JP3456233B2 - ε−カプロラクタムの製造法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ε−カプロラクタムの
製造法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来ε
−カプロラクタム(以下「ラクタム」という。)は、硫
酸を媒質とする液相でシクロヘキサノンオキシム(以下
「オキシム」という。)を転位させて得る方法が一般的
であるが、該方法は、転位後、反応系をアルカリで中和
する必要があり、また、かかる中和により多量の無機塩
が副生するという問題がある。これらの問題を解決する
方法として、固体触媒を用いた気相転位により得る方法
(以下「気相法」という。)が種々提案されている(例
えば特開昭62−123167号公報、特開昭53− 37686号公
報、英国特許第 831,927号等)。一方、より品位の高い
ラクタムを製造する方法として、粗ラクタムを活性炭処
理する方法も知られている。例えば粗ラクタムとし
て、オキシムの液相転位により生成したラクタムをアル
カリで中和し、次いで減圧蒸留して得た粗ラクタムを用
い、過マンガン酸塩及び過酸化水素水の共存下で活性炭
処理及びイオン交換処理する方法(特公昭42−9807号公
報)、粗ラクタムとして、ポリカプロラクタムの解重
合で得たラクタムを用い酸性で活性炭処理した後にアル
カリ性で再度活性炭処理する方法(特公昭49− 17275号
公報)、粗ラクタムとして、オキシムの液相転位によ
るラクタムラクタムを重縮合した重縮合回収水溶液をイ
オン交換樹脂で処理して得た粗ラクタムを用いる方法
(特開昭48− 61491号公報)等が知られている。しかし
ながら、気相法で得られた不純物を含むラクタムに対し
て上記の処理を行っても、不純物が上記各方法の処理対
象とするラクタム中のものとは異なるためか、満足し得
る品位のラクタムが得られないという問題があった。 【0003】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、気相法に
よる高品位ラクタムの製造法を見いだすべく、活性炭処
理について鋭意検討を重ねた結果、活性炭処理に付す粗
ラクタムとして、オキシムの気相転位により得られた不
純物を含むε−カプロラクタム(以下「原料ラクタム」
という。)を抽出処理することにより得た粗ラクタムを
用いることにより高品位ラクタムが得られることを見い
だし、本発明を完成した。すなわち本発明は、粗ε−カ
プロラクタムを活性炭処理してε−カプロラクタムを製
造するに当たり、粗ε−カプロラクタムとして、シクロ
ヘキサノンオキシムの気相転位により得られた不純物を
含むε−カプロラクタムを、 (1) 脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素
から選ばれる少なくとも1種類の炭化水素と、水と混合
した後、水層を分取することにより得た粗ε−カプロラ
クタム、又は (2) 脂肪族飽和炭化水素、脂環族飽和炭化水素から選ば
れる少なくとも1種類の炭化水素と混合した後、液−液
二層系混合液を分液することにより得た粗ε−カプロラ
クタムを用いることを特徴とするε−カプロラクタムの
工業的に優れた製造法を提供するものである。以下、本
発明を詳細に説明する。 【0004】本発明において、オキシムの気相転位は、
例えばホウ酸系触媒(特開昭53− 37686号公報等)、シ
リカ・アルミナ系触媒(英国特許第 831,927号等)、固
体リン酸系触媒(英国特許第 881,926号等)、ゼオライ
ト系触媒(特開昭62−123167号公報等)等の固体酸系触
媒存在下に実施され、原料ラクタムを得ることができ
る。 【0005】本発明においては、活性炭処理に付す粗ラ
クタムとして、次のいずれかの抽出処理をして得た粗ラ
クタムを使用する。その一つは、原料ラクタムに脂肪族
炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素から選ばれ
る少なくとも1種類の炭化水素と水とを混合した後、水
層を分取することにより得た粗ラクタムを用いるもので
ある。 【0006】ここで用いられる炭化水素としては、脂肪
族炭化水素、脂環族炭化水素が好ましく使用される。か
かる脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオク
タン、n−デカン、ドデカン、ペンタデカン、ペンテ
ン、ヘキセン、デセン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン等の
炭素数5〜15の飽和又は不飽和炭化水素が挙げられる。
また芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トル
エン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。これ
らは2種類以上を混合して使用することもできる。 【0007】該炭化水素は、原料ラクタム100重量部
に対して、通常20〜500重量部、好ましくは50〜
200重量部使用される。また水は、原料ラクタム10
0重量部に対して、通常20〜500重量部、好ましく
は50〜200重量部使用される。 【0008】該処理を実施するに当たり、原料ラクタム
と炭化水素と水とを混合する。 次いで、水層を分取す
ることにより粗ラクタムを得る。得られた粗ラクタムは
そのまま次工程の活性炭処理に付しても良いし、水分を
除去した後に活性炭処理に付すこともできる。 【0009】もう一方の抽出処理は、原料ラクタムに、
脂肪族飽和炭化水素、脂環族飽和炭化水素から選ばれる
少なくとも1種類の炭化水素を混合した後、液−液二層
系混合液を分液することにより粗ラクタムを得るもので
ある。 【0010】このとき用いられる脂肪族飽和炭化水素、
脂環族飽和炭化水素としては、例えばイソオクタン、n
−デカン等の炭素数8〜12の炭化水素が挙げられる。こ
れらは2種類以上を混合して使用することもできる。該
炭化水素の沸点は、原料ラクタムの融点以上であること
が好ましい。 【0011】該炭化水素の使用量は、原料ラクタムの融
点以上において、該炭化水素と原料ラクタムとが、液−
液二層を形成する量であれば良く、通常原料ラクタム1
00重量部に対して5〜500重量部、好ましくは10
〜300重量部である。 【0012】該処理を実施するに当たっては、例えば、
加熱下に原料ラクタムと上記炭化水素との液−液二層を
形成させ、これを分液して粗ラクタムを得る。 【0013】また本発明における活性炭処理に付す粗ラ
クタムとしては、上述のいずれかの抽出処理を行ったも
のであれば良く、例えば、抽出処理に先立ち蒸留、水
添、晶析、吸着分離等の等の前処理を施したものでも良
いし、抽出処理後、蒸留、水添、晶析、吸着分離等の後
処理を施したものであっても良い。 【0014】本発明においては、粗ラクタムを活性炭処
理するに際し、粗ラクタムが固体である場合は、それ自
身を溶融して用いてもよいし、適当な溶媒に溶解して用
いてもよい。後者の場合、溶媒としては、種々の有機溶
媒や水等が用いられるが、好ましくは水が用いられる。
このときの溶媒の使用量は、通常ラクタム100重量部
に対して5〜5000重量部、好ましくは10〜200
0重量部、更に好ましくは10〜500重量部である。
また粗ラクタムが水溶液である場合は、水がラクタム1
00重量部に対して5〜5000重量部、好ましくは1
0〜2000重量部、更に好ましくは10〜500重量
部になるように調節して使用するのが通常である。 【0015】該活性炭処理は、例えば溶融粗ラクタム又
は粗ラクタム溶液に活性炭を懸濁させて攪拌する方法
(バッチ法)、カラムに活性炭を充填し、そこに溶融粗
ラクタム又は粗ラクタム溶液を流通させる方法(連続流
通法)等、粗ラクタムと活性炭とを十分に接触させ得る
方法により行われる。 【0016】本発明において使用される活性炭の形状
は、特に限定されるものではないが、例えば粉末状、ペ
レット状等に成形したものが用いられる。また、必要に
応じて使用前に溶媒で洗浄してもよい。活性炭の使用量
は、例えばバッチ法の場合には、ラクタム100重量部
に対して、通常0.5重量部以上である。 【0017】活性炭処理時の系内温度は、通常5〜20
0℃、好ましくは5〜150℃、更に好ましくは50〜
150℃であり、圧力は、通常0.1〜10MPa、好まし
くは0.1〜3MPa、更に好ましくは0.1〜1MPaであ
る。 【0018】活性炭処理は、バッチ法の場合には、通常
0.1〜10時間行われ、場合により繰り返し実施するこ
ともできる。また、連続流通法の場合には、通常0.1〜
5時間行われる。 【0019】活性炭処理を施して得たラクタムは、更に
蒸留、晶析、吸着等の精製操作に付してもよい。 【0020】 【発明の効果】本発明によれば、オキシムの気相転位で
得られた不純物を含むラクタムを、抽出処理を施した後
に活性炭処理することにより、高品位ラクタムを得るこ
とができる。 【0021】 【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもので
はない。 【0022】〔品質評価・分析方法〕ラクタムの純度
は、ガスクロマトグラフィーにより求めた。UV透過率
は、ラクタム1.13gを蒸留水に溶解して10mlとした
溶液の290nm及び315nmにおける透過率を測定して
求めた。PM価は、以下の及びの手順で求めた。 ラクタム1.0gを蒸留水に溶解して100mlとした
溶液に0.05N過マンガン酸カリウム水溶液1mlを添加
した後、直ちに攪拌し、過マンガン酸カリウム水溶液の
添加から250秒後に、波長420nmの光の吸光度を2
5℃(溶液温度)にて測定した。で測定したラクタムの吸光度から蒸留水にと同
様に過マンガン酸カリウム水溶液を添加後、250秒後
に波長420nmの光の25℃における吸光度を差し引い
た値を100倍してPM価とした。 【0023】比較例1 内径1cmの石英ガラス製反応管中にゼオライト触媒0.3
75g(0.6ml)を充填し、窒素気流下(4.2リットル
/hr)に350℃で1時間予熱処理した。同速度で窒素
を供給しつつ、オキシム/メタノール重量比が1/1.8
の混合液を8.4g/hrの速度で反応管に供給し、24時
間反応させた。このときの触媒層の温度(反応温度)は
370℃であった。同様の操作を合計30回行い、得ら
れた反応生成液を集め、メタノールを留去し、次いで蒸
留を行って、蒸留原料ラクタムを得た。得られた蒸留原
料ラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結
果を表1に示した。 【0024】比較例2 比較例1において得た蒸留原料ラクタム975gを水9
75gに溶解した溶液及びシクロヘキサン2925ml
を5リットルの分液ロートに入れ、室温下にて30分間
振とうした後、15分間静置した。水層を分取して5リ
ットルの分液ロートに入れ、更にシクロヘキサン292
5mlを加えて同温度にて30分間振とうし、15分間
静置した後、水層を分取し、更にこの操作を8回繰り返
して得られた水層から水を減圧留去することにより、粗
ラクタム790gを得た。得られた粗ラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表1に示した。 【0025】実施例1 比較例2で得た粗ラクタム35gを水140gに溶解
し、250ml容のステンレス製オートクレーブに入れ
た。更に活性炭(粉末状、N.E.ケムキャット製)1.75
gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒
素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブを
100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過
して活性炭を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム34gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表1に示した。 【0026】実施例2 実施例1において粗ラクタム3g、水12g、活性炭0.
45g及び100ml容のオートクレーブを用いる以外は
実施例1と同様に実施し、ラクタム2.8gを得た。得ら
れたラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、
結果を表1に示した。 【0027】実施例3 実施例1において、活性炭を10.5g用いる以外は実
施例1と同様に実施し、ラクタム30gを得た。得られ
たラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結
果を表1に示した。 【0028】実施例4 実施例2において、活性炭を1.5g用いた以外は実施例
2と同様に実施し、ラクタム2.3gを得た。得られたラ
クタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を
表1に示した。 【0029】 表1 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例1 99.61 0.3 0.3 232.0 比較例2 99.75 7.9 16.1 229.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 実施例2 99.98 91.0 96.6 73.0 実施例3 99.98 95.6 98.4 43.0 実施例4 99.99 96.5 98.6 30.0 【0030】比較例3 実施例2において、粗ラクタム3g、水12g及び活性
炭0.45gの代わりに比較例1で得た蒸留原料ラクタム
10g、水40g及び活性炭0.5gを用いる以外は実施
例2と同様に実施してラクタム9.8gを得た。得られた
ラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果
を表2に示した。 【0031】比較例4 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解し、100ml容のガラス製三角フラスコに入れた。更
に、0.02モル/lの過マンガン酸カリウム水溶液0.5
g、及び30%過酸化水素水0.03gを入れ、20℃で
0.5時間攪拌した。この溶液を100ml容のステンレス
製オートクレーブに入れ、更に活性炭(粉末状、N.E.ケ
ムキャット製)0.5gを入れ、蓋を閉めた後、オートク
レーブ内の空気を窒素(0.4MPa)で置換した。次い
で、オートクレーブを100℃の油浴に浸し、1時間攪
拌した。処理液を濾過して活性炭を取り除いた後、再び
100ml容のステンレス製オートクレーブに入れ、更に
陽イオン交換樹脂(デュオライトC-26-H)0.1gを入
れ、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MPa)で置換
した後に蓋を閉めた。次いでオートクレーブを100℃
の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過して、陽
イオン交換樹脂を取り除いた後、陰イオン交換樹脂(デ
ュオライトC-368- OH)0.1gを加え、上記と同様の
操作を行った。処理液を濾過して陰イオン交換樹脂を取
り除いた後に、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂
をそれぞれ0.05gずつ入れ、上記と同様の操作を行っ
た。処理液を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム8.8gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表2に示した。 【0032】比較例5 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解し、100ml容のガラス製三角フラスコに入れた。更
にリン酸0.05gを入れ、20℃で2時間攪拌した。こ
の溶液を100ml容のステンレス製オートクレーブに入
れ、更に活性炭( 粉末状、N.E.ケムキャット製)0.25
gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒
素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブを
100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過
して活性炭を取り除いた後、100ml容のガラス製三角
フラスコに入れ、20%の水酸化ナトリウム水溶液を数
滴入れた中和した(pH7.0)。更に、水酸化ナトリウ
ム0.17gを入れ、20℃で2時間攪拌した この溶液を100ml容のステンレス製オートクレーブに
入れ、更に活性炭(粉末状、N.E.ケムキャット製)0.2
5gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を
窒素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブ
を100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾
過して活性炭を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム9.4gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表2に示した。 【0033】比較例6 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解して100ml容のステンレス製オートクレーブに入
れ、更に陽イオン交換樹脂(デュオライトC-26-H)0.
1gを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MP
a)で置換した後に蓋を閉めた。次いでオートクレーブ
を100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾
過して、陽イオン交換樹脂を取り除いた後、濾液を再び
オートクレーブに入れ、更に活性炭0.5gを入れて蓋を
閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MPa)
で置換した。次いでオートクレーブを100℃の油浴に
浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過して、活性炭を取
り除いた後、濾液の水を減圧下に留去し、ラクタム9.0
gを得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びP
M価を測定し、結果を表2に示した。 【0034】 表2 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例1 99.61 0.3 0.3 232.0 比較例3 99.83 30.7 58.0 226.0 比較例4 99.86 37.3 61.1 175.0 比較例5 99.81 8.7 18.6 87.0 比較例6 99.85 31.0 53.6 245.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 【0035】実施例5 実施例2において、活性炭(粉末状、ツルミ製)を用い
る以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.8 gを得
た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びPM価を
測定し、結果を表3に示した。 【0036】実施例6〜10 実施例5において、窒素圧力、油浴温度、処理時間及び
水の量を表3に示す値にする以外は実施例5と同様にし
てラクタムを得た。得られたラクタムの純度、UV透過
率及びPM価を測定し、結果を表3に示した。 【0037】 表3 窒素圧力 温度 時間 ラクタム/水 純度 UV透過率 /% /MPa /℃ /hr (重量比) /% 290nm 315nm PM価 実施例5 0.4 100 1 0.25 99.97 84.0 91.4 114.0 実施例6 0.9 100 1 0.25 99.96 84.4 91.8 120.0 実施例7 0.4 40 1 0.25 99.95 76.3 88.3 122.0 実施例8 0.4 150 1 0.25 99.96 82.1 91.2 128.0 実施例9 0.4 100 5 0.25 99.97 82.1 89.0 130.0実施例10 0.4 100 1 0.10 99.97 83.9 92.6 120.0 【0038】実施例11 実施例2において、水の代わりにメタノール12gを用
いる以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.7 gを
得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びPM価
を測定し、結果を表4に示した。 【0039】実施例12 実施例2において、水の代わりにシクロヘキサン12g
を用いる以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.8
gを得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びP
M価を測定し、結果を表4に示した。 【0040】実施例13 実施例1で得たラクタムを蒸留塔(実段数40)を用い
て5mmHg、還流比10の条件下にて真空蒸留し、蒸留ラ
クタムを得た。得られた蒸留ラクタムの純度、UV透過
率及びPM価を測定し、結果を表5に示した。 【0041】 表4 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 実施例11 99.95 59.0 75.9 151.0 実施例12 99.96 58.7 74.7 146.0 【0042】実施例14 実施例13において、実施例1で得たラクタムの代わり
に実施例3で得たラクタムを用いる以外は実施例13と
同様に実施し、蒸留ラクタムを得た。得られた蒸留ラク
タムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を表
5に示した。 【0043】比較例7 実施例13において、実施例1で得たラクタムの代わり
に比較例2で得た粗ラクタムを用いる以外は実施例13
と同様にし、蒸留ラクタムを得た。得られた蒸留ラクタ
ムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を表5
に示した。 【0044】 表5 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例2 99.75 7.9 16.1 229.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 実施例13 99.99 97.9 99.2 10.3 実施例3 99.98 95.6 98.4 43.0 実施例14 100.00 97.1 98.4 4.5 比較例7 99.96 88.2 96.0 46.9 比
製造法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来ε
−カプロラクタム(以下「ラクタム」という。)は、硫
酸を媒質とする液相でシクロヘキサノンオキシム(以下
「オキシム」という。)を転位させて得る方法が一般的
であるが、該方法は、転位後、反応系をアルカリで中和
する必要があり、また、かかる中和により多量の無機塩
が副生するという問題がある。これらの問題を解決する
方法として、固体触媒を用いた気相転位により得る方法
(以下「気相法」という。)が種々提案されている(例
えば特開昭62−123167号公報、特開昭53− 37686号公
報、英国特許第 831,927号等)。一方、より品位の高い
ラクタムを製造する方法として、粗ラクタムを活性炭処
理する方法も知られている。例えば粗ラクタムとし
て、オキシムの液相転位により生成したラクタムをアル
カリで中和し、次いで減圧蒸留して得た粗ラクタムを用
い、過マンガン酸塩及び過酸化水素水の共存下で活性炭
処理及びイオン交換処理する方法(特公昭42−9807号公
報)、粗ラクタムとして、ポリカプロラクタムの解重
合で得たラクタムを用い酸性で活性炭処理した後にアル
カリ性で再度活性炭処理する方法(特公昭49− 17275号
公報)、粗ラクタムとして、オキシムの液相転位によ
るラクタムラクタムを重縮合した重縮合回収水溶液をイ
オン交換樹脂で処理して得た粗ラクタムを用いる方法
(特開昭48− 61491号公報)等が知られている。しかし
ながら、気相法で得られた不純物を含むラクタムに対し
て上記の処理を行っても、不純物が上記各方法の処理対
象とするラクタム中のものとは異なるためか、満足し得
る品位のラクタムが得られないという問題があった。 【0003】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、気相法に
よる高品位ラクタムの製造法を見いだすべく、活性炭処
理について鋭意検討を重ねた結果、活性炭処理に付す粗
ラクタムとして、オキシムの気相転位により得られた不
純物を含むε−カプロラクタム(以下「原料ラクタム」
という。)を抽出処理することにより得た粗ラクタムを
用いることにより高品位ラクタムが得られることを見い
だし、本発明を完成した。すなわち本発明は、粗ε−カ
プロラクタムを活性炭処理してε−カプロラクタムを製
造するに当たり、粗ε−カプロラクタムとして、シクロ
ヘキサノンオキシムの気相転位により得られた不純物を
含むε−カプロラクタムを、 (1) 脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素
から選ばれる少なくとも1種類の炭化水素と、水と混合
した後、水層を分取することにより得た粗ε−カプロラ
クタム、又は (2) 脂肪族飽和炭化水素、脂環族飽和炭化水素から選ば
れる少なくとも1種類の炭化水素と混合した後、液−液
二層系混合液を分液することにより得た粗ε−カプロラ
クタムを用いることを特徴とするε−カプロラクタムの
工業的に優れた製造法を提供するものである。以下、本
発明を詳細に説明する。 【0004】本発明において、オキシムの気相転位は、
例えばホウ酸系触媒(特開昭53− 37686号公報等)、シ
リカ・アルミナ系触媒(英国特許第 831,927号等)、固
体リン酸系触媒(英国特許第 881,926号等)、ゼオライ
ト系触媒(特開昭62−123167号公報等)等の固体酸系触
媒存在下に実施され、原料ラクタムを得ることができ
る。 【0005】本発明においては、活性炭処理に付す粗ラ
クタムとして、次のいずれかの抽出処理をして得た粗ラ
クタムを使用する。その一つは、原料ラクタムに脂肪族
炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素から選ばれ
る少なくとも1種類の炭化水素と水とを混合した後、水
層を分取することにより得た粗ラクタムを用いるもので
ある。 【0006】ここで用いられる炭化水素としては、脂肪
族炭化水素、脂環族炭化水素が好ましく使用される。か
かる脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオク
タン、n−デカン、ドデカン、ペンタデカン、ペンテ
ン、ヘキセン、デセン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン等の
炭素数5〜15の飽和又は不飽和炭化水素が挙げられる。
また芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トル
エン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。これ
らは2種類以上を混合して使用することもできる。 【0007】該炭化水素は、原料ラクタム100重量部
に対して、通常20〜500重量部、好ましくは50〜
200重量部使用される。また水は、原料ラクタム10
0重量部に対して、通常20〜500重量部、好ましく
は50〜200重量部使用される。 【0008】該処理を実施するに当たり、原料ラクタム
と炭化水素と水とを混合する。 次いで、水層を分取す
ることにより粗ラクタムを得る。得られた粗ラクタムは
そのまま次工程の活性炭処理に付しても良いし、水分を
除去した後に活性炭処理に付すこともできる。 【0009】もう一方の抽出処理は、原料ラクタムに、
脂肪族飽和炭化水素、脂環族飽和炭化水素から選ばれる
少なくとも1種類の炭化水素を混合した後、液−液二層
系混合液を分液することにより粗ラクタムを得るもので
ある。 【0010】このとき用いられる脂肪族飽和炭化水素、
脂環族飽和炭化水素としては、例えばイソオクタン、n
−デカン等の炭素数8〜12の炭化水素が挙げられる。こ
れらは2種類以上を混合して使用することもできる。該
炭化水素の沸点は、原料ラクタムの融点以上であること
が好ましい。 【0011】該炭化水素の使用量は、原料ラクタムの融
点以上において、該炭化水素と原料ラクタムとが、液−
液二層を形成する量であれば良く、通常原料ラクタム1
00重量部に対して5〜500重量部、好ましくは10
〜300重量部である。 【0012】該処理を実施するに当たっては、例えば、
加熱下に原料ラクタムと上記炭化水素との液−液二層を
形成させ、これを分液して粗ラクタムを得る。 【0013】また本発明における活性炭処理に付す粗ラ
クタムとしては、上述のいずれかの抽出処理を行ったも
のであれば良く、例えば、抽出処理に先立ち蒸留、水
添、晶析、吸着分離等の等の前処理を施したものでも良
いし、抽出処理後、蒸留、水添、晶析、吸着分離等の後
処理を施したものであっても良い。 【0014】本発明においては、粗ラクタムを活性炭処
理するに際し、粗ラクタムが固体である場合は、それ自
身を溶融して用いてもよいし、適当な溶媒に溶解して用
いてもよい。後者の場合、溶媒としては、種々の有機溶
媒や水等が用いられるが、好ましくは水が用いられる。
このときの溶媒の使用量は、通常ラクタム100重量部
に対して5〜5000重量部、好ましくは10〜200
0重量部、更に好ましくは10〜500重量部である。
また粗ラクタムが水溶液である場合は、水がラクタム1
00重量部に対して5〜5000重量部、好ましくは1
0〜2000重量部、更に好ましくは10〜500重量
部になるように調節して使用するのが通常である。 【0015】該活性炭処理は、例えば溶融粗ラクタム又
は粗ラクタム溶液に活性炭を懸濁させて攪拌する方法
(バッチ法)、カラムに活性炭を充填し、そこに溶融粗
ラクタム又は粗ラクタム溶液を流通させる方法(連続流
通法)等、粗ラクタムと活性炭とを十分に接触させ得る
方法により行われる。 【0016】本発明において使用される活性炭の形状
は、特に限定されるものではないが、例えば粉末状、ペ
レット状等に成形したものが用いられる。また、必要に
応じて使用前に溶媒で洗浄してもよい。活性炭の使用量
は、例えばバッチ法の場合には、ラクタム100重量部
に対して、通常0.5重量部以上である。 【0017】活性炭処理時の系内温度は、通常5〜20
0℃、好ましくは5〜150℃、更に好ましくは50〜
150℃であり、圧力は、通常0.1〜10MPa、好まし
くは0.1〜3MPa、更に好ましくは0.1〜1MPaであ
る。 【0018】活性炭処理は、バッチ法の場合には、通常
0.1〜10時間行われ、場合により繰り返し実施するこ
ともできる。また、連続流通法の場合には、通常0.1〜
5時間行われる。 【0019】活性炭処理を施して得たラクタムは、更に
蒸留、晶析、吸着等の精製操作に付してもよい。 【0020】 【発明の効果】本発明によれば、オキシムの気相転位で
得られた不純物を含むラクタムを、抽出処理を施した後
に活性炭処理することにより、高品位ラクタムを得るこ
とができる。 【0021】 【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもので
はない。 【0022】〔品質評価・分析方法〕ラクタムの純度
は、ガスクロマトグラフィーにより求めた。UV透過率
は、ラクタム1.13gを蒸留水に溶解して10mlとした
溶液の290nm及び315nmにおける透過率を測定して
求めた。PM価は、以下の及びの手順で求めた。 ラクタム1.0gを蒸留水に溶解して100mlとした
溶液に0.05N過マンガン酸カリウム水溶液1mlを添加
した後、直ちに攪拌し、過マンガン酸カリウム水溶液の
添加から250秒後に、波長420nmの光の吸光度を2
5℃(溶液温度)にて測定した。で測定したラクタムの吸光度から蒸留水にと同
様に過マンガン酸カリウム水溶液を添加後、250秒後
に波長420nmの光の25℃における吸光度を差し引い
た値を100倍してPM価とした。 【0023】比較例1 内径1cmの石英ガラス製反応管中にゼオライト触媒0.3
75g(0.6ml)を充填し、窒素気流下(4.2リットル
/hr)に350℃で1時間予熱処理した。同速度で窒素
を供給しつつ、オキシム/メタノール重量比が1/1.8
の混合液を8.4g/hrの速度で反応管に供給し、24時
間反応させた。このときの触媒層の温度(反応温度)は
370℃であった。同様の操作を合計30回行い、得ら
れた反応生成液を集め、メタノールを留去し、次いで蒸
留を行って、蒸留原料ラクタムを得た。得られた蒸留原
料ラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結
果を表1に示した。 【0024】比較例2 比較例1において得た蒸留原料ラクタム975gを水9
75gに溶解した溶液及びシクロヘキサン2925ml
を5リットルの分液ロートに入れ、室温下にて30分間
振とうした後、15分間静置した。水層を分取して5リ
ットルの分液ロートに入れ、更にシクロヘキサン292
5mlを加えて同温度にて30分間振とうし、15分間
静置した後、水層を分取し、更にこの操作を8回繰り返
して得られた水層から水を減圧留去することにより、粗
ラクタム790gを得た。得られた粗ラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表1に示した。 【0025】実施例1 比較例2で得た粗ラクタム35gを水140gに溶解
し、250ml容のステンレス製オートクレーブに入れ
た。更に活性炭(粉末状、N.E.ケムキャット製)1.75
gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒
素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブを
100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過
して活性炭を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム34gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表1に示した。 【0026】実施例2 実施例1において粗ラクタム3g、水12g、活性炭0.
45g及び100ml容のオートクレーブを用いる以外は
実施例1と同様に実施し、ラクタム2.8gを得た。得ら
れたラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、
結果を表1に示した。 【0027】実施例3 実施例1において、活性炭を10.5g用いる以外は実
施例1と同様に実施し、ラクタム30gを得た。得られ
たラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結
果を表1に示した。 【0028】実施例4 実施例2において、活性炭を1.5g用いた以外は実施例
2と同様に実施し、ラクタム2.3gを得た。得られたラ
クタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を
表1に示した。 【0029】 表1 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例1 99.61 0.3 0.3 232.0 比較例2 99.75 7.9 16.1 229.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 実施例2 99.98 91.0 96.6 73.0 実施例3 99.98 95.6 98.4 43.0 実施例4 99.99 96.5 98.6 30.0 【0030】比較例3 実施例2において、粗ラクタム3g、水12g及び活性
炭0.45gの代わりに比較例1で得た蒸留原料ラクタム
10g、水40g及び活性炭0.5gを用いる以外は実施
例2と同様に実施してラクタム9.8gを得た。得られた
ラクタムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果
を表2に示した。 【0031】比較例4 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解し、100ml容のガラス製三角フラスコに入れた。更
に、0.02モル/lの過マンガン酸カリウム水溶液0.5
g、及び30%過酸化水素水0.03gを入れ、20℃で
0.5時間攪拌した。この溶液を100ml容のステンレス
製オートクレーブに入れ、更に活性炭(粉末状、N.E.ケ
ムキャット製)0.5gを入れ、蓋を閉めた後、オートク
レーブ内の空気を窒素(0.4MPa)で置換した。次い
で、オートクレーブを100℃の油浴に浸し、1時間攪
拌した。処理液を濾過して活性炭を取り除いた後、再び
100ml容のステンレス製オートクレーブに入れ、更に
陽イオン交換樹脂(デュオライトC-26-H)0.1gを入
れ、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MPa)で置換
した後に蓋を閉めた。次いでオートクレーブを100℃
の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過して、陽
イオン交換樹脂を取り除いた後、陰イオン交換樹脂(デ
ュオライトC-368- OH)0.1gを加え、上記と同様の
操作を行った。処理液を濾過して陰イオン交換樹脂を取
り除いた後に、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂
をそれぞれ0.05gずつ入れ、上記と同様の操作を行っ
た。処理液を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム8.8gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表2に示した。 【0032】比較例5 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解し、100ml容のガラス製三角フラスコに入れた。更
にリン酸0.05gを入れ、20℃で2時間攪拌した。こ
の溶液を100ml容のステンレス製オートクレーブに入
れ、更に活性炭( 粉末状、N.E.ケムキャット製)0.25
gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒
素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブを
100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過
して活性炭を取り除いた後、100ml容のガラス製三角
フラスコに入れ、20%の水酸化ナトリウム水溶液を数
滴入れた中和した(pH7.0)。更に、水酸化ナトリウ
ム0.17gを入れ、20℃で2時間攪拌した この溶液を100ml容のステンレス製オートクレーブに
入れ、更に活性炭(粉末状、N.E.ケムキャット製)0.2
5gを入れ、蓋を閉めた後、オートクレーブ内の空気を
窒素(0.4MPa)で置換した。次いで、オートクレーブ
を100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾
過して活性炭を取り除いた後、濾液の水を減圧下に留去
し、ラクタム9.4gを得た。得られたラクタムの純度、
UV透過率及びPM価を測定し、結果を表2に示した。 【0033】比較例6 比較例1で得た蒸留原料ラクタム10gを水40gに溶
解して100ml容のステンレス製オートクレーブに入
れ、更に陽イオン交換樹脂(デュオライトC-26-H)0.
1gを入れ、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MP
a)で置換した後に蓋を閉めた。次いでオートクレーブ
を100℃の油浴に浸し、1時間攪拌した。処理液を濾
過して、陽イオン交換樹脂を取り除いた後、濾液を再び
オートクレーブに入れ、更に活性炭0.5gを入れて蓋を
閉めた後、オートクレーブ内の空気を窒素(0.4MPa)
で置換した。次いでオートクレーブを100℃の油浴に
浸し、1時間攪拌した。処理液を濾過して、活性炭を取
り除いた後、濾液の水を減圧下に留去し、ラクタム9.0
gを得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びP
M価を測定し、結果を表2に示した。 【0034】 表2 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例1 99.61 0.3 0.3 232.0 比較例3 99.83 30.7 58.0 226.0 比較例4 99.86 37.3 61.1 175.0 比較例5 99.81 8.7 18.6 87.0 比較例6 99.85 31.0 53.6 245.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 【0035】実施例5 実施例2において、活性炭(粉末状、ツルミ製)を用い
る以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.8 gを得
た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びPM価を
測定し、結果を表3に示した。 【0036】実施例6〜10 実施例5において、窒素圧力、油浴温度、処理時間及び
水の量を表3に示す値にする以外は実施例5と同様にし
てラクタムを得た。得られたラクタムの純度、UV透過
率及びPM価を測定し、結果を表3に示した。 【0037】 表3 窒素圧力 温度 時間 ラクタム/水 純度 UV透過率 /% /MPa /℃ /hr (重量比) /% 290nm 315nm PM価 実施例5 0.4 100 1 0.25 99.97 84.0 91.4 114.0 実施例6 0.9 100 1 0.25 99.96 84.4 91.8 120.0 実施例7 0.4 40 1 0.25 99.95 76.3 88.3 122.0 実施例8 0.4 150 1 0.25 99.96 82.1 91.2 128.0 実施例9 0.4 100 5 0.25 99.97 82.1 89.0 130.0実施例10 0.4 100 1 0.10 99.97 83.9 92.6 120.0 【0038】実施例11 実施例2において、水の代わりにメタノール12gを用
いる以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.7 gを
得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びPM価
を測定し、結果を表4に示した。 【0039】実施例12 実施例2において、水の代わりにシクロヘキサン12g
を用いる以外は実施例2と同様に実施し、ラクタム2.8
gを得た。得られたラクタムの純度、UV透過率及びP
M価を測定し、結果を表4に示した。 【0040】実施例13 実施例1で得たラクタムを蒸留塔(実段数40)を用い
て5mmHg、還流比10の条件下にて真空蒸留し、蒸留ラ
クタムを得た。得られた蒸留ラクタムの純度、UV透過
率及びPM価を測定し、結果を表5に示した。 【0041】 表4 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 実施例11 99.95 59.0 75.9 151.0 実施例12 99.96 58.7 74.7 146.0 【0042】実施例14 実施例13において、実施例1で得たラクタムの代わり
に実施例3で得たラクタムを用いる以外は実施例13と
同様に実施し、蒸留ラクタムを得た。得られた蒸留ラク
タムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を表
5に示した。 【0043】比較例7 実施例13において、実施例1で得たラクタムの代わり
に比較例2で得た粗ラクタムを用いる以外は実施例13
と同様にし、蒸留ラクタムを得た。得られた蒸留ラクタ
ムの純度、UV透過率及びPM価を測定し、結果を表5
に示した。 【0044】 表5 UV透過率(%) 純度(%) 290nm 315nm PM価 比較例2 99.75 7.9 16.1 229.0 実施例1 99.96 78.2 89.0 80.3 実施例13 99.99 97.9 99.2 10.3 実施例3 99.98 95.6 98.4 43.0 実施例14 100.00 97.1 98.4 4.5 比較例7 99.96 88.2 96.0 46.9 比
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 北村 勝
大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友
化学工業株式会社内
(56)参考文献 特開 昭47−14188(JP,A)
特開 昭47−7378(JP,A)
特開 昭46−5231(JP,A)
特開 昭53−147085(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07D 201/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 粗ε−カプロラクタムを活性炭処理して
ε−カプロラクタムを製造するに当たり、粗ε−カプロ
ラクタムとして、シクロヘキサノンオキシムの気相転位
により得られた不純物を含むε−カプロラクタムを、 (1) 脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素
から選ばれる少なくとも1種類の炭化水素と、水と混合
した後、水層を分取することにより得た粗ε−カプロラ
クタム、又は (2) 脂肪族飽和炭化水素、脂環族飽和炭化水素から選ば
れる少なくとも1種類の炭化水素と混合した後、液−液
二層系混合液を分液することにより得た粗ε−カプロラ
クタムを用いることを特徴とするε−カプロラクタムの
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26138493A JP3456233B2 (ja) | 1993-10-19 | 1993-10-19 | ε−カプロラクタムの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26138493A JP3456233B2 (ja) | 1993-10-19 | 1993-10-19 | ε−カプロラクタムの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07118228A JPH07118228A (ja) | 1995-05-09 |
JP3456233B2 true JP3456233B2 (ja) | 2003-10-14 |
Family
ID=17361106
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26138493A Expired - Fee Related JP3456233B2 (ja) | 1993-10-19 | 1993-10-19 | ε−カプロラクタムの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3456233B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101781280A (zh) * | 2010-03-11 | 2010-07-21 | 江苏爱利思达清泉化学有限公司 | 一种制备颜色稳定的ε-己内酯的办法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69926495T2 (de) * | 1998-04-28 | 2006-06-01 | Sumitomo Chemical Co., Ltd. | VERFAHREN ZUR HERSTELLUNG VON ε-CAPROLACTAM |
-
1993
- 1993-10-19 JP JP26138493A patent/JP3456233B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101781280A (zh) * | 2010-03-11 | 2010-07-21 | 江苏爱利思达清泉化学有限公司 | 一种制备颜色稳定的ε-己内酯的办法 |
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JPH07118228A (ja) | 1995-05-09 |
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