JP3463240B2 - 防汚塗料用添加剤 - Google Patents

防汚塗料用添加剤

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は防汚塗料用添加剤に
関し、より具体的には鋼船、FRP船、木船等の各種材
料からなる船舶の船底、水中構造物、養殖用網を含む各
種魚網、浮標、工業用水系設備等への海中生物の付着、
あるいは海藻類の付着を防止することが出来る防汚塗料
用添加剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、船舶や水中構造物、魚網等にフジ
ツボ、イガイ、藻類等の海中生物の付着による腐食防止
や船舶の航行速度の低下防止を目的として、ロジンや有
機錫を含有する防汚塗料が塗装されている。また養殖用
網においても各種生物の付着による魚介類の死滅防止を
目的として同様にロジンや有機錫を含有する防汚塗料が
塗装されている。 【0003】海洋で航行している船舶のひとつの問題点
として、船底につく海中生物による被害が挙げられる。
船底も含め海面に沈んでいるすべての部分に付着する藻
や貝類等は、まるでジュウタンのように船底等につくた
め、航行する船舶の大きな抵抗力となり、いろいろな悪
影響がでている。例えば、全く付着物のない船が80%
の出力で10ノットで航行できるとする。この船に付着
物が多く付くと同じ80%の出力で5〜6ノットしか出
なくなる。そのため出力を上げて航行しエンジンを傷め
たりしてしまうこととなる。実際、船舶にとって付着物
は、航行するのに大きな抵抗力となるため、エンジン
の負荷の増大燃料費の増大船体自体を傷める、など
の被害を出している。 【0004】これらの被害の打開策としては、船底及び
側面に塗料を塗る方法がある。この塗料には、うなぎの
肌のように表面がヌルヌルするような性質があり、付着
物が付きにくいような工夫がされている。とくに最近で
は、塗料も技術開発が進み塗料自体が少しづつ溶けるも
の(加水分解型塗料)や、少しづつ剥がれるようになっ
ているもの(自己研磨型塗料)もできているが、それら
の特殊塗料を使ってもカキガラ・藻・アオサ等の付着物
は、充分には排除できていない。そのうえ塗料が溶けて
なくなる前に、塗料の再塗装の作業をしなくてはならな
い。また有機錫等の毒性の強い塗料成分は魚介類に悪い
影響を与えるだけでなく、海洋汚染の一因ともなり好ま
しくない。 【0005】また船舶等に対する塗料の剥離、消耗等に
より塗装作業は実際、小型船舶では3〜6ヶ月に一度、
100m級の大きな船は1年に一度、塗料の塗り直し作
業を行っている。塗装作業に際しては、まず付着物を取
り除き、表面の汚れや塩分などを洗い流したあと塗装を
行うのであるが、大型船になると付着物を取り除くだけ
でも大変な作業で、全行程を終わらせるのに一週間ぐら
いかかることとなる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】現在世界各国で利用さ
れている船舶、この船こそが世界経済を物流という面で
支えているといっても過言ではない。タンカー、貨物
船、客船等のありとあらゆる種類の船があるが、これら
の船に絶対的に必要なのが塗装であり、同時に船体に付
着するカキガラ、藻類等の付着物の問題が挙げられる。 【0007】船舶用塗料での問題点は、海の中に住む生
物が船体に付着し成長すると共に船の抵抗が大きくなり
スピードが低下し、燃料の増大や、船のエンジンに負荷
がかかり、エンジンの寿命は短くなり、又船体の振動が
増し船体の傷みが早くなる。この大きな問題点の最大の
要因は、カキガラ・藻・アオサなどの海中生物等の付着
であり、この付着を減少させることを目的として下記の
方法による製品化が試みられている。すなわち、自己
研磨型塗料と加水分解型塗料である。 【0008】自己研磨型塗料 自己研磨型塗料の一例として、有機珪素含有共重合体を
用いたものがある。自己研磨型塗料は船の推進力を利用
し、塗料が剥がれ落ちることで、付着したカキガラ・藻
・アオサなども一緒に海中に落ちるようにしたものであ
る。しかし自己研磨型塗料を木造船などに適用した場合
は、船底部が平らでないため溝の部分の塗料が剥がれづ
らいので、カキガラ・藻・アオサなどの生物の付着は避
けられないという難点がある。 【0009】加水分解型塗料 加水分解型塗料の一例として、トリアルキル錫含有高分
子を防汚成分とするものがある。加水分解型塗料は塗料
自体が海水(塩水)と加水分解し、有機錫化合物などを
溶出するとともに塗料ビヒクルが水溶化し、配合した防
汚剤が溶出することでカキガラ・藻・アオサなどの生物
と共に海中に落ちる。しかし加水分解型塗料はFRP船
には塗れるがアルミ船には塗料がアルミと化学反応を起
こし有害な物質を反応させるため使用できない。又海水
(塩水)との反応を利用するため湖や大河(淡水)での
効果は望めない。 【0010】上記の方法では、塗料自体の剥がれ又
は成分の流出を利用するため、塗料接着期間は約6ヶ月
ぐらいと比較的短期間である。これに対し塗料メーカー
各社とも生物が出来る限り船体に付着せず、塗料の接着
期間を伸ばすような開発に取り組んでいるが未だ効果的
な解決策が得られていない。 【0011】本発明の目的は上記従来の課題を解決する
為になされたもので、カキガラ、藻類等の海中生物等の
付着を減少させ、燃料の節約、塗料の接着期間が長く、
かつ塗装作業の簡素化などができ、しかも毒性に基づく
海洋汚染を生ずることのない防汚塗料用添加剤を提供す
ることにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明に係る防汚塗料用
添加剤は、防汚塗料の添加剤として使用するものであっ
て、各平均粒子径が3〜10μmである常時マイナスイ
オンを放出するモナズ石粉体と電気石粉体との混合物を
主成分とし、その混合物の混合割合はモナズ石粉体40
重量%〜60重量%に対して電気石粉体60重量%〜4
0重量%としたものである。 【0013】常時マイナスイオンを放出する物質の代表
例であるモナズ石はセリウム、ランタンのリン酸塩鉱物
である。本発明で使用するモナズ石の成分は、例えばF
の含有率は8.7重量%(以下、含有率は重量%で表示
する)、MgOの含有率は0.62、Alの含有
率は0.72、SiOの含有率は5.2、P
含有率は2.3、SOの含有率は4.4、Clの含有
率は1.1、KOの含有率は0.074、CaOの含
有率は1.8、Krの含有率は0.019、SrOの含
有率は1.2、BaOの含有率は4.5、La
含有率は23、CeOの含有率は34、Pr11
の含有率は3.3、Ndの含有率は8.1、Sm
の含有率は0.76、ThOの含有率は0.1
6であるものを使用した。モナズ石の成分および含有率
は必ずしも上記成分に限定されるものではなく、含有率
の数値も異なる場合がある。いずれにしても、このモナ
ズ石はそれ自体常時、マイナスイオンを出している。上
記成分のモナズ石を使用した場合のイオンの測定結果を
図1に示す。このマイナスイオンは殺菌力を有し藻の発
生を防ぎ、ひいてはフジツボ、イガイ等の貝殻の付着を
防ぐことが出来る。 【0014】常時マイナスイオンを放出するモナズ石粉
体及び後述する電気石粉体の平均粒径は3〜10μmと
する。粉体の粒径をあまり大きくすると、船体等に塗布
する防汚塗料の添加剤によって船舶のスピードの低下の
一因となる上に、塗料との接着性が劣り、かつ塗りづら
い等の問題がある。反対に粉体の粒径を小さくし過ぎる
と、船舶のスピードが出る反面、微粉化によるコスト高
の一因ともなり好ましくない。 【0015】一方、電気石はトーマリン(tourma
line)とも言い、ホウ素を含むシクロケイ酸塩鉱物
である。この組成の一般式はXYSi
27(O,OH,F)(X=Ca,Na,K,Mn,
Y=Mg,Fe,Al,Cr,Mn,Ti,Li)で示
される。電気石の種類としては、Dravite(ドラ
バイト)苦土電気石(変成岩やペグマタイトの中に産出
される)、Schori(ショール)鉄電気石(ペグマ
タイトの中に産出される)、Elbaite(エルバイ
ト)リチア電気石(鱗片状のリチア雲母の中に産出され
る)などがある。電気石の性質は電極によるマイナス電
子の吸着作用がある他、圧電効果、焦電効果がある。ま
た水の電気分解作用や水の界面活性効果がある。電気石
は水に触れると瞬間的に水中に放電される。周囲の水は
電気分解を起こし、水の分子は水素イオンと水酸イオン
に分離する。水素イオンは周囲の水分子と結合して、ヒ
ドロキシルイオン(H)と呼ばれる界面活性物質
に変化し、ヒドロキシルイオンによって単分子膜を作
り、界面活性効果が発生することとなる。 (以下余白) 【0016】本発明で使用した電気石の例として、鉱石
(グライゼン)の成分及びその量を表1に示すが、必ず
しもその成分及び数値はこれに限定されない。 【表1】 【0017】常時マイナスイオンを放出するモナズ石粉
体と電気石粉体とを混合することとした理由は、常時マ
イナスイオンを放出する物質の粉体単独では船体等に付
着する藻や貝殻等の防汚作用が十分ではなく、両者を混
合して初めてマイナスイオン放出効果が相乗的に増すこ
ととなり、防汚効果が高まることとなる。また前記常時
マイナスイオンを放出する物質の粉体と電気石粉体との
混合割合も常時マイナスイオンを放出する物質の粉体4
0重量%〜60重量%に対して電気石粉体60重量%〜
40重量%であり、好ましくは両者同一比率が良い。な
お、常時マイナスイオンを放出する物質の粉体と電気石
粉体との混合に際しては、上記性質を阻害しない範囲で
セラミックス粉体や鉱石粉体などを混合してもよい。特
に、遠赤外線物質を放射する物質の粉体は防汚効果に良
い影響を与えることとなる。 【0018】船舶等の防汚塗料に添加する場合の本発明
に係る添加剤の添加量は、防汚塗料100重量%に対し
て5から20重量%とする。この範囲を外れると、本発
明で意図した効果が十分に発揮できない。また本発明に
係る添加剤を多く入れ過ぎると、塗料との接着性が悪く
なる。好ましい添加量は防汚塗料100重量%に対して
10重量%前後であることが良い。本発明では使用する
船舶等の防汚塗料は原則として、加水分解型塗料、自己
研磨型塗料その他各種塗料であっても良いが、有機錫等
の海洋汚染につながる有害物質を含有する防汚塗料には
適用しない。 【0019】 【実施例】実施例1 テストの組成は次のように準備された。アクリルロジ
ン、ロジン、エチレン酢酸・ビニル共重合体を主成分と
する塗料100重量%に対して、(A)10重量%のモ
ナズ石(B)10重量%の電気石(C)5重量%のモナ
ズ石及び5重量%の電気石を混合した。この3種類の塗
料混合物をFRP船に塗布量190g/mを塗布し
た。塗布に際しては次の作業を行った。まず、船を海か
ら引き上げ、陸に上架した。次に、船体表面の付着物除
去を行う。付着した海中生物、汚れ、油分などをスクレ
ーパー、シンナー拭き等で除去する。次に船の清水洗い
を行う。表面の塩分を除去し、十分乾燥させる。FRP
船の表面が露出している場合は、サンドペーパー等で平
らにする。そして、塗料を塗装し、5時間以上間隔をあ
け、再び塗る。塗装後、20℃で12時間以上乾燥させ
る。乾燥後、船体を水中に戻す。上記の塗装の完了から
2ヶ月後に、船体の表面にアオサ等の藻やカキガラ等の
貝殻や海洋有機物の付着を検査した。結果は次の通りで
ある。 (A)海水に2ヶ月おいて、非常に多量付着した。 (B)海水に2ヶ月おいて、非常に多量付着した。 (C)海水に7ヶ月おいても付着は見られなかった。 上記のように、本発明は次のような特有の効果を奏す
る。 【0020】 【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、次
のような特有の効果を奏する。 カキガラ・藻・アオサなどの生物の付着をマイナスイ
オンの作用によって大幅に少なくすることが出来る。 塗料脱着期間を従来よりも大幅に伸ばすことが出来
る。 従来の塗料より燃料費の節約ができる。 海水(塩水)・湖や大河(淡水)を問わず防汚効果が
望める。 現在使用されている塗料では6ヶ月または1年に一度、
塗料の塗り直し作業を行わなければならない。しかし、
本発明に係る添加剤を塗料に添加して塗布すると、2年
に一度、3年に一度と延びることによる経費の削減は、
非常に大きい影響をもたらす。また塗料の塗布期間を伸
ばすだけにとどまらず、航行スピード、エンジンの負荷
の軽減、船体の傷みの軽減などにまで影響をもたらし、
その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に使用するモナズ石のマイナスイオンの
発生数を示すグラフである。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 防汚塗料の添加剤として使用するもので
    あって、各平均粒子径が3〜10μmである常時マイナ
    スイオンを放出するモナズ石粉体と電気石粉体との混合
    物を主成分とし、その混合物の混合割合はモナズ石粉体
    40重量%〜60重量%に対して電気石粉体60重量%
    〜40重量%であることを特徴とする防汚塗料用添加
    剤。
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