JP3455931B2 - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JP3455931B2 JP21827594A JP21827594A JP3455931B2 JP 3455931 B2 JP3455931 B2 JP 3455931B2 JP 21827594 A JP21827594 A JP 21827594A JP 21827594 A JP21827594 A JP 21827594A JP 3455931 B2 JP3455931 B2 JP 3455931B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンスルフィ
ド樹脂を含む塗装性、塗膜の密着性が改善された塗料用
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、化学プラント用配水管、熱水
配管などの金属の防錆・防食用塗料および電気絶縁処理
に用いられる塗料には耐熱性に優れていること、塗膜が
ひび割れ、はじきなどがなく均一であり被塗装物表面と
の膜密着性に優れていることが要求されている。近年、
上記の用途にポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)
が、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、電気絶縁性に優れた
樹脂であることから塗料用基材として検討されている。
PPSはほとんどの有機溶剤に不溶であるため、通常は
粉体状の塗料、またはスラリー状の塗料を被塗装物の表
面に塗布したのち、これを熱溶融させて塗膜を形成する
か、または粉体状の塗料を熱溶融して被塗装物の表面に
吹付けて塗膜を形成するという方法で施工されている。
ところがPPSは結晶性ポリマーであり、成形収縮率や
線膨張係数に異方性があるので、粉体塗料を熱溶融さ
せ、次いで冷却させて塗膜を形成する過程で結晶化が起
こり、局所的にひび割れが生じるなど塗膜表面の状態が
悪く均一な塗膜が得られにくい、またはヒートサイクル
により塗膜表面にひび割れが生じるなどの問題があっ
た。さらにPPSはその化学構造の持つ特性から本質的
に金属や無機・有機の各種素材との接着性に劣るので、
粉体塗装後熱溶融させた時に塗料が凝集して、いわゆる
はじき現象を生じ、また被塗装物表面から塗膜がはがれ
やすく、防錆性・防食性に著しく劣る問題があった。こ
のためPPSを基材とする塗料は均一な塗膜を得るため
に特別な塗装技術を要し、塗装工程が長くなる問題があ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点が
解決された塗料用樹脂組成物を提供するものであり、P
PSの長所である耐熱性を損ねずに、PPS塗料の欠点
であった塗装性の問題が改善された塗料用組成物を提供
することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の塗料用樹脂組成
物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂99〜40重量%
とノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物1
〜60重量%〔ただし、ポリアリーレンスルフィド樹脂
+ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物=
100重量%〕を必須成分として含む。ここで、本発明
の塗料用樹脂組成物のビカット軟化温度は、200℃以
上が好ましい。本発明に用いられる熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂(ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素
添加物、以下「熱可塑性ノルボルネン系樹脂」または
「ノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂」ともいう)
は、その繰り返し単位中にノルボルナン骨格を有するも
のである。例えば、この熱可塑性樹脂としては、一般式
(III)〜(IV)で表わされるノルボルナン骨格を含
むものである。
【0005】
【化1】
【0006】
【化2】
【0007】(式中、A、B、CおよびDは、水素原子
または1価の有機基を示す。)本発明で使用されるノル
ボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂は、十分な強度を得
るために、その重量平均分子量は5,000〜100
万、好ましくは8,000〜20万である。本発明にお
いて使用することのできるノルボルナン骨格を有する熱
可塑性樹脂としては、例えば特開昭60−168708
号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62
−252407号公報、特開平2−133413号公
報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−2
64626号公報、特開平1−240517号公報、特
公昭57−8815号公報などに記載されている樹脂な
どを挙げることができる。これらの樹脂の中でも、特に
本発明のノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添
加物は、非晶性ポリマーであるため、PPSの成形収縮
率や線膨張係数における異方性が大幅に改善できる。
の熱可塑性樹脂の具体例としては、下記一般式(V)で
表わされる少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導
体または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和
環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水
素添加して得られる水添重合体を挙げることができる。
【0008】
【化3】
【0009】(式中、A〜Dは前記に同じ。)前記一般
式(V)で表わされるテトラシクロドデセン誘導体にお
いて、A、B、CおよびDのうちに極性基を含むことが
他材料との密着性、耐熱性、ポリアリーレンスルフィド
樹脂との相溶性の点から好ましい。さらに、この極性基
が−(CH2 n COOR3 (ここで、R3 は炭素数1
〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す)で表
わされる基であることが得られる水添重合体が高いガラ
ス転移温度を有するものとなるので好ましい。特に、こ
の−(CH2 n COOR3 で表わされる極性置換基
は、一般式(V)のテトラシクロドデセン誘導体の1分
子あたりに1個含有されることが吸水性を低下させる点
から好ましい。前記一般式において、R3 は炭素数1〜
20の炭化水素基であるが、炭素数が多くなるほど得ら
れる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましい
が、得られる水添重合体のガラス転移温度とのバランス
の点から、炭素数1〜4の鎖状アルキル基または炭素数
5以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、
特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基であること
が好ましい。
【0010】さらに、−(CH2 n COOR3 で表わ
される基が結合した炭素原子に、同時に炭素数1〜10
の炭化水素基が置換基として結合されている一般式
(V)のテトラシクロドデセン誘導体は、吸湿性を低下
させるので好ましい。特に、この置換基がメチル基また
はエチル基である一般式(V)のテトラシクロドデセン
誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。具体的に
は、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.1 2.5 .1 7.10 〕ドデカ−3−エンが好
ましい。これらのテトラシクロドデセン誘導体、あるい
はこれと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例
えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄12行〜
第6頁右下欄第6行に記載された方法によってメタセシ
ス重合、水素添加され、本発明に使用される熱可塑性樹
脂とすることができる。
【0011】本発明において、ノルボルナン骨格を有す
る熱可塑性樹脂(ノルボルネン系モノマーの開環重合体
の水素添加物)は、クロロホルム中、30℃で測定され
る固有粘度(ηinh )が、0.2〜1.5dl/g、好
ましくは0.3〜1.0dl/gである。固有粘度(η
inh )が0.2dl/g未満では、塗膜強度に劣り耐衝
撃性が低下し、一方1.5dl/gを超えると流動性が
小さくなり均一な塗膜が得られない。また、水添重合体
(水素添加物)の水素添加率は60MHz、1H−NM
Rで測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、
さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高い
ほど熱や光に対する安定性が優れる。なお、本発明のノ
ルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂として使用される
水添重合体は、塗膜表面の肌あれなどの不良発生防止の
面から該水添重合体中に含まれるゲル含有量が5重量%
以下であることが好ましく、さらに1重量%以下である
ことが特に好ましい。また、前記水添重合体の軟化温度
は90℃以上、ガラス転移温度100℃以上、特に13
0℃以上であることがポリアリーレンスルフィド樹脂に
配合した際、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性を
大きく損ねない上で好ましい。本発明に用いられるポリ
アリーレンスルフィド樹脂は、主とする構成単位が一般
式:−Ar−S−(式中、Arは2価の芳香族基を表わ
す。)で表わされる重合体である。このポリアリーレン
基を構成する2価の芳香族基としては、p−フェニレン
基、m−フェニレン基、2,6−ナフタレン基、4,
4′−ビフェニレン基、p,p′−ビベンジル基、およ
びこれらの核置換基などが代表例として挙げられる。こ
れらの内では核置換基のp−フェニレン基を有するポリ
−p−フェニレンスルフィドが成形加工性の点で好まし
い。本発明においてポリアリーレンスルフィド樹脂は、
上記構成単位を1分子中に少なくとも70モル%以上含
有していることが必要である。この主成分が70モル%
未満であると、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂
の結晶性が低下したり、転移温度が低かったり、塗膜の
物性が悪いなど好ましくない結果を生じる。さらに、本
発明においてポリアリーレンスルフィド樹脂は1分子中
に30モル%未満であれば、3価以上の結合手を有する
芳香族基、例えば1,2,4−結合フェニレン核や脂肪
族基、ヘテロ原子含有基などを含んでいてもさしつかえ
ない。上記ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方
法としては、ジハロゲン化芳香族化合物とジオール芳香
族化合物またはモノハロゲン化芳香族チオールの縮合反
応あるいはジハロゲン化芳香族化合物と、硫化アルカリ
あるいは水硫化アルカリとアルカリまたは硫化水素とア
ルカリ化合物からの脱塩縮合反応を利用する方法などを
例示することができるが、これらに限定されるものでは
ない。熱可塑性ノルボルネン系樹脂とポリアリーレンス
ルフィド樹脂の混合には、相溶性を高めるために、相溶
化剤を用いることができる。その一例としてオレフィン
単位とカルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基お
よびエポキシ基から選ばれた少なくとも1種の官能基を
有する不飽和化合物単位とを主体とする共重合体と、少
なくとも1種のビニル化合物からなるビニル系(共)重
合体よりなる多層構造を有する重合体を相溶化剤として
用いると、熱可塑性ノルボルネン系樹脂とポリアリーレ
ンスルフィド樹脂は互いに一層相溶するようになる。相
溶化剤の使用割合は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂とポ
リアリーレンスルフィド樹脂の合計100重量部に対し
て、通常0.1〜20重量部である。ここで、多層構造
を有する重合体中のオレフィン単位とカルボキシル基、
酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基から選ばれた
少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物単位とを
主体とする共重合体(以下、「共重合体I」という。)
とは、例えばオレフィンと上記の官能基を有する不飽和
化合物および必要に応じて他の不飽和化合物との二元、
三元または多元の共重合体である。上記共重合体I中の
オレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好まし
く、特に好ましいのはエチレンである。
【0012】カルボキシル基含有不飽和化合物として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸など、酸無
水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無
水イタコン酸などが、オキサゾリン基含有不飽和化合物
としては、ビニルオキサゾリンなど、エポキシ基含有不
飽和化合物としては、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。好ま
しい官能基は、エポキシ基、酸無水物基である。上記重
合体Iのオレフィン量は通常60〜99.5重量%、官
能基を有する不飽和化合物単量体量は通常0.5〜40
重量%、他の不飽和単量体量は通常0〜39.5重量%
である。また、多相構造中の少なくとも1種のビニル化
合物からなるビニル系共重合体とは、具体的にはスチレ
ン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレ
ン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−メチ
ルスチレン、α−エチルスチレンなどの芳香族ビニル単
量体、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ドデシ
ル、オクタデシルなどのエステル類、ビニルメチルエー
テル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシ
アン化合物、およびアクリル酸アミド系化合物などのカ
ルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基、およびエ
ポキシ基を有さないビニル化合物を1種または2種以上
重合した数平均重合度が、通常5〜10,000、好ま
しくは10〜10,000の重合体である。多相構造成
分は、共重合体Iまたはビニル系(共)重合体マトリッ
クス中に、それとは異なる成分であるビニル共重合体ま
たは共重合体Iが球状に均一に分散しているものであ
る。分散している重合体の粒子径は0.001〜10μ
m、好ましくは0.01〜5μmである。分散重合体粒
子径が0.001μm未満の場合、あるいは10μmを
超える場合、得られた組成物の機械的強度が低下するの
で好ましくない。多相構造成分は、共重合体を通常5〜
95重量%、好ましくは20〜90重量%含有すること
が本発明の目的を達成する上で好ましい。多相構造成分
を製造する方法は、一般によく知られている連鎖移動
法、電離性放射線照射性など、いずれの方法によっても
よいが、最も好ましいものは、特開昭64−48856
号公報記載の方法である。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて無機充填材が配合されていてもよい。無機充填材の
例としては、例えばガラス繊維、チタン酸カリウム繊
維、アスベスト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、セラミック
繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石
コウ繊維などの繊維状充填材、および硫酸バリウム、硫
酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、カオリン、クレー、
バイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオラ
イト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、ア
タルバルジャイト、ワラストナイト、PMF、珪酸カル
シウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化チタン、
酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化
鉄、二硫化モリブデン、石コウ、ガラスビーズ、ガラス
バルーン、ガラスパウダー、ガラスフレーク、シリカパ
ウダー、シリカビーズなどの無機充填材などが挙げられ
る。繊維状充填材を用いる場合、その平均径は剛性と耐
衝撃性とのバランスの面から0.1〜250μmの範囲
内にあることが好ましい。
【0014】本発明に用いる熱可塑性ノルボルネン系樹
脂は非晶性であるので、結晶性であるポリアリーレンス
ルフィド樹脂に較べ成形収縮率や線膨張係数の異方性が
小さい。よって熱可塑性ノルボルネン系樹脂をポリアリ
ーレンスルフィド樹脂に配合することにより、ポリアリ
ーレンスルフィド樹脂の上記欠点を大幅に改善すること
ができ、ひび割れのない均一な塗膜が得られる。しか
も、熱可塑性ノルボルネン系樹脂はガラス転移温度が高
い樹脂であり、ポリアリーレンスルフィド樹脂に配合し
てもポリアリーレンスルフィド樹脂が元来有する高い耐
熱性を大きく損ねることがない。しかし、防錆・防食用
塗料や電気絶縁用塗料として用いる場合は、塗膜が長時
間高温の熱にさらされることが多く、熱により塗膜が溶
けたり変形・変質しないことが必要であるので、本発明
の塗料用組成物はビカット軟化温度200℃以上である
ことが望ましく、塗料用樹脂組成物が熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂が過剰に配合された、上記軟化温度に満たな
い樹脂組成物であると、用途によっては高温下で長時間
使用するうちに塗膜表面が熱により溶けたり、変質した
りすることにより、防錆性・防食性が損なわれることが
ある。本発明において、上記の軟化温度、成形収縮や線
膨張係数における異方性を満たす熱可塑性樹脂組成物を
得るには、熱可塑性ノルボルネン系樹脂とポリアリーレ
ンスルフィド樹脂との合計100重量%に対して熱可塑
性ノルボルネン系樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂
はそれぞれ1〜60重量%、99〜40重量%の範囲、
好ましくはそれぞれ5〜40重量%、95〜60重量%
の範囲で含まれていることが望ましい。熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂が1重量%未満では、ポリアリーレンスル
フィド樹脂の結晶性に基づく諸欠点が改善されず、樹脂
組成物の成形収縮率や線膨張係数の異方性が大きくな
り、塗装工程あるいはヒートサイクルの多い用途におけ
る塗膜のひび割れなどが発生しやすく、また各種素材と
の密着性に劣るものとなるため、このような組成物を塗
装して得た塗膜ははがれやすく、防錆・防食などの信頼
性に劣るものとなる。また、熱可塑性ノルボルネン系樹
脂が60重量%を超えると、組成物の軟化温度が著しく
低下してしまい、このような組成物を塗装して得た塗膜
は高温下での長時間使用における高温の熱により変形・
変質するおそれがある。特に熱可塑性ノルボルネン系樹
脂が、ノルボルナン骨格に極性置換基を有しない樹脂で
ある場合は1〜40重量%の範囲内であることが望まし
い。
【0015】本発明に使用する熱可塑性樹脂組成物に
は、本発明の効果を損ねない範囲で、他の熱可塑性樹脂
やエラストマーを配合することも可能である。これら熱
可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリ塩化ビ
ニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、
ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスル
フォンポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリ四
フッ化エチレン、ポリ二フッ化エチレン、ポリスチレン
などが挙げられ、エラストマーとしては、ポリオレフィ
ン系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどが挙げられ
る。その他、本発明に使用する熱可塑性樹脂組成物は、
必要に応じて帯電防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止
剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジ
メチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エ
チル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ジ−ノニ
ルフェニルホスファイト)、紫外線吸収剤、例えばp−
t−ブチルフェニルサリシレート、2,2′−ジヒドロ
キシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−(2′ジヒ
ドロキシ−4′−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、「TINUVIN320」[チバガイギー社
製]、「TINUVIN329」[チバガイギー社
製]、「TINUVIN622LD」[チバガイギー社
製]、「CHIMASSORB119FL」[チバガイ
ギー社製]、滑剤、例えばパラフィンワックス、ステア
リン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステア
ロアミド、m−ブチルステアレート、ケトンワックス、
オクチルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリ
セリドなどを必要量添加してもよい。本発明に使用する
熱可塑性樹脂組成物は、単軸押出機、多軸押出機、バン
バリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの混
合機を用い、樹脂組成物および充填剤、難燃剤、さらに
必要に応じて使用される添加剤を混合することによって
得られる。本発明に使用する熱可塑性樹脂組成物の製造
方法の例を示すと、ミキサーで各成分を混合した後押出
機を用い、240〜360℃で溶融混練りして造粒物を
得る方法、さらに簡便な方法としては、各成分を直接成
形機内で溶融混練りしてペレットを得る方法などが挙げ
られる。また、二軸押出機を用いて樹脂成分を混練りし
ながら充填剤、難燃剤を後から添加してペレットを作成
する方法がある。以上の方法によりペレットを作成した
のち、ふるいまたは粉砕機により粒径50〜100μm
の微粉末に粉砕し、本発明の塗料用樹脂組成物とするこ
とができる。本発明の塗料用樹脂組成物は、常法の粉体
塗装法で、金属、ガラス、セラミックスのような被塗装
物の表面に塗装し、ついで280〜400℃の温度で所
定時間加熱することによって、塗膜へと成膜される。こ
のとき、粉体塗装に先立ち、被塗装物の表面に適宜なプ
ライマーを下塗りしておいてもよい。本発明の塗料用樹
脂組成物は油田用パイプ、船舶および海水プラント配
管、ケミカルプラント配管、給湯管、バルブ、継手、撹
拌羽根、ポンプインペラー、その他部品の耐食保護被
覆、電気・電子部品、自動車部品における絶縁被覆など
に使用することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中、部および%は特に断わらな
いかぎり重量基準である。また、実施例中の各種の測定
は、次のとおりである。 ビカット軟化温度 JIS7206に準じ、1/8″の厚みの試験片を用い
て、荷重1kg、昇温速度50℃/hで測定した。 塗膜の外観 以下の評価基準に従って塗膜の外観を目視評価した。 ○:ひび割れ、はじきなどがなく平滑な塗膜であるも
の。 △:わずかに塗膜の平滑性が損なわれているもの。 ×:ひび割れ、はじき、変色などが顕著であり塗膜とし
ての使用に耐えないもの。 塗膜の密着性 塗装したフィルムに1mm×1mmのマス目100個を
カッターで刻み、セロハンテープ剥離試験を行なって、
以下の評価基準に従って密着性を評価した。 ○:剥離された目の数が0のもの。 △:剥離された目の数が1〜10個のもの。 ×:剥離された目の数が10個を超えるもの。 参考例 (a)熱可塑性ノルボルネン系樹脂の製造 (a)−1 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.1 2.5 .1 7.10 ドデカ−3−エン10
0g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサ
ン240g、1−ヘキセン9g、およびジエチルアルミ
ニウムクロライド0.96モル/リットルのトルエン溶
液3.4mlを内容積1リットルのオートクレーブに加
えた。一方、別のフラスコに六塩化タングステンの0.
05モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶液2
0mlとパラアルデヒドの0.1モル/リットルの1,
2−ジメトキシエタン溶液10mlを混合した。この混
合溶液4.9mlを前記オートクレーブ中の混合物に添
加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して2時間撹拌
を行なった。得られた重合体溶液に1,2−ジメトキシ
エタンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒
を加えて重合体/溶媒が1/10(重量比)にした後、
トリエタノールアミン20gを加えて10分間撹拌し
た。この重合溶液に、メタノール500gを加えて30
分間撹拌して静置した。2層に分離した上層を除き、再
びメタノールを加えて撹拌、静置後上層を除いた。同様
の操作をさらに2回行ない、得られた下層をシクロヘキ
サン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体
濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエ
タン溶液を得た。この溶液に20gのパラジウム/シリ
カマグネシア[日揮化学(株)製、パラジウム量=5
%]を加えて、オートクレーブ中で水素圧40kg/c
2 として165℃で4時間反応させた後、水添触媒を
ろ過によって取り除き、水添重合体溶液を得た。また、
この水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリス
リチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を水添重合
体に対して0.1%加えてから380℃で減圧化に脱溶
媒を行なった。次いで、溶融した樹脂をチッ素雰囲気下
で押出機によりペレット化し、固有粘度0.40dl/
g(30℃、クロロホルム中)、重量平均分子量6.2
×104 、水添率99.5%、ガラス転移温度168℃
の熱可塑性樹脂(a)−1を得た。 (a)−2 重合時間を3時間半に変更した以外は(a)−1と同様
にメタセシス開環重合した後水添し、ペレット化して固
有粘度0.59dl/g(30℃、クロロホルム中)、
水添率99%、ガラス転移温度166℃の熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(a)−2を得た。 (a)−3 6−エチリンデン2−テトラシクロドデセンを参考例1
と同様にメタセシス開環重合した後水添し、ペレット化
して固有粘度0.40dl/g(30℃、クロロホルム
中)、重量平均分子量4.5×104 、水添率99%、
ガラス転移温度140℃の熱可塑性樹脂(a)−3を得
た。 (b) ポリアリーレンスルフィド (b)−1:ポリフェニレンスルフィドM2088(リ
ニアタイプ) 東レ(株)製 (b)−2:ポリフェニレンスルフィドM2100(架
橋タイプ) 東レ(株)製 相溶化剤:モディパーA4101 日本油脂(株)製
【0017】実施例1〜5,7、比較例1〜2,4 参考例の熱可塑性ノルボルネン系樹脂、ポリアリーレン
スルフィド樹脂、相溶化剤を表1に示す配合で、二軸押
出機を用いて300℃で溶融混合し、ペレット状の熱可
塑性樹脂組成物を製造した。これらの樹脂組成物につい
てビカット軟化温度を測定した。次いで上記樹脂組成物
を粉砕機により平均粒径70μmの微粉末に粉砕した。
これらの組成物を厚み0.3mmの鋼の薄板に60〜8
0μmの厚みに静電塗装し、310℃の温度で10分間
加熱後、室温まで放冷して塗膜を得た。さらにこれら塗
装された鋼板を200℃で10分間加熱し、次いで室温
まで放冷した。この加熱・放冷作業を5回繰り返した。
これらの塗膜について塗膜の外観および塗膜の密着性を
評価した。以上の評価結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1から明らかなように、本発明の塗料用
樹脂組成物(実施例1〜5、7)は耐熱性、塗装性、塗
膜の密着性に優れたものである。これに対し、比較例1
は熱可塑性ノルボルネン系樹脂が過剰に含まれたも
のであり、これらはビカット軟化温度が200℃に満た
ないもので、加熱・冷却を繰り返すうちに塗膜表面が変
形または変色してしまうなど耐熱性に劣るものである。
また、比較例4は熱可塑性ノルボルネン系樹脂の配合量
が極めて少ないものであり、成形収縮率や線膨張係数の
異方性が改善されていないもので、このような組成物か
ら得られた塗膜は加熱・冷却を繰り返すうちに異方性に
よりクラックが発生するなど塗膜の平滑性が損なわれ、
また塗膜の密着性にも劣るものである。
【0020】
【発明の効果】本発明の塗料用樹脂組成物は基材となる
ポリアリーレンスルフィド樹脂の長所である耐熱性を実
用レベルに維持しつつポリアリーレンスルフィド樹脂の
欠点であった線膨張係数などの異方性や他素材との密着
性の悪さが改善されたものであり、高温環境下での長時
間使用による防錆・防食などの性能劣化のない、信頼性
の高い塗膜を得ることができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 181/00 C08L 65/00 C08L 81/00 C09D 165/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド樹脂99〜4
    0重量%とノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素
    添加物1〜60重量%〔ただし、ポリアリーレンスルフ
    ィド樹脂+ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素
    添加物=100重量%〕を必須成分として含むことを特
    徴とする塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ビカット軟化温度が200℃以上である
    請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
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