JP3449442B2 - 繊維複合体 - Google Patents

繊維複合体

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JP3449442B2
JP3449442B2 JP16398994A JP16398994A JP3449442B2 JP 3449442 B2 JP3449442 B2 JP 3449442B2 JP 16398994 A JP16398994 A JP 16398994A JP 16398994 A JP16398994 A JP 16398994A JP 3449442 B2 JP3449442 B2 JP 3449442B2
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高可 近藤
秀雄 新国
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豊田紡織株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の室内天井材
等内装材を成形する熱成形用基材としての繊維複合体
(マット状成形体)に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の室内天井材を成形するための
熱成形用基材としては、軽量で耐熱性、機械的強度、吸
音性、熱賦形性などが優れた繊維複合体(マット状成形
体)が求められている。そこで従来の場合には、 (1)例えば、多数の繊維よりなるシート状のウエブを
所定の枚数積層してマット状体とし、このマット状体に
ニードルパンチを施し、小さいとげをもつ多数の針を往
復移動させてウエブに突き刺すことにより、ウエブを形
成する繊維を押し込み、三次元的な繊維の絡み合いを与
えて接合し嵩高くした繊維複合体を得たり、前記マット
状体を所定の温度に加熱するとともに、厚みを圧縮する
方向に加圧し、溶融した樹脂を前記加圧により繊維の隙
間に含浸させて部分的に融着した後、前記加圧を解除し
て引き続き前記圧縮方向と逆方向に拡厚し、加圧による
押し潰れを回復させて嵩高くした繊維複合体を得てい
る。 (2)一方、特開平4ー308265号公開公報には、
マット状物の内部を貫通し、その表面からフェルト針を
突出させ、この針によって、マット状物の内部の無機繊
維を環状体として突出し、環状体をマット状物(以下説
明上、マット状体と称す)の表面に沿って配向された状
態で結着した構成が開示されている。 (3)また繊維便覧、加工編(昭和63年11月20日
出版、発行所 丸善株式会社)の第982頁〜第984
頁には、ウエブの接合方式としてステッチ法が開示され
ている。 (4)さらに実公平5ー345号公告公報には、自動車
用内装材として、多数の連続する熱可塑性樹脂フイラメ
ントが立体的に屈曲し、かつ所々交叉して延び、交叉位
置で相互に融着して多数の山部とくぼみ部が形成された
立体網状シートと、立体網状シートの両面に積層された
熱可塑性樹脂シートと、よりなる構成が開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前項(1)のように、
マット状体にニードルパンチ、いわゆるパンチング処理
を施す場合には、マット状体の表面全領域に針が挿通し
た多数の貫通孔が生じ、マット状体表面の水平方向の縦
弾性率を低下させ、製品の曲げ強度の低下を招き、かつ
このような繊維複合体を自動車用天井材として用いる場
合、慎重に取り付け作業を行う必要があり、煩わしさを
伴うため作業がやりにくい。
【0004】そこで前記パンチング処理を施さずに、結
着剤を含むマット状体を加熱した状態で加圧圧縮し、マ
ット状体の構成繊維を溶融した結着剤により結着した
後、マット状体を拡厚するようにしても、シート状のウ
エブを積層した構造であるため、厚み方向の圧縮強度不
足により曲げ強度が低い。また、前項(2)の特開平4
ー308265号公開公報に開示された構成を、例えば
前項(3)の前記繊維便覧に開示された従来のステッチ
法を用い、図7に示されるように、ウエブ20eを多
数、積層して形成されたマット状体2Eの一方の面e1
側にステッチ加工を施しループ30eを形成した後、同
様にマット状体2Eの他方の面e2側にステッチ加工を
施す場合、ウエブ20eを構成する繊維21eを利用す
ると、マット状体2Eの厚みt1が圧縮され、圧縮厚み
t2となるため、目的とする厚みおよび高い空隙率をも
つ繊維複合体を得ることが困難であった。
【0005】また、前項(4)の実公平5ー345号公
告公報に開示された構成は、多数の山部とくぼみ部が形
成された立体網状シートを備えているため、高い空隙率
を得ることができる。しかし、多数の山部とくぼみ部が
点状に平面方向に広がる分布であるため、間隔が粗く、
曲げ剛性をそれほど高くすることがでず、なお、改良
の余地がある。
【0006】本発明は、前記問題点に鑑みなされたもの
で、目的の厚みが得られ易く、嵩高で軽い、曲げ剛性の
優れた繊維複合体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維複合体は、
ウエブをヒダ折りし大部分の繊維が厚み方向に配向した
マット状の本体部と、該本体部の少なくとも一面上に該
本体部と一体的に折り込まれ若しくは編み込まれた該一
面上に2次元的に延びる表面部とからなる繊維複合体で
あって、結着材を含む前記繊維複合体を加熱状態で加圧
圧縮し、溶融した前記結着材により繊維同士を結着した
熱成形用基材であることを特徴とする。
【0008】前記発明の繊維複合体における好ましい使
用態様として、表面部は、ステッチ加工で形成されてい
る。マット状の本体部は、ウエブをヒダ折りすることに
よって形成される。ウエブは、その幅方向と直交する方
向(長手方向)に沿ってほぼ平行に配列された繊維を含
むものが用いられる。
【0009】すなわち、ウエブとしては、例えばウエブ
の幅方向および長手方向の2次元で繊維がランダムに配
向したものや、あるいは前記長手方向に沿って配向した
繊維の量が前記幅方向に沿って配向した繊維の量よりも
多くなるように配向処理がなされたものや、長手方向に
沿ってほぼ平行に配向した繊維のみよりなるもの、等を
用いることができる。なお、ウエブを構成する繊維を、
前記長手方向に沿って配向するには、例えば予めカード
機などにより配向処理がなされる。
【0010】前記ウエブは、厚み0.1mm〜10m
m、幅100mm〜5000mmの連続状のものを使用
し、マット化後、必要長さにカットする。マット状の本
体部と表面部とを形成する場合には、例えばウエブの繊
維の一部を用いたステッチ加工によって、ウエブをヒダ
折りして折り畳み本体部を形成すると同時に、本体部と
一体的に少なくともその一面上に表面部を編み込んで形
成したり、あるいはストルート・バチカル・ラッピング
機(イタリアのリ・スカルト社製)などを用いて予めウ
エブをヒダ折りして折り畳みマット状の本体部を形成し
た後に、ウエブの繊維とは別の繊維あるいは糸を用いた
ステッチ加工によって本体部と一体的に少なくともその
一面上に折り込むことにより表面部を形成することがで
きる。なお、ステッチの密度は、必要に応じ2.5〜2
0コース/cmの範囲内で選択できる。好ましい密度
は、2.5〜9コース/cmである。
【0011】ウエブのヒダ折り長さは、形成されるマッ
ト状の本体部の目的とする厚みに相当するものである。
ウエブのヒダ折りされた部分は、マット状の本体部の厚
さ方向とほぼ平行に配置され、かつ折り畳まれマット状
の本体部の長手方向(前記厚さ方向と直交する方向)に
連続して多数配列されることによりマット状の本体部を
構成する。
【0012】すなわち、ウエブは、一方の面同士が対向
する位置となるようにヒダ折りされた後、前記場合とは
逆に、他方の面同士が対向する位置となるようにヒダ折
りされる。かつ一方の面と他方の面とを交互に連続して
目的とする回数の折り曲げが繰り返される。これによっ
てマット状の本体部の一面側と他面側とに、それぞれ一
面側折り曲げ部と他面側曲げ部とが形成され、一面側折
り曲げ部と他面側曲げ部との間の面が、互いにほぼ平行
に配置される。
【0013】ウエブを形成する繊維としては、例えば、
無機繊維や、有機繊維や、無機繊維と有機繊維とを混合
した混合繊維などを用いることができる。無機繊維とし
ては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウー
ル繊維等を用いることができる。有機繊維としては、例
えば、ポリエチレン、ポレプロピレン、飽和ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、その他の化学
繊維、天然動植物繊維などを用いることができる。
【0014】前記本体部は、ウエブを厚み方向にヒダ折
りした長さを、目的に応じて種々設定することができ
る。ウエブのヒダ折り数は、形成されるマット状の本体
部の長手方向に3本/cm〜30本/cmに設定するこ
とができる。前記2次元的に延びる表面部は、ウエブを
構成する繊維若しくは別の繊維により本体部の少なくと
も一面上で本体部と一体的に折り込まれ若しくは編み込
まれて形成され、面方向に繊維が連結されて配向された
編み目組織よりなる。このため、ウエブをヒダ折りする
ことにより形成されヒダ折り構造をもつ本体部を、さら
に本体部の少なくとも一面側の繊維密度を高くして強固
に補強でき、製造工程を経て得られた繊維複合体の曲げ
剛性を高めことができる。
【0015】なお、前記2次元的に延びる表面部は、本
体部の二面上すなわち、両面にそれぞれ形成することも
できる。この場合には、本体部は両面の繊維密度を高く
して強固に補強することができる。通常、繊維複合体
は、強度を増すためその製造過程で、マット状の本体部
と2次元的に延びる表面部とで形成されたマット状体の
繊維の一部を、結着剤により結着させる。
【0016】この結着剤としては、マット状の本体と、
本体部の少なくとも一面上に本体部と一体的に折り込ま
れ若しくは編み込まれた一面上に2次元的に延びる表面
部とよりなるマット状体を浸すことによって、マット状
体を構成する繊維間に含浸させ、含浸した後、加熱によ
り前記繊維を結着するエマルジョンや、水系樹脂や、有
機溶剤を含む樹脂、樹脂などを用いることができる他、
予めマット状の本体部の形成時に混入された後、加熱溶
融し前記繊維を結着する樹脂パウダー、熱可塑性繊維な
どを用いることができる。
【0017】前記エマルジョンとしては、例えばSB
(スチレン・ブタジェン樹脂)系、アクリル系、PVA
(ポリビニルアルコール)、フェノ−ルエマルジョン、
飽和ポリエステルエマルジョン、などである。前記樹脂
パウダーとしては、例えばポリエチレンパウダー、ポリ
プロピレンパウダー、フェノ−ルパウダーなどである。
【0018】前記水系樹脂としては、例えば水性系フェ
ノ−ルなどである。前記熱可塑性繊維としては、例えば
ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル
繊維、低融点ポリエステル繊維などである。また、その
他の結着剤としては、水硬化ウレタン樹脂、2液のエポ
キシ樹脂、、不飽和ポリエステル樹脂等が考えられる。
【0019】
【作用】本発明の繊維複合体は、ウエブをヒダ折りする
ことにより形成され、大部分の繊維が厚み方向に配向し
たヒダ折り構造のマット状の本体部と、この本体部を形
成するために、本体部の少なくとも一面側にステッチ加
工が施されることにより形成され、面方向に繊維が連結
して配向された編み目構造の表面部とよりなる。
【0020】このため、マット状の本体部の一面上およ
び他面上にステッチ加工によって、本体部と一体的に折
り込まれ若しくは編み込まれ、一面上および他面上に2
次元的に延びる表面部を形成する場合に、前記本体部に
厚み方向に加圧する作用力が加わり、圧縮されようとし
ても、大部分の繊維が厚み方向に配向したヒダ折り構造
により強い圧縮反力が発生し、前記ステッチ加工時に厚
みを減少する方向に圧縮されることによる空隙率の低下
を発生させない。
【0021】従って、本発明の繊維複合体によれば、マ
ット状の本体部の一面上および他面上に、いわゆる両面
ステッチの実用化が可能となる。なお、従来の場合に
は、積層されたウエブを、ウエブを構成する繊維を用い
てステッチすると、厚みが大幅に減少するため、特に両
面ステッチの実用化が困難である。また本発明の無機繊
維を含んだ繊維複合体は、さらに強度を増すための処理
工程時に、加熱された状態で、一旦、加圧圧縮し、繊維
同士を溶融した結着剤により結着するとともに、加圧を
解除すると、マット状の本体部自身の強い反力により素
早く自然拡厚し、ほほ元の厚みに回愎する。
【0022】さらに繊維複合体は、マット状の本体部の
少なくとも一面上に前記本体部と一体的に折り込まれ若
しくは編み込まれた一面上に2次元的に延びる表面部に
よって、繊維密度の高い表面層部分が形成されるため、
高い曲げ剛性を得ることができる。また前記表面部が形
成されない層部分は、繊維密度が低いため、この分、繊
維複合体を嵩高で軽くすることができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)本発明の繊維複合体の実施例1を図1〜図
4に基づいて説明する。図1に示される実施例1の繊維
複合体1は、予め用意され長手方向Yに配向した多数の
繊維21よりなるウエブ20(図2参照)をステッチ加
工でヒダ折りすることにより形成されるマット状の本体
部2と、ステッチ加工時に、前記本体部2とともにその
一面2a上および他面2b上に形成され、2次元的に延
びる多数のループ30よりなる編み目組織の表面部3a
および3bと、前記エマルジョンに含浸された後、加熱
し各有機繊維21を部分的に結着する有機樹脂と、より
なる。
【0024】マット状の本体部2を形成するウエブ20
は、有機繊維21として例えばデニール6d/f×繊維
長さ50mmのポリエステル繊維をカードでウエブ状に
したものである。また有機繊維21は、ウエブ20の形
成時にウエブ20の長手方向Yに配向するように配向処
理がなされている。このウエブ20は、厚み0.5mm
〜10mm、幅L1が100mm〜3000mmの長尺
状のものである。
【0025】このウエブ20は、Kunit機(マリモ
社製編機、図示せず、以下同様)によってマット状の本
体部2の一面2a側に相当する位置でステッチ加工が施
され本体部2と表面部3aとが形成された後、次いで、
Multiknit機(マリモ社製編機、図示せず、以
下同様)によってマット状の本体部2の他面2b側に相
当する位置でステッチ加工が施され表面部3bが形成さ
れる。
【0026】すなわち、ウエブ20を構成する有機繊維
21の一部を用い図に示される編針4によるステッチ
によりウエブ20がヒダ折りされ、折り畳まれながらマ
ット状の本体部2として形成されるとともに、本体部2
の一面2a側に編み込みまれ2次元的に延びる多数のル
ープ30よりなる編み目組織の表面部3aとがほぼ同時
に形成される。
【0027】このときウエブ20は、本体部2の厚みt
(図1、図3参照)にほぼ相当する間隔T1(図2に示
す前記長手方向Yとほぼ直交する幅方向Lに沿う折り曲
げ線X)位置毎に、交互に繰り返し折り曲げられて、本
体部2の一面2a側、同他面2b側に相当する位置にヒ
ダ折り部a、bが形成され、折り部aとbとの間に面状
部分cが形成される。
【0028】なお、形成される本体部2は、ウエブ20
を厚み方向にヒダ折りする長さ(図2に示す間隔T1)
を、目的に応じて種々設定することができる。また、ヒ
ダ折り部a、bの数は、本体部2の長手方向Yに対し、
5本/cm〜15本/cmに設定することができる。こ
の時、横方向の密度は、5.1コース/cmであった。
【0029】このようにしてマット状の本体部2が形成
されるとともに、その一面2a側位置に多数のループ3
0を編み込み、編み目組織の表面部3が形成される。ま
た、ヒダ折り後のウエブ20の大部分の有機繊維21は
図3に示されるように、厚みT方向に配向した状態とな
る。この後、前記場合とは、逆にマット状の本体部2
は、その他面2b側位置より、編針4の差し込み深さ量
を浅く制御した状態(先に形成された一面2a側位置の
表面部3aの編み目組織を崩さない状態)でウエブ20
を構成する有機繊維21を用いてステッチしながら、他
面2b側位置に多数のループ30を編み込み、編み目組
織の表面部3bが形成され、目付量平均350g/m2
で厚み約6mmのマット状体10(図3参照)が得られ
る。このマット状体10の各表面層は、ステッチ加工が
なされているため、厚み方向の中心層よりも密度が大き
いものとなっている。
【0030】次いで、このマット状体10は、別途、用
意されたSB(スチレン・ブタジェン樹脂)系のエマル
ジョン内に浸され、有機繊維21間にエマルジョンを含
浸させる。このとき、エマルジョンは、マット状体10
に対し前記密度の差により、その中心層の有機繊維21
より各表層の有機繊維21に多く付着する。この後、マ
ット状体1aより余分な量のエマルジョンを絞り出し、
固型分が300g/m2 になるように調整する。その
後、エマルジョンの溶媒成分を揮発、乾燥させ、厚み約
5mmの繊維複合体1(図3参照)を得た。
【0031】そして有機繊維21とSB(スチレン・ブ
タジェン樹脂)系の樹脂成分との重量比率が7:6の割
合の繊維複合体1が形成される。繊維複合体1は、前記
樹脂成分が中心層より多く付着した各表層が中心層より
固くなり、曲げ強さの大きい、理想的なサンドイッチ構
造となるため、3点曲げ試験機により測定した結果、1
8N/5cmの最大曲げ荷重を得られた。
【0032】実施例1の繊維複合体1によると、マット
状の本体部2は、長手方向Yに配向された有機繊維21
により構成されたウエブ20をヒダ折したヒダ折構造が
形成されていること、およびヒダ折り後のウエブ20の
大部分の有機繊維21が厚み方向Tに配向している。こ
のため、各有機繊維を結着後、加熱した状態で、例えば
温間プレスされて本体部2の厚みtを圧縮する方向に加
圧されたときの圧縮反力は、図7に示す従来のウエブ2
0eを多数、積層して形成されたマット状体2Eに比べ
大幅に増大することができる。
【0033】すなわち、前記従来のマット状体2Eの場
合には、その両面にステッチすると、圧縮反力が乏し
く、かつもともと厚みが薄いため、目的とする厚みおよ
び高い空隙率を備えた繊維複合体を得ることが困難であ
った。ここで実施例1の繊維複合体1によれば、前記ヒ
ダ折構造が形成されていること、およびヒダ折り後のウ
エブ20の大部分の有機繊維21が厚み方向Tに充分に
配向していることにより、圧縮反力が強く、加熱しても
十分な厚み(6mm〜8mm)が得られ、後で述べる自
動車等の天井材として成形時の賦形が容易である。この
ため、マット状の本体部2の両面に、前記ステッチ加工
を施す場合に付与される圧縮作用や、有機繊維21を結
着するための熱プレスによる加圧時に付与される圧縮作
用や、自動車の天井材としての成形に伴う再加熱に対し
て、厚み方向Tの縮み量を抑えることができ、かつ高い
空隙率を保持することができ、厚く、嵩高状態で軽いも
のとなる。
【0034】さらに、繊維複合体1は、一面2a側の表
面層および他面2b側の表面層が密で、前記両表面層の
間の中間層が粗い密度分布を構成するため、曲げ剛性に
優れる。また、前記実施例1では、マット状の本体部2
と表面部3とを、ステッチ加工により、同時に形成した
場合を説明したが、これに限定されるものではなく、ス
トルート・バチカル・ラッピング機(イタリアのリ・ス
カルト社製)を用いて、ウエブ20をヒダ折り加工して
マット状の本体部2を形成した後、その一面2a上およ
び他面2b上に、編針または編針と糸を用いてステッチ
加工することにより2次元的に延びる多数のループ30
よりなる表面部3を形成することもできる。
【0035】この繊維複合体1は、予備加熱および冷間
プレス加工を施し、目的とする形状の自動車等の天井材
として成形される。なお、天井材は、通常、前記成形
後、上下の表面に樹脂製フィルムを貼着し使用したり、
意匠表示側に、目的とする意匠表皮が貼着して用いられ
る。このようにして得られた天井材の厚みは、2mm〜
4.5mmであり、例えば厚みを4mmとした場合、3
点曲げ試験機により測定した結果、16N/5cmの最
大曲げ荷重を得られた。
【0036】前記実施例1の繊維複合体1の場合には、
その用途として自動車等の天井基材として用いる場合を
示したが、自動車用ドアトリム、クオータートリム、パ
ッケージトレイ等の成形基材としても用いることもでき
る。なお、前記実施例1の繊維複合体1の変形例とし
て、前記実施例1で形成されたマット状体10をSB
(スチレン・ブタジェン樹脂)系のエマルジョン内に浸
し、有機繊維21にエマルジョンを含浸させる代わり
に、液状の未硬化樹脂またはポリエチレンパウダー、フ
ェノ−ルパウダーなどのパウダ状樹脂を加えて、有機繊
維21に付着させ、有機繊維21と21とを部分的に結
着させても、前記実施例1の場合と同様の作用効果を得
ることができる。
【0037】(実施例2)前記図1、図3、図4を参照
するとともに、図5に基づいて実施例2の繊維複合体1
Aを説明する。実施例2の繊維複合体1Aは、図5に示
されるウエブ20Aが実施例1のウエブ20と異なるこ
と以外は、同様である。
【0038】すなわち、ウエブ20Aは、有機繊維21
としてデニール6d/f×繊維長さ50mmのポリエス
テル繊維と、無機繊維21aとしてφ13μ×繊維長さ
50mmのガラス繊維とを混合比2:1の比率で混合
し、カードでウエブ状にしたものを用いたこと以外は、
実施例1の場合と同じである。前記有機繊維21および
無機繊維21aは、ウエブ20Aの形成時にウエブ20
Aの長手方向Yに配向するように配向処理がなされてい
る。ウエブ20Aは、厚み1mm〜10mm、幅L1が
100mm〜4000mmの長尺状のものである。
【0039】そして前記ウエブ20Aの有機繊維21お
よび無機繊維21aを用いて実施例1と同じように、ス
テッチ加工することによりヒダ折り構造を備えたマット
状の本体2Aと、その一面2a上および他面2b上に2
次元的に延びる多数のループ30を編み込み、編み目組
織の表面部3aおよび3bとが形成され、目付量平均3
50g/m2 で厚み約6mmのマット状体10A(図3
参照)が得られる。このマット状体1aの一面2a側お
よび他面2b側の各表面層は、ステッチ加工がなされて
いるため、厚み方向の中心層よりも密度が大きいものと
なっている。
【0040】次いで、このマット状体10Aは、別途、
用意されたSB(スチレン・ブタジェン樹脂)系のエマ
ルジョン内に浸され、有機繊維21、無機繊維21aに
エマルジョンを含浸させる。このとき、有機繊維21、
無機繊維21aへのエマルジョンの付着量は、前記密度
の差によりマット状体10Aの中心層よりも各表層に多
く付着する。この後、マット状体10Aより余分な量の
エマルジョンを絞り出し、固型分が300g/m2 にな
るように調整する。
【0041】その後、エマルジョンの溶媒成分を揮発、
乾燥させ、厚み約6mmの繊維複合体1A(図3参照)
を得た。この繊維複合体1Aは、有機繊維21、無機繊
維21aとSB(スチレン・ブタジェン樹脂)系の樹脂
成分との重量比率が7:6の割合である。繊維複合体1
Aは、前記樹脂成分が中心層より多く付着した各表層が
中心層より固くなり、曲げ強さの大きい、理想的なサン
ドイッチ構造となるため、3点曲げ試験機により測定し
た結果、23N/5cmの最大曲げ荷重を得られた。
【0042】この繊維複合体1Aは、予備加熱および冷
間プレス加工を施し、目的とする形状の自動車等の天井
材として成形される。なお、天井材は、通常、前記成形
後、上下の表面に樹脂製フィルムを貼着し使用したり、
意匠表示側に、目的とする意匠表皮が貼着して用いられ
る。このようにして得られた天井材の厚みは、2mm〜
4.5mmであり、例えば厚みを4mmとした場合、3
点曲げ試験機により測定した結果、19N/4cmの最
大曲げ荷重が得られた。
【0043】(実施例3)前記図1、図3、図4を参照
するとともに、図6に基づいて実施例3の繊維複合体1
Bを説明する。実施例3の繊維複合体1Bは、実施例1
のウエブ20と異なり、図6に示されるように無機繊維
21bと、結着剤となる熱可塑性繊維21cを混入した
ウエブ20Bを用いたこと以外は、実施例1と同様であ
る。
【0044】すなわち、ウエブ20Bは、無機繊維21
bとしてφ10μ×繊維長さ50mmのガラス繊維と、
熱可塑性繊維21cとしてデニール6d/f×繊維長さ
50mmのオレフィン繊維とを同量比(重量比)で混合
し、カードでウエブ状にしたものである。前記無機繊維
21bと熱可塑性繊維21cとは、ウエブ20Bの形成
時にウエブ20Bの長手方向Yに配向するように配向処
理がなされている。ウエブ20Bは、厚み1mm〜10
mm、幅L1が100mm〜4000mmの長尺状のも
のである。 そして前記ウエブ20Bの無機繊維21b
および熱可塑性繊維21cを用いて実施例1と同じよう
に、ステッチ加工することによりヒダ折り構造を備え、
かつ無機繊維21bと熱可塑性繊維21cとの大分が
厚み方向に配向したマット状の本体2Bと、その一面2
a上および他面2b上に2次元的に延びる多数のループ
30を編み込み、編み目組織の表面部3aおよび3bと
が形成され、目付量平均700g/m2 で厚み約8mm
〜10mmのマット状体10B(図3参照)が得られ
る。このマット状体10の各表面層は、ステッチ加工が
なされているため、厚み方向の中心層よりも密度が大き
いものとなっている。
【0045】次いで、このマット状体10Bは、熱可塑
性繊維21cのメルティングポイント以上の温度、例え
ば200℃に予備加熱される。すると熱可塑性繊維21
cは、十分に溶融する。そして厚み約8mm〜10mm
のマット状体10Bを200℃の熱プレスにより、一
旦、加圧し、厚み約0.5mmに圧縮させる。このと
き、マット状体10B内の各無機繊維21bは、熱可塑
性繊維21cの溶融した成分により結着する。
【0046】次いで前記加圧を解除し、そのまま自然冷
却する。これに伴って、前記ヒダ折り構造と、大部分が
厚み方向に配向した無機繊維21bとにより、厚みが前
記圧縮状態より自然拡厚し、6mm〜8mmに復帰した
成形用基材としての繊維複合体1Bが形成される。この
繊維複合体1Bは、前記のように自然拡厚して十分な厚
み(6mm〜8mm)が得られるため、以下に示す賦形
が容易となる。
【0047】例えば、前記のようにして得られた繊維複
合体1Bは、目的とする形状の自動車等の天井材として
成形するための成形工程が施される。この成形工程で
は、繊維複合体1Bを約130℃に加熱した後、目的と
する形状のキャビティ面およびキャビティ空間を備え、
約50℃に加熱されたプレス型をもつ温間プレス装置に
よりプレス成形し、厚みが4mm〜5mmの前記形状の
天井材(成形品)が得られた。通常、得られ天井材には
意匠表皮が貼着される。
【0048】また別の方法として、加圧、圧縮し、素早
く冷却し、厚みを回愎しない状態でシートにすることも
できる。この場合には、天井材として成形する成形工程
において加熱(約130℃)した時に自然拡厚により6
mm〜8mm厚に回愎する。なお、このようにして得ら
れた天井材は、3点曲げ試験機により測定した結果、2
5N/5cmの最大曲げ荷重が得られた。
【0049】
【発明の効果】
(1)本発明の繊維複合体によると、マット状の本体部
は前記ヒダ折り構造により厚み方向の強度が増すため、
マット状の本体部の一面上あるいは一面上と他面上の2
面にステッチを施しても、厚みが大幅に減少することが
ない。すなわち、本発明の繊維複合体の場合には、特に
両面ステッチの実用化が困難であった従来の繊維複合体
のように、積層されたウエブを、ウエブを構成する繊維
を用いてステッチすると厚みが大幅に減少するものと、
構造的に異なり、従来困難であった両面ステッチが可能
となった。 (2)本発明の繊維複合体によると、前記ヒダ折り構造
をもつ本体部の少なくとも一面上で本体部と一体的に折
り込まれ若しくは編み込まれて形成され、面方向に繊維
が連結されて配向された編み目組織よりなり2次元的に
延びる表面部を備えているため、本体部を、さらに少な
くとも一面側の繊維密度を高くして強固に補強でき、製
造工程を経て得られた繊維複合体の曲げ剛性を高めこと
ができる。
【0050】前記2次元的に延びる表面部は、本体部の
一面側および他面側の両面にそれぞれ形成することもで
きる。この場合には、繊維複合体は、本体部の一面側お
よび他面側に繊維密度が高い表面層が形成され、両表面
層の間に繊維密度を低くした中間層が形成されたサンド
イッチ構造となる。前記繊維密度が高い表面層により繊
維複合体の曲げ剛性をより高めることができ、かつ繊維
密度を低くした中間層によって繊維複合体を嵩高で軽い
ものにすることができる。 (3)また本発明の繊維複合体は、前記ヒダ折り構造を
備えるため、構造的に厚み方向の強度が増し、例えば溶
融した結着剤により繊維同士を結着するための処理工程
時に、加熱された状態で、一旦、加圧圧縮した後、加圧
を解除すると、マット状の本体部自身の強い反力により
素早く自然拡厚し、ほぼ元の厚みに回愎する。
【0051】このため、従来のニードルパンチグ処理を
施すことなく、嵩高で軽くすることができ、ニードルパ
ンチグ処理を施こさない分、コストを低減できる。また
パンチング処理を施す必要がないため、パンチング処理
を施すことによる従来の不具合、すなわち、マット状物
表面に多数の孔が生じ、マット状体表面の水平方向の縦
弾性率を低下させ、製品の曲げ強度の低下を招き、かつ
このような繊維複合体を自動車用天井材として用いる場
合、慎重に取り付け作業を行う煩わしさことを解消でき
る。
【0052】また前記表面部が形成されない層部分は、
繊維密度が低いため、この分、繊維複合体を嵩高で軽く
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2、3の繊維複合体を斜視して示す
斜視図。
【図2】実施例1の繊維複合体に用いるウエブを示す斜
視図。
【図3】図1の繊維複合体の製造過程で形成されたマッ
ト状体を、説明上その長手方向に間隔を広げて示す斜視
図。
【図4】図3の繊維複合体の製造過程で形成されたマッ
ト状体において、ステッチ加工によりウエブをヒダ折り
したヒダ折り構造をもつマット状の本体部と、その一面
上に2次元的に延びる表面部とを形成する状態を示す側
面図。
【図5】実施例2の繊維複合体に用いるウエブを示す斜
視図。
【図6】実施例3の繊維複合体に用いるウエブを示す斜
視図。
【図7】従来の繊維複合体において、その厚さ方向に積
層されたウエブをステッチ加工し、その一面上にループ
を形成する状態を示す側面図。
【符号の説明】
1…繊維複合体 1a…マット状体 2…マット状の本体部 20…ウエブ 21…有
機繊維 21a…無機繊維 21b…
無機繊維 21c…熱可塑性繊維 3…2次元的に延びる表面部 30…ル
ープ a…一面側ヒダ折り部 b…他面
側ヒダ折り部 c…面状部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−263345(JP,A) 実開 平5−29742(JP,U) 実公 昭53−8782(JP,Y1) 特表 平8−509271(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 D04B 21/14 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウエブをヒダ折りし大部分の繊維が厚み方
    向に配向したマット状の本体部と、該本体部の少なくと
    も一面上に該本体部と一体的に折り込まれ若しくは編み
    込まれた該一面上に2次元的に延びる表面部とからなる
    繊維複合体であって、 結着材を含む前記繊維複合体を加熱状態で加圧圧縮し、
    溶融した前記結着材により繊維同士を結着した熱成形用
    基材であることを特徴とする 繊維複合体。
  2. 【請求項2】前記表面部は、ステッチ加工で形成されて
    いる請求項1記載の繊維複合体。
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