JP2003266156A - 鋼の連続鋳造用ノズル - Google Patents

鋼の連続鋳造用ノズル

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JP2003266156A
JP2003266156A JP2002071586A JP2002071586A JP2003266156A JP 2003266156 A JP2003266156 A JP 2003266156A JP 2002071586 A JP2002071586 A JP 2002071586A JP 2002071586 A JP2002071586 A JP 2002071586A JP 2003266156 A JP2003266156 A JP 2003266156A
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thermal conductivity
powder line
steel
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Application number
JP2002071586A
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English (en)
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Masanori Ogata
昌徳 小形
Yukio Okawa
幸男 大川
Chikasuke Inoue
慎祐 井上
Toshio Horiuchi
俊男 堀内
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Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐スポーリング性および低抜熱性を有
し、内管稼動面へのアルミナ等の酸化物あるいは地金の
付着を防止し、安定操業や鋼の品質を向上させ得る連続
鋳造用ノズルを提供することを目的とする。 【解決手段】 パウダーライン部に、500℃における
熱伝導率が10〜30W/mKの材質を配設し、パウダ
ーライン部以外の本体部に、500℃における熱伝導率
が1〜15W/mKの材質を配設してなり、かつ本体部
よりもパウダーライン部の熱伝導率が高いことを特徴と
する鋼の連続鋳造用ノズル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造用の
ノズルに関し、更に詳しくは、ノズルを介してのモール
ドからの抜熱を大幅に抑制し、ノズル内管へのアルミナ
等の酸化物や地金の付着を防止し、安定操業や鋼の品質
向上に寄与し得る鋼の連続鋳造用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造に用いられるノズルとして
は、浸漬ノズルやセミノズル等が知られている。これら
の連続鋳造用ノズルは、モールドパウダースラグに接し
耐蝕性が非常に要求される“パウダーライン部”と、そ
れ以外の“本体部”とからなるのが一般的である。ま
た、パウダーライン部より下部の完全に溶鋼に浸漬して
いる“浸漬部”の耐蝕性が問われる場合には、本体部の
溶鋼に浸漬していない非浸漬部材質より耐蝕性の高い浸
漬部専用材質を配設することもある。
【0003】また、浸漬ノズルの場合、浸漬ノズルの上
部にコレクターノズルを使用することがあり、このコレ
クターノズルと接する“嵌合部”には、操業条件によっ
ては酸化による脆化を防止するため、嵌合部専用材質を
配設することもある。一方、本体部の非浸漬部に使用さ
れる材質をそのまま適用する場合も多い。更に、ノズル
の内管稼動面にアルミナ等の酸化物あるいは地金が付着
することが多く、これを防止するために、ノンカーボン
材質等の内管専用材質を配設することがあり、この部位
を“内管部”ともいう。
【0004】鋼の連続鋳造において、モールド内の溶鋼
に浸漬して使用される浸漬ノズル,セミノズルといった
連続鋳造用ノズルの材質について説明すると、該ノズル
のパウダーライン部には、主にジルコニア−黒鉛質の黒
鉛含有耐火物を、本体部には、アルミナ−黒鉛質,アル
ミナ−シリカ−黒鉛質,ジルコニア−黒鉛質,スピネル
−黒鉛質などの黒鉛含有耐火物が一般的に用いられてい
る。
【0005】しかしながら、これらの材質は、予熱が不
充分等の操業条件次第で、特に鋳造開始直後に“割れト
ラブル”を引き起こす場合がある。この“割れトラブ
ル”を回避するためには、従来では、熱膨張率が高い材
質の適用を避けることが有効と考えられてきた。また、
割れのトラブルを回避するための他の方法としては、黒
鉛の添加が有効であり、多量の黒鉛添加が行われてき
た。しかし、黒鉛は、高熱伝導特性を有するため、耐火
物を通じて、溶鋼の熱が外部に放散されやすいという欠
点を併せ持つ。
【0006】この高熱伝導特性のため、例えば浸漬ノズ
ルの場合、モールド内の溶鋼の熱が、浸漬ノズルの浸漬
部からパウダーライン部,本体部の非浸漬部へと伝わっ
て放散されることにより、モールド内の浸漬ノズル近傍
の湯面が冷やされ、モールドパウダーの滓化速度の低下
およびメニスカスにおける鋼の凝固特性の不均一化を引
き起こし、特に中炭素鋼では、鋳片の縦割れにつながる
場合があり、また、極低炭素鋼においても、ピンホール
やスリバー傷の一因となっていた。また、浸漬ノズルの
場合、ノズル中を流下する溶鋼の熱が、浸漬ノズルの本
体部材質を通じて外部に放散されやすいため、ノズル内
管稼動面へ地金あるいはアルミナ等の酸化物が付着しや
すいという問題があった。
【0007】前記浸漬ノズルの割れトラブルを防止し、
かつ、ノズルを介しての抜熱を抑制する手法として、従
来から主に構造面での改良が施されてきており、(1)本
体部に数mmのスリットを設けた構造とすること、(2)
パウダーライン部を断熱構造とすること、または、(3)
熱伝導率の低いノンカーボン材質をノズルの内管に配設
した構造とすること等が行われている。
【0008】例えば、前記(1)の具体例として、特開平
5−367号公報には、「材質として特定の粒度分布の
ジルコニア粒子を用い、浸漬ノズルの胴体部中に断熱ス
リットをほぼ全長に及んで同心状に形成すること」が開
示されている。また、前記(2)の具体例として、特開平
2−155546号公報には、「特定の耐火物原料から
なり、浸漬時にスラグ面と接触すると想定されるノズル
部分の少なくともスラグ上面近傍を含む領域(即ちパウ
ダーライン部)を断熱構造としたことを特徴とする連続
鋳造用浸漬ノズル」が開示されている。更に、前記(3)
の“熱伝導率の低いノンカーボン材質をノズルの内管に
配設した構造”としては、例えば特開2000−312
952号公報には、「溶融金属をモールド内に供給する
浸漬ノズルにおいて、1.5〜4.0W/mKの熱伝導
率を持ち内孔側に配設された内側耐火物と、この内側耐
火物の外側に配設され15〜28W/mKの熱伝導率を
持つ外側耐火物とで2層構造にしたことを特徴とする連
続鋳造用浸漬ノズル」が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)の“本体部材
質中に数mmの間隙を設けたスリット構造とすること”
や前記(3)の“内管にノンカーボン材質を配設した構
造”によれば、ノズル内を流下する溶鋼からの熱に対し
て、程度の差は別として断熱効果が認められる。しか
し、モールド内の溶鋼からの抜熱に関しては、内管材や
スリットの数倍の厚みを有する本体部材質及びパウダー
ライン材質の熱伝導率が高ければ、ノズル全体としての
抜熱抑制効果が発現し難くなるという問題があった。ま
た、前記(2)の“パウダーライン部を断熱構造とするこ
と”だけでは、ノズル全体としての断熱効果が発現し難
い。
【0010】本発明者等は、上記問題点を解決すること
を意図して鋭意検討した結果、本発明を完成したもので
あって、本発明の目的は、内管部材質のみならず、本体
部材質を低熱伝導化することにより、ノズルを介しての
モールドからの抜熱を大幅に抑制し、ノズル内管部への
アルミナ等の酸化物や地金の付着を防止し、鋳片品質の
向上に寄与する鋼の連続鋳造用ノズルを提供することで
ある。また、垂直方向における温度勾配が最も大きい部
位、即ち、パウダーライン部に高熱伝導材質を配設する
ことで、耐スポーリング特性も兼ね備えた鋼の連続鋳造
用ノズルを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、ノズルのパウダーライン部及び本体部を構成す
る材質として、それぞれ特定範囲の熱伝導率を有するも
のを用いることによって、上記問題点を解決し得ること
を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本
発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルは、 ・パウダーライン部に、500℃における熱伝導率が1
0〜30W/mKの材質を配設し、パウダーライン部以
外の本体部に、500℃における熱伝導率が1〜15W
/mKの材質を配設してなること(請求項1)、 ・前記パウダーライン部の材質の熱伝導率が、前記本体
部の材質の熱伝導率よりも高いこと(請求項2)、 ・パウダーライン部に前記材質を配設する手段として、
ノズルの全長を“L0”,パウダーライン部の長さを
“L1”,ノズルの厚みを“t0”,パウダーライン部の
厚みを“t1”としたとき、「L1/L0=0.1〜0.
6」,「t1/t0=0.4〜1.0」とすること(請求
項3)、を特徴とし、これによって、前記目的とする鋼
の連続鋳造用ノズルを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
するが、それに先立って、本発明について、作用効果を
含めて、詳細に説明する。本発明の連続鋳造用ノズル
は、パウダーライン部と本体部がそれぞれ特定の熱伝導
率を有する材質からなることを特徴とするものである。
即ち、本発明のノズルは、本体部の材質を低熱伝導化す
ることにより、ノズルを介してのモールドからの抜熱を
大幅に抑制し、ノズル内管へのアルミナ等の酸化物や地
金の付着の防止、および、鋳片品質の向上させ、また、
垂直方向における温度勾配が最も大きい部位、即ちパウ
ダーライン部に高熱伝導材質を配設することで、耐スポ
ーリング特性をも兼ね備えたものである。
【0013】更に詳述すると、例えば浸漬ノズルにおい
て、モールド内の溶鋼に完全に浸かっている浸漬部は、
垂直方向の温度勾配が殆どない。また、浸漬部の直上に
配設されたパウダーライン部においては、下部は溶鋼中
に浸漬しているが、中部は、モールドパウダーに接して
いるため、溶鋼より温度が低く、さらに上部は、大気に
曝されているため、中部より温度が低下している。それ
故に、パウダーライン部材内の垂直方向の温度勾配は、
“下部が高く上部が低い”勾配となっている。更に、パ
ウダーライン部より上部の本体部は、完全に大気に曝さ
れているため、操業条件によっては、多少パウダーライ
ン部からの熱伝導により本体部の下部は温度が高めな場
合もあるが、基本的に本体部材内の垂直方向の温度勾配
は、僅かである。
【0014】つまり、垂直方向における温度勾配が最も
大きい部位、即ちパウダーライン部に高熱伝導材質を配
設するで、最終的な温度勾配に到達する時間および温度
勾配自体を低減し、耐スポーリング特性を確保すること
が可能になる。その上で、耐スポーリング特性を特に要
求されない部位には、浸漬ノズルを介する抜熱を低減す
るために、低熱伝導材質を配設することで、ノズル内管
へのアルミナ等の酸化物や地金の付着、および、鋳片品
質の向上に寄与するものである。
【0015】すなわち、本発明に係る鋼の連続鋳造用ノ
ズルは、垂直方向における温度勾配が最も大きい部位、
即ちパウダーライン部に高熱伝導材質を配設し、垂直方
向における温度勾配が比較的小さい本体部に低熱伝導材
質を配設することで、耐スポーリング特性および低抜熱
特性を両立させたものである。
【0016】本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルにおい
て、垂直方向における温度勾配が最も大きい部位、即ち
パウダーライン部には、500℃での熱伝導率が10〜
30W/mKの材質を配設する。なお、この熱伝導率が
10W/mK未満では、耐スポーリング特性に劣り、ま
た、30W/mKを超えると、パウダーライン部の抜熱
が過剰となり、ノズル全体としての低抜熱特性を具備で
き難くなる。好ましくは500℃での熱伝導率が10〜
25W/mKの範囲である。このような熱伝導率を有
し、且つパウダースラグへの耐食性に優れた材質の組成
としては、ZrO250〜98質量%,カーボン:2〜
30質量%,その他の原料:20質量%以下が好まし
い。
【0017】本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルにおい
て、垂直方向における温度勾配が比較的小さい部位、即
ち本体部(浸漬部を含む)には、500℃での熱伝導率が
1〜15W/mKの材質を配設する。なお、この熱伝導
率が15W/mKを超えると、低抜熱特性を具備でき難
くなり、また、1W/mK未満では、いくら垂直方向に
おける温度勾配が比較的小さい部位といえども、耐スポ
ーリング性に劣ることとなる。好ましくは500℃での
熱伝導率が2〜10W/mKである。このような熱伝導
率の材質の組成としては、Al23:10〜70質量
%,SiO2:20〜80質量%,カーボン:5〜30
質量%が好ましく、特に予熱条件が悪く、熱スポーリン
グが生じやすいときには、カーボン:10〜25質量%
がより好ましく、更に好ましくはカーボン:15〜25
質量%である。
【0018】本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルの好ま
しい実施形態は、本体部とパウダーライン部が前記した
各熱伝導率を有し、かつ本体部よりもパウダーライン部
の熱伝導率が高い材質を配設したノズルである。また、
本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルは、パウダーライン
部および本体部の両方の1000℃における熱膨張率が
0.1〜1.0%であるのが好ましい。0.1未満で
は、現実的にはフラックスを多量に添加しなければなら
ず、そのため耐溶損性が低下する。また、1.0%を超
えると、割れの問題が発生する可能性があるので、いず
れも好ましくない。
【0019】次に、パウダーライン部の配設手段につい
て、図5および図6を参照しながら説明すると、本発明
の好ましい実施形態において、パウダーライン部の配設
手段としては、ノズルの全長を“L0”,パウダーライ
ン部の長さを“L1”,ノズルの厚みを“t0”,パウダ
ーライン部の厚みを“t1”とすると、図5に示す浸漬
ノズルおよび図6に示すセミノズルの場合は、「L1
0=0.1〜0.6」「t1/t0=0.4〜1.0」が
好ましい。
【0020】なお、本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズル
が、例えば浸漬ノズルである場合、そのノズルの内管材
には、本体部材質とは別材質の例えばノンカーボン材質
を配材することが可能であり、また、公知の断熱スリッ
ト構造とすることも可能である。
【0021】ここで、前記“従来の技術”の項で挙げた
先行技術と本発明とを対比することで、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0022】本発明に関連する、ノズルを介しての抜熱
を抑制する先行技術としては、前掲の特開平5−367
号公報があり、これには、「浸漬ノズルの胴体部中に断
熱スリットをほぼ全長に及んで同心状に形成する構造」
が開示されている。しかし、これは、材質的には、浸漬
ノズルのパウダーライン部における耐蝕性向上のため、
主にジルコニア粒子の粒度分布を規定したものであり、
これと断熱スリット構造とを組み合わせたものである。
前掲の特開平2−155546号公報には、「浸漬時に
スラグ面と接触すると想定されるノズル部分の少なくと
もスラグ上面近傍を含む領域を断熱構造とした連続鋳造
用浸漬ノズル」が開示されているが、この公報で開示さ
れている断熱構造領域は、スラグ上面近傍であり、これ
は、パウダーライン部に相当する領域である。また、前
掲の特開2000−312952号公報には、「溶融金
属をモールド内に供給する浸漬ノズルにおいて、1.5
〜4.0W/mKの熱伝導率を持ち内孔側に配設された
内側耐火物と、この内側耐火物の外側に配設され15〜
28W/mKの熱伝導率を持つ外側耐火物とで2層構造
にしたことを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル」が開示
されている。すなわち、この公報には、熱伝導率の低い
ノンカーボン材質をノズルの内管に配設した構造を示し
ている。
【0023】以上のとおり、上記3公報に記載の技術
は、いずれも、本発明の「パウダーライン部に比較的高
熱伝導材質(500℃での熱伝導率が10〜30 W/mKの材質)
を、本体部に低熱伝導材質(500℃での熱伝導率が1〜15
W/mKの材質)を配設することにより、耐スポーリング特
性を考慮した上で、ノズル全体として低熱伝導特性を発
現させる」という技術思想と異なるものである。
【0024】次に、本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズル
の配設例について、図1〜4を参照しながら説明する。
【0025】図1は、本発明の一実施形態である浸漬ノ
ズルの配設例を示す図であって、(3)のパウダーライン
部に「500℃での熱伝導率が10〜30 W/mKの材質」を配設
し、(1)の本体部(嵌合部),(2)の本体部(非浸漬部)およ
び(4)の本体部(浸漬部)に「500℃での熱伝導率が1〜15
W/mKの材質」を配設したものである。図2は、図1と同
様の浸漬ノズルの配設例であるが、(5)で示す内管部に
ノンカーボン材質を配材し、これと組み合わせた例であ
る。
【0026】図3は、本発明の他の実施形態であるセミ
ノズルの配設例を示す図であって、(2)の本体部(非浸漬
部)および(4)の本体部(浸漬部)に「500℃での熱伝導率
が1〜15 W/mKの材質」を配設したものである。図4は、
図3と同様のセミノズルの配設例であるが、(5)で示す
内管部にノンカーボン材質を配材し、これと組み合わせ
た例である。なお、図1〜4は、本発明に係る鋼の連続
鋳造用ノズルの好適な配設例を示したものであるが、本
発明は、これらに限定されるものではない。
【0027】ここで、本発明のノズルを使用した鋼の連
続鋳造を図7,図8に示す。図7は、前記図1に示す浸
漬ノズルを使用した鋼の連続鋳造の概念図であり、図8
は、前記図3に示すセミノズルを使用した鋼の連続鋳造
の概念図である。図中、(2)は本体部(非浸漬部),(3)は
パウダーライン部,(4)は本体部(浸漬部),(6)は溶鋼,
(7)はモールドパウダー,(8)はモールドである。溶鋼
(6)は、図7,図8に示すように、ノズルを通って、モ
ールド(8)内に連続注入される。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明に係る鋼の連続鋳造用ノズルについて、具体的に
説明する。
【0029】(実施例1〜6,比較例1〜6)表1に示
す(1)〜(11)の材質[500℃での熱伝導率(W/mK)
が特定の値を有する材質]を使用し、表2(実施例)およ
び表3(比較例)に示す材質の配設組み合わせで浸漬ノズ
ルを製造した。各ノズルは、表1に示す材質を使用して
ノズル形状に成形した後、還元雰囲気中1100℃で3
時間焼成することにより得たものである。
【0030】表1〜3中の熱伝導率「500℃での熱伝
導率(W/mK)」は、熱流法により測定したものであ
り、具体的には、円柱状の試料の一端に取り付けたヒー
ターより熱流を流し、この時、試料に生じた温度勾配よ
り求める方法で測定した。表2,表3中の各ノズルの耐
スポーリング特性は、実機スラブ連鋳機にて評価したも
のであって、使用中の浸漬ノズルの“割れの有無”で評
価した。また、各ノズルの熱伝導特性については、同じ
く実機スラブ連鋳機にて評価したものであって、浸漬ノ
ズルの本体部外周面温度を測定することにより評価し
た。さらに、浸漬ノズル内管へのアルミナ系酸化物およ
び地金の付着量を測定し、表2,表3に示した。
【0031】表2,表3に示す“実機鋳造時の結果に基
づく総合評価”は、以下の基準で評価した。「 ◎」:浸漬ノズルの本体外周面温度が900℃以下で、
かつ耐スポーリング性に問題無いもの。「 ○」:本体外周面温度が1000℃以下で、かつ耐スポ
ーリング性に問題無いもの。「 ×」:本体外周面温度が1000℃を超え低熱伝導特性
が認められないもの、または、耐スポーリング性に問題
がある、即ち割れたもの。
【0032】更に、鋳片品質を調査した結果を表2,表
3に示す。この鋳片品質の評価は、極低炭素鋼および中
炭素鋼の鋳造試験に基づき行った。そして、極低炭素鋼
鋳造の場合、鋳片1枚あたりの“平均介在物個数”を調
査し、また、中炭素鋼鋳造の場合、鋳片1枚あたりの
“平均縦割れ箇所”を調査し、その結果を表2,表3に
示した。なお、極低炭素鋼および中炭素鋼の鋳造試験
は、いずれも同一のスラブ連鋳機を用いた。
【0033】また、鋳片品質に関する総合評価を以下に
示す判断基準により評価し、表2,表3に示した。 ・極低炭素鋼の場合:「 ◎」:鋳片1枚あたりの平均介在物個数が3個以下であ
り、非常に良好なもの。「 ○」:鋳片1枚あたりの平均介在物個数が4〜10個で
あり、ほぼ許容範囲内であるもの。「 ×」:鋳片1枚あたりの平均介在物個数が11個以上の
もの。 ・中炭素鋼の場合:「 ◎」:鋳片1枚あたりの平均縦割れ箇所が1ヵ所未満の
もの。「 ○」:鋳片1枚あたりの平均縦割れ箇所が1〜3箇所の
もの。「 ×」:鋳片1枚あたりの平均縦割れ箇所が3箇所を超え
るもの。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】上記表2,表3に示す評価試験結果から、
浸漬ノズルの本体外周面温度と、介在物個数及び縦割れ
数に相関関係があることが認められた。これは、浸漬ノ
ズルの本体外周面温度が低いということは、浸漬ノズル
を介しての抜熱が少ないということであり、これによ
り、極低炭素鋼の場合、メニスカスの温度が確保され、
鋼中介在物が浮上しやすくなったため、鋳片品質の向上
につながったと推測される。また、中炭素鋼の場合、浸
漬ノズル近傍のメニスカスの温度低下を抑制したため、
凝固シェルが均一冷却され、縦割れの減少につながった
と推測される。つまり、本評価試験結果から、浸漬ノズ
ルを介しての抜熱を抑制することで、鋳片品質が向上す
ることが確認され、その抜熱抑制手法としては、耐スポ
ーリング特性を考慮すると、実施例1〜6のノズルで明
らかなように、パウダーライン部に500℃での熱伝導
率が10〜30W/mKの材質を配設し、本体部に50
0℃での熱伝導率が1〜15W/mKの材質を配設する
ことが有効であることが判明した。
【0038】(実施例7〜11,比較例7〜9)パウダ
ーライン部の配設手段について検討した結果を表4に示
す。表4中の実施例7〜11,比較例7〜9は、前記表
2中の実施例1の配設例、つまり本体部の非浸漬部およ
び浸漬部に材質(5)を、パウダーライン部に材質(8)を
配設し、このパウダーライン部の長さ“L1”および厚
み“t1”を変更して検討したものである。実機浸漬ノ
ズル形状に試作したものを、高周波誘導炉内の1600
℃の溶鋼中に浸漬し、更にノズル上部より溶鋼を注入し
て、「ノズルの割れの有無」および「ノズル内管への地
金の付着厚み(mm)」を調査した。
【0039】
【表4】
【0040】表4から、「L1/L0=0.1〜0.6」
で、かつ「t1/t0=0.4〜1.0」の範囲内である
実施例7〜11は、ノズルの割れおよび内管への地金の
付着はなく、良好であることがわかる。これに対して、
上記範囲から外れる比較例7および比較例8は、それぞ
れパウダーライン部が短いこと(比較例7)、薄いことに
より(比較例8)、ノズルが割れる結果となった。逆に、
比較例3は、パウダーライン部が長すぎることにより、
ノズル全体としての低熱伝導性が具備できなくなり、ノ
ズル内管へ地金が付着する結果となった。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、「パウ
ダーライン部に、500℃における熱伝導率が10〜3
0W/mKの材質を配設し、パウダーライン部以外の本
体部に、500℃における熱伝導率が1〜15W/mK
の材質を配設してなること」を特徴とし、これにより、
優れた耐スポーリング性および低抜熱性を有し、内管稼
動面へのアルミナ等の酸化物あるいは地金の付着を防止
し、安定操業や鋼の品質向上に寄与する鋼の連続鋳造用
ノズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である浸漬ノズルの配設例
を示す図である。
【図2】本発明による他の浸漬ノズルの配設例を示す図
である。
【図3】本発明の他の実施形態であるセミノズルの配設
例を示す図である。
【図4】本発明による他のセミノズルの配設例を示す図
である。
【図5】浸漬ノズルにおけるパウダーライン部の配設範
囲を示す図である。
【図6】セミノズルにおけるパウダーライン部の配設範
囲を示す図である。
【図7】浸漬ノズルを使用した鋼の連続鋳造の概念図で
ある。
【図8】セミノズルを使用した鋼の連続鋳造の概念図で
ある。
【符号の説明】
(1) 本体部(嵌合部) (2) 本体部(非浸漬部) (3) パウダーライン部 (4) 本体部(浸漬部) (5) 内管部 (6) 溶鋼 (7) モールドパウダー (8) モールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 慎祐 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 (72)発明者 堀内 俊男 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パウダーライン部に、500℃における
    熱伝導率が10〜30W/mKの材質を配設し、パウダ
    ーライン部以外の本体部に、500℃における熱伝導率
    が1〜15W/mKの材質を配設してなることを特徴と
    する鋼の連続鋳造用ノズル。
  2. 【請求項2】 前記パウダーライン部の材質の熱伝導率
    が、前記本体部の材質の熱伝導率よりも高いことを特徴
    とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造用ノズル。
  3. 【請求項3】 パウダーライン部に前記材質を配設する
    手段として、ノズルの全長を“L0”,パウダーライン
    部の長さを“L1”,ノズルの厚みを“t0”,パウダー
    ライン部の厚みを“t1”としたとき、「L1/L0
    0.1〜0.6」,「t1/t0=0.4〜1.0」とす
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼
    の連続鋳造用ノズル。
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