JP3460733B2 - ポリエステル樹脂の成形方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂の成形方法

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JP3460733B2 JP311394A JP311394A JP3460733B2 JP 3460733 B2 JP3460733 B2 JP 3460733B2 JP 311394 A JP311394 A JP 311394A JP 311394 A JP311394 A JP 311394A JP 3460733 B2 JP3460733 B2 JP 3460733B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボトル、フィルム、シ
ートなどに有用なエチレンテレフタレート単位を主体と
するポリエステル樹脂の成形方法に関する。詳しくは、
特に、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」
と略称する。)の溶融成形により成形品中に増加するア
セトアルデヒド量を低く押さえることができ、しかも、
従来と同レベル以上の耐熱性、熱安定性、機械的強度な
どを有したPETの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PETは機械的強度、化学的安定性、透
明性、衛生性などに優れており、また、軽量で、加工し
やすく、安価であるために各種の容器、シートとして広
く包装材料に用いられている。特に、果汁飲料、炭酸飲
料、液体調味料、スポーツドリンク、食用油、酒、ワイ
ン、ウーロン茶などの容器としての伸びが著しい。この
ようなPETは、例えば、ボトルの場合、射出成形機で
ボトル前駆体であるプリフォームを成形し、このプリフ
ォームを所定形状の金型で延伸ブローする。また、果汁
飲料のように熱充填を必要とする内容液の場合には、そ
のブロー金型中、あるいは別途設けた金型中で、さらに
熱固定するのが一般的である。
【0003】PETボトルの場合、内容物の品質に影響
する因子として、ポリマー中に含まれる、あるいは成形
時にポリマー中で副生するアセトアルデヒド量があげら
れる。一般には、アセトアルデヒドは、PETポリマー
の副反応生成物としてポリマー中に含まれる。PETボ
トルの場合、エチレングリコールとテレフタル酸あるい
はジメチルテレフタレートの溶融重縮合反応の後、固相
重縮合反応により、ブロー成形に必要なレベルの重合度
を確保するとともに、ポリマー中に含まれるアセトアル
デヒドをある程度まで低減化することができる。
【0004】しかし、PETボトルの場合には、プリフ
ォームを得るために射出成形あるいは押出成形が必要で
あり、その際の溶融時にアセトアルデヒド量が増加す
る。この成形時のアセトアルデヒドの増加量は、ポリマ
ー自体の触媒量、ジエチレングリコール(以下、DEG
と略称する。)量、末端カルボキシル基等のポリマー特
性、成形時の滞留時間、温度、スクリュウの剪断力など
の条件によって影響を受けるといわれている。
【0005】一方、近年ボトル成形に関しては、生産性
をより高めるべく一回の成形サイクルを短くするため、
プリフォームの射出成形機の設定温度を従来より高めに
したり、速度を速めてより剪断力のかかる方向で成形し
たり、あるいは一回の成形サイクルで従来よりも多数の
プリフォームを成形する大型の射出成形機が導入された
りする傾向が強まっている。
【0006】このような成形技術の動向は、プリフォー
ム成形の条件を高剪断側、高温側とする方向で、成形時
のアセトアルデヒド量が増加する傾向にあり、PETボ
トル容器の内容物の味、匂いに悪影響を及ぼす可能性が
ある。従来、成形時のアセトアルデヒド量の抑制には種
々の方法が提案されている。特開昭63−35647に
は少量のポリアミドを添加する方法が、特開昭64−2
2956には少量の第一級アミノ基含有化合物を添加す
る方法がそれぞれ提案されている。また、特開平3−2
05447で使用されているような有機フォスファイト
系化合物(例えば、商品名ウルトラノックス−626
等)を添加する方法やそれらを高濃度で使用したマスタ
ーバッチレジンを成形時にブレンドすることでも、アセ
トアルデヒドを抑制できることが知られている。さら
に、特開平5−43782にはステアリルアルコールと
固相重合樹脂を混練し、射出成形に使用することが提案
されている。加えて、特公昭63−8970には0.1
メガラド以上の電離性放射線をポリエステル樹脂に照射
することが提案されている。
【0007】以上の方法は、いずれの場合にもアセトア
ルデヒド量を抑制することはできるが、操作上、あるい
は作業上、手間がかかり生産性の向上が期待できないこ
と、他成分の添加によって食品容器に使用する際の衛生
上の問題点がないことを証明する必要があること、アセ
トアルデヒド以外の要求特性が満たされない場合が考え
られること、などから実用上は採用されにくい。
【0008】さらに、成形時のアセトアルデヒド量を減
らすためにポリマー中の末端ヒドロキシル基量、測定上
では末端カルボキシル量をコントロールする提案が特開
昭62−174225になされているが、オリゴマー量
などの品質を考慮した上で記載された範囲でポリマーを
効率よく生産することが難しいという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アセ
トアルデヒド量の低減化されたポリエステル製中空成形
体、あるいは延伸フィルム、シートを得るための成形方
法を提供することにある。特に、食品用容器の成形に適
した、アセトアルデヒド量の低減化されたPET系の中
空成形体、あるいは延伸フィルム、シートを提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】PETは大気中の水分を
吸湿するため(状況によるが、通常3000ppm程度
まで吸湿することがある。)、これをそのまま溶融成形
に供するとポリエステルの加水分解が起きるので、通
常、成形前に含水率50ppm以下まで乾燥して使用し
ている。本発明者らは、この含水率とアセトアルデヒド
の生成とは関連性があることを見いだし、この知見に基
づき、さらに検討した結果、乾燥したPETに逆に少量
の水を添加し特定の含水率に調整することにより、得ら
れる成形品中のアセトアルデヒド量が低下することを見
いだし、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、エチレンテレ
フタレート単位を主体とするポリエステル樹脂を溶融成
形するにあたり、該ポリエステル樹脂中の含水率を60
〜500ppmに調整し、溶融成形に供することを特徴
とするポリエステル樹脂の成形方法であり、これにより
上記目的を達成することができる。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0012】本発明におけるポリエステル樹脂は、通
常、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とから
形成されるポリエチレンテレフタレート樹脂であるが、
場合によりテレフタル酸成分の一部(通常20モル%未
満、好ましくは10モル%未満)をフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン
酸、セバシン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安
息香酸のようなオキシ酸、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸などの多価カルボン酸などで置換したものでもよ
い。また、同様に、エチレングリコール成分の一部(通
常20モル%未満、好ましくは10モル%未満)をシク
ロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、
1,3−プロパンジオール1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
ジエチレングリコールなどのグリコール、トリメチロー
ルプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリ
トールなどの多価アルコールなどで置換したものでもよ
い。
【0013】本発明におけるポリエステル樹脂は、公知
法に従い、例えば、テレフタル酸またはテレフタル酸エ
ステルとエチレングリコールとをエステル化反応または
エステル交換反応させることにより得られるビス−(β
−ヒドロキシエチル)テレフタレート、および/または
そのオリゴマーを重縮合反応触媒の存在下、溶融重縮合
反応させ、それに引き続く固相重合を行うことによって
製造することができる。本発明のポリエステルの製造に
用いる場合、生産性や成形時のアセトアルデヒドの発生
量の低減化を考えると、テレフタル酸を原料とする直接
エステル法が好ましい。
【0014】重縮合反応は、通常、触媒の存在下、25
0℃〜290℃で減圧する条件で行うことが好ましい。
重縮合反応は、一段階でも複数段階でもよく、また、回
分式でも連続式でもよい。最終段の反応器から得られる
プレポリマーの極限粘度は、通常0.50〜0.75d
l/g、好ましくは0.55〜0.70dl/gであ
る。プレポリマーの極限粘度が、該範囲を下回る場合に
はチップ化が困難となり、また、該範囲を越える場合に
は、反応器からのプレポリマーの抜きだしが行いにくく
なるうえに、固相重合後のオリゴマーやアセトアルデヒ
ドの副生量が多くなるなどの悪影響を及ぼす。
【0015】通常、プレポリマーは、溶融状態からスト
ランド状に抜きだし、次いで粒状のチップに切断する。
このような粒状のチップは、通常2〜5mmの平均粒径
を有することが望ましい。粒径が小さすぎると、固相重
合等での取扱いが不便になり、また粒径が大きすぎると
取扱いの不便さだけでなく、ポリマーの物性が均等のも
のが得られにくくなる。
【0016】以上のエステル化反応、エステル交換反応
および重縮合反応では、エステル化触媒、エステル交換
触媒および重縮合触媒、安定剤などを必要量使用するこ
とが望ましい。ただし、エステル化触媒は、使用するテ
レフタル酸がエステル化反応の自己触媒となるため、使
用しなくてもよいが、例えば、少量の無機酸などを用い
ることができる。
【0017】エステル交換触媒としては、一般的にPE
Tに用いられる公知の化合物、例えば、カルシウム、チ
タン、マンガン、亜鉛、ナトリウム、リチウム化合物な
どの一種以上を用いることができるが、透明性の観点か
らマンガン化合物が好ましい。重縮合触媒としては、一
般的にPETに用いられる公知の化合物、例えば、ゲル
マニウム、アンチモン、チタンおよびコバルトなどの化
合物の一種以上を用いることができるが好ましくは、ゲ
ルマニウムまたはアンチモンの化合物が、特に好ましく
は、得られる樹脂および製品の透明性からゲルマニウム
化合物が使用される。ゲルマニウムやアンチモンの化合
物としては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、グ
リコールエステル類などが例示される。
【0018】安定剤としては、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェ
ートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイ
ト、トリエチルホスファイトなどの亜リン酸エステル類
エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホ
スフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフ
ェートなどの酸性リン酸エステル、およびリン酸、亜リ
ン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が好ま
しい。
【0019】本発明に用いられるポリエステル樹脂の重
合方法として直接エステル化法を用いる場合において
は、ゲルマニウム化合物で例示される重合触媒やリン化
合物の安定剤を原料スラリーやエステル化反応物ないし
はその初期重合体への添加時期を任意に選ぶことができ
る。また、これらを組み合わせる添加方法でもさしつか
えない。
【0020】本発明のポリエステル樹脂は、上記のよう
に溶融重合によって得られたプレポリマーチップそのま
まであってもよいが、成形品の強度、透明性等のために
極限粘度を上げる必要があり、また、溶融成形時のアセ
トアルデヒド量を極力低下させる必要があるので、該プ
レポリマーにさらに固相重合を行うことが好ましい。固
相重合後のポリマーの極限粘度としては、通常0.6〜
1.3dl/g、好ましくは0.7〜1.2dl/gで
ある。また、固相重合後のポリマー中のアセトアルデヒ
ド量は5ppm以下が好ましく、より好ましくは4pp
m以下である。
【0021】固相重合に供されるプレポリマーチップ
は、水、水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で
吸湿させ、調湿したものであってもよい。また、あらか
じめ、固相重合を行う温度より低い温度に加熱して予備
結晶化を行った後、固相重合工程に供給してもよい。調
湿したプレポリマーの含水率は、通常0.01〜1重量
%、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲となるよう
に実施する。予備結晶化は、共重合されている構成成分
および量によって条件が異なるが、PETの場合、通常
120〜220℃、好ましくは130〜180℃の温度
に加熱して実施でき、あるいは水蒸気あるいは水蒸気含
有不活性ガス雰囲気下でPETの場合、通常120〜2
00℃の温度で加熱して実施することができる。プレポ
リマーの調湿は、水分を含有するプレポリマーチップを
結晶化工程や固相重合工程に供給することで本発明のP
ET成分に含まれるアセトアルデヒド量を一層低減化す
ることが可能である。
【0022】上記のプレポリマーが供給される固相重合
工程は、少なくとも一段からなり、重合温度は共重合さ
れている構成成分および量によって条件が異なるが、P
ETの場合、通常190〜240℃、好ましくは200
〜235℃で実施される。固相重合は、窒素、アルゴ
ン、二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気下、あるいは減
圧状態で行い、所望の重合度や物性が得られるまで、通
常1〜50時間を必要とする。
【0023】上記のようにして得られたポリエステル樹
脂は、一般的に用いられる溶融成形法を用いて、中空成
形体、延伸フィルム、シートを成形することができる。
溶融成形方法としては、押出成形、ブロー成形、射出成
形によりプリフォームを形成しこれを延伸ブロー成形す
る射出ブロー成形等が挙げられる。特に、本発明の場
合、射出ブロー成形によりボトルなどの中空成形品を得
る方法に適している。
【0024】PETで一般的に用いられる溶融成形法の
うち、射出成形では、成形機のシリンダー各部の温度は
通常260〜300℃の範囲で行われ、その後、得られ
たプリフォームをブロー金型内で延伸ブロー成形するこ
とによって成形品を得ることができる。また、射出成形
では、押出機のシリンダー各部およびノズルの温度は通
常260〜300℃の範囲で行われ、チューブ状のプリ
フォームを成形後、片端を熱いうちに融着させ有底化
し、ただちに所定形状を有する金型内でブロー成形する
ことにより成形品を得ることができる。
【0025】本発明では、この溶融成形に先立ち、ポリ
マー中の含水率を60〜500ppm、好ましくは、7
0〜200ppmに調整して溶融成形に供することが大
きな特徴である。この水分の具体的な調整方法として
は、以下の方法が例示される。まず、溶融成形に先立っ
て行う、一般的にはポリマー中の含水率を50ppm以
下とするための乾燥工程において、所定の含水率となっ
た時点において乾燥を終了させ、溶融成形に供する方法
が考えられる。最近、乾燥工程にオンラインの水分計を
装備した装置があり、これの使用が挙げられる(水分調
整法1)。この方法は、松井製作所製カールフィッシャ
ー式オンライン水分測定機アクアハンターなどのオンラ
イン水分計を乾燥工程に装備した成形装置を用いること
で、容易に実施することができる。
【0026】また、別の方法として、ポリマー中の含水
率を一旦、60ppm末端、好ましくは50ppm以下
にまで乾燥により低下させた後に、調湿させ、含水率を
60〜500ppmに調整させる方法が挙げられる(水
分調整法2)。この場合、乾燥工程には、棚段式の熱風
あるいは窒素等の不活性ガス流通の乾燥機や棚段式の真
空乾燥機、樹脂の連続供給払い出し方式の撹拌槽型の加
熱乾燥機、ダブルコーン型の真空乾燥機、マイクロ波乾
燥機等を使用することができる。乾燥条件は、共重合さ
れている構成成分および量によって条件が異なるが、P
ETの場合、通常120〜190℃の温度条件が用いら
れる。
【0027】このようにして得られた含水率を60pp
m末端の乾燥したポリエステル樹脂を、吸湿させること
によって60〜500ppmの含水率のポリエステル樹
脂とすることができる。吸湿させる方法としては、通
常、一定の温度と一定の高湿度に調整した恒温恒湿器あ
るいは恒温恒湿室で樹脂の吸湿を行う方法、または、樹
脂に一定量の水分を加えてブレンダーなどで混合しチッ
プ内に吸収させる方法が挙げられる。
【0028】特に、水分調整法2を用いることで、使用
するポリエステル樹脂の乾燥直前での含水率が種々異な
っていても、コントロールされた一定の含水率のポリエ
ステル樹脂を安定して得ることができる。本発明におい
て、ポリエステル樹脂に所定量の水分を存在させた状況
で溶融成形することにより、成形品に含まれるアセトア
ルデヒド量が低減される現象の理由は明らかではない
が、ポリエステル樹脂中に水分を特定量だけ吸湿させる
ことにより、溶融成形時に加水分解を促進して極限粘度
の低下を引き起こし、あるいは水分が可塑剤として作用
し、成形時の剪断発熱を抑制させ、溶融成形により成形
品中に増加するアセトアルデヒド量が低く押えられてい
るのではないかと推定される。本発明ではポリエステル
樹脂中の含水率を60〜500ppm、好ましくは70
〜200ppmに調整して溶融成形して供するが、この
範囲より増加させると、溶融成形時の過剰の加水分解に
より、機械的強度、透明性などが低下するので好ましく
ない。また、この範囲未満であると溶融成形時のアセト
アルデヒド量の抑制の効果が小さく実用性に乏しくな
る。
【0029】なお、本発明の範囲内の含水率は、通常の
成形前の樹脂中の水分に比べて多いので、加水分解と熱
分解等のバランスを考慮して、成形条件に注意する必要
がある。そこで、本発明のポリエステル樹脂の溶融成形
法としては、含有水分によって低下すると理論的に予測
される極限粘度X(dl/g)と、成形品の極限粘度
(実測値)Y(dl/g)との差が、下記式を満足する
ような条件下で、溶融成形を行うことが好ましい。
【0030】
【数2】|X−Y|≦0.01 ただし、X=7.55×10-4×(2×106 /(A+
0.11×B))0.685 A=2×106 /(C/7.55×10-41.459 B=成形前のポリエステル樹脂の含水率(ppm) C=成形前のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
【0031】上記式を満足するように、含水率と溶融成
形条件を選択することによって、機械的強度や透明性な
どを実質的に低下させることなく、成形品のアセトアル
デヒド量を低く押さえることができる。
【0032】極限粘度Xは、成形前の樹脂に含まれる水
分の全量がポリマー鎖の加水分解に関与して分子量の低
下が起きるとして、ポリマー鎖の末端基バランスから理
論的に計算して求めた値である。この計算方法について
は、文献Makromol.Chem.,32,79
(1959)に示された極限粘度と分子量の関係式に基
づいて導いたものである。この極限粘度Xと成形品の極
限粘度Yの差の絶対値が0.01以下、好ましくは0.
005以下であるように、含水率および溶融成形条件を
調整することによって、本発明の目的をより好ましく達
成することができる。
【0033】極限粘度Xと成形品の極限粘度Yの差が上
記範囲を越えると、成形時の熱分解反応が優先して成形
品中のアセトアルデヒド量が増加し、あるいは、過剰の
加水分解反応で溶融成形に適さない程度まで分子量低下
が起き、満足な成形品が得られない場合がある。実際の
成形条件は、成形機あるいは押出機によって異なるため
一概に規定することはできず、個別に調整する必要があ
る。例えば、成形品の極限粘度Yが低い場合などは、成
形機あるいは押出機のシリンダー内のポリエステル樹脂
の滞留時間を短縮したり、透明性や機械的特性を考慮し
た上での溶融温度を低下させたりして、各成形温度での
樹脂の溶融粘度と射出あるいは押出の圧力・速度のバラ
ンスのとれた設定、充分な溶融状態を確保するほか、高
剪断を避けるためのスクリュウ回転数の抑制やスクリュ
ウ形状を変更するなどが考えられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例により限定されるものでは
ない。なお、以下の参考例、実施例に置いて採用された
測定評価方法は、以下の通りである。 (1)極限粘度(「IV」ということがある) ポリエチレンテレフタレート樹脂、あるいは成形品をフ
ェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量
比1:1混合溶媒に加熱下に溶解させ、ウベローデ型粘
度計を使って30℃において測定した値を使って求め
た。
【0035】(2)水分率 ポリエチレンテレフタレート樹脂を水分測定用のガラス
製測定容器に手早くサンプリングし、カールフィッシャ
ー水分測定装置CA−03(三菱化成(株)製)にて、
加熱炉温度210℃、測定遅延時間3分の条件で測定し
た。
【0036】(3)成形品の成型条件 乾燥あるいはさらに調湿処理したポリエチレンテレフタ
レート樹脂を、M−70AII−DM(名機製作所製)で
バレル温度280℃、サイクル時間73秒、金型温度1
3〜16℃にて段付き成形品を成形した。
【0037】(4)アセトアルデヒド量(「AA量」と
いうことがある) 段付き成形品の場合は樹脂ペレット程度の大きさまでカ
ットし、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合はその
まま、ミクロボンベ中にサンプル5gと水10mlを封
入して160℃2時間加熱処理する。冷却した後、ミク
ロボンベ中の水をガスクロマトグラフGC−14A(島
津製作所製)で定量分析し、アセトアルデヒド量を求め
た。
【0038】(5)DEG量 粉砕したポリエチレンテレフタレート樹脂を、アルカリ
分解し、生成したモノマー体成分を対EG比としてガス
クロマトグラフGC−14A(島津製作所製)にて定量
分析した。
【0039】比較例1 市販のボトル用PET(日本ユニペット社製、RT−5
43)(極限粘度0.755dl/g、アセトアルデヒ
ド量3.3ppm、含水率1279ppm、DEG2.
3モル%)を、真空乾燥機にて160℃、一晩乾燥し
た。乾燥後の樹脂の含水率は28ppmだった。この乾
燥樹脂を使って、280℃にて段付きの成形品を成形
し、得られた成形品のアセトアルデヒド量を測定した
ら、13.7ppmと高いレベルだった。
【0040】実施例1〜3 比較例1で用いた乾燥後のPETを、温湿度を制御でき
る恒温恒湿型オーブンにて30℃、60%の条件で調湿
し表−1の水分率の結果を得た。この調湿した樹脂を使
用して、比較例1と同じ条件で段付きの成形品を成形し
た。成形品のアセトアルデヒド量を測定すると表−1の
結果が得られた。いずれの場合も、成形品の極限粘度は
実用上問題のないレベルであった。
【0041】比較例2 比較例1で用いた乾燥後のPETを、温湿度を制御でき
る恒温恒湿型オーブンにて30℃、60%の条件で調湿
し、表−1の水分率の結果を得、段付きの成形品を成形
した。成形品のアセトアルデヒドが低く良好であるが、
極限粘度が低すぎて機械的特性が不充分であり、また、
透明性が不良だった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、成形品中のアセトアル
デヒド量が少ないポリエステル樹脂を、衛生上問題な
く、かつ、プリフォーム・ボトルの他の特性を損なうこ
となく、簡易な方法にて提供することができる。本発明
によって提供されるポリエステル樹脂の延伸中空成形
体、延伸フィルム、シートはミネラルウォーターのよう
な、内容物自身の味、匂い以外の成分に影響されること
を嫌う飲料の容器などの用途に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:00 C08L 67:00 (56)参考文献 特開 昭51−73663(JP,A) 特開 昭52−85255(JP,A) 特開 昭59−143608(JP,A) 特開 昭63−309617(JP,A) 特開 昭64−1516(JP,A) 特開 平5−42533(JP,A) 特開 平5−237927(JP,A) 特開 平1−304912(JP,A) 特開 昭57−39937(JP,A) 特開 昭57−108128(JP,A) 特開 昭62−231715(JP,A) 特開 平7−233248(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 C08G 63/00 C08L 67/00 B29C 49/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 80モル%を超える量のテレフタル酸と
    80モル%を超える量のエチレングリコールとから形成
    され、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエ
    ステル樹脂を溶融成形するにあたり、該ポリエステル樹
    脂中の含水率を60ppm未満まで乾燥し、次いで、調
    湿することにより含水率を60〜500ppmに調整
    し、溶融成形に供することを特徴とするポリエステル樹
    脂の成形方法。
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレート単位を主体とす
    るポリエステル樹脂中のアセトアルデヒド量が5ppm
    以下である樹脂を使用する請求項1に記載のポリエステ
    ル樹脂の成形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリエステル
    樹脂の成形方法であって、含有水分によって低下すると
    理論的に予測される極限粘度Xと、成形品の極限粘度
    (実測値)Yとの差が、下記式を満足するような条件下
    で、溶融成形を行うことを特徴とするポリエステル樹脂
    の成形方法。 【数1】|X−Y|≦0.01ただし、 X=7.55×10-4×(2×106 /(A+0.11
    ×B))0.685 A=2×106 /(C/7.55×10-41.459 B=成形前のポリエステル樹脂の含水率(ppm) C=成形前のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
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