JP3446805B2 - 車両用音声入力装置 - Google Patents

車両用音声入力装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の乗員が発声
する音声の内容を認識し、車載機器に対して制御信号を
入力するための車両用音声入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の乗員が通信装置により通話を行う
場合、マイクロホンを手に持って音声を入力すると、運
転操作がし難くなるといった問題を解決するために、乗
員が発する音声を電気信号(音声信号)に変換するマイ
クロホンを、ショルダベルト部(シートベルトの一部を
構成し、乗員の胸部を拘束するベルト)上の、乗員の胸
元に対応する位置に設け、そのマイクロホンからの音声
信号を通信装置に入力するようにした音声入力装置が従
来より知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両の
乗員が発声する音声の内容を認識し、音声による車載装
置の操作を行う場合に、上記従来の装置のように運転席
にマイクロホンを設けると、車両の運転者は音声による
車載装置の操作が可能であるが、例えば助手席側の乗員
が音声により車載装置の操作を行うことは困難である。
また、単純に助手席側にマイクロホンを設置しただけで
は、運転者による操作か、助手席の乗員による操作かが
明確でないため、不適切な操作が行われる可能性があっ
た。
【0004】本発明はこの点に着目してなされたもので
あり、車両に複数の乗員が乗車している場合でも、それ
ぞれの乗員が音声による車載装置の操作を適切に行うこ
とができる車両用音声入力装置を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1に記載の発明は、車両の乗員が発声する音声の
内容を認識し、ナビゲーション装置を含む車載機器に対
して制御信号を入力するための車両用音声入力装置にお
いて、前記車両の複数の座席に対応して配置された複数
のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンから入力さ
れる音声信号に基づいて発声者が着座している座席を特
定する発声者特定手段と、前記発声者特定手段により特
定された座席に対応するマイクロホンから入力される音
声信号の内容を認識する音声認識手段とを備え、前記音
声認識手段は、認識した音声信号の内容から、前記特定
された座席の乗員によって指定された車載機器及びその
操作内容を判別し、該判別された操作内容が前記ナビゲ
ーション装置の表示画面を変更する操作である場合、前
記特定された座席が運転席であるならば、車両走行中は
前記表示画面の変更操作を実行不可とすること特徴とす
る。
【0006】
【0007】請求項2に記載の発明は、車両の乗員が発
声する音声の内容を認識し、本体表示部及びヘッドアッ
プディスプレイを有するナビゲーション装置を含んだ
載機器に対して制御信号を入力するための車両用音声入
力装置において、前記車両の複数の座席に対応して配置
された複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホン
から入力される音声信号に基づいて発声者が着座してい
る座席を特定する発声者特定手段と、前記発声者特定手
段により特定された座席に対応するマイクロホンから入
力される音声信号の内容を認識する音声認識手段とを備
え、前記音声認識手段は、認識した音声信号の内容か
ら、前記特定された座席の乗員によって指定された車載
機器及びその操作内容を判別し、該判別された操作内容
が前記ナビゲーション装置に地図を表示させる操作であ
る場合、前記特定された座席が運転席であるならば、前
記本体表示部及び前記ヘッドアップディスプレイを共に
作動させ、前記特定された座席が運転席以外の座席であ
るならば、前記本体表示部を作動させること特徴とす
る。
【0008】
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の車両用音声入力装置において、前記音
声認識手段は、前記操作内容が車両の運転操作に関連す
る車載装置の操作である場合、前記特定された座席が運
転席以外の座席であるならば、当該車両の運転操作に関
連する車載装置の操作を実行不可とすることを特徴とす
る。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0014】図1は本発明の第1の実施形態にかかる車
両用音声入力装置の要部の構成を示すブロック図であ
る。この装置は、図4に示すように乗員保護のためのシ
ートベルトのうち、装着時に運転席及び助手席の乗員の
胸部を拘束するショルダベルト部10に配置されたドラ
イバ側マイクロホン1A及びアシスタント側マイクロホ
ン1Bと、マイクロホン1A、1Bから入力される音声
信号から、発声者が着座している座席を特定し、該特定
した座席に対応するマイクロホンからの音声信号SOU
Tと、特定した座席を示す発声者情報SPKとを出力す
る音声信号調整部2と、音声信号SOUTの内容を認識
し、発声者情報SPKに応じて車載機器に制御信号CT
Lを出力する音声認識部3とを備えている。音声による
操作の対象となる車載装置としては、例えばランプ、ワ
イパ、ミラー、パワーウインドウ、エアコン、カーオー
ディオ、ナビゲーション装置、オートクルーズ装置など
がある。本実施形態では、マイクロホン1A及び1Bの
特性(感度、指向性)がほぼ同一となるように構成され
ている。
【0015】音声調整部2は、図2に示すような処理を
実行し、出力信号SOUT及び発声者情報SPKを出力
する。ステップS1では、マイクロホン1Aから、運転
者が発声した音声に対応する音声信号が入力されたか否
かを判別し、マイクロホン1Aからの音声入力が無いと
きは待機し、有るときは、マイクロホン1Bから助手席
に着座している乗員(以下「アシスタント」という)が
発声した音声に対応する音声信号が入力されたか否かを
判別する(ステップS2)。ステップS1、S2の判別
は、例えば以下のようにして行う。
【0016】マイクロホン1A,1Bからの入力信号S
IN1,SIN2のレベルを、LSIN1、LSIN2
とすると、レベルLSIN1及びLSIN2の過去30
秒間の移動平均値LAVE1,LAVE2を算出し、入
力信号SIN1の閾値TH1及び入力信号SIN2の閾
値TH2を下記式により算出する。
【0017】 TH1=LAVE1+ΔL1 TH2=LAVE2+ΔL2 ここで、ΔL1、ΔL2は、それぞれ移動平均値LAV
E1,LAVE2の5%程度の値に設定される加算項で
ある。
【0018】そして、LSIN1>TH1が成立すると
き、ドライバ側音声入力(マイクロホン1Aからの入
力)ありと判別し、LSIN2>TH2が成立すると
き、アシスタント側音声入力(マイクロホン1Bからの
入力)ありと判別する。これにより、定常的に入力され
る音声信号、例えばロードノイズなどからなる背景ノイ
ズのみが入力されている状態では、音声入力なしと判別
される。
【0019】ステップS1の答が肯定(YES)で、ス
テップS2の答が否定(NO)、すなわちマイクロホン
1Aからの音声入力のみがなされたときは、発声者は運
転者(発声者は運転席に着座している乗員)と判定し、
発声者情報SPKを「1」に設定する(ステップS4)
とともに、マイクロホン1Aからの音声信号を出力信号
SOUTとし(ステップS5)、出力信号SOUT及び
発声者情報SPKを音声認識部3に出力して(ステップ
S9)、ステップS1に戻る。
【0020】一方ステップS1及びS2の答がともに肯
定(YES)、すなわちマイクロホン1A及び1Bの両
方から音声入力がなされたときは、マイクロホン1Aか
らの入力信号SIN1のレベルLSIN1が、マイクロ
ホン1Bからの入力信号SIN2のレベルLSIN2に
所定値ΔL3を加算した値より大きいか否かを判別し
(ステップS3)、LSIN1>LSIN2+ΔL3で
あるときは、発声者は運転者と判定して前記ステップS
4に進む。また、LSIN1≦LSIN2+ΔL3であ
るときは、レベルLSIN2がレベルLSIN1に所定
値ΔL3を加算した値より大きいか否かを判別し(ステ
ップS6)、LSIN2>LSIN2+ΔL3であると
きは、発声者はアシスタントと判定し、発声者情報SP
Kを「2」に設定する(ステップS7)とともに、マイ
クロホン1Bからの音声信号を出力信号SOUTとし
(ステップS8)、前記ステップS9に進む。
【0021】ステップS3及びS6の答が共に否定(N
O)であって、レベルLSIN1,LSIN2がほぼ同
程度であるときは、運転者及びアシスタントが同程度の
大きさで発声した場合か、外部から突発的に音声が入力
された場合であって、発声者を特定できないので、直ち
にステップS1に戻り、出力信号SOUT及び発声者情
報の出力は行わない。
【0022】なお、上記所定値ΔL3は、例えば発声時
の平均的な音声信号レベルの5%程度の値に設定する。
【0023】図3は、音声認識部3における処理のフロ
ーチャートであり、この処理は、音声調整部2から信号
SOUTが入力されると実行される。
【0024】先ず信号SOUTに基づいて発声された音
声の内容を認識し(ステップS11)、次いで発声者が
操作の対象とする車載機器及び操作内容を特定する(ス
テップS12)。例えばランプ、ワイパー、ミラー、オ
ートクルーズ装置などの運転操作に関連する車載装置に
対して、ランプのオンオフ、ワイパーのオンオフ、フェ
ンダーミラーの移動(駐車時の収容位置と、使用時の起
立位置との間の移動)操作、オートクルーズのオンオフ
など操作内容を特定する。また、その他の車載装置であ
るエアコンのオンオフ若しくは温度調節、パワーウイン
ドウの開閉操作、ナビゲーション装置の表示部の表示画
面の変更指示などを特定する。
【0025】そして、ステップS12で特定した対象機
器及び操作が、発声者に許可されているか否かを判別す
る(ステップS13)。この判別は、予めメモリに格納
された操作許可テーブルと、検出した対象機器及び操作
とを対照することにより、行う。操作許可テーブルは、
例えば以下のように設定される。
【0026】1)運転操作に関連する車載機器に対する
操作は、発声者が運転者のときのみ許可する。
【0027】2)ナビゲーション装置を対象機器とし、
その表示部の表示画面を変更する操作は、車両走行中の
ときは発声者がアシスタントのときのみ許可する。これ
は、運転者が運転中に表示画面を変更可能とすると、画
面に気を取られ、前方に対する注意力が低下する可能性
があることを考慮したからである。
【0028】ステップS13の答が否定(NO)のとき
は、対象機器を操作するための制御信号CTLを出力す
ることなく処理を終了する。
【0029】一方ステップS13の答が肯定(YES)
のときは、発声者がいずれであるかに応じて、特定され
た操作内容に従い制御の内容を決定し(ステップS1
4)、その制御内容に応じた制御信号CTLを生成す
る。例えば、地図表示部としてインパネ中央部またはコ
ンソールに配置された本体表示部と、運転者前方のフロ
ントガラスに投影するヘッドアップディスプレイとを有
するナビゲーション装置を制御対象とする場合、「地図
表示」という指令(操作内容)を運転者が発声したとき
は、本体表示部及びヘッドアップディスプレイを共に作
動させるという制御内容を決定し、その制御内容に対応
した制御信号を生成し、同じ指令をアシスタントが発声
したときは、本体表示部のみ作動させるという制御内容
を決定し、その制御内容に対応した制御信号を生成す
る。さらに、パワーウインドウの開閉は、発声者が運転
者のときは、運転席側のウインドウのみ開閉作動させ、
発声者がアシスタントのときは、助手席側のウインドウ
のみ開閉作動させるようにしたり、あるいは、カーオー
ディオのボリュームを発声者の座席の近傍に設けられた
スピーカから出力される信号についてのみ変更するとい
った制御内容の詳細を決定し、それに対応した制御信号
CTLを生成する。また、ライトのオンオフ、エアコン
のオンオフなどの単純な操作については、単にその操作
に対応した制御信号CTLを生成する。
【0030】次いで、制御信号CTLを対象機器に対し
て出力し(ステップS15)、処理を終了する。
【0031】以上のように本実施形態では、マイクロホ
ン1A,1Bから入力される音声信号に基づいて発声者
が着座している座席、すなわち発声者が運転者か、アシ
スタントかを特定し、発声者が特定された音声信号の内
容を認識するとともに、認識した音声信号の内容から、
発声者によって指定された車載機器及びその操作内容を
判別し、判別された車載機器に対して判別された操作が
発声者に許可されているとき、その車載機器に対して対
応する制御信号を出力するようにしたので、運転者の他
にアシスタントが乗車している場合でも、それぞれが音
声による車載装置の操作を適切に行うことができる。
【0032】また、発声者の座席に応じて制御内容の詳
細を決定するようにしたので、例えばウインドウの開閉
やスピーカの音量調整などを、より適切に行うことがで
きる。
【0033】さらに、運転操作に関連する車載機器に対
する操作は、運転者が発声したときのみ許可するように
したので、アシスタントの音声による指示で運転操作に
関連する車載機器が運転者の意に反して操作されること
を防止することができる。
【0034】本実施形態では、音声信号調整部2が発声
者特定手段に相当し、音声認識部3が音声認識手段に相
当する。
【0035】なお本発明は上述した実施形態に限るもの
ではなく、種々の変形が可能である。例えば、マイクロ
ホンは、2個に限るものではなく、例えば後部座席に対
応して配置し、3個以上としてもよい。また、マイクロ
ホンの設置場所は、ショルダベルト部に限らず、例えば
ヘッドレストから着座した乗員の口の近傍に延びるアー
ムを設けて、そのアームに配置するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1または2
に記載の発明によれば、複数のマイクロホンから入力さ
れる音声信号に基づいて発声者が着座している座席が特
定され、特定された座席に対応するマイクロホンから入
力される音声信号の内容が認識され、認識された音声信
号の内容から、特定された座席の乗員によって指定され
た車載機器及びその操作内容が判別され、特定された座
席、操作対象機器及び操作内容に応じた制御信号の出力
が行われるので、車両に複数の乗員が乗車している場合
でも、それぞれの乗員が音声による車載装置の操作を適
切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車両用音声入力装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の音声信号調整部における処理を示すフロ
ーチャートである。
【図3】図1の音声認識部における処理を示すフローチ
ャートである。
【図4】マイクロホンの配置を説明するため図である。
【符号の説明】
1A、1B マイクロホン 2 音声信号調整部(発声者特定手段) 3 音声認識部(音声認識手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−97400(JP,A) 特開 平8−16184(JP,A) 特開 平8−313288(JP,A) 特開 平6−294660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 15/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の乗員が発声する音声の内容を認識
    し、ナビゲーション装置を含む車載機器に対して制御信
    号を入力するための車両用音声入力装置において、 前記車両の複数の座席に対応して配置された複数のマイ
    クロホンと、 前記複数のマイクロホンから入力される音声信号に基づ
    いて発声者が着座している座席を特定する発声者特定手
    段と、 前記発声者特定手段により特定された座席に対応するマ
    イクロホンから入力される音声信号の内容を認識する音
    声認識手段とを備え、 前記音声認識手段は、認識した音声信号の内容から、前
    記特定された座席の乗員によって指定された車載機器及
    びその操作内容を判別し、該判別された操作内容が前記
    ナビゲーション装置の表示画面を変更する操作である場
    合、前記特定された座席が運転席であるならば、車両走
    行中は前記表示画面の変更操作を実行不可とすること特
    徴とする車両用音声入力装置。
  2. 【請求項2】 車両の乗員が発声する音声の内容を認識
    し、本体表示部及びヘッドアップディスプレイを有する
    ナビゲーション装置を含んだ車載機器に対して制御信号
    を入力するための車両用音声入力装置において、 前記車両の複数の座席に対応して配置された複数のマイ
    クロホンと、 前記複数のマイクロホンから入力される音声信号に基づ
    いて発声者が着座している座席を特定する発声者特定手
    段と、 前記発声者特定手段により特定された座席に対応するマ
    イクロホンから入力される音声信号の内容を認識する音
    声認識手段とを備え、 前記音声認識手段は、認識した音声信号の内容から、前
    記特定された座席の乗員によって指定された車載機器及
    びその操作内容を判別し、該判別された操作内容が前記
    ナビゲーション装置に地図を表示させる操作である場
    合、前記特定された座席が運転席であるならば、前記本
    体表示部及び前記ヘッドアップディスプレイを共に作動
    させ、前記特定された座席が運転席以外の座席であるな
    らば、前記本体表示部を作動させること特徴とする車両
    用音声入力装置。
  3. 【請求項3】 前記音声認識手段は、前記操作内容が車
    両の運転操作に関連 する車載装置の操作である場合、
    記特定された座席が運転席以外の座席であるならば、当
    該車両の運転操作に関連する車載装置の操作を実行不可
    とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の車両用音声入力装置。
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