JP3446038B2 - 微小突起の除去方法及び除去装置並びにカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

微小突起の除去方法及び除去装置並びにカラーフィルタの製造方法

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JP3446038B2 JP05909897A JP5909897A JP3446038B2 JP 3446038 B2 JP3446038 B2 JP 3446038B2 JP 05909897 A JP05909897 A JP 05909897A JP 5909897 A JP5909897 A JP 5909897A JP 3446038 B2 JP3446038 B2 JP 3446038B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として液晶表示
素子等に使用するカラーフィルタの製造に際して、該カ
ラーフィルタを構成する基板上の微小突起を除去するた
めの方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、カラー液晶表示素子に
は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)3色のマイクロカラ
ーパターンを形成したカラーフィルタが使用される。図
5はカラーフィルタの構造及び異物の形態を示してい
る。この図に示すように、カラーフィルタFはソーダガ
ラス基板21上に形成されたSiO2被膜22上に遮光用
のメタルブラックマスク23を所定パターンで形成し、
そのパターンに沿って赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の
感光性樹脂フィルム24を配列してなるもので、さらに
該感光性樹脂フィルム24上にオーバーコート膜25が
形成されている。なお、26は液晶、28は電極、29
配向膜である。
【0003】上記構成のカラーフィルタの製造はクリー
ンルーム内で行われるが、現状ではガラス基板21、メ
タルや樹脂からなるブラックマスク23、R,G,B3
色の感光性樹脂フィルム24上に、異物27a,27
b,27cが極稀に付着することは避けられない。
【0004】このような主な異物の材質としては、衣類
等から発生する各種繊維、作業者等の皮膚細胞、金属
片、カレットと呼ばれるガラス破片、オーバーコート膜
25の破片等がある。また、製造プロセスの関係から、
ソーダガラス基板21上に付着する異物27aは殆どな
く、大半がメタルブラックマスク23上に付着する異物
27bか、感光性樹脂フィルム24上に付着する異物2
7cの形態を有している。
【0005】このような異物27a,27b,27cは
その大きさにもよるが、これによって形成される突起高
さが凡そ0.15μmを超えると、液晶表示素子として組み
立てたときに、その周辺の液晶分子の配向状態が乱れ、
画素欠陥となることが実験的に確認されている。
【0006】このような不都合をなくすために、従来よ
りカラーフィルタの製造時においては、異物による微小
突起の除去加工が実施されている。この微小突起除去方
法に係る第1の先行技術例として特開平6−31387
1号公報には、ステージの上方に配置した研磨へッドに
より、ステージ上に載置されたカラーフィルタの微小突
起を研磨除去するもので、研磨ヘッドとカラーフィルタ
の微小突起間の相対距離を、研磨ヘッドが収納されたハ
ウジングの開口を通る空気流の圧力によって制御する方
法が開示されている。
【0007】また、上記微小突起の除去方法に係る第2
の先行技術例として特開平8−68993号公報には、
図6に示すように、テーブル31に搭載したカラーフィ
ルタFに対し、該フィルタ面を研磨する研磨テープ32
の背面側から押圧ローラ33で圧接させながら該研磨テ
ープ32を走行させて行う研磨動作に際して、押圧ロー
ラ33の抑圧面と、カラーフィルタ面との間隔を制御す
る方法が開示されている。
【0008】さらに、第3の先行技術例として、株式会
社コスモシステムから、研磨ヘッドの加圧力を制御して
研磨する方法を採用した装置が製品化され上市されてい
る。図7は、第3の先行技術例に基づくカラーフィルタ
表面に存在する異物による微小突起を除去するための従
来の研磨装置の概略構成を示している。
【0009】この図に示す従来の研磨装置は、装置本体
1と、装置本体1上を移動するY軸移動テーブル2と、
Y軸移動テーブル2に対して直交方向に移動するX軸移
動テーブル3とを備えており、X軸移動テーブル3上に
は研磨ヘッド4と、これを支持するヘッド支持部5、表
面粗さ計6及び光学的突起検出手段としてのCCDカメ
ラ7とが搭載されており、また、Y軸移動テーブル2に
はカラーフィルタFが搭載されている。さらに、ヘッド
支持部5はX軸移動テーブル3に対して鉛直方向(Z
軸)に移動可能に構成されている。
【0010】図8は研磨ヘッド部の構成を示している。
ヘッド支持部5は前述のようにX軸移動テーブル3上で
Z軸方向に移動可能に案内支持されているが、その駆動
手段は図8に示すように、ACサーボモータ8とロータ
リーエンコーダ9aとを組み合わせて構成されており、
その最小移動分解能は0.25μmに設定されている。
【0011】研磨ヘッド4はヘッド支持部5に対して鉛
直方向に移動可能に案内支持されており、バネ10によ
って鉛直方向に付勢されている。また、研磨ヘッド4と
ヘッド支持部5間には、接触式変位計11が配設されて
おり、この変位計11は分解能1μmで研磨ヘッド4の
位置を検出できるようになっている。
【0012】図外の制御部では、バネ10のバネ定数と
接触式変位計11の検出値から研磨ヘッド4の加圧力を
算出し、研磨の進行に伴って変化する加圧力を制御す
る。さらに、研磨ヘッド4の下端には固定ガイド12が
配設されており、この固定ガイド12によって、カラー
フィルタFの表面研磨を行う研磨テープ13を案内する
ようになっている。
【0013】図9は上記従来構成の研磨工程の流れを示
している。研磨装置にカラーフィルタFが搭載される前
工程としてステップS11の異物検査工程が設定されて
おり、異物検査機により異物27の検出が行われる。こ
の異物検査工程の制御手段では、検出された異物のカラ
ーフィルタF上におけるX軸及びY軸座標と、カラーフ
ィルタFの製造番号とが検査データとして、フロッピー
ディスク等の磁気記録媒体(図示せず)に記録する(ス
テップS12)。
【0014】そして、カラーフィルタFと磁気記録媒体
はセットで次工程である研磨工程に搬送される。研磨工
程に配備されている前記研磨装置では、Y軸移動テーブ
ル2にカラーフィルタFが搭載されると、制御部で磁気
記録媒体から異物座標データが読み出され、ステップS
13でCCDカメラ7により異物確認が行われる。次
に、ステップS14で表面粗さ計6により異物27の突
起高さが測定される。
【0015】異物27の突起高さが確認されると、ステ
ップS15でその測定値に基づき、研磨時間が決定され
る。研磨時間は研磨ヘッド4の加圧力を一定としたとき
の突起高さと研磨時間の関係から決定されるが、この場
合、両者の関係は過去の実験データを参照して決定され
る。
【0016】ステップS16で所定時間、研磨が行われ
ると、ステップS17で再度、表面粗さ計6により突起
高さが測定される。この時点で突起高さが所定の範囲内
に入っているか、あるいは研磨し過ぎていればステップ
S18へ進んで研磨は終了する。また、研磨量が不足し
ている場合はステップS16へ戻って再度同様の工程で
研磨が行われる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
先行技術例の場合、次のような問題点がある。すなわ
ち、第1の先行技術例は、前述のように研磨ヘッドとカ
ラーフィルタの微小突起間の相対距離を、研磨ヘッドが
収納されたハウジングの開口を通る空気流の圧力によっ
て制御するのであるが、この場合、第1の問題点とし
て、異物の突起形状に存在する鉛直断面スロープは区々
であるが、その鉛直断面スロープ角度の相違によって、
たとえ異物の突出高さが同じものであっても前記空気流
の圧力は異なってくる。
【0018】また第2の問題点として、研磨テープの使
用済み研磨粉が、前記空気流を発生する吸引部に堆積す
るため、空気流の圧力が変動する虞れが大きい。さらに
第3の問題点として、空気流の圧力を介して間接的に異
物の突起高さを検出するものであるため、高さ検出精度
が必然的に悪くなる。なお、この高さ検出精度は、本発
明者等が第1の先行技術例を対象として実験したところ
によれば、第1、第2の問題点の影響も加算され、1μ
mオーダーでの検出精度が限界であった。
【0019】次に、第2の先行技術例は図6に示したよ
うに、研磨テープ32の背面側から押圧ローラ33で圧
接させながら該研磨テープ32を走行させて行う研磨動
作に際して、押圧ローラ33の抑圧面と、カラーフィル
タ面との間隔を制御するのであるが、明細書本文中に
は、大要、研磨テープ32を圧接する押圧ローラ面と、
カラーフィルタFを搭載するテーブル31との間の間隔
を、ガラスの厚さ+研磨テープの厚さ+残したいカラー
フィルタFの厚さになるように設定し、且つ研磨圧力を
適正な値に設定することにより、所望の一定の厚さのカ
ラーフィルタFが得られるという機能的、作用的内容が
記載されているに過ぎず、具体的且つ定量的な研磨方法
が開示されていない。
【0020】このように実際には、テーブル31の載置
面と押圧ローラ33の抑圧面との間隔を制御するもので
あるため、図10(B)に示すように、カラーフィルタF
の表面に撓みが生じている場合、寸法tで示す異物27
による突起の頂部しか研磨できず、加工後もカラーフィ
ルタFの表面の撓み及び異物27による突起の一部が残
存することとなり、必要な研磨加工をなし得ない場合が
発生するという不都合がある。
【0021】さらに、第3の先行技術例は、研磨ヘッド
の加圧力を制御して研磨するものであるが、この場合、
第1の問題点として、図7に示した異物27の突起高さ
の研磨精度は表面粗さ計6の測定分解能±0.5μm に依
存しており、許容範囲である±0.15μmに及ばない。
【0022】第2の問題点としては、研磨時間を異物2
7の突起高さだけで決定するものであるため、異物27
の材質による研磨時間の相違を認識できない。すなわ
ち、単位時間当たりの研磨量が保有データよりも少ない
材質の異物27を研磨するときは研磨不足となり、再度
研磨を行う必要がある。逆に、単位時間当たりの研磨量
が保有データよりも多い材質の異物27を研磨するとき
は研磨過剰となる。しかも、研磨過剰となると、最終突
起高さが許容範囲内であれば問題はないが、許容範囲を
超えた場合は修正不能となる。
【0023】第3の問題点として、研磨時間を異物27
の突起高さのみで決定するため、異物27の突起形状の
前述した鉛直断面スロープの違いによって、同じ高さで
あっても研磨時間が異なり、結果として研磨精度が劣化
する。すなわち、鉛直断面スロープがなだらかな異物を
研磨するときは研磨不足となり、再度研磨を行う必要が
ある。また逆に、鉛直断面スロープが急峻な異物を研磨
するときは研磨過剰となり、最終突起高さが許容範囲内
であれば問題はないが、許容範囲を超えた場合は修正不
能となる。
【0024】第4の問題点として、最終突起高さを決定
するファクターが研磨時間のみであるため、オーバーコ
ート膜25の厚みの各カラーフィルタ(被加工物)毎のバ
ラツキを考慮することができない。すなわち、過去にお
いて採取した保有データにおけるオーバーコート膜25
の厚みと、実際の生産時におけるオーバーコート膜25
の厚みが異なっていれば、たとえ加圧力が同じであって
もオーバーコート膜25の加圧力による変形量が異な
り、結果として研磨精度が劣化することになる。
【0025】そして、上記第2〜第4の問題点は単独で
発生する場合もあれば、重畳して発生する場合もある
が、特に重畳して発生する場合、最終突起高さが許容範
囲内に納まるように研磨することは非常に困難であり、
実質的に生産の歩留まりの低下を招くこととなる。
【0026】本発明は上記従来の問題点に鑑みなされた
ものであって、例えばカラーフィルタにおいて、オーバ
ーコート膜の厚みの基板毎のバラツキの影響を受けるこ
となく高精度の研磨量制御が可能で、生産の歩留り率の
向上を図り得る微小突起の除去方法及び除去装置を提供
することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の微小突起の除去
方法は、液晶表示素子のカラーフィルタを代表とする被
加工物表面に存在する微小突起を研磨加工によって除去
することを対象とするものであって、上記目的を達成す
るために、被加工物表面の微小突起近傍の正常部位に、
研磨加工手段が具備する研磨ヘッドを当接させて、所定
の加圧力を印加した状態で、前記研磨ヘッド当接部の高
さ位置座標を、高さ測定手段で測定して記憶する第1の
工程と、前記微小突起に前記研磨ヘッドを当接させて研
磨加工を行い、研磨終了段階で、前記研磨ヘッドの加圧
力を前記所定の加圧力となるように制御しながら、研磨
加工の進行とともに、前記研磨ヘッド当接部の高さ位置
座標が前記第1の工程で記憶した前記高さ位置座標に一
致した時点で、研磨加工を終了する第2の工程とを具備
するものとすることで、目標研磨完了高さを同一被加工
物の正常部を基準に設定することができるようにしてい
る。
【0028】上記方法では、前記第2の工程において、
研磨加工手段による微小突起の研磨加工中に、制御手段
によって前記研磨加工手段が具備する前記研磨ヘッドの
加圧力と前記研磨ヘッド当接部の高さ位置座標を同時に
制御するものとする。
【0029】この場合、研磨加工時の前記研磨加工手段
の加圧力が、前記微小突起または微小突起近傍の被加工
物表面、あるいはその両方に作用したときの変形量が0.
15μm以下となる加圧力に設定する。その変形量の設定
は、研磨加工手段の加圧力として特にカラーフィルタに
ついて最適となる値であって、この所定の加圧力が基準
となり、次の段階で、研磨加工時の前記研磨加工手段の
加圧力が、研磨加工初期段階には微小突起近傍の被加工
物表面に作用したときの変形量が0.15μm以上となる加
圧力に、研磨加工最終段階には前記微小突起近傍の被加
工物表面に作用したときの変形量が0.15μm以下となる
加圧力に、それぞれ設定する。
【0030】これにより、異物の材質による研磨時間の
相違や、異物の突起の鉛直断面スロープの違いの影響を
受けずに研磨することが可能となる。
【0031】本発明の微小突起の除去装置は、被加工物
表面に存在する微小突起を研磨加工によって除去するた
めの装置であり、装置本体と、前記被加工物を搭載し前
記装置本体上を移動するY軸移動テーブルと、研磨ヘッ
ド、前記研磨ヘッドを支持するヘッド支持部、表面粗さ
計及び光学的突起検出手段を搭載し、前記装置本体上に
おいて前記Y軸移動テーブルに対して直交方向に移動す
るX軸移動テーブルとから構成され、前記装置本体また
はX軸移動テーブルと研磨ヘッドとの間に0.01μm単位
の測定分解能を有する第1の高さ測定手段を配設すると
ともに、前記装置本体と前記ヘッド支持部間に0.01μm
単位の測定分解能を有する第2の高さ測定手段を配設
し、さらに、前記研磨ヘッドと前記ヘッド支持部との間
に前記被加工物表面のバネ定数よりも小さいバネ定数を
有するバネを配設した構成に特徴を有している。
【0032】上記構成において、前記第1の高さ測定手
段を2台準備し、第2の高さ測定手段を1台準備するこ
とにより、研磨ヘッドの移動軌跡上の機械的クリアラン
スに起因する誤差や、部材の弾性変形に起因する誤差を
キャンセルでき、研磨ヘッドのZ軸座標を更に高精度に
測定できる。したがって、異物の突起の研磨精度を更に
向上することが可能となる。また、本発明の微小突起の
除去装置は、研磨加工手段と、該研磨加工手段の高さを
測定する第1の高さ測定手段と、前記被加工物表面の微
小突起近傍部位に研磨加工手段を当接させたときにおけ
る第1の高さ測定手段により測定された前記研磨加工手
段の高さを記憶する制御手段と、を備えたものである。
さらに、本発明のカラーフィルタの製造方法は、カラー
フィルタ上の異物を検出する工程と、前記異物による微
小突起の近傍の正常部位に研磨加工手段を当接させて前
記微小突起の近傍の正常部位の高さを制御手段で記憶す
る工程と、前記微小突起に前記研磨加工手段を当接させ
て研磨加工を行い、前記研磨加工手段が、前記制御手段
が記憶した高さに到達した時点で研磨加工を終了する工
程と、を含むものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に掲げ
る実施形態においては、研磨装置の基本構成が便宜上、
前記第3の先行技術例である株式会社コスモシステムの
研磨装置の構成に準拠するものとして説明するが、本発
明と同様の手段が構成できるものであれば、その基本構
成に何等制約を与えるものではない。また、図5〜図8
に示した従来例と構成及び作用が共通する部分には共通
の符号を付すこととする。
【0034】図1〜図3は本発明の一実施形態を示すも
ので、図1は本実施形態に係る微小突起の除去装置とし
ての研磨装置の概略構成を、図2は研磨ヘッド部の構成
をそれぞれ示している。図1に示すように、本実施形態
の研磨装置は、装置本体1と、装置本体1上を移動する
Y軸移動テーブル2と、Y軸移動テーブル2に対して直
交方向に移動するX軸移動テーブル3とを備えている。
【0035】X軸移動テーブル3上には研磨ヘッド4
と、これを支持するヘッド支持部5、表面粗さ計6、及
び光学的突起検出手段としてのCCDカメラ7が搭載さ
れており、これに加えて図2にも示すように、研磨ヘッ
ド4の高さを直接測定する第1の高さ測定手段が配設さ
れている。第1の高さ測定手段14は測定分解能が0.1
μm以下、望ましくは0.01μm単位の測定器を用いるも
ので、具体的にはレーザ変位計や電気マイクロメータ等
が好適である。
【0036】本実施形態では、第1の高さ測定手段14
をレーザ変位計14aとレーザ反射板14bとにより構
成している。このように第1の高さ測定手段14として
レーザ変位計14aを用いる場合は、X軸移動テーブル
3にレーザ変位計14aの本体が、研磨ヘッド4にレー
ザ反射板14bがそれぞれ取り付けられる。特に重要な
ことは、レーザ反射板14bを可能な限り後述する固定
ガイド12に近接した場所に取り付けることである。こ
れは、長さを正確に測定するには基準尺の目盛方向と品
物の測定軸方向を一直線上に配置しなければならないと
いうアッベの原理に可能な限り近づくように配置するた
めである。
【0037】また、第1の高さ測定手段14が電気マイ
クロメータである場合は、X軸移動テーブル3に電気マ
イクロメータ本体を、研磨ヘッド4に被測定部をそれぞ
れ取り付けるようにする。注意すべきことは、電気マイ
クロメータの測定レンジ(測定分解能)の切り換えが必
要なことである。すなわち、粗動作、微動作に伴って測
定レンジの切り換えを行わないと、測定可能レンジ外で
測定を行ってしまうことがある。また、被測定部には、
電気マイクロメータのプローブが当接するため、被測定
部の表面は 0.01μmRmax程度の表面粗さと、ブリネル
かたさ200程度の硬度を有する材料で構成することが好
ましい。なお、第1の高さ測定手段14は装置本体1に
設けるようにしてもよい。
【0038】ヘッド支持部5はX軸移動テーブル3に対
して鉛直方向(Z軸)に移動可能に案内支持されてお
り、その駆動手段は図2に示すように、ACサーボモー
タ8と第2の高さ測定手段としてのロータリーエンコー
ダ9とを組み合わせて構成されている。但し、従来例で
はロータリーエンコーダ9aの最小移動分解能は0.25μ
mに設定されていたが、本実施形態では最小移動分解能
を0.01μm単位に向上させるために、これに対応するロ
ータリーエンコーダ9を採用している。
【0039】前記Y軸移動テーブル2には、カラー液晶
表示素子のカラーフィルタFが搭載されており、研磨装
置は該カラーフィルタ表面に存在する異物27による微
小突起を研磨するものである。すなわち、研磨ヘッド4
はヘッド支持部5に対して鉛直方向に移動可能に案内支
持されており、カラーフィルタF表面のバネ定数よりも
小さいバネ定数を有するバネ10によって鉛直方向に付
勢されている。研磨ヘッド4の下端には固定ガイド12
が配設されており、この固定ガイド12によって、カラ
ーフィルタFの表面研磨を行う研磨テープ13を案内す
るようになっている。
【0040】図3は研磨工程の流れを示している。研磨
装置にカラーフィルタFが搭載される前工程としてステ
ップS1の異物検査工程が設定されており、異物検査機
により異物27の検出が行われる。この異物検査工程の
制御手段では、検出された異物のカラーフィルタF上に
おけるX軸及びY軸座標と、カラーフィルタFの製造番
号とが検査データとして、フロッピーディスク等の磁気
記録媒体(図示せず)に記録する(ステップS2)。
【0041】そして、カラーフィルタFと磁気記録媒体
はセットで次工程である研磨工程に搬送される。研磨工
程に配備されている本実施形態の研磨装置では、Y軸移
動テーブル2にカラーフィルタFが搭載されると、制御
部(図示せず)で磁気記録媒体から異物座標データが読
み出され、ステップS3でCCDカメラ7により異物確
認が行われる。次に、ステップS4で表面粗さ計6によ
り異物27の突起高さが測定される。
【0042】以上のように表面粗さ計6により異物27
の突起高さを測定するステップS4までは図8に示す従
来の流れステップS11〜S14と同様であるが、その
次にステップS5において、基板表面の異物27による
微小突起近傍の正常部位nに研磨ヘッド4を当接させ
る。この場合、具体的には研磨ヘッド4下端の固定ガイ
ド12で案内された研磨テープ13の表面が当接するの
であり、この状態から所定の加圧力になるまで研磨ヘッ
ド4を降下させる。
【0043】また、上記正常部位nとは異物27による
微小突起の鉛直断面スロープの影響を受けない範囲で、
しかもなるべく近傍で、且つ別の異物が存在しないカラ
ーフィルタFの表面を意味している。なお、微小突起の
鉛直断面スロープは、前工程の表面粗さ計6による突起
高さの測定値を利用して検出する。
【0044】次に、加圧力は、第1の高さ測定手段14
とロータリーエンコーダ9の測定値に基づいて算出す
る。より詳しくは、研磨ヘッド4が正常部位nに当接す
るまでは、第1の高さ測定手段14とロータリーエンコ
ーダ9の変化量は同一であるが、当接してからは、正常
部位nのバネ定数とバネ10のバネ定数に依存して変化
量が相違してくる。本実施形態では、前述のように正常
部位nのバネ定数>バネ10のバネ定数となるように設
定しており、これによって当接後は、第1の高さ測定手
段14の変化量<ロータリーエンコーダ9の変化量とな
るので、この変化量の差分とバネ10のバネ定数とか
ら、フックの法則を基に加圧力を算出する。
【0045】ところで、バネ10のバネ定数を小さくし
ている理由は2つあり、ひとつは誤差を小さくするため
に、被測定物である正常部位nまたは異物27による微
小突起上のオーバーコート膜をなるべく変形させたくな
いためである。もうひとつの理由は正常部位nと異物2
7による微小突起とでは、オーバーコート膜の厚みや下
地材質が異なっていて、同一のバネ定数として扱いにく
いためである。
【0046】また、所定の加圧力とは、少なくともバネ
10を突起高さ許容値である0.15μm変形させるのに要
する力を意味している。そして、所定加圧力になった時
点でのロータリーエンコーダ9の測定値D1と、第1の
高さ測定手段14の測定値D2を記憶する。このとき、
第1の高さ測定手段14の測定値D2が研磨完了高さと
なる。
【0047】次に、ステップS6に進んで、研磨ヘッド
4を移動し、異物27に当接させ、研磨を開始する。こ
のとき、研磨初期段階は前記所定加圧力より大きく、研
磨最終段階は該所定加圧力となるように加圧力を制御
し、それと同時に高さ測定手段14で研磨ヘッド4の高
さ位置、つまりZ軸座標値を測定する。このように加圧
力を少なくとも2段階に分けて設定するのは、研磨効率
を上げるためである。そして、ステップS7で研磨が進
行し、第1の高さ測定手段14の測定値(研磨ヘッド4
のZ軸座標値)がD2に到達した時点で、ステップS8
に進んで研磨を終了する。なお、研磨量が不足している
場合は、研磨不良としてステップS6へ戻って再度同様
の工程で研磨が行われる。
【0048】以上のような構成及び工程を有する本実施
形態では、次のような利点がある。
【0049】第1に、直接、研磨ヘッド4のZ軸座標値
を0.01μm単位で測定するため、異物27による微小突
起の研磨精度を0.01μm単位で制御することができる。
すなわち、異物の材質による研磨時間の相違や、異物2
7による微小突起の鉛直断面スロープの相違の影響を受
けることなく研磨することができる。
【0050】第2に、目標研磨完了高さを同一カラーフ
ィルタFの正常部位nを基準に設定するため、オーバー
コート膜の厚みの基板毎のバラツキの影響を受けずに研
磨することができる。
【0051】第3に、図10(B)に示す第2の先行技術
例とは異なり、図10(A)に示すように、所定の加圧力
を印加した状態、つまりカラーフィルタ表面を撓ませた
状態で、正常部の高さを求め、且つ、研磨終了時にの加
圧力を前記所定の加圧力として研磨面の高さが前記正常
部の高さと一致するように制御するため、撓みを考慮し
た突起の除去が実現できる。
【0052】図4は本発明の他の実施形態における研磨
ヘッド部の構成を示している。なお、本実施形態におけ
る研磨装置の基本構成は、前記実施形態における研磨装
置の構成に準拠するものとして説明するが、これと同様
の手段が構成できるものであれば、その基本構成に何等
制約を与えるものではない。また、図4において、前記
実施形態及び従来の研磨装置と構成及び作用が共通する
部分には、共通の符号を付すこととする。また、簡単の
ために、前記実施形態記載の研磨装置とり相違点につい
てのみ説明する。
【0053】本実施形態の研磨装置は前記実施形態のそ
れの構成に加えて、X軸移動テーブル3に第1の高さ測
定手段14をもう1台余分に配設している。第1の高さ
測定手段14を2台配設しているのは、前記実施形態で
示した研磨ヘッド4のカラーフィルタF表面との当接部
(具体的には研磨ヘッド4下端の固定ガイド12で案内
された研磨テープ13の表面が当接する)のZ軸座標
を、前記実施形態よりも更に高精度に測定するためであ
る。
【0054】理想的な測定方法は、アッベの原理にもあ
るように、研磨ヘッド4の当接部を直接測定することで
あるが構造上不可能である。そこで、研磨ヘッド案内部
の機械的なクリアランスに起因する誤差や、部材の弾性
変形に起因する誤差をキャンセルするために、研磨ヘッ
ド4の当接部を中心とし、左右対称位置に第1の高さ測
定手段14(例えばレーザ変位計14a及びレーザ反射
板14b)を配設し、カラーフィルタFの2箇所の測定
値を平均化すれば更に高精度の測定値を得ることができ
る。
【0055】次に、研磨工程の流れについては、上述の
ように2台の高さ測定手段14を用いて高さを測定し、
研磨完了高さD2は2箇所の測定値の平均値を採用する
点が異なるのみで、その他は図3に示した流れと同様で
ある。本実施形態は、以上のような構成及び工程とする
ことで、前記実施形態の利点の外に、研磨ヘッド4のZ
軸座標をさらに高精度に測定することが可能となる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る微小
突起の除去方法では、被加工物表面の微小突起近傍の正
部位に研磨加工手段を当接させて被加工物表面微小
突起近傍の正常部位の高さ位置座標高さ測定手段で記
憶し、次いで微小突起に研磨加工手段が具備する研磨ヘ
ッドを当接させて研磨加工を行い、研磨ヘッド当接部
記憶した高さ位置座標に到達した時点で研磨加工を終了
するようにしているので、異物の材質による研磨時間の
違いや、異物の突起の鉛直断面スロープの違いの影響を
受けずに研磨することができる。
【0057】請求項では、研磨加工手段による微小突
起の研磨加工中に、制御手段によって前記微小突起に対
する前記研磨加工手段が具備する前記研磨ヘッドの加圧
と前記研磨ヘッド当接部の高さ位置座標を同時に制御
し、及び該微小突起に対する高さを同時に制御し、ま
た、請求項では、研磨加工時の前記研磨加工手段の加
圧力が、前記微小突起または微小突起近傍の被加工物表
面、あるいはその両方に作用したときの変形量が0.1
5μm以下となる加圧力に設定しており、この設定値を
基準値として、次の段階となる請求項では、研磨加工
時の前記研磨加工手段の加圧力が、研磨加工初期段階に
は前記微小突起近傍の被加工物表面に作用したときの変
形量が0.15μm以上となる加圧力に、研磨加工最終
段階には前記微小突起近傍の被加工物表面に作用したと
きの変形量が0.15μm以下となる加圧力に、それぞ
れ設定しているので、異物の材質による研磨時間の相違
や、異物の突起の鉛直断面スロープの違いの影響を受け
ずに研磨することが可能となり、研磨効率の向上を図る
ことができる。
【0058】本発明の微小突起除去装置によるときは、
装置本体またはX軸移動テーブルと研磨ヘッドとの間に
0.01μm単位の測定分解能を有する第1の高さ測定手段
を配設するとともに、前記装置本体と前記ヘッド支持部
間に0.01μm単位の測定分解能を有する第2の高さ測定
手段を配設し、さらに、前記研磨ヘッドと前記ヘッド支
持部との間に前記被加工物表面のバネ定数よりも小さい
バネ定数を有する引っ張りバネを配設した構成とたこと
により、第1に、直接研磨ヘッドのZ軸座標値を0.01μ
m単位で測定するので、異物の突起の研磨精度を0.01μ
m単位で制御することができる。すなわち、異物の材質
による研磨時間の違いや、異物の突起の鉛直断面スロー
プの違いの影響を受けずに研磨することができる。
【0059】第2に、目標研磨完了高さを同一被加工物
の正常部位を基準に設定するため、該被加工物の厚みの
バラツキの影響を受けずに研磨を制御することができ
る。例えばカラー液晶表示素子のカラーフィルタに付着
した異物の除去加工に適用した場合、オーバーコート膜
の厚みの基板毎のバラツキの影響を受けずに研磨を制御
することができる。
【0060】請求項によるときは、第1の高さ測定手
段を2台準備しているので、研磨ヘッド案内部の機械的
なクリアランスに起因する誤差や、部材の弾性変形に起
因する誤差をキャンセルでき、研磨ヘッドのZ軸座標を
更に高精度に測定できる。したがって、異物による微小
突起の研磨精度を更に向上させることができる。
【0061】また、本発明の請求項8によれば、異物の
材質による研磨時間の違いや、異物の突起の鉛直断面ス
ロープの違いの影響を受けずに研磨することができる
さらに、本発明の請求項9によれば、例えばカラー液晶
表示素子のカラーフィルタに付着した異物の除去加工に
適用した場合、カラーフィルタの修正率が向上し、結果
として生産の歩留りが向上するという間接的な効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る研磨装置を示す
概略構成図
【図2】 研磨ヘッド部の部分構成図
【図3】 研磨工程を示すフローチャート
【図4】 本発明の第2実施形態に係る研磨装置の研磨
ヘッド部を示す部分構成図
【図5】 カラー液晶表示素子の異物の存在の一例を示
す要部断面図
【図6】 第2の先行技術例に係る研磨装置を示す概略
構成図
【図7】 第3の先行技術例に基づく従来の研磨装置を
示す概略図
【図8】 その研磨ヘッド部を示す部分構成図
【図9】 その研磨工程を示すフローチャート
【図10】 (A)本発明の第1実施形態における研磨状
態を示す概略図、(B)第2の先行技術例における研磨状
態を示す概略図
【符号の説明】
1 装置本体 2 Y軸移動テーブル 3 X軸移動テーブル 4 研磨ヘッド 5 ヘッド支持部 6 表面粗さ計 7 CCDカメラ 8 ACサーボモータ 9 ロータリーエンコーダ(第2の高さ測定手段) 10 バネ 11 接触式変位計 12 固定ガイド 13 研磨テープ 14 第1の高さ測定手段 14a レーザ変位計 14b レーザ反射板 27 異物 F カラーフィルタ n 正常部位

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物表面の微小突起近傍の正常部位
    に、研磨加工手段が具備する研磨ヘッドを当接させて、
    所定の加圧力を印加した状態で、前記研磨ヘッド当接部
    の高さ位置座標を、高さ測定手段で測定して記憶する第
    1の工程と、 前記微小突起に前記研磨ヘッドを当接させて研磨加工を
    行い、研磨終了段階で、前記研磨ヘッドの加圧力を前記
    所定の加圧力となるように制御しながら、研磨加工の進
    行とともに、前記研磨ヘッド当接部の高さ位置座標が前
    記第1の工程で記憶した前記高さ位置座標に一致した時
    点で、研磨加工を終了する第2の工程とを具備するこ
    を特徴とする微小突起の除去方法。
  2. 【請求項2】 研磨加工時の前記研磨ヘッドの加圧力
    が、前記微小突起または微小突起近傍の被加工物表面、
    あるいはその両方に作用したとき該加圧力を付勢するバ
    ネの変形量が0.15μm以下となる加圧力に、設定さ
    れている請求項1に記載の微小突起の除去方法。
  3. 【請求項3】 研磨加工時の前記研磨加工手段の加圧力
    が、研磨加工初期段階には前記微小突起近傍の被加工物
    表面に作用したとき該加圧力を付勢するバネの変形量が
    0.15μm以上となる加圧力に、研磨加工最終段階には前
    記微小突起近傍の被加工物表面に作用したとき該加圧力
    を付勢するバネの変形量が0.15μm以下となる加圧力
    に、それぞれ設定されている請求項1または2に記載の
    微小突起の除去方法。
  4. 【請求項4】 被加工物表面に存在する微小突起を研磨
    加工によって除去するための装置であって、 装置本体と、 前記被加工物を搭載し前記装置本体上を移動するY軸移
    動テーブルと、 研磨ヘッド、前記研磨ヘッドを支持するヘッド支持部、
    表面粗さ計及び光学的突起検出手段を搭載し、前記装置
    本体上において前記Y軸移動テーブルに対して直交方向
    に移動するX軸移動テーブルとから構成され、 前記装置本体またはX軸移動テーブルと研磨ヘッドとの
    間に0.01μm単位の測 定分解能を有する第1の高さ測定
    手段を配設するとともに、 前記装置本体と前記ヘッド支持部間に0.01μm単位の測
    定分解能を有する第2の高さ測定手段を配設し、さら
    に、 前記研磨ヘッドと前記ヘッド支持部との間に前記被加工
    物表面のバネ定数よりも小さいバネ定数を有するバネを
    配設したこと、を特徴とする微小突起の除去装置。
  5. 【請求項5】 第1の高さ測定手段は2台準備され、第
    2の高さ測定手段は1台準備されている請求項4に記載
    の微小突起の除去装置。
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