JP3447457B2 - 眼鏡用ピン部材、眼鏡フレームおよびそのロー付け方法 - Google Patents

眼鏡用ピン部材、眼鏡フレームおよびそのロー付け方法

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JP3447457B2 JP05434096A JP5434096A JP3447457B2 JP 3447457 B2 JP3447457 B2 JP 3447457B2 JP 05434096 A JP05434096 A JP 05434096A JP 5434096 A JP5434096 A JP 5434096A JP 3447457 B2 JP3447457 B2 JP 3447457B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は眼鏡用の部品にロー
付けされる眼鏡用ピン部材およびそのロー付け方法に関
し、特に端面部分がロー付けされる眼鏡用ピン部材、眼
鏡フレームおよびそのロー付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属フレームを使用した眼鏡で
は、リムとヨロイとの結合のように、金属部品どうしの
結合をロー付けによって行っている。このロー付けによ
って結合される部品の一つに、ピン部材がある。ピン部
材としては、ブリッジとパッドを連結するパッド足や、
リムレス眼鏡においてヨロイとレンズを連結するための
ネジ型のピン部材等がある。ネジ型のピン部材は、ヨロ
イにロー付けされ、その先端部がレンズに形成された穴
に挿入されてナットによって締結される。
【0003】図6はネジ型のピン部材を従来のロー付け
方法によりヨロイに取り付けた状態を示す図であり、
(A)はロー付けが未完了の状態を示す図、(B)はロ
ー付けの完了状態を示す図である。ピン部材61のロー
付けは、ロー付け部611の端面611aをヨロイ62
に接触させた状態で、ピン部材61およびヨロイ62を
高周波加熱器又は抵抗ロー接器で加熱させながら、接触
部分の周りにロー63を流すことにより行う。このと
き、端面611aの縁端部には、環状の面取り部611
bが形成されている。このため、ロー63は、面取り部
611bとヨロイ62の間にできた溝に沿って流れ込
み、これによって、ピン部材61の周りに均等にロー付
けを行うことができる。
【0004】ただし、図(A)の状態では、ロー63の
量が足りないので、ピン部材61の取り付け強度は弱
い。この場合には、加熱時間を長くして、図(B)のよ
うにロー63を多く流し込み、強度を高める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のロー付
け方法では、端面611aに形成された面取り部611
bにロー63が溜まるため、ロー63が横に広がりやす
く、ロー63の使用量が多い割にロー付け強度が低かっ
た。
【0006】一方、図(B)のようにロー付けの強度を
高めるためには、上述したように、加熱時間を長くし、
ロー63を多量に流す必要がある。しかし、ピン部材6
1に、材料として強度に優れるステンレス系のものを使
用した場合、このステンレスを長時間加熱すると、表面
が不動態になりクロムの酸化膜が生じて、ロー付けがで
きなくなることがある。このため、加熱しても酸化膜の
できない材料として、洋白を使用すると、ステンレスと
比べて強度が弱いため、ネジ溝が脆く、また熱によって
軟化し易いという問題点があった。
【0007】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、少ないロー材量で迅速に作業が行え、かつ強
固に固定することのできる眼鏡用ピン部材およびロー付
け方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、眼鏡用の部品にロー付けされる眼鏡用ピ
ン部材において、前記ピン部材は、一方の端部の先端に
ロー付けの際に眼鏡用部品と接触させるロー付け端面を
有し、前記ロー付け端面の縁端部には面取り部が形成さ
れておらず、周面上で、前記ロー付け端面から所定間隔
離れた部分に、環状の溝が形成されていることを特徴と
する眼鏡用ピン部材が提供される。
【0009】このような眼鏡用ピン部材では、ロー付け
端面にロー付けを行うと、ロー材の濡れ性と毛細管現象
により、周面に形成された溝までローが流れ込み、ピン
部材のロー付けがなされる。このとき、溝は、ロー付け
端面から所定間隔離れ、かつ軸周りに沿うように形成さ
れているので、ロー付け端面から溝までの周面のほぼ全
体をローが覆うことになる。よって、強固にピン部材が
固定される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一形態を図面に基
づいて説明する。図2は本形態のピン部材が使用される
眼鏡の外観を示す斜視図である。眼鏡10は、いわゆる
リムレス眼鏡であり、主に、左右のレンズ11,12
と、左右のフレーム13,14と、ブリッジ15とから
構成されている。フレーム13,14は、それぞれテン
プル16,18、ヨロイ17,19を有している。テン
プル16,18の各耳側端部には、モダン16a,18
aが設けられている。ヨロイ17,19は、テンプル1
6,18に丁番13a,14aを介して連結されてい
る。
【0011】また、ヨロイ(本形態ではニッケル系合
金、その他ベリリウム銅、洋白、チタン合金等を用いる
ことができる。)17には、2本の取り付け片171,
172が形成されている。取り付け片171,172に
は、左側のレンズ11が取り付けられている。一方、ヨ
ロイ19には、2本の取り付け片191,192が形成
されている。取り付け片191,192には、右側のレ
ンズ12が取り付けられている。これらの取り付け構造
については後述する。
【0012】レンズ11,12は、ブリッジ15を介し
て連結されている。ブリッジ15には、左右のパッド2
0,21が、それぞれパッド足20a,21aを介して
取り付けられている。パッド足20a,21aは、ブリ
ッジ15にロー付けされている。
【0013】図3はヨロイ17とレンズ11との取り付
け構造を示す分解図である。ヨロイ17の取り付け片1
71,172には、それぞれネジ型のステンレス系のピ
ン部材31,32がロー付けされている。これらピン部
材31,32は、それぞれレンズ11に形成された孔1
1a,11bに、ワッシャ41,44を介して挿入され
る。孔11aに挿入されたピン部材31の先端には、ワ
ッシャ42を介してナット43が締結される。一方、孔
11bに挿入されたピン部材32の先端には、ワッシャ
45を介してナット46が締結される。
【0014】なお、ヨロイ19とレンズ12との取り付
け構造については、ヨロイ17とレンズ11との取り付
け構造とほぼ同じなので、ここでは説明を省略する。図
4はピン部材31の具体的な構成を示す図である。ピン
部材31は、本体部311とロー付け部312とから構
成されている。本体部311には、ネジ溝311aが形
成されている。一方、ロー付け部312には、端面31
2aから所定距離間隔L2 離れた位置に、環状の溝31
2bが形成されている。
【0015】ここで、例えばピン部材31の全長L1
11.0mm、直径R1 を1.4mmとした場合、端面
312aから溝312bの縁までの所定間隔L2 を0.
5mm、溝312bの幅W1 を0.2mm、溝312b
の谷の角度θ1 を60°、溝312bの直径r1 を1.
0mmとすることが好ましい。
【0016】なお、ピン部材32の構成については、ピ
ン部材31とほぼ同じなので、ここでは説明を省略す
る。また、ヨロイ19側の図示されていないピン部材に
ついても同様である。
【0017】図5はピン部材31のロー付け方法の一例
を示す図である。フレーム13は、図示されていない固
定装置に固定されている。ヨロイ17の下方には、高周
波加熱器50が設置されており、この高周波加熱器50
により、取り付け片171,172がロー材51の融点
温度まで加熱される。また、ピン部材31,32は、図
示されていない支持装置により支持されており、それぞ
れ取り付け片171,172の所定位置に接触してい
る。
【0018】この状態で、ピン部材31のロー付け部3
12と取り付け片171との境目にロー材51を接触さ
せると、高周波加熱器50の熱によりロー材51の一部
が溶けて、ロー付け部312の周囲に流れる。これによ
り、ピン部材31が取り付け片171にロー付けされ
る。
【0019】図1はピン部材31のロー付け状態を示す
図である。なお、ここでは、ロー51aのみを断面にし
てある。ロー付け部312と取り付け片171との境目
に流されたロー51aは、ロー付け部312の周面を濡
れ性によって上昇する。そして、ロー51aは、その一
部が溝312bに到達すると、毛細管現象により直ちに
吸い込まれ、溝312b全体に充填される。これによ
り、ロー51aは、ロー付け部312と取り付け片17
1との境目から溝312bに亘って、ロー付け部312
の周面全体を覆うことになる。したがって、ピン部材3
1が強固に取り付けられる。また、このとき、ロー51
aは、迅速に溝312bに吸い込まれるので、作業時間
が短縮される。そして、加熱時間を短くできるので、本
形態のようにピン部材31にステンレスを使用しても、
酸化膜ができる前にロー付けを完了することができる。
【0020】また、毛細管現象により、ロー51aは溝
内に溜まろうとするので、ロー51aの横への広がりが
極力防止される。よって、少ないロー材量でピン部材3
1を取り付けることができる。
【0021】さらに、溝312bまで到達したロー51
aは、それより上に上昇しようとしないので、この溝3
12bがロー材量の目安になり、作業が簡単になる。ま
た、このことから、溝312bより先のネジ溝311a
までロー51aが達することが極力避けられるので、ロ
ー51aがネジ溝311aを埋めてしまうことが防止さ
れる。
【0022】また、ロー付け部312の一部に溝312
を形成するだけでこれらの作用を期待できるので、ピ
ン部材31の製造も簡単であり、コスト高とならない。
なお、本形態では、ヨロイ17にロー付けされるネジ型
のピン部材31等を例としたが、ブリッジ15にロー付
けされるパッド足20a,21aにも本発明を適用する
ことができる。また、ピン状の部材であれば、この他の
ロー付け部品にも適用できる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、周面上
で、ロー付け端面から所定間隔離れた部分に、溝を形成
するようにしたので、ロー付け端面にロー付けされたロ
ーをロー材の濡れ性と毛細管現象により溝に流し込むこ
とができ、短時間でピン部材を固定することができる。
このとき、溝は、ロー付け端面から所定間隔離れている
ので、ロー付け端面から環状の溝までローが覆うことに
なり、ピン部材を強固に固定することができる。また、
ローは、溝に向かって流れようとするので、軸方向と垂
直な方向に必要以上に広がることが防止される。このた
め、ロー材量を低減することができる。
【0024】さらに、ローの軸方向への流れは、環状の
溝で止められるので、ロー材量の目安になって作業が簡
単になるとともに、軸方向に必要以上にローが流れるこ
とが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピン部材のロー付け状態を示す図である。
【図2】本形態のピン部材が使用される眼鏡の外観を示
す斜視図である。
【図3】ヨロイとレンズとの取り付け構造を示す分解図
である。
【図4】ピン部材31の具体的な構成を示す図である。
【図5】ピン部材のロー付け方法の一例を示す図であ
る。
【図6】ネジ型のピン部材を従来のロー付け方法により
ヨロイに取り付けた状態を示す図であり、(A)はロー
付けが未完了の状態を示す図、(B)はロー付けの完了
状態を示す図である。
【符号の説明】
10 眼鏡 11,12 レンズ 13,14 フレーム 15 ブリッジ 16,18 テンプル 17,19 ヨロイ 20,21 パッド 31,32 ピン部材 51 ロー材 51a (溶着された)ロー 171,172 取り付け片 311 本体部 311a ネジ溝 312 ロー付け部 312a 端面 312b 溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−106051(JP,A) 特開 昭59−111984(JP,A) 実開 平4−63419(JP,U) 実開 平4−135724(JP,U) 実開 平1−33370(JP,U) 実公 昭48−1086(JP,Y1) 登録実用新案3005034(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02C 5/00 - 5/02 B23K 1/00 330 B23K 1/14 B

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼鏡用の部品にロー付けされる眼鏡用ピ
    ン部材において、前記ピン部材は、一方の端部の先端にロー付けの際に眼
    鏡用部品と接触させるロー付け端面を有し、 前記ロー付け端面の縁端部には面取り部が形成されてお
    らず、 周面上で、前記ロー付け端面から所定間隔離れた部分
    に、環状の溝が形成されていることを特徴とする眼鏡用
    ピン部材。
  2. 【請求項2】記ピン部材がステンレス系材料からな
    ることを特徴とする請求項1記載の眼鏡用ピン部材。
  3. 【請求項3】 ピン部材がロー付けされている眼鏡フレ
    ームにおいて、 前記ピン部材は、一方の端部の先端にロー付けの際に眼
    鏡用部品と接触させるロー付け端面を有し、 前記ロー付け端面の縁端部には面取り部が形成されてお
    らず、 周面上で、前記ロー付け端面から所定間隔離れた部分
    に、環状の溝が形成されており、 前記ロー付け端面から前記環状の溝までの周面のほぼ全
    体がローに覆われていることを特徴とする眼鏡フレー
    ム。
  4. 【請求項4】 眼鏡用の部品にロー付けされる眼鏡用ピ
    ン部材のロー付け方法において、 前記眼鏡用ピン部材は、一方の端部の先端にロー付け端
    面を有し、 前記ロー付け端面の縁端部には面取り部が形成されてお
    らず、 周面上で、ロー付け端面から所定間隔離れた部分に、環
    状の溝を予め形成しておき、 前記眼鏡用の部品に前記眼鏡用ピン部材のロー付け端面
    を接触させ、 前記接触部分を加熱してローを溶融させ、 前記溶融したローが前記溝に到達するまで前記溶融した
    ローを流し込み、 前記ロー付け端面から前記環状の溝までの周面のほぼ全
    体をローで覆うことを特徴とする眼鏡用ピン部材のロー
    付け方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3005034U (ja) 1994-06-07 1994-12-06 株式会社アイ・プローター小林 縁無し眼鏡におけるレンズ連結構造

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP3005034U (ja) 1994-06-07 1994-12-06 株式会社アイ・プローター小林 縁無し眼鏡におけるレンズ連結構造

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