JP3444716B2 - 濃縮豆乳の製造方法 - Google Patents

濃縮豆乳の製造方法

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JP3444716B2
JP3444716B2 JP05914196A JP5914196A JP3444716B2 JP 3444716 B2 JP3444716 B2 JP 3444716B2 JP 05914196 A JP05914196 A JP 05914196A JP 5914196 A JP5914196 A JP 5914196A JP 3444716 B2 JP3444716 B2 JP 3444716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃縮豆乳の製造方
法、およびその方法によって製造した濃縮豆乳に関す
る。本発明の濃縮豆乳は、良質な豆腐を製造するための
原料などに使用しうる。
【0002】
【従来の技術】豆腐の製造に用いる豆乳は、大豆を水に
浸漬した後に磨砕することによって呉を調製し、さらに
呉を加熱しておからを分離することによって調製されて
いる。この工程における呉の加熱方法として、従来より
加熱絞り工法と生絞り工法が知られている。加熱絞り工
法は、呉を約100℃で3〜5分間加熱するものであ
り、我国の豆腐の製造に主として用いられている方法で
ある。一方、生絞り工法は、加熱温度を30〜50℃に
とどめるものであり、イソフラボンなどの大豆の不快味
が少ないことが利点とされている。しかし、生絞り工法
は加熱絞り工法に比べて固形分収率が低いために、ごく
一部で採用されているに過ぎない。
【0003】所望の品質を有する豆腐を製造するため
に、豆乳の製造工程を検討した従来技術文献として特公
昭39−7971号がある。この公報に記載される発明
は、蛋白や固形分の収率が高くなるような条件で豆乳を
分離する点に特徴を有する。この発明によれば、加熱温
度を40〜45℃とし、加熱時間を40〜60分とする
のが好ましいとされている。しかしながら、この条件に
したがって得られた豆乳を用いた場合は、確かに蛋白や
固形分が高い豆腐が得られるものの、弾力や風味に欠け
るという大きな問題を有していた。
【0004】一方、豆乳の濃縮方法については、幾つか
の従来技術がある。特開昭61−1103号および特公
平3−69496号は、飲料用豆乳の濃縮技術について
開示している。前者には、大豆を重合リン酸塩溶液とと
もに熱水磨砕して得られた豆乳をpH7.0〜8.0に
調整した後、酵素処理して濃縮する方法が記載されてい
る。また、後者には、豆乳のpHを7.0〜8.0に調
整し、蛋白分解酵素処理した後、115℃以上の温度で
1〜60秒加熱処理して濃縮する方法が記載されてい
る。さらに、特公昭38−14382号(日本タンパク
工業の特願昭36−5378号)には、豆腐製造用の豆
乳の固形分を20%に濃縮した例が記載されている。
【0005】しかしながら、豆乳を濃縮処理することに
よって、製造される豆腐にいかなる影響が及ぶかについ
て検討した文献は存在しない。このため、従来技術に基
づくかぎり、豆乳の濃縮処理を行うことによって豆腐の
品質に悪影響が及ぶ危険性を否定することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、弾力と風味が
優れ、きめが細かい良質な豆腐を製造することができる
濃縮豆乳を開発することを課題として、本発明者らは鋭
意検討した。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、呉に対し
て45〜65℃で瞬時〜20分の加熱を行った後、おか
らを分離することにより豆乳を得て、その豆乳を濃縮す
ることを特徴とする濃縮豆乳の製造方法を提供すること
によって解決された。
【0008】本製造方法で用いる呉は、当業者が通常用
いる方法により調製したものであればその種類を問わな
い。一般に呉は、大豆を水に浸漬した後に磨砕すること
によって調製することができる。原料となる大豆の種類
は特に制限されない。大豆の浸漬は、湿重量が約2.2
倍になるまで行うのが一般的である。得られた浸漬大豆
の磨砕は、例えばグラインダー、ミキサー、マスコロイ
ダーなどを用いて行うことができる。磨砕は、温度上昇
による蛋白の変性を回避するために水を加えながら行う
のが一般的である。
【0009】本製造方法では、呉に対する加熱を45〜
65℃で行う。好ましい加熱温度は50〜65℃であ
り、より好ましい加熱温度は55〜65℃である。加熱
時間は瞬時〜20分、好ましくは瞬時〜10分、より好
ましくは3分〜7分にする。したがって、呉の温度が上
記加熱温度に到達した後、ただちにおからを分離しても
よいし、呉の温度が上記加熱温度に到達した後、最長2
0分までその温度に保持した後におからを分離してもよ
い。
【0010】以下に示す試験において明らかにされてい
るように、加熱温度が45℃より低いか、65℃より高
い場合は、得られる豆腐の破断強度が低くなってしまい
優れた製品を製造することができない。また、加熱時間
を20分より長くしても、豆腐の破断強度は変わらない
か、却って低下してしまうため好ましくない。このよう
な加熱温度や加熱時間が豆腐の品質に及ぼす影響は、従
来まったく検討されていなかったものである。
【0011】呉の加熱方法は、特に制限されない。呉を
鍋に入れて電熱器などを用いて間接的に加熱してもよい
し、生蒸気を呉に吹きこむことによって直接的に加熱し
てもよい。いずれの方法を用いても、上記の加熱条件を
満たす限り、良質な豆腐を製造しうることが確認されて
いる。
【0012】加熱した呉は、その後おからと豆乳に分離
する。分離は、冷却せずに行うのが好ましいが、冷却し
てから行ってもかまわない。分離は、呉を遠心式または
油圧式の分離機を用いて分離するなどの一般的な方法に
よって行うことができる。
【0013】本製造方法における濃縮の方法はとくに限
定されない。たとえば、エバポレーターや遠心式装置を
用いて減圧濃縮することができる。常圧で行うことも可
能ではあるが、加熱することによって豆乳を変性させる
おそれがあるため好ましくない。濃縮豆乳を希釈還元し
て濃縮前後での性状変化を検討したところ、約3.5倍
濃縮までは変化が認められなかった。これ以上に濃縮す
ることは、粘度が高くて物理的に困難であることから、
本製造方法によればかなり高濃度まで豆乳を濃縮しても
その性状を維持することが可能であることが明らかであ
る。
【0014】これは、呉の加熱条件が穏やかであるため
に、蛋白構造が変化していないためであると考えられ
る。従来技術が採用するように厳しい加熱条件を経た豆
乳はSH基が表面に現れているため、特公平3−694
96号に記載されるような特別な処理を施さないと濃縮
できない。しかも、わずかにBrix20程度までしか
濃縮できない。一方、本製造方法にしたがって濃縮する
場合は、Brix13の豆乳を約50まで濃縮すること
が可能である。このことから、本製造方法にしたがって
濃縮豆乳を製造する方法は、従来技術と比較しても極め
て簡便に高濃度に濃縮することができるものであること
が明らかである。
【0015】本製造方法により製造した濃縮豆乳は、水
を加えて希釈還元すれば濃縮前と同じ蛋白変性度の豆乳
になる。したがって、通常の豆乳が有する用途と同じ用
途に供することができる。とくに、本製造方法によって
得られた濃縮豆乳は、豆腐製造のための原料として極め
て有用である。豆腐の製造は、当業者が一般に用いてい
る方法によって行うことができる。本製造方法の濃縮豆
乳を用いれば、従来品に比べて弾力と風味が優れた豆腐
を製造することができる。また、本製造方法の濃縮豆乳
を用いた豆腐は、てりやつやも良く、非常にきめが細か
くて滑らかであるという利点も有している。
【0016】加熱絞り工法で製造した従来の豆乳は、お
からを含んだ状態で100℃近くで3〜5分間加熱して
いるために細かい固形分が豆乳に混入している。このた
め、加熱絞り工法で製造した豆乳を用いて製造した豆腐
は、本発明の濃縮豆乳を用いて製造した豆腐のようにて
り、つやが良く、きめ細かくてなめらかな状態にはなら
ない。また、40〜45℃で40〜60分加熱して得た
従来の豆乳を用いた場合は、本発明のように好ましい弾
力と風味を有する豆腐を製造することができない。本発
明の濃縮豆乳は、従来の豆乳からは製造することができ
なかった良質の豆腐をつくることができる点に、すぐれ
た用途がある。
【0017】本製造方法によって得られた濃縮豆乳は、
豆腐の他にもさまざまな食品の製造原料として用いるこ
とができる。例えば、湯葉、油揚げ、豆腐ようの原料と
したり、水で希釈したり他の成分と混合したりすること
によって豆乳飲料にすることもできる。さらに、マヨネ
ーズ、スプレッドなどの調味料、チーズ、ヨーグルトな
どの発酵食品、フローズンヨーグルト、アイスクリー
ム、シャーベットなどの冷菓、プリン、プディング、バ
バロア、ホイップクリーム、ミルクセーキなどの生菓、
スープ、ホワイトソースなどの料理といった豆乳二次加
工品にすることもできる。
【0018】
【実施例】以下に参考例と実施例を挙げて、本発明を具
体的に説明する。
【0019】(参考例1)生大豆5kgを15℃の水に
浸漬することによって、湿重量を2.2倍にした。この
浸漬大豆を、水14kgを加えながらグラインダーで磨
砕して、呉を得た。この呉2kgをホーロー鍋に入れ、
焦げないようによく撹拌しながら60℃まで加温した
(昇温時間8分)。60℃に到達後、ただちにジャッキ
を利用した簡易式絞り機を用いておからを分離し、豆乳
1.47kgを得た。分離した豆乳1kgに豆腐用消泡
剤1.5gを加えて、蒸気圧0.06kgf/cm2
生蒸気で98℃まで加熱した(昇温時間1分20秒)。
その後、蒸気圧を0.01kgf/cm2に調整して、
5分間追い炊きした。さらに、豆乳温度を80℃に調整
した後、豆乳400gに対して凝固製剤[グルコノデル
タラクトン44%、塩化マグネシウム26%、クエン酸
ナトリウム26%、食品素材4%からなり、使用直前に
10%溶液にして使用]1.8gを加え、80℃で20
分間保持して豆腐を製造した。
【0020】比較のために、呉の加熱条件を変更し、そ
の他の条件は上と同じにして豆腐を製造した。比較例で
は、呉を40℃、50℃、70℃、80℃まで加熱して
ただちにおからを分離した。また、別の比較例では、呉
を40℃、50℃に加熱して60分保持した後におから
を分離した。
【0021】製造した豆腐について破断強度を測定し
た。破断強度は、製造の翌日に、豆腐を直径47mm×
高さ20mmの大きさに切断して、レオメーター(サン
科学製CR−200D型)を用いて測定した。径20m
mの円板をプランジャーとして用い、60mm/分の侵
入速度で室温(約20℃)にて測定した。
【0022】結果は、以下の表に示すとおりであった。
【0023】
【表1】加熱温度 加熱時間 破断強度(g) 40℃ 瞬時 129 40℃ 60分 165 50℃ 瞬時 174 50℃ 60分 144 60℃ 瞬時 187 70℃ 瞬時 13280℃ 瞬時 134
【0024】(参考例2)参考例1における電熱器によ
る加熱を生蒸気による加熱に変更して、参考例1と同じ
工程を行って豆腐を製造した。生蒸気による加熱により
40℃、50℃、60℃、70℃、80℃に到達させた
後(昇温時間5〜13分)、ただちにおからを分離して
豆乳を得た。これらの豆乳を用いて、参考例1と同じ方
法で製造した豆腐の破断強度を測定した。結果は、以下
の表に示すとおりであった。
【0025】
【表2】加熱温度 加熱時間 破断強度(g) 40℃ 瞬時 157 50℃ 瞬時 166 60℃ 瞬時 170 70℃ 瞬時 15280℃ 瞬時 142
【0026】(参考例3)参考例2の生蒸気による60
℃加熱の加熱時間を瞬時、5分、10分、20分、40
分、60分として検討した。製造した豆腐について、破
断強度を測定したところ、以下の表に示す結果が得られ
た。比較のため、加熱絞り工法で製造した豆腐の破断強
度も測定した。なお、凝固時の豆乳のBrixはすべて
13.0に調整した。
【0027】
【表3】加熱温度 加熱時間 破断強度(g) 60℃ 瞬時 166 60℃ 5分 176 60℃ 10分 169 60℃ 20分 171 60℃ 40分 168 60℃ 60分 157100℃(加熱絞り) 5分 165
【0028】(実施例1)生大豆5kgを15℃の水に
浸漬することによって、湿重量を2.2倍にした。この
浸漬大豆を、水14kgを加えながらグラインダーで磨
砕して、呉を得た。この呉2kgを煮釜(高井製作所
製)に入れ、よく撹拌しながら60℃まで加温した(昇
温時間3分)。60℃に到達後、ただちに油圧式絞り機
を用いておからを分離し、豆乳18.8kgを得た。得
られた豆乳のBrixは13.5(固形分12.9%)
であった。
【0029】この豆乳をエバポレーターを用いて、1.
47倍、2.21倍、2.95倍、3.73倍に減圧濃
縮して濃縮豆乳を得た。濃縮時の豆乳の品温は45℃で
あった。
【0030】各濃縮豆乳に水を加えて濃縮前と同じBr
ix13.5になるように希釈還元して豆乳の変性指標
1を調べた。変性指標1は、豆乳を3000rpmで1
0分間遠心分離したときの、遠心前の固形分(%)に対
する遠心後の上清の固形分(%)比率である。結果は以
下の表に示すとおりであった。
【0031】
【表4】Brix 濃縮倍率 変性指標1 13.5(濃縮前) 1 95.3 19.9 1.47 96.3 29.9 2.21 95.0 39.8 2.95 95.150.4 3.73 95.5
【0032】なお、濃縮前の豆乳を用いて製造した豆腐
の破断強度は147、濃縮豆乳を希釈還元したものを用
いて製造した豆腐の破断強度は140であり、有意な差
は認められなかった。
【0033】(実施例2)グラインダーで磨砕する際に
添加する水の量を15kgにして、実施例1と同じ操作
を繰り返すことによって、Brix12.5の豆乳を得
た。この豆乳を遠心式薄膜真空蒸発装置CEP−1(大
川原製作所製、1500rpm、加熱温度100℃、蒸
発温度45℃)を用いて、Brix45.0(3.6倍
濃縮)まで濃縮した。得られた濃縮豆乳はゲル化せず、
液状を呈していた。
【0034】(参考例4)生大豆10kgを15℃の水
に浸漬することによって、湿重量を2.2倍にした。こ
の浸漬大豆を、水28kgを加えながらグラインダーで
磨砕して、呉を得た。この呉50kgを煮釜(高井製作
所製)に入れ、よく撹拌しながら60℃まで加温した
(昇温時間4分)。60℃に到達後、ただちに油圧式絞
り機を用いておからを分離し、豆乳36.8kgを得
た。得られた豆乳のBrixは13.0(固形分12.
8%)であった。この豆乳を冷却後パウチに詰めて−3
0℃の冷凍庫で緩慢凍結した。パウチに詰める前に、ソ
ルビットを対豆乳0.75%添加したものと、トレハロ
ースを0.75%添加したものも調製した。
【0035】これらの豆乳を−30℃の冷凍庫で貯蔵
し、流水解凍した豆乳について変性指標1および変性指
標2の経時変化を調べた。変性指標2は、豆乳を300
0rpmで10分間遠心分離したときの、遠心前の蛋白
(%)に対する遠心後の上清の蛋白(%)比率である。
また、流水解凍した豆乳を用いて、参考例1の方法にし
たがって豆腐を製造し、その破断強度も測定した。結果
は、以下の表に示すとおりであった。
【0036】
【表5】 添加物 貯蔵日数 破断強度(g) 変性指標1 変性指標2 なし 1日 153 98.2 101.2 13日 168 94.4 84.2 28日 152 92.7 84.4 ソルビット 1日 151 97.7 101.7 13日 158 96.7 84.0 28日 167 93.1 85.5 トレハロース 1日 153 98.9 103.6 13日 157 91.2 84.9 28日 155 93.8 82.3
【0037】(参考例5)参考例4において−30℃の
冷凍庫で緩慢凍結する代わりに、−30℃の炭酸ガスに
よって急速凍結して凍結豆乳を得た。−30℃の冷凍庫
で貯蔵して、参考例4と同様に破断強度と変性指標の経
時変化を調べた。結果は、以下の表に示すとおりであっ
た。
【0038】
【表6】 添加物 貯蔵日数 破断強度(g) 変性指標1 変性指標2 なし 1日 159 98.1 101.0 13日 142 93.9 81.6 28日 154 92.2 83.5 ソルビット 1日 155 96.4 100.0 13日 155 92.7 82.9 28日 169 93.5 85.0 トレハロース 1日 153 98.1 102.4 13日 159 97.0 83.8 28日 164 93.0 80.0
【0039】(実施例3)生大豆10kgを15℃の水
に浸漬することによって、湿重量を2.2倍にした。こ
の浸漬大豆を、水28kgを加えながらグラインダーで
磨砕して、呉を得た。この呉50kgを煮釜(高井製作
所製)に入れ、よく撹拌しながら60℃まで加温した
(昇温時間4分)。60℃に到達後、ただちに油圧式絞
り機を用いておからを分離し、豆乳37.5kgを得
た。得られた豆乳のBrixは13.8(固形分12.
9%)であった。
【0040】この豆乳をそのままか、あるいはソルビッ
トを対豆乳0.75%添加して、エバポレーターで3倍
に減圧濃縮した。濃縮豆乳のBrixは各々42.2、
43.8であり、液状を呈していた。この濃縮豆乳をパ
ウチに詰めて−30℃の冷凍庫で凍結、貯蔵して、参考
例4と同様に破断強度と変性指標の経時変化を調べた。
結果は、以下の表に示すとおりであった。
【0041】
【表7】 添加物 貯蔵日数 破断強度(g) 変性指標1 変性指標2 なし 1日 135 98.9 97.7 7日 140 98.8 98.5 28日 156 98.8 99.3 79日 − 95.8 96.6 ソルビット 1日 141 98.6 98.5 7日 136 99.7 98.6 28日 150 99.1 99.1 79日 − 97.2 97.3
【0042】(実施例4)グラインダーで磨砕する際に
添加する水の量を30kgにして、実施例3と同じ操作
を繰り返すことによって、Brix12.5(固形分1
2.5%)の豆乳を得た。この豆乳を遠心式薄膜真空蒸
発装置CEP−1(大川原製作所製、1500rpm、
加熱温度100℃、蒸発温度45℃)を用いて、Bri
x45.0(3.6倍濃縮)まで濃縮した。これを−3
0℃の冷凍庫で凍結した後、−30℃、ー20℃、−1
5℃で貯蔵して、参考例4と同様に破断強度と変性指標
の経時変化を調べた。また、比較対照のため、濃縮前の
豆乳を−30℃で4日間貯蔵したものについても試験し
た。結果は、以下の表に示すとおりであった。
【0043】
【表8】 貯蔵温度 貯蔵日数 破断強度(g) 変性指標1 変性指標2 (分離直後で未濃縮の豆乳) −30℃ 4日 152 93.0 82.3 (濃縮後の豆乳) −30℃ 4日 − 92.6 96.9 13日 145 92.5 93.7 −20℃ 4日 − 96.1 98.1 13日 120 88.9 88.9 −15℃ 4日 − 94.8 99.2 13日 115 58.5 88.4
【0044】(参考例6)生大豆5kgを15℃の水に
浸漬することによって、湿重量を2.2倍にした。この
浸漬大豆を、水14kgを加えながらグラインダーで磨
砕して、呉を得た。この呉25kgを煮釜(高井製作所
製)に入れ、よく撹拌しながら60℃まで加温した(昇
温時間3分)。60℃に到達後、ただちに油圧式絞り機
を用いておからを分離し、豆乳19kgを得た。得られ
た豆乳のBrixは13.0(固形分12.7%)であ
った。
【0045】この豆乳を冷却して、噴霧乾燥機(大川原
製作所製L−8型、流速2〜3l/h、入口温度100
〜180℃、出口温度50〜90℃)を用いて粉末化し
て、粉末豆乳を得た。この粉末豆乳を濃度13%になる
ように水に溶解して豆乳にし、この豆乳を98℃で5分
間加熱して、参考例1の方法にしたがって豆腐を製造し
た。この豆腐の破断強度を測定した。結果は、以下の表
に示すとおりであった。
【0046】
【表9】入口温度 破断強度 140℃ 169 120℃ 172100℃ 164
【0047】(参考例7)参考例6における噴霧乾燥時
の入口温度、出口温度、流量を種々変化させて粉末豆乳
を得て、豆腐を製造した。製造した豆腐の弾力と風味を
調べて比較した。結果は、以下の表に示すとおりであっ
た。
【0048】
【表10】 入口温度 出口温度 流量(l/h) 豆腐の弾力 豆腐の風味 180℃ 90℃ 3 良好 焼け臭 160℃ 80℃ 3 良好 焼け臭 140℃ 70℃ 3 良好 焼け臭 120℃ 60℃ 2 良好 良好 100℃ 50℃ 2 良好 良好
【0049】(参考例8)参考例6の処理温度120℃
で調製した粉末豆乳の水分、蛋白含量、NSIを常法に
したがって測定した。また、この粉末豆乳を13%の濃
度になるように水に溶解して豆乳の変性指標1および変
性指標2を測定した。さらに、この豆乳を用いて参考例
1の方法にしたがって豆腐を製造し、その破断強度を測
定した。比較対照のため、ハウス食品の「ほんとうふ」
についても同じ試験を行った(比較例)。結果は以下の
表に示すとおりであった。
【0050】
【表11】 本発明 比較例 (豆乳の性状) 水分 4.25% 2.05% 蛋白 48.02% 43.64% NSI 96.58% 95.51% 変性指標1 91.8 79.5 変性指標2 87.5 85.5 (豆腐の物性) 破断強度(g) 165 112
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−70840(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 11/10 A23L 1/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 呉に対して45〜65℃で瞬時〜20分
    の加熱を行った後、おからを分離することにより豆乳を
    得て、その豆乳をBrix29.9以上に濃縮すること
    を特徴とする濃縮豆乳の製造方法。
  2. 【請求項2】 豆乳の濃縮濃度がBrix39.8以上
    である請求項1記載の濃縮豆乳の製造方法。
  3. 【請求項3】 豆乳の濃縮濃度がBrix45.0以上
    である請求項1記載の濃縮豆乳の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱温度が55〜65℃である請求項1
    〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの製造方法によ
    り製造した濃縮豆乳。
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