詳述した通り、まず請求項1に係
る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「法面20上に形成あるいは設置した吹付法枠30用の
法枠31あるいはプレキャスト支持板40等を法面20
上に固定すべく、法面20内に埋設されてその上端側で
法枠31あるいはプレキャスト支持板40等に連結され
るねじり補強部材10であって、このねじり補強部材1
0を、鉄筋等によって略直線状に形成した引張り材11
と、この引張り材11の外周表面に沿わせるべく鉄筋等
によって緩やかな曲線でねじり加工したねじり材12と
により構成したこと」にその構成上の特徴があり、これ
により、引張り強度、剪断強度及び曲げ強度を十分高く
することができ、しかも低コストなものとすることので
きるねじり補強部材10を提供することができるのであ
る。
【0061】すなわち、この請求項1のねじり補強部材
10によれば、 固化したグラウト14に対して、引張り材11自体が
有する抵抗力と、各ねじり材12がグラウト14中にて
ねじられた状態で存在することによる抵抗力とによっ
て、当該ねじり補強部材10は、十分な引張り強度を有
したものであることは当然として、ねじり材12が引張
り材11の外周に存在していることにより、法面20と
略平行な全ての方向に対する抵抗力が増大されて、増大
された剪断強度及び曲げ強度を発揮することができるの
である。
【0062】また、このねじり補強部材10は、ねじ
り補強部材10の外周に一体化した各ねじり材12によ
る案内面を有していて、底から登ってくる固化していな
いグラウト14、あるいは取付孔21から崩れた土や小
石の案内を行うことになるため、取付孔21内に挿入す
るにあたっての作業を簡単にすることができるだけでな
く、各ねじり材12によって引張り材11を取付孔21
の中心に位置させることができる。
【0063】このねじり補強部材10は、略直線状の
引張り材11を中心にして、これに少なくとも1本のね
じり材12を巻き付けることにより構成でき、しかも上
記及びのようにその強度を増大させることができる
ため、設計された剪断強度、曲げ強度及び引張り強度を
達成するものとして、従来のものに比較して安価に提供
することができる。
【0064】また、請求項2に係る発明においては、上
記請求項1のねじり補強部材10について、「各ねじり
材12は、引張り材11の先端部、中間部あるいは頭部
等の少なくとも一部に沿わせるようにしたこと」にその
構成上の特徴があり、これにより、請求項1のねじり補
強部材10と同様な効果を発揮することができる他、少
ないねじり材12でも十分なものとすることができ、安
価なねじり補強部材10とすることができるのである。
【0065】そして、請求項3に係る発明においては、
上記請求項1または2のねじり補強部材10について、
「ねじり加工は、引張り材11に対して少なくとも1巻
行うようにしたこと」にその構成上の特徴があり、これ
により、上記の効果を発揮できる他、少ない加工で十分
な機能を発揮することができ、これによっても、このね
じり補強部材10を安価なものすることができるのであ
る。さらに、請求項4に係る発明においては、 「法面2
0上に形成あるいは設置した吹付法枠30用の法枠31
あるいはプレキャスト支持板40等を法面20上に固定
すべく、法面20を構成している地山内に埋設されてそ
の上端側で法枠31あるいはプレキャスト支持板40等
に連結されるねじり補強部材10の製造方法であって、
鉄筋等によって略直線状に形成した引張り材11と、こ
の引張り材11の先端部、中間部あるいは頭部等の少な
くとも一部に沿わせることのできる長さを有し鉄筋等に
よって形成したねじり材12とを用意して、このねじり
材12に、引張り材11の外周表面に少なくとも1巻で
沿わせるべく緩やかな曲線でねじり加工を施し、 このね
じり材12の一端を引張り材11の先端部、中間部ある
いは頭部等のいずれかに宛って固定したまま、他端を引
張り材11の外周にて少なくとも1巻させることによ
り、このねじり材12を引張り材11上に巻き付けて一
体化するようにしたことを特徴とするねじり補強部材1
0の製造方法」であり、これにより、この請求項4の製
造方法によれば、ねじり補強部材10を法面20に形成
した取付孔21内に挿入するにあたって、ねじり材12
の引張り材11に対する一体化作業を簡単に行うことが
できるのである。 すなわち、この製造方法によれば、ね
じり材12には枝に絡まる「つた」のようなねじり加工
が施してあるため、このねじり材12を略直線状の引張
り材11に沿わせるようにすることにより、このねじり
材12は、引張り材11に対してつたが枝に絡まるよう
に自然に一体化することができるのであり、施工現場に
おいてもねじり補強部材10自体の製造が容易に行える
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るねじり補強部材を示す法面の縦断
面図である。
【図2】同ねじり補強部材を法面に形成した取付孔内に
挿入したときの状態を示す部分拡大断面図である。
【図3】同法面の縦断面図である。
【図4】ねじり補強部材の上部とプレキャスト支持板と
の連結状態を、〜の3種類で示す部分拡大断面図で
ある。
【図5】引張り材の端部に取付クリップを取付ける状態
を示すもので、(a)は取付前の部分斜視図、(b)は
取付後の部分斜視図である。
【図6】引張り材に取付クリップを利用して1本目のね
じり材を取付ける様子を示した正面図である。
【図7】引張り材に2本目のねじり材を取付けたときの
正面図である。
【図8】両ねじり材の必要部部に結束バンドによる固定
を行ったときの正面図である。
【図9】本発明のねじり補強部材を採用したときの各評
価を行うための参考図であって、(a)は引張り補強材
として、(b)は剪断補強材として、そして(c)は曲
げ補強材としての評価を示す法面の部分断面図である。
【図10】ねじり材の取付位置の変化例を示す法面の断
面図である。
【図11】本発明に係るねじり補強部材によって擁壁や
フリーフレームを取付けたときの状態を示す法面の縦断
面図である。
【図12】従来のフリーフレーム工法を示す部分斜視図
である。
【図13】従来の鉄筋挿入工法を示す部分斜視図であ
る。
【図14】従来のグラウンドアンカー工法を示す縦断面
図である。
【図15】従来の別のグラウンドアンカー工法を示す縦
断面図である。
【図16】従来のアンカーケーブル工法を示す縦断面図
である。
【符号の説明】
10 ねじり補強部材 11 引張り材 11a 頭部 12 ねじり材 12a 外端部 12b グリップ 13 取付クリップ 13a 取付部 13b 連結部 14 グラウト 20 法面 21 取付孔 30 吹付法枠 31 法枠 32 アンカーバー 40 プレキャスト支持板 41 連結穴 50 グラウンドアンカー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−279818(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/80 E21D 20/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】法面上に形成あるいは設置した吹付法枠用
    の法枠あるいはプレキャスト支持板等を前記法面上に固
    定すべく、前記法面を構成している地山の取付孔内に埋
    設されてその上端側で前記法枠あるいはプレキャスト支
    持板等に連結されるねじり補強部材であって、 このねじり補強部材を、鉄筋等によって略直線状に形成
    した引張り材と、この引張り材の外周表面に沿わせるべ
    く鉄筋等によって緩やかな曲線でねじり加工したねじり
    材とにより構成し 予めねじり加工した前記ねじり材を前記引張り材の外周
    面に絡ませて一体化し たことを特徴とする法面及び地山
    補強のためのねじり補強部材。
  2. 【請求項2】前記各ねじり材は、前記引張り材の先端
    部、中間部あるいは頭部等の少なくとも一部に沿わせる
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の法面及び
    地山補強のためのねじり補強部材。
  3. 【請求項3】前記ねじり加工は、前記引張り材に対して
    少なくとも1巻行うようにしたことを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の法面及び地山補強のためのねじ
    り補強部材。
  4. 【請求項4】法面上に形成あるいは設置した吹付法枠用
    の法枠あるいはプレキャスト支持板等を前記法面上に固
    定すべく、前記法面を構成している地山の取付孔内に埋
    設されてその上端側で前記法枠あるいはプレキャスト支
    持板等に連結されるねじり補強部材の製造方法であっ
    て、 鉄筋等によって略直線状に形成した引張り材と、この引
    張り材の先端部、中間部あるいは頭部等の少なくとも一
    部に沿わせることのできる長さを有し鉄筋等によって形
    成したねじり材とを用意して、このねじり材に、前記引
    張り材の外周表面に少なくとも1巻で沿わせるべく緩や
    かな曲線でねじり加工を施し、 このねじり材の一端を前記引張り材の先端部、中間部あ
    るいは頭部等のいずれかに宛って固定したまま、他端
    を前記引張り材の外周にて少なくとも1巻させることに
    より、このねじり材を前記引張り材上に絡ませて一体化
    するようにしたことを特徴とするねじり補強部材の製造
    方法。
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