JP3457378B2 - 分析用試料板 - Google Patents

分析用試料板

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JP3457378B2 JP09008694A JP9008694A JP3457378B2 JP 3457378 B2 JP3457378 B2 JP 3457378B2 JP 09008694 A JP09008694 A JP 09008694A JP 9008694 A JP9008694 A JP 9008694A JP 3457378 B2 JP3457378 B2 JP 3457378B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体ウェハに付着する
微量不純物の分析に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体ウェハに付着する微量の不
純物を分析する方法の一つとして、蛍光X線分析方法が
知られている。図3に示すように、半導体ウェハ、例え
ばシリコンウェハ31に入射X線32を入射すると、シ
リコンウェハ11上に付着した不純物33から蛍光X線
(実線により図示)34が生ずる。その蛍光X線34の
波長と強度を分析することにより、不純物33を判明す
ることができる。通常、入射X線32の入射角度φは全
反射臨界角φcrit(全反射現象が起こり得る入射角度)
より大きく、その場合入射X線32はシリコンウェハ3
1の内部にまで侵入する。そのため、シリコンウェハ3
1自体から蛍光X線(破線により図示)34が生じる。
このように通常の蛍光X線分析方法では、母材からの蛍
光X線によるバックグランド上昇を招き問題であった。
【0003】そこで、図4に示すように、全反射蛍光X
線分析方法が提案されている。この方法では、入射X線
32を非常に低い角度でシリコンウェハ11表面に入射
すると、シリコンウェハ31内部にまで侵入せず、シリ
コンウェハ31表面で反射するという全反射現象を利用
する。このときの入射角度φは全反射臨界角φcrit以下
である。全反射蛍光X線分析装置内部に組み込まれてい
る半導体検出器をシリコンウェハ表面上に対して真上に
固定し、半導体検出器により、任意の座標でφ18〜2
0mm範囲の蛍光X線を検出する。その際の感度EはE
=10 atoms/cm2程度である。この方法によれば、
通常の蛍光X線分析方法に比べて、入射X線の散乱及び
母材からの蛍光X線によるバックグランド上昇を抑制す
ることができ、より高感度な分析が可能である。
【0004】更に,より一層の高感度分析が必要な場合
には、シリコンウェハ表面をフッ酸処理した後に、上述
した全反射蛍光X線分析を行う。まず、シリコンウェハ
表面に付着した金属不純物を気相のフッ酸で分解後、表
面上を希フッ酸の液滴で走査して液滴中に金属不純物を
回収し、その金属不純物を含む液滴をシリコンウェハ表
面で蒸発乾固させる。この部分を全反射蛍光X線分析装
置を用いて分析する。このように、分析面積/液滴の乾
固面積の比を大きくすることで分析感度を向上させる技
術が提案されている。
【0005】しかしながら、上記方法による分析であっ
ても、図5に示すように、シリコンの蛍光X線がメイン
ピ−クとして必ず現れる。高感度型の全反射蛍光X線の
検出器として、通常エネルギ−分散型の半導体検出器が
用いられるが、この検出器がもつエネルギ−分解能は百
数十eVである。そのため1.74KeVにシリコンの
大きなピ−クが現れると、このエネルギ−位置から0.
25KeVあるいは0.27KeVしか離れていないア
ルミニウム(Al)あるいはリン(P)のピ−クに重な
り、これらの元素は分析不可能となる。また、検出器の
S/N比によって、シリコンのピ−クが大きいとバック
グラウンドが高くなり、他の金属不純物のバックグラウ
ンドも高くなるため、高感度分析は困難である。
【0006】そこで、金属不純物を含む液滴をシリコン
ウェハの表面で蒸発させる代りに、アモルファスフッ素
樹脂のコ−ティング薄膜層を設けることが試みられてい
る。しかし、上記コ−ティング薄膜層の表面は、活性薬
液との熱反応で変質の危険があり、全反射蛍光X線分析
に必要な平坦度の点で問題がある。また、熱伝導が悪く
て乾固形状の再現性が良くない。そのため、アモルファ
スフッ素樹脂のコ−ティング薄膜層上での高感度分析は
難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、全反射
蛍光X線分析方法によれば、半導体ウェハ上に付着する
微量不純物を多元素同時に分析することができる。しか
し、半導体ウェハ表面の任意の部分にX線を照射して生
じた蛍光X線を分析する場合、または半導体ウェハ表面
をフッ酸処理して液滴を蒸発乾固させた部分にX線を照
射して生じた蛍光X線を分析する場合のいずれの場合で
あっても、母材である半導体ウェハからの蛍光X線がメ
インピ−クとして現れ、上記母材のエネルギ−の近傍に
位置するAl及びP等の分析は不可能である。
【0008】それ故に、本発明は、半導体ウェハ上に付
着する微量の不純物を全反射蛍光X線分析装置を用いて
分析する際に、半導体ウェハ自身の蛍光X線のエネルギ
−の発生を抑制し、Al及びP等の分析を高感度で行う
ことが可能な分析用試料板を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による分析用試料
板は、全反射蛍光X線分析において検出されない元素か
らなる第1の板状支持体、又は上記元素からなる薄膜層
に表面を被覆された第2の板状支持体である。上記元素
は、Na〜Zn(原子番号:11〜30)以外の元素で
あり、特にH,He,Li,Be,B,C,N,O,
F,Neを主成分とするか、又はこれらの元素の化合物
である。上記第1及び第2の板状支持体の各表面は耐熱
性、疎水性及び耐酸性であると共に、全反射鏡面であ
る。
【0010】
【作用】上記分析用試料板の表面に、分析対象である半
導体ウェハ上に付着した不純物を含む液滴を滴下する
と、上記表面は疎水性であるため、上記液滴は点滴状に
なる。そのまま、上記液滴を蒸発乾固し、この部分にX
線を入射して生じる蛍光X線を分析する。その際、上記
表面は全反射蛍光X線分析にて検出されない元素から形
成されているため、上記液滴に含まれる不純物を高感度
に分析することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明による一実施例を図面を参照し
て説明する。図1(a)によれば、第1の分析用試料板
10は、板状支持体、例えば半導体ウェハ11上とその
表面を被覆する薄膜層12とからなる。半導体ウェハ1
1は直径125mm,厚さ1mmの鏡面シリコンウェハであ
る。薄膜層12は全反射蛍光X線分析にて検出されない
元素を主成分とする耐熱性の薄膜層である。また,その
表面は疎水性あるいは疎水性化処理されており、更に耐
酸性であると共に全反射鏡面である。具体的には、全反
射蛍光X線分析にて検出されるNa〜Zn(原子番号:
11〜30)を除く元素、特にH,He,Li,Be,
B,C,N,O,F,Neの各元素を主成分とする単体
若しくは化合物、例えばグラファイト、無定形炭素ある
いはボロンナイトライドを用いて形成する。薄膜層12
を無定形炭素から形成する場合、例えばスパッタ法によ
り約1000A(A:オングストロ−ム)の厚さに形成
する。
【0012】また、薄膜層12の厚さは1000Aに限
定することなく全反射現象が生じる膜厚であればよく、
形成方法もPVD法あるいはCVD法あるいは熱による
変成法でも構わない。尚、薄膜層12を無機質とする
と、より高感度な分析をするこが可能である。
【0013】同図(b)によれば、第2の分析用試料板
10´は薄膜層12のみからなる板状支持体である。こ
の場合の薄膜層12は、第1の分析用試料板10に相当
する厚さに形成され、上述と同様の元素を主成分とする
単体若しくは化合物を用いて形成される。
【0014】以下、第1の分析用試料板10を用いた全
反射蛍光X線分析方法を説明する。但し、薄膜層12を
無定形炭素から形成した場合とする。まず、半導体ウェ
ハ表面に付着する金属不純物を気相のフッ酸で分解し、
半導体ウェハ表面を疎水性とする。その後、半導体ウェ
ハ表面上を希フッ酸の液滴で走査し、その液滴中に上記
金属不純物を回収する。次に、上記金属不純物を含む液
滴(以下、液滴A)を第1の分析用試料板10の薄膜層
12上に滴下する。その際、薄膜層12は疎水性である
ため液滴Aとの接触角は非常に大きく、液滴Aは点滴状
になる。この状態のまま液滴Aを蒸発乾固して濃縮す
る。その部分にX線を非常に低い角度で入射して、それ
により生じた蛍光X線を全反射蛍光X線装置を用いて測
定する。
【0015】尚、液滴Aを蒸発乾固するため、薄膜層1
2の表面は耐熱性であることが望ましい。また、本発明
による薄膜層12であると、薄膜層12と液滴Aとの反
応も生じないため、薄膜層12の表面は変質しない。従
って、全反射蛍光X線分析に必要な平坦度は確保され
る。更に、薄膜層12の熱伝導はよいため、液滴Aの乾
固形状の再現性は良好である。
【0016】図2は、その分析結果を示している。同図
によれば、シリコンの蛍光X線強度を非常に低下させる
ことができる。それにより、シリコンのエネルギ−位置
から0.25keVあるいは0.27KeVしか離れて
いないAlあるいはPであっても、それらのピ−クがは
っきりするので、AlあるいはPを検出することができ
る。但し、同図ではPのピ−クは確認されず、Pは存在
していないことが判明する。
【0017】このように、第1の分析用試料板10で
は、母材となる薄膜層12からの蛍光X線は生じないた
め、液滴Aの蒸発乾固したものを高精度に分析すること
ができる。従来、シリコンウェハ上にて分析した際に
は、分析不可能であったAl、あるいはP等のようなシ
リコンのエネルギ−位置の近傍の金属不純物分析が可能
となる。
【0018】尚、第2の分析用試料板10´を用いた場
合も第1の分析用試料板10と同様の効果を得ることが
できる。薄膜層12のみの構成であるので、第1の分析
用試料板10に比べて、よりいっそうシリコンの蛍光X
線強度を低下させることが可能であり、分析感度あるい
は分析精度の向上が可能となる。
【0019】また、検出器のS/N比は変更できないた
め、メインピ−クであるシリコンピ−クが低く抑制され
ると全体のバックグラウンドが非常に低下する。つま
り、他の測定対象元素のエネルギ−位置のバックグラウ
ンドも低下するため、これらの元素の高感度分析も可能
となる。特に、低エネルギ−位置に現れるNa,Mg等
のバックグラウンド低下には効果があり、通常用いられ
ているエネルギ−分散型の半導体検出器を使用した場合
でも、低エネルギ−から高エネルギ−までの金属不純物
の分析感度、及び分析精度を著しく向上させることが可
能となる。
【0020】
【発明の効果】本発明による分析試料板の表面は全反射
蛍光X線分析にて検出されない元素から形成されてお
り、その上に分析対象である半導体ウェハ上を走査した
液滴を滴下及び蒸発乾固させる。つまり、分析試料板上
は上記液滴を分析するためのものであり、分析時に母材
である分析試料板からの蛍光X線は検出されず、上記液
滴に含まれる元素を高感度に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分析試料板を示す断面図であり、
(a)は第1の分析試料板、(b)は第2の分析試料板
を示す。
【図2】第1の分析試料板を用いて全反射蛍光X線分析
をした分析結果を示す。
【図3】通常の蛍光X線分析を示す断面図である。
【図4】全反射蛍光X線分析を示す断面図である。
【図5】従来のシリコンウェハ上で全反射蛍光X線分析
をした分析結果を示す。
【符号の説明】
10…第1の分析用試料板、10´…第2の分析用試料
板 11…半導体ウェハ、12…薄膜層
フロントページの続き (72)発明者 村岡 久志 神奈川県横浜市港北区新羽町735番地 株式会社ピュアレックス内 (56)参考文献 特開 平6−21186(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/66 G01N 23/223 G01R 31/26

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴状の分析試料を全反射蛍光X線分析
    する際に用いられる板状の分析用試料板において、 少なくとも上記分析用試料板の表面は、全反射蛍光X線
    分析にて検出されないH、He、Li、Be、B、C、
    N、O、F、Neの元素又はこれら元素の化合物からな
    耐熱性の薄膜層であることを特徴とする分析用試料
    板。
  2. 【請求項2】 上記分析用試料板の表面は、疎水性であ
    ることを特徴とする請求項1記載の分析用試料
  3. 【請求項3】 上記分析用試料板の表面は、耐酸性であ
    ることを特徴とする請求項1記載の分析用試料
  4. 【請求項4】 液滴状の分析試料を全反射蛍光X線分析
    する際に用いられる板状の分析用試料板において、 少なくとも上記分析用試料板の表面は、全反射蛍光X線
    分析にて検出されないグラファイト、無定形炭素、又は
    ボロンナイトライドからなる耐熱性の薄膜層であること
    を特徴とする分析用試料板。
  5. 【請求項5】 液滴状の分析試料を全反射蛍光X線分析
    する際に用いられる板状の分析用試料板は、 シリコン基板と、上記シリコン基板上に設けられた全反
    射蛍光X線分析にて検出されないH、He、Li、B
    e、B、C、N、O、F、Neの元素又はこれら元素の
    化合物からなる耐熱性の薄膜層とからなることを特徴と
    する分析用試料板。
  6. 【請求項6】 液滴状の分析試料を全反射蛍光X線分析
    する際に用いられる板状の分析用試料板は、 全反射蛍光X線分析にて検出されないH、He、Li、
    Be、B、C、N、O、F、Neの元素又はこれら元素
    の化合物からなる耐熱性の薄板からなることを特徴とす
    る分析用試料板。
  7. 【請求項7】 液滴状の分析試料を全反射蛍光X線分析
    する際に用いられる板状の分析用試料板は、 全反射蛍光X線分析にて検出されないグラファイト、無
    定形炭素、又はボロンナイトライドからなる耐熱性の
    からなることを特徴とする分析用試料板。
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