JP3456375B2 - 高強度・低延性非調質鋼 - Google Patents

高強度・低延性非調質鋼

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JP3456375B2
JP3456375B2 JP20141597A JP20141597A JP3456375B2 JP 3456375 B2 JP3456375 B2 JP 3456375B2 JP 20141597 A JP20141597 A JP 20141597A JP 20141597 A JP20141597 A JP 20141597A JP 3456375 B2 JP3456375 B2 JP 3456375B2
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光男 宇野
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高強度・低延性非
調質鋼に関し、より詳しくは、高い強度が要求されるも
のの延性は必要とせず、むしろ常温での冷間分割加工が
可能でその破断面がフラットな脆性破面を呈し、自動車
エンジンなどのコネクティングロッドやコネクティング
ロッドキャップ用の材料として好適な高強度・低延性非
調質鋼に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車エンジンなどの部品である図1に
示すコネクティングロッド(通称コンロッド)の本体1
及びコネクティングロッドキャップ(通称コンロッドキ
ャップ)2は、従来、別の工程で熱間鍛造された後で焼
入れ焼戻しの調質処理を施され、次いで、機械加工によ
るボルト穴の加工と仕上げ整形加工を受け、その後でボ
ルト3によって形状の複雑なクランクシャフトに結合・
組み立てられていた。 【0003】しかしながら、最近、厳しい経済情勢を反
映して、各種自動車部品の製造コスト低減の動きが活発
化しており、この動きはエンジン部品においても例外で
はなくなってきている。 【0004】このため、前記のコネクティングロッド本
体1及びコネクティングロッドキャップ2に関しては、
製造コスト低減対策として、両者を熱間鍛造にて一体成
形しこれに焼入れ焼戻しの熱処理を施すか、あるいは熱
間鍛造後放冷し、その後でコネクティングロッド本体1
及びコネクティングロッドキャップ2に分割し、接合部
(接合面どうし)に対する仕上げ整形のための機械加工
は施すことなく、ボルト3でクランクシャフトに結合し
て組み立てるという方法が検討されている。この方法で
は、ボルト穴の加工は前記の一体成形材を分割する前あ
るいは後に行う。 【0005】上記の一体成形したコネクティングロッド
本体1及びコネクティングロッドキャップ2を分割する
方法としては、例えば治具を挿入することによって図1
中に矢印で示した方向に働く力を与えて分割する方法が
考えられる。この方法ではコネクティングロッド本体1
及びコネクティングロッドキャップ2に分割した分割面
をフラットにすることが極めて重要となる。 【0006】しかしながら、従来使用されてきた鋼(J
IS規格のS45CやS48C相当鋼など)をそのまま
用いて熱間鍛造で一体成形し、その後常温でコネクティ
ングロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ
に分割すると、分割面がアメやガムを千切ったような所
謂「延性破断面」となってフラットな「脆性破面」が得
られず、機械加工による仕上げ整形加工を行わなければ
ならないという問題がある。上記の分割を低温(例えば
液体窒素温度)で行えば脆性破壊が生じて容易にフラッ
トな脆性破面が得られるが、大量の製品が流れる実操業
ラインにおいて低温状態とすることは技術的に容易では
なく、更に設備を建設し維持する費用が嵩むため必ずし
もコスト低減には結びつかないといった問題がある。 【0007】一方、熱間鍛造で一体成形した後の熱処理
はコストが嵩むため、熱処理を省略できる新しいタイプ
の鋼に対する要望も生じている。 【0008】熱間圧延や熱間鍛造後に行う熱処理として
の調質処理を省略できる非調質鋼としては、例えば特開
平5−195140号公報に「非調質高強度鋼」が提案
されている。しかし、この公報に記載された非調質鋼
は、連続鋳造時にブルーム表面に生ずる割れを防止した
タイプの高強度非調質鋼である。そのため、上記の提案
鋼をコネクティングロッド本体1及びコネクティングロ
ッドキャップ2用鋼として用いた場合、所望の強度は得
られるものの、前記した一体成形した後でコネクティン
グロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ2に
常温で分割する方法に対しては、延性が大き過ぎて脆性
破面が得られない。したがって、機械加工による仕上げ
整形加工を行う必要がある。 【0009】更に最近では、急発進の様な厳しい条件で
エンジンを稼働させた場合でも、コネクティングロッド
に座屈を生じることがないように、座屈強度に優れた非
調質鋼に対する要望も大きくなっている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、引張強度は従来鋼と同等以上であ
って、且つ熱間鍛造した一体成形材を前記したような方
法によって常温で分割した時の破面が、フラットな脆性
破面を呈する高強度・低延性非調質鋼の提供を課題とす
る。本発明にあっては前記の特性に加えて、更に、高い
座屈強度を有する非調質鋼の提供をも課題とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記に
示す高強度・低延性非調質鋼にある。 【0012】すなわち、「重量%で、C:0.20〜
0.70%、Si:1.50%を超えて2.50%以
下、Mn:0.30〜2.00%、P:0.15%以
下、S:0.10%以下、Cu:0.20%以下、N
i:0.50%以下、Cr:0.02〜2.00%、M
o:0.50%以下、V:0.50%以下、Nb:0.
17%以下、B:0.010%以下、Pb:0.30%
以下、Ca:0.010%以下を含有するとともに、更
に、Ti:0.002〜0.20%、Al:0.005
〜0.10%及びN:0.003〜0.03%のうちの
1種以上を含有し、残部はFe及び不可避不純物からな
り、下記 〜式で表されるfn2〜fn5についてf
n2≧0、fn3≧0、fn4≦0及びfn5≧0の少
なくとも一つを満たし、且つ、下記式で表されるfn
6がfn6≧0であることを特徴とする高強度・低延性
非調質鋼 【0013】fn2=Si+2V+5P−2.1・・・
・・、fn3=N−0.1Al−0.002・・・・
・、fn4=N−0.3Ti・・・・・、fn5=
N−0.5Al−0.3Ti−0.15Nb−0.3V
−1.3B−0.002・・・・・、fn6=C+
(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+
1.65V−(5S/7)−0.8・・・・・」であ
る。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明者らは、前記の課題を解決
するため種々検討を重ねた結果、下記の知見を得た。 【0015】(a)化学成分が特定の条件範囲にある非
調質鋼の常温における破壊形態は、前記fn2、fn
3、fn4及びfn5と相関を有する。そして、「fn
≧0」、「fn3≧0」、「fn4≦0」及び「fn
5≧0」の少なくとも一つを満たす場合に脆性破壊が促
進される。 【0016】(b)上記のfn2≧0、fn3≧0、f
n4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満たし、且
つ、常温引張試験した時の鋼材の伸び値が10%以下で
ある場合に、熱間鍛造した一体成形材の常温分割面はフ
ラットな脆性破面となる。 【0017】(c)上記の(b)(fn2≧0、fn3
≧0、fn4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満
たし、且つ、常温引張試験した時の鋼材の伸び値が10
%以下)に加えて、熱間鍛造した一体成形材の分割した
い部位の少なくとも一部に0.5mmR以下の切り欠き
を設けておけば、僅かな力を加えるだけで容易に当該一
体成形材の常温分割が可能で、且つその分割面は一層確
実にフラットな脆性破面となる。 【0018】(d)鋼の化学成分が特定の条件範囲にあ
る時、非調質鋼の引張強度は前記fn6で整理でき、こ
の値が0以上の場合に800MPa以上の引張強度が得
られる。 【0019】(e)鋼の化学成分を厳密に制御した上
で、上記(b)のfn2≧0、fn3≧0、fn4≦0
及びfn5≧0の少なくとも一つと常温引張試験した時
の鋼材の伸び値≦10%、並びに(d)fn6≧0の条
件を満足できれば、常温での分割でフラットな脆性破面
となり、且つ高強度が得られる。したがって、前記した
新しいプロセスによって所望強度である800MPa以
上の引張強度を有するコネクティングロッド本体1及び
コネクティングロッドキャップ2を製造することができ
る。この場合、(c)の一体成形材の分割したい部位で
ある大端部穴の内側(図1におけるN部)の少なくとも
一部に0.5mmR以下の切り欠きを設けておけば、上
記のコネクティングロッド本体1及びコネクティングロ
ッドキャップ2を一層容易、且つ、確実に製造すること
ができる。 【0020】(f)座屈強度を高めるには、鋼の降伏強
度を高めることが有効である。 【0021】(g)特定の化学組成を有する鋼が上記
(a)に記載したfn2≧0を満たせば、鋼の脆性破壊
が促進されるだけでなく降伏比(降伏強度/引張強度)
が高まり、非調質鋼でも0.7以上の降伏比が得られ
る。 【0022】(h)鋼の化学成分を厳密に制御した上
で、fn2≧0と常温引張試験した時の鋼材の伸び値が
10%以下、並びにfn6≧0の条件を満足できれば、
高い降伏比が得られると共に常温での分割でフラットな
脆性破面となり、且つ高強度が得られる。この場合、引
張強度が800MPa以上であるため560MPa以上
の高い降伏強度が得られることとなって、前記した新し
いプロセスによって座屈強度にも優れたコネクティング
ロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ2を製
造することができる。 【0023】本発明は上記の知見に基づいて完成された
ものである。 【0024】以下、本発明における鋼の化学組成を上記
のように限定する理由について説明する。なお、成分含
有量の「%」は「重量%」を意味する。 【0025】C:0.20〜0.70% Cは、鋼に所望の静的強度を付与するのに必要な元素で
あるが、反面熱間加工性を低下させる元素でもある。本
発明が目標とする最低限の静的強度(引張強度で800
MPa以上)を得るには、含有量を0.20%以上とす
ることが必要である。一方、Cを0.70%を超えて含
有させると、鋼の熱間加工性が低下して、成分系によっ
ては熱間での加工時に割れを生じる場合がある。したが
って、Cの含有量を、0.20〜0.70%とした。な
お、より安定した強度(引張強度や座屈強度)を確保す
るために、Cの含有量は0.25%以上とすることが好
ましい。Cの含有量が0.30%以上であれば一層好ま
しい。 【0026】Si:1.50%を超えて2.50%以下 Siは、鋼の脱酸促進、焼入れ性向上の作用に加えて、
本発明の主目的である「常温での分割性」を著しく高め
る作用を有する。これらの効果、なかでも極めて良好な
「常温での分割性」を確実に得るためには、1.50%
を超えるSiの含有量が必要である。一方、Siを2.
50%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、コス
トが嵩むばかりである。したがって、Siの含有量を
1.50%を超えて2.50%以下とした。なお、切削
性の点からは、Si含有量の上限は2.00%とするこ
とが好ましい。 【0027】Mn:0.30〜2.00% Mnは脱酸に必要であるとともに、焼入れ性を高めて静
的強度を向上させる作用がある。しかし、その含有量が
0.30%未満では所望の効果が得られず、2.00%
を超えると熱間加工性が劣化するようになるので、その
含有量を0.30〜2.00%とした。 【0028】P:0.15%以下 Pは添加しなくても良い。添加すれば粒界脆化を引き起
こし延性を低下させる作用があるので、前記したような
常温での分割方法でフラットな脆性破面を得るのに有効
である。この効果を確実に得るには、Pは0.005%
以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有
量が0.15%を超えると熱間加工性が著しく劣化す
る。したがって、Pの含有量は0.15%以下とした。
なお、安定した熱間加工性確保のために、Pの含有量は
0.10%以下とすることがより好ましい。 【0029】S:0.10%以下 Sも添加しなくても良い。添加すれば粒界脆化を引き起
こし延性を低下させる作用があるので、Pと同様に前記
したような常温での分割方法でフラットな脆性破面を得
るのに有効である。また、Sにはボルト穴加工時の切削
性を向上させる作用がある。これらの効果を確実に得る
には、Sは0.005%以上の含有量とすることが好ま
しい。しかし、その含有量が0.10%を超えると熱間
加工性が著しく劣化する。したがって、S含有量の上限
を0.10%とした。 【0030】Cu:0.20%以下 Cuは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を高め
て静的強度を向上させる効果を有する。この効果を確実
に得るには、Cuは0.01%以上の含有量とすること
が好ましい。しかし、その含有量が0.20%を超える
と熱間加工性の劣化をもたらし、熱間圧延時や熱間鍛造
時に割れの発生を招く。したがって、Cuの含有量は
0.20%以下とした。 【0031】Ni:0.50%以下 Niは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を高め
て静的強度を向上させる効果を有する。この効果を確実
に得るには、Niは0.01%以上の含有量とすること
が好ましい。しかし、その含有量が0.50%を超える
と延性と靱性の増加をきたして、フラットな脆性破面が
得られなくなる。したがって、Niの含有量を0.50
%以下とした。 【0032】Cr:0.02〜2.00% Crは焼入れ性を向上させて静的強度を高める効果があ
る。しかし、その含有量が0.02%未満では所望の効
果が得られず、2.00%を超えて含有してもその効果
は飽和し、コストのみが上昇し経済性を損うことになる
ので、その含有量を0.02〜2.00%とした。な
お、Cr含有量は0.10%以上とすることが好まし
い。 【0033】Mo:0.50%以下 Moは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を高め
て強度を向上させる効果を有する。この効果を確実に得
るには、Moは0.01%以上の含有量とすることが好
ましい。しかし、0.50%を超えて含有させても前記
の効果は飽和するのでコストのみが上昇し、経済性を損
うことになる。したがって、Moの含有量を0.50%
以下とした。なお、Mo含有量は0.05%以上とする
ことが一層好ましい。 【0034】V:0.50%以下 Vも添加しなくても良い。添加すれば強度を高める効果
を有する。この効果を確実に得るには、Vは0.005
%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、0.5
0%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、コスト
のみが上昇して経済性を損う。更に、熱間加工性の劣化
を招く。したがって、Vの含有量を0.50%以下とし
た。 【0035】Nb:0.17%以下 Nbは添加しなくても良い。添加すれば強度を高める効
果を有する。この効果を確実に得るには、Nbは0.0
03%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、
0.17%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、
コストのみが上昇し経済性を損うことになる。更に、熱
間加工性の劣化を招くようになる。したがって、Nbの
含有量を0.17%以下とした。なお、一層の安定した
熱間加工性を確保するためには、Nb含有量の上限を
0.10%とすることが好ましい 【0036】:0.010%以下 Bは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を向上さ
せて強度を高める効果がある。この効果を確実に得るに
は、Bは0.0003%以上の含有量とすることが好ま
しい。しかし、その含有量が0.010%を超えると、
焼入れ性向上効果が飽和するばかりか、熱間加工性が著
しく劣化するようになる。したがって、Bの含有量を
0.010%以下とした 【0037】Pb:0.30%以下 Pbは含有させなくても良い。含有させればボルト穴加
工時の切削性を向上させる効果を有する。この効果を確
実に得るには、Pbは0.01%以上の含有量とするこ
とが好ましい。しかし、Pbを0.30%を超えて含有
させると熱間加工性が劣化して熱間圧延時や熱間鍛造時
に割れの発生を招く。したがって、Pbの含有量を0.
30%以下とした。 【0038】Ca:0.010%以下 Caは含有させなくても良い。含有させればPbと同様
にボルト穴加工時の切削性を向上させる効果を有する。
この効果を確実に得るには、Caは0.0005%以上
の含有量とすることが好ましい。しかし、Caを0.0
10%を超えて含有させてもその効果は飽和しコストが
嵩むばかりである。したがって、Caの含有量を0.0
10%以下とした。 【0039】本発明の高強度・低延性非調質鋼には、脆
性破壊を促進させるために上記の各成分元素に加えて更
に、Ti、Al及びNのうちの1種以上を含有させる。
これらの合金元素の作用効果と含有量は下記のとおりで
ある。 【0040】Ti:0.002〜0.20% Tiは、添加すれば非調質鋼の常温における破壊形態に
影響を及ぼし、前記fn4、fn5を通じて脆性破壊を
促進する効果を有する。また、強度を高める効果を有す
る。これらの効果を得る場合、Tiは0.002%以上
の含有量を必要とする。なお、Tiは0.005%以上
の含有量とすることが好ましい。しかし、0.20%を
超えて含有させると、熱間加工性の劣化を招くようにな
る。したがって、Tiを添加して脆性破壊を促進する場
合の含有量を0.002〜0.20%とした。 【0041】Al:0.005〜0.10% Alは、添加すれば非調質鋼の常温における破壊形態に
影響を及ぼし、前記fn3、fn5を通じて脆性破壊を
促進する効果を有する。また、鋼の脱酸の安定 化及び均
質化を図るとともに、窒化物を生成して結晶粒を微細化
し、強度を高める作用を有する。これらの効果を得る場
合、Alは0.005%以上の含有量を必要とする。し
かし、0.10%を超えて含有させると、熱間加工性の
劣化を招くようになる。したがって、Alを添加して脆
性破壊を促進する場合の含有量を0.005〜0.10
%とした。 【0042】N:0.003〜0.03% Nは、含有させれば、TiやAlとの関係で非調質鋼の
常温における破壊形態に影響を及ぼし、前記fn3≧
0、fn4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満た
す場合に脆性破壊を促進する効果を有する。また、窒化
物や炭窒化物を生成して結晶粒を微細化し、強度を高め
る作用を有する。これらの効果を得る場合、Nは0.0
03%以上の含有量を必要とする。しかし、一般に、鋼
の溶製においてNを0.03%を超えて含有させるには
特殊な溶解原料、設備や技術を必要とするので、コスト
が嵩み経済性を損なうことになるし、熱間加工性の劣化
を招く場合もある。したがって、Nを含有させて脆性破
壊を促進する場合の量を0.003〜0.03%とし
た。 【0043】fn2、fn3、fn4、fn5: 0.20%以上のC、1.50%を超えるSi、0.3
0%以上のMn及び0.02%以上のCrを含有する非
調質鋼の常温における破壊形態は前記fn2、fn3、
fn4、fn5で整理でき、fn2≧0、fn3≧0、
fn4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満たす場
合に脆性破壊が促進される。そしてfn2≧0、fn3
≧0、fn4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満
たし、且つ常温引張試験した時の鋼材の伸び値が10%
以下の場合に、熱間鍛造した一体成形材の常温分割破面
がフラットな脆性破面となって、前記したような新しい
プロセスによって、所望強度である800MPa以上の
引張強度を有するコネクティングロッド本体及びコネク
ティングロッドキャプを製造することができる。したが
って、fn2≧0、fn3≧0、fn4≦0及びfn5
≧0の少なくとも一つを満たすように規定する。 【0044】なお、fn2≧0の場合には脆性破壊が促
進されるだけでなく0.7以上の降伏比が安定して得ら
れる。したがって、fn2≧0、且つ常温引張試験した
時の鋼材の伸び値が10%以下の場合には、降伏強度も
高い、換言すれば座屈強度にも優れた、800MPa以
上の引張強度を有するコネクティングロッド本体及びコ
ネクティングロッドキャプを製造することができる 【0045】fn2の値の上限特に制限されるもので
はなく、fn2から求められる上限値の2.15であっ
ても良い。 【0046】fn3の値の上限は特に制限されるもので
はなく、fn3から求められる上限値の0.028であ
っても良い。 【0047】fn4の値の下限も特に制限されるもので
はなく、fn4から求められる下限値の−0.06であ
っても良い。 【0048】fn5の値の上限も特に制限されるもので
はなく、fn5から求められる上限値の0.028であ
っても良い。なお、この場合にはfn3=fn5とな
る。 【0049】なお、fn5はfn3を用いて、fn5=
fn3−(0.4Al+0.3Ti+0.15Nb+
0.3V+1.3B)と表すことができる。したがっ
て、fn5≧0の場合には、fn3≧0も必ず満たされ
る。 【0050】また、前記fn4とfn5の関係は、fn
5=fn4−(0.5Al+0.15Nb+0.3V+
1.3B+0.002)であるから、fn4≦0とfn
5≧0とが同時に成立することはない。このことから、
fn4≦0の場合の脆性破壊の促進はTiの炭化物や炭
窒化物の形成に基づくものであり、fn5≧0やfn3
≧0の場合の脆性破壊の促進は所謂「フリーの固溶N」
に基づくものであると考えられる。 【0051】fn6: 鋼の化学成分を厳密に制御し、且つ、前記fn6の値を
0以上とした場合に始めて、コネクティングロッド本体
及びコネクティングロッドキャップとして必要な800
MPa以上の引張強度を非調質鋼に付与できる。したが
って、fn6≧0とする。この値の上限には特に制限は
なく、fn6から求められる最大値であっても良い。 【0052】上記の化学組成を有する鋼は通常の方法で
溶製された後、例えば、通常の方法による熱間での圧延
及び鍛造によって、コネクティングロッド本体1とコネ
クティングロッドキャップ2がつながった一体物に成形
された後、ボルト穴加工を施される。その後、コネクテ
ィングロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ
2に前記したような方法によって常温で分割される。な
お、必要に応じて当該一体物の分割しようとする部位で
ある大端部穴の内側(図1におけるN部)の少なくとも
一部に0.5mmR以下の切り欠きが設けられることも
ある。次いで、分割されたコネクティングロッド本体1
及びコネクティングロッドキャップ2はボルト3でクラ
ンクシャフトに結合されて組み立てられる。 【0053】以下、実施例により本発明を更に詳しく説
明する。 【0054】 【実施例】表1〜4に示す化学組成を有する鋼を通常の
方法により試験炉を用いて真空溶解した。表1〜4にお
ける鋼1〜34は本発明鋼であり、表4における鋼35
〜38はその成分のいずれかが本発明で規定する含有量
の範囲から外れた比較鋼である。 【0055】 【表1】 【0056】 【表2】【0057】 【表3】【0058】 【表4】【0059】次いで、これらの本発明鋼及び比較鋼を通
常の方法によって鋼片となした後、1250℃に加熱し
てから1200〜950℃の温度で直径40mmの丸棒
に熱間鍛造し、その後常温まで空冷した。 【0060】こうして得られた熱間鍛造ままの丸棒から
JIS4号試験片を切り出し、常温で引張試験を行っ
た。更に、常温引張試験後の破面の状態を走査型電子顕
微鏡(SEM)で観察した。 【0061】常温引張試験結果及び破面観察結果を表5
に示す。 【0062】 【表5】【0063】本発明鋼である鋼1〜34にあっては、い
ずれも所望の800MPa以上の引張強度と10%以下
の伸びとが得られており、常温引張試験後の破面はすべ
てフラットな脆性破面であった。本発明鋼のうちでもf
n2≧0を満たすものは0.7以上の降伏比を有し、降
伏強度が高いことが分かる。 【0064】これに対して、成分のいずれかが本発明で
規定する含有量の範囲から外れた比較鋼のうち、C量と
fn6がそれぞれ規定値から低目に外れた鋼35及び鋼
38では引張強度が800MPaに達していない。 【0065】Ni量が本発明の規定値に対して高めに外
れた鋼36では常温伸びが10%を超え、常温引張試験
後の破面は延性破面であった。 【0066】鋼37においては前記fn2〜fn5の値
が本発明で規定した条件から外れ、且つ、常温伸びが1
0%を超えるため、常温引張試験後の破面は延性破面で
あった。 【0067】次いで、前記の表1、表2及び表4に記載
した本発明鋼である鋼5、16、31及び34を素材と
して通常の熱間鍛造法によって、コネクティングロッド
本体1とコネクティングロッドキャプ2がつながった一
体物を各々20体ずつ熱間成形した。なお、各20体の
うち5体には熱間成形の後、図1のN部に0.3mmR
の切り欠きを付けた。 【0068】この後、前記した方法によって常温でコネ
クティングロッド本体1及びコネクティングロッドキャ
プ2への分割テストを行った。この結果、各鋼とも20
体すべてにフラットな脆性破面が得られ、機械加工によ
る仕上げ整形なしで使用できることが分かった。なお、
切り欠きを付けた各鋼5体の分割は特に容易であった。 【0069】 【発明の効果】本発明による高強度・低延性非調質鋼を
用いれば、コネクティングロッド本体及びコネクティン
グロッドキャプをコストの低い新プロセスで製造するこ
とが可能で、産業上の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】 【図1】コネクティングロッドの詳細を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−291373(JP,A) 特開 平10−324954(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重量%で、C:0.20〜0.70%、S
    i:1.50%を超えて2.50%以下、Mn:0.3
    0〜2.00%、P:0.15%以下、S:0.10%
    以下、Cu:0.20%以下、Ni:0.50%以下、
    Cr:0.02〜2.00%、Mo:0.50%以下、
    V:0.50%以下、Nb:0.17%以下、B:0.
    010%以下、Pb:0.30%以下、Ca:0.01
    0%以下を含有するとともに、更に、Ti:0.002
    〜0.20%、Al:0.005〜0.10%及びN:
    0.003〜0.03%のうちの1種以上を含有し、残
    部はFe及び不可避不純物からなり、下記 〜式で表
    されるfn2〜fn5についてfn2≧0、fn3≧
    0、fn4≦0及びfn5≧0の少なくとも一つを満た
    し、且つ、下記式で表されるfn6がfn6≧0であ
    ることを特徴とする高強度・低延性非調質鋼 fn2 =Si+2V+5P−2.1・・・・・ fn3=N−0.1Al−0.002・・・・・ fn4=N−0.3Ti・・・・・ fn5=N−0.5Al−0.3Ti−0.15Nb−
    0.3V−1.3B−0.002・・・・・ fn6=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr
    /22)+1.65V−(5S/7)−0.8・・・・
    ・ なお、式中の元素記号はその元素の重量%での含有量を
    表す。
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