JP3461777B2 - 車両用シート構造 - Google Patents

車両用シート構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用シート構造に
関し、特にチャイルドシートを取付けるためのロック金
具を配設した車両用シート構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チャイルドシートを車両用シートに装着
する方式のISO規格として、図4に示すように、車両
用シート20のシートクッション21上にチャイルドシ
ート23を設置し、シートクッション21の後端後部で
かつシートバック22の下端下部の位置に、丸棒をハッ
ト断面形状ないしコ字状に折り曲げ成形したロック金具
24を車体側に固着して配設し、シートクッション21
上に配置したチャイルドシート23の後部下端から後方
に延出した連結具25の後端に設けられた係止溝26内
にロック金具24の先端部を挿入して係合させることに
より、チャイルドシート23を固定するようにしたもの
が提案されている。
【0003】上記ロック金具24は、各チャイルドシー
トに一対づつリヤフロアの左右方向に複数対配設され、
かつ各対のロック金具24はその先端部で所定の強度と
剛性が要求されるとともに位置精度が要求されるため、
乗用車等、リヤフロアとシートクッション21との間で
段差が小さい場合は、図5に示すように、取付強度を確
保するためのロック金具取付板27を用い、これに治具
を用いて両ロック金具24を位置決めした状態でその基
部を溶接固着し、このロック金具取付板27をリヤフロ
アに固定ボルト28等で締結固定して取付けている。な
お、リヤフロアは車幅方向両側部で隆起している場合が
あり、その場合ロック金具取付板27は平板でなく、中
間部で屈曲しており、ロック金具24の形状も車幅方向
外側のものと内側のもので異なっている。
【0004】また、リヤフロアとシートクッション21
との間で段差が大きい場合は、図6に示すように、シー
トクッションフレーム29又はシートバックフレームに
ロック金具24を取付けている。
【0005】一方、リヤシートを折り畳んでリヤシート
の配置部まで車体後部の荷室空間を拡張できるようにし
た車両が近年提案されているが、このようにリヤシート
を折り畳み可能とした車両において、そのリヤシートに
上記のようにロック金具を配設した場合の工夫について
は提案されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、シートクッ
ションを退避させた後シートバックを前倒しして折り畳
み可能に構成した車両用シートにおいて、図5、図6に
示すようなロック金具24を単純に配設した場合には、
シートバックの折り畳み時にシートバックとロック金具
が干渉して、シートバックの折り畳み動作に支障を来し
たり、シートバックの表皮が破れたりする恐れがあると
いう問題がある。また、ロック金具の先端部が折り畳ん
だシートバックの背面より上方に突出し、荷役作業の妨
げになったり、荷物に傷を付けたり、ロック金具を変形
させたりする恐れがあるという問題がある。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、シー
トバックを前倒しする時にロック金具と干渉せず、また
ロック金具が上方に突出せず、シートバックが損傷した
り、荷物を傷つけたり、ロック金具が変形したりする恐
れのない車両用シート構造を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用シート構
造は、シートクッションを退避させた後シートバックを
前倒しして折り畳み可能に構成した車両用シートにおい
て、シートバックの回転中心をシートバックの下端付近
に配設し、シートクッション上に載置したチャイルドシ
ートを固定するためのロック金具をその先端部がシート
バックとシートクッションの隙間に臨むように配設し、
シートバックの下端部における車幅方向の少なくともロ
ック金具が存在する部分にシートバックの前倒し時にロ
ック金具との干渉を避ける切欠部を設けたものであり、
シートバックを前倒しして折り畳む際にロック金具と干
渉しないので、シートバックの前倒し操作に支障を生じ
たり、シートバックの表皮に破れを生じる等の恐れを無
くすことができる。
【0009】また、車両用シートを折り畳んだ状態で、
ロック金具がシートバック背面より低くなるように構成
すると、シートバック背面より上方にロック金具が飛び
出さず、荷役作業の妨げにならず、荷物の傷付きやロッ
ク金具の変形を防止することができる。
【0010】また、シートクッションの後端部を上方に
盛り上げ形成し、切欠部分の隙間を埋めるように構成す
ると、上記のように切欠部を設けていてもチャイルドシ
ートを外した状態でロック金具が見え難く、見栄えの悪
化も防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両用シート構造
の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明す
る。
【0012】本実施形態の車両用シートの基本構成を示
す図1において、1は自動車の車室後部の床面を構成し
ているリヤフロアメンバ、2はその上に設置されたリヤ
シートである。リヤシート2はシートクッション3をシ
ートレッグ部4上に設置するとともに、その後端部から
上方に向けてシートバック5を配設して構成されてい
る。シートクッション3は、図1(a)の使用状態から
図1(b)に示すようにフロントシート(図示せず)と
の間に起立させた状態に退避可能に構成されている。シ
ートバック5は、図1(a)の使用状態で、回転中心と
なる枢支軸6回りに前後にリクライニング可能に、かつ
さらに図1(b)に示すようにその背面5aが略水平に
なる折り畳み状態まで前倒し可能に構成されている。こ
の状態で、シートバック5の背面5aは車体後部の荷室
のデッキ面17と略面一になるように構成されている。
枢支軸6は、シートバック5の下端部付近でかつその背
面5aの延長位置近傍に配設されている。
【0013】7は、シートクッション3上に載置したチ
ャイルドシート(図示せず)を固定するためのロック金
具で、その先端部の係合部がシートバック5の下端部と
シートクッション3の後端部の間の隙間8に臨み、かつ
図1(b)に示すようにシートバック5を前倒しした状
態でその背面5aより上方に突出することがないように
配設されている。また、シートバック5の下端部におけ
る車幅方向の少なくともロック金具7が存在する部分に
は、図1(b)に示すようにシートバック5を前倒しす
る時にロック金具7と干渉するのを避けるように切欠部
9が形成されている。
【0014】また、シートクッション3の後端部には、
上方に盛り上がる盛り上げ部10が形成されており、切
欠部9を設けたことによって生じる大きな隙間8を埋め
るように構成されている。なお、この盛り上げ部10を
シートクッション3の全幅にわたって形成すると、シー
トバック5の下端部の切欠部9をロック金具7の配設部
だけでなく、全幅にわたって形成しても大きな隙間8が
生じることが無くなり、シートバック5の下端部の形状
が複雑化せず、製造が容易になる。
【0015】次に、図2、図3を参照して具体的な構成
例について説明する。シートバック5はその両側の下端
部がリクライニング機構11を介して車体の車幅方向両
側部に配設された支持ブラケット12にて前後方向にリ
クライニング可能に支持されている。リクライニング機
構11は、シートバック5の両側下部に固定されたヒン
ジブラケット13を枢支軸6を介して支持ブラケット1
2にて前後に揺動自在に支持して構成され、かつヒンジ
ブラケット13に形成された係止歯13aに係止機構
(図示せず)を係止することによって任意の揺動位置で
係止固定できるように構成されている。
【0016】リヤフロアメンバ1上でリヤシート2の後
部位置には、車体幅方向に延びるクロスメンバ14が配
設されている。クロスメンバ14は、パイプ材にて構成
されるとともに、その両端部は板材を扁平な凹形状に曲
げ加工して構成された取付ブラケット15の内面に溶接
固着されている。この取付ブラケット15が支持ブラケ
ット12と共締めによってリヤフロアメンバ1の両側部
に形成された隆起部前面の傾斜面16に固定されてい
る。
【0017】クロスメンバ15には、リヤシート2に載
置される2席分のチャイルドシート(図示せず)を固定
するための2対のロック金具7が固着されている。これ
らロック金具7は丸棒材を平面視で略コ字状に折り曲げ
成形し、その両端部をパイプから成るクロスメンバ14
の外周に沿うように側面視で円弧状に曲げ成形して取付
脚部7aを形成して構成され、その取付脚部7aをクロ
スメンバ15の外周に溶接固着することによって取付け
られている。こうしてクロスメンバ15に取付けられた
ロック金具7は、クロスメンバ14から前方に向けて直
線状に延び、先端の係合部が上記のようにリヤシート2
のシートクッション3とシートバック5の間の隙間8に
臨んでいる。
【0018】以上の構成によれば、シートクッション3
を退避させた後シートバック5を前倒しして折り畳み可
能に構成したリヤシート2において、そのシートバック
5の下端部に切欠部9を形成し、シートバック5を前倒
しして折り畳む際にロック金具7と干渉することがない
ようにしたので、ロック金具7を設けてもシートバック
5の前倒し操作に支障を生じたり、シートバック5の表
皮に破れを生じる等の恐れが無い。
【0019】また、図1(b)及び図3に示すように、
シートクッション3を退避させ、シートバック5を折り
畳んだ状態で、ロック金具7がシートバック5の背面5
aより低く位置し、上方に飛び出さないようにしたの
で、ロック金具7が荷役作業の妨げになったり、荷役作
業時に荷物に傷が付いたり、ロック金具7に変形を生じ
てチャイルドシートの固定が円滑に出来なくなるなどの
障害の発生を確実に防止することができる。
【0020】また、シートクッション5の後端部に盛り
上げ部10を形成したので、上記切欠部9の形成によっ
てシートクッション3とシートバック5の間の隙間8が
大きくなっても、それを埋めることができ、チャイルド
シートを外した状態でロック金具7が見え難く、見栄え
の悪化も防止できる。
【0021】また、本実施形態ではリヤフロアメンバ1
上に配設した単一のクロスメンバ14にロック金具7を
固着しているので高い支持剛性を容易に確保でき、また
ロック金具7を1本のクロスメンバ14上に取付けてい
るため、各対のロック金具7を所定のピッチ精度で位置
決めするためのベースブラケットや複雑な治具を用いず
に簡単な治具を用いて作業性良く高いピッチ精度で取付
けることができる。また、ロック金具7の基本的な形状
を同一にできるため型費を削減できてコストを低減でき
る。
【0022】また、クロスメンバ14の両端部を取付ブ
ラケット15を介してリヤシート2の支持ブラケット1
2と共締めにてリヤフロアメンバ1に固定しているの
で、リヤフロアメンバ1に別の取付穴を設ける必要がな
く、またリヤシート2とクロスメンバ14を接近させて
配設できるためロック金具7の長さを短くできてその支
持剛性を向上できる。また、支持ブラケット12側でも
クロスメンバ14にて連結されるので、リヤシート5の
支持剛性も向上することができる。
【0023】また、支持ブラケット12を後方に向けて
上がる傾斜面16に取付けているので、クロスメンバ1
4が上方寄りに配設され、そのためロック金具7の向き
はほぼ衝突時の引張方向、すなわち水平前向きに近づけ
ることができて支持剛性を向上でき、また同作用を得る
ための嵩上げ用の別のブラケットを必要としないので、
低コストにて構成でき、さらにクロスメンバ14によっ
て車体の車幅方向の強度及び剛性も向上することができ
るため、車体の走行安定性を向上することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明の車両用シート構造によれば、以
上のようにシートクッションを退避させた後シートバッ
クを前倒して折り畳み可能に構成したものにおいて、シ
ートクッション上に載置したチャイルドシートを固定す
るためのロック金具を配設するについて、シートバック
の下端部における車幅方向の少なくともロック金具が存
在する部分にシートバックの前倒し時にロック金具との
干渉を避ける切欠部を設けたので、シートバックを前倒
しして折り畳む際にロック金具と干渉せず、したがって
シートバックの前倒し操作に支障を生じたり、シートバ
ックの表皮に破れを生じる等の恐れを無くすことができ
る。
【0025】また、車両用シートを折り畳んだ状態で、
ロック金具がシートバック背面より低くなるように構成
すると、シートバック背面より上方にロック金具が飛び
出さず、荷役作業の妨げにならず、荷物の傷付きやロッ
ク金具の変形を防止することができる。
【0026】また、シートクッションの後端部を上方に
盛り上げ形成し、切欠部分の隙間を埋めるように構成す
ると、切欠部を設けていてもチャイルドシートを外した
状態でロック金具が見え難く、見栄えの悪化も防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用シート構造の一実施形態の概略
構成を示し、(a)はシートの通常の使用状態の側面
図、(b)はシートバックを折り畳んだ状態の側面図で
ある。
【図2】同実施形態の車両用シートの通常使用状態の要
部の詳細縦断側面図である。
【図3】同実施形態の車両用シートの折り畳み状態の要
部の詳細縦断側面図である。
【図4】チャイルドシートの装着状態を示し、(a)は
全体斜視図、(b)は(a)のB部詳細斜視図である。
【図5】従来例のロック金具の取付状態を示す斜視図で
ある。
【図6】他の従来例のロック金具の取付状態を示す斜視
図である。
【符号の説明】
2 リヤシート 3 シートクッション 5 シートバック 5a 背面 6 枢支軸(回転中心) 7 ロック金具 8 隙間 9 切欠部 10 盛り上げ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−164869(JP,A) 特開 平11−198695(JP,A) 特開 昭58−183321(JP,A) 特開 平8−197994(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60N 2/00 - 2/54

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートクッションを退避させた後シート
    バックを前倒しして折り畳み可能に構成した車両用シー
    トにおいて、シートバックの回転中心をシートバックの
    下端付近に配設し、シートクッション上に載置したチャ
    イルドシートを固定するためのロック金具をその先端部
    がシートバックとシートクッションの隙間に臨むように
    配設し、シートバックの下端部における車幅方向の少な
    くともロック金具が存在する部分にシートバックの前倒
    し時にロック金具との干渉を避ける切欠部を設けたこと
    を特徴とする車両用シート構造。
  2. 【請求項2】 車両用シートを折り畳んだ状態で、ロッ
    ク金具がシートバック背面より低くなるように構成した
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用シート構造。
  3. 【請求項3】 シートクッションは後端部を上方に盛り
    上げ形成し、切欠部分の隙間を埋めるように構成したこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の車両用シート構
    造。
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