JP3464394B2 - 電気接続箱の排水構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の電気配
線に使用される電気接続箱の排水構造に関する。 【０００２】 【従来の技術】複雑な電気要素を有する自動車には、多
数の電気部品が使用されており、これらの電気部品間の
情報、信号又は電力の授受などの為の電気回路を一括的
に相互接続すべく、ジャンクションボックスやリレーボ
ックスなどの電気接続箱が一般に利用されている。 【０００３】この様な電気接続箱は、バスバーを配索し
た絶縁基板を積層して成る配線板組立体や各種電気部品
などが、合成樹脂製の射出成形体からなる箱状容器内に
収容されており、該箱状容器は例えば箱本体とロアカバ
ーとで分割構成されている。そして、該箱状容器にはワ
イヤーハーネス導出部としての開口が適宜設けられ、電
気接続箱内のコネクタ部に接続されたワイヤーハーネス
が該ハーネス導出部から引き出されて車体に配索され
る。 【０００４】ところで、この様な電気接続箱では、内部
に水が侵入して滞留すると、回路が短絡したり、リーク
電流が流れる虞があるので、通常は防水構造とされる。
しかしながら、例えば定期点検などでエンジンルーム内
を清掃する場合に勢いよくジェット噴射された水等は、
電気接続箱内に侵入し易い。又、電気接続箱内で結露が
生じ、電気接続箱内に水滴が溜まる場合もある。 【０００５】そこで、例えば図４に示した電気接続箱２
０のように、箱本体２２と共に電気接続箱２０を構成す
るロアカバー２１の底壁に傾斜壁２１ａを設けると共
に、最も低い底壁２１ｂの一端に排水口２３を設けるこ
とによって、電気接続箱２０の内部に侵入した水滴を傾
斜壁２１ａに沿って流し、前記底壁２１ｂに集めた水滴
を排水口２３より落下して外部に排出するように排水構
造を構成したものがある。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図４に
示すように、前記ロアカバー２１の側壁にワイヤーハー
ネス導出部２４が設けられる場合には、該ハーネス導出
部２４から内部に水が侵入し易いので、上述の如き排出
口２３だけでは水が抜けきらずにロアカバー２１内に水
が溜まってしまう。即ち、上記電気接続箱２０の如き排
水構造においては、ハーネス導出部２４から侵入した水
がロアカバー２１の側壁内面を伝わって排出口２３に達
しなければ排出されない。 【０００７】又、上述の如き排水構造では、排出される
水滴寸法よりも排水口２３の開口面積を充分に大きくし
て流れ易くすると、逆に外部から水が侵入する危険性が
増加する。又、排出口２３の開口面積を極めて小さくす
ると、ロアカバー２１内の水が排出され難くなる。従っ
て、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、ワ
イヤーハーネス導出部を備えながら内部に侵入した水を
速やかに排出することができる良好な電気接続箱の排水
構造を提供するものである。 【０００８】 【課題を解決するための手段】 本発明の上記目的は、
電気接続箱の底部を構成するロアカバーの側壁に形成さ
れるワイヤーハーネス導出部が、前記ロアカバーの底壁
に達する切り欠き開口として形成されると共に、前記底
壁に形成される排水用開口部が、前記切り欠き開口の下
部に連続して前記底壁の下方まで開口される凹状の開口
と、該開口から前記ロアカバーの内底面に連続する傾斜
壁とを有し、前記排水用開口部の幅を前記ワイヤハーネ
ス導出部の幅よりも狭く形成することを特徴とする電気
接続箱の排水構造により達成される。 【０００９】上記構成によれば、電気接続箱内に侵入し
た水滴は、ロアカバーの内底面に形成された傾斜壁に沿
って流れ、ロアカバーの底壁の下方まで開口している排
水用開口部の開口より外部へ排出される。更に、ワイヤ
ーハーネス導出部の直下に前記排水用開口部の開口が形
成されるので、該ワイヤーハーネス導出部から侵入しよ
うとうする水滴は速やかに前記傾斜壁を伝わって前記開
口から外部へ排出され、電気接続箱内に深く侵入するこ
とはできない。又、ワイヤーハーネス導出部にワイヤー
ハーネスが隙間無く挿通されている場合でも、前記排水
用開口部がワイヤーハーネスで塞がれてしまうことはな
いので、電気接続箱内の水滴は前記傾斜壁に沿って流
れ、前記開口より外部へ排出される。 【００１０】 【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態を詳細に説明する。図１は本発明の排水構
造を備えた電気接続箱の概略分解斜視図であり、図２は
図１に示した排水構造の要部正面図であり、図３は図２
のＡ−Ａ線における要部断面図である。 【００１１】図１に示した電気接続箱１は、絶縁基板を
積層して成る配線板組立体や各種電気部品等（図示せ
ず）が収容される合成樹脂製の射出成形体からなる箱状
容器であり、前記電気接続箱１の底部を構成するロアカ
バー３と、該ロアカバー３の上面を覆うアッパーケース
２とから成る。これらアッパーケース２とロアカバー３
とは、各周壁の端縁を突き合せることによりほぼ気密に
蓋され、アッパーケース２の下縁周囲に形成されたフラ
ンジ部にそれぞれ開口された係止孔４にロアカバー３の
上縁側面に形成された係止爪５が弾性的に係合すること
で、閉蓋した状態ではずれ止めがなされる。尚、バック
ル固定手段などによってはずれ止めがなされるものもあ
る。 【００１２】前記ロアカバー３の二側壁には、それぞれ
車体取付用ブラケット部６がＬ字形をなして一体に立ち
上げ形成されており、各ブラケット６をボルトＢを介し
て車体側に取付るようになっている。各ブラケット部６
の近傍におけるロアカバー３の側壁には、上部からほぼ
Ｕ字形に切り欠かれ、該ロアカバー３の底壁に達する切
り欠き開口としてワイヤーハーネス導出部７が形成され
ている。 【００１３】前記ワイヤーハーネス導出部７からは、電
気接続箱１内のコネクタ部（図示せず）に一端を接続さ
れたワイヤーハーネス９が引き出され、車体に配索され
る。即ち、絶縁テープ８が巻回された各ワイヤーハーネ
ス９をそれぞれ対応するワイヤーハーネス導出部７に沿
わせた状態で、アッパーケース２を被せることにより、
閉蓋状態において各ワイヤーハーネス９をワイヤーハー
ネス導出部７に挿通している。 【００１４】更に、前記ロアカバー３の底壁には、切り
欠き開口として形成されたワイヤーハーネス導出部７の
下部に連続して当該底壁の下方まで開口される凹状の開
口１０と、該開口１０から前記ロアカバー３の内底面３
ａに連続する傾斜壁１１とを有する排水用開口部１２が
形成されている。即ち、図２に示すように、前記開口１
０は正面から見て略矩形状の開口であり、該開口部１０
から内方へ向かって徐々に上りの傾斜壁１１が形成され
ていいる。 【００１５】そこで、本発明の実施形態に係る上記排水
構造によれば、絶縁テープ８とワイヤーハーネス導出部
７との間や、ワイヤーハーネス９の電線間などから毛細
管現象により電気接続箱１内部に侵入した水、あるいは
内部で発生した結露水等の水滴Ｗは、図３に示すよう
に、ロアカバー３の内底面３ａに形成された前記傾斜壁
１１に沿って流れ、ロアカバー３の底壁の下方まで開口
している排水用開口部１２の開口１０より外部へ排出さ
れる。 【００１６】更に、ワイヤーハーネス導出部７の直下に
前記排水用開口部１２の開口１０が形成されているの
で、該ワイヤーハーネス導出部７から侵入しようとうす
る水滴Ｗは速やかに前記傾斜壁１１を伝わって前記開口
１０から外部へ排出され、電気接続箱１内に深く侵入す
ることはできない。 【００１７】又、前記ワイヤーハーネス導出部７にワイ
ヤーハーネス９が隙間無く挿通されている場合でも、前
記排水用開口部１２がワイヤーハーネス９で塞がれてし
まうことはないので、電気接続箱１内の水滴Ｗは前記傾
斜壁１１に沿って流れ、開口１０より外部へ排出され
る。従って、本実施形態の電気接続箱１は、ロアカバー
３の側壁にワイヤーハーネス導出部７が形成されている
にも関わらず、内部に水が侵入して滞留することにより
回路が短絡したり、リーク電流が流れる虞がない。 【００１８】尚、本発明の電気接続箱の排水構造は、上
記実施形態の電気接続箱１の構成に限定されるものでは
なく、例えばロアカバーの形状、ワイヤーハーネス導出
部としてロアカバーの側壁に形成される切り欠き開口の
形状、排水用開口部の開口形状及び傾斜壁の形状など
は、本発明の趣旨に基づいて適宜変更可能であることは
言うまでもない。又、上記実施形態においては、前記排
水用開口部の開口からロアカバーの内底面に連続する傾
斜壁を該ロアカバー内底面の全面に渡って形成すること
もできる。 【００１９】 【発明の効果】 以上の説明により明らかなように、本
発明の電気接続箱の排水構造は、電気接続箱の底部を構
成するロアカバーの側壁に形成されるワイヤーハーネス
導出部が、前記ロアカバーの底壁に達する切り欠き開口
として形成されると共に、前記底壁に形成される排水用
開口部が、前記切り欠き開口の下部に連続して前記底壁
の下方まで開口される凹状の開口と、該開口から前記ロ
アカバーの内底面に連続する傾斜壁とを有し、前記排水
用開口部の幅を前記ワイヤハーネス導出部の幅よりも狭
く形成する。 【００２０】そこで、電気接続箱内に侵入した水滴は、
ロアカバーの内底面に形成された傾斜壁に沿って流れ、
ロアカバーの底壁の下方まで開口している排水用開口部
の開口より外部へ排出される。更に、ワイヤーハーネス
導出部の直下に前記排水用開口部の開口が形成されるの
で、該ワイヤーハーネス導出部から侵入しようとうする
水滴は速やかに前記傾斜壁を伝わって前記開口から外部
へ排出され、電気接続箱内に深く侵入することはできな
い。 【００２１】又、ワイヤーハーネス導出部にワイヤーハ
ーネスが隙間無く挿通されている場合でも、前記排水用
開口部がワイヤーハーネスで塞がれてしまうことはない
ので、電気接続箱内の水滴は前記傾斜壁に沿って流れ、
前記開口より外部へ排出される。従って、ロアカバーの
側壁にワイヤーハーネス導出部が形成されているにも関
わらず、内部に侵入した水を速やかに排出することがで
き、内部に水が侵入して滞留することにより回路が短絡
したり、リーク電流が流れる虞がない良好な電気接続箱
の排水構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の排水構造を備えた電気接続箱の概略分
解斜視図である。 【図２】図１に示した排水構造の要部正面図である。 【図３】図２のＡ−Ａ線における要部断面図である。 【図４】従来の排水構造を備えた電気接続箱の概略分解
斜視図である。 【符号の説明】 １ 電気接続箱 ２ アッパーケース ３ ロアカバー ３ａ ロアカバーの内底面 ７ ワイヤーハーネス導出部 ８ 絶縁テープ ９ ワイヤーハーネス １０ 開口 １１ 傾斜壁 １２ 排水用開口部

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02G 3/08 H05K 5/00 B60R 16/02

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 電気接続箱の底部を構成するロアカバー
   の側壁に形成されるワイヤーハーネス導出部が、前記ロ
   アカバーの底壁に達する切り欠き開口として形成される
   と共に、前記底壁に形成される排水用開口部が、前記切
   り欠き開口の下部に連続して前記底壁の下方まで開口さ
   れる凹状の開口と、該開口から前記ロアカバーの内底面
   に連続する傾斜壁とを有し、前記排水用開口部の幅を前
   記ワイヤハーネス導出部の幅よりも狭く形成することを
   特徴とする電気接続箱の排水構造。