JP3460898B2 - 酒類製造装置及び方法 - Google Patents
酒類製造装置及び方法Info
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Description
酒類の製造装置及び方法に関するものである。更に詳細
には、本発明は、一定の品質のすぐれた液化原料を効率
的に製造するシステムを利用するものであって、得られ
た液化原料を掛米その他に使用すれば、酒質が一定した
すぐれた清酒、焼酎、みりん等各種酒類をきわめて効率
よく製造することができる。
化した白米(液化白米)を酒造原料として用いる液化仕
込とよばれる仕込方法が開発され、その一部は実用に供
されている(特開昭56−117790号)。そして最
近は工業的な面から更に改良されて、精白米の湿式粉砕
スラリーに耐熱性液化酵素を添加し、加熱処理して得ら
れる液化白米を原料として清酒を醸造する技術が提案さ
れている。
を参照にして説明すると、次のとおりである。先ず、浸
漬タンク内で浸漬、水切りされた浸漬米はコンベアーに
て磨砕装置に定量供給される。このとき、磨砕装置には
所定濃度の耐熱性液化酵素液及び温水(約60〜70
℃)が同時に一定流量にて供給され、酵素液を含んだ湿
式粉砕米スラリー(約45℃)が連続的に製造される。
次に、このスラリーは熱交換器により瞬時に加熱(90
〜110℃)され、反応タンクに連続的に供給される。
ここで、約5〜30分間酵素反応(液化)を行わせた
後、冷却され、発酵タンクに送り込まれる。
湿式粉砕米スラリーの澱粉濃度が高い程、製造された液
化白米中のオリゴ糖の重合度が大きくなり、高分子のデ
キストリンを主体とする未液化澱粉の割合が増加する。
未液化澱粉は発酵期間中においても極めて分解されにく
いため、原料利用率が低下し、更に、濾過性が悪くなる
ため後工程でも様々な問題点が発生することが判ってい
る。ブトウ糖工業では、澱粉乳濃度で30〜40w/w
%にて高温液化法が実施されているが、濃度が高くなる
と、粘度が上昇し分散が悪くなり、温度制御の安定性が
低下することから、通常30w/w%付近が良く用いら
れている(澱粉科学ハンドブックp.441)。ところ
が、清酒製造においては、最終製品の品質設計上、澱粉
濃度は35w/w%以上の高濃度域領域で処理する必要
がある。
定量の浸漬米及び温水が供給されることから、基本的に
は磨砕後の湿式粉砕白米スラリーの澱粉濃度は一定にな
るはずである。ところが、浸漬タンク内の浸漬米の水分
分布にはかなりばらつきがあり、また、白米の品質や精
米歩合などにより、コンベアー上を流れる浸漬米量はか
なり変動することから、正味の白米供給量を一定化させ
ることは極めて困難である。例えば、水分が低い浸漬米
が供給された場合、粉砕白米スラリーの澱粉濃度が増大
し、未液化澱粉を副生する危険性が高くなり、原料利用
率の低下につながるという問題点があった。
化白米の製造方法では含水量を一定にすることがきわめ
て困難であり、このような液化白米を用いたのでは、酒
質が一定化しないという欠点は不可避である。
命的であり、品質管理上きわめて大問題である。本発明
はこれらの点に鑑み、品質が一定したすぐれた液化白米
を効率的に工業生産する新しいシステムを開発し、この
システムを利用して酒質の一定したすぐれた清酒を製造
する装置及び方法を開発する目的でなされたものであ
る。
重が約1.5と水(1.0)に比し、極端に高いことに
着目し、湿式粉砕白米スラリーの澱粉濃度を計測する手
段として、密度計を設置し、更に、澱粉濃度制御をその
密度制御に置き換え、未液化澱粉の副生がない原料利用
率が高い液化白米を製造するためのシステムを完成する
に至ったものである。
ら適量の水を用いても一定の含水量が得られず、このよ
うな液化白米で醸造した清酒は、一定の酒質が得られな
い。そこで発想を全く転換して、液化白米の密度にはじ
めて着目し、密度計を用いて液化白米の密度を一定に保
持し、一定密度の液化白米を用いて清酒を醸造したとこ
ろ、一定の酒質を得るのにはじめて成功し、本発明の完
成に至ったものである。そして更に研究の結果、本発明
は白米を原料とする酒類の製造にとどまらず、各種の穀
類等澱粉を原料とする酒類の製造にも広く適用できるこ
とも新規に発見、確認し、本発明を総合的に完成させた
ものである
の密度を測定し、得られた測定値に基づき加水量及び/
又はスラリーの供給量を調整して、密度コントロールを
行い、目的とする液化原料を製造し、この液化原料を用
いて酒質の一定したすぐれた酒類を効率的に製造する点
を重要なポイントのひとつとするものであり、以下に、
精白米及び/又は白糠を用いて清酒を製造する場合を例
にとって、本発明を詳細に説明する。
が使用される。そして、精白米を使用する場合には、常
法にしたがい、浸漬米を水の存在下で粉砕する湿式粉砕
白米スラリーとし、これを加熱液化処理する。また、湿
式粉砕白米スラリーと同様に、乾式粉砕白米を用いるこ
ともできるが、この場合には加水してスラリー化するこ
とが当然に必要となる。
米の場合と同様に出発原料として使用することができ
る。なお、スラリー化する際、白糠がα化しているため
に吸水してママコや団子状になる場合には、充分な攪
拌、あるいは水分量を多くして剪断処理してやればよ
い。
は、液化白米スラリー製造の常法にしたがって処理す
る。すなわち、浸漬タンク内で浸漬、水切りされた浸漬
米はコンベアーにて磨砕装置に定量供給される。このと
き、磨砕装置には所定濃度の耐熱性液化酵素液及び温水
(約60〜70℃)が同時に一定流量にて供給され、酵
素液を含んだ湿式粉砕スラリー(約45℃)が連続的に
製造される。次に、このスラリーは熱交換器により瞬時
に加熱(90〜110℃)され、反応タンクに連続的に
供給される。ここで、約5〜30分間酵素反応(液化)
を行わせた後、冷却され、発酵タンクに送り込まれる
(図1)。
する前に、待タンクから送出される酵素液含有スラリー
の密度を、密度計及びそれに付属する必要部品を有する
密度測定装置を用いて測定することを必須の工程として
採用しており、この点に大きな特徴を有するものであ
る。密度測定装置としては、澱粉濃度が測定できる機器
類がすべて包含され、例えば、密度計、差圧計等(更に
必要あれば付属機器類)が非限定的に例示されるが、以
下においては、密度計を用いた場合を例にとって説明す
る。
全部を密度計に通し、密度計を用いて密度を測定した
後、測定した密度値に基づき、コントロールシステム
(図示せず)を稼働して、インバータ付加水ポンプの回
転数をコントロールし、加水タンクから必要量の水を加
水し、及び/又は、原料米スラリーの供給量を調整し、
目的とする一定の密度を維持するのである(図4)。
用いられる枯草菌由来のα−アミラーゼといった耐熱性
の澱粉液化酵素が市販品を含め広く使用される。また必
要あれば、他のα−アミラーゼのほか、プロテアーゼ、
セルラーゼ等を必要に応じて使用することができる。ま
た、加熱液化処理も常法にしたがって適宜実施して何ら
さしつかえない。
更に反応タンク内で酵素反応(液化)を完結せしめ、得
られた液化白米は待タンクへ送り、貯蔵する。このよう
にして得られた液化白米は、冷却した後、発酵タンクに
送られて清酒醸造に使用され、一定品質の清酒が醸造さ
れる。
明する。なお、実施例においても上記説明においても澱
粉白米スラリーを代表例として記述したが、他のスラリ
ーについても同様に液化することができる。すなわち、
麦、ソバ、ゴマ、モチ米等各種穀類の澱粉原料をスラリ
ー化し、これを利用することにより、一定品質のすぐれ
た酒類(焼酎、みりん、その他各種アルコール飲料)が
製造できる。
切りして得られた浸漬米(吸水率35%)に、温水(6
5℃)を対白米量として0.95〜1.45倍になるよ
うに加えて粉砕して得られた湿式粉砕白米スラリーの澱
粉濃度及び密度値、並びに、この湿式粉砕白米スラリー
(約45℃)を耐熱性液化酵素剤(クライスターゼ:大
和化成製)の存在下で、蒸気吹き込み型式の連続加熱装
置で100℃まで昇温し、10分間ホールドしたものを
直ちに15℃まで冷却して得られた液化白米の液化率
(1−(未液化澱粉/白米澱粉))を測定した結果を表
1に示した。尚、液化反応時間は着色及び焙しょう香等
品質に悪影響を及ぼさない最大時間(10分間)とし
た。
良好な相関を示すこと、並びに、液化率(原料利用率)
が澱粉濃度に大きく影響を受けることが明からとなっ
た。
4.7%(左側)の湿式粉砕白米から調整した液化白米
濾液の液体クロマトグラフィーによるゲル濾過カラムで
の分離結果を示した。これにより、澱粉濃度38%の湿
式粉砕白米から調整した液化白米の場合、明らかにオリ
ゴ糖(G4〜G6)の重合度が高く、更に、ボイドとし
て得られる高分子デキストリン(分子量の大きいオリゴ
糖)のピーク(点線で囲まれた部分)が認められ、未液
化澱粉の存在が立証された。
白米を用いて発酵テストを行い、得られた製成酒の酒化
率及び粕歩合を示した。明らかに液化率の低い液化白米
を用いた場合、酒化率が減少しており、原料利用率が低
下することが明らかとなった。
スラリーの密度値がダイナミックに澱粉濃度(汲水歩
合)を反映する。図3に、粉砕白米スラリーの密度制御
を実施せず、浸漬米をコンベアーで一定供給した場合に
得られた粉砕白米スラリーの密度値を運転開始から終了
まで測定した結果を示した。約4時間の処理に於いて、
密度値は1.132〜1.143の範囲で変動してお
り、正味の白米供給量が前述の原因により大きく変化し
ていることが判る。先の表1に示したように、澱粉濃度
38%の密度値が1.145であることから、現状の密
度の変動幅を考慮すると、何らかの形での密度制御が要
求される。
標密度設定値よりも少し澱粉濃度を高くしておき、図に
示した密度計による計測値をフィードバックして、加水
量をコントロールすることで制御を実現した。その結
果、全運転時間を通じて、粉砕白米スラリーの密度を連
続的に一定化することが可能となった。
することにより、未液化澱粉の副生を抑制すると共に、
所望する汲水歩合の液化白米を連続的に、且つ、安定に
製造することが可能となった。
その密度を測定し、密度値にしたがってスラリーの密度
を所望する一定値に維持コントロールすることにより、
従来工業的には得ることができなかった一定品質のすぐ
れた液化原料米スラリーを得ることが可能になった。
ーは、その品質が一定しているため、これを用いて清酒
の醸造を行うことにより、酒質の一定したすぐれた清酒
を工業的に得ることができる。また、米以外の穀類澱粉
を原料として用いた場合も同様に、すぐれた液化原料が
工業的に製造され、これを用いることにより、品質の一
定したすぐれた酒類(焼酎、みりん、その他のアルコー
ル飲料)を工業的に得ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 澱粉原料をスラリー化した後、液化酵素
により加熱液化せしめて液化澱粉原料スラリーを製造す
る加熱液化処理装置の上流部に、密度計測装置を設けて
なること、を特徴とする液化原料を用いる酒類の製造装
置。 - 【請求項2】 精白米又は白糠を用い、白糠の場合はそ
のまま、そして精白米の場合は、これを湿式及び/又は
乾式粉砕、スラリー化した後、液化酵素により加熱液化
せしめ、得られた液化原料米スラリーの1種又は2種以
上を原料(掛米)として用いる清酒醸造装置において、
加熱液化処理装置の上流部に密度計測装置を設けてなる
こと、を特徴とする液化原料を用いる酒類の製造装置。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2の製造装置を用
い、密度計測装置に液化原料スラリーの一部又は全量を
通液し、密度を計測すること、を特徴とする液化原料を
用いる酒類の製造方法。 - 【請求項4】 請求項3の製造方法において、密度計測
装置によって計測した密度値を基に、液化原料スラリー
の供給量及び/又は加水量を調整することにより、液化
原料スラリーの密度制御を行うこと、を特徴とする液化
原料を用いる酒類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33124495A JP3460898B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | 酒類製造装置及び方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33124495A JP3460898B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | 酒類製造装置及び方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09149782A JPH09149782A (ja) | 1997-06-10 |
JP3460898B2 true JP3460898B2 (ja) | 2003-10-27 |
Family
ID=18241516
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33124495A Expired - Lifetime JP3460898B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | 酒類製造装置及び方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3460898B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2013299703B2 (en) | 2012-08-09 | 2018-01-04 | Cargill, Incorporated | Process for starch liquefaction |
-
1995
- 1995-11-28 JP JP33124495A patent/JP3460898B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09149782A (ja) | 1997-06-10 |
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