JP3453738B2 - エンジンの吸気加熱装置 - Google Patents

エンジンの吸気加熱装置

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JP3453738B2 JP01566493A JP1566493A JP3453738B2 JP 3453738 B2 JP3453738 B2 JP 3453738B2 JP 01566493 A JP01566493 A JP 01566493A JP 1566493 A JP1566493 A JP 1566493A JP 3453738 B2 JP3453738 B2 JP 3453738B2
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章則 若狭
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの吸気を加熱
する吸気加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】吸気を加熱し着火性を向上させる技術は
従来から知られている。吸気加熱装置の例は実公昭63
−21725号公報に開示されており、これによれば、
ディーゼルエンジンにおいて、大気圧状態、エンジン温
度および外気温に応じて吸気加熱手段を制御して、着火
性および排気性能を向上させるようになっている。
【0003】
【解決しようとする課題】しかし、実公昭63−217
25号公報に開示されるような従来の装置は、エンジン
の特定の運転状態に基づいて吸気加熱を行うものではな
く、大気、気温等の車両の外的要因を考慮して吸気加熱
を制御するものである。したがって、たとえば始動時な
どの特定の運転状態においては着火性が改善されない状
況が生じていた。
【0004】本発明はこのような事情に基づいて構成さ
れたもので、エンジンの特定の運転時において着火性を
改善することができるエンジンの吸気加熱装置を提供す
ることを目的とする。本発明はとくに、始動時における
着火性を改善して始動性を向上させることを目的とす
る。
【0005】また、暖機時においても適正に吸気加熱を
行い暖機性能を向上させ、したがって排気性能を改善す
ることができるエンジンの吸気加熱装置を提供すること
を目的とする。このばあい、始動時においては、加熱の
ためにバッテリー電源に頼らざるを得ないので、効率的
に吸気加熱を行う必要がある。また、暖機の場合には、
始動時と事情が異なり、エンジン動力を吸気加熱のエネ
ルギー源として用いることができる。
【0006】したがって、吸気加熱を行う場合、始動時
と暖機時とを区別し、それぞれの事情に適した加熱を行
う必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の吸気加熱装置は
上記の目的を達成するため、および、上記加熱エネルギ
ーの供給事情に鑑みて以下のように構成される。すなわ
ち、本発明の吸気加熱装置は、エンジンの吸気通路内に
設けられる加熱容量が可変のヒータと、エンジンの始動
動作を検出する始動検出手段と、暖機状態を検出する暖
機検出手段と、始動動作が検出された場合には前記ヒー
タの加熱容量を小さく設定し、暖機状態が検出されたと
きは前記ヒータの加熱容量を大きく設定する制御手段を
備える。
【0008】前記ヒータは吸気通路内において上流側に
配置される上流側加熱部と下流側に配置される下流側加
熱部とを備えており、前記制御手段は始動時には下流側
加熱部のみを起動し、暖機時には上流側加熱部と下流側
加熱部との両方を起動するようになっている。この場
合、上流側加熱部の加熱容量が下流側加熱部の加熱容量
よりも大きく設定されている。
【0009】さらに、好ましい態様では、前記吸気通路
は、比較的長い吸気導入経路を構成する第1吸気通路
と、該第1吸気通路をバイパスして比較的短い吸気導入
通路を構成する第2吸気通路とから成り、前記吸気通路
には、第1吸気通路と第2吸気通路とを切り換える切り
換え手段が設けられ、前記ヒータは前記第1吸気通路に
配置されており、前記始動時には、前記切り換え手段が
前記第1吸気通路に吸気通路を切り換えかつ前記制御手
段が下流側加熱部を起動するように構成される。
【0010】さらに具体的には、第1吸気通路は、第2
吸気通路に対してU字状を成すように接続され、すなわ
ち、第2吸気通路の上流側に連通する上流側直管部と、
該上流側直管部に連通する曲管部と該曲管部に上流側で
連通し、下流側で第2吸気通路の下流側に連通する下流
側直管部とを備えており上流側直管部と下流側直管部と
は、平行して延び仕切り壁によって仕切られている。第
1吸気通路と第2吸気通路とを切り換える切り換え手段
が設けられ、第1吸気通路が選択されるときには、切り
換え手段は、第2吸気通路の上流側と下流側とを遮断す
る。これによって、吸気はU字状の第1吸気通路を介し
て燃焼室に導入される。これによって吸気導入通路は長
くなり、比較的低回転数で同調して吸気慣性よる充填率
向上を図ることができる。
【0011】第2吸気通路が選択されるときには、第1
吸気通路の上流側直管部の上流端側開口が切り換え手段
によって遮断され、第2吸気通路が連通状態にされる。
これによって比較的高い回転数で同調する短い吸気導入
通路が確立される。この構造では、ヒータは、第1吸気
通路と第2吸気通路との連通部に設けられる。すなわ
ち、上流側加熱部は、上流側直管部の上流端部にまた、
下流側加熱部は下流側直管部の下流端に配設される。
【0012】そして、第1吸気通路が選択されるときで
あって始動時である場合、ヒータの下流側加熱部が起動
されて吸気を加熱するようになっている。特に、始動時
には第1吸気通路が選択され、下流側加熱部が吸気を加
熱するように起動される。
【0013】
【作用】本発明によれば、始動時には、ヒータの下流側
加熱部が起動され、これによって吸気が加熱される。下
流側加熱部は比較的燃焼室に近いので、加熱吸気の熱拡
散が大きくなる前に燃焼室に導入することができ効率的
である。この加熱エネルギーはバッテリー電源によって
供給される。また、暖機時には、ヒータの上流側加熱部
と下流側加熱部との両方が起動されて吸気を加熱する。
この加熱エネルギーはエンジン動力の一部が使用される
と見ることができる。
【0014】第1吸気通路と第2吸気通路の切り換え機
構を備えた場合において、第1吸気通路が選択されかつ
始動時である場合には、比較的容量が小さく、燃焼室近
くに配置される下流側加熱部が起動される。また、暖機
時においては、上流側加熱部と下流側加熱部の両方が起
動される。第2吸気通路が選択される場合には、ヒータ
は起動されない。第2吸気通路が選択される場合には、
エンジン回転数は高回転であるので吸気加熱の必要がな
いからである。
【0015】
【実施例】以下、添附の図面に基づいて本発明の実施例
を説明する。図1を参照すると、本発明の1実施例にか
かるエンジンの吸気構造の例が示されている。エンジン
1はシリンダヘッド2およびシリンダブロック3を上下
に組み合わせて構成されており、シリンダヘッド2の上
方には、動弁機構を覆うシリンダヘッドカバー4が、ま
たシリンダブロック3の下方には、オイルパン3aがそ
れぞれ取り付けられる。またシリンダヘッド2の一方の
側部には、吸気マニホルド5が反対側の側部には、排気
マニホルド6が接続される。
【0016】本発明の吸気マニホルド5の上流端部は
(図示しない)エアクリーナに接続され1つの吸気通路
7を構成する。このエアクリーナへの接続部のすぐ下流
側には吸気絞り弁8が設けられ、その下流側は分岐して
各気筒への吸気通路となって燃焼室に連通する。吸気マ
ニホルド5の上流端部には、ブローバイガス通路7aが
接続される。このエアクリーナ下流側の吸気通路7は、
図において右方向にU字状に延びる第1吸気通路9とほ
ぼ真っ直ぐ下方に延びる第2吸気通路10とに選択的に
連通可能になっている。上記のように、第1吸気通路9
は、第2吸気通路10に対してU字状を成すように接続
される。すなわち、第1吸気通路9は、第2吸気通路の
上流側に連通する上流側直管部9aと、該上流側直管部
に連通する曲管部9bと該曲管部9bに上流側で連通
し、下流側で第2吸気通路10の下流側に連通する下流
側直管部9cとを備えており上流側直管部9aと下流側
直管部9cとは、平行して延び仕切り壁11によって仕
切られている。従って、第1吸気通路9に導入された吸
気は、上流側直管部9aを通って図において右方向に流
れ、曲管部9bにおいて方向転換させられ、下流側直管
部9cを通って上流側直管部9aにおける流れと対抗方
向に流れ、第2吸気通路10の下流側に合流する。
【0017】そして、第1吸気通路9と第2吸気通路1
0とを切り換える切り換え弁12が設けられる。切り換
え弁12は、第1吸気通路9が選択されるときには、仕
切り壁の延長上に位置して第2吸気通路10を閉塞し、
第2吸気通路10が選択されるときには、第1吸気通路
9の上流端を閉塞する位置にセットされる。第1吸気通
路9と第2吸気通路10の連通部には、ヒータ13が設
けられる。図1に示すようにヒータ13は、第1吸気通
路9を構成する吸気管部と第2吸気通路が形成される吸
気管部との間に挟まれており、両吸気管部に設けられた
フランジ部にボルトを挿通することによってて取り付け
られる。
【0018】ヒータ13は通電すると発熱する抵抗体で
構成されており、上流側直管部9aに配置される上流側
加熱部14と、下流側直管部9cに配置される下流側加
熱部15とから構成される。ヒータ13は図2に示すよ
うに直方体を成しており、上部が上流側加熱部14で下
部が下流側加熱部15である。ヒータ13は、縦フレー
ム16と横フレーム17で4つに分割されており、横フ
レーム17は、切り換え弁12の取り付け部と仕切り壁
11との両方に連続する位置に設けられる。
【0019】吸気マニホルド5の下流端部の吸気通路8
は本例では、図1に示すようにエンジン1の全回転数範
囲にわたって使用される1次吸気ポート18と、エンジ
ン1の高回転時に使用される2次吸気ポート19とにさ
らに分岐している。図3を参照すると、ヒータ13の接
続配線図が示されている。ヒータ13の上流側加熱部1
4および下流側加熱部15はそれぞれリレー20、21
を介してコントローラ22に接続されていおり、コント
ローラからの信号によってリレーが励磁されて接続状態
になったとき通電されて発熱する。また、コントローラ
22は、イグニッションスイッチ23を介してバッテリ
に接続されている。さらにコントローラ22には、エン
ジン水温を検出する水温センサ24からの信号が入力さ
れる。また、コントローラ22は、チャージランプ25
およびヒータの起動が必要なことを表示するヒータラン
プ26に接続されている。
【0020】以上の構成の吸気加熱装置の動作について
説明する。図4を参照すると吸気加熱装置の制御のフロ
ーチャートが示されている。コントローラ22はまずキ
ースイッチあるいはイグニッションスイッチ23がオン
になっていることを確認する(ステップS1)。オンに
なっている場合にはエンジン冷却水温を検出して、水温
に応じたヒータの下流側加熱部の通電時間を決定する
(ステップS2)。そして、下流側加熱部に通電して吸
気を加熱する(ステップS3)。つぎにコントローラ2
2は、エンジンが完爆したかどうかを信号を入力して判
定する(ステップS4、5)。そして、エンジンが完爆
したときには、水温に応じた上流側加熱部14の通電時
間を決定し(ステップS6)、この時間だけ上流側加熱
部14に通電して加熱を行う(ステップS7)。
【0021】図5を参照すると、上記の動作のタイムチ
ャートが示されている。始動時においては下流側加熱部
15のみが通電されて発熱する。完爆後は暖機状態とな
るので、上流側加熱部14にも通電されて発熱する。吸
気温度は、始動動作の直前で最も高くその後吸気導入が
始まり、その後は流量の増大とともに低下する。
【0022】なお、ヒータランプは、本例では、イグニ
ッションスイッチがオンになったとき点灯し、その後水
温が高くなったとき消灯するようになっている。従来で
は、始動時と暖機時の区別がされていなかったので、始
動時には電力消費が大きい割りに吸気加熱の効果が低
く、暖機時には所望の暖機効果を得るには、発熱量が少
ないという問題があった。
【0023】しかし、本例のように構成すると、ヒータ
13の消費電力は、始動時は下流側加熱部15だけが通
電されるので、比較的少なく、暖機時には、ヒータ全体
に通電されるので消費電力はその分増大するが、発熱量
も増大するので吸気量が増えても十分な吸気加熱効果を
得ることができ、暖機性能を向上させることができる。
したがって、HC等の排出をすくなくすることができ、
排気性能を改善することができる。
【0024】ブローバイガスはが吸気通路の上流側に戻
されるが、このブローバイガスは、第1吸気通路9に沿
って流れ、曲管部9bで遠心力によってオイルミストが
分離され、オイルミストは吸気通路7の壁面に付着す
る。このオイルは壁面から燃焼室に導かれるので、ヒー
タ13に付着して支障を来すという問題はない。なお、
切り換え弁12が第1吸気通路9をエンジン燃焼室に連
通させると、吸気導入通路は長くなり、エンジンの低回
転数領域でで同調して吸気慣性よる充填率が向上する。
【0025】また、第2吸気通路10が選択されるとき
には、高エンジン回転数領域で同調する短い吸気導入通
路が確立されて、吸気の充填効率が向上する。なお、運
転状態と、切り換え弁とヒータの動作との関係を図6に
示す。これに示すように、始動時、暖機時ではいずれも
第1吸気通路9が選択される。暖機状態を脱した所定の
運転状態になったとき第2吸気通路10が選択され、こ
の時にはヒータには通電されない。
【0026】図7を参照すると、本発明の他の実施例が
示されている。本例の構造では、ヒータ13は、下流側
加熱部15だけが設けられている。この実施例では、始
動時、暖機時を通じてヒータ13は通電されて吸気加熱
状態にされるが、下流側加熱部15は比較的燃焼室に近
いので熱が逃げるのを防止することができ、加熱の効果
は高い。
【0027】なおこの場合には、暖機時には通電電流を
始動時に比して増大するようにしても良い。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、始動時は加熱容量の少
ない下流側加熱部だけに通電されるので消費電力は少な
くてすむ。しかし、この下流側加熱部は燃焼室に近いの
で、熱の逃げが少なく、吸気加熱効果は高い。したがっ
て、効率的に吸気加熱を行うことができ、バッテリー電
源で十分対応できる。
【0029】そして、暖機時には、ヒータ全体に通電さ
れるので消費電力はその分増大するが、発熱量も増大す
るので吸気量が増えても十分な吸気加熱効果を得ること
ができ、暖機性能を向上させることができる。したがっ
て、HC等の排出をすくなくすることができ、排気性能
を改善することができる。この電力は、エンジン動力に
よって賄うことができるので、電力不足の問題はない。
【0030】第1吸気通路と第2吸気通路の切り換え機
構を備えた場合においては両者の連通部分にヒータが配
置され、第1吸気通路が選択されるときだけ、ヒータが
起動される。この構成では、コンパクトな構造で吸気通
路の切り換えによる吸気慣性の効果と、吸気加熱効果と
を整合性良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例にかかる吸気加熱装置を備え
たエンジンの部分断面図、
【図2】ヒータの斜視図、
【図3】ヒータの接続配線図、
【図4】ヒータの制御のフローチャート
【図5】ヒータの制御のタイムチャート、
【図6】エンジンの運転状態、ヒータおよび通路切り換
え弁の動作の関係をを示す表、
【図7】本発明の他の実施例にかかる吸気加熱装置を備
えたエンジンの部分断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 シリンダヘッド 3 シリンダブロック 4 シリンダヘッドカバー 5 吸気マニホルド 6 排気マニホルド 7 吸気通路 8 絞り弁 9 第1吸気通路 10 第2吸気通路 11 仕切り壁 12 切り換え弁 13 ヒータ 14 上流側加熱部 15 下流側加熱部 16 縦フレーム 17 横フレーム 18 1次ポート 19 2次ポート 20 リレー 21 リレー 22 コントローラ 23 イグニッションスイッチ 24 水温センサ 26 ヒータランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 弘明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−35053(JP,A) 実開 昭61−140165(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 31/135 F02M 35/10 311

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの吸気通路内に設けられる加熱
    容量が可変のヒータと、エンジンの始動動作を検出する
    始動検出手段と、暖機 状態を検出する暖機検出手段と、 始動動作が検出された場合には前記ヒータの加熱容量を
    小さく設定し、暖機状態が検出されたときは前記ヒータ
    の加熱容量を大きく設定する制御手段を備え、 前記ヒータは吸気通路内において上流側に配置される上
    流側加熱部と下流側に配置される下流側加熱部とを備え
    ており、 前記制御手段は始動時には下流側加熱部のみを起動し、
    暖機時には上流側加熱部と下流側加熱部との両方を起動
    するようになっており、 上流側加熱部の加熱容量が下流側加熱部の加熱容量より
    も大きく設定されていることを特徴とするエンジンの吸
    気加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記吸気通路は、比較的長い吸気導入経
    路を構成する第1吸気通路と、該第1吸気通路をバイパ
    スして比較的短い吸気導入通路を構成する第2吸気通路
    とから成り、前記吸気通路には、第1吸気通路と第2吸
    気通路とを切り換える切り換え手段が設けられ、前記ヒ
    ータは前記第1吸気通路に配置されており、前記始動時
    には、前記切り換え手段が前記第1吸気通路に吸気通路
    を切り換えかつ前記制御手段が下流側加熱部を起動する
    ように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のエ
    ンジンの吸気加熱装置。
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