JP3459970B2 - 薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成方法

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JP3459970B2 JP14401495A JP14401495A JP3459970B2 JP 3459970 B2 JP3459970 B2 JP 3459970B2 JP 14401495 A JP14401495 A JP 14401495A JP 14401495 A JP14401495 A JP 14401495A JP 3459970 B2 JP3459970 B2 JP 3459970B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物体の表面保護膜をは
じめ、電気的、光学的等様々な機能を有する有機薄膜、
無機薄膜、及び有機物と無機物との両方からなる複合材
料の薄膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種薄膜の製造方法として、
抵抗加熱による真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッ
タリング法を始め、回転塗布法(スピンコーティング
法)、浸漬法(ディプコーティング法)等があり、さら
に特に有機高分子薄膜に対しては、電解重合法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機薄膜、無機薄膜と
も、抵抗加熱による真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、ス
パッタリング法等では、膜原料が真空中で一度、原子、
分子、イオンあるいはそれらのクラスター等に分解され
た後、基板に付着し膜が形成される。このため、水素、
酸素、硫黄、窒素原子をはじめ、フッ素、塩素原子等、
ハロゲン元素の原子等離脱しやすい成分を含む化合物の
薄膜を形成しようとすると、それらが不足した状態の膜
が形成されることが多い。即ち、目的とした一定の組成
の薄膜を得るには、いろいろな調整を必要とするが、こ
の調整が困難なことが多い。
【0004】さらに、これらの薄膜形成法では、基板に
原子イオンあるいはそれらのクラスターが堆積する過程
が多くの場合、熱力学的には平衡状態から遠くはずれた
状態である。このような場合、膜として堆積させたもの
の物理的、化学的性質は、不安定なものとなり、さらに
熱的な処理による安定化が必要である。しかし、この熱
的処理による安定化は多くの場合、完全には実行できず
不完全に終わる。その結果、薄膜として最終的に形成さ
れたものは、組成的に目的とする薄膜とはずれたりする
ことが多く、電気的、光学的性質のみならず、物理的、
化学的性質等においても不安定な薄膜となることが多
い。
【0005】回転塗布法では、前述したような組成のず
れは防ぐことができるが、ピンホールがなく平坦性の良
い薄膜を形成するには利用する溶液の粘度の調整と基板
を回転させる際の回転数の調整が微妙で難しく、薄膜形
成における制御性に難点がある。
【0006】浸漬法もピンホールがない平坦な薄膜を形
成するためには、基板を浸す溶液の粘度と基板を引き上
げる速度の最適化が必要であるが、これらの調整は微妙
な点が多く、やはり薄膜形成における制御性に難点があ
る。また、電解重合法では、この方法が適用できる高分
子の種類は極めて限られたものである。
【0007】そこで、本発明は、上述したような従来の
多くの方法が持ついろいろな問題点に対処するためにな
されたものであり、さまざまな有機物及び無機物に対
し、制御しやすい方法であって、目的とした薄膜の組成
と形成された薄膜の組成のずれがなく、薄膜としての平
坦性もよく、物理的、化学的性質においても安定した薄
膜を形成する方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の
異なる複数の物質の薄膜を形成する方法は、図1に示さ
れるごとく、先ず、異なる複数の物質の粉末を、粉末ご
とに、針状電極と電極を兼ねた基板の間の空間に散布
(工程A)すると共に、針状電極と基板の間にコロナ放
電を生じさせて散布した粉末を基板上に収集し、層状に
付着(工程B)させる(請求項1)。ここで、基板は金
属、半導体、絶縁体いずれでもよく、基板が絶縁体の
場合は、粉末の散布やコロナ放電を行う前に水蒸気を基
板表面に均一にあて(工程E)、少量の水分子を基板表
面に吸着させておくとよい(請求項2)
【0009】そして、粉末を基板に付着させた後、その
粉末の溶媒の蒸気又は液滴に適切な温度のもとで接触さ
せて溶かし(工程C)、さらに不活性気体中で適切な温
度のもとで基板ごと乾燥させて溶媒を蒸発により除去し
薄膜とする(工程D)。
【0010】請求項3記載の薄膜形成方法は、図2に示
されるごとく、請求項1記載の工程A,Bによってコロ
ナ放電による粉末の基板上への付着を行った後、粉末と
反応する物質の蒸気又は液滴、あるいは粉末と反応する
気体物質を粉末と適切な温度のもとで接触させて適切な
時間化学反応をさせて薄膜とする(工程F)。ただし得
られた薄膜に対して、請求項4に示されるように、必要
に応じてさらに適切な温度のもとで不活性気体や反応性
気体中で適切な時間アニーリングを行うようにしてもよ
い(工程G)。
【0011】請求項5記載の薄膜形成方法は、請求項3
又は4記載の方法によって形成した薄膜を付けた基板
を、さらに基板上の薄膜と反応する物質の蒸気あるいは
反応性気体中に置き、適切な温度のもとで化学反応を適
切な時間行う(工程H)。また、請求項6記載の薄膜形
成方法は、請求項3又は4記載の方法によって形成した
薄膜を付けた基板を、不活性気体中に置き、薄膜を溶融
させたり、適切な温度のもとで薄膜内での固相反応や焼
結、薄膜物質の分解反応等の化学反応を適切な時間行っ
て薄膜とする(工程I)。
【0012】請求項7記載の薄膜形成方法は、図3に示
されるごとく、請求項1記載の工程A,Bによってコロ
ナ放電による粉末の基板への付着を行った後、必要に応
じて基板に付着した粉末の表面に水蒸気をあてることに
より粉末を湿らせて粉末間及び粉末と基板の付着の強さ
を一時的にせよ強くしておく(工程J)。次に基板ごと
不活性気体中あるいは反応性気体中に置き、粉末を溶融
したり、適切な温度のもとで粉末間での固相反応や焼
結、あるいは反応性気体と粉末間の化学反応を適切な時
間行って薄膜とする(工程K)。
【0013】請求項8記載の薄膜形成方法は、図4に示
されるごとく、請求項1記載の工程A,Bによって異な
る複数の物質の粉末を粉末毎にコロナ放電によって基板
に付着させ、層状に重ねるようにした場合で、重なって
いる粉末層のうち一部の粉末層をその粉末層の溶媒の蒸
気又は液滴に適切な温度のもとで接触させ溶かす(工程
L)。その後不活性気体中で適切な温度のもとで基板ご
と乾燥させて溶媒を蒸発により除去しておく(工程
M)。次に基板ごと、不活性気体中あるいは反応性気体
中に置き、層状に付着しているものを溶融したり、適切
な温度のもとで層状物質間での固相反応や焼結、あるい
は反応性気体と層状物質間の化学反応を適切な時間行っ
て薄膜とする(工程N)。
【0014】
【作用】したがって、上記の薄膜形成方法では、コロナ
放電によって生じた電解によって散布された粉末が非常
に効率よく基板表面に収集され、基板面に入る電界の均
一性に基づいて粉末が均一に基板面に付着する。この粉
末の付着の均一性が最終的な薄膜の平坦性のよしあしを
ほとんど決定づけている。よって針金極と基板間の電界
分布が基板表面近くで均一になるように針電極と基板と
の空間的配置を一度設定しさえすればよく、この設定は
それほど困難ではなく、基板状に粉末を付着させるプロ
セスは制御しやすいプロセスである。基板表面の上に所
望する形をくりぬいた絶縁材料でできたマスクをかぶせ
ることによって、粉末をくりぬいた形状に基板上に付着
させることもできる。すなわちマスクに作った形状とほ
ぼ同じ形状の薄膜が最終的に得られる。
【0015】基板上に付着させた粉末は人間の指等で意
図的にこすればはがれるが、粉末に接触するものがなけ
れば基板の持ち運びに何ら注意を払う必要もなく、粉末
のはがれは全く生じない。またこのようなコロナ放電に
よる粉末の基板への収集と付着において、散布する粉末
の量は目的とする薄膜の表面積と厚さに依存する。しか
し、空間的に散布された粉末は非常に効率よく放電電界
によって基板表面に収集されるため、無駄となる粉末が
量的に大変少なく、粉末原料の浪費が極めて少ない、経
済的な粉末の基板への収集と付着の方法となっている。
【0016】粉末を基板に付着させた後のプロセスにお
いて請求項1記載の薄膜形成方法は、粉末にできて溶媒
が存在する有機物及び無機物に対してほとんど例外なく
適用できる方法であり、脱離しやすい原子も脱離させ
ず、組成のずれのない目的とした組成で物理的、化学的
性質も安定で平坦性のよい薄膜を実現する。
【0017】請求項3記載の薄膜形成方法は、最終的に
薄膜とする物質が得られる固体と気体間の化学反応、又
は固体と液体間の化学反応を利用している。すなわち固
体と気体間の化学反応を利用する場合は、該当する固体
の物質を粉末にして請求項3の記載中でいう粉末とす
る。また固体と液体間の化学反応を利用する場合は、該
当する固体の物質を粉末にして請求項3の記載中でいう
粉末とするとともに、該当する液体の物質を請求項3
記載中でいう蒸気にしたり液滴にして使用する。このよ
うな請求項3記載の薄膜形成方法においても、組成のず
れのない目的とした組成で物理的、化学的性質も安定で
平坦性のよい薄膜が得られる。
【0018】請求項5又は6記載の薄膜形成方法は、ま
請求項3又は4記載の方法によって最終的に目的とす
る薄膜の物質を合成する際の原料となる物質を薄膜とす
る。次に得られた薄膜を請求項5又は6の記載中でいっ
ているようなプロセスによって最終的に目的とする薄膜
にする。このような請求項5又は6記載の薄膜形成方法
においても組成のずれのない目的とした組成で物理的、
化学的性質も安定で平坦性のよい薄膜が得られる。
【0019】請求項7記載の薄膜形成方法及び請求項8
記載の薄膜形成方法は、基板上に付着させた粉末又は複
数の粉末層と粉末が溶解した層からなる多層構造の付着
物を、不活性気体中あるいは反応性気体中の熱的な処理
によって目的とする薄膜とする方法であるため、形成さ
れる薄膜が熱的に分解されにくい物質のものであった
り、融点が低い物質のものであったりする場合に適して
いる。どちらの薄膜形成方法とも組成のずれのない目的
とした組成で物理的、化学的性質も安定で平坦性のよい
薄膜を実現する。
【0020】上述したすべての薄膜形成方法において、
基板に付着した粉末に対してなされる様々な化学変化や
反応は、粉末と反応させる気体や液滴の供給量および化
学的変化や反応をさせる温度や時間を変えることによ
り、容易にその様相を様々に変化させることができる。
【0021】また、途中段階の薄膜に対してなされる工
程F等の化学的変化や反応に対しても容易にその様相を
様々に変化させることができる。不活性気体中や反応性
気体中で必要に応じてなされる乾燥やアニーリングプロ
セスの条件も容易に様々に変えることができる。このよ
うにどの薄膜形成方法も方法全体とし制御性に優れてい
るので、最終的に得られる薄膜が組成的に目的とした薄
膜の組成とずれがなく、その物理的、化学的性質も安定
で、薄膜としての平坦性もよいという薄膜形成のプロセ
ス条件を実現することができる。
【0022】
【実施例】以下、この発明を、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、水酸化亜鉛(Zn(OH)2 )、酸化亜
鉛(ZnO)、及び酸化チタン(TiO2 )の薄膜形成
に適用した例を説明する。
【0023】まず、請求項1記載の薄膜形成方法に基づ
いて、PVDF薄膜を形成する例を説明する。図5は、
本発明の実施例に使用したコロナ放電を利用して粉末を
基板に付着させる装置の構成を示す。
【0024】この装置は、下部に錐面が形成された円筒
状の装置本体1を有し、この装置本体1内に、針状電極
2、基板3、マスク4が固定されており、装置本体内
は、大気圧の清浄空気雰囲気にしてある。針状電極2と
して真ちゅう棒の先端を針状にしたものを用い、基板3
としてガラス平板、マスク4として直径約1cmの孔5
をくり抜いた塩化ビニルの平板を用いている。基板3
は、マスク4の孔5を裏面から塞ぐように取り付けられ
ている。
【0025】PVDF粉末を原料粉末6として装置本体
の最下部に形成された収容部7に5mg入れておく。次
に、装置本体内に予め挿入された着脱自在のビニールチ
ューブ8を使って室温よりわずかに温度の高い水蒸気を
マスク4の孔5を介して基板3の表面に送り込み、少量
の水分子を基板3の表面に吸着させる。この操作の終了
後はビニールチューブ8を装置の外へ出しておく。
【0026】この後、収容部7に通じる通路上のゴム球
9を圧縮して窒素ガスを収容部7を介して装置本体内に
送り込む。送り込まれた窒素ガスは、原料粉末6と共に
フィルター10を通って針状電極2と基板3との間の空
間に散布される。ここで、フィルター10の細孔の直径
は10μmとした。直流電圧源又はパルス電圧源11に
よって針状電極2と基板3との間に、直流電圧源を使用
した場合は平均の電界2〜15KV/cmで、パルス電圧
源を使用した場合は波高値が6〜45KVのパルス電圧
を印加して、コロナ放電を生じさせ、散布された粉末を
基板3に収集し付着させる。このようなゴム球9の圧縮
とコロナ放電の操作を2〜3回くり返すと基板3の表面
上にPVDFの粉末を直径約1cmの円形状に均一に付着
させることができた。
【0027】次に粉末を付着させた基板3を、図6に示
すような粉末を溶解あるいは反応等させるための装置に
入れ、試料台12に載置する。また、PVDFの溶媒1
3としてジメチルホルムアミドを装置内に入れておく。
ヒーター14により溶媒13を50〜60℃ほどに加熱
する。装置には、溶媒中に開口する管路15と基板3の
周囲の雰囲気中に開口する管路16が設けられており、
管路16を開閉するコック17を閉じ、管路15を開閉
するコック18を開いて、管路15を通ってきた窒素ガ
スにより溶媒13をバブリングし、溶媒蒸気を効率よく
発生するようにする。この状態では、基板3の温度は4
0℃未満にされており、溶媒13の蒸気は基板上のPV
DF粉末と接触して冷やされ液体となり、PVDF粉末
をゆっくりと溶かす。ヒーター14による溶媒13の加
熱は30分間だけ行った。
【0028】その後は加熱をやめてコック18を閉じて
コック17を開き、室温にある窒素ガスを基板表面に沿
うように20分程流した。その結果、溶けたPVDFか
ら溶媒が蒸発し、乾燥したPVDF薄膜が得られた。こ
のPVDF薄膜を測定した結果によれば、直径約1cmの
円形で、平均の膜厚は約3000Åであり、膜厚の変動
は±150Å以内であった。また、得られたPVDF薄
膜の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、PVDF
の標準スペクトルと一致しており、得られたPVDF薄
膜は原料粉末の組成と同じものと考えられる。
【0029】次に請求項3記載の薄膜形成方法にもとづ
いてZn(OH)2 薄膜を形成する方法を説明する。ま
ず図5で示した装置を用い、先のPVDF薄膜形成の例
と同様にしてガラス基板3に酸化亜鉛(ZnO)粉末を
付着させた。この段階で先のPVDFの例との違いは、
原料粉末6として5mgのPVDF粉末を20mgのZnO
粉末に変更し、フィルター10の細孔の直径を20μm
としたことのみである。次に図6に示した装置の試料台
12に基板3を置く。また先のPVDFの例と違い、溶
媒13のジメチルホルムアミドのかわりに29%アンモ
ニア水(NH4OH)を入れた。
【0030】図6に示されたヒーター14でアンモニア
水を50〜60℃ほどに加熱し、コック17を閉じてコ
ック18を開き、管路15を通ってきた窒素ガスによっ
てアンモニア水をバブリングし、アンモニアガスと水蒸
気がよく発生するようにする。この状態では、基板2の
温度は40℃未満にされているので、アンモニアガスと
水蒸気は基板上のZnO粉末と接触して冷やされ、液体
となってZnO粉末と反応する。この反応は次の化学式
1のように表される。
【0031】
【化1】 ZnO+NH4 OH→Zn(OH)2 +NH3
【0032】ヒーター14によるアンモニア水の加熱は
40分間だけ行った。その後は加熱をやめコック18を
閉じてコック17を開き、室温にある窒素ガスを基板表
面に沿うように20分程流し基板全体を乾燥させた。そ
の結果、基板上には粉末状でない直径約1cmの円形で、
平坦なZn(OH)2 薄膜が得られた。この薄膜を測定
した結果によれば、平均の膜厚は約4500Åで、膜内
での膜厚の変動は±200Å以内であった。
【0033】次に請求項5記載の薄膜形成方法にもとづ
いてZnO薄膜を形成する例を説明する。まず上述した
方法によってZn(OH)2 薄膜をガラス基板上に、上
に示した例の場合と全く同じ条件で形成した。次に図7
に示すように、石英管19に基板3を入れ、酸素ガスを
石英管19内に流して電気炉20により基板3を400
℃の温度に保ち、酸素ガス中で40分間反応させた。こ
の反応は化学式2で示されるZn(OH)2 の分解反応
である。
【0034】
【化2】 Zn(OH)2 →ZnO+H2
【0035】得られたZnO薄膜は、測定結果によれ
ば、直径約1cmの円形で、平均の膜厚約4500Å、膜
内での膜厚の変動は±200Å以内であった。
【0036】次に請求項7記載の薄膜形成方法にもとづ
いてTiO2 薄膜を形成する例を示す。まずα−チタン
酸(TiO2 ・2H2 O)粉末を図5で示した装置を用
い、実施例として最初にあげたPVDF膜の形成の場合
と同様にしてガラス基板上に付着させた。この段階では
先のPVDFの例との違いは原料粉末6として5mgのP
VDF粉末を5mgのα−チタン酸粉末に変更したことの
みである。
【0037】次に図6に示した装置の試料台12に基板
3を置く。先のPVDFの例と違いは、溶媒13のジメ
チルホルムアミドのかわりに純水を入れた。図6に示さ
れたヒーター14で、純水を40℃ほどに加熱する。コ
ック17を閉じてコック18を開け、管路15を通って
きた窒素ガスにより純水がバブリングされ蒸気がよく発
生するようにする。この状態においては、基板3の温度
が30℃未満にされているので、水蒸気は基板上のα−
チタン酸粉末と接触して冷やされ、α−チタン酸粉末を
湿らせる。ヒーター14による純水の加熱は10分間だ
け行った。その後は加熱をやめ、コック18を閉じてコ
ック17を開き、室温にある窒素ガスを基板表面に沿う
ように20分間程流し、基板全体を乾燥させた。
【0038】次に図7に示されているように石英管19
に基板3を入れ、酸素ガスを流し電気炉20により基板
3を400℃の温度に保ち、酸素ガス中で3時間反応さ
せた。この反応は、化学式3で示される水分子の脱離反
応である。
【0039】
【化3】 TiO2 ・2H2 O→TiO2 +2H2
【0040】得られたTiO2 薄膜は、測定結果によれ
ば、直径約1cmの円形で、平均の膜厚は約3500Å、
膜内での膜厚の変動は±200Å以内であった。またこ
のTiO2 薄膜は、結晶構造的にはアモルファス的であ
った。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜形成
方法によれば、様々な有機物、無機物、またはこれらの
両方を含む薄膜を、目的とした組成とずれのない組成を
もって形成することができ、しかも、平坦性もよく、物
理的、化学的な性質においても安定している薄膜を制御
しやすいプロセスで形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、請求項1及び2にかかる発明の工程を
示したブロック図である。
【図2】図2は、請求項3乃至6にかかる発明の工程を
示したブロック図である。
【図3】図3は、請求項7にかかる発明の工程を示した
ブロック図である。
【図4】図4は、請求項8にかかる発明の工程を示した
ブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のために使用した粉末
を基板に付着させる装置の概略構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例のために使用した粉末
の溶解あるいは反応等を行うための装置の構成を示す図
である。
【図7】図7は、本発明の実施例のために使用した粉末
あるいは薄膜を酸素ガス中で反応させるための装置の構
成を示す図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 針状電極 3 基板 4 マスク 5 孔 6 原料粉末 7 収容部 8 ビニールチューブ 9 ゴム球 10 フィルター 11 直流電圧源又はパルス電圧源 12 試料台 13 溶媒 14 ヒーター 15、16 管路 17、18 コック 19 石英管 20 電気炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08J 5/18 C08J 5/18 (56)参考文献 特開 昭48−94953(JP,A) 特開 昭58−109173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/04 B01J 19/08 B05D 3/14 B29C 41/08 C23C 24/08 C08J 5/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる複数の物質の薄膜を形成する方法
    において、前記異なる複数の物質の粉末を、該粉末ごとに、針状電
    極と電極を兼ねた基板との間の空間に散布すると共に前
    記針状電極と基板との間にコロナ放電を生じさせて基板
    上に層状に付着させ、 その後、前記基板上に付着させた粉末をその粉末の溶媒
    の蒸気又は液滴に適切な温度のもとで接触させて溶か
    し、 しかる後に、不活性気体中で適切な温度のもとで前記基
    板ごと乾燥させて前記溶媒を蒸発により除去し薄膜を形
    成したことを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記基板は金属、半導体、または絶縁体
    のいずれかから成り、前記基板が絶縁体の場合には、前
    記粉末の散布とコロナ放電を行う前に水蒸気を基板表面
    に均一にあて、水分子を基板表面に吸着させておく請求
    項1記載の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 有機物、無機物、又はその両方を含む物
    質の薄膜を形成する方法において、 薄膜の原料となる粉末あるいは原料となる異なる複数の
    物質の粉末の混合物を針状電極と電極を兼ねた基板との
    間の空間に散布し、 前記針状電極と基板との間にコロナ放電を生じさせて、
    散布した粉末を基板上に層状に付着させ、 その後、粉末と反応する物質の蒸気、又は液滴、あるい
    は粉末と反応する気体物質を粉末と適切な温度のもとで
    接触させて適切な時間化学反応をさせ薄膜を形成するこ
    とを特徴とする薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項3で得られた薄膜に対して、さら
    に適切な温度のもとで不活性気体や反応性気体中で適切
    な時間アニーリングを行う薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載又は請求項4記載の方法に
    よって形成した基板上の薄膜に対し、さらに前記基板を
    前記薄膜と反応する物質の蒸気、あるいは反応性気体中
    に置き、適切な温度のもとで化学反応を適切な時間行う
    ことを特徴とする薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載又は請求項4記載の方法に
    よって形成した基板上の薄膜に対し、さらに前記基板を
    不活性気体中に置き、前記薄膜を溶融させたり、適切な
    温度のもとで薄膜内での固相反応や焼結、薄膜物質の分
    解反応等の化学反応を適切な時間行うことを特徴とする
    薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 有機物、無機物、又はその両方を含む物
    質の薄膜を形成する方法において、 薄膜の原料となる粉末あるいは原料となる異なる複数の
    物質の粉末の混合物を針状電極と電極を兼ねた基板との
    間の空間に散布し、 前記針状電極と基板との間にコロナ放電を生じさせて、
    散布した粉末を基板上に層状に付着させ、 基板に付着した粉末の表面に水蒸気をあてることにより
    粉末を湿らせ、 次に基板ごと不活性気体中あるいは反応性気体中に置
    き、粉末を溶融したり、適切な温度のもとで粉末間での
    固相反応や焼結、あるいは反応性気体と粉末間の化学反
    応を適切な時間行って薄膜を形成することを特徴とする
    薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 異なる複数の物質から薄膜を形成する方
    法において、 前記異なる複数の物質毎に、針状電極と電極を兼ねた基
    板との間の空間に前記物質の粉末を散布する工程と、前
    記針状電極と基板との間にコロナ放電を生じさせて前記
    粉末を前記基板上に付着させる工程とを行い、これによ
    って異なる物質の粉末を層状に重ねて基板に付着させ、 前記層状の重なっている粉末層のうち、一部の粉末層を
    その粉末の溶媒の蒸気又は液滴に適切な温度のもとで接
    触させ、 その後、不活性気体中で適切な温度のもとで基板ごと乾
    燥させて溶媒を蒸発により除去し、 次に、基板ごと不活性気体中あるいは反応性気体中に置
    き、層状に付着している物質を溶融したり、適切な温度
    のもとで層状物質間での固相反応や焼結、あるいは反応
    性気体と層状物質間の化学反応を適切な時間行って薄膜
    を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
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