JP3449169B2 - 鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法及びこの方法に用いる溶鋼流速測定用検知棒 - Google Patents
鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法及びこの方法に用いる溶鋼流速測定用検知棒Info
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Description
において、タンディッシュから鋳造鋳型内に浸漬ノズル
を通じて注入される溶鋼の流速を連続的に直接測定する
ことができる溶鋼流速測定方法とこれに用いる検知棒の
改良に関し、さらに詳しくは溶鋼及び溶鋼パウダーに対
する溶損性を向上させることにより、測定精度の向上を
はたした技術に関する。
ィッシュから鋳造鋳型に浸漬ノズルを通じて溶鋼を分配
注入する工程が存在する。この工程では、鋳造鋳型内で
の溶鋼流速を管理することが重要である。これは次の理
由による。図2は、この工程における浸漬ノズル周辺の
断面構造の概念図を示している。図中1が水冷された鋳
造鋳型であり、その平面形状は図3に示すように短辺壁
1a,1bと長辺壁1c,1dを有する方形状である。
図中2は浸漬ノズル、図中3は溶融パウダーである。溶
融パウダーは、溶融金属表面の酸化防止、鋳造鋳型
と鋳片の間の潤滑、浮上した介在物の捕捉、溶融金
属の保温等の機能を担っている。
設けたものが一般的であり、例えば、図例の如く下部側
壁に2ヵ所の吐出口2a,2bを有し、これら吐出口2
a,2bから同量の溶融金属を吐出するように構成さ
れ、この吐出方向は鋳造鋳型内空間4の長手方向に一致
している。浸漬ノズル2から吐出される溶融金属は、鋳
造鋳型内における界面高さがほぼ同じ水準に維持される
ように管理されながら供給され、鋳造鋳型内に満たされ
た溶融金属は鋳造鋳型により抜熱され、冷却凝固した下
方側から連続的に引き抜くことで鋳片を連続的に得るこ
とを可能にしている。
ノズル2から溶鋼が注入されると、鋳造鋳型1の短辺壁
1a側に衝突した溶鋼流は、図2に示すように湯面方向
に向かう上昇流dと鋳造鋳型下方に向かう下降流eとに
分かれ、上昇流dは短辺壁1a近傍の湯面を図示する様
に盛り上げるとともに湯面の変動を引き起こす。この湯
面の変動は、溶融パウダーの厚みに影響を及ぼす。即
ち、溶融パウダー層3の厚みは溶鋼湯面の盛り上がり位
置で小さくなり、溶鋼湯面の下降位置で大きくなる。鋳
造速度が速くなると浸漬ノズルからの吐出流速も速くな
り、溶鋼の上昇流の速度が増大する。そして溶鋼の上昇
流の速度が増加すれば、溶鋼湯面の盛り上がり量が増加
し、それに伴い溶鋼湯面の波立ち頻度や上下変動量も大
きくなる。この結果、凝固シェルの厚みに変動や不均一
がもたらされノロ噛み疵、又は縦割れなどの鋳片の品質
上の問題が発生することになる。したがって連続鋳造設
備においては凝固シェルの厚みに変動や不均一をもたら
さないために鋳造鋳型内の溶鋼流速を管理することが重
要となる。
は、溶融パウダーの溶鋼中への巻き込み発生を抑制する
ことが重要であるが、これにも溶鋼流速が深く関係して
いる。溶融パウダー3は鋳造鋳型と鋳片との間の潤滑剤
として用いられるが、溶鋼流動が過剰である場合、この
パウダーが溶鋼中に巻き込まれる現象が生じる。そし
て、この結果、ノロ噛み疵などが発生し、鋳片の品質を
劣化させる。一方、鋳造鋳型内の溶鋼流動に淀みが発生
すると淀み部分の溶鋼温度が他の部分に比べて低下して
局所的に凝固シェルの成長が遅くなる。この結果、初期
凝固シェルの厚みが不均一となり、鋳片に作用する応力
に鋳造鋳型幅方向で相違が生じて、縦割れ疵などが発生
する。また溶鋼流動が不規則であると、パウダー層自体
がなくなるおそれもある。即ち、鋳造鋳型内に溶鋼を注
入するため溶鋼内に浸漬した耐火物製ノズルを用いる
が、この浸漬ノズルからの吐出流の影響で、鋳造鋳型内
の溶鋼流動が不規則となり、流速も一定ではなくなる。
このため、溶鋼表面(以下、湯面という)が波立つとと
もに上下に変動し、鋳造鋳型内の湯面温度が均一でなく
なり、湯面上に存在する溶融状態のパウダー層の一部の
厚みが薄くなったり、又はこの溶融パウダー層そのもの
がなくなる部分が生じたりする。この結果、溶融パウダ
ー層の上に存在する未溶融パウダーが溶鋼と接触し、溶
鋼中へ巻き込まれて捕捉される頻度が高まり、ノロ噛み
疵が発生する。また、湯面が変動すると溶鋼と鋳造鋳型
との間に侵入する溶融パウダー量が局所的に変わり、溶
鋼から鋳造鋳型への伝熱量が鋳造鋳型幅方向で均一とな
らず、凝固シェル厚みが不均一となり、縦割れ疵も発生
する。
固シェルの厚みに変動や不均一をもたらさないこと、
溶融パウダーの溶鋼中への巻き込み発生を抑制するこ
と、初期凝固シェルの成長を鋳造鋳型幅方向で均一化
すること、等が重要であるが、これらを可能にするうえ
においても鋳造鋳型内の溶鋼流動を制御することが必要
であり、そのためには溶鋼流速を正確に把握することが
不可欠である。このような溶鋼流速を測定する装置とし
て、同出願人の一人は特開平7−20139号公報(特
願平5−165817号)を既に出願している。この方
法は図4に示すように溶融金属中にその流れを横切るよ
うにして検知棒5を挿入浸漬し、図5に示すようにこの
検知棒5の下流側に放出されるカルマン渦の放出サイク
ルを、検知棒5に与えられる衝撃のサイクルによって検
出するものである。具体的には、この衝撃サイクルを検
知棒5に取り付けた歪ゲージ等の振動検知手段によって
図6に示すように測定し、この測定結果を予め求めてお
いた検知棒の振動数と溶融金属の流速との関係式に当て
はめることで溶融金属の流速を算出するものであり、こ
のような方法により時々刻々変化する溶鋼流速を連続測
定するものである。
の流速又は表面流の流速を直接測定することが可能とな
り、得られた測定データを制御系へフィードバックする
ことにより周辺装置を制御することができるようになっ
たばかりでなく、高速鋳造の最適条件を見出すための鋳
造鋳型内流速解析を行うことができるようになった。
定方法には解決すべき問題も残されていた。それは長時
間の連続測定を行った場合に、時間経過に伴って測定精
度が低下するというの問題である。測定精度の低下は次
の理由による。この測定方法では検知棒の後方で発生す
るカルマン渦の発生頻度を検知棒の振動数から求め、溶
鋼速度、検知棒の振動数及び検知棒の直径からなる無次
元の関係式により算出するのであるが、この算出結果の
信頼性を保証するためには、検知棒の直径に変化があっ
てはならない。しかし実際は、検知棒を、鋳造鋳型内の
溶鋼中に長時間浸漬させて溶鋼の流速を連続測定する場
合、検知棒は高温溶鋼及び溶融パウダーの流れに晒され
るため、検知棒はこれらによる侵食を受け徐々に痩せ細
る現象が生じ、この結果、検知棒の直径が不明となっ
て、無次元の関係式から求まる溶鋼流速が不正確とな
る。
鋼の上に存在する溶融パウダーとの接触箇所で集中的に
発生した場合、溶鋼流から受ける力により検知棒が折損
し、折損部分が鋳造鋳型内で成長する凝固シェルに捕捉
されて、鋳片に欠陥を発生させることが予想される。更
に折損部分が混入した箇所は冷却が遅れて、ブレーク・
アウト(規定時間内に測定が完了しないという現象)が
発生することも予測される。このように、検知棒の痩せ
細りは、溶鋼流速の測定精度の低下、鋳片の欠陥、更に
はブレークアウトの発生原因となるため避けねばなら
ず、検知棒の痩せ細りを避けるためには検知棒の耐溶損
性の向上が重要な課題となる。
のであり、溶鋼中に浸漬した検知棒の下流側に発生する
カルマン渦による検知棒の振動数から溶鋼流速を推定す
る溶鋼流速測定方法において、検知棒の耐溶損性を高め
ることにより時間経過に伴う測定精度の低下を防止せん
とするもので、具体的には耐溶損性に優れた検知棒用材
質を提案するものである。また合わせてこの材質を用い
た検知棒の最適寸法の範囲についても提案せんとするも
のである。
に本発明者等は、検知棒の耐溶損性について検討したと
ころ、耐溶損性について考察する場合、溶鋼に対する耐
溶損性と溶融パウダーに対する耐溶損性の両方に配慮す
る必要があり、検知棒としての耐久性はこれら双方に対
して有効なものでなければ意味がないとの結論にいたっ
た。そして、かかる条件を満たす材質を探究すると同時
に、この材質を用いた検知棒の最適寸法の範囲について
検討した結果、本発明を完成した。本発明の請求項1
は、一端を固定し、他端を自由端となした検知棒の自由
端側所定範囲を、溶鋼流を横切るようにして溶鋼中に浸
漬し、この検知棒の下流で発生するカルマン渦によって
生じる検知棒の振動を測定し、予め求めておいた検知棒
振動数と溶鋼流速との関係式に当てはめて鋳造鋳型内の
溶鋼流速を推定する方法において、前記検知棒の寸法
を、直径5〜30mm、長さ100〜400mmとな
し、且つ検知棒の材質を、 a)モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロ
ム、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム
のうちから選択される一種又は複数種の高融点金属を6
0〜80wt% b)ジルコニア、アルミナ、酸化イットリウム、シリ
カ、炭化珪素、窒化珪素のうちから選択される一種又は
複数種のセラミックスを10〜30wt% c)グラファイト又は窒化ホウ素の一方又は両方の混合
物10〜20wt% のa,b,cを主成分となした焼結体となしたことを特
徴とする鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法である。
流から受ける圧力が小さすぎるため溶鋼流が緩慢である
ときには、振動検出が困難となる。他方、直径が30m
mを越えると溶鋼流から受ける圧力が極めて大きくなる
うえに検知棒の重量も増すため、検知棒を吊り下げ支持
することが困難となる。検知棒の長さは通常は直径の7
倍以上に設定する。また検知棒がとりうる長さの範囲は
長さ100〜400mmである。これは、長さが100
mm未満であると検知棒重量が軽すぎて検出可能な振れ
幅の振動が得られず、他方、400mmを越えると検知
棒が溶鋼流から受ける圧力が過剰となるとともにその重
量も大きくなるため、吊り下げ支持することが困難とな
る。検知棒寸法の適正範囲は直径5〜30mm、長さ1
00〜400mmである。
高融点であること、溶鋼及び溶融パウダーに対する
耐溶損性に優れていること、製品である鋳片内に溶け
込んでも製品品質を劣化させないこと、溶鋼流に長時
間晒されても曲がったり折れたりしない充分な機械的強
度を有すること、成形が容易なこと、等が挙げられ
る。即ち、検知棒は溶鋼中に長期間浸漬されることか
ら、その耐熱性は溶鋼の温度、即ち鉄の溶融温度である
1550℃よりも高い必要がある。本発明ではおよそ2
000℃を目安にしている。また、棒状に加工しうる加
工性と、溶鋼流から受ける圧力や振動にも耐える粘りに
代表される機械的強度が要求される。
るとともにa成分である高融点金属は溶鋼に対する耐溶
損性に優れ、b成分であるセラミックスは溶融パウダー
に対する耐溶損性に優れる。即ち、a成分である高融点
金属は融点が高いため溶鋼に対する耐溶損性に優れてい
るるものの、酸化物である溶融パウダーに対しては耐溶
損性がやや劣る。溶融パウダーは溶鋼に比べて酸化反応
が強く、a成分である金属等を酸化腐食させやすい。ま
たa成分は金属であるため加工性に優れ且つ粘りもあ
り、検知棒の成形を容易となすとともに、検知棒として
必要な機械的強度を付与するのに寄与する。この目的に
叶うa成分の配合量は60〜80wt%である。60w
t%未満では溶鋼に対する耐溶損性が不足するうえに成
形も困難となり、且つ粘りも不足して脆くなる。また8
0wt%を越えると、相対的にb成分の配合量が減るた
め、溶融パウダーに対する耐溶損性が低下する。b成分
であるセラミックスは溶鋼及び溶融パウダーの両方に対
して耐溶損性に優れるものの、その反面、硬くて脆く、
加工性に劣る欠点がある。したがってその配合量が多す
ぎると検知棒の成形が困難となるとともに、粘りが低下
して長時間、溶鋼流に晒されたときに折損するおそれが
ある。これらのことからb成分であるセラミックスの配
合範囲は10〜30wt%に設定する。
は酸化防止剤であり、モリブデン等の高融点金属を酸化
性雰囲気から保護する。その配合量が高融点金属の配合
量に比較して少なすぎると酸化防止効果が劣り、他方、
多すぎると酸化防止剤自身の酸化により検知棒が痩せ細
る現象が生じる。これらのことからc成分の配合範囲は
10〜20wt%に設定する。
の後方でカルマン渦が規則的に発生し、その発生頻度に
応じた振動数を有する衝撃が検知棒に作用して検知棒が
振動する。この振動は振動検知手段により測定される。
検知棒の振動数と検知棒の直径及び溶鋼流速の間には、
無次元の関係式(ストローハル数)=(検知棒の振動
数)×(検知棒の直径)/(溶鋼流速)が存在すること
から、既知である検知棒の直径と、測定で得られた検知
棒の振動数から溶鋼流速が算出できる。検知棒の材質を
上記a,b,cを主成分となした焼結体としたことで溶
鋼及び溶融パウダーに対する耐溶損性が向上し、検知棒
の寿命が延びる。そしてこれらa,b,cのそれぞれの
成分は製品である鋳片内に混入しても鋳片の品質上の問
題を引き起こさない。また検知棒を直径5〜30mm、
長さ100〜400mmの寸法に規定したことにより緩
慢な溶鋼流に対しても十分な振動出力を得ることができ
る。
例に基づき説明する。図1は本発明の流速測定装置の要
部説明図である。本流速測定装置は、測定ロッド30と
振動検知手段としての歪ゲージ25及び図示外の演算器
とより構成され、測定ロッド30は更に検知棒11とこ
れを支持する支持棒20とより構成される。
主として用いられる。検知棒11は中実であってもよい
が、材料が同量である場合、機械的強度の観点からは中
空であることが好ましい。また中空であれば検知棒11
に熱電対を内装することも可能となり、吐出する溶融金
属の温度管理も行いながら検知棒11の溶損及び折損等
の異常事態の早期検知も同時に行うことができるように
なる。また検知棒11の先端形状は特に半球状である必
要はなく、一般的には平面加工で充分である。
長さ100〜400mmの範囲に選択する。検知棒11
の直径rは溶鋼流の検出感度に影響する。直径rが大き
いほど溶鋼流から受ける圧力が大きいことから緩慢な溶
鋼流でも十分大きい振動出力が得られる。また長さも検
出感度に影響する。検知棒11はその先端側30mm〜
180mmの範囲を溶鋼内に浸漬して使用する。
分な耐熱性及び耐蝕性(耐溶損性)を有する耐火物を選
択する。例えば、モリブデン60〜80wt%、ジルコ
ニア10〜30wt%、グラファイト10〜20wt%
を主成分とした焼結体が使用できる。モリブデンは高融
点(2630℃)であるとともに、溶鋼に対する耐溶損
性に優れ、粘りもあるうえ加工性にも優れることから使
用される。モリブデンの代わりに他の高融点金属を用い
ることもできる。他の高融点金属としては、例えばバナ
ジウム(融点:1835℃)、ニオブ(2520℃)、
タンタル(2990℃)、クロム(1890℃)、タン
グステン(3380℃)、マンガン(1244℃)、テ
クネチウム(2170℃)、レニウム(3180℃)な
どが挙げられる。これらは単独で使用しても、あるいは
合金の形で使用してもよい。コスト等を考えると、モリ
ブデンが現実的である。その配合量が80wt%を越え
ると溶融パウダーに対する溶損速度が増大し、また60
wt%未満になると溶鋼に対する溶損速度が増大するこ
とから、その適正な配合範囲は60〜80wt%の範囲
である。
ーに対する耐溶損性を向上させる目的で使用される。ジ
ルコニアに代えて他のセラミックスを用いることも可能
で、例えばアルミナ、酸化イットリウム、シリカ、炭化
珪素、窒化珪素などが挙げられる。これらは単独で使用
することも、あるいは複数種使用することもできる。配
合量が多すぎると検知棒の成形が困難となり、少なすぎ
ると溶融パウダーに対する耐溶損性が不十分となる。そ
の適正な配合範囲は10〜30wt%の範囲である。
デン等の高融点金属の酸化を防止する。その配合量の適
正範囲は10〜20wt%の範囲である。
ために行った試験について述べる。 (試験1)検知棒の素材である耐火物を変えて、溶鋼及
び溶融パウダーに対する溶損試験を行い、これらを比較
した。試験対象となる耐火物としては、高融点金属であ
るモリブデン及びタングステンのそれぞれのみからなる
もの、セラミックスであるジルコニア、アルミナのそれ
ぞれのみからなるもの、高融点金属とセラミックスの混
合焼結体であるボロン・ナイトライド、セラミックスと
酸化防止剤としてのグラファイトとの混合焼結体である
アルミナ・グラファイト、ジルコニア・グラファイト、
更に、高融点金属とセラミックス並びに酸化防止剤との
混合焼結体であるモリブデン・ジルコニア・グラファイ
トを取り上げた。溶損性は、溶鋼及び溶融パウダーの両
方に対して共に最も優れた耐溶損性を示したモリブデン
−10wt%ジルコニア−10wt%グラファイトの溶
損速度を1.0として、これに対する溶損指数で表し
た。これらの耐火物の溶損試験結果を表1に示す。尚、
溶損条件は以下のとおりとした。 検知棒直径:10mm 検知棒長さ:300mm 浸漬深さ:60mm 溶鋼:中炭素鋼 溶融パウダー:融点1100℃、塩基度1.2 試験温度:1550℃ 試験時間:5時間 試験結果を見るとモリブデン−10wt%ジルコニア−
10wt%グラファイトが溶鋼及び溶融パウダーに対す
る耐溶損性に最も優れていることは前述したとおりであ
り、溶鋼流速計の検知棒としては最も適している。また
アルミナ及びジルコニアも溶鋼及び溶融パウダーに対す
る耐溶損性に優れるが、これらセラミックスは加工性に
劣るうえに、脆くもあり、また急激な昇温に対してはク
ラックの発生するため予熱が必要となる等の理由から、
これらは単独では使用できない。また、モリブデン及び
タングステン等の高融点金属は加工性に優れ、溶鋼に対
して優れた耐溶損性を有するものの前記セラミックスと
比べると溶融パウダーに対する耐溶損性がやや劣る。ア
ルミナ・グラファイト、ジルコニア・グラファイトは溶
鋼及び溶融パウダーに対する耐溶損性に極めて優れるが
加工性が劣ることから検知棒の形成素材として使用でき
ない。
%ジルコニア−10wt%グラファイトが溶鋼及び溶融
パウダーに対する耐溶損性が最も良好であることが確認
された。次いで、モリブデン、ジルコニア、グラファイ
トの混合比を変えて溶損試験を行った。試験結果を表2
に示す。耐溶損性を比較するため、実施例1の場合と同
様にモリブデン−10wt%ジルコニア−10wt%グ
ラファイトの溶損指数を1.0として比較を行った。試
験条件は試験1と同じである。モリブデンは高融点金属
であるため溶鋼に対する耐溶損性が良好であることか
ら、モリブデンの含有量が高いほど溶鋼流速計の検知棒
として優れている。しかし、酸化物である溶融パウダー
に対して溶損されるため、これ単独では長時間の流速測
定は困難である。これらのことから、モリブデン、ジル
コニア、グラファイトの含有率を変えて各種耐火物を作
製し、溶鋼及び溶融パウダーに対する溶損試験を行い、
溶鋼流速計の耐火物としての適用の可否を検討した。
デンの含有量60〜80wt%、ジルコニアの含有量1
0〜30wt%、グラファイトの含有量10〜20wt
%である場合の耐溶損性が良好であり、溶鋼流速計の耐
火物として適していることが確認された。
度に与える影響を評価するため、モリブデン−10wt
%ジルコニア−10wt%グラファイトの耐火物製の検
知棒を直径及び長さを変えて複数種作製し、これら検知
棒のそれぞれについて流速測定精度についての試験を行
った。試験は溶解炉内の静止溶鋼中に溶鋼流速計を浸漬
させた後に流速計を回転させる実験を行い、回転速度か
ら算出した流速と流速計の測定値から求めた流速を比較
した。流速測定実験の条件は以下のとおりである。表3
に測定結果を示す。 溶鋼:中炭素鋼 溶融温度:1550℃ 溶解炉直径:500mm 検知棒の溶鋼中への浸漬深さ:20〜200mm 試験の結果、検知棒の直径5〜30mmで長さ100〜
400mmである場合の流速測定精度が±5%以内と小
さく、溶鋼流速計の検知棒として適した寸法であること
が判明した。
鋳造鋳型を用いて試験した。溶鋼流速計を実機鋳造鋳型
にセッティングして溶鋼流速を連続測定したところ、±
5%の範囲の精度を維持しつつ連続5時間の測定が可能
であった。またこのとき測定された溶鋼流速は15〜2
0cm/sであった。実機試験で適用した中炭素鋼スラ
ブの連続鋳造条件を以下に示す。 検知棒の組成:モリブデン−10wt%、ジルコニア−10wt%、グラファ イト 検知棒の直径:φ10mm 検知棒の長さ:300mm 検知棒の浸漬深さ:60mm 鋳造速度 :1.8m/min 鋳造鋳型幅(長辺側内のり長さ) :1250mm 鋳造鋳型厚み(短辺側中のり長さ)):250mm 鋳造鋳型長さ :900mm タンディッシュ内溶鋼加熱温度 :5〜40℃ 浸漬ノズル形状 :下向き30度、2孔タイプ 浸漬ノズル浸漬深さ :300mm 以上の試験結果から、本発明の溶鋼流速測定用検知棒
が、溶鋼及び溶融パウダーのいずれに対しても耐溶損性
に優れ、本検知棒は長時間の連続測定に耐えうるもので
あることが確認された。
に、支持棒20に装着して使用される。支持棒20は装
着部21、薄肉部22、固定部23とより構成され、検
知棒11は装着部21に装着したうえ筒状部材15を外
嵌することで支持棒20に着脱可能に取り付けられる構
成となっている。
持される部分であり、周辺の振動に影響されないように
昇降機構に強固に固定される。
部22の側面に貼りつけた歪ゲージ25,25によって
検知される。歪ゲージ25,25は薄肉部22の撓みを
検出し、この撓みの繰り返し周期から薄肉部22の振動
数、即ちカルマン渦による検知棒の周波数を検知できる
ように構成されている。振動検知手段としては歪ゲージ
25,25に代えてLED、赤外線更にはレーザー等を
用いた光学的変位計を用いることもできる。ただ溶鋼か
ら赤外線波長域の光が出ている場合には赤外線の使用は
好ましくない。また煙等の遮光性物質が存在する場合に
は、歪ゲージ25,25を用いる方が好ましい。
知棒11を支持棒に取り付けたうえ、支持棒の固定部2
3を図示外の昇降装置で把持して昇降させ、検知棒11
を溶融金属の流れの中にこの流れを横切るようにして位
置づけ、カルマン渦の放出に起因して繰り返し受ける衝
撃を振動周波数の形式で測定記録し、測定後あるいはリ
アルタイムに前記振動周波数から吐出流の流速Vを算出
する。振動周波数から溶融金属の流速の導出は、同じ測
定ロッドを用いて予め振動周波数fと流速Vとの関係式
を求めておき、この関係式に測定した振動周波数fを当
てはめて算出する。流速Vは計算上は、 V=a・f・D+b (但し、D:検知棒の直径、a,b:定数)で表され、
流速Vと周波数fとは直線関係にある筈であるが、実際
は歪ゲージを貼り付ける部分の剛性も関係するため直線
関係から外れる。このため、より精度が要求される場合
は測定ロッド30の種類が異なる毎に流速Vと振動周波
数f×検知棒の直径Dとの関係を示す検量線を求め、こ
の検量線を以後の実測定における振動周波数からの流速
算出に用いる。
棒の耐溶損性が溶鋼及び溶融パウダーの双方に対して高
まり、その寿命を大幅に延ばすことができる。したがっ
て鋳造鋳型内の溶鋼流速を長時間にわたり連続的に測定
することができるようになり、高品質な鋳片を製造する
ための鋳造鋳型内溶鋼流動の評価基準を得ることが可能
となり、また、この測定結果を溶鋼供給量の可変装置に
フィードバックさせて鋳造鋳型内の溶鋼流動を制御する
ことにより、高品質な鋳片の製造が可能となる。
造を示す説明図
す説明図
を行う基本原理の説明図
る様子を示す模式図
力との関係を示したグラフ
流 1 鋳造鋳型 1a,1b 短辺壁 1c,1d 長辺壁 2 浸漬ノズル 2a,2b 吐出口 3 溶融パウダー 4 鋳造鋳型内空間 5 検知棒 5a 長辺面 11 検知棒 15 筒状部材 20 支持棒 21 装着部 22 薄肉部 23 固定部 25 歪ゲージ 30 測定ロッド
Claims (3)
- 【請求項1】 一端を固定し、他端を自由端となした検
知棒の自由端側所定範囲を、溶鋼流を横切るようにして
溶鋼中に浸漬し、この検知棒の下流で発生するカルマン
渦によって生じる検知棒の振動を測定し、予め求めてお
いた検知棒振動数と溶鋼流速との関係式に当てはめて鋳
造鋳型内の溶鋼流速を推定する方法において、前記検知
棒の寸法を、直径5〜30mm、長さ100〜400m
mとなし、且つ検知棒の材質を、 a)モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロ
ム、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム
のうちから選択される一種又は複数種の高融点金属を6
0〜80wt% b)ジルコニア、アルミナ、酸化イットリウム(Y2
O3 )、シリカ、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(S
i3 N4 )のうちから選択される一種又は複数種のセ
ラミックスを10〜30wt% c)グラファイト又は窒化ホウ素の一方又は双方の混合
物10〜20wt%のa,b,cを主成分となした焼結
体となしたことを特徴とする鋳造鋳型内の溶鋼流速測定
方法。 - 【請求項2】 検知棒の材質が、モリブデン60〜80
wt%、ジルコニア10〜30wt%、グラファイト1
0〜20wt%を主成分とした焼結体としたことを特徴
とする請求項1記載の鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法。 - 【請求項3】 鋳造鋳型内の溶鋼に浸漬させ、溶鋼の流
れによって生ずる振動に基づいて溶鋼の流速を測定する
ための検知棒であって、その寸法が、直径5〜30m
m、長さ100〜400mmであり、且つその材質が、
モリブデン60〜80wt%、ジルコニア10〜30w
t%、グラファイト10〜20wt%を主成分とした焼
結体となしたことを特徴とする鋳造鋳型内の溶鋼流速測
定方法に用いる溶鋼流速測定用検知棒。
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---|---|---|---|
JP13002997A JP3449169B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法及びこの方法に用いる溶鋼流速測定用検知棒 |
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JP13002997A JP3449169B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 鋳造鋳型内の溶鋼流速測定方法及びこの方法に用いる溶鋼流速測定用検知棒 |
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JPH10319030A JPH10319030A (ja) | 1998-12-04 |
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---|---|---|---|---|
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1997
- 1997-05-20 JP JP13002997A patent/JP3449169B2/ja not_active Expired - Fee Related
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井口、川端、水上、花尾、川本、林、寺内,高速鋳造鋳型内のメニスカス流速測定,材料とプロセス,日本,日本鉄鋼協会講演会論文集,1997年,VOLUME 10,237 |
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WO2014079181A1 (zh) * | 2012-11-26 | 2014-05-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种钢液表面附近流速的连续测量装置和方法 |
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US9631958B2 (en) | 2012-11-26 | 2017-04-25 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | Device for measuring flow rate of steel melt near a surface of the steel melt |
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