JP3448710B1 - コンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法 - Google Patents

コンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法

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JP3448710B1 JP2002357917A JP2002357917A JP3448710B1 JP 3448710 B1 JP3448710 B1 JP 3448710B1 JP 2002357917 A JP2002357917 A JP 2002357917A JP 2002357917 A JP2002357917 A JP 2002357917A JP 3448710 B1 JP3448710 B1 JP 3448710B1
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Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、簡易な方法からなるコンドロイチ
ン硫酸ナトリウムの製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明のコンドロイチン硫酸ナトリウム
の製造方法は、つぎの工程を含む方法である。軟骨をア
ルカリ処理する工程2、およびアルカリ処理したものを
塩析する工程4である。これにより、高分子タンパク質
と脂質を分離除去することができる。アルカリは、Na
OHであることが好ましい。アルカリは、0.1〜2N
の範囲内にあることが好ましい。NaClの共存下でア
ルカリ処理することが好ましい。NaClにより塩析す
ることが好ましい。NaClは、3〜5Mの範囲内にあ
ることが好ましい。塩析の工程4の後に、ろ液にアルコ
ールを添加してコンドロイチン硫酸ナトリウムを析出す
ることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンドロイチン硫
酸ナトリウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンドロイチン硫酸ナトリウムは、グル
コロン酸とN−アセチルガラクトサミンの二糖繰り返し
構造を基本とし、そのN−アセチルガラクトサミンに硫
酸基が結合した構造を有している。現在、コンドロイチ
ン硫酸ナトリウムは、主な原料であるサメのヒレや子牛
の鼻中隔軟骨などから生産されている。しかし、サメの
資源量が少ないこと、子牛の鼻中隔軟骨は感染症(狂牛
病)の危険性など原料の安全性に問題があり、いずれも
安価な原料を安定化して確保することが困難な状況にあ
る。そこで、サケの頭部から得られる鼻軟骨が最近注目
されている。
【0003】コンドロイチン硫酸ナトリウムがインフル
エンザウィルスや単純ヘルペスウィルスなど多数のウィ
ルス細胞への感染を阻害することは、ヒト免疫不全ウィ
ルス(HIV)の出現以前から知られていた。
【0004】このように、コンドロイチン硫酸ナトリウ
ムには多様な生理活性や物性が認められることから、抗
炎症剤などの医薬品をはじめ、保湿剤として化粧品ある
いは目薬として利用されている。
【0005】軟骨からのコンドロイチン硫酸ナトリウム
の製造方法としては、種々の方法が提案されている。以
下にそれを示す。
【0006】サケ頭部より鼻軟骨を採取し、これを細切
りする。鼻軟骨に含まれるタンパク質を分解するため
に、NaOH水溶液中で加熱処理した後、タンパク分解
酵素を添加して加熱処理する。冷却後遠心分離して、分
解処理で生じた低分子化夾雑物とコンドロイチン硫酸ナ
トリウムを含む上澄みを得る。この上澄みを連続多段限
外ろ過処理してコンドロイチン硫酸ナトリウムの濃縮と
精製を同時に行う方法が提案されている(例えば、。特
許文献1参照。)
【0007】サケの鼻軟骨を粉砕する。これを、タンパ
ク質を分解するために、NaOH水溶液中で加熱処理し
た後、タンパク質分解酵素を添加して加熱処理する。消
化液を遠心分離し、上澄みをろ過する。ろ液にアルコー
ルを加え、沈殿物を回収する。沈殿物を脱イオン水に溶
かし、これを陽イオン交換樹脂処理し、さらに透析を行
う方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文
献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−273102号公報
【特許文献2】特開2001−231497号公報
【特許文献3】特開2001−247602号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法で
は、コンドロイチン硫酸ナトリウムを精製するために、
連続多段限外ろ過処理を行うか、または陽イオン交換樹
脂処理し、さらに透析を行う必要があった。これらの方
法は、高価な設備が必要であったり、煩雑な工程を経る
ために長時間を要するといった問題がある。
【0010】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、簡易な方法からなるコンドロイチン硫酸
ナトリウムの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のコンドロイチン
硫酸ナトリウムの製造方法は、つぎの工程を含む方法で
ある。軟骨をアルカリ処理する工程、およびアルカリ処
理したものを塩析する工程である。これにより、高分子
タンパク質と脂質を分離除去することができる。
【0012】ここで、軟骨は、魚類の軟骨であることが
好ましい。また軟骨は、サケの鼻軟骨であることが好ま
しい。アルカリは、NaOHであることが好ましい。ア
ルカリは、0.1〜2Nの範囲内にあることが好まし
い。NaClの共存下でアルカリ処理することが好まし
い。NaClは、1〜2Mの範囲内にあることが好まし
い。NaClにより塩析することが好ましい。NaCl
は、3〜5Mの範囲内にあることが好ましい。塩析の工
程の後に、ろ液にアルコールを添加してコンドロイチン
硫酸ナトリウムを析出することが好ましい。
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、コンドロイチン硫酸ナトリウムの製
造方法について説明する。
【0016】図1は、本発明のコンドロイチン硫酸ナト
リウムの製造方法の工程を示すフロー図である。各ブロ
ックに付した番号は、工程の番号である。工程の順に沿
って説明する。
【0017】第1の工程では、原料である軟骨を粉砕す
る。原料である軟骨としては、サケの鼻軟骨を使用す
る。軟骨は、このサケの鼻軟骨に限定されない。このほ
か、サメのヒレ、サメの背骨軟骨、エイのヒレ、エイの
頭部軟骨などの全ての魚類の軟骨、その他子牛の鼻中隔
軟骨、コンドロイチン硫酸を含有するすべての軟骨を採
用することができる。
【0018】サケの鼻軟骨は、肉挽機により粉砕する。
鼻軟骨の粉砕は、肉挽機によるものに限定されない。粉
砕方法としては、このほか、抽出釜の中での撹拌磨砕な
どを採用することができる。
【0019】鼻軟骨は粉砕することにより、1〜10m
mの範囲の大きさにすることが好ましい。大きさが1m
m以上であると、溶液が良くなるという利点がある。大
きさが10mm以下であると、抽出時間が早くなるとい
う利点がある。
【0020】第2の工程では、粉砕した軟骨をアルカリ
処理する。粉砕した軟骨を、アルカリと食塩の混合水溶
液中で撹拌し、所定時間加熱処理する。
【0021】アルカリとしては、苛性ソーダ(NaO
H)を使用する。アルカリはNaOHに限定されない。
このほか、苛性カリウムなどを採用することができる。
【0022】アルカリの濃度は、0.1〜2Nの範囲内
にあることが好ましい。アルカリの濃度が0.1N以上
であると、コンドロイチン硫酸とタンパク質の共有結合
がβ−脱離反応により切断されるという利点がある。ア
ルカリ濃度が2N以下であると、タンパク質の過度の分
解を防ぎ、コンドロイチン硫酸ナトリウムとタンパク質
を切断することができる。
【0023】アルカリの濃度は、0.1〜1Nの範囲内
にあることがさらに好ましい。アルカリの濃度がこの範
囲内にあると、上述の効果をより顕著に発揮することが
できる。
【0024】アルカリ処理においては、NaOHととも
に食塩(NaCl)を共存させる。NaClの濃度は、
1〜2Mの範囲内にあることが好ましい。NaClの濃
度が1M以上であると、コンドロイチン硫酸とタンパク
質の切断を早くするという利点がある。NaClの濃度
が2M以下であると、タンパク質の分解を温和にすると
いう利点がある。
【0025】NaClの濃度は、2Mであることがさら
に好ましい。NaClの濃度がこの値であると、上述の
効果をより顕著に発揮することができる。
【0026】アルカリ処理の温度は、10〜50℃の範
囲内にあることが好ましい。温度が10℃以上である
と、アルカリの濃度を高くし処理時間を短時間にできる
という利点がある。温度が50℃以下であると、アルカ
リ濃度を低くし処理時間を長くできるという利点があ
る。
【0027】アルカリ処理の温度は、20〜50℃の範
囲内にあることがさらに好ましい。温度がこの範囲内に
あると、上述の効果をより顕著に発揮することができ
る。
【0028】アルカリ処理の時間は、0.5〜2時間の
範囲内にあることが好ましい。0.5時間以上である
と、アルカリの濃度を高くし温度は低く設定できるとい
う利点がある。2時間以下であると、アルカリの濃度を
低くし温度を高く設定できるという利点がある。
【0029】アルカリ処理の時間は、1〜2時間の範囲
内にあることがさらに好ましい。時間がこの範囲内にあ
ると、上述の効果をより顕著に発揮することができる。
【0030】上述のアルカリ処理の工程では、高濃度の
食塩とアルカリ(NaOHなど)を併用している。これ
により、軟骨中に含まれるコンドロイチン硫酸ナトリウ
ムとタンパク質との共有結合が切断されるが、タンパク
質自体の分解は抑制される。タンパク質が分解してペプ
チドまたはアミノ酸になることが抑制され、タンパク質
は高分子の状態のままで残っている。
【0031】第3の工程では、中和を行う。アルカリ処
理したものに、酸を撹拌しながら添加して中和する。酸
としては酢酸を用いる。
【0032】酸は、酢酸に限定されない。このほか、ク
エン酸等の有機酸及び塩酸などの無機酸などを採用する
ことができる。
【0033】中和後の水溶液のpHは、5.5〜7.5
の範囲内にあることが好ましい。pHが5.5以上であ
ると、溶解しているタンパク質が析出するという利点が
ある。pHが7.5以下であると、溶解しているタンパ
ク質を塩析しやすいという利点がある。
【0034】第4の工程では、アルカリ処理したものを
塩析する。タンパク質が分解しないで高分子のままの状
態であるアルカリ処理液から、撹拌しながらNaCl濃
度を高くすることにより、高分子タンパク質を析出させ
る。
【0035】塩析に用いる塩はNaClに限定されな
い。このほか、硫安などを用いることができる。
【0036】塩の濃度は、3〜5Mの範囲内にあること
が好ましい。塩の濃度が3M以上であると、タンパク質
の析出を良くするという利点がある。塩の濃度が5M以
下であると、NaClが飽和溶液でタンパク質を完全に
析出させるという利点がある。
【0037】第5の工程では、吸着を行う。塩析したも
のに撹拌しながら吸着剤を添加することにより、析出し
たタンパク質と脂質を吸着剤に吸着させる。脂質は、N
aOHにより鹸化され吸着剤に吸着しやすくなる。な
お、この第5の工程は、省略してつぎの工程に進むこと
ができる。その理由は、次の工程で吸着剤を使用するた
めである。
【0038】吸着剤としては、活性白土を使用すること
ができる。吸着剤は活性白土に限定されない。このほ
か、活性炭などを採用することができる。
【0039】第6の工程では、ろ過を行う。第4または
5の工程で得られたものに、ろ過助剤を加えてろ過する
ことにより、高分子タンパク質および脂質などが分離除
去される。得られたろ液は、透明でコンドロイチン硫酸
ナトリウムと食塩を含有している水溶液である。
【0040】ろ過は、フィルタープレス法により行う。
ろ過方法は、このフィルタープレス法に限定されない。
このほか、減圧ろ過、遠心分離などを採用することがで
きる。
【0041】ろ過助剤は、珪藻土を用いる。その理由
は、安価で手に入りやすいためである。
【0042】ろ過助剤は、珪藻土に限定されない。この
ほか、紙パルプなどを採用することができる。
【0043】第7の工程では、析出を行う。ろ液を撹拌
しながら、これにエチルアルコールを添加してコンドロ
イチン硫酸ナトリウムを析出させる。
【0044】析出には、エチルアルコールを用いるが、
これに限定されない。このほか、メチルアルコールなど
を採用することができる。
【0045】析出する際の、エチルアルコールの濃度
は、30〜70質量%の範囲内にあることが好ましい。
エチルアルコールの濃度が30質量%以上であると、コ
ンドロイチン硫酸ナトリウムが析出を始めるという利点
がある。エチルアルコールの濃度が70質量%以下であ
ると、コンドロイチン硫酸ナトリウムが完全に析出され
るという利点がある。
【0046】第8の工程では、デカンタと遠心分離を行
う。析出を行ったものを静置すると、コンドロイチン硫
酸ナトリウムが沈殿し、沈殿層と上澄み層の2層に分離
する。デカンタにより上澄み液を除去する。沈殿層の沈
殿物を遠心分離機に導入し遠心分離する。溶液を分離除
去することにより、粗コンドロイチン硫酸ナトリウムを
得ることができる。
【0047】遠心分離機は、上排型遠心分離機を用いる
が、これに限定されない。このほか、スキミング型遠心
分離機、減圧ろ過機などを採用することができる。
【0048】第9の工程では、溶解を行う。遠心分離に
より得られたウェットの粗コンドロイチン硫酸ナトリウ
ムの結晶を、所定量の温水に溶解させる。
【0049】ウエットの結晶にはNaClが含まれてい
る。このNaClを除去する必要がある。必要な水の質
量は次のように求める。アルカリ処理(工程2)および
塩析(工程4)において添加したNaClの質量と、軟
骨に含まれる水分量およびアルカリ処理(工程2)で加
えられた水の質量から、NaClの濃度を求める。ろ過
(工程6)における、ろ液の質量から、ろ液中のNaC
lの質量を求める。デカンタ・遠心分離(工程8)によ
り除去された液量とその液の塩分濃度から、除去された
NaClの質量を求める。ろ液中のNaClの質量か
ら、除去されたNaClの質量を差し引くことにより、
ウェットの結晶中のNaClの質量が求まる。
【0050】後述する析出(工程12)では、エチルア
ルコール30〜70質量%水溶液により析出をする。こ
の範囲内でエチルアルコールの濃度を設定する。そこ
で、ウェットの結晶中に含まれるNaClを溶解するの
に必要なエチルアルコール水溶液(設定濃度)の質量
を、溶解度曲線(化学便覧)より求める。この求めた質
量から最低限必要な水の質量を求める。このように、最
低限必要な水の質量を算出することにより、析出(工程
12)で使用するエチルアルコールの質量を少なくする
ことができる。
【0051】溶解の工程9で必要な水の質量は、この最
低限必要な水の質量に限定されない。溶解に必要な水の
質量は、最低限必要な水の質量の1〜2倍の範囲内であ
ることが好ましい。最低限必要な水の質量の1倍以上で
あれば、NaClを完全に溶解することができる。最低
限必要な水の質量の2倍以下であると、NaClを完全
に溶解除去できるという利点がある。
【0052】溶解に際しては、50〜100℃に加熱す
ることが好ましい。温度が50℃以上であると、粗コン
ドロイチン硫酸ナトリウムの溶解が早くできるという利
点がある。温度が100℃以下であると、溶解がより短
時間でできるという利点がある。
【0053】第10の工程では、吸着を行う。溶解した
ものに撹拌しながら吸着剤を添加することにより、脂質
および残存する高分子タンパク質などを吸着剤に吸着さ
せる。吸着剤としては、活性白土を使用することができ
る。吸着剤は活性白土に限定されないことは、工程5の
説明と同様である。
【0054】第11の工程では、ろ過を行う。吸着の工
程で得られたものに、ろ過助剤を加えてろ過することに
より、脂質および高分子タンパク質などが分離除去され
る。無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液
が得られる。
【0055】ろ過は、フィルタープレス法により行う。
ろ過助剤は、珪藻土を用いる。ろ過方法がフィルタープ
レス法に限定されないこと、およびろ過助剤が珪藻土に
限定されないことは、工程6の説明と同様である。
【0056】第12の工程では、析出を行う。ろ液を撹
拌しながら、エチルアルコールを所定量添加してコンド
ロイチン硫酸ナトリウムを析出させる。この工程におい
て、溶液中に溶解していたNaClは、析出することな
く溶存状態で保持される。
【0057】添加するエチルアルコールの質量は、工程
9で設定したエチルアルコール濃度と、工程9で算出し
た溶解に必要な水の質量とから求める。設定するエチル
アルコールの濃度は、30〜70質量%の範囲内にある
ことが好ましい。これは、析出の工程7で説明した理由
によるものである。
【0058】第13の工程では、デカンタを行う。析出
を行ったものを静置すると、コンドロイチン硫酸ナトリ
ウムが沈殿し、沈殿層と上澄み層の2層に分離する。デ
カンタにより上澄み液を除去する。
【0059】第14の工程では、仮脱水を行う。デカン
タにより得られた沈殿物の質量を測り、濃度が80質量
%になるようにエチルアルコールを添加し撹拌する。こ
の工程により、沈殿物中の水分とNaClが、エチルア
ルコール水溶液に希釈される。
【0060】エチルアルコールの濃度は80質量%に限
定されない。エチルアルコールの濃度は、75〜85質
量%の範囲内にあることが好ましい。濃度が75質量%
以上であると、コンドロイチン硫酸ナトリウムのウェッ
トの沈殿物が撹拌により粉末化されるという利点があ
る。濃度が85質量%以下であると、NaClが析出し
ないという利点がある。
【0061】第15の工程では遠心分離を行う。仮脱水
したものを遠心分離機に導入し遠心分離する。さらに、
仮脱水の工程14で用いたと同じ濃度のエチルアルコー
ル水溶液により洗い、残存するNaClを除去する。こ
の工程により、コンドロイチン硫酸ナトリウムの結晶を
得ることができる。
【0062】第16の工程では、脱水を行う。コンドロ
イチン硫酸ナトリウムの結晶に、99質量%のエチルア
ルコールを、濃度が95質量%以上になるまで撹拌しな
がら添加し脱水する。エチルアルコールの濃度が95質
量%以上であると、コンドロイチン硫酸ナトリウム中の
水分が除去され粉末化されるという利点がある。
【0063】第17の工程では遠心分離を行う。脱水し
たものを遠心分離機に導入し遠心分離する。この工程に
より、水分の少ないコンドロイチン硫酸ナトリウムの結
晶を得ることができる。
【0064】工程18では、乾燥を行う。遠心分離で得
られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの結晶を乾燥機に
入れ、減圧下50〜80℃の温度で乾燥する。温度が5
0℃以上であると、乾燥が始まるという利点がある。温
度が80℃以下であると、コンドロイチン硫酸ナトリウ
ムの経時変化をさせないという利点がある。
【0065】以上、コンドロイチン硫酸ナトリウムの製
造方法を、工程1〜18により説明した。コンドロイチ
ン硫酸ナトリウムの製造方法は、この工程1〜18に限
定されない。
【0066】工程8〜18は、析出7の工程で得られた
粗コンドロイチン硫酸ナトリウムの精製の工程である。
この工程8〜18に代えて、工程8〜11を実施後透析
により脱塩し乾燥をスプレードライによる方法を採用す
ることができる。
【0067】析出の工程7において、要求される純度の
コンドロイチン硫酸ナトリウムが得られる場合は、工程
8〜12を省略することができる。
【0068】つぎに、上述の方法により製造されたコン
ドロイチン硫酸ナトリウムについて説明する。
【0069】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムは
白色の結晶である。元素分析の結果、窒素は2.6〜
2.8質量%の範囲内にあり、硫黄は6.1〜6.4質
量%の範囲内にある。タンパク質の含有量は1質量%以
下である。これらの値から、得られたコンドロイチン硫
酸ナトリウムは高純度であることが確認された。
【0070】上述したように、本実施の形態のコンドロ
イチン硫酸ナトリウムの製造方法は、つぎの工程を含む
方法である。軟骨をアルカリ処理する工程、およびアル
カリ処理したものを塩析する工程である。これにより、
高分子タンパク質と脂質を分離除去することができる。
【0071】本実施の形態のコンドロイチン硫酸ナトリ
ウムは、軟骨をアルカリ処理し、これを塩析することに
より得られるものである。これにより、高分子タンパク
質と脂質の含有量が少ないコンドロイチン硫酸ナトリウ
ムが得られる。
【0072】以上のことから、本実施の形態によれば、
軟骨をアルカリ処理する工程およびアルカリ処理したも
のを塩析する工程を含む、簡易な方法により、コンドロ
イチン硫酸ナトリウムを得ることができる。
【0073】なお、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0074】
【実施例】つぎに、本発明にかかる実施例について具体
的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではないことはもちろんである。
【0075】実施例1 サケ頭部より鼻軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した鼻軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。鼻軟骨中に含まれる水分は850gである。解凍し
た鼻軟骨を肉挽機にて粉砕し、水500mlを加えて撹
拌分散する。つぎに、最終濃度が2Mの食塩(NaC
l)水溶液かつ0.1Nの苛性ソーダ(NaOH)水溶
液になるように、食塩175.5gと4質量%苛性ソー
ダ(NaOH)水溶液150gを加えて温度50±2℃
で2時間アルカリ処理する。アルカリ処理の終了後、酢
酸でpH6に調整する。つぎに、NaCl濃度が4Mに
なるように、NaClを175.5g添加し溶解させる
と、高分子タンパク質が塩析される。吸着のために、活
性白土10gを添加した後、珪藻土を加えてろ過するこ
とにより、透明なろ液1500mlを得た。このろ液1
500mlにエチルアルコール2250mlを加えて5
5質量%のアルコール水溶液として、コンドロイチン硫
酸ナトリウムを分別沈殿させる。デカンタした後に、沈
殿を遠心分離して集め、粗コンドロイチン硫酸ナトリウ
ム150gを得た。得られた粗コンドロイチン硫酸ナト
リウム中には、食塩と微量の油分などが含有しているの
で、脱食塩と微量の油分除去のため70℃の温水500
mlに溶解させ、活性白土10gと珪藻土を加えてろ過
すると無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶
液550mlを得た。つぎに、この水溶液にエチルアル
コール700mlを加えて50質量%のエチルアルコー
ル水溶液として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを分別
沈殿させる。50質量%エチルアルコール水溶液中にN
aClが溶けて脱塩される。デカンタにより沈殿物を集
め、80質量%エチルアルコールで洗浄し遠心分離す
る。さらに99質量%エチルアルコールを、濃度95質
量%になるまで撹拌しながら添加しで脱水洗浄する。遠
心分離して得られた沈殿物を温度60〜70℃にて減圧
乾燥するとコンドロイチン硫酸ナトリウム30gが得ら
れる。
【0076】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析は、ピコーレット法により
行った。この分析法の検出限界は、1質量%である。
【0077】窒素および硫黄の定量分析は、窒素がケー
ルダール法、硫黄が硫酸バリウム定量法により行った。
【0078】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断はつぎの基準により行
った。
【0079】タンパク質の含有量は1質量%以下である
ことを基準とした。その理由は、タンパク質の確認試験
でほぼ完全に除去できているためである。
【0080】窒素の含有量は2.6〜2.8質量%の範
囲内にあり、硫黄の含有量は6.1〜6.4質量%の範
囲内にあることを基準とした。コンドロイチン硫酸ナト
リウムの構造式より分子量を計算し、窒素と硫黄の10
0質量%の理論値を求め、90〜100質量%含有する
ものを高純度品とした。
【0081】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は検出限界以下であった。窒素は2.7質量%てあり、
硫黄は6.3質量%であった。これらの分析結果から、
本実施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
は、高純度品であることが判明した。
【0082】実施例2 サケ頭部より鼻軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した鼻軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。解凍した鼻軟骨を肉挽機にて粉砕する。鼻軟骨中に
含まれる水分は850gである。最終濃度が2Mの食塩
(NaCl)水溶液かつ0.2Nの苛性ソーダ(NaO
H)水溶液となるように、食塩117gと苛性ソーダ
(NaOH)8gを水150mlに溶解して加え、温度
40±2℃で2時間アルカリ処理する。これにより液量
が1000mlとなり、後に使用するエチルアルコール
の量を減らすことができ、製造コストを下げることがで
きる。アルカリ処理の終了後、酢酸でpH6に調整す
る。つぎに、NaCl濃度が4Mになるように、NaC
lを117g添加し溶解させると、高分子タンパク質が
塩析される。吸着のために、活性白土10gを添加した
後、珪藻土を加えてろ過することにより、透明なろ液1
000mlを得た。このろ液1000mlにエチルアル
コール1500mlを加えて55質量%のアルコール水
溶液として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを分別沈殿
させる。デカンタした後に、沈殿を遠心分離して集め、
粗コンドロイチン硫酸ナトリウム135gを得た。得ら
れた粗コンドロイチン硫酸ナトリウム中には、食塩と微
量の油分などが含有しているので、脱食塩と微量の油分
除去のため70℃の温水500mlに溶解させ、活性白
土10gと珪藻土を加えてろ過すると無色透明なコンド
ロイチン硫酸ナトリウムの水溶液530mlを得た。つ
ぎに、この水溶液にエチルアルコール650mlを加え
て50質量%のエチルアルコール水溶液として、コンド
ロイチン硫酸ナトリウムを分別沈殿させる。50質量%
エチルアルコール水溶液中にNaClが溶けて脱塩され
る。デカンタにより沈殿物を集め、80質量%エチルア
ルコールで洗浄し遠心分離する。さらに99質量%エチ
ルアルコールを、濃度95質量%になるまで撹拌しなが
ら添加しで脱水洗浄する。遠心分離して得られた沈殿物
を温度60〜70℃にて減圧乾燥するとコンドロイチン
硫酸ナトリウム28gが得られる。
【0083】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析と、窒素および硫黄の定量
分析は、実施例1と同様とした。
【0084】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断は、実施例1と同様と
した。
【0085】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は検出限界以下であった。窒素は2.7質量%てあり、
硫黄は6.3質量%であった。これらの分析結果から、
本実施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
は、高純度品であることが判明した。
【0086】実施例3 サケ頭部より鼻軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した鼻軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。解凍した鼻軟骨を肉挽機にて粉砕する。鼻軟骨中に
含まれる水分は850gである。最終濃度が2Mの食塩
(NaCl)水溶液かつ1Nの苛性ソーダ(NaOH)
水溶液になるように、食塩117gと苛性ソーダ(Na
OH)40gを水150mlに溶解して加え、温度20
±2℃で1時間アルカリ処理する。アルカリ処理の終了
後、酢酸でpH6に調整する。つぎに、NaCl濃度が
4Mになるように、NaClを117g添加し溶解させ
ると、高分子タンパク質が塩析される。吸着のために、
活性白土10gを添加した後、珪藻土を加えてろ過する
ことにより、透明なろ液1000mlを得た。このろ液
1000mlにエチルアルコール1500mlを加えて
55質量%のアルコール水溶液として、コンドロイチン
硫酸ナトリウムを分別沈殿させる。デカンタした後に、
沈殿を遠心分離して集め、粗コンドロイチン硫酸ナトリ
ウム140gを得た。得られた粗コンドロイチン硫酸ナ
トリウム中には、食塩と微量の油分などが含有している
ので、脱食塩と微量の油分除去のため70℃の温水50
0mlに溶解させ、活性白土10gと珪藻土を加えてろ
過すると無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリウムの水
溶液550mlを得た。つぎに、この水溶液にエチルア
ルコール700mlを加えて50質量%のエチルアルコ
ール水溶液として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを分
別沈殿させる。50質量%エチルアルコール水溶液中に
NaClが溶けて脱塩される。デカンタにより沈殿物を
集め、80質量%エチルアルコールで洗浄し遠心分離す
る。さらに99質量%エチルアルコールを、濃度95質
量%になるまで撹拌しながら添加しで脱水洗浄する。遠
心分離して得られた沈殿物を温度60〜70℃にて減圧
乾燥するとコンドロイチン硫酸ナトリウム25gが得ら
れる。
【0087】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析と、窒素および硫黄の定量
分析は、実施例1と同様とした。
【0088】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断は、実施例1と同様と
した。
【0089】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は検出限界以下であった。窒素は2.7質量%てあり、
硫黄は6.2質量%であった。これらの分析結果から、
本実施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
は、高純度品であることが判明した。
【0090】実施例4 サメの背骨より軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した背骨軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。解凍した鼻軟骨を肉挽機にて粉砕する。背骨軟骨中
に含まれる水分は850gである。最終濃度が2Mの食
塩(NaCl)水溶液かつ0.2Nの苛性ソーダ(Na
OH)水溶液になるように、食塩117gと苛性ソーダ
(NaOH)8gを水150mlに溶解して加え、温度
40±2℃で2時間アルカリ処理する。アルカリ処理の
終了後、酢酸でpH6に調整する。つぎに、NaCl濃
度が4Mになるように、NaClを117g添加し溶解
させると、高分子タンパク質が塩析される。吸着のため
に、活性白土10gを添加した後、珪藻土を加えてろ過
することにより、透明なろ液1000mlを得た。この
ろ液1000mlにエチルアルコール1500mlを加
えて55質量%のアルコール水溶液として、コンドロイ
チン硫酸ナトリウムを分別沈殿させる。デカンタした後
に、沈殿を遠心分離して集め、粗コンドロイチン硫酸ナ
トリウム150gを得た。得られた粗コンドロイチン硫
酸ナトリウム中には、食塩と微量の油分などが含有して
いるので、脱食塩と微量の油分除去のため70℃の温水
500mlに溶解させ、活性白土10gと珪藻土を加え
てろ過すると無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリウム
の水溶液550mlを得た。つぎに、この水溶液にエチ
ルアルコール700mlを加えて50質量%のエチルア
ルコール水溶液として、コンドロイチン硫酸ナトリウム
を分別沈殿させる。50質量%エチルアルコール水溶液
中にNaClが溶けて脱塩される。デカンタにより沈殿
物を集め、80質量%エチルアルコールで洗浄し遠心分
離する。さらに99質量%エチルアルコールを、濃度9
5質量%になるまで撹拌しながら添加しで脱水洗浄す
る。遠心分離して得られた沈殿物を温度60〜70℃に
て減圧乾燥するとコンドロイチン硫酸ナトリウム15g
が得られる。
【0091】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析と、窒素および硫黄の定量
分析は、実施例1と同様とした。
【0092】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断は、実施例1と同様と
した。
【0093】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は検出限界以下であった。窒素は2.6質量%てあり、
硫黄は6.3質量%であった。これらの分析結果から、
本実施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
は、高純度品であることが判明した。
【0094】実施例5 サケ頭部より鼻軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した鼻軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。解凍した鼻軟骨を肉挽機にて粉砕する。鼻軟骨中に
含まれる水分は850gである。最終濃度が2Mの食塩
(NaCl)水溶液かつ0.2Nの苛性ソーダ(NaO
H)水溶液になるように、食塩117gと苛性ソーダ
(NaOH)8gを水150mlに溶解して加え、温度
40±2℃で2時間アルカリ処理する。アルカリ処理の
終了後、酢酸でpH6に調整する。つぎに、NaCl濃
度が3Mになるように、NaClを58.5g添加し溶
解させると、高分子タンパク質が塩析される。吸着のた
めに、活性白土10gを添加した後、珪藻土を加えてろ
過することにより、透明なろ液1000mlを得た。こ
のろ液1000mlにエチルアルコール1500mlを
加えて55質量%のアルコール水溶液として、コンドロ
イチン硫酸ナトリウムを分別沈殿させる。デカンタした
後に、沈殿を遠心分離して集め、粗コンドロイチン硫酸
ナトリウム90gを得た。得られた粗コンドロイチン硫
酸ナトリウム中には、食塩と微量の油分などが含有して
いるので、脱食塩と微量の油分除去のため70℃の温水
400mlに溶解させ、活性白土10gと珪藻土を加え
てろ過すると無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリウム
の水溶液420mlを得た。つぎに、この水溶液にエチ
ルアルコール530mlを加えて50質量%のエチルア
ルコール水溶液として、コンドロイチン硫酸ナトリウム
を分別沈殿させる。50質量%エチルアルコール水溶液
中にNaClが溶けて脱塩される。デカンタにより沈殿
物を集め、80質量%エチルアルコールで洗浄し遠心分
離する。さらに99質量%エチルアルコールを、濃度9
5質量%になるまで撹拌しながら添加しで脱水洗浄す
る。遠心分離して得られた沈殿物を温度60〜70℃に
て減圧乾燥するとコンドロイチン硫酸ナトリウム28g
が得られる。
【0095】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析と、窒素および硫黄の定量
分析は、実施例1と同様とした。
【0096】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断は、実施例1と同様と
した。
【0097】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は1質量%であった。窒素は2.8質量%てあり、硫黄
は6.2質量%であった。これらの分析結果から、本実
施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムは、
高純度品であることが判明した。
【0098】実施例6 サケ頭部より鼻軟骨を採取し、−20℃にて凍結保存す
る。凍結した鼻軟骨1kgを一夜室温で放置し解凍す
る。解凍した鼻軟骨を肉挽機にて粉砕する。鼻軟骨中に
含まれる水分は850gである。最終濃度が2Mの食塩
(NaCl)水溶液かつ0.2Nの苛性ソーダ(NaO
H)水溶液になるように、食塩117gと苛性ソーダ
(NaOH)8gを水150mlに溶解して加え、温度
40±2℃で2時間アルカリ処理する。アルカリ処理の
終了後、酢酸でpH6に調整する。つぎに、NaCl濃
度が5Mになるように、NaClを175.5g添加し
溶解させると、高分子タンパク質が塩析される。吸着の
ために、活性白土10gを添加した後、珪藻土を加えて
ろ過することにより、透明なろ液1000mlを得た。
このろ液1000mlにエチルアルコール1500ml
を加えて55質量%のアルコール水溶液として、コンド
ロイチン硫酸ナトリウムを分別沈殿させる。デカンタし
た後に、沈殿を遠心分離して集め、粗コンドロイチン硫
酸ナトリウム205gを得た。得られた粗コンドロイチ
ン硫酸ナトリウム中には、食塩と微量の油分などが含有
しているので、脱食塩と微量の油分除去のため70℃の
温水700mlに溶解させ、活性白土10gと珪藻土を
加えてろ過すると無色透明なコンドロイチン硫酸ナトリ
ウムの水溶液800mlを得た。つぎに、この水溶液に
エチルアルコール1000mlを加えて50質量%のエ
チルアルコール水溶液として、コンドロイチン硫酸ナト
リウムを分別沈殿させる。50質量%エチルアルコール
水溶液中にNaClが溶けて脱塩される。デカンタによ
り沈殿物を集め、80質量%エチルアルコールで洗浄し
遠心分離する。さらに99質量%エチルアルコールを、
濃度95質量%になるまで撹拌しながら添加しで脱水洗
浄する。遠心分離して得られた沈殿物を温度60〜70
℃にて減圧乾燥するとコンドロイチン硫酸ナトリウム2
7gが得られる。
【0099】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムに
ついて、タンパク質、窒素、および硫黄の定量分析を行
った。タンパク質の定量分析と、窒素および硫黄の定量
分析は、実施例1と同様とした。
【0100】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
が、高純度品であるか否かの判断は、実施例1と同様と
した。
【0101】得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの
分析結果はつぎのとおりであった。タンパク質の含有量
は検出限界以下であった。窒素は2.6質量%てあり、
硫黄は6.3質量%であった。これらの分析結果から、
本実施例により得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム
は、高純度品であることが判明した。
【0102】以上のことから、本実施例によれば、つぎ
のようになる。従来の、コンドロイチン硫酸ナトリウム
の製造方法では、軟骨をアルカリ処理した後にタンパク
分解酵素を使用し、タンパク質をペプチドまたはアミノ
酸まで低分子化していた。そして、粗コンドロイチン硫
酸ナトリウムを調整後、陽イオン交換樹脂処理・透析処
理をするか、連続多段限外ろ過処理を行い、ペプチド、
アミノ酸、および低分子のタンパクの除去を行い精製し
ていた。このように、従来の方法は、製造工程中の後半
で煩雑な工程により精製していた。
【0103】これに対して、本実施例では、製造工程の
前半で精製することができる。そのため、陽イオン交換
樹脂処理・透析処理、連続多段限外ろ過処理などの煩雑
な操作も不要でそのための高価な装置も不要である。
【0104】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。軟骨をアルカリ処理する工程およびアルカリ
処理したものを塩析する工程を含む、簡易な方法によ
り、コンドロイチン硫酸ナトリウムを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造
方法の工程を示すフロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 37/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの工程を含むコンドロイチン硫酸ナ
    トリウムの製造方法。 (イ)軟骨をアルカリ処理する工程 (ロ)アルカリ処理したものを塩析する工程
  2. 【請求項2】 前記軟骨は、魚類の軟骨である請求項1
    記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記軟骨は、サケの鼻軟骨である請求項
    1記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリは、NaOHである請求項
    1記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリは、0.1〜2Nの範囲内
    にある請求項4記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アルカリ処理は、NaClの共存下
    でアルカリ処理する請求項1記載のコンドロイチン硫酸
    ナトリウムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記NaClは、1〜2Mの範囲内にあ
    る請求項6記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記塩析は、NaClにより塩析する請
    求項1記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記NaClは、3〜5Mの範囲内にあ
    る請求項8記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記塩析の工程の後に、ろ液にアルコ
    ールを添加してコンドロイチン硫酸ナトリウムを析出す
    る請求項1記載のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造
    方法。
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