JP3459177B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン系樹
脂発泡体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明
は、表面が平滑で、外観が美麗なポリプロピレン系樹脂
発泡体の製造方法に関する 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】二次成
形可能な発泡体として、ポリスチレン系樹脂発泡シート
が多く使用されている。ポリスチレン系樹脂は、非晶性
樹脂であるため明確な融点を持たない。そのため、ポリ
スチレン系樹脂に発泡剤を包含させて加熱溶融すると、
容易に発泡に適した溶融粘弾性を有する溶融樹脂を得る
ことができる。従って、極めて簡単にポリスチレン系樹
脂発泡シートを得ることができる。しかし、耐熱性等の
特性において必ずしも満足しうるポリスチレン系樹脂発
泡シートは得られなかった。 【0003】一方、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性樹
脂であるため、耐熱性等の点ではポリスチレン系樹脂よ
り優れている。しかし、結晶性ポリプロピレン系樹脂
は、ガラス転移点以上では溶融粘度が極めて低く、発泡
した気泡を保持できず破泡しやすくなる。従って、従来
のポリプロピレン系発泡体は、連続気泡率が高かった。
そのため、高い独立気泡率を有し、良好な機械的特性及
び耐熱性に優れたポリプロピレン系発泡体を得ることは
困難であった。更に、従来のポリプロピレン系発泡体
は、密度が0.5g/cm3 以上の低発泡体か、或いは
0.03g/cm3以下の高発泡体であった。 【0004】すなわち、密度0.5g/cm3 以上の低
発泡体は、ポリプロピレン系樹脂に分解型又は反応型発
泡剤を添加し、シート押出装置に供給して製造されてい
る。また、密度0.03g/cm3 以下のミクロセルラ
ー構造の高発泡体は、例えば、特公昭46−41474
号公報にその製造方法が記載されている。即ち、ポリプ
ロピレン系樹脂を塩化メチレン、フルオロトリクロロメ
タン、パーフルオロシクロブタン等の活性化液に溶解
し、得られた溶液を該溶液の蒸気圧よりも高いが100
0PSiよりも高くない区域中から実質的により低い圧
力区域に押し出す。それによって活性化液を蒸発させ、
固体重合体が沈殿する。この後、重合体の配向を凍結す
る温度まで冷却して押出発泡させることにより高発泡体
を得ることができる。 【0005】これら2例の中間の発泡体として、Tダイ
リップに隣接した2本の成形ロールを用いてポリプロピ
レン樹脂発泡体を成形する方法(特公平5−11745
号公報)もある。この方法により得られる発泡体の密度
は、0.3g/cm3 前後ではあるものの、厚い発泡体
を得ようとすると、連続気泡率の高いものしか得られな
かった。そのため、得られた発泡体は、良好な成形性及
び機械的強度を有するとは言い難かった。 【0006】しかし近年、ポリプロピレン系樹脂のうち
ある種のものは、0.3g/cm3以下の高い独立気泡
率の発泡体を押出発泡成形方法によって得られることが
見いだされた。このポリプロピレン系樹脂は、例えば、
分子量分布カーブが、高分子領域に分岐ポリマーを含む
ことを示すカーブの張り出しがある形状のキャメル型で
あるポリプロピレン系樹脂(以下、単にキャメル型ポリ
プロピレン系樹脂ということがある。)である。更に、
ゲルパーミエイションクロマトグラフによるZ平均分子
量Mzが、少なくとも2.0×106 で、Mz/Mwが
少なくとも3.0である。 【0007】上記樹脂を使用し、サーキュラーダイより
筒状に押し出した後、サイジングマンドレルに沿わせて
引き取り、カッターにて切り開いて板状発泡体を得る方
法を用いれば、密度0.3g/cm3 前後で高い独立気
泡率を有する発泡体が得られる。しかし、サイジングマ
ンドレルにて冷却される際、内面のみマンドレルと接触
するため、表面外観に表裏による差が生じると共にシー
トにカーリングが発生する。更に、厚み5mm以上の発
泡体、もしくは密度0.2g/cm3 以下の発泡体を得
ようとする場合、押出流れ方向に縞立ちが顕著に現れる
ため、表面外観及び平滑性に問題が生じていた。 【0008】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は上記
課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のポリプロピ
レン系樹脂を用いてTダイより押出発泡することによ
り、表面平滑性、フラット性に優れ、且つ機械的強度が
強く、成形性に優れた発泡体が得られることを見出し、
本発明に至った。 【0009】 【0010】かくして本発明によれば、分子量分布カー
ブが、高分子領域に分岐ポリマーを示すカーブの張り出
しがある形状のキャメル型である樹脂を基材樹脂とする
ポリプロピレン系樹脂を、発泡剤とともに押出機にて溶
融混合した後、押出機先端に取り付けたT型ダイより押
出発泡し、該ダイ先端に近接された一対の成形ロールに
て押圧し、次に表面平均粗さRaが10μm以下になる
ように気体により表面を冷却することを特徴とするポリ
プロピレン系樹脂発泡体の製造方法が提供される。 【0011】 【発明の実施の態様】本発明の基材樹脂であるポリプロ
ピレン系樹脂は、分子量分布カーブ(ゲルパーミエイシ
ョンクロマトグラフィー、以下GPCと称する)が、高
分子領域に分岐ポリマーを示すカーブの張り出しがある
キャメル型ポリプロピレン系樹脂である。 【0012】本発明で行ったGPCの測定方法は次の通
りである。 測定装置:GPC 150−C型(Waters社製) 測定条件:カラム KF−80M(SHODEX:昭和電工社製)を2本 カラム温度 145℃ 注入温度 145℃ ポンプ温度 60℃ 使用溶剤 o−ジクロロベンゼン(1.0ml/分) 走査時間 50分 注入容積 400μl このGPCによって、次の通りの情報が得られる。 (1)Mn(数平均分子量):ポリマーの分子数に直接
関係する物性値を測定することによって求められる最も
基本的な平均分子量で、分子の総数に依存する。 (2)Mw(重量平均分子量):測定される物性値がポ
リマーの重量に直接関係する時に求められる平均分子量
であって、分子量の2乗平均であり、Mnより高重合度
分子に依存する。 (3)Mz(z平均分子量):もっとも高次の平均分子
量で、分子量の3乗平均である。 【0013】本発明の基材樹脂であるポリプロピレン系
樹脂は、Mzが2.0×106 〜10×107 で、Mz
/Mwが3.0〜20.0であるものを使用することが
好ましい。Mzが2.0×106 未満では、発泡に適し
た粘弾性が得られないので好ましくない。Mzが10×
107 を越えると、押し出しの際に負荷が高くなるため
好ましくない。Mz/Mwが3.0未満では、発泡適正
の温度が狭くなって均一な発泡体が得られないので好ま
しくない。Mz/Mwが20.0を越えると、分子量分
布が広くなりすぎて発泡条件を調節することが困難とな
るので好ましくない。なお、Mzが2.0×106
5.0×106 及び/又はMz/Mwが5〜10の範囲
が特に好ましい。 【0014】また、上記ポリプロピレン系樹脂は、キャ
メル型の分子量分布カーブを有しているが、キャメル型
の分子量分布カーブとは、例えば図1のカーブAのよう
に分子量のピークより高分子側において単調減少カーブ
を示さず、3つ以上の変曲点を有し、高分子領域にラク
ダの背のように張り出しを有する形状のカーブを意味す
る。キャメル型の分子量分布カーブは、ポリプロピレン
系樹脂の多くは直鎖状であるが、高分子量を有するポリ
プロピレン系樹脂が多くの分岐を持っていることを示し
ている。 【0015】これに対し不充分な発泡性しか与えないポ
リプロピレン系樹脂の分子量分布曲線は、図1のカーブ
Bのように、分子量のピークより高分子領域において単
調減少カーブを示し、単純一山形形状を有している。本
発明に使用できるポリプロピレン系樹脂は、上記条件を
満たす物であれば、特に限定されない。例えば、プロピ
レン単独重合体、プロピレンを主体としたα−オレフィ
ンとのランダム又はブロック共重合体(例えば、エチレ
ン・プロピレン共重合体)が挙げられる。この内、共重
合体を使用れば、プロピレン単独重合体の脆性を改善す
ることができる。なお、キャメル型ポリプロピレン系樹
脂は、一般的には直鎖状ポリプロピレン系樹脂に低レベ
ルの放射線を照射することにより、また少量の過酸化物
と反応させて分岐ポリマーを生じさせることにより製造
することができる。 【0016】より具体的なキャメル型ポリプロピレン系
樹脂は、ハイモント社製PF−814、SD−632等
が挙げられる。本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体に
は、発泡性、耐熱性、耐衝撃性等の物性を阻害しない範
囲で、目的に応じて他の樹脂を混合してもよい。他の樹
脂としては、例えばポリエチレン系樹脂が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高
密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合
体、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、直鎖
状超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のポリエチレ
ンや、これらポリエチレンとαオレフィンとの共重合体
が挙げられる。更に、エチレン系アイオノマー、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−
メチルメタクリレート共重合体等のエチレンと官能基に
炭素、酸素、水素原子を持つ非オレフィン単量体との共
重合体も使用することができる。なお、これらポリエチ
レン系樹脂は1種又は複数種混合して使用してもよい。
また、ポリエチレン系樹脂の添加量は、ポリプロピレン
系樹脂100重量部に対して、5〜40重量部混合する
ことが好ましい。 【0017】ポリエチレン系樹脂以外にも、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペ
ンテン等のα−オレフィン重合体を使用してもよい。更
に、気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤として
は、気泡核剤、結晶核剤の両面に作用する、例えば、微
粉末タルク、シリカ、炭酸水素ナトリウムとクエン酸と
の混合物等を使用することができる。その他、顔料、帯
電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を混合
してもよい。 【0018】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体は、
表面平均粗さRaが10μm以下であることが1つの特
徴である。表面平均粗さが10μm以下であれば、表面
平滑性が高いために見た目に美麗であり、また印刷性が
向上し、更に他の発泡体や樹脂フィルム、紙、布、不織
布等との密着が向上するため、張り合わせ加工等にも優
れた性質を付与することができる。 【0019】なお、本発明において、表面粗さRaは、
以下の条件にて測定した値を示している。 測定装置:ハンディーサーフ E−30A(東京精密社製) 測定条件:駆動速度 0.6mm/秒 基準長さ 8mm カットオフ値 2.5 また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体は、MD方
向とTD方向の曲げ強度比が0.5≦MD/TD≦2.
0の範囲にあることが好ましい。曲げ強度比がこの範囲
にあれば強度の方向性のバランスがとれた発泡体が得ら
れ、板状として使用する場合のみならず、熱成型や打ち
抜き加工等の二次加工の際に特に方向を気にせず使用す
ることができる。従って、例えば、発泡体を熱成形加工
した場合、方向の均一性がとれた成形品を得ることがで
きる。 【0020】なお、本発明において、曲げ強度は、以下
の条件にて測定した値を示している。 測定装置:テンシロン万能試験機 UCT−10T(オリエンテック社製) 測定条件:試験片 (巾)50mm×(長さ)150mm 試験速度 50mm/分 支点間距離 100m 本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体は、0.03〜
0.5g/cm3 の密度を有することが好ましく、更に
0.05〜0.3g/cm3 の密度を有することがより
好ましい。ここで、密度が0.03g/cm3 より小さ
いと曲げ強度、圧縮強度等の機械的強度が不足するので
好ましくない。一方、0.5g/cm3 を越えると発泡
体としての軽さが得にくい範囲となり、また断熱性が乏
しくなるので好ましくない。 【0021】更に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡
体の形状は、特に限定されず、シート、フィルム又は管
等の形状を有していてもよい。特に、2〜20mmの厚
さを有することが好ましく、更に3〜15mmの厚さを
有することが好ましい。ここで、厚みが2mmより小さ
いと強度が不足するので好ましくない。一方、20mm
より大きいと熱成形等の二次加工性が悪くなるので好ま
しくない。 【0022】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体の片
面又は両面に、他の発泡体、樹脂フィルム、紙、布、不
織布等を張り合わせてもよい。他の発泡体としては、例
えば、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン系樹脂
発泡体、ポリプロピレン系樹脂発泡体等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、プロピレン系単独重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体、LDPE、HDPE、L−
LDPE、VLDPE、エチレン−プロピレンゴム、エ
チレン−オクテン共重合体等が挙げられる。 【0023】また、本発明には、上記ポリプロピレン系
樹脂発泡体が成形されてなる成形品も含まれる。成形品
の形状は、特に限定されないが、カップ状、皿状、弁当
容器状等の食品容器、箱状の容器、自動車の天井、内装
材等の形状であることが好ましい。次に、本発明の製造
方法を説明する。本発明では、ポリプロピレン系樹脂発
泡体が、押出発泡成形を利用して製造される。 【0024】まず、基材樹脂であるポリプロピレン系樹
脂を押出機に供給する。使用できる押出機としては、例
えば、2台の押出機を直列に連結した形式のタンデム押
出機を使用することができる。しかしながら、この形式
の押出機に限定されることなく、公知の押出機をいずれ
も使用することができる。タンデム押出機を使用した場
合は、まず、第1の押出機に基材樹脂が供給され、例え
ば180〜240℃で溶融される。更に、第1の押出機
の先端部から発泡剤が圧入され、発泡性溶融物となる。 【0025】本発明において使用しうる発泡剤として
は、大きく分けて加熱分解型の固体化合物、揮発型の液
体又は気体、不活性ガス等が挙げられる。これらは、単
独又は混合して使用することができる。具体的には、加
熱分解型の固体化合物としては、アゾジカルボンアミ
ド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げら
れ、揮発型の液体又は気体としては、プロパン、n−ブ
タン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオ
ペンタンのような飽和脂肪族炭化水素類、シクロペンタ
ン、シクロヘキサンのような飽和脂肪環族炭化水素類、
トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエ
タンのようなハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル
のようなエーテル類、アセトンのようなケトン類、メタ
ノール、エタノールのようなアルコール類、水等が挙げ
られ、不活性ガスとしては二酸化炭素、窒素等が挙げら
れる。 【0026】上記発泡剤の内、加熱分解型の固体化合物
の場合、基材樹脂100重量部に対して、0.1〜5重
量部添加することが好ましい。更に、分解温度、発生ガ
ス量及び分解速度を調節するために、公知の発泡助剤を
添加してもよい。揮発型の液体又は気体或いは不活性ガ
スの場合、基材樹脂100重量部に対して、0.5〜2
0重量部添加することが好ましい。 【0027】第1の押出機から発泡性溶融物が第2の押
出機に移され、第2の押出機中でこの発泡性溶融物が発
泡適性温度まで冷却される。発泡適性温度とは、使用す
る樹脂により相違するが、例えば145〜175℃を意
味する。発泡適性温度まで冷却された発泡性溶融物は、
ダイに注入され押し出される。ここで、本発明では、ダ
イとして、Tダイを使用することを特徴の1つとしてい
る。Tダイ以外のダイとして、サーキュラーダイ等が知
られているが、このダイを使用した場合、表面外観に表
裏で差が生じたり、カーリングが生じたり、押し出し流
れ方向に縞立ちが現れる等の表面外観及び平滑性に問題
を生じる恐れがある。これに対して、Tダイを使用すれ
ば、前記のような問題を生じることなく、表面外観、平
滑性、機械的強度及び成形性に優れた発泡体を得ること
ができる。 【0028】Tダイから押し出された発泡体は、Tダイ
の先端に近接して設置された一対の成形ロールにてフラ
ット化され、気体を吹き付けることにより表面を冷却
し、次いで成形冷却装置にて挟み込まれて引き取られる
ことによりシート状のポリプロピレン系樹脂発泡体を得
ることができる。本発明に使用される成形ロールは、0
℃以上、130℃以下に温調されているのが好ましい。
成形ロールの温度が0℃より低い場合、ダイより押し出
された樹脂表面が冷却されすぎ、発泡が阻害され、発泡
倍率の高い、厚みのある発泡体が得にくくなるため好ま
しくない。更に、130℃より高い場合、成形ロール表
面に軟化した樹脂が付着し易くなり、成形困難となるた
め好ましくない。なお、成形ロールは、20℃以上、1
00℃以下に温調されていることがより好ましい。 【0029】成形ロールは、ダイ先端になるべく近接で
きるようにロール径を30〜100mmのロール径を有
していることが好ましい。70mmより大きいとダイリ
ップに近接できなくなり、発泡体にコルゲートが発生し
易くなるため好ましくない。30mmより小さいと成形
ロールの強度が不足し、成形ロールに変形やそりを生じ
るため好ましくない。更に好ましいロール径は、40〜
70mmである。 【0030】発泡体を成形ロールにてフラット化した場
合、成形ロールと発泡体とは点接触の状態にあるため、
発泡体の表面は一旦冷却される。しかし、発泡体内部
は、ほとんど冷却されない。更に、ポリプロピレン系樹
脂は、結晶性樹脂であるため、樹脂の結晶化の際に多量
の結晶化熱が発泡体内部から発生する。そのために一旦
冷却され、フラット化されても、発泡体表面が内部から
の熱により再び加熱されると、表面にしわや波うちが発
生し、フラット性、表面平滑性が損なわれることにな
る。更に、発泡体は断熱性が高いため、厚みが増すに従
い内部の冷却効率が悪くなる。そのため、発泡体内部に
こもった熱により、一旦生成した気泡壁が固化する前に
破壊され、連続気泡率が増加する恐れがある。 【0031】従って、本発明では成形ロールによるフラ
ット化した後、気体を発泡体の両面に吹き付け、発泡体
を冷却する。ここで、発泡体の冷却を、冷却された金属
ロールや、金属ベルト等で行う方法も考えられるが、未
だ内部が軟化状態にある発泡体を両面より押さえつけな
がら冷却を行えば、発泡体内部の気泡が押しつぶされや
すい。その結果として発泡体が中心の気泡のつぶれた、
連続気泡率の高い発泡体となるので好ましくない。ま
た、押しつぶさないよう金属ロール又は金属ベルト間の
間隙を微妙に調節することも考えられるが、そのような
調節は安定した発泡体の製造の妨げになる。更に、水中
に浸漬して冷却する方法も考えられるが、設備が大がか
りになる上、表面に残る水滴の除去を行う工程が増える
ために好ましくない。 【0032】上記冷却方法に対して、本発明の気体によ
る冷却方法では、基本的に発泡体には非接触で冷却を行
うことができるため、内部の気泡が押しつぶされること
はない。更に、発泡体表面の温度上昇を防ぐことができ
るため、フラット性及び表面平滑性に優れ、連続気泡率
の低い発泡体を得ることができる。吹き付けられる気体
の風量Aは、以下の式の範囲内にあることが好ましい。 【0033】0.05≦A/(B+C)≦5.0 上記式中、Aは1分間当たり総送風量(m3 /分)、B
は発泡体全幅(m)、Cは成型ロール周速度(m/分)
である。A/(B+C)<0.05の範囲では冷却の効
果は現れず、発泡体の冷却不足となり、表面の平滑性が
失われるため好ましくない。一方、A/(B+C)≧
5.0の範囲では吹き付ける圧力が大きくなりすぎ、未
だ軟化状態にある発泡体の表面にへこみを生じてしまう
ため好ましくない。 【0034】気体を吹き付ける位置は、成形ロールから
出た成形品の内部温度により相違するが、成形ロールの
直後から50cm以内であることが好ましい。吹き付け
る位置が50cmより遠い位置にある場合、成型ロール
にてフラット化された発泡体表面が、発泡体内部の熱に
より軟化し、発泡体に波立ちが発生するので、表面の平
滑性が失われるため好ましくない。吹き付ける気体は、
空気、窒素、二酸化炭素等を用いることができる。基体
の温度は、0〜40℃であることが好ましい。気体を吹
き付ける装置としては、幅方向に均一に気体を吹き出す
ことのできる装置で、例えば、横一列に開けられた多数
個の穴から気体を吹き出す装置や、スリットより気体を
吹き出す装置や、焼結金属又はセラミックスよりなる多
孔質体より気体を吹き出す装置等を1段或いは複数段用
いることが好ましい。 【0035】上記のように気体を吹き付けることにより
冷却された発泡体は、続いて引取機にて引き取られる。
この引取機は冷却されていることが好ましい。引取機と
しては、内部に冷却水が循環した一対以上の冷却ロール
やスチールベルト等を用いることができる。更に、この
後、任意の位置でカッター等の切断手段により切断して
もよい。 【0036】本発明には、上記製造方法により得られた
ポリプロピレン系樹脂発泡体を熱成形してなる成形品も
含まれる。熱成形により得られる成形品としては、例え
ば、カップ状、皿状、弁当容器状等の食品容器の形状が
挙げられる。なお、熱成形法としては、公知の方法をい
ずれも使用できる。 【0037】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 【0038】実施例1及び2 キャメル型ポリプロピレン樹脂であるSD632(プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体、ハイモント社製)
100重量部に、気泡核剤としてクエン酸と重炭酸ナト
リウムの混合物であるハイドロセロールHK(ベーリン
ガー・インゲルハイム社製)0.2重量部をあらかじめ
ブレンダーで混合した。その混合物を、図2に示す如
き、口径90mmと115mmの2台の押出機(1、
2)を連結した発泡押出機に供給した。150〜230
℃に調節された第1の押出機1に供給された混合物は溶
融混練される。次いで第1の押出機1の先端部より発泡
剤としてブタンを基材樹脂に対し2.6重量部の割合で
圧入した。その後、180〜145℃に調節された第2
の押出機2に混合物を導入し、発泡に適する温度(16
5℃)に樹脂温度を調整した。次に、混合物を幅600
mmのT型ダイ3の厚さ0.5mmのスリットより押出
した。押出された樹脂を、スリットに近接して設置され
た2本の成形ロール4間を通過させることにより、フラ
ットに成形した。更に、成形ロール4より30cm離れ
て設置された、多数個の吹き出し口を横一列に開けた冷
却装置5にて10℃の空気を2.0m3 /分間吹き付け
て冷却を行った。続いて冷却ロールを備えた冷却引き取
り機6により引き取ることにより得られた発泡体を、任
意の位置でカッター7により切断して発泡板8を得た。
得られた発泡板8の厚み、密度、表面粗さ、曲げ強度、
圧縮強度を、成形ロールの表面温度と周速度と併せて表
1に示した。 【0039】比較例1 実施例1で用いた樹脂の代わりにキャメル型ポリプロピ
レン樹脂でない樹脂H−501(住友化学社製)を用い
た以外は実施例1と同様の方法により発泡体を製造し
た。 【0040】この樹脂では、押出され発泡した樹脂が、
成型ロールにより成型された後に、収縮が起こるため発
泡倍率が上がらず、表面にしわが入り、表面平滑性の低
い発泡体となった。得られた発泡板の厚み、密度、表面
粗さ、曲げ強度、圧縮強度を、成形ロールの表面温度と
周速度と併せて表1に示した。 【0041】比較例2 実施例1と同様の樹脂を使用し、T型発泡ダイを用い
ず、口径φ90mmのサーキュラーダイより押し出し、
管状発泡体を外径380mmのサイジングマンドレルに
添わせて引き取り、円周上の一点でカッターにより切開
し、発泡体を得ること以外は実施例1と同様の方法によ
り発泡体を製造した。得られた発泡体は表面に縞模様が
目立つ、表面の平滑性の低い発泡体となった。 【0042】得られた発泡板の厚み、密度、表面粗さ、
曲げ強度、圧縮強度を、成形ロールの表面温度と周速度
と併せて表1に示した。 【0043】比較例3 実施例1と同様の樹脂と方法で行っているが、成型ロー
ルより30cm離れて設置された、多数個の吹き出し口
を横一列に開けた冷却装置より気体を吹き付けずに行っ
た。得られた発泡体は、内部の気泡破壊が目立ち、更
に、全体が収縮するため表面にしわが発生し、表面平滑
性が低く、機械的強度にも劣る発泡体であった。 【0044】得られた発泡板の厚み、密度、表面粗さ、
曲げ強度、圧縮強度を、成形ロールの表面温度と周速度
と併せて表1に示した。 【0045】 【表1】 【0046】実施例1及び2によれば、比較例1〜3と
比較して、表面が平滑で外観が美麗であるポリプロピレ
ン系樹脂発泡体を得ることができた。 【0047】 【発明の効果】本発明によれば、表面が平滑で外観が美
麗であり、フラット性に優れ、かつ機械的強度が強く、
成形性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡体を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】キャメル型ポリプロピレン系樹脂とそれ以外の
ポリプロピレン系樹脂の分子量の分布曲線を示すグラフ
である。 【図2】実施例で使用した発泡体の製造装置の概略図で
ある。 【符号の説明】 1、2 押出機 3 T型ダイ 4 成形ロール 5 冷却装置 6 冷却引き取り機 7 カッター 8 発泡板

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 分子量分布カーブが、高分子領域に分岐
    ポリマーを示すカーブの張り出しがある形状のキャメル
    型である樹脂を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂
    を、発泡剤とともに押出機にて溶融混合した後、押出機
    先端に取り付けたT型ダイより押出発泡し、該ダイ先端
    に近接された一対の成形ロールにて押圧し、次に表面平
    均粗さRaが10μm以下になるように気体により表面
    を冷却することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡
    体の製造方法。
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