JP3455306B2 - 異物分析装置及び半導体製造制御装置並びに異物分析方法及び半導体製造制御方法 - Google Patents

異物分析装置及び半導体製造制御装置並びに異物分析方法及び半導体製造制御方法

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JP3455306B2
JP3455306B2 JP25839994A JP25839994A JP3455306B2 JP 3455306 B2 JP3455306 B2 JP 3455306B2 JP 25839994 A JP25839994 A JP 25839994A JP 25839994 A JP25839994 A JP 25839994A JP 3455306 B2 JP3455306 B2 JP 3455306B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体ウエハ表面あ
るいは半導体ウエハに形成された半導体装置のパターン
表面の異物を特定する異物分析装置及びこれを用いた半
導体製造制御装置に関するものである。また、これらに
適用される異物分析方法及び半導体製造制御方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】IC、LSI等の半導体装置の製造にお
いて、半導体ウエハ表面あるいは半導体ウエハに形成さ
れた半導体装置のパターン表面等に付着する微細な異物
(表面に形成された薄膜下の異物を含む)は、半導体装
置の歩留まりを低下させる重大な要因である。このよう
な異物の付着を防止するためには、その発生源をいち早
く特定して汚染防止対策を施すことが重要となってく
る。そして、そのためには、異物の組成及び状態の分析
が不可欠である。
【0003】従来におけるこのような組成・状態分析方
法のひとつとして、走査型電子顕微鏡(Scanning Elect
ron Microscope:以下、「SEM」と略記する)を用い
た電子線マイクロアナリシス法(Electron Probe Micro
analysis:以下、「EPMA」と略記する)が用いられ
ている。なお、EPMAは、わが国ではX線マイクロア
ナリシス法(X-Ray Microanalysis:XMA)とも呼ば
れる。
【0004】EPMAは1960年代後半から発達した
技術であり、被測定試料に電子線を照射し、その表面の
異物が発生する特性X線を検出することにより異物の組
成を同定する手法である。EPMAは、例えば、河東田
隆 編著の「半導体評価技術」P166-P172(産業図
書)、あるいは宇佐美 晶 著の「100例にみる半導
体評価技術」等に詳しい。また、EPMAには、波長分
散型とエネルギー分散型の2種類あるが、スループット
や簡便性の面でエネルギー分散型の方が優れている。以
下、エネルギー分散型のEPMAの測定データについて
説明する。
【0005】図16はSEMによる二次電子像を模式的
に示したものであり、同図は半導体ウエハ101の表面
上に2つの異物A及びBが付着している状態を示す。E
PMA法において、図16に示されるように、あらかじ
め分析しようとする異物を画面中に表示する。次に電子
ビームを絞ってから、異物ひとつひとつに対し電子ビー
ムを照射する。そして、異物からのX線スペクトルを表
示・解析する。
【0006】図17は異物AのEPMA分析スペクトル
を模式的に示したものである。同図において、横軸はX
線エネルギーを示し、単位は電子ボルト(eV)であ
る。縦軸はX線強度を示し、単位はCPS(count per
second)である。同図によれば、X線エネルギーがE
のところにX線強度Iの第1のピークがあり、またX
線エネルギーがEのところにX線強度Iの第2のピ
ークがある。第1のピークは、元素Xが異物Aに含まれ
ていることを示し、第2のピークは、元素Yが異物Aに
含まれていることを示している。ここで、I1とI2との
比は2対1程度である。ここで、各種の補正が加わるた
めX線強度と組成比とは必ずしも直線的な関係にはなら
ないが、図17は、概ね、異物Aにおいて元素XとYの
組成比が2対1であることを意味する。
【0007】同様に、図18は異物BのEPMA分析ス
ペクトルを模式的に示したものである。同図によれば、
X線エネルギーがE3のところにX線強度I2の第1のピ
ークがあり、またX線エネルギーがE2のところにX線
強度Iの第2のピークがある。第1のピークは、元素
Zが異物Bに含まれていることを示し、第2のピーク
は、元素Yが異物Bに含まれていることを示している。
ここで、第1のピークの大きさと第2のピークの大きさ
はほぼ同じである。このことは、異物Bにおいて元素Z
とYの組成比が1対1であることを意味する。
【0008】このように、図17及び図18に基づき異
物A及びBを構成する元素の種類及びその組成比が求め
られる。この結果に基づき、分析者は異物A及びBがい
かなる物質であるかを特定できる。そして、物質が特定
されれば、発生工程も特定できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
異物分析方法によれば、分析者が分析スペクトルから異
物を構成する元素の種類及びその組成比を求め、これら
から直接に異物の種類を特定した。
【0010】しかしながら、従来の異物分析方法では、
被測定物である異物の種類が増加するに伴い、これら異
物を構成する元素の種類及びその組成比が多種多様とな
る。したがって、データの解釈が非常に繁雑かつ複雑と
なり、異物の種類の特定が困難になる。そして、このこ
とにより、異物がどの工程で発生したのかを見極めるこ
とが非常に困難となる。このように、従来の異物分析方
法は、スループットが悪く、異物の発生工程をつきとめ
るために多くの時間と分析者の高度な判断を必要とし
た。
【0011】この発明は、上記のような従来の問題点を
解消するためになされたもので、熟練した分析者の高度
な判断を必要とせずに、多数の異物に対して迅速に分析
を行うことができる異物分析装置及び異物分析方法を提
供することを目的とする。さらに、この異物分析装置及
び異物分析方法を適用した半導体製造制御装置及び半導
体製造制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る異物分析
装置は、半導体ウエハに付着した複数の異物について元
素ごとの組成比を求める分析部と、上記分析部の分析結
果に基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める
異物分布作成部と、上記異物分布作成部が作成した分布
に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする座標系
にプロットして上記複数の異物を分類する異物分類処理
部と、上記異物分類処理部の異物分類結果と予め定めら
れた異物データとを比較することにより異物の種類及び
発生行程を特定する異物特定処理部とを備えるものであ
る。
【0013】請求項2に係る異物分析装置は、さらに、
半導体ウエハに付着した複数の異物の位置をそれぞれ求
める異物検査部を備えるとともに、上記分析部は上記異
物検査装置が出力する異物の位置に基づき上記複数の異
物について元素ごとの組成比を求めるものである。
【0014】請求項3に係る半導体製造制御装置は、半
導体ウエハに付着した複数の異物について元素ごとの組
成比を求める分析部と、上記分析部の分析結果に基づき
組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める異物分布作
成部と、上記異物分布作成部が作成した分布に基づき
数の異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロット
して上記複数の異物を分類する異物分類処理部と、上記
異物分類処理部の異物分類結果と予め定められた異物デ
ータとを比較することにより異物の種類及び発生行程
特定する異物特定処理部と、上記異物特定処理部により
特定された種類に属する異物の個数と予め定められた許
容異物数データとを比較することにより半導体装置の製
造工程を継続するかどうか判定する判定部とを備えるも
のである。
【0015】請求項4に係る異物分析方法は、半導体ウ
エハに付着した複数の異物について元素ごとの組成比を
求める第1の工程と、上記第1の工程の分析結果に基づ
き組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める第2の工
程と、上記第2の工程で作成した分布に基づき複数の異
物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
記複数の異物を分類する第3の工程と、上記第3の工程
の異物分類結果と予め定められた異物データとを比較す
ることにより異物の種類及び発生行程を特定する第4の
工程とを備えるものである。
【0016】請求項5に係る異物分析方法は、半導体ウ
エハに付着した複数の異物の位置をそれぞれ求める第1
の工程と、上記複数の異物について元素ごとの組成比を
求める第2の工程と、上記第2の工程の分析結果に基づ
き組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める第3の工
程と、上記第3の工程で作成した分布に基づき複数の異
物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
記複数の異物を分類する第4の工程と、上記第4の工程
の異物分類結果と予め定められた異物データとを比較す
ることにより異物の種類及び発生行程を特定する第5の
工程とを備えるものである。
【0017】請求項6に係る半導体製造制御方法は、半
導体ウエハに付着した複数の異物について元素ごとの組
成比を求める第1の工程と、上記第1の工程の分析結果
に基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める第
2の工程と、上記第2の工程で作成した分布に基づき
数の異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロット
して上記複数の異物を分類する第3の工程と、上記第3
の工程の異物分類結果と予め定められた異物データとを
比較することにより異物の種類及び発生行程を特定する
第4の工程と、上記第4の工程により特定された種類に
属する異物の個数と予め定められた許容異物数データと
を比較することにより半導体装置の製造工程を継続する
かどうか判定する第5の工程とを備えるものである。
【0018】
【作用】請求項1の発明において、分析部が半導体ウエ
ハに付着した複数の異物について元素ごとの組成比を求
め、異物分布作成部が上記分析部の分析結果に基づき組
成比ごとの上記複数の異物の分布を求め、異物分類処理
部が上記異物分布作成部が作成した分布に基づき複数の
異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
上記複数の異物を分類し、異物特定処理部が上記異物分
類処理部の異物分類結果と予め定められた異物データと
を比較することにより異物の種類及び発生行程を特定す
る。
【0019】請求項2の発明において、異物検査部が半
導体ウエハに付着した複数の異物の位置をそれぞれ求
め、上記分析部が上記異物検査装置が出力する異物の位
置に基づき上記複数の異物について元素ごとの組成比を
求める。
【0020】請求項3の発明において、分析部が半導体
ウエハに付着した複数の異物について元素ごとの組成比
を求め、異物分布作成部が上記分析部の分析結果に基づ
き組成比ごとの上記複数の異物の分布を求め、異物分類
処理部が上記異物分布作成部が作成した分布に基づき
数の異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロット
して上記複数の異物を分類し、異物特定処理部が上記異
物分類処理部の異物分類結果と予め定められた異物デー
タとを比較することにより異物の種類及び発生行程を特
定し、判定部が上記異物特定処理部により特定された種
類に属する異物の個数と予め定められた許容異物数デー
タとを比較することにより半導体装置の製造工程を継続
するかどうか判定する。
【0021】請求項4の発明において、第1の工程が半
導体ウエハに付着した複数の異物について元素ごとの組
成比を求め、第2の工程が上記第1の工程の分析結果に
基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求め、第3
の工程が上記第2の工程で作成した分布に基づき複数の
異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
上記複数の異物を分類し、第4の工程が上記第3の工程
の異物分類結果と予め定められた異物データとを比較す
ることにより異物の種類及び発生行程を特定する。
【0022】請求項5の発明において、第1の工程が半
導体ウエハに付着した複数の異物の位置をそれぞれ求
め、第2の工程が上記複数の異物について元素ごとの組
成比を求め、第3の工程が上記第2の工程の分析結果に
基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求め、第4
の工程が上記第3の工程で作成した分布に基づき複数の
異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
上記複数の異物を分類し、第5の工程が上記第4の工程
の異物分類結果と予め定められた異物データとを比較す
ることにより異物の種類及び発生行程を特定する。
【0023】請求項6の発明において、第1の工程が半
導体ウエハに付着した複数の異物について元素ごとの組
成比を求め、第2の工程が上記第1の工程の分析結果に
基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求め、第3
の工程が上記第2の工程で作成した分布に基づき複数の
異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプロットして
上記複数の異物を分類し、第4の工程が上記第3の工程
の異物分類結果と予め定められた異物データとを比較す
ることにより異物の種類及び発生行程を特定し、第5の
工程が上記第4の工程により特定された種類に属する異
物の個数と予め定められた許容異物数データとを比較す
ることにより半導体装置の製造工程を継続するかどうか
判定する。
【0024】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は、この実施例1による異物分析システムの
構成を示す機能ブロック図である。同図において、1は
半導体ウエハ101上の異物を分類するとともに、異物
の種類及び異物の発生工程を特定し、異物特定結果を出
力する異物分析部である。異物分析部1は、異物特定結
果として、異物の種類、異物の発生工程及び異物の種類
ごとの数及び異物の分布の標準偏差を出力する。異物分
析部1は、EPMA分析スペクトルに基づき、多数の異
物を元素ごとの組成比を座標軸とする空間にプロットす
る異物プロット部10と、これらプロットに基づき異物
をいくつかのカテゴリに分類する異物分類処理部11
と、この異物分類処理部11の分類結果と異物データベ
ース13に予め格納されている異物データとを比較する
ことにより、カテゴリごとに異物の種類、異物の発生工
程、異物の種類ごとの数及び異物の分布の標準偏差を求
める異物特定処理部12とから構成される。
【0025】2は被測定試料に電子線を照射し、発生す
る特性X線を検出してその組成を同定する走査型電子顕
微鏡(SEM)である。図1に示されるように、SEM
2は被測定試料である半導体ウエハ101に対して電子
線102を照射するとともに、半導体ウエハ101から
の特性X線103を検出する。3はSEM2により得ら
れた被測定試料の表面画像を表示する表示部である。
【0026】次に、この実施例1の異物分析システムの
動作について、図1の機能ブロック図、図2のフローチ
ャート及び図3〜図11の模式図を用いて説明する。
【0027】SEM2は、半導体ウエハ101に対して
電子線102を照射する。すると、半導体ウエハ101
は二次電子や特性X線103を放射する。SEM2は、
これに基づき、まず、二次電子像を作成して、これを表
示部3に表示する。図3は、表示部3に表示される二次
電子像の例である。同図は、半導体ウエハ101の表面
上に2つの異物A及びBが付着している状態を示す。こ
の表示画面に基づいて、電子ビームが順番にこれら異物
部分に絞り込まれる。これら異物A及びBから放射され
る特性X線103から、EPMA法により、図4及び図
5に示されるような異物のEPMA分析スペクトルが得
られる。以上の処理はすべての異物に対してなされる。
したがって得られるEPMA分析スペクトルの数は異物
の数と同じである。
【0028】そして、SEM2は、これら異物ごとのE
PMA分析スペクトルを異物分析部1に対して出力す
る。一方、異物分析部1は、このEPMA分析スペクト
ルに対して、図2に示されるフローチャートに従って処
理を行う。
【0029】ST1 異物分析部1の異物プロット部10は、SEM2からひ
とつの異物ai(ここでi=1,2,・・・,n)のE
PMA分析スペクトルを受ける。
【0030】ST2 異物分析部1の異物プロット部10は、受信したEPM
A分析スペクトルに基づき元素の種類及びその組成比
(ai(xi,yi,zi),ここで、xiは元素Xの組成
比、yiは元素Yの組成比、ziは元素Zの組成比)を求
める。
【0031】異物を構成する元素の種類及びその組成比
は、具体的には、以下のようにして求められる。図4
は、図3に示された異物AのEPMA分析スペクトルの
模式図である。同図において、横軸はX線エネルギーを
示し、単位は電子ボルト(eV)である。同図の縦軸は
X線強度を示し、単位はCPS(count per second)で
ある。異物分析部1の異物プロット部10は、EPMA
分析スペクトルを横軸方向に走査してピークとそのとき
のX線エネルギーの大きさを求める。同図によれば、X
線エネルギーがEのところにX線強度Iの第1のピ
ークがあり、またX線エネルギーがEのところにX線
強度Iの第2のピークがある。第1のピークは、元素
Xが異物Aに含まれていることを示し、第2のピーク
は、元素Yが異物Aに含まれていることを示している。
ここで、I1とI2との比は2対1程度である。
【0032】ここで、各種の補正が加わるためX線強度
と組成比とは必ずしも直線的な関係にはならないが、図
4は、概ね、異物Aにおいて元素XとYの組成比が2対
1であることを意味する。このことから、異物Aを構成
する元素の種類及びその組成比がaA(2,1,0)と
求められる。なお、元素によってはX線強度と組成比と
の関係が直線的でない場合がある。この場合において、
図4の元素XとYとの組成比が1対1のこともありう
る。しかし、この場合でも異物の組成比と分析スペクト
ルのX線強度分布とは1対1に対応するから、EPMA
分析スペクトルに基づき異物の組成比を求めることがで
きる。
【0033】異物Aを元素X,Y,Zを座標軸とする空
間にプロットすると、図6に示されるようになる。元素
Zの組成比は0であるから、異物AはXY平面にプロッ
トされる。ここで、図6のように、異物をこの座標系に
プロットした図を主成分散布図という。
【0034】異物Bについても同様にして、元素の種類
及びその組成比が求められる。異物BのEPMA分析ス
ペクトルが示された図4によれば、X線エネルギーがE
3のところにX線強度I2の第1のピークがあり、またX
線エネルギーがE2のところにX線強度Iの第2のピ
ークがある。第1のピークは、元素Zが異物Bに含まれ
ていることを示し、第2のピークは、元素Yが異物Bに
含まれていることを示している。ここで、第1のピーク
の大きさと第2のピークの大きさはほぼ同じである。こ
のことは、異物Bにおいて元素ZとYの組成比が1対1
であることを意味する。このことから、異物Bを構成す
る元素の種類及びその組成比がaB(0,1,1)と求
められる。
【0035】また、異物Bを元素X,Y,Zを座標軸と
する空間にプロットすると、図7に示されるようにな
る。元素Xの組成比は0であるから、異物BはYZ平面
にプロットされる。
【0036】ST3 全ての異物について分析が終了したかどうか判断する。
終了していなければ(No)、ステップST1に戻り次
の異物について元素の種類及びその組成比を求める。終
了していれば(Yes)、ステップST4に進む。
【0037】ST4 ステップST1〜ST3により求められたn個の異物の
分析結果に基づき、異物分析部1の異物分類処理部11
が異物の分類処理(カテゴライズ)を行う。n個の異物
を元素X,Y,Zを座標軸とする空間にプロットする
と、例えば図8に示されるようになる。同図は、異物が
A個、nB個、nC個づつA、B、Cの3つのグループ
に分類される場合を示している。このようにグループに
分類できるのは、異物がどの工程で発生するかによっ
て、その構成元素及び組成比が一定となるためである。
したがって、図8の主成分散布図は、この半導体ウエハ
上の異物が3つの工程で発生していることを意味する。
このように、半導体ウエハ表面、あるいは半導体パター
ン表面の異物は、数種の発生源から発生することが多
く、これら発生源からの異物が半導体ウエハの表面に散
布されている。したがって、数個のグループに区別され
た異物群の組成比を調査すれば、異物の発生工程を特定
することが、統計的に可能となる。
【0038】カテゴライズは、具体的には以下のように
行う。説明を簡単にするために、二次元平面座標である
XY座標を例にとり説明する。図9はある分析結果を示
す主成分散布図である。プロットされた多数の異物は、
XY座標上において、その種類に対応してA集団(グル
ープ)及びB集団(グループ)を構成する。Aグループ
の中心座標がAC(XAC,YAC)、Bグループの中心座
標がBC(XBC,YBC)であるとする。この主成分散布
図に基づき、これらグループの数及びそれぞれの中心座
標を求めることによりカテゴライズが行われる。
【0039】そのためには次のようにする。まず、X軸
に関してグループの数及び中心座標を求める。それには
図10に示されるような、X軸に関する異物の分布図を
求める。同図は、横軸にX軸を、縦軸に異物の個数Iを
プロットしたものである。このような分布図は、グルー
プごとに正規分布をなすことが予想される。したがっ
て、図9のようにA及びBの2つのグループをなす異物
群の場合、図10においても、XAC及びXBCを中心とし
てそれぞれ正規分布をなす。よって、図10の分布図の
ピークを求めることにより、異物のグループの数及び中
心のX座標を求めることができる。また、求められた中
心のX座標XAC,XBCに基づき、グループA、Bそれぞ
れについて標準偏差σXAC、σXBCを求めることができ
る。
【0040】同様にして、図11に示されるY軸に関す
る異物の分布図に基づき、異物のグループの数、中心の
Y座標YAC,YBC及びY軸に関する標準偏差σYAC、σ
YBCを求めることができる。
【0041】以上の手順により、異物のグループの数が
2つであること、それらの中心の座標AC(XAC
AC),BC(XBC,YBC)、及びX軸、Y軸に関する
標準偏差(σXAC、σYAC)、(σXBC、σYBC)を求める
ことができる。なお、異物のグループの数がX軸とY軸
とで異なることがある。これは、分布が重なることによ
り生じるから、多い方のグループ数を異物群全体のグル
ープ数とすればよい。
【0042】ST5 異物の種類・発生工程を特定する。ステップST4にお
いて求められたA及びBグループの中心座標A
C(XAC,YAC),BC(XBC,YBC)、及びX軸、Y軸
に関する標準偏差(σXAC、σYAC)、(σXBC、σYBC
に基づき、異物分析部1の異物特定処理部12が異物の
種類及び発生工程を特定する。発生する異物の種類及び
発生工程は、予めある程度予想することができる。発生
する可能性のある異物の種類及び発生工程に関するデー
タベースが、異物データベース13に予め格納されてい
る。
【0043】異物特定処理部12は、グループごとに、
その中心座標と異物データベース13に格納されている
化合物表の内容とを比較することにより、その異物グル
ープを特定する。具体的には、次のような処理を行う。
異物データベース12にはm種類の化合物に関する表が
格納されているとする。この表の内容は、ある異物Pi
(ただし、i=1〜m)についての組成比座標P
i(ai,bi)、(ただし、aiは元素Xの組成比,bi
は元素Yの組成比)である。異物グループの中心座標A
C(XAC,YAC)と異物データベース12のm個の組成
比座標Pi(ai,bi)との距離を全て求め、そのうち
で距離が最も短い組成比の異物PiをこのグループAの
異物であると判断する。ここで距離は、 (XAC−ai2+(YAC−bi2 で定義される。
【0044】そして、異物の種類を特定できれば、異物
データベース12に基づき発生工程も特定できる。以上
のようにして、異物の種類及び発生工程が特定される。
【0045】ST6 異物特定処理部12は、ステップST5で特定された異
物の種類及び異物発生工程、さらに異物分類処理部11
で分類された異物の種類の数及び異物の分布の標準偏差
を、異物特定結果として外部に出力する。この異物特定
結果は、図示しない表示装置に表示されたり、半導体装
置のプロセスの良否の判定等に使用される。
【0046】以上のように、この実施例1によれば、半
導体ウエハ表面、あるいは半導体パターン表面の異物の
種類及びその発生工程を、統計的に、迅速に分析を行う
ことができる。
【0047】なお、この実施例1において、EPMA法
による分析結果を例にとり説明したが、これに限らず、
電子線を試料表面に当てて、そこから発生するオージェ
電子をエネルギー的に分光するオージェ電子分光法(A
ES法:Auger Electron Spectroscopy)、あるいは、
イオンビームを試料表面に当て、スパッタリングによる
二次イオンを質量分解・分析する二次イオン質量分光分
析法(SIMS法:Secondary Ion Mass Spectroscop
y)等による分析結果についても適用できて同様の効果
を奏する。
【0048】なお、AES法による分析スペクトルの縦
軸はオージェ電子数であり、横軸は電子線エネルギーで
ある。また、SIMS法による分析スペクトルの縦軸は
イオンカウント数であり、横軸はイオンエネルギーであ
る。このように分析スペクトルの座標軸の意味がEPM
A法の場合と異なっても、元素の種類及びその組成比を
求める場合の取り扱いはEPMA法の場合と同様であ
る。
【0049】実施例2.実施例1に示された分析部にお
いて多数の異物を分析するためには、まず、分析者が表
示部3の画面を見て異物の位置を確認してからこの異物
の座標をSEM2に入力し、異物の分析スペクトルを求
める必要があった。しかし、図12に示すように異物の
座標を自動的に入力するようにしてもよい。
【0050】図12はこの実施例2による異物分析シス
テムの構成図である。同図において、4は半導体ウエハ
表面あるいは半導体パターン表面の異物の位置を測定
し、これら異物の座標5を出力する半導体異物欠陥検査
装置である。半導体異物欠陥検査装置4は半導体製造に
おいて従来用いられていた装置である。分析部1、SE
M2、表示部3、半導体ウエハ101等は図1に示され
たものと同じものである。
【0051】図12の異物分析システムによれば、SE
M2は、半導体異物欠陥検査装置4が出力する異物座標
5に基づき、半導体ウエハ表面あるいは半導体パターン
表面の異物について自動的にEPMA分析を行う。した
がって、分析者がいちいち異物の座標を入力する必要が
なくなり、作業性が向上するとともに、より迅速に分析
を行い発生工程を特定することが可能となる。
【0052】実施例3.実施例1又は実施例2の分析装
置を、半導体装置の製造プロセスにおけるインライン計
測に適用することができる。そのために用いられる半導
体製造工程の制御装置の構成を図13に示す。同図にお
いて、6は分析部1が出力する異物特定結果に基づき半
導体装置の製造プロセスの良否を判定するプロセス良否
判定部である。プロセス良否判定部6は、異物特定結果
に基づき良否判定を行うプロセス良否判定手段61と良
否判断の基準となる許容できる異物の数が異物の種類ご
とに予め格納されている許容異物数データベース62と
から構成される。分析部1、SEM2、表示部3、半導
体ウエハ101等は図1に示されたものと同じものであ
る。
【0053】次に動作について、図14のプロセス良否
判定フローチャート及び図15の処理説明図を用いて説
明する。 ST11 プロセス良否判定部6のプロセス良否判定手段61は、
分析部1からの異物特定結果に基づき、許容異物数デー
タベース62から異物の種類に対応する許容異物数を読
み出す。例えば、図8に示されるように、異物がA,
B,Cの3つのグループに分類され、それぞれの異物の
数がnA,nB,nCであるとする。ここで、異物の数
A,nB,nCは、異物の分布の標準偏差をそれぞれ
(σXAC、σYAC)、(σXBC、σYBC)、(σXCC
σYCC)としたとき、図8の分布の中心(XAC
AC),(XBC,YBC),(XCC,YCC)から、それぞ
れ、(σXAC+σYAC)、(σXBC+σYBC)、(σXCC
σYCC)の範囲に含まれる異物の数である。また、許容
異物データベース62から読み出された許容異物数はn
0であるとする。
【0054】ST12 次に、異物の数が許容限度を越えるかどうかを判定す
る。例えば、nAの値がnA>n0となった場合に、この
プロセスAは不良であるからプロセス中止と判断し、処
理をステップST14に移す。また、nB,nCについて
も同様である。そうでない場合(nA≦n0)は、処理を
ステップST13に移し、プロセスを継続する。
【0055】ST14 プロセスAが不良と判断されたら、対象の半導体ウエハ
を製造ラインから排除する。このことを概念的に説明し
たものが図15の処理説明図である。プロセスA〜Dか
らなる製造工程において、図13の半導体自動異物分析
システムを用いて、半導体ウエハごとにプロセスB後に
おいてプロセスA及びBの良否を判定する。そして、プ
ロセス良(OK)のときには次のプロセスC及びDが実
行される。一方、プロセス不良(NG)のときにはこの
半導体ウエハについてはプロセスが中止される。
【0056】以上のように、この実施例3によれば、半
導体装置の製造工程において、半導体ウエハごとにプロ
セスの良否を判定し、プロセス良のもののみ工程を継続
するので、生産効率が向上するとともに歩留まりが改善
される。
【0057】実施例4.なお、上記実施例1〜3におい
て、元素の種類が2つあるいは3つの場合を例にとり説
明したが、これに限らず元素の種類が4つ以上の場合に
も適用できる。この場合において、例えば、異物を構成
する元素がk種類(k>3なる整数)であれば、異物P
iをk個の組成比からなるn次元の座標Pi(xi1
i2,・・・xik)にプロットすることができる。
【0058】また、このとき、一定の制約条件、例えば
i1<r0,xi2<r1,・・・,xik<rk(ここで、
0〜rkは予め定められた制約条件)を満たす測定値の
みを抽出して分析処理を行うことができる。この場合で
も上記実施例1〜3と同じ効果を奏するとともに、さら
に、処理の対象となる元素の種類(次元)が少なくな
り、処理が容易かつ迅速に行えるという効果も奏する。
【0059】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項4の
発明によれば、半導体ウエハに付着した複数の異物につ
いて元素ごとの組成比を求める分析部と、上記分析部の
分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を
求める異物分布作成部と、上記異物分布作成部が作成し
た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
座標系にプロットして上記複数の異物を分類する異物分
類処理部と、上記異物分類処理部の異物分類結果と予め
定められた異物データとを比較することにより異物の種
及び発生行程を特定する異物特定処理部とを備えたの
で、熟練した分析者の高度な判断を必要とせずに、多数
の異物に対して迅速に分析を行うことができる。
【0060】また、請求項2及び請求項5の発明によれ
ば、半導体ウエハに付着した複数の異物の位置をそれぞ
れ求める異物検査部を備えるとともに、上記分析部は上
記異物検査装置が出力する異物の位置に基づき上記複数
の異物について元素ごとの組成比を求めるようにしたの
で、分析者がいちいち異物の座標を入力する必要がなく
なり、作業性が向上する。
【0061】また、請求項3及び請求項6の発明によれ
ば、半導体ウエハに付着した複数の異物について元素ご
との組成比を求める分析部と、上記分析部の分析結果に
基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を求める異物
分布作成部と、上記異物分布作成部が作成した分布に基
づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする座標系にプ
ロットして上記複数の異物を分類する異物分類処理部
と、上記異物分類処理部の異物分類結果と予め定められ
た異物データとを比較することにより異物の種類及び発
生行程を特定する異物特定処理部と、上記異物特定処理
部により特定された種類に属する異物の個数と予め定め
られた許容異物数データとを比較することにより半導体
装置の製造工程を継続するかどうか判定する判定部とを
備えたので、プロセス良の半導体ウエハに対してのみ工
程を継続するので、生産効率が向上するとともに歩留ま
りが改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1に係る異物分析システム
の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 この発明の実施例1における異物分析部の処
理内容を示すフローチャートである。
【図3】 この発明の実施例1における表示部に表され
た半導体ウエハの表面の二次電子像を模式的に示したも
のである。
【図4】 この発明の実施例1における異物AのEPM
A分析スペクトルを模式的に示したものである。
【図5】 この発明の実施例1における異物BのEPM
A分析スペクトルを模式的に示したものである。
【図6】 この発明の実施例1における異物Aを、元素
の種類ごとの組成比を座標軸とする空間にプロットした
状態を示したものである。
【図7】 この発明の実施例1における異物Bを、元素
の種類ごとの組成比を座標軸とする空間にプロットした
状態を示したものである。
【図8】 この発明の実施例1における多数の異物を、
元素の種類ごとの組成比を座標軸とする空間にプロット
した状態を示したものである。
【図9】 この発明の実施例1における分類処理の説明
図としての主成分散布図である。
【図10】 図9の主成分分布図に示される異物のX軸
に関する分布図である。
【図11】 図9の主成分分布図に示される異物のY軸
に関する分布図である。
【図12】 この発明の実施例2における異物分析シス
テムの構成図である。
【図13】 この発明の実施例3における異物分析シス
テムの構成図である。
【図14】 この発明の実施例3におけるプロセス良否
判定フローチャートである。
【図15】 この発明の実施例3における処理の説明図
である。
【図16】 走査型電子顕微鏡(SEM)による二次電
子像である。
【図17】 異物AのEPMA分析スペクトルである。
【図18】 異物BのEPMA分析スペクトルである。
【符号の説明】
1 異物分析部、2 SEM、3 表示部、4 半導体
異物欠陥検査装置、5異物座標、6 プロセス良否判定
部、10 異物プロット部、11 異物分類処理部、1
2 異物特定処理部、13 異物データベース、61
プロセス良否判定手段、62 許容異物数データベー
ス。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハに付着した複数の異物につ
    いて元素ごとの組成比を求める分析部と、上記分析部の
    分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を
    求める異物分布作成部と、上記異物分布作成部が作成し
    た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
    座標系にプロットして上記複数の異物を分類する異物分
    類処理部と、上記異物分類処理部の異物分類結果と予め
    定められた異物データとを比較することにより異物の種
    及び発生行程を特定する異物特定処理部とを備えた異
    物分析装置。
  2. 【請求項2】 半導体ウエハに付着した複数の異物の位
    置をそれぞれ求める異物検査部を備えるとともに、上記
    分析部は上記異物検査装置が出力する異物の位置に基づ
    き上記複数の異物について元素ごとの組成比を求めるこ
    とを特徴とする請求項1記載の異物分析装置。
  3. 【請求項3】 半導体ウエハに付着した複数の異物につ
    いて元素ごとの組成比を求める分析部と、上記分析部の
    分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物の分布を
    求める異物分布作成部と、上記異物分布作成部が作成し
    た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
    座標系にプロットして上記複数の異物を分類する異物分
    類処理部と、上記異物分類処理部の異物分類結果と予め
    定められた異物データとを比較することにより異物の種
    及び発生行程を特定する異物特定処理部と、上記異物
    特定処理部により特定された種類に属する異物の個数と
    予め定められた許容異物数データとを比較することによ
    り半導体装置の製造工程を継続するかどうか判定する判
    定部とを備えた半導体製造制御装置。
  4. 【請求項4】 半導体ウエハに付着した複数の異物につ
    いて元素ごとの組成比を求める第1の工程と、上記第1
    の工程の分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物
    の分布を求める第2の工程と、上記第2の工程で作成し
    た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
    座標系にプロットして上記複数の異物を分類する第3の
    工程と、上記第3の工程の異物分類結果と予め定められ
    た異物データとを比較することにより異物の種類及び発
    生行程を特定する第4の工程とを備えた異物分析方法。
  5. 【請求項5】 半導体ウエハに付着した複数の異物の位
    置をそれぞれ求める第1の工程と、上記複数の異物につ
    いて元素ごとの組成比を求める第2の工程と、上記第2
    の工程の分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物
    の分布を求める第3の工程と、上記第3の工程で作成し
    た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
    座標系にプロットして上記複数の異物を分類する第4の
    工程と、上記第4の工程の異物分類結果と予め定められ
    た異物データとを比較することにより異物の種類及び発
    生行程を特定する第5の工程とを備えた異物分析方法。
  6. 【請求項6】 半導体ウエハに付着した複数の異物につ
    いて元素ごとの組成比を求める第1の工程と、上記第1
    の工程の分析結果に基づき組成比ごとの上記複数の異物
    の分布を求める第2の工程と、上記第2の工程で作成し
    た分布に基づき複数の異物を3つの元素を座標軸とする
    座標系にプロットして上記複数の異物を分類する第3の
    工程と、上記第3の工程の異物分類結果と予め定められ
    た異物データとを比較することにより異物の種類及び発
    生行程を特定する第4の工程と、上記第4の工程により
    特定された種類に属する異物の個数と予め定められた許
    容異物数データとを比較することにより半導体装置の製
    造工程を継続するかどうか判定する第5の工程とを備え
    た半導体製造制御方法。
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