JP3458685B2 - 荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置

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JP3458685B2 JP33698197A JP33698197A JP3458685B2 JP 3458685 B2 JP3458685 B2 JP 3458685B2 JP 33698197 A JP33698197 A JP 33698197A JP 33698197 A JP33698197 A JP 33698197A JP 3458685 B2 JP3458685 B2 JP 3458685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陽子線などの粒
子線を高エネルギーに加速して人体に照射してガン組織
等を破壊する荷電粒子線ビーム装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図6は例えば特開平5−109499号
公報に示された従来のシンクロトロンの平面図であり、
図7は3次共鳴励起出射時における図6の出射用偏向装
置入り口での出射初期と出射末期の位相空間で、横軸は
荷電粒子ビームの水平方向変位x、縦軸はビームの軌道
勾配x’(=dx/ds,sは進行方向距離)を表す図
である。また、図8は出射用偏向装置付近の拡大図とバ
ンプ軌道を表す図である。
【0003】図6において、1はシンクロトロンを周回
する粒子の平衡軌道(中心軌道)、3は粒子を偏向させ
る偏向電磁石、5は粒子を集束する四極電磁石、7は加
速装置、9は共鳴取り出しに使用する共鳴励起用六極電
磁石、10、11は出射時に平衡軌道の一部を出射用偏
向装置13側にずらすためのバンプ電磁石、12はずら
された平衡軌道であるバンプ軌道、13は粒子を偏向し
てシンクロトロン外部に取り出す出射用偏向装置、14
は出射時にチューンを整数±1/3に徐々に近づけるた
めのチューン補正用四極電磁石、15は入射用インフレ
クタである。
【0004】次に動作について説明する。偏向電磁石3
と四極電磁石5の効果により、入射用インフレクタ15
から入射された荷電粒子は、平衡軌道1(荷電粒子が安
定して運動することができる一周で閉じたループ)の回
りを安定にベータトロン振動しながら周回する。また、
加速空洞7を通過する際に荷電粒子はエネルギーが与え
られる。このような加速過程では、荷電粒子のチュー
ン、即ち、加速器一周当たりのベータトロン振動数は、
四極電磁石を用い、水平、垂直両方向とも通常、整数±
1/4に設定される。
【0005】加速終了後、荷電粒子の集まりであるビー
ムを出射する段階では、ベータトロン振動に前述の共鳴
を励起させるため、図6中の四極電磁石5を用い、ビー
ムを水平方向に取り出す場合は水平方向チューンを、ビ
ームを垂直方向に取り出す場合は垂直方向チューンを次
のように調整する。即ち、半整数共鳴の場合は、チュー
ンを整数±1/2に近づけ、3次共鳴の場合は、チュー
ンを整数±1/3に近づける。この状況で、半整数共鳴
を励起する場合は、加速器に予め設置した八極電磁石を
励磁し、また、3次共鳴を励起する場合は六極電磁石を
励磁する(図6には六極電磁石9を図示)。以上より、
ベータトロン振動に共鳴が励起され、安定限界を越えた
粒子は、ベータトロン振動の変化が大きくなっていく。
また、この状況でビームがダクトに衝突し失われること
を防止するために、図6、図8に示す二極バンプ電磁石
10、11を励磁し、出射用偏向装置13の前後で平衡
軌道を出射用偏向装置側にずらしたバンプ軌道12(局
所的に歪ませた軌道)を作っておく。
【0006】この時のビームの挙動を図7の位相空間を
使って説明する。図7は、3次共鳴励起出射時における
図6の出射用偏向装置入り口での出射初期と末期の位相
空間で、横軸はビームの水平方向変位x、縦軸はビーム
の軌道勾配x’(=dx/ds,sは進行方向距離)を
表す。3次共鳴励起時は、図7のΔABCのように三角
形状のセパラトリクス(安定限界)が存在する。3次共
鳴の場合、チューンはほぼ整数±1/3であるから、ビ
ーム周囲の3回に1回ほぼ同じ状態になる。すなわち、
それぞれの荷電粒子は出射位置において3つの状態を取
りうる。図7における黒丸印の3つの流れは、セパラト
リクス外側の荷電粒子の3つの状態の遷移を示したもの
である。例えば図7(a)において、a1の状態をとった
荷電粒子は、一周後b1、更に一周後c1または更にa2,b2,
c2・・・・・・といった遷移をし、最終的には出射器である出
射用偏向装置の電極を越えてxdに到達し、外部に取り出
される。
【0007】周回している荷電粒子にはベータトロン振
動の振幅の大きいものもあり、小さいものもある。荷電
粒子を徐々に出射させるために、ベータトロン振動の振
幅の大きいものから順に取り出す。このため、出射初期
はセパラトリクスを図7(a)のように比較的大きく
し、その後時間とともに小さくしていく。この操作を図
6の補助の四極電磁石14を用いて行う。即ち、補助四
極電磁石14でチューンを更に整数±1/3に近づけセ
パラトリクスを図7のΔA’B’C’のように小さく
し、ビームを出射するようにしている。
【0008】しかし、図7からも分かるように、セパラ
トリクスの大きさの変化により出射用偏向装置の入り口
でビームの傾きが変わる。この場合、出射ビームはビー
ム輸送系(出射用偏向装置からビームを利用する位置ま
での系)において時間的に位置が変動することになり、
最後のターゲットの位置でもビーム位置が変化すること
になる。
【0009】これを補正するために、先のバンプ電磁石
を単にビームを出射用偏向装置側にずらすことに使用す
るだけでなく、出射用偏向装置入り口でのビームの傾き
の変動を補正するためにも利用する。図6の例ではバン
プ電磁石は2台しか使っていないが、この場合、2台の
バンプ電磁石の間のベータトロン振動の位相の進みはπ
となる必要があり、かつ、出射用偏向装置入り口におけ
るバンプ軌道の傾きも限定されるため、バンプ電磁石の
設置位置やシンクロトロン設計に制約を受ける。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のビ
ーム取り出し中に出射用偏向装置入り口で変化するビー
ムの傾きを補正する方法では、シンクロトロンの設計に
おいてバンプ電磁石の適切な設置のために大きな制約を
受けるという問題がある。更に、小型のシンクロトロン
にはスペースの制約から適用できないケースもあるとい
う問題がある。また、この従来技術では、ビームの傾き
の変化を緩和することはできるが完全な補正はできな
い。一方、偏向電磁石3や四極電磁石5の設置誤差によ
り通常のシンクロトロンでは平衡軌道は歪むが、加速後
の平衡軌道に歪みがあるとそれを考慮したバンプ電磁石
の磁界設定、時間変化が必要となる。この平衡軌道の歪
みを正確に測定することは難しいため、バンプ電磁石の
最適化が非常に大変になるという問題もある。
【0011】この発明は、従来技術の上記の問題点を解
決するためになされたものであり、出射用偏向装置入口
でビームの傾きが変化しても、これを補正してビーム輸
送系でのビーム軌道を一定に保ち、ビーム取出しの全期
間にわたって大電流のビームを取り出せるシンクロトロ
ンを実現することを目的とする。また、上記の目的を達
成するために必要なシンクロトロン本体の設計や運転上
の制約を少なくすることを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の構成で
ある荷電粒子ビーム装置は、荷電ビームを加速して共鳴
取り出しにより出射用偏向装置を通して出射するシンク
ロトロンと出射ビームを輸送するビーム輸送系からなる
荷電粒子ビーム装置において、出射ビームパルス内の出
射用偏向装置入り口での出射角の時間的変化に合わせて
磁界又は電界強度を変化させる出射用偏向装置と、前記
出射用偏向装置と同期して磁界又は電界強度を変化させ
る1台ないし複数台の軌道補正偏向装置を有し、前記
軌道補正偏向装置のうち、1台は前記出射用偏向装置を
出た荷電粒子ビームが中心軌道を横切る位置に設置した
ものである。
【0013】この発明の第の構成である荷電粒子ビー
ム装置は、前記出射用偏向装置と前記軌道補正偏向装置
との間に集束又は偏向装置を設置したものである。
【0014】この発明の第の構成である荷電粒子ビー
ム装置は、荷電ビームを加速して共鳴取り出しにより出
射用偏向装置を通して出射するシンクロトロンと出射ビ
ームを輸送するビーム輸送系からなる荷電粒子ビーム装
置において、出射ビームパルス内の出射用偏向装置入り
口での出射角の時間的変化に合わせて磁界又は電界強度
を変化させる一台ないし複数台の軌道補正偏向装置をベ
ータトロン振動の位相が出射用偏向装置入り口からnπ
(nは整数)だけ進んだ位置に設置したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1. 以下、この発明の実施の形態を図について説明する。図
1はこの発明の実施の形態1によるシンクロトロンの平
面図、図2はシンクロトロンの出射部付近の拡大図とビ
ーム軌道を表す図である。また、図3は取り出しビーム
に対する各機器の出力変化の一例を示す図である。
【0016】図1、図2において、1はシンクロトロン
を周回する粒子の平衡軌道(中心軌道)、3は粒子を偏
向させる偏向電磁石、5は粒子を集束する四極電磁石、
7は加速装置、9は共鳴取り出しに使用する共鳴励起用
六極電磁石、10、11は出射時に平衡軌道の一部を出
射用偏向装置13側にずらすためのバンプ電磁石、12
はずらされた平衡軌道であるバンプ軌道、13は粒子を
偏向してシンクロトロン外部に取り出す出射用偏向装
置、14は出射時にチューンを整数±1/3に徐々に近
づけるためのチューン補正用四極電磁石、15は入射用
インフレクタ、17はビーム輸送系の中心軌道、20は
出射ビームに合わせて磁界が時間的に変化する軌道補正
偏向装置、22は出射用偏向装置の電源、24は軌道補
正偏向装置の電源、26は電源22、24のそれぞれの
出力波形を決める波形成形装置、28は波形を任意に作
り出すための制御計算機、30は出射開始時にトリガー
を発生し波形成形装置の出力を開始させるトリガー発生
器である。
【0017】次に動作について説明する。シンクロトロ
ン及びそこからの共鳴取り出しについては従来例で説明
した通りである。ここでは、共鳴により出射用偏向装置
13の入り口に粒子が到達した後について説明する。出
射用偏向装置は磁界で粒子を偏向するものもあれば電界
で偏向するものもある。ここでは磁界を使った偏向装置
とする。また、高エネルギー装置では出射用偏向装置は
複数台に分けて用いる場合もある。出射用偏向装置の入
り口での荷電粒子の位相空間座標をx0、x’0で表すと、
その出口での粒子座標x1、x’1は下記の式で与えられ
る。 x1 = cos φ・x0 + ρsinφ・x’0 + ρ(1 - cosφ)ΔP0/P0 (1) x’1 = - sinφ/ρ・x0 + cosφ・x’0 + sinφ・ΔP0/P0 (2) ここで、ΔP0/P0 は粒子の運動量の誤差を表すが、この
粒子は、運動量誤差がゼロの粒子に足して出射用偏向装
置の磁界強度を-ΔP0/P0だけ変えたものと等価である。
すなわち、運動量が1%高い粒子の出射用偏向装置内で
の軌道と運動量誤差がゼロの粒子に対して磁界強度を1
%下げた時の軌道は同じである。φは出射用偏向装置の
偏向角、ρは曲率半径である。
【0018】共鳴取り出しにおいては、従来例で述べた
ように取り出し中にx0、x’0が時間的に変化する。ここ
で、x0の変動はランダムであるためその補正は考えな
い。従って、x0=0とする。この時、 x1 = ρsinφ・x’0 + ρ(1 - cosφ)ΔP0/P0 (3) x’1 = cosφ・x’0 + sinφ・ΔP0/P0 (4) 出射用偏向装置出口からLだけ離れた位置に軌道補正偏
向装置20を設置する。その間には集束、偏向要素がな
いとすると、軌道補正偏向装置の位置での粒子座標x2
x’2は以下のようになる。 x2 = x1 + L・x’1 (5) x’2 = x’1 (6)
【0019】軌道補正偏向装置より下流側で粒子が中心
軌道上を進むようにするためには、軌道補正偏向装置の
位置でx2=0とし、軌道補正偏向装置で-x’1 の蹴り角を
与えればよい。この時、 0 = x1 + L・x’1 (7) 従って、 ρsinφ・x’0+ ρ(1 - cosφ)ΔP0/P0 = -L(cosφ・x’0+ sinφ・ΔP0/P0)(8) (ρsinφ + L cosφ) x’0= - (ρ(1 - cosφ) + L sinφ)ΔP0/P0 (9) 上式の括弧内は全て定数である。従って、 x’0の変化
に比例してΔP0/P0 (出射用偏向装置の磁界強度で符号
は逆になる。例えばΔP0/P0 が+1%の時には出射用偏
向装置の磁界強度は1%下げ、ー1%の時には1%上げ
る。)を変化させればよい。即ち、全てのx’0に対して
ビーム輸送系の軌道補正偏向装置の位置で粒子が中心軌
道を横切る解が存在し、ビーム取り出し中に出射用偏向
装置入り口で粒子の傾きが変わることによるビーム輸送
系でのビーム軌道変動を補正できる。軌道補正偏向装置
の変化のさせ方は式(4)に示すx’1から求めることが
できる。
【0020】ここで、軌道補正偏向装置はその中でのx
変位が無視できるとして薄肉レンズ近似した。x’0の変
化は設計時点で計算機によるビームシミュレーションに
より求められるため、出射用偏向装置の磁界強度を時間
的にどのように変化させなければならないかが予め分か
る。もちろん、最終的にはビームを使った実験により、
その時間的変化を最適化してもよい。
【0021】図2にビーム軌道の一例を示すが、x’0=0
の粒子が中心軌道17上を通るように出射用偏向装置1
3の磁界強度が設定されている場合に、ある値x’0の粒
子は18のような軌道を描き取り出される。この時、式
(9)で与えられるΔP0/P0の絶対値分だけ磁界強度を
強めれば19のような軌道となり、軌道補正偏向装置2
0の位置で中心軌道を横切る。そして、軌道補正偏向装
置で-x’1 だけ偏向させれば、軌道補正偏向装置より下
流側では粒子は中心軌道上を進む。
【0022】なお、取り出し中にビームの運動量が変化
する場合は、上述した式のΔP0/P0にその変化を考慮す
ればよい。また、出射用偏向装置13は一台としている
が、高エネルギーシンクロトロンの場合、一台で所定の
偏向角を得ることが難しい場合があり、その場合複数台
使用され、電界と磁界による偏向装置が混在している場
合もある。この場合でも同様の効果が得られ、磁界を時
間的に変化させる装置は全部でもよいし、最初の一台で
もよいし、最初の一台を含む複数台でもよい。シンクロ
トロンに合わせて最適な方法を選択すればよい。
【0023】図1には出射用偏向装置13と軌道補正偏
向装置20の磁界強度を時間的に同期して変化させるた
めのハードウェアー構成の一例を示した。磁界強度の時
間的変化の一例を図3に示すが、図3の最上段は取り出
されるビーム強度を表し、例えば500msの間にシン
クロトロンを周回するビームは徐々に取り出される。そ
の間に出射用偏向装置入り口での粒子の傾きは変化し、
例えば図3に上から2段目に示すような変化をするとす
る。図では直線的に変化させているが、実際には直線的
に変化するとは限らない。また、プラス側だけの変動と
しているが、マイナス側からプラス側に変動する場合も
ある。
【0024】その下の図は、その時粒子がビーム輸送系
の軌道補正偏向装置20の位置で中心軌道を横切るため
に必要な出射用偏向装置の磁界強度の変化のさせ方を表
す。最下段は軌道補正偏向装置の磁界強度の変化のさせ
方を表す。この例では、出射用偏向装置入り口でのビー
ムの傾きがゼロとならないので、軌道補正偏向装置の磁
界もゼロでないある値から変化している。
【0025】図3では、出射用偏向装置及び軌道補正偏
向装置の磁界強度は、ビーム出射開始時に急激に立ち上
がっているが、出射用偏向装置が電磁石の場合、このよ
うな立ち上がりは難しく、もっとゆっくりした立ち上が
りになる。ビームは数百msをかけて加速され、その後
取り出され、取り出しが終わると再度数百msかけて加
速するため、これらの装置の立ち上がり、立ち下がりを
早くする必要はない。
【0026】出射用偏向装置及び軌道補正偏向装置の電
源22、24は、例えば入力電圧に比例した出力電流を
出す電源である。波形成形装置26は、例えばメモリー
に記憶した波形パターンをトリガー発生器30からの信
号を受けると電圧出力していく装置である。従って、必
要なタイミングでトリガー発生器から信号を出力する
と、それぞれの波形成形装置に記憶された波形パターン
がそれぞれの電源から電流出力され、図3に示すような
磁界が得られる。これらの波形パターンは制御計算機2
8から自由に変えられ、ビーム実験を通して波形の最適
化を行う。
【0027】この方式を使えば、出射用偏向装置に平衡
軌道を近づけるためのバンプ電磁石は従来例と同じく必
要だが、出射用偏向装置入り口でビームの傾きを一定に
するようなバンプ軌道を作り出す必要はなく、シンクロ
トロン設計における制約を最小限にすることができ、よ
り効果的なシンクロトロンを設計することができる。ま
た、加速後に平衡軌道の歪みにより出射用偏向装置入り
口でのビームの傾きが計算とは違っても、ビーム実験を
通して出射用偏向装置及び軌道補正偏向装置の磁界を最
適化することにより平衡軌道の歪みの影響を補正できる
ため、平衡軌道の歪みを許容できる効果がある。
【0028】実施の形態2 なお、上記実施の形態では出射用偏向装置13は、端部
のエッジ角により集束発散作用を与える電磁石ではない
が、端部で集束発散作用を与える出射用偏向装置であっ
ても、同様の効果が得られる。その場合は、出射用偏向
装置及び軌道補正偏向装置の磁界変化は前記の式とは異
なり、集束発散効果を考慮して計算する。一般に出射用
偏向装置は簡単な作り方をすると端部にエッジ角が生じ
るが、これによる集束発散作用を許容した方式は安価な
装置を提供できる。
【0029】実施の形態3 なお、上記実施の形態では出射用偏向装置13と軌道補
正偏向装置20の間には集束、偏向作用を与える機器は
配置されていないが、それらが配置されていても同様の
効果が得られる。この場合も、上記実施の形態2同様、
それらの機器がビームに与える影響を考慮して出射用偏
向装置及び軌道補正偏向装置の磁界変化を決める。これ
により、ビーム輸送系の設計に制約がなくなり、より効
果的なビーム輸送系の設計が可能になるという利点が生
じる。
【0030】実施の形態4 図4は出射用偏向装置13の磁界強度は変えずにビーム
位置の時間的変動を補正する方法を示す図である。ビー
ム輸送系(出射用偏向装置とビーム利用位置との間の
系)に2台の軌道補正装置20を配置し、一台目の軌道
補正偏向装置によりその下流で中心軌道17を横切るよ
うに偏向し、中心軌道を横切る位置に配置した二台目の
軌道補正偏向装置で中心軌道と平行になるようにビーム
を偏向する。これにより、二台目の軌道補正偏向装置よ
り下流ではビームは中心軌道上を進むことになる。
【0031】この場合の軌道補正偏向装置の変化のさせ
方について考える。出射用偏向装置出口から一台目の軌
道補正偏向装置までの距離をL1、一台目と二台目の軌道
補正偏向装置の間の距離をL2とする。出射用偏向装置出
口でのビーム座標は式(3)、(4)で与えられるが、
出射用偏向装置の磁界は一定でビームの運動量変化も考
えないため、一台目の軌道補正偏向装置入り口でのビー
ムの位置と傾きxf 、x考えないため、一台目の軌道補正
偏向装置入り口でのビームの位置と傾きxf 、x’fは以
下のように与えられる。 xf = ρsinφ・x’0 + L1・ x’f (10) x’f = x’1 = cosφ・x’0 (11)
【0032】一台目の軌道補正偏向装置出口でのビーム
の傾きをx’f0 とすると、ビームが二台目の軌道補正偏
向装置の位置で中心軌道17を横切るためには、 0 = ρsinφ・x’0 + L1・cosφ・x’0 + L2・x’f0 x’f0 = ー(ρsinφ + L1・cosφ)x’0/L2 (12) ここで、軌道補正偏向装置内でのx変位は小さいものと
して無視した。二台目の軌道補正偏向装置では-x’f0
偏向角をビームに与えれば、その下流側ではビームは中
心軌道を進む。x’0は時間的に変化するため二台目の軌
道補正偏向装置の偏向角 x’f0も時間的に変化させる。
また、一台目の軌道補正偏向装置の偏向角は次の式で与
えられる。 x’f - x’f0 = (cosφ + (ρsinφ + L1・cosφ)/L2) x’0 (13)
【0033】この方式では、一般に大電流、強磁界で設
計される出射用偏向装置13を時間変化させる必要がな
いため、出射用偏向装置の設計製作が容易になるという
効果がある。
【0034】実施の形態5 なお、上記実施の形態では出射用偏向装置13と軌道補
正偏向装置20の間には集束、偏向作用を与える機器は
配置されていないが、それらが配置されていても同様の
効果が得られる。この場合も、上記実施の形態2同様、
それらの機器がビームに与える影響を考慮して出射用偏
向装置及び軌道補正偏向装置の磁界変化を決める。これ
により、ビーム輸送系の設計に制約がなくなり、より効
果的なビーム輸送系の設計が可能になるという利点が生
じる。
【0035】実施の形態6 図5はベータトロン振動の位相の進みが出射用偏向装置
13入り口からπだけ進んだ位置に軌道補正偏向装置2
0を配置して軌道の変化を補正する一例を表した図であ
る。ビーム輸送系は、一般にビームを集束させるための
四極電磁石5、ビームを必要な場所に導くための偏向電
磁石3が適切に配置されている。図5では偏向電磁石は
省略している。このような電磁石の配置の中では、出射
用偏向装置入り口で中心軌道に対してある角度を持つビ
ームは、中心軌道の周りを振動しながら進む。これをベ
ータトロン振動という。
【0036】この振動の位相の進みがnπ(nは整数)
だけ離れた位置では、出射用偏向装置入り口で中心軌道
に対して角度を持ったビームは全て中心軌道を横切る。
横切る角度は出射用偏向装置入り口での角度に比例す
る。従って、中心軌道を横切る位置に軌道補正偏向装置
20を配置し、出射用偏向装置入り口でのビームの角度
変化に合わせて軌道補正偏向装置の磁界強度を変えれ
ば、それより下流側ではビームは中心軌道上を進む。軌
道補正偏向装置の必要な偏向角は四極電磁石や偏向電磁
石の配置の仕方により異なるが、配置が決まれば容易に
計算できる。ここで、出射用偏向装置入り口でのX変位
は無視し、ビームは中心軌道上にあり時間的な変化はな
いと仮定した。
【0037】この方式では、出射ビームの位置(傾き)
変動を補正するための装置は最低一台で済むため、コス
トの低減がはかれる。
【0038】
【発明の効果】この発明の第1および第2の構成に係る
荷電粒子ビーム装置によれば、荷電ビームを加速して共
鳴取り出しにより出射用偏向装置を通して出射するシン
クロトロンと出射ビームを輸送するビーム輸送系からな
る荷電粒子ビーム装置において、出射ビームパルス内の
出射用偏向装置入り口での出射角の時間的変化に合わせ
て磁界又は電界強度を変化させる出射用偏向装置と、
出射用偏向装置と同期して磁界又は電界強度を変化さ
せる1台ないし複数台の軌道補正偏向装置を有し、前
記軌道補正偏向装置のうち、1台は前記出射用偏向装置
を出た荷電粒子ビームが中心軌道を横切る位置に設置し
たので、出射用偏向装置入口でのビームの傾きが変化し
てもそれを補正してビーム輸送系でのビーム軌道を一定
の保つことができ、ビームの取り出しの全期間にわたっ
て大電流を取出すことができる。また、出射用偏向装置
入口でのビームの傾きの変化を許容できるので、シンク
ロトロン本体の設計や運転に与える制約が少なく、大型
化が要求されることもない。
【0039】この発明の第の構成である荷電粒子ビー
ム装置によれば、荷電ビームを加速して共鳴取り出しに
より出射用偏向装置を通して出射するシンクロトロンと
出射ビームを輸送するビーム輸送系からなる荷電粒子ビ
ーム装置において、出射ビームパルス内の出射用偏向装
置入り口での出射角の時間的変化に合わせて磁界又は電
界強度を変化させる一台ないし複数台の軌道補正偏向装
置をベータトロン振動の位相が出射用偏向装置入り口か
らnπ(nは整数)だけ進んだ位置に設置したので、前
記第1から第3の構成による効果に加えて、大電流を必
要とする出射用偏向装置の設計や運転に制約を受けるこ
とがなく、軌道偏向装置の構成が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるシンクロトロ
ンの平面図である。
【図2】 シンクロトロンの出射部付近の拡大図とビー
ム軌道を表す図である。
【図3】 取り出しビームに対する各機器の出力変化の
一例を示す図である。
【図4】 出射用偏向装置13の磁界強度は変えずにビ
ーム位置の時間的変動を補正する方法を示す図である。
【図5】 ベータトロン振動の位相の進みが出射用偏向
装置13入り口からπだけ進んだ位置に軌道補正偏向装
置20を配置して軌道の変化を補正する一例を表した図
である。
【図6】 従来のシンクロトロンの平面図である。
【図7】 3次共鳴励起出射時における出射初期と出射
末期の位相空間を表す図である。
【図8】 出射用偏向装置付近の拡大図とバンプ軌道を
表す図である。
【符号の説明】
1 平衡軌道(中心軌道)、3 偏向電磁石、5 四極
電磁石、7 加速装置、9 共鳴励起用六極電磁石、1
0,11 バンプ電磁石、12 バンプ軌道、13 出
射用偏向装置、14 チューン補正用四極電磁石、15
入射用インフレクタ、17 中心軌道、20 軌道補
正偏向装置、22 出射用偏向装置の電源、24 軌道
補正偏向装置の電源、26 波形成形装置、28 制御
計算機、30 トリガー発生器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/04 H05H 7/08 H05H 7/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電ビームを加速して共鳴取り出しによ
    り出射用偏向装置を通して出射するシンクロトロンと出
    射ビームを輸送するビーム輸送系からなる荷電粒子ビー
    ム装置において、出射ビームパルス内の出射用偏向装置
    入り口での出射角の時間的変化に合わせて磁界又は電界
    強度を変化させる出射用偏向装置と、前記出射用偏向装
    置と同期して磁界又は電界強度を変化させる1台ないし
    複数台の軌道補正偏向装置を有し、前記軌道補正偏向
    装置のうち、1台は前記出射用偏向装置を出た荷電粒子
    ビームが中心軌道を横切る位置に設置されたことを特徴
    とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 【請求項2】 前記出射用偏向装置と前記軌道補正偏向
    装置との間に集束又は偏向装置を設置したことを特徴と
    した請求項1記載の荷電粒子ビーム装置。
  3. 【請求項3】 荷電ビームを加速して共鳴取り出しによ
    り出射用偏向装置を通して出射するシンクロトロンと出
    射ビームを輸送するビーム輸送系からなる荷電粒子ビー
    ム装置において、出射ビームパルス内の出射用偏向装置
    入り口での出射角の時間的変化に合わせて磁界又は電界
    強度を変化させる一台ないし複数台の軌道補正偏向装置
    をベータトロン振動の位相が出射用偏向装置入り口から
    nπ(nは整数)だけ進んだ位置に設置したことを特徴
    とする荷電粒子ビーム装置。
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