JP3446156B2 - 遮水シートの漏水位置確認方法 - Google Patents

遮水シートの漏水位置確認方法

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JP3446156B2 JP05151896A JP5151896A JP3446156B2 JP 3446156 B2 JP3446156 B2 JP 3446156B2 JP 05151896 A JP05151896 A JP 05151896A JP 5151896 A JP5151896 A JP 5151896A JP 3446156 B2 JP3446156 B2 JP 3446156B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、一般廃棄物処分
場、産業廃棄物処分場或いは汚染土壌処分場等におい
て、その露出面に敷設した遮水シートの破断箇所を検
知、確認するための漏水位置確認方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄物や汚染土壌等を封じ込める
最終処分場からの漏水に有害物質が含まれ、これによる
地下水や河川水の汚染が社会的問題となっている。この
原因は、最終処分場の露出面に敷かれた遮水シートが何
らかの原因で破断し、そこからの漏水と考えられる。従
来、この破断箇所を検知する方法としては、遮水シート
による遮水構造を必要とする処分場において、遮水シー
トが絶縁性であるという特性を活かし、ひとたびシート
に穴が空くとその漏水によりその部分の電気的特性が変
化するため、その破断箇所を検知できるというものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の破断箇所検知方法は、あくまでも遮水シートの電気
的特性の変化を検知しているため、何らかの電気的なト
ラブルにより電気測定部が誤作動を起こす場合があり、
その場合、誤作動か否かを確認する手段がなく、最悪の
場合、穴を掘って確認しなければならないという問題を
有し、現場業務を長期間にわたり停止しなければならな
いという問題を有している。
【0004】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
であって、確実に遮水シートの漏水位置を確認すること
ができる遮水シートの漏水位置確認方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために請求項1記載
の発明の遮水シートの漏水位置確認方法は、内面に複層
で遮水シートを敷設し、該複層の遮水シートの中層部に
排水管を設け、周囲にモニタリング用井戸を設けた処分
場において、処分場を複数のブロックに分割し、それぞ
れのブロックに種類の異なる人工トレーサを投入し、前
記排水管やモニタリング用井戸から採水し、イオンクロ
マトグラフによる水質分析により前記人工トレーサを検
出することにより、遮水シートが破断しているブロック
を限定していくことを特徴とし、また、請求項2記載の
発明においては、内面に単層若しくは複層で遮水シート
を敷設し、該遮水シートの下方若しくは複層の遮水シー
トの中層部に排水管を設け、周囲にモニタリング用井戸
を設けた処分場において、処分場を複数のブロックに分
割し、下流側のブロックから上流側のブロックに向けて
順番に人工トレーサを投入し、前記排水管やモニタリン
グ用井戸から採水し、イオンクロマトグラフによる水質
分析により前記人工トレーサを検出することにより、遮
水シートが破断しているブロックを限定していくことを
特徴とし、また、請求項3記載の発明については、内面
に単層若しくは複層で遮水シートを敷設し、該遮水シー
トの下方若しくは複層の遮水シートの中層部に排水管を
設け、周囲にモニタリング用井戸を設けた処分場におい
て、前記遮水シートの破断箇所を電気式漏水検知方法に
より検知した場合に、その位置に人工トレーサを投入
し、前記排水管やモニタリング用井戸から採水し、イオ
ンクロマトグラフによる水質分析により前記人工トレー
サを検出することにより、遮水シートが破断しているか
否かを確認することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1は、本発明の遮水シートの
漏水位置確認方法を適用する処分場を示し、一部断面を
示す斜視図である。窪み状に形成された処分場10の内
面には単層若しくは複層で遮水シート1が敷設され、遮
水シート1の上面に廃棄物11等が埋め立てられる。遮
水シート1の下方若しくは複層の遮水シートの中層部
に、遮水シート1からの漏水を集める排水管12が配設
され、排水管12には拡散状況確認用の確認用パイプ1
3が接続されている。確認用パイプ13は、遮水シート
1を貫通するのを避けるように地上に向けて配設され、
処分場10の周囲に開口されている。また、処分場10
の周囲には複数のモニタリング用井戸14が設けられて
いる。15は電気式漏水検知方法(後述)により検知さ
れた漏水検知位置に設けられ、人工トレーサを投入する
ための投入パイプを示している。
【0007】図2は、本発明の遮水シートの漏水位置確
認方法の1実施例を示し、処理の流れを説明するための
図である。先ず、ステップS1で人工トレーサによる漏
水調査を行う。人工トレーサとしては、自然界及び処分
場に無い物質で、土壌に非吸着性で環境に無害の臭化ナ
トリウムや塩化ナトリウム等を使用する。この調査によ
りステップS2で漏水を確認したか否かを判定し、確認
しなければそのままエンドとなり、確認した場合にはス
テップS3で遮水シートの補修等の漏水対策を実施し、
その後、ステップS1に戻り人工トレーサによる漏水調
査、確認を行い、漏水がなくなるまで漏水対策を実施す
る。
【0008】図3及び図4は、図2の漏水位置確認方法
の具体的実施例を示す模式的平面図である。
【0009】図3の実施例においては、処分場10を複
数のブロック、例えば4つのブロックにA〜Dに分割す
る。なお、ブロックの数は最大人工トレーサの種類の数
だけ設定可能である。そして、それぞれのブロックにA
〜Dに種類の異なる人工トレーサを投入し、排水管12
内の排水を確認用パイプ13から採水し、また、モニタ
リング用井戸14から地下水を採水し、イオンクロマト
グラフによる水質分析により人工トレーサを検出する。
これにより、どの人工トレーサ物質が検出されたかによ
り、漏水個所があるブロックを限定することができる。
【0010】例えば、Aブロックに投入した人工トレー
サ物質が検出されたらAブロックに漏水個所があること
が分かる。次に、Aブロックを同様に複数のブロックに
分割してそれぞれに種類の異なる人工トレーサを投入し
て漏水ブロックを探していき、この作業を繰り返すこと
により、漏水個所を限定していくことができる。
【0011】図4の実施例は、処分場10が谷地に造成
されることが多く地下水が上流から下流に流れる現象を
利用した例である。処分場10を複数のブロック、例え
ば5つのブロックにA〜Eに分割する。なお、ブロック
の数は限定されるものではない。そして、先ず、下流側
のブロックEで人工トレーサを投入し、排水管12内の
排水を確認用パイプ13から採水し、また、モニタリン
グ用井戸14から地下水を採水し、イオンクロマトグラ
フによる水質分析により人工トレーサを検出する。人工
トレーサが検出されなければブロックEに問題はなく、
次にブロックDで人工トレーサ試験を行い、以下順次ブ
ロックC、B、Aと行う。あるブロックで人工トレーサ
が検出されれば、そのブロックを再び複数のブロックに
分割して人工トレーサ試験を行うことにより、漏水個所
があるブロックを限定していくことができる。
【0012】図5は、本発明の遮水シートの漏水位置確
認方法の他の実施例を示し、処理の流れを説明するため
の図である。先ず、ステップS1で電気式漏水検知を実
施する。ステップS2で漏水を検知したか否かを判定
し、検知しなければそのままエンドとなり、検知した場
合にはステップS3の人工トレーサによる漏水調査を行
う。この調査によりステップS4で漏水を確認したか否
かを判定し、確認しなければそのままエンドとなり、確
認した場合にはステップS5で遮水シートの補修等の漏
水対策を実施し、その後、ステップS3、S4に戻り人
工トレーサによる漏水調査、確認を行い、漏水がなくな
るまで漏水対策を実施する。
【0013】本実施例における漏水位置確認方法を説明
する。図5のステップS2で電気式漏水検知により漏水
が検知された場合には、その位置に投入パイプ15を遮
水シート1の直上まで埋め込み、投入パイプ15内に人
工トレーサを投入する。そして、排水管14内の排水を
確認用パイプ13から採水し、また、モニタリング用井
戸14から地下水を採水し、イオンクロマトグラフによ
る水質分析により人工トレーサを検出することにより、
遮水シート1に穴が有るか否かを確認することができ
る。また、浸透流解析と組み合わせることにより、穴の
規模等が把握でき危険な穴かどうかの判断に使うことが
できる。
【0014】図6は、図5の電気式漏水検知方法の例を
説明するための図であり、図6(A)は模式的構成図、
図6(B)及び図6(C)は遮水シートの例を示す断面
図、図6(D)及び図6(E)は破断箇所検知方法を説
明するための図である。本例は、遮断シート内に導電層
または導電ラインを形成して電流を流し、前記遮断シー
トの外側に格子状に線電極を配置し、漏洩電流を検知す
ることにより遮断シートの破断箇所を検知することを特
徴としている。
【0015】図6(A)において、廃棄物や汚染土壌等
を封じ込める処分場の底面には、遮水シート1が敷設さ
れている。遮水シート1は、絶縁性の上側シート2と下
側シート3の間に導電性の素材からなる導電層4を挟ん
だ3層構造のもので、導電層4に電流を流すと共に、遮
水シート1の下側に漏洩電流検知部5を配置する構成と
する。遮水シート1は、図6(B)に示すように、絶縁
性の上側シート2と下側シート3の間に導電加工繊維か
らなる膜状繊維を導電層4として挟んだ3層構造のもの
や、図6(C)に示すように、絶縁性のシート2内部に
導電加工繊維をメッシュ配置した導電ライン4を形成し
た構造を採用する。
【0016】漏洩電流検知部5は、図6(A)及び図6
(D)に示すように、線電極X1〜X5、線電極Y1〜
Y6を東西方向、南北方向のように直角方向に格子状に
絶縁して配置し、各方向のうちの1つの線電極と導電層
または導電ライン4を接続している。各線電極は、それ
ぞれジャンクションボックスに接続され、各線電極毎に
流れる電流を計測可能にしている。図6(A)に示すよ
うに、遮水シート1に破損部が生じると、破損部に最も
近い線電極X3と導電層4をつないだ回路及びY4と導
電層4をつないだ回路に1番強い漏洩電流が流れ、図6
(D)及び図6(E)に示すように、東西、南北の方向
からそれぞれX3、Y4を検出することにより破断箇所
を特定することができる。
【0017】上記の電気式漏水検知方法によれば、遮水
シートの外側に漏洩電流検知部を配置するため、処分場
内部の浸出水による電極の腐食を防止することができ耐
久性を向上させることができる。また、漏洩電流が遮水
シートの穴からじかに流れるので、その直下の漏洩電流
検知部で検知しやすく、従来より高い精度の検知が可能
になると共に、従来と同様の精度であれば、電極の間隔
を大きくでき、現場作業を減少させコストダウンを図る
ことができる。
【0018】なお、電気式漏水検知方法については、上
記の例に限定されるものではなく、従来公知の種々の電
気式漏水検知方法の採用が可能である。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、環境に無害な人工トレーサを用いることによ
り、確実に遮水シートの漏水位置を確認することができ
る。また、埋立中の監視以外にも竣工時の検査としても
利用でき、それ以後に問題が発生した場合でも、施工不
良の疑いを解消することができ、信頼性を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮水シートの漏水位置確認方法を適用
する処分場を示し、一部断面を示す斜視図である。
【図2】本発明の遮水シートの漏水位置確認方法の1実
施例を示し、処理の流れを説明するための図である。
【図3】図2の漏水位置確認方法の具体的実施例を示す
模式的平面図である。
【図4】図2の漏水位置確認方法の具体的実施例を示す
模式的平面図である。
【図5】本発明の遮水シートの漏水位置確認方法の他の
実施例を示し、処理の流れを説明するための図である。
【図6】図5の電気式漏水検知方法の例を説明するため
の図であり、図6(A)は模式的構成図、図6(B)及
び図6(C)は遮水シートの例を示す断面図、図6
(D)及び図6(E)は破断箇所検知方法を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1…遮水シート、10…処分場、11…廃棄物、12…
排水管 13…確認用パイプ、14…モニタリング用井戸、15
…投入パイプ
フロントページの続き (72)発明者 久保正顕 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 斎藤 章 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−13899(JP,A) 特開 昭64−63835(JP,A) 特開 昭60−18737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/04 B09B 1/00 ZAB G01M 3/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面に複層で遮水シートを敷設し、該複層
    の遮水シートの中層部に排水管を設け、周囲にモニタリ
    ング用井戸を設けた処分場において、処分場を複数のブ
    ロックに分割し、それぞれのブロックに種類の異なる人
    工トレーサを投入し、前記排水管やモニタリング用井戸
    から採水し、イオンクロマトグラフによる水質分析によ
    り前記人工トレーサを検出することにより、遮水シート
    が破断しているブロックを限定していくことを特徴とす
    る遮水シートの漏水位置確認方法。
  2. 【請求項2】内面に単層若しくは複層で遮水シートを敷
    設し、該遮水シートの下方若しくは複層の遮水シートの
    中層部に排水管を設け、周囲にモニタリング用井戸を設
    けた処分場において、処分場を複数のブロックに分割
    し、下流側のブロックから上流側のブロックに向けて順
    番に人工トレーサを投入し、前記排水管やモニタリング
    用井戸から採水し、イオンクロマトグラフによる水質分
    析により前記人工トレーサを検出することにより、遮水
    シートが破断しているブロックを限定していくことを特
    徴とする遮水シートの漏水位置確認方法。
  3. 【請求項3】内面に単層若しくは複層で遮水シートを敷
    設し、該遮水シートの下方若しくは複層の遮水シートの
    中層部に排水管を設け、周囲にモニタリング用井戸を設
    けた処分場において、前記遮水シートの破断箇所を電気
    式漏水検知方法により検知した場合に、その位置に人工
    トレーサを投入し、前記排水管やモニタリング用井戸か
    ら採水し、イオンクロマトグラフによる水質分析により
    前記人工トレーサを検出することにより、遮水シートが
    破断しているか否かを確認することを特徴とする遮水シ
    ートの漏水位置確認方法。
  4. 【請求項4】前記人工トレーサとして、自然界及び処分
    場に無い物質で、土壌に非吸着性で環境に無害の臭化ナ
    トリウムや塩化ナトリウム等を用いたことを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の遮水シート
    の漏水位置確認方法。
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