JP3448253B2 - 交流発電機 - Google Patents
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Description
により駆動される交流発電機に関し、例えば乗用車、ト
ラック等の乗り物に搭載される車両用交流発電機の固定
子構造に関するものである。
補機の低騒音化ニーズが望まれており、例えばエンジン
に取り付けられる車両用交流発電機においては、特に低
磁気騒音化のニーズが高いが、高出力化に伴い、益々磁
気騒音が拡大する傾向にある。磁気騒音は、固定子と回
転子の対向する空隙部に生じる磁気加振力により、固定
子鉄心が共振し、磁気騒音として放射されるため、発生
源である固定子の振動を抑えることが重要である。固定
子鉄心は、薄板を積層した構造であり、細長のティース
を有するので、剛性が低く、特に振動し易い形状であ
り、体格や重量を大きくせずに固定子自身の剛性向上を
するには限界があった。そこで、固定子鉄心の振動を固
定子の他の構成部材である固定子巻線によって減衰させ
ることが考えられる。即ち、固定子巻線のバネおよび減
衰要素によって固定子鉄心の振動を吸収するものだが、
下記のような製法上の問題もあり、固定子巻線のバネ要
素である硬度を管理することには困難であった。特公平
4−61584号公報には、内周面にスロットが形成さ
れた固定子鉄心に軸線方向から巻線挿入装置を用いて固
定子巻線を挿入して固定子を製造する方法が示されてい
る。この例では、予め導線を星型成形して構成された固
定子巻線を円筒形状の固定子鉄心に軸線方向から強引に
挿入しており、その際に導線同士が干渉し合い、また固
定子鉄心と干渉して破損が生じてしまう虞があり、まし
てや固定子鉄心の両端面から突出した固定子巻線のコイ
ルエンドは不揃いで、所望の硬度分布を有するコイルエ
ンドを得ることができない上に、かかる挿入方式のため
に、コイルエンドに加わる機械的負荷は大きく異なるた
めに、両コイルエンド間の硬度分布にも大きな差異があ
った。
03052号公報には、上記公報のものと比較して固定
子鉄心に固定子巻線を装着する際の組立作業性が大幅に
向上した交流発電機の固定子の構成が示されている。図
18はこの公報に示された交流発電機の全体斜視図であ
る。この固定子140は、軸方向に延びるスロット15
0aが周方向に等分間隔で複数形成された円筒状の積層
鉄心からなる固定子鉄心150と、固定子鉄心150に
巻装された固定子巻線170とを備えている。固定子巻
線170は、a相交流巻線部170a、b相交流巻線部
170bおよびc相交流巻線部170cからなり、銅表
面に絶縁皮膜された丸線を束ねて構成された3相交流巻
線である。なお、Oa、ObおよびOcはa相、b相及
びc相の口出線であり、Na、NbおよびNcはa相、
b相及びc相の中性点引き出し線である。
すように、帯状の積層体183に、予め平坦な形状に成
形されたa相交流巻線部170a、b相交流巻線部17
0bおよびc相交流巻線部170cを重ねるようにして
装着し、この後積層体183を成形装置(図示せず)に
より、円筒形状に曲げて鉄心突合わせ部184を溶接し
て製造している。
交流発電機の固定子140は、固定子鉄心150に固定
子巻線170を装着する際の組立作業性で大幅に向上す
るものの、固定子巻線170は、可撓性を有する丸線を
巻回して構成されており、固定子鉄心150の両端面か
ら突出した第1のコイルエンド190aおよび第2のコ
イルエンド190bでの丸線は整列されてなく不揃い
で、相互に干渉しており、特公平4ー61584号公報
に記載のものと同様に、所望の硬度分布を有するコイル
エンド190a、190bを得ることができなかった。
また、第1のコイルエンド190a、第2のコイルエン
ド190bにおいて丸線は不整列で互いに干渉している
ので、積層体183に固定子巻線170を挿入した後、
円筒形に成形する際に、コイルエンド190a、190
bには機械的負荷がランダムに加わるために、コイルエ
ンド190a、190bを所望の硬度分布にすることが
できなかった。このように、所望の硬度を得ることが難
しいために、固定子鉄心150を挟んだ両側のコイルエ
ンド190a、190bの剛性が異なり、固定子鉄心1
50の振動を十分に抑制できないばかりか、コイルエン
ド190a、190bの振動位相によってかえって振動
を励起させてしまうことも生じた。
を課題とするものであって、所望の硬度分布を有するコ
イルエンドを得ることができ、この硬度分布を利用して
固定子鉄心の振動を抑制して低騒音の交流発電機を得る
ことを目的とする。
る交流発電機は、第1のコイルエンドおよび第2のコイ
ルエンドは、導線の周方向に並んだ複数の延出部で構成
されているとともに、前記第1のコイルエンドおよび前
記第2のコイルエンドは、軸線方向に沿って異なった硬
度である硬度分布を有しており、かつその硬度分布が同
一であり、また前記導線が前記スロット内のそれぞれに
スロット深さ方向に2n層ずつ配列され、さらに前記延
出部が周方向にn列に並んで配列されているとともに略
同一形状に形成されている。
は、延出部の硬度分布は、先端部および基端部と比較し
て中間部の硬度が高い。
は、延出部の硬度変化は曲げ加工硬化処理および加熱軟
化処理の少なくとも一方の処理により与えられる。
は、予め曲げ加工硬化処理がされた後に、延出部の全体
が加熱軟化処理されている。
は、周方向に隣り合う延出部間には空間が形成されてい
る。
は、延出部には樹脂を備えている。
実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面
図、図2はこの車両用交流発電機の固定子を示す斜視
図、図3は図1の固定子の巻線図、図4は図1の交流発
電機の電気回路図である。なお、図2においては、各相
の口出線、中性点引き出し線は省略されている。
ントブラケット1及びリヤブラケット2から構成された
ケース3と、このケース3内に設けられ一端部にプーリ
4が固定されたシャフト6と、このシャフト6に固定さ
れたランデル型の回転子7と、回転子7の両側面に固定
されたファン5と、ケース3の内壁面に固定された固定
子8と、シャフト6の他端部に固定され回転子7に電流
を供給するスリップリング9と、スリップリング9に摺
動する一対のブラシ10と、このブラシ10を収納した
ブラシホルダ11と、固定子8に電気的に接続され固定
子8で生じた交流を直流に整流する整流器12と、ブラ
シホルダ11に嵌着されたヒートシンク17と、このヒ
ートシンク17に接着され固定子8で生じた交流電圧の
大きさを調整するレギュレータ18とを備えている。
回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆って設
けられその磁束によって磁極が形成される一対のポール
コア20、21とから構成されている。一対のポールコ
ア体20、21は、鉄製で、それぞれ8つの爪状磁極2
2、23が外周縁に周方向に等角ピッチで、かつかみ合
うように対向してシャフト6に固着されている。
aが周方向に所定ピッチで複数形成された円筒状の積層
鉄心からなる固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装
された3相固定子巻線16と、各スロット15a内に装
着されて3相固定子巻線16と固定子鉄心15とを電気
的に絶縁するインシュレータ19とを備えている。2組
の巻線アッセンブリ90A、90Bを備えた3相固定子
巻線16は、1本の導線30が、固定子鉄心15の端面
側のスロット15a外で折り返されて、所定スロット数
毎にスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層
とを交互に採るように波巻きされて巻装された複数の巻
線部から構成されている。
両端面からそれぞれ突出した、第1のコイルエンドであ
るフロント側コイルエンド16a、第2のコイルエンド
であるリア側コイルエンド16bを有している。コイル
エンド16a、16bは、複数の延出部30aから構成
されている。同一形状の延出部30aは周方向に、かつ
径方向に互いに離間して2列となって整然と配列されて
いる。図16に示すように、フロント側コイルエンド1
6aとリア側コイルエンド16bは、軸線方向の硬度分
布が同一であり、延出部30aの硬度分布は、先端部お
よび基端部と比較して中間部の硬度が高い。なお、ここ
では、固定子鉄心15には、回転子7の磁極数(16)
に対応して、3相固定子巻線16を2組収容するよう
に、スロット15aが96箇所に等間隔に形成されてい
る。また、導線30には、例えば絶縁被覆された長方形
の断面を有する長尺の銅線材が用いられている。
構造について図3を参照して具体的に説明する。1相分
の固定子巻線部161は、それぞれ1本の導線30から
なる第1ないし第4巻線部31〜34から構成されてい
る。そして、第1巻線部31は、1本の導線30を、ス
ロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、ス
ロット15a内の外周側から1番目の位置と外周側から
2番目の位置とを交互に採るように波巻きして構成され
ている。また、第2巻線部32は、導線30を、スロッ
ト番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロッ
ト15a内の外周側から2番目の位置と外周側から1番
目の位置とを交互に採るように波巻きして構成されてい
る。また、第3巻線部33は、導線30を、スロット番
号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット1
5a内の外周側から3番目の位置と外周側から4番目の
位置とを交互に採るように波巻きして構成されている。
第4巻線部34は、導線30を、スロット番号の1番か
ら91番まで6スロットおきに、スロット15a内の外
周側から4番目の位置と外周側から3番目の位置とを交
互に採るように波巻きして構成されている。そして、各
スロット15a内には、導線30が長方形断面の長手方
向を径方向に揃えて径方向に1列に4ターン並んで配列
されている。
て、スロット番号の1番から延出する第1巻線部31の
端部31aと、スロット番号の91番から延出する第3
巻線部33の端部33bとが接合され、さらにスロット
番号の1番から延出する第3巻線部33の端部33a
と、スロット番号の91番から延出する第1巻線部31
の端部31bとが接合されて、2ターンの巻線部が形成
されている。また、固定子鉄心15の他端側において、
スロット番号の1番から延出する第2巻線部32の端部
32aと、スロット番号の91番から延出する第4巻線
部34の端部34bとが接合され、さらにスロット番号
の1番から延出する第4巻線部34の端部34aと、ス
ロット番号の91番から延出する第2巻線部32の端部
32bとが接合されて、2ターンの巻線部が形成されて
いる。
から固定子鉄心15の一端側に延出する第2巻線部32
の導線30の部分が切断され、スロット番号の67番と
73番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第1巻
線部31の導線30の部分が切断される。そして、第1
巻線部31の切断端31cと第2巻線部32の切断端3
2cとが接合されて、第1ないし第4巻線部31〜34
を直列接続してなる4ターンで1相分の固定子巻線部1
61が形成されている。なお、第1巻線部31の切断端
31cと第2巻線部32の切断端32cとの接合部が渡
り結線接続部となり、第1巻線部31の切断端31dと
第2巻線部32の切断端32dとがそれぞれ口出し線
(O)および中性点(N)となる。同様にして、導線3
0が巻装されるスロット15aを1つづつずらして6相
分の固定子巻線部161が形成されている。そして、図
4に示されるように、固定子巻線部161が3相分づつ
星型結線されて2組の3相固定子巻線部160を形成
し、各3相固定子巻線部160がそれぞれ整流器12に
接続されている。各整流器12の直流出力は並列に接続
されて合成される。
いし図14を参照しつつ具体的に説明する。まず、図5
に示されるように、12本の長尺の導線30を同時に同
一平面上で雷状に折り曲げ形成する。ついで、図6に矢
印で示されるように、直角方向に治具で折り畳んでゆ
き、図7に示される巻線アッセンブリ90Aを作製す
る。さらに、同様にして、図8に示されるように、渡り
結線および口出し線を有する巻線アッセンブリ90Bを
作製する。
に、延出部30aで連結された直線部30bが6スロッ
トピッチ(6P)で配列された平面状パターンに折り曲
げ形成されている。そして、隣り合う直線部30bが、
延出部30aにより、導線30の幅(W)分ずらされて
いる。巻線アッセンブリ90A、90Bは、このような
パターンに形成された2本の導線30を図10に示され
るように6スロットピッチずらして直線部30bを重ね
て配列された導線対が1スロットピッチづつずらして6
対配列されて構成されている。そして、導線30の端部
が巻線アッセンブリ90A、90Bの両端の両側に6本
づつ延出されている。また、延出部30aが巻線アッセ
ンブリ90A、90Bの両側部に整列されて配列されて
いる。
び先端部Bで折り曲げ成形されているので、基端部A、
先端部Bには残留ひずみ応力が生じて硬度が中間部Cよ
りも高い。その後、帯状の巻線アッセンブリ90A、9
0Bが環状に成形し易くするために、巻線アッセンブリ
90A、90Bは300℃で10分間アニール処理が施
されるが、そのとき延出部30aでは、基端部Aおよび
先端部Bでは残留応力が除去され、中間部Cよりも硬度
が低くなる、つまり軟らかくなっている。
ピッチ(電気角で30°)で形成されたSPCC材を所
定枚数積層し、その外周部をレーザ溶接して、図11に
示されるように、直方体の積層体36を作製する。
に、インシュレータ19が積層体36のスロット36a
に装着され、2つの巻線アッセンブリ90A、90Bの
各直線部を各スロット36a内に重ねて押し入れる。こ
れにより、図12の(b)に示されるように、2つの巻
線アッセンブリ90A、90Bが積層体36に装着され
る。この時、導線30の直線部30bは、インシュレー
タ19により鉄心36と絶縁されてスロット15a内に
径方向に4本並んで収納されている。また、2つの巻線
アッセンブリ90A、90Bは、図13に示されるよう
に、重なって積層体36に装着されている。その後、積
層体36を丸め、その端面同士を当接させて溶接して固
定子鉄心15を得る。このとき、図12の(c)に示さ
れるように、スロット36a(固定子鉄心のスロット1
5aに相当)は略矩形断面形状となり、その開口部36
b(スロット15aの開口部15bに相当)は直線部3
0bのスロット幅方向寸法より小さくなる。そして、図
3に示される結線方法に基づいて、各導線30の端部同
士を結線して3相固定子巻線16を形成し、図14に示
される固定子8を得る。
は、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10および
スリップリング9を介して回転子コイル13に供給さ
れ、磁束が発生される。この磁束により、一方のポール
コア20の爪状磁極22がN極に着磁され、他方のポー
ルコア21の爪状磁極23がS極に着磁される。一方、
エンジンの回転トルクがベルトおよびプーリ4を介して
シャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこ
で、多相固定子巻線16に回転磁界が与えられ、多相固
定子巻線16に起電力が発生する。この交流の起電力が
整流器12を通って直流に整流されるとともに、その大
きさがレギュレータ18により調整され、バッテリに充
電される。
転により、外気が整流器12のヒートシンクおよびレギ
ュレータ18のヒートシンク17にそれぞれ対向して設
けられた吸気孔2aを通じて吸い込まれ、シャフト6の
軸に沿って流れて整流器12およびレギュレータ18を
冷却し、その後ファン5により遠心方向に曲げられて3
相固定子巻線16のリヤ側のコイルエンド16bを冷却
し、排気孔2bから外部に排出される。一方、フロント
側においては、ファン5の回転により、外気が吸気孔1
aから軸方向に吸い込まれ、その後ファン5により遠心
方向に曲げられて3相固定子巻線16のフロント側のコ
イルエンド16aを冷却し、排気孔1bより外部に排出
される。
ト側のコイルエンド16aおよびリア側のコイルエンド
16bは、周方向に並んだ複数の延出部30aで構成さ
れているので、コイルエンド16a、16bの延出部3
0aにおいて所望の硬度を得ることが容易となる。ま
た、フロント側のコイルエンド16aおよびリア側のコ
イルエンド16bは、軸線方向に沿って異なった硬度で
ある硬度分布をそれぞれ有しており、かつその硬度分布
が同一である。従って、3次元的に振動する固定子鉄心
15に対しては、固定子鉄心15の両側にある延出部3
0aが固定子鉄心15の振動に対する減衰作用として作
用し、振幅を抑制することができる。特に、延出部30
aの硬度分布は、先端部Bおよび基端部Aと比較して中
間部Cの硬度が高いので、先端部Bおよび基端部Aを振
動基点として、中間部Cが2次振動することになり、さ
らに効果的に固定子振動15の振幅を抑制することがで
きる。また、この実施の形態では、2組の巻線アッセン
ブリ90A、90Bで構成されており、これらの間の摩
擦によって生じる減衰効果も大きい。
気音の特性図であり、この図から明らかのように、この
実施の形態1の交流発電機で生じた磁気音が従来例のも
のと比較して低減することが確認された。特に、固定子
鉄心15の共振現象による特定回転数におけるピーク音
が大きく減衰されている。
線30の曲げ加工時に同時に行われ、また延出部30a
の加熱軟化処理も帯状の巻線アッセンブリ90A、90
Bのアニール処理時に同時に行われており、延出部30
aの硬度調整のためにわざわざ加工硬化処理工程、加熱
軟化処理工程を設ける必要性はない。また、この実施の
形態1では、予め曲げ加工硬化処理がされた後に、延出
部の全体が加熱軟化処理されており、加熱軟化処理によ
る硬度低減が特に加工硬化処理を施した基端部Aおよび
先端部Bで大きい。従って、この特性を利用することに
よって、延出部30の所定の箇所での硬度を容易に低く
することができる。
低いティースから延出部30aが固定子鉄心15の両端
面から軸線方向にそれぞれ突出しているが、各延出部3
0aは略同一形状に形成されているので、コイルエンド
16a、16bの延出部30aにおいて固定子鉄心15
の振動を抑制するのに適した所望の硬度分布を得ること
が容易となる。また、コイルエンド16a、16bの先
端面では凹凸が少なくなり、ケース3内のスペース効率
に優れ、また漏れインダクタンスが等しく、安定した出
力が得られる。さらに、コイルエンド16a、16bで
は全周に渡ってほぼ等しく発熱し、3相固定子巻線16
の高温化を抑制することができる。
は空間が形成されているので、基端部Aおよび先端部B
を振動基点として中間部Cは隣接した延出部30aと干
渉されることなく振動でき、延出部30aは固定子鉄心
15の振動を確実に抑制することができる。また、コイ
ルエンド16a、16bではファン5からの冷却風が均
一に通風し、冷却性が向上されるとともに、通風抵抗が
周方向に均一化され、風騒音が低減される。
形態2の車両用交流発電機の固定子8Bの斜視図であ
り、実施の形態1の固定子8のコイルエンド16a、1
6bを絶縁性樹脂25で一体にモールドした点が異な
る。絶縁性樹脂25は、熱伝導率が0.5(W/mk)の
エポキシ樹脂(主剤)と熱伝導率が3.5(W/mk)の
アルミナとを1:4の割合で混合したものである。な
お、この図では各相の口出し線、中性点引き出し線は省
略されている。この実施の形態では、コイルエンド16
a、16bには振動減衰率が大きな絶縁性樹脂25が設
けられているので、固定子鉄心15の振動は大きく抑制
され、磁気音を低減することができる。特に、延出部3
0a間の絶縁性樹脂25が磁気音の低減に大きく寄与し
ている。また、延出部30a間の絶縁性樹脂は、延出部
30a間での絶縁性をも大幅に向上させている。
4ターンの3相固定子巻線16について説明したが、更
に低速で高出力が要求される場合は、例えば導線のター
ン数を6ターン、8ターンとし、コイルエンドの延出部
を周方向に3列、4列になるようにしてもよい。このよ
うな構成では、巻線アッセンブリ間の摩擦減衰が更に向
上する。また、上記各実施の形態では、16極の磁極数
に対して、固定子のスロット数を96スロットとした
が、12極の磁極数に対しては、3相で72個のスロッ
ト、20極の磁極数に対しては120のスロットを採用
してもよい。また、毎極毎相1の場合は、16極の磁極
数でスロット数48、12極の磁極数でスロット数3
6、20極の磁極数でスロット数60でもよい。このよ
うな多スロット化すると、固定子鉄心の剛性が低くなる
が、延出部の数も多くなるため、本発明には好適であ
る。また、延出部の硬度変化は曲げ加工硬化処理および
加熱軟化処理の何れか一方を採用することでも達成でき
る。
1に係る交流発電機によれば、第1のコイルエンドおよ
び第2のコイルエンドは、導線の周方向に並んだ複数の
延出部で構成されているので、第1のコイルエンドおよ
び第2のコイルエンドの延出部における硬度管理が容易
となり、所望の硬度分布を得ることができる。また、第
1のコイルエンドおよび第2のコイルエンドは、軸線方
向に沿って異なった硬度である硬度分布を有しており、
かつその硬度分布が同一であるので、固定子鉄心の両側
にある高密度の延出部が固定子鉄心の振動に対する減衰
作用として作用し、振幅を抑制することができ、磁気音
を大幅に低減することができる。また、導線がスロット
内のそれぞれにスロット深さ方向に2n層ずつ配列さ
れ、延出部が周方向にn列に並んで配列されているの
で、n列に配列された高密度の延出部で固定子鉄心の振
動はより抑制され、より磁気音を低減することができ
る。また、コイルエンドの軸線方向の寸法を小さくする
ことができ、スペース効率を高めることができる。ま
た、延出部が周方向に2列以上並ぶ場合は、互いの延出
部間で生じる摩擦によって減衰力が増し、更に磁気騒音
を低減することができる。 また、各延出部が、略同一形
状に形成されているので、コイルエンドの各延出部どう
しの硬度分布が均等になり延出部の硬度管理がより容易
となり、固定子鉄心の振動を抑制するに適した所望の硬
度分布をより容易に得ることができる。また、コイルエ
ンドの先端面では凹凸が少なくなり、スペース効率に優
れ、また漏れインダクタンスが等しく、安定した出力が
得られる。さらに、コイルエンドでは全周に渡ってほぼ
等しく発熱し、多相固定子巻線の高温化を抑制すること
ができる。
機によれば、延出部の硬度分布は、先端部および基端部
と比較して中間部の硬度が高いので、先端部および基端
部を振動基点として、中間部が2次振動することにな
り、さらに固定子振動の振幅をより抑制することがで
き、磁気音をより大幅に低減することができる。
機によれば、延出部の硬度変化は曲げ加工硬化処理およ
び加熱軟化処理の少なくとも一方の処理で与えられるの
で、延出部の所望の硬度を簡単に得ることができる。
機によれば、予め曲げ加工硬化処理した後に、延出部の
全体が加熱軟化処理されているので、延出部の加工硬化
処理は、導線の曲げ加工時に同時に行うことができ、ま
た延出部の加熱軟化処理も導線全体のアニール処理時に
同時に行うことができ、延出部の硬度調整のために加工
硬化処理工程、加熱軟化処理工程をわざわざ設ける必要
性がない。
機によれば、周方向に隣り合う延出部には空間が形成さ
れているので、延出部は隣接した延出部に干渉されるこ
となく振動でき、延出部は固定子鉄心の振動抑制に確実
に寄与する。また、コイルエンドでは冷却風が均一に通
風し、冷却性が向上するとともに、通風抵抗が周方向に
均一化され、風騒音が低減される。
機によれば、延出部には樹脂を備えているので、振動減
衰率の大きな絶縁性樹脂で固定子鉄心の振動は大きく抑
制され、特に各延出部間の絶縁性樹脂による減衰効果に
よって磁気音が大幅に低減される。また、延出部間での
絶縁性が大幅に向上する。
電機の構成を示す断面図である。
図である。
製造途中の図である。
製造途中の図である。
構成する巻線アッセンブリの平面図である。
構成する巻線アッセンブリの平面図である。
構成する導線の要部を示す斜視図である。
を構成する導線の配列を説明する図である。
造を説明する図である。
程を説明する工程断面図である。
が積層体に装着された状態を示す平面図である。
である。
である。
である。
る。
a スロット、15b開口部、16 3相固定子巻線、
16a フロント側コイルエンド(第1のコイルエン
ド)、16b リヤ側コイルエンド(第2のコイルエン
ド)、25 絶縁性樹脂、30 導線、30a 延出
部、A 基端部、B 先端部、C 中間部。
Claims (6)
- 【請求項1】 回転周方向に沿ってN極、S極を交互に
形成する回転子と、この回転子を囲った固定子鉄心およ
びこの固定子鉄心に装着された多相固定子巻線を有する
固定子とを備え、 前記固定子鉄心は、軸線方向に延びたスロットが周方向
に所定ピッチで複数形成され、 前記多相固定子巻線は、導線が前記固定子鉄心の両端面
側のスロット外で折り返されて第1のコイルエンドおよ
び第2のコイルエンドが形成されているとともに、所定
スロット数毎に前記スロット内でスロット深さ方向に内
層と外層とが交互に採るように構成された固定子巻線部
を含む交流発電機であって、 前記第1のコイルエンドおよび前記第2のコイルエンド
は、前記導線の周方向に並んだ複数の延出部で構成され
ているとともに、前記第1のコイルエンドおよび前記第
2のコイルエンドは、軸線方向に沿って異なった硬度で
ある硬度分布を有しており、かつその硬度分布が同一で
あり、 また前記導線が前記スロット内のそれぞれにスロット深
さ方向に2n層ずつ配列され、さらに前記延出部が周方
向にn列に並んで配列されているとともに略同一形状に
形成されている 交流発電機。 - 【請求項2】 延出部の硬度分布は、延出部の先端部お
よび基端部と比較して中間部の硬度が高い請求項1に記
載の交流発電機。 - 【請求項3】 延出部の硬度変化は曲げ加工硬化処理お
よび加熱軟化処理の少なくとも一方の処理により与えら
れる請求項1または請求項2に記載の交流発電機。 - 【請求項4】 予め曲げ加工硬化処理がされた後に、延
出部の全体が加熱軟化処理されている請求項3に記載の
交流発電機。 - 【請求項5】 周方向に隣り合う延出部間には空間が形
成されている請求項1ないし請求項4の何れかに記載の
交流発電機。 - 【請求項6】 延出部には樹脂を備えている請求項1な
いし請求項5の何れかに記載の交流発電機。
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