JP3453518B2 - 多孔質セラミックフィルタおよびこれを用いる流体浄化方法ならびに装置 - Google Patents

多孔質セラミックフィルタおよびこれを用いる流体浄化方法ならびに装置

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JP3453518B2
JP3453518B2 JP17542698A JP17542698A JP3453518B2 JP 3453518 B2 JP3453518 B2 JP 3453518B2 JP 17542698 A JP17542698 A JP 17542698A JP 17542698 A JP17542698 A JP 17542698A JP 3453518 B2 JP3453518 B2 JP 3453518B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機物や無機物の
不純物質や汚染(有害)物質や異臭物質などを含む気体
や液体などの流体からこれらの物質を取り除くための、
または微量の有用な物質を含む流体からこれらの物質を
回収するための高性能、高能力の多孔質セラミックフィ
ルタおよびこれを用いる流体浄化方法ならびに装置に関
し、詳しくは、水道水、河川水、海水、プール水、排水
などの有機物や無機物等に汚染された水からこれらの物
質をろ過して清浄飲料水や清浄水を得るための、あるい
は種々の固形物や不純物をろ過してビール、ワイン、日
本酒、醤油、ソース、ジュース、果汁、食物油などを得
るための、あるいは煤煙などの大気汚染物質を含む排気
ガスからこれらの物質をろ過して清浄ガスを得、または
液体分を含む燃料ガスから液体分を除去して乾燥燃料ガ
スを得るための、もしくはリチウムや金などの有用金属
等を含む流体からこれらの有用金属をろ別して回収する
ための高性能、高能力の多孔質セラミックスフィルタお
よびこれを用いる流体浄化方法ならびに流体浄化装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、河川水や海水あるいは排水か
ら飲料水を得るために飲料に不適な様々な汚染物質、悪
臭(異臭)物質、不純物をろ過するろ過材として多孔質
セラミックスフィルタを用いるろ過装置が提案され、ま
た使用されている。一方、最近、井戸水や水道水中に少
量含まれる有機物や無機物等のために悪臭(異臭)や味
のまずさなどを除くための浄水器等が多く上市されてい
るが、この中にも多孔質セラミックスフィルタを用いる
ものが多く用いられている。
【0003】また、ビール、ワイン、日本酒、醤油など
を醸造する時のように発酵生成物から固形物や不純物を
除去する場合やソース、ジュース、果汁、食物油などを
食物から得るために固形分や不純物を除去する場合など
にも多孔質セラミックスフィルタが用いられている。こ
のように、上述した飲料水や酒類、果汁、ジュース、ソ
ース、食物油などは、飲用または食用に供されるもので
あるので、浄化装置のろ過精度は極めて高い精度が要求
され、工業的規模で行う場合には、大量処理が求められ
ている。
【0004】一方、最近の環境汚染に対する関心の高ま
りから、工場排水の水質については、厳しい規制が行わ
れ、排水浄化のための浄化装置の高性能化、大型化が求
められている。さらには、将来、種々の営業活動に伴う
排水、学校、施設等々の排水、家庭排水や生活排水につ
いても規制の動きがあり、小型から大型までの種々のタ
イプの高性能かつ低コストの浄化装置が求められてい
る。
【0005】従来、大型浄水装置には砂ろ過が用いられ
ているが、ろ過精度の点では十分であるといえないた
め、高精度の水質浄化のためには多孔質セラミックフィ
ルタを用いるのが好ましい。しかしながら、多孔質セラ
ミックフィルタは、一般に円筒管に焼成して用いられる
ので、ろ過精度の点では優れているものの、ろ過面積が
円筒管のサイズ(内径、外径、長さ)によって決定され
てしまい、工場排水等の大量処理を行うためには、多量
の多孔質セラミックフィルタを必要とする。このため、
大量処理を対象とする浄水装置は極めて大型化する事に
なる。
【0006】このため、多孔質セラミックフィルタのろ
過面積を増大させる必要がある。このような要求を満た
すために、円筒状多孔質セラミックフィルタを複数本束
ねて一体構造化した多管フィルタ(特開昭59−525
11号公報参照)や、円柱状または角柱状の多孔質セラ
ミックフィルタに多数の原液流通用貫通孔を穿設した多
管フィルタ(特公平4−54482号公報、特開平5−
46618号公報参照)が提案されている。しかしな
がら、これらの多管フィルタは、フィルタ壁に付着した
ろ滓を除去するための逆洗が十分に行えないため、対象
とする処理水によってはろ過性能、例えば処理水量が急
激に劣化してしまうという問題があった。従って、処理
対象となる処理水の水質が限定されてしまうという問題
がある。
【0007】このため、複数の円筒状の多孔質セラミッ
ク膜を所定間隔をあけて配置し、それらの両端を角状の
ヘッダ(面板)で固定し、両ヘッダ間にガイド板を渡し
た多孔質セラミック膜モジュールが、特開平4−300
634号公報、特公平7−34853号公報、特公平6
−104186号公報などに開示されている。ここに開
示されたセラミック膜モジュールは、セラミック膜に付
着したろ滓を除去するために気泡流および逆圧空気洗浄
による逆洗が可能なものであるが、このような逆洗によ
っても、膜表面に付着した付着層、例えば、Fe,M
n,Ca,K,S,P,Cl,Al等の無機物やタンパ
ク質系などの有機物から構成された付着層(厚さ5μm
程度)はあまり除去できないという問題があった(第4
4回全国水道研究発表会講演論文集、平成5年5月、p
357〜359参照)。
【0008】このため、これらの付着物を除去するため
に、定期的に次亜塩素酸ナトリウム溶液や塩素水などの
酸化剤や塩酸や硫酸や水酸化ナトリウムなどの酸塩基な
どの薬液による洗浄を行う必要があるという問題があっ
た(特開平7−313850号公報、同7−12444
8号公報参照)。このような薬液は、強い反応性を有す
るので、前述した付着物を除去できるものの、その取り
扱いは面倒であるし、そのまま排出できないので、薬液
が酸化剤であれば還元剤によって酸化力を失わせ、酸塩
基であれば中和させる2次処理が必要となるという問題
があった。このような2次処理のため逆洗時間が長くな
るという問題もあった。さらに、このような薬液洗浄を
可能ならしめるには、セラミック膜モジュールの容量を
構成するヘッダやガイド板の材質が限定され、例えば金
属等で構成することができないという問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、前記従来技術の問題点を解消し、単位体積当たりの
ろ過面積を大幅に増大させることができ、高いろ過精度
を維持したまま、処理対象となる流体の処理量を大幅に
増大させることができ、かつろ過面へのろ滓の付着が少
なく、付着したろ滓の洗浄除去が容易で浄化運転しなが
ら洗浄することができる多孔質セラミックフィルタを提
供することにある。
【0010】また、本発明の第2の目的は、飲料水、酒
類、液体調味料やプール水や下水などの液体中の不純物
のろ別や採鉱懸濁水や処理水中のチウム(Li)や金
(Au)などの有用な金属の回収や煤煙などの排気ガス
中の大気汚染物質や燃料ガス中の液体の除去などのろ過
性能、特にろ過処理量を大幅に向上させることができる
流体浄化方法、ならびに小型、かつコンパクトで取り扱
いや設置工事などが容易で、しかも従来に比べて低コス
トなろ過精度およびろ過処理量の両方の点でも高性能な
流体浄化装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第1の態様は、中央部分に形成される円柱
状空間と、略三角形、略台形または略扇形の断面形状を
有する長尺管状の多孔質セラミックフィルタ膜セルが、
縮幅する頂部が中心側に向かい、かつ前記円柱状空間の
外周上にくるように所定数放射状に配列された円筒状フ
ィルタ部とを有することを特徴とする多孔質セラミック
フィルタを提供するものである。
【0012】ここで、前記多孔質セラミックフィルタ膜
セルは、所定間隔で配置されるのが好ましい。また、隣
接する前記多孔質セラミックフィルタ膜セルの放射状の
隙間は、平行であるのが好ましい。また、前記多孔質セ
ラミックフィルタ膜セルは、その内部に少なくとも1本
の補強用ビームを有するのが好ましい。
【0013】また、本発明は、上記多孔質セラミックフ
ィルタであって、さらに、隣接する前記多孔質セラミッ
クフィルタセルの放射状の隙間を接続するリブを有する
ことを特徴とする多孔質セラミックフィルタを提供する
ものである。ここで、前記リブは、前記多孔質セラミッ
クフィルタ膜セルの両端に、全ての前記多孔質セラミッ
クフィルタ膜セルを接続するように円筒状に設けられる
のが好ましい。また、前記リブは、前記多孔質セラミッ
クフィルタ膜セルの長手方向に所定間隔で設けられるの
が好ましい。また、前記リブは、多孔質セラミックであ
るのが好ましい。
【0014】また、本発明は、上記多孔質セラミックフ
ィルタであって、さらに、全ての前記多孔質セラミック
フィルタ膜セルの端部を支持し、一方で各多孔質セラミ
ックフィルタ膜セルの内部と連通し、他方で1つの排出
口に連通する流路を持つマウントを有することを特徴と
する多孔質セラミックフィルタを提供するものである。
また、多孔質セラミックフィルタであって、さらに、隣
接する前記多孔質セラミックフィルタ膜セルの隙間を調
節する隙間調節手段を有することを特徴とする多孔質セ
ラミックフィルタを提供するものである。ここで、前記
隙間調節手段は、前記マウントに設けられるのが好まし
い。
【0015】また、本発明の第2の態様は、上記第1の
態様の多孔質セラミックフィルタを用い、この多孔質セ
ラミックフィルタの中央の前記円柱状空間に未浄化流体
を流入させ、この未浄化流体を前記円柱状空間から前記
円筒状フィルタ部の前記放射状の隙間を通過させて前記
円筒状フィルタ部の外側に流出させ、前記多孔質セラミ
ックフィルタ膜セルによるクロスフローろ過を行うこと
を特徴とする流体浄化方法を提供するものである。ま
た、本発明は、上記第1の態様の多孔質セラミックフィ
ルタを用い、この多孔質セラミックフィルタの前記円筒
状フィルタ部の外側の空間に未浄化流体を流入させ、こ
の未浄化流体を前記円筒状フィルタ部の外側からこの円
筒状フィルタ部の前記放射状の隙間を通過させて中央の
前記円柱状空間に流出させ、前記多孔質セラミックフィ
ルタ膜によるクロスフローろ過を行うことを特徴とする
流体浄化方法を提供するものである。
【0016】また、本発明は、上記流体浄化方法であっ
て、さらに、所定時期に前記多孔質セラミックフィルタ
への未浄化水の流入を停止し、前記多孔質セラミックフ
ィルタ膜セルの外側表面に逆流用流体の噴流を吹き付け
て逆流し、前記多孔質セラミックフィルタ膜セルの外側
表面に付着したろ滓を除去した後、再び前記多孔質セラ
ミックフィルタに未浄化水を導入して、クロスフローろ
過を行うことを特徴とする流体浄化方法を提供するもの
である。ここで、前記噴流には、高圧気泡および研磨材
の少なくとも一方が混入されるのが好ましい。
【0017】また、本発明の第3の態様は、上記第1の
態様の多孔質セラミックフィルタを少なくとも1つろ過
タンク内に配列してなるろ過手段と、このろ過手段の洗
浄手段とを有する流体浄化装置を提供するものである。
また、本発明は、上記流体浄化装置であって、さらに吸
着浄化手段と、殺菌手段とを有することを特徴とする流
体浄化装置を提供するものである。また、本発明は、上
記流体浄化装置であって、さらに限外ろ過手段を有する
ことを特徴とする流体浄化装置を提供するものである。
【0018】ここで、前記洗浄手段は、前記多孔質セラ
ミックフィルタの中央の前記円柱状空間の中心に自転可
能に設けられ、洗浄用流体の噴流を前記多孔質セラミッ
クフィルタ膜セルに向けて噴出するための複数のノズル
を有する管体であるのが好ましい。または、前記洗浄手
段は、前記多孔質セラミックフィルタの前記円筒状フィ
ルタ部の外周から所定距離離れた円周に沿って公転可能
に設けられ、洗浄用流体の噴流を前記多孔質セラミック
フィルタ膜セルに向けて噴出するための複数のノズルを
有する管体であるのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る多孔質セラ
ミックフィルタおよびこれを用いる流体浄化方法、なら
びに流体浄化装置を添付の図面に示す好適実施例に基づ
いて詳細に説明する。以下の説明では、浄化装置の代表
例としてプール水を浄化するプール水浄化装置について
説明するが、本発明は、これに限定されるわけではない
のはもちろんである。
【0020】図1は、本発明の第3の態様に係るプール
水浄化装置の一実施例の形態の基本構成の概念図で
り、図2は、図1に示すプール水浄化装置の要部の一例
の概略説明図である。図1に示すように、本発明のプー
ル水浄化装置10は、プール12からオーバーフローし
たプール水を貯留するオーバーフロータンク14と、プ
レフィルタ16a,16bと、プール水循環用ポンプ1
8a,18bと、本発明の第1の態様の多孔質セラミッ
クスフィルタ20を多数用いる精密ろ過装置2と、限
外ろ過装置22と、殺菌装置24、吸着浄化装置26
と、精密ろ過装置2逆洗装置28と、限外ろ過装置
22の逆洗装置30とを有する。なお、本発明の多孔質
セラミックフィルタは、基本的にろ過助剤をフィルタ膜
表面にコーティングしないで使用されるものであるが、
本発明はこれに限定されず、水質によってはろ過助剤を
コーティングして用いてもよい。この場合には、図1に
示すように、プール水浄化装置10は、さらにろ過助剤
供給装置32と、スラリーポンプ34とを有していても
よい。ここで、図1には本発明のプール水浄化装置の基
本構成のみを示すものであるので、本発明のプール水浄
化装置には必要に応じプール水浄化装置において通常用
いられる種々のタンク、例えば、塩素タンク、アルカリ
タンクなどのタンク類、弁、配管、熱交換器等の機器類
を有していることはもちろんである。
【0021】オーバーフロータンク14は、プール12
からオーバーフローしたプール水あるいは、自然排水も
しくはポンプ等により強制排水されたプール水を一時的
に貯留するものであり、所定量のプール水を配管を通し
てプレフィルタ16a,16bに供給する。
【0022】プレフィルタ16a,16bは、カーボン
フィルタなどをタンク内に配置したものからなり、オー
バーフロータンク14から流出したプール排水中に含ま
れ、あるいは浮遊している髪の毛、糸くず、ばんそうこ
うやゴミなどの粗大な不純物を除去するためのもので、
後段の多孔質セラミックスフィルタ20により精密ろ過
をスムーズに行わせるために設けられる。プレフィルタ
は1個であっても3個以上あってもよい。
【0023】ポンプ18a,18bは、循環ポンプであ
ってプール水を本発明のプール水浄化装置10の流路内
で流動させるためのエネルギを与えるものであればどの
ようなものでもよい。この循環ポンプは1台のポンプで
あってもよいし、複数のポンプを並列または直列に配置
したものであってもよい。
【0024】殺菌装置24は、プール水中に含まれる大
腸菌やブドウ状球菌などの細菌やウィルスを殺菌、滅菌
および不活化するためのもので、透明の石英ガラス管内
に挿入されたオゾンランプおよび紫外線ランプにより、
前記石英ガラス管の外側を循環するろ過後のプール水を
殺菌するばかりでなく、石英ガラス管内に乾燥空気を送
気して前記オゾンランプおよび紫外線ランプによりオゾ
ンを発生させ、発生したオゾンを含む空気をプール水中
に十分にバブリングして攪拌し、小さな気泡として混合
させプール水をオゾンによる酸化殺菌を行うものであ
る。後述するように、通常、プール水は塩素殺菌が行わ
れるが、この紫外線殺菌およびオゾン殺菌はプール水に
混入される塩素剤の効果をより一層効果的にするもので
ある。
【0025】吸着浄化装置26は、ゼオライト、活性
炭、シリカゲルなどの吸着剤が充填されたタンクであっ
て、ろ過および殺菌後のプール水中に含まれている汗や
尿などから発生したアンモニアや殺菌装置24で分解さ
れた細菌、色素および結合塩素などを吸着剤の吸着作用
等により吸着して除去するためのものである。吸着剤と
しては、人体に有害な物質をプール水中に溶解させるも
のでなければなんでもよいが、ゼオライトおよび活性炭
さらにはシリカゲルなどが好ましい。ここで、特に、ゼ
オライトは、上述のアンモニアを吸着除去するもので、
活性炭は特に、臭気成分、色素、プール水の結合塩素な
どを吸着除去し、シリカゲルは、特にタンパク質を選択
的に除去する。
【0026】限外ろ過装置22は、セラミックスフィル
タ20で分離除去できない菌類よりもさらに小さいウィ
ルス、例えば、エイズウィルス、インフルエンザウィル
ス、日本脳炎ウィルス、肝炎ウィルス類等や、タンパク
質類等を分離除去するためのもので、中空糸膜などの限
外ろ過膜を多数配列したものである。ところで、人体な
どから発生し、プール水中に混入する不純物のうち、多
孔質セラミックスフィルタ20によって、大腸菌、コレ
ラ菌、チフス菌、緑膿菌等の細菌類などのようなほぼ、
0.2〜0.5μm以上の直径を持つ不純物粒子が除去
されるが、これ以下の直径を持つ不純物粒子は除去でき
ない。そこで限外ろ過装置22においては、中空糸膜な
どの限外ろ過膜36によってプール水中に残存している
0.001〜0.2μm程度の粒子径を持つタンパク質
類(例えば、0.002〜0.01μm)およびウィル
ス類(例えば、0.01〜0.2μm)ならびにセラミ
ックスフィルタで完全に除去できなかった細菌類(例え
ば、0.2〜0.5μm)を除去している。しかし、プ
ール水中に必要なイオン、例えばNa+ などの金属イオ
ン、Cl- などの陰イオン等のイオンや分子類は限外ろ
過膜を透過する。
【0027】従来、このような限外ろ過膜36のように
細かいフィルタを使用して大量のプール水をろ過しよう
とした場合にすぐに目詰まりを生じ、ろ過が不可能であ
ったが、本発明では、限外ろ過の前に、予めプール水を
セラミックスフィルタにより精密ろ過することにより、
はじめて大量のプール水の限外ろ過を可能にしている。
【0028】本発明に用いられる限外ろ過装置22に
は、限外ろ過膜36のろ過効率の低下を防止し、常に高
い効率に維持するとともに高価な限外ろ過膜の交換の頻
度を少なくするために逆洗装置30を有する。この逆洗
装置30は、図2に示すように、洗浄水供給のためのタ
ンク37、ポンプ38および図示しない駆動源に接続さ
れた超音波発生器39からなる。この限外ろ過装置22
の逆洗は、バルブ40aおよび40bを閉止し、閉止さ
れていたバルブ40cおよび40dを開放して、タンク
37からポンプ38の作用により洗浄水を限外ろ過装置
22の出口側に流入させ、限外ろ過膜36の内側から外
側に逆流させて、限外ろ過膜36に捕獲された不純物微
細粒子を外側に流し出し、この微細不純物粒子を含む洗
浄水を限外ろ過装置22のバイパスプール出口からバル
ブ40dを経て外部に排出する。この時、超音波発生器
39によって限外ろ過装置22の外周から中心に向けて
超音波を発振させ、限外ろ過膜36を超音波振動させ
て、捕獲されていた不純物微粒子の逆洗除去を容易に
し、逆洗効率を高めている。
【0029】ここで、本発明に用いられる限外ろ過膜
は、特に制限的ではなく、公知の限外ろ過膜、すなわち
中空糸膜であればよく、例えば代表的にクラレUFフィ
ルター(クラレ社製)などを挙げることができる。ま
た、このような中空糸膜は、外側から内側に向けて限外
ろ過するものであっても、逆に内側から外側に向けて限
外ろ過するものであってもよい。
【0030】本発明に用いられる超音波発生器は、特に
制限的ではなく、超音波振動板を限外ろ過器の外周に全
面あるいは所定間隔で配置するものなど、限外ろ過膜に
超音波を付与できればどのようなものでよい。
【0031】精密ろ過装置21は、プール水中に持ち込
まれてあるいは生成されて混在している金属塩類、油
分、汚れなどの有機物、不純物、細菌などの微細粒子、
例えば0.25〜1μm程度の微細粒子までろ過して、
プール水を浄化するための装置である。ろ過装置21の
内部には、上述した0.25〜1μm程度の微細粒子ま
でろ過可能な本発明の第1の態様の多孔質セラミックス
フィルタ20が複数本、例えば数十本が装着されてい
る。
【0032】本発明の第1の態様の多孔質セラミックス
フィルタ(以下、セラミックスフィルタという)20
は、非常に微細な孔を三次元的に有するものであり、細
菌などの微粒子はもちろん人間の体から放出される油分
等もろ過することが可能なフィルタであって、図3
(a)および(b)に示す構造を有する。
【0033】本発明のセラミックスフィルタ20は、図
3(a)および(b)に示すように、略3角形状の断面
形状を持つチューブ(管)状の多孔質セラミックフィル
タ膜セル(以下、セラミック膜セルという)42を複数
個、3角形の頂点42aを中心側に向けて放射状に所定
間隔で隙間をあけて配列した円筒状フィルタ部43と、
中央部分に形成される中貫通孔44を形成する円柱状
空間と、両端およびその中間に設けられ、前記円筒状フ
ィルタ部43の隣接するセラミック膜セル42の隙間4
5を接続するリブ46aおよび46bとを有する。ここ
で、円筒状フィルタ部43に配置されるセラミック膜セ
ル42個数は、図示例では12個であるが、その個数
およびサイズは、本発明では特に制限的ではなく、必要
とされるろ過面積に応じて適宜選択すれば良い。また、
セラミック膜セル42の厚みは、特に制限的ではなく、
ろ過圧および逆洗圧などに応じて適宜設定すればよい
が、全体として一様であってよいが、頂部42aや辺部
42bの両端等のような突部は他よりも少し厚くするこ
とにより、必要な強度を得ることができる。
【0034】なお、図示例のセラミック膜セル42の断
面形状は、頂点42aおよび辺部(底辺42bをもつ
3角形であるが、本発明はこれに限定されず、縮幅する
頂部(42a)と拡幅する辺部(42b)を有していれ
ば、どのような形状でもよく、3角形の他、例えば台
形、扇形およびこれらの形状の変形したものなどであっ
てもよい。ここで、セラミック膜セル42の頂点42a
は、円筒状フィルタ部43の包絡内周を構成し、尖端で
あるのが良いが、セラミック膜セル42自体の強度の点
からは尖っていない方が良いので、所定半径の円弧状の
突端であるのが良い。セラミック膜セル42の断面形状
の辺部42bは、円筒状フィルタ部43の包絡外周を構
成するものであり、直線であっても、円弧であってもよ
いが、辺部42bの両端は、上述の頂点42aと同様
に、強度の点から円弧状に丸めておくのがよい。
【0035】ところで、図3に示すセラミックフィルタ
20を用いて、プール水の浄化を行う場合には、セラミ
ックフィルタ20は、中貫通孔44に未浄化プール水
を導入し、中心貫通孔4から円筒状フィルタ部43の
外側に向かって、あるいは逆に円筒状フィルタ部43の
外側に未浄化プール水を導入し、円筒状フィルタ部43
の外側から中心貫通孔44側に向かって、隣接するセラ
ミック膜セル42の間の隙間45を通過させながら、ク
ロスフローろ過を行うことができるものである。この
時、隣接するセラミック膜セル42の隙間45は、他の
部分より狭いため、隙間45を通過する未浄化水は加速
される。従って、セラミック膜セル42で最もクロスフ
ローろ過が行われる隙間45に沿った稜線部分42cに
はろ滓が付着し難い。その結果、本発明のセラミックフ
ィルタは、従来のクロスフローろ過が行われるセラミッ
クフィルタに比べ、ろ過能力の劣化が少なく、長期間に
渡って高いろ過精度と高い処理能力(処理量)を維持す
ることができる。
【0036】このように、本発明のセラミックフィルタ
は、本来ろ滓などが付着し難く、長期間の使用が可能な
ものであるが、大量の未浄化水を長期間に渡ってろ過し
続けていると、当然のことながら、セラミック膜セル4
2の頂部42aや底部42bはもちろん稜線部分42c
にも、ろ別された不純物などのろ滓が少しづつ付着し
て、ろ過能力を劣化させる。従って、本発明のセラミッ
クフィルタ20においては、中心貫通孔44の中心およ
び円筒状フィルタ部43の外側の円周上の少なくとも一
方に、セラミック膜セル42の膜面、特に頂部42aお
よび稜線42Cまたは辺部42bおよび稜線42cを強
制的に洗浄するための複数の洗浄水噴出ノズル47aを
持つ回転(自転または公転)可能な管状体47からなる
洗浄手段を配置しておくのが良い。図3(c)に、この
洗浄手段の一例を示す。
【0037】ここで、洗浄手段の管状体47の噴出ノズ
ル47aから噴出させる洗浄水は、清浄水であれば特に
制限的ではなく、例えばセラミックフィルタ20による
浄化水を用いればよいが、洗浄力を増し、セラミック膜
セル42の膜表面に付着したろ滓を物理的に強力に除去
するため、高圧空気などの高圧気泡を混入させたジェッ
ト噴流として噴出させるのがよい。また、さらに、セラ
ミック膜セル42の膜表面の付着物を物理的に剥離し、
強制的に除去するため、洗浄水に研磨剤などを混入させ
てもよい。研磨剤としては、特に制限はないが、後述す
るろ過助剤として用いられるケイソウ土や石炭などの粉
末状ろ過助剤を用いることができる。
【0038】前述したように、本発明のセラミックフィ
ルタ20は、本来ろ過助剤をセラミック膜セル42の膜
表面にコーティングせずに、そのまま未浄化水のろ過に
供されるものであるが、未浄化水の水質によっては、ろ
過助剤をプレコートして使用するのが好ましい。このよ
うな場合に洗浄手段の管状体47の噴出ノズル47aか
ら噴出させる洗浄水に混入する研磨剤としてろ過助剤を
用いると、特別に研磨剤供給装置を設ける必要がなく、
好都合である。
【0039】なお、洗浄手段となる管状体47のサイズ
および管状体47に設けられる噴出ノズル47aの個数
とサイズは、特に制限的ではなく、必要に応じて適宜設
定すればよい。また、管状体47を中心貫通孔44に設
けて頂部42aおよび稜線42cを洗浄するか、円筒状
フィルタ部43の外側に設けて辺部42bおよび稜線4
2cを洗浄するかも、あるいは両方設けてセラミック膜
セル42の膜面全部を洗浄するか、必要な洗浄の程度に
応じて適宜設定すればよい。さらに、管状体47を中心
貫通孔44の中心に配置して回転(自転)させるか、中
心貫通孔44の内側に配置して内周に沿って回転(公
転)させるかも適宜設定すればよい。なお、管状体47
の回転(自転または公転)させるための回転駆動手段
は、図示されていないが、特に制限的ではなく、公知の
回転駆動手段を用いることができる。
【0040】ところで、本発明のセラミックフィルタ2
0の洗浄手段としては、図示例の管状体47の噴出ノズ
ル47aの他に、後述する逆洗装置28を挙げることが
でき、これらはいずれか一方のみを用いてもよいが、最
も好ましくは両方用いるのがよい。特に、本発明のセラ
ミックフィルタ20をろ過助剤をプレコートして用いる
場合には、逆洗装置28を併用するのがよい。なお、噴
出ノズル47aから噴出させる洗浄水やジェット噴流
は、後述する逆洗装置28によって生成される洗浄水や
ジェット噴流を併用するのが好ましい。
【0041】本発明の第1の態様のセラミックフィルタ
は、多数のセラミック膜セル42を放射状に配置して円
筒状フィルタ部43を形成して、被処理プール水と接触
する面積、すなわち処理面積を増大させたものである。
従って、本発明のセラミックフィルタは、従来の円筒状
セラミックフィルタに比べ処理面積、従って処理能力が
それぞれ数倍〜十数倍程度となることがわかる。
【0042】このような本発明の多孔質セラミックフィ
ルタ20は、図2に示すように、精密ろ過装置21のハ
ウジングタンク48の底部48aにまたは底部48aに
配置される集合管(図示せず)に、カバー51とマウン
ト52との間に挟持されたプール水浄化用フィルタ組立
体(以下、フィルタユニットという)50としてマウン
ト52の底部の図示しないねじ部によってねじ止め(固
定)される。なお、本発明のセラミックフィルタ20を
フィルタユニット50とするためのカバー51やマウン
ト52は、対応する孔のサイズや形状や位置がセラミッ
ク膜セル42や中心貫通孔44に合致すれば、特に制限
的ではなく、どのようなものを用いてもよい。例えば、
本発明者の出願に係る特公平8−4716号公報に開示
されたカバーやマウントを用いることができる。また、
本発明のセラミックフィルタ20を複数本接続してフィ
ルタユニット50を構成してもよい。
【0043】図示例のセラミックフィルタ20は、複数
の放射状に配列されたセラミック膜セル42を連結する
両端の2個のリブ46aおよび中間の少なくとも2個の
リブ46bを有するものであるが、本発明はこれに限定
されず、中間のリブ46bは1個であっても、全くなく
てもよいし、また、中間リブ46bが少なくとも1つあ
る場合には両端のリブ46aも一方のみであっても、両
端ともなくてもよいし、さらに両端のリブ46aも中間
のリブ46bのいずれも全くなくてもよい。このような
場合には、両端のマウント(図示せず)によって複数本
の放射状に配列されたセラミック膜セル42を連結して
支持して、本発明のセラミックフィルタをフィルタユニ
ットとして構成する。この場合には、マウントのセラミ
ック膜セル42を支持する位置を可動として、隣接する
セラミック膜セル42間の隙間(間隔)を調整可能にす
ることができる。
【0044】図3に示す本発明のセラミックフィルタ2
0は、基本的に以上のように構成されるが、本発明はこ
れに限定されず、種々の変形が可能である。図4、図5
(a),(b)、図6(a)および(b)に示すセラミ
ックフィルタ60のように、24個のセラミック膜セル
42で円筒状フィルタ部43を形成し、各セル42間の
隙間45に略同様な間隔でセラミック膜セル42の長手
方向にリブ46bを設けて、矩形状の流路62を形成し
てもよい。ここで図5(a)および(b)は、それぞれ
図4のA−A線およびB−B線断面模式図を示し、図6
(a)および(b)は、それぞれ本発明のセラミックフ
ィルタ60の部分断面拡大斜視模式図および部分拡大断
面模式図であり、矩形状流路62を模式的に示す。図示
例のセラミックフィルタ60のように構成することによ
り、フィルタの強度を上げることができるので、セラミ
ック膜セル42のサイズ、特に幅を狭くでき、同一寸法
(サイズ)の円筒状フィルタ部43を構成するセラミッ
ク膜セル42の個数を増大させることができるので、ろ
過面積を増大させることができ、ろ過能力をさらに増大
させることができる。
【0045】また、図7(a)および(b)に示すセラ
ミックフィルタ70のように、セラミック膜セル42の
内部にビーム(はり)72を持つものでは、セラミック
膜セル42の強度を上げることができるので、セラミッ
ク膜セル42の膜厚を薄くすることができる。従って、
図示例のセラミックフィルタ70では、セラミック膜セ
ル42のサイズ、すなわち幅を狭くできるので、同一寸
法の円筒状フィルタ部43を構成するセラミック膜セル
42の個数を増大させることができる。図示例のセラミ
ックフィルタ70では、セラミック膜セル42の個数を
36個まで増大させることができる。従って、ろ過面積
は飛躍的に増大し、ろ過能力を著しく向上させることが
できる。
【0046】なお、セラミック膜セル42の内部に設け
るビーム72の数は、特に制限的ではなく、本発明では
2個に限定されず、1個でも3個以上であってもよい。
本発明の第1の態様の多孔質セラミックフィルタは基本
的に以上のように構成される。
【0047】ろ過助剤供給装置32は、精密ろ過装置2
1のセラミックフィルタ20のろ過能力を常に良好な状
態に維持し、洗浄を容易にするろ過助剤層を形成するた
めのろ過助剤を充填しておくもので、スラリーポンプ3
4によってろ過装置21内のセラミックフィルタ20に
供給する。すなわち、セラミックフィルタ20は微細な
孔を有するため、直接的にろ過に用いると、この微細な
孔がすぐに目詰まりして、短時間のうちにろ過能力が低
下し、浄化ができなくなってしまう。このため、セラミ
ックフィルタは一般的にその流入側面に、除去が容易な
ろ過助剤層を形成して用いている。ろ過助剤としては、
ケイソウ土や石灰などの粉末状ろ過助剤およびセルロー
ス、パルプ繊維やアスベスト等の繊維状ろ過助剤ならび
にタンパク質の選択的除去が可能なシリカゲルなどを用
いるのが好ましい。従って、前記セラミックフィルタの
流入側面には除去が容易な粉末状ろ過助剤からなる剥離
層およびその上層に繊維状ろ過助剤からなるろ過層なら
びにシリカゲル層を形成しておくのが好ましい。
【0048】逆洗装置28は、ろ過装置21内のセラミ
ックフィルタ20のろ過能力を常に良好な状態に保つよ
うに、ろ過効率が低下する前に、例えば、一定期間ごと
に前記セラミックフィルタに堆積したろ滓を除去し、前
記セラミックフィルタを洗浄するために、逆流させ噴出
させるための高圧空気含有洗浄水流、すなわち、洗浄水
と図示しない高圧空気源から供給される高圧空気からな
るジェット水流を発生させるためのもので図示しないが
洗浄水の流速を加速する循環回路と、高圧空気と加速さ
れた洗浄水との混合器からなるが、特にこれに限定され
るわけではない。
【0049】基本的に以上のように構成される本発明の
第3の態様のプール水浄化装置10においては、プール
12からオーバーフローしたプール水は、オーバーフロ
ータンク14に流入し、カーボンフィルタなどのプレフ
ィルタ16a,16bにより髪の毛、ゴムなどの比較的
大きな不純物を除去された後、循環ポンプ18a,18
bの作用により第1の態様の多孔質セラミックフィルタ
20を多数ろ過タンク内に配列した精密ろ過器21に流
入する。次に、セラミックフィルタ20で精密ろされ
たプール水は、限外ろ過器22に流入して限外ろされ
た後、紫外線およびオゾンを用いる殺菌装置24に流入
して殺菌され、活性炭などを用いる吸着浄化装置26に
流入してアンモニアなどの不快臭分子や殺菌装置24に
よって死滅させられたウィルス類、細菌類を吸着除去し
た後、浄化プール水としてプール12に戻される。
【0050】ところで、図1に示すプール水浄化装置1
0は、本発明の第1の態様に係る多孔質セラミックスフ
ィルタ20を用いる精密ろ過装置、吸着浄化装置および
殺菌装置を別のタンクで構成しているが、本発明はこれ
に限定されず、本発明者の発明に係る特開平7−112
182号公報に開示された流体浄化装置のように一体化
してコンパクト化してもよい。こうすることにより、浄
化装置の性能を落とさず、小型、コンパクト化できるの
で、本発明のセラミックフィルタを用いる上でより好ま
しい。さらに、前述の特公平8−4716号公報に開示
れているように、一体化した浄水装置に本発明のセラミ
ッックフィルタを適用してもよい。
【0051】本発明の第3の態様のプール水浄化装置に
おいて、限外ろ過装置22は必ずしも設ける必要はな
い。特に、浄化処理量の増大を第1の目的とする場合は
設けなくてよい。
【0052】以上、浄化用流体としてプール水を挙げ、
流体化装置としてプール水浄化装置を代表例とし、本
発明に係る流体浄化用多孔質セラミックフィルタ、およ
びこれを用いる流体浄化方法、ならびに流体浄化装置に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されず、対象と
する流体は、液体であっても、気体であってもよい。本
発明が対象とする液体としては、飲料水を得るための河
川水、海水、浄化が必要な水道水や井戸水、さらに排
水、特に工場排水、生活(家庭)排水、またビール、ワ
イン、日本酒等の醸造酒、醤油、ソース、ジュース、果
汁、食物油など不純物除去が必要なものであればなんで
もよい。また、本発明が対象とする液体としては、リチ
ウム(Li)や金(Au)などの希少で有用な金属など
を採鉱し、回収するための懸濁水などであってもよい。
【0053】さらに、本発明が対象とする気体として
は、煤煙や大気汚染物質などの不純物を含む工場排ガス
や燃焼排ガス、特にゴム焼却炉やゴム焼却設備からの排
ガスなどや不純物として液体などを含む燃料ガスなどの
ように不純物除去が必要なものであればなんでもよい。
また、多孔質セラミックフィルタを使用するろ過装置以
外の種々のろ過装置、殺菌装置、吸着ろ過装置などは、
その一部のみを使用してもよいし、全部用いてもよい
し、全く用いなくてもよく、対象とする流体に応じて適
宜選択すればよい。
【0054】以上、本発明の第1の態様に係る流体浄化
用多孔質フィルタを多孔質セラミックフィルタを代表例
として説明したが、本発明はこれに限定されず、多孔質
セラミックフィルタのように非常に微細な孔を3次元的
に有し、細菌などの微粒子や生体から放出される油分等
もろ過することが可能なものであれば、材質は特にセラ
ミックに限定されるものではない。また、フィルタの孔
部の大きさも処理する液体中の除去対象となる不純物の
粒子径に応じて適当なものを選べばよい。例えば、3次
元構造の繊維状物をプレス圧縮して得た圧縮ステンレス
パイル、圧縮金属パイル、カーボン繊維を圧縮したも
の、焼結金属、樹脂ビーズを固めたものなど種々の材質
の多孔質フィルタを挙げることができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の第1の態
様の多孔質セラミックフィルタによれば、従来のものに
比べ、接触面積、すなわちろ過面積を大幅に増大させる
ことができるので、ろ過面へのろ滓の付着が少なく、付
着したろ滓の除去が容易であり、長期にわたる使用が可
能であるので、プール水、飲料水、酒類などの液体や排
ガスや燃料ガスなどの気体などの流体の浄化処理能力お
よび浄化度や処理量を大幅に向上させることができる。
【0056】また、本発明の第2の態様の流体浄化用方
法によれば、プール水、下水、飲料水、酒類、採鉱懸濁
水や処理水などの液体や排ガスや燃料ガスなどの気体な
どの流体の浄化処理量(回収量)および浄化度(回収
率)を大幅に向上させることができる。また、従来と同
等の処理量(回収量)または浄化度(回収率)であれ
ば、装置構成を小型かつコンパクトにすることができ
る。
【0057】また、本発明の第3の態様の流体浄化装置
によれば、プール水、飲料水、酒類、懸濁水などの液体
や排ガスなどの気体の浄化量(回収量)や浄化度(回収
率)に比して、ろ過装置のみならず、浄化装置全体の装
置構成を小型かつコンパクトにすることができる。ま
た、浄化運転中の多孔質フィルタの逆洗が可能であり、
運転停止を行うことなく連続運転しても目づまり等によ
る大幅な処理性能の低下をもたらすことがない。
【0058】また、本発明の第3の態様の流体浄化装置
によれば、浄化設備を一体化したユニット構成とするこ
とができるので、ユニットを製造後、現場での設置が可
能であるばかりか、取り扱いも容易で低コストであり、
かつ設置工事も容易であるばかりか、処理量や浄化度を
極めて大きなものとすることができる。
【0059】また、限外ろ過手段を有するプール水浄化
装置などの液体浄化装置においては、上記効果に加え、
人体から発生し、プール水などの液体中に含まれる油分
等の有機物および細菌類はもろちん、ウィルス類やタン
パク質類をもろ過することができ、プール水などの液体
を常に清浄に保つことができる。また、限外ろ過膜の逆
洗を行うことにより、高価な限外ろ過膜を長期間劣化さ
せずに、常に高いろ過効率で使用することが可能とな
り、プール水などの液体を常に高精度に浄化することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の流体浄化装置の一実施例であるのプ
ール水浄化装置の一例の概念図である。
【図2】 図1に示すプール水浄化装置の要部の一例の
概略説明図である。
【図3】 (a)および(b)は、それぞれ本発明の多
孔質セラミックフィルタの一実施例の部分断面正面図お
よび断面図であり、(c)は、(a)および(b)に示
す多孔質セラミックフィルタに取り付けられる管状の洗
浄手段の一実施例の正面図である。
【図4】 本発明の多孔質セラミックフィルタの他の実
施例の部分正面図である。
【図5】 (a)および(b)は、それぞれ図4に示す
多孔質セラミックフィルタのA−A線断面図およびB−
B線断面図である。
【図6】 (c)および(d)は、それぞれ図4に示す
多孔質セラミックフィルタの部分断面拡大斜視図および
部分拡大断面図である。
【図7】 (a)および(b)は、それぞれ本発明の多
孔質セラミックフィルタの別の実施例の中間部分の断面
図および末端部分の断面図である。
【符号の説明】
10 プール水浄化装置 12 プール 14 オーバーフロータンク 16a,16b プレフィルタ 18a,18b ポンプ 20,60,70 多孔質セラミックスフィルタ 21 精密ろ過装置 22 限外ろ過装置 24 殺菌装置 26 吸着浄化装置 28,30 逆洗装置 32 ろ過助剤供給装置 34 スラリーポンプ 42 多孔質セラミックフィルタ膜セル 42a 頂部 42b 辺部 42c 稜線部 43 円筒状フィルタ部 44 中心貫通孔 45 隙間 46a,46b リブ 47 管状体 47a 噴出ノズル 48 ハウジングタンク 50 フィルタユニット 51 カバー 52 マウント 62 流路 72 ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01D 71/02 B01D 71/02 C02F 1/28 C02F 1/28 F

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中央部分に形成される円柱状空間と、略三
    角形、略台形または略扇形の断面形状を有する長尺管状
    の多孔質セラミックフィルタ膜セルが、縮幅する頂部が
    中心側に向かい、かつ前記円柱状空間の外周上にくるよ
    うに所定数放射状に放射状の隙間をあけて配列された円
    筒状フィルタ部とを有することを特徴とする多孔質セラ
    ミックフィルタ。
  2. 【請求項2】前記多孔質セラミックフィルタ膜セルは、
    所定間隔で配置される請求項1に記載の多孔質セラミッ
    クフィルタ。
  3. 【請求項3】隣接する前記多孔質セラミックフィルタ膜
    セルの放射状の隙間は、平行である請求項1または2に
    記載の多孔質セラミックフィルタ。
  4. 【請求項4】前記多孔質セラミックフィルタ膜セルは、
    その内部に少なくとも1本の補強用ビームを有する請求
    項1〜3のいずれかに記載の多孔質セラミックフィル
    タ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質セ
    ラミックフィルタであって、さらに、隣接する前記多孔
    質セラミックフィルタセルの放射状の隙間を接続するリ
    ブを有することを特徴とする多孔質セラミックフィル
    タ。
  6. 【請求項6】前記リブは、前記多孔質セラミックフィル
    タ膜セルの両端に、全ての前記多孔質セラミックフィル
    タ膜セルを接続するように円筒状に設けられる請求項5
    に記載の多孔質セラミックフィルタ。
  7. 【請求項7】前記リブは、前記多孔質セラミックフィル
    タ膜セルの長手方向に所定間隔で設けられる請求項5ま
    たは6に記載の多孔質セラミックフィルタ。
  8. 【請求項8】前記リブは、多孔質セラミックである請求
    項5〜7のいずれかに記載の多孔質セラミックフィル
    タ。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質セ
    ラミックフィルタであって、さらに、全ての前記多孔質
    セラミックフィルタ膜セルの端部を支持し、一方で各多
    孔質セラミックフィルタ膜セルの内部と連通し、他方で
    1つの排出口に連通する流路を持つマウントを有するこ
    とを特徴とする多孔質セラミックフィルタ。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質
    セラミックフィルタであって、さらに、隣接する前記多
    孔質セラミックフィルタ膜セルの隙間を調節する隙間調
    節手段を有することを特徴とする多孔質セラミックフィ
    ルタ。
  11. 【請求項11】前記隙間調節手段は、前記マウントに設
    けられる請求項9に記載の多孔質セラミックフィルタ。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載の多孔
    質セラミックフィルタを用い、この多孔質セラミックフ
    ィルタの中央の前記円柱状空間に未浄化流体を流入さ
    せ、この未浄化流体を前記円柱状空間から前記円筒状フ
    ィルタ部の前記放射状の隙間を通過させて前記円筒状フ
    ィルタ部の外側に流出させ、前記多孔質セラミックフィ
    ルタ膜セルによるクロスフローろ過を行うことを特徴と
    する流体浄化方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜11のいずれかに記載の多孔
    質セラミックフィルタを用い、この多孔質セラミックフ
    ィルタの前記円筒状フィルタ部の外側の空間に未浄化流
    体を流入させ、この未浄化流体を前記円筒状フィルタ部
    の外側からこの円筒状フィルタ部の前記放射状の隙間を
    通過させて中央の前記円柱状空間に流出させ、前記多孔
    質セラミックフィルタ膜によるクロスフローろ過を行う
    ことを特徴とする流体浄化方法。
  14. 【請求項14】請求項12または13に記載の流体浄化
    方法であって、さらに、所定時期に前記多孔質セラミッ
    クフィルタへの未浄化水の流入を停止し、前記多孔質セ
    ラミックフィルタ膜セルの外側表面に逆流用流体の噴流
    を吹き付けて逆流し、前記多孔質セラミックフィルタ膜
    セルの外側表面に付着したろ滓を除去した後、再び前記
    多孔質セラミックフィルタに未浄化水を導入して、クロ
    スフローろ過を行うことを特徴とする流体浄化方法。
  15. 【請求項15】前記噴流には、高圧気泡および研磨材の
    少なくとも一方が混入される請求項14に記載の流体浄
    化方法。
  16. 【請求項16】請求項1〜11のいずれかに記載の多孔
    質セラミックフィルタを少なくとも1つろ過タンク内に
    配列してなるろ過手段と、このろ過手段の洗浄手段とを
    有する流体浄化装置。
  17. 【請求項17】請求項16に記載の流体浄化装置であっ
    て、さらに吸着浄化手段と、殺菌手段とを有することを
    特徴とする流体浄化装置。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の流体浄化装置であっ
    て、さらに限外ろ過手段を有することを特徴とする流体
    浄化装置。
  19. 【請求項19】前記洗浄手段は、前記多孔質セラミック
    フィルタの中央の前記円柱状空間の中心に自転可能に設
    けられ、洗浄用流体の噴流を前記多孔質セラミックフィ
    ルタ膜セルに向けて噴出するための複数のノズルを有す
    る管体である請求項16〜18に記載の流体浄化装置。
  20. 【請求項20】前記洗浄手段は、前記多孔質セラミック
    フィルタの前記円筒状フィルタ部の外周から所定距離離
    れた円周に沿って公転可能に設けられ、洗浄用流体の噴
    流を前記多孔質セラミックフィルタ膜セルに向けて噴出
    するための複数のノズルを有する管体である請求項16
    〜18に記載の流体浄化装置。
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