JP3443233B2 - ユニバーサル圧延機のガイド装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ユニバーサル圧延
機のガイド装置に係り、更に詳しくは、Ｈ形鋼のウェブ
の高さ位置の矯正が可能で、またガイドをクランプする
クランプ装置のコンパクト化が図れ、さらにクランプ時
に、クランプ装置の駆動手段に比較的負荷がかからず、
安価で小型の駆動手段でも大きなクランプ力が得られ
て、クランプ及びクランプ解除の操作が円滑にできるユ
ニバーサル圧延機のガイド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】種々な形状の形鋼のうち、Ｈ形鋼は、圧
延ラインに配備されたユニバーサル圧延機などにより圧
延成形される。ユニバーサル圧延機には、ウェブを圧延
する上、下一対の水平ロール及びフランジを圧延する
左、右一対の竪ロールが組み込まれたミルスタンドを有
している。Ｈ形鋼をミルスタンドに送り込む際には、ミ
ルスタンドの上流側に配設されて、Ｈ形鋼のウェブを案
内する上、下一対のガイドを本体としたガイド装置によ
り案内される。

【０００３】従来のガイド装置は、上、下ガイドが組み
込まれたガイドホルダと、ガイドホルダが載置されたレ
ストバーと、ガイドホルダをレストバーにクランプする
クランプ装置と、レストバーを昇降及び傾動させるウォ
ームジャッキとを備えている。ところで、成形中、何ら
かの原因でパスラインの高さからＨ形鋼の中心位置が外
れて、フランジ間のウェブの高さ位置が、平行に上、下
方向へずれたウェブ偏りのある不良品が発生する場合が
ある。これを防止するには、上、下ガイドの高さ位置を
変化させて、Ｈ形鋼のウェブの中心位置をパスラインに
合致させる必要がある。そこで、従来のガイド装置は、
ウォームジャッキによりレストバーを昇降させて、上、
下ガイドの高さ位置を変化させ、両ガイドにより案内さ
れるＨ形鋼の中心位置を、パスラインの高さ位置に合致
させていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、Ｈ形鋼のウ
ェブ偏りには、単なる上、下方向の位置ずれだけでな
く、図８（ａ）に示すように、Ｈ形鋼１００の一方のフ
ランジ１０１に対するウェブ１０２の接合高さ位置が、
例えばフランジ上部の長さｈ１＞フランジ下部の長さｈ
２のように偏る場合がある（以下、これを片側ウェブ偏
りという）。この偏りは、前述したような単にウォーム
ジャッキによって、上、下ガイドの高さ位置を変化させ
るだけでは、単に片側ウェブ偏りのまま上、下移動する
だけで、図８（ｂ）に示すように、フランジ上部の長さ
ｈ１＝フランジ下部の長さｈ２という、良品として出荷
できないという問題点があった。

【０００５】ところで、前記従来のガイド装置は、レス
トバーの一端上部に、ガイドホルダの断面三角形の掛合
部を掛合するストッパ部が突設され、レストバーの他側
部上に、駆動源となる油圧シリンダが、シリンダ後部を
外部突出させた状態で、クランプ方向と同一方向に沿っ
て取付けられている。油圧シリンダのロッドを出し入れ
させることにより、レストバー上に載置されたガイドホ
ルダを、ロッドの先端に固着されたクランプ板と、スト
ッパ部との間で、クランプ又はクランプ解除する。しか
しながら、従来のクランプ装置では、油圧シリンダのロ
ッドの出し入れ方向がクランプ方向と同一方向であるの
で、レストバー上にガイドホルダ及び油圧シリンダが直
列状態に配置されてしまい、ガイド装置自体が大型化す
るという問題点があった。

【０００６】しかも、前述したようにロッドの出し入れ
方向がクランプ方向と同一であるので、圧延成形中、常
時、ロッドを介して油圧シリンダに大きな圧力がかか
り、油圧系統が損傷したり、ロッドの変形を招くなどの
不都合が生じる虞れがあった。さらに、重量の大きなガ
イドホルダを堅固に固定するためには、出力が大きな大
型の油圧シリンダが必要となり、設備コストが嵩むとい
う問題点があった。そこで、例えば楔打ちのように、上
又は下方向からガイドホルダの背後にロッドを差し込ん
でガイドホルダをクランプすることが考えられるが、ク
ランプ時に大きな力でロッドを差し込むので、ロッド及
びガイドホルダの当接部分が損傷したり、ロッドに座屈
が生じたりする。また、嵌め込みが強すぎて、クランプ
解除時にロッドが抜けなくなるなどの問題点があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、ウェブ偏
りを矯正でき、また装置のコンパクト化が図れて、クラ
ンプ側の駆動部に比較的負荷がかからず、安価な小型の
クランプ側の駆動部でも大きなクランプ力が得られて、
クランプ及びクランプ解除の操作が円滑にできるユニバ
ーサル圧延機のガイド装置を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載のユニバーサル圧延機のガイド装置は、上、下一対
の水平ロール及び左、右一対の竪ロールが組み込まれた
ミルスタンドの上流に配置されて、Ｈ形鋼のウェブを案
内する上、下ガイドが組み込まれたガイドホルダと、前
記ガイドホルダが載置されたレストバーと、前記ガイド
ホルダを前記レストバーにクランプするクランプ装置
と、前記レストバーの両側に配置されて、駆動部により
前記レストバーをそれぞれ個別に上下動させる一対のウ
ォームジャッキを有し、前記Ｈ形鋼のウェブの片側ウェ
ブ偏りに合わせて、前記上、下ガイドを該Ｈ形鋼の圧延
方向に直交する面内で傾動させる傾動手段とを備えてい
る。

【０００８】また、請求項２記載のユニバーサル圧延機
のガイド装置は、請求項１記載のユニバーサル圧延機の
ガイド装置において、前記レストバーに、前記ガイドホ
ルダをクランプするクランプ装置を取付け、該クランプ
装置が、前記レストバーに載置された前記ガイドホルダ
より側方に配置されて、クランプ時のクランプ力を受け
る背圧受け部材と、前記レストバーに、平行四辺形リン
ク構造体を介して垂直回動可能に取付けられて、クラン
プ時には、クランプ駆動手段により上下動可能な移動部
材の直線的な押し込み力により上方回動して前記背圧受
け部材と前記ガイドホルダとの間に嵌入される一方、ク
ランプ解除時には、前記クランプ駆動手段により前記移
動部材が引き抜かれることで、前記ガイドホルダから離
反する下方向へ自重回動するクランプ爪とを備える。

【０００９】

【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。なお、ここでは、圧延工場に配備さ
れたＨ形鋼を圧延するユニバーサル圧延機において、Ｈ
形鋼をミルスタンドに案内するユニバーサル圧延機のガ
イド装置を例に説明する。図１、２に示すように、本発
明の一実施の形態に係るユニバーサル圧延機のガイド装
置１０は、ユニバーサル圧延機４７の左、右一対の門型
のハウジング４８、４９間に組み込まれたミルスタンド
５２の上流に配置されて、パスラインａに沿って移送さ
れてきたＨ形鋼１００をミルスタンド５２内へ案内する
装置である。なお、ミルスタンド５２には、Ｈ形鋼１０
０のウェブ１０２を圧延する上、下一対の水平ロール５
３及びフランジ１０１を圧延する左、右一対の竪ロール
５４が組み込まれている。

【００１０】ユニバーサル圧延機のガイド装置１０の全
体構成は、Ｈ形鋼１００のウェブ１０２を案内する上ガ
イド５５及び下ガイド５６が組み込まれたガイドホルダ
１２と、上、下ガイド５５、５６の昇降、傾動手段の一
対のウォームジャッキ５９と、ガイドホルダ１２が載置
されたレストバー１３と、ガイドホルダ１２をレストバ
ー１３にクランプするクランプ装置５８とを備えてい
る。以下、それぞれの構成要素を詳細に説明する。図
１、３に示すように、門型のハウジング４８、４９の両
脚部の中間部に突設されたブラケット６０と、両ハウジ
ング４８、４９の両側下部とには、ギヤボックス６１が
配設されており、上、下のギヤボックス６１間に、互い
に垂直方向へ延びる一対の駆動軸６２が架設されてい
る。各ブラケット６０の先端部上には、駆動モータ６３
が取付けられており、それぞれの出力軸が対応する上側
のギヤボックス６１に連結されている。

【００１１】ハウジング４８、４９の下部間には、梁部
材６４が横架されており、梁部材６４の両端部上に二股
のブラケット６４ａ及び揺動ピン６４ｂを介して、一対
のウォームジャッキ５９が揺動可能に配設されている。
また、下側の各ギヤボックス６１からウォームジャッキ
５９には、比較的短尺な駆動軸６５が横架されており、
各駆動モータ６３の出力は、上側のギヤボックス６１、
駆動軸６２、下側のギヤボックス６１、斜め横に延びる
短尺な駆動軸６５を介して、ウォームジャッキ５９に伝
達される。ウォームジャッキ５９のロッド５９ａの先端
部は、球面受座６６を介して、横長なレストバー１３の
両端部下面に揺動可能に連結されており、ウォームジャ
ッキ５９のロッド５９ａを出し入れさせることにより、
レストバー１３を揺動可能に昇降させる。レストバー１
３の両端中央部には、比較的短尺で縦長な長孔６７ａが
形成された突片６７が突設されている。各突片６７の長
孔６７ａには、両ハウジング４８、４９の側面から突出
された連結ボルト６８が遊挿されており、連結ボルト６
８の先端部には、裏面が上方へ向かって徐々に上方傾斜
した押さえプレート７１の長孔７１ａが遊挿されてい
る。押さえプレート７１は、二股状のブラケット６９及
びピン７０を介して、対応するハウジング４８、４９の
脚部の下部に、水平方向へ回動可能に連結されている。

【００１２】対向する突片６７及び押さえプレート７１
間には、長尺な長孔７２ａが連結ボルト６８に遊挿され
た状態で、かつ上方へ徐々に薄肉になるように押さえプ
レート７１側を傾斜させた楔板７２が配置されており、
また押さえプレート７１の外面には、連結ボルト６８に
遊挿される座金６８ａが当接されている。各楔板７２の
上端には操作片７２ｂが突設されており、ハウジング４
８、４９の脚部にブラケット７３ｂを介して軸着された
駆動部の一例である油圧シリンダ７３のロッド７３ａ
が、これらの操作片７２ｂに連結されている。それぞれ
の油圧シリンダ７３は、ロッド７３ａを出し入れさせる
ことにより、操作片７２ｂを介して楔板７２を上下動
し、これにより下太りの楔板７２の傾斜面に沿って、上
太りの押さえプレート７１が、上、下方向へ若干角度だ
け回動する。

【００１３】図３に示すように、レストバー１３の両側
面には、先端部が球状の当接突起７４が配設されてお
り、それに対応する両ハウジング４８、４９の側面の部
分に、円弧状の当て板７５が配設されている。なお、
上、下ガイド５５、５６の直立時、当接突起７４及び当
て板７５間には、０．５〜２ｍｍ（ここでは１ｍｍ）の
隙間が形成されている。これは、昇降・傾動手段の一対
のウォームジャッキ５９により両ガイド５５、５６が右
又は左へ傾斜可能とするためである。これらの構成部品
５９〜６３、６５、６７、６８、６８ａ、６９〜７２、
７２ａ、７３、７３ａ、７４、７５により、前記傾動手
段５７が構成されている。前記レストバー１３上には、
前述したようにガイドホルダ１２が、クランプ装置５８
を介して着脱可能に載置されている。ガイドホルダ１２
は門型の枠体であり、内部にＨ形鋼１００の上、下ガイ
ド５５、５６が配設されている。ガイドホルダ１２の側
部には、サイドガイド７８が設けられており、鈍角な下
部の先端部が、レストバー１３のミルスタンド５２側の
上端部に形成されたストッパ部１３ｂに掛止されてい
る。

【００１４】以下、図５〜７を参照して、クランプ装置
５８を詳細に説明する。図５に示すように、クランプ装
置５８は、レストバー１３の外面に、取付けブラケット
１４を介して固着されている。取付けブラケット１４の
先端部上には、レストバー１３から所定間隔離れた位置
に、レストバー１３側の面に上、下方向に延びるガイド
レール１８が固着された厚肉の背圧受け部材１５が一体
形成されており、また取付けブラケット１４の中央部両
側の下部には、クランプ駆動手段の一例である一対の油
圧シリンダ１６のロッド１６ａ側が固着されている。
上、下方向へ進退される各ロッド１６ａの先端部には、
前記ガイドレール１８に沿って昇降し、且つ先端へ向か
って徐々に薄肉化するようにレストバー１３側の面が傾
斜面１７ａとなった移動部材１７が固着されており、ま
た各移動部材１７の先端部には、移動部材１７のレスト
バー１３側の角部から一部を突出させた状態で、ガイド
ローラ１９が軸着されている。

【００１５】レストバー１３の取付けブラケット１４の
取付け部付近には、ブラケット２０が突出状態で固着さ
れており、ブラケット２０の上部に、平行四辺形リンク
構造体２１を構成する一対の平行リンク２２の元部が、
各々ピン２３により軸着されている。各平行リンク２２
の先端部は、クランプ爪２４の下部に、各々ピン２３を
介して軸着されている。クランプ爪２４は、ガイドホル
ダ１２のクランプ部１２ａと、レストバー１３のクラン
プ部１３ａとの先細り台形の断面形状に合わせて、断面
受け皿状の嵌合凹部２４ａが形成された厚肉の部材であ
り、クランプ爪２４の背面に、前記移動部材１７のレス
トバー１３側の傾斜面１７ａに合わせて、下端から上端
に向かって徐々に厚肉化した当て板２５が、ガイドレー
ル１８の長さ方向に沿って設けられている。なお、クラ
ンプ爪２４の背面下角部には、移動部材１７の上昇時
に、ガイドローラ１９が、容易にクランプ爪２４の背面
の下角部に乗り上げられるように、テーパ部が形成され
ている。

【００１６】また、レストバー１３の背圧受け部材１５
側の面の中央部には、移動部材１７を下降させた際に、
ガイドローラ１９が先端面に当接することにより、移動
部材１７の垂直昇降を安定化させる厚肉Ｌ字形の下降ロ
ーラ受け部材３０が固着されている。ロッド１６ａが引
き込んだクランプ解除時（図５参照）、クランプ爪２４
は、自重により、その背面がガイドレール１８に当接す
るまで、平行四辺形リンク構造体２１を介して下方回動
し、一方、引き下げられた移動部材１７のガイドローラ
１９は、下降ローラ受け部材３０の先端面３０ａに当接
して支持されている。図１、２において、符号７６はピ
ン、符号７７はコッタであり、図５、６において、符号
１２ｂはガイドホルダ１２の掛合部、符号１３ｂは掛合
部１２ｂが掛合されるレストバー１３のストッパ部であ
る。

【００１７】次に、本発明の一実施の形態に係るユニバ
ーサル圧延機のガイド装置１０の動作を説明する。図２
に示すように、パスラインａに沿って移送されてきたＨ
形鋼１００は、上、下ガイド５５、５６間を通過後、ミ
ルスタンド５２へ送り込まれ、上、下の水平ロール５３
及び竪ロール５４間で圧延成形される。成形中、何らか
の原因でパスラインａの高さからＨ形鋼１００の中心位
置が外れて、フランジ１０１間のウェブ１０２の高さ位
置が上方又は下方に、平行にずれた場合には、ウォーム
ジャッキ５９のロッド５９ａを出し入れさせて、レスト
バー１３を昇降させることにより、上、下ガイド５５、
５６の高さ位置を変化させて、Ｈ形鋼１００のウェブ１
０２の中心位置をパスラインａに合致させる。このと
き、両側の突片６７が連結ボルト６８によりハウジング
４８、４９に連結されたレストバー１３に、引き上げ力
や引き下げ力が加わることになるが、連結ボルト６８に
より締結された部材６７、７１、７２には、それぞれ垂
直方向に延びる長孔６７ａ、７１ａ、７２ａが形成され
ており、上、下ガイド５５、５６の昇降には支障がな
い。

【００１８】また、図８（ａ）に示すようなウェブ偏り
が発生した場合には、同図矢印に示すように、ウェブ１
０２に、両フランジ１０１の中間位置へウェブ１０２の
高さ位置を移動させる変形力が加わるように上、下ガイ
ド５５、５６を傾動させることで、図８（ａ）に示すよ
うなウェブ偏りがあるＨ形鋼１００を、図８（ｂ）に示
すような良品のＨ形鋼１００に矯正する。すなわち、図
４に示すように、両方の油圧シリンダ７３のロッド７３
ａを突出させて両方の楔板７２を押し下げ、押さえプレ
ート７１と楔板７２の間に隙間を設け、その後、基台で
あるレストバー１３ごと上、下ガイド５５、５６が組み
付けされたガイドホルダ１２を、Ｈ形鋼１００のウェブ
１０２のウェブ偏りに合わせて右側又は左側に傾動させ
る。なお、楔板７２の上下動時には、連結ボルト６８が
長尺な長孔７２ａに遊挿されているので、連結ボルト６
８が楔板７２の昇降を妨げる虞れはなく、若干幅外方へ
押し出される押さえプレート７１は、ブラケット６９の
ピン７０を中心に外方へ水平回動する。また、押さえプ
レート７１は、図３二点鎖線位置まで９０°だけ水平回
動可能になっている。

【００１９】次に、図５〜７を参照して、クランプ装置
５８によるガイドホルダ１２のレストバー１３へのクラ
ンプ動作を説明する。図５、６（ａ）に示すように、ま
ずガイドホルダ１２の掛合部１２ｂをレストバー１３の
ストッパ部１３ｂに掛合しておく。クランプ時には、油
圧シリンダ１６のロッド１６ａを上方へ突出させること
により、下降ローラ受け部材３０の先端面３０ａに当接
していたガイドローラ１９が、クランプ爪２４の下角部
のテーパ部に当接し、平行四辺形リンク構造体２１を介
して、クランプ爪２４を徐々に上方回動させると同時
に、移動部材１７が背圧受け部材１５とクランプ爪２４
との間に徐々に押し込まれて行く。この動作を更に具体
的に説明すると、図６（ｂ）に示すように、ガイドロー
ラ１９がクランプ爪２４の背面の下角部に乗り上げた
際、クランプ爪２４が矢印方向へ上方回動して、クラン
プ爪２４の皿状をした嵌合凹部２４ａの形成上部が、ガ
イドホルダ１２のクランプ部１２ａの傾斜面に沿って擦
り上げられる一方、この嵌合凹部２４ａの形成下部も、
レストバー１３のクランプ部１３ａの傾斜面に、ほぼ平
行に接近して行く。

【００２０】図７（ａ）に示すように、ガイドローラ１
９がクランプ爪２４の当て板２５の下部に達するまで移
動部材１７が上昇したとき、クランプ爪２４の上方回動
が進んで、嵌合凹部２４ａの形成上部が、ガイドホルダ
１２のクランプ部１２ａの傾斜面に押圧される一方、嵌
合凹部２４ａの形成下部が、レストバー１３のクランプ
部１３ａの傾斜面に沿って押圧され始める。その後、油
圧シリンダ１６のロッド１６ａの突出が更に進んで行く
と、図７（ｂ）に示すように、移動部材１７のレストバ
ー１３側の傾斜面１７ａが、クランプ爪２４の背面の逆
傾斜した当て板２５に押し当てられて、楔止め状態で、
移動部材１７を、ガイドレール１８に沿って、背圧受け
部材１５とクランプ爪２４との間に押し込んで行く。

【００２１】その際、クランプ爪２４は、その嵌合凹部
２４ａが、ガイドホルダ１２及びレストバー１３の断面
視して先細り台形状のクランプ部１２ａ、１３ａに略嵌
合されており、従ってこのように移動部材１７が、クラ
ンプ爪２４と背圧受け部材１５との間に強引に押し込ま
れることにより、ガイドホルダ１２とレストバー１３と
が堅固にクランプされる。しかも、このクランプの形態
は、このようにレストバー１３に載置されたガイドホル
ダ１２の掛合部１２ｂをストッパ部１３ｂに掛止した状
態で、受け皿状のクランプ爪２４を、対応する断面先細
り台形状のクランプ部１２ａ、１３ａに、一体的にクラ
ンプするようにしたので、ガイドホルダ１２を水平方向
及び垂直方向から同時且つ堅固にクランプできる。この
ときのクランプ力は、クランプ爪２４、移動部材１７を
介して、背圧受け部材１５が受けるので、油圧シリンダ
１６には、クランプ中に加わる大きな圧力はかからず、
油圧シリンダ１６の油圧系統が損傷したり、ロッド１６
ａの変形を招くなどの不都合が防止されて、シリンダ寿
命の延長が図れる。

【００２２】クランプ解除時には、油圧シリンダ１６の
ロッド１６ａを引き込ませて、移動部材１７をガイドレ
ール１８に沿って、ガイドローラ１９が下降ローラ受け
部材３０の先端面３０ａに当接するまで下降させると、
途中で、ガイドローラ１９がクランプ爪２４から外れ、
クランプ爪２４が自重により、その背面がガイドレール
１８に当接するまで平行四辺形リンク構造体２１により
下方回動して、クランプ解除される。これにより、実際
は、大きな力で差し込んだ際に移動部材１７が抜け難く
なり易い楔止め状態であっても、油圧シリンダ１６によ
る移動部材１７の直線運動を、クランプ爪２４の回転運
動に変換するクランプ機構を採用したので、比較的円滑
に、ガイドホルダ１２のクランプ及びクランプ解除がで
き、しかもクランプ時において、ガイドホルダ１２や移
動部材１７の当接部分に損傷が起き難くなったり、油圧
シリンダ１６のロッド１６ａの座屈が起き難くなる。

【００２３】このように、一対の駆動モータ６３を有す
る傾動手段を用いて、上、下ガイド５５、５６を、Ｈ形
鋼１００のウェブ１０２のウェブ偏りに合わせて左側又
は左側に所定角度だけ傾動させることにより、このＨ形
鋼１００のウェブ偏りを矯正できる。また、上、下ガイ
ド５５、５６の傾動手段として、レストバー１３の下側
に配置されて、駆動モータ６３によりレストバー１３を
それぞれ個別に上下動させる一対のウォームジャッキ５
９を採用したので、操作が確実簡単で、かつ低コストの
上、下ガイド５５、５６の傾動手段を提供できる。さら
に、油圧シリンダ１６のロッド１６ａの出し入れ方向
が、ガイドホルダ１２とレストバー１３とのクランプ方
向と同じ方向でなく、交差する方向としたので、例えば
従来手段のように、レストバー上にガイドホルダと油圧
シリンダとを直線的に配置したものに比べて、クランプ
装置をコンパクト化できる。

【００２４】そして、前述したように、クランプ時のク
ランプ力を、油圧シリンダ１６ではなく、背圧受け部材
１５により受けるようにしたので、クランプ駆動手段で
ある油圧シリンダ１６に比較的大きな負荷がかからず、
安価な小型の油圧シリンダをクランプ装置５８に組み込
んでも、大きなクランプ力が得られる。しかも、クラン
プ解除時には、クランプ爪２４が平行四辺形リンク構造
体２１により自重回動して、ガイドホルダ１２及びレス
トバー１３のクランプ部１２ａ、１３ａより離反するよ
うにしたので、例えばソレノイドやスプリングといった
使用頻度の増加により破損などの虞れがある強制離反手
段を用いるものに比べて、設備コストの低減や装置寿命
の延長が図れる。

【００２５】以上、本発明の実施の形態を示したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、要旨を逸脱しな
い範囲での設計の変更があっても本発明に含まれる。例
えば、実施の形態では、上、下ガイドの傾動手段とし
て、レストバーの下側に配置されて、駆動部によりレス
トバーをそれぞれ個別に上下動させる一対のウォームジ
ャッキとしたが、これに限定しなくても、例えば駆動部
によりレストバーの中間部又はガイドホルダの中間部を
中心に垂直回動させるものでもよい。実施の形態では、
傾動手段の駆動部として駆動モータを示したが、これに
限定しなくても、例えば油圧シリンダ、電動ジャッキな
どでもよい。実施の形態では、移動部材のクランプ駆動
手段として油圧シリンダを示したが、これに限定しなく
ても、例えば電動シリンダ、電動ジャッキ、送りねじ機
構など、その他どのような手段でもよい。

【００２６】

【発明の効果】請求項１及び２記載のユニバーサル圧延
機のガイド装置においては、このように一対の駆動部を
有する傾動手段を用いて、上、下ガイドを、Ｈ形鋼のウ
ェブのウェブ偏りに合わせて右側又は左側に所定角度だ
け傾動させることにより、この形鋼のウェブ偏りを矯正
できる。

【００２７】また、請求項２記載のユニバーサル圧延機
のガイド装置においては、クランプ駆動手段による移動
部材の進退方向を、ガイドホルダをレストバーにクラン
プする方向と交差する方向にしたので、例えば従来手段
のようなレストバー上に、ガイドホルダと駆動部（例え
ば油圧シリンダ）とを直線的に配置したものに比べて、
ガイド装置をコンパクト化でき、しかもクランプ時に、
クランプ駆動手段に比較的大きな負荷がかからず、クラ
ンプ力によるクランプ駆動手段の損傷を防止できると共
に、安価な小型のクランプ駆動手段でも大きなクランプ
力が得られる。また、このようにクランプ駆動手段によ
って昇降される移動部材により垂直回動するクランプ爪
を、平行四辺形リンク構造体を介して、レストバーに垂
直回動可能に取付け、このクランプ爪を用いて、間接的
に、レストバー上にガイドホルダをクランプ又はクラン
プ解除するようにしたので、クランプ時にガイドホルダ
や移動部材が損傷し難く、楔止め状態の移動部材が、ク
ランプ解除時に円滑に抜け易くなり、しかもこのクラン
プ解除時に、クランプ爪が平行四辺形リンク構造体によ
り自重回動して、ガイドホルダ及びレストバーのクラン
プ部より離反するようにしたので、設備コストの低減や
装置寿命の延長が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係るユニバーサル圧延
機のガイド装置の一部断面図を含む拡大側面図である。

【図２】ユニバーサル圧延機のガイド装置が配備された
ユニバーサル圧延機の側面図である。

【図３】図１のＳ３−Ｓ３断面図である。

【図４】傾動手段の要部拡大断面図である。

【図５】本発明の一実施の形態に係るクランプ装置の正
面図である。

【図６】（ａ）クランプ爪によるガイドホルダのクラン
プ開始状態を示す正面図である。 （ｂ）クランプ爪によるガイドホルダのクランプ途中状
態を示す正面図である。

【図７】（ａ）クランプ爪によるガイドホルダの更に進
んだクランプ途中状態を示す正面図である。 （ｂ）クランプ爪によるガイドホルダのクランプ完了状
態を示す正面図である。

【図８】（ａ）ウェブ偏りのあるＨ形鋼の拡大断面図で
ある。 （ｂ）良品のＨ形鋼の拡大断面図である。

【符号の説明】

１０：ユニバーサル圧延機のガイド装置、１２：ガイド
ホルダ、１３：レストバー、１２ａ：クランプ部、１２
ｂ：掛合部、１３ａ：クランプ部、１３ｂ：ストッパ
部、１４：取付けブラケット、１５：背圧受け部材、１
６：油圧シリンダ、１６ａ：ロッド、１７：移動部材、
１７ａ：傾斜面、１８：ガイドレール、１９：ガイドロ
ーラ、２０：ブラケット、２１：平行四辺形リンク構造
体、２２：平行リンク、２３：ピン、２４：クランプ
爪、２４ａ：嵌合凹部、２５：当て板、３０：下降ロー
ラ受け部材、３０ａ：先端面、４７：ユニバーサル圧延
機、４８：ハウジング、４９：ハウジング、５２：ミル
スタンド、５３：水平ロール、５４：竪ロール、５５：
上ガイド、５６：下ガイド、５８：クランプ装置、５
９：ウォームジャッキ、５９ａ：ロッド、６０：ブラケ
ット、６１：ギヤボックス、６２：駆動軸、６３：駆動
モータ、６４：梁部材、６４ａ：ブラケット、６４ｂ：
揺動ピン、６５：駆動軸、６６：球面受座、６７：突
片、６７ａ：長孔、６８：連結ボルト、６８ａ：座金、
６９：ブラケット、７０：ピン、７１：押さえプレー
ト、７１ａ：長孔、７２：楔板、７２ａ：長孔、７２
ｂ：操作片、７３：油圧シリンダ、７３ａ：ロッド、７
３ｂ：ブラケット、７４：当接突起、７５：当て板、７
６：ピン、７７：コッタ、７８：サイドガイド、１０
０：Ｈ形鋼、１０１：フランジ、１０２：ウェブ、ａ：
パスライン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−218413（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−277737（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B21B 39/14 B21B 39/16 B23Q 3/06

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上、下一対の水平ロール及び左、右一対
   の竪ロールが組み込まれたミルスタンドの上流に配置さ
   れて、Ｈ形鋼のウェブを案内する上、下ガイドが組み込
   まれたガイドホルダと、前記ガイドホルダが載置された
   レストバーと、前記ガイドホルダを前記レストバーにク
   ランプするクランプ装置と、前記レストバーの両側に配
   置されて、駆動部により前記レストバーをそれぞれ個別
   に上下動させる一対のウォームジャッキを有し、前記Ｈ
   形鋼のウェブの片側ウェブ偏りに合わせて、前記上、下
   ガイドを該Ｈ形鋼の圧延方向に直交する面内で傾動させ
   る傾動手段とを備えたことを特徴とするユニバーサル圧
   延機のガイド装置。
2. 【請求項２】 前記レストバーに、前記ガイドホルダを
   クランプするクランプ装置を取付け、 該クランプ装置が、前記レストバーに載置された前記ガ
   イドホルダより側方に配置されて、クランプ時のクラン
   プ力を受ける背圧受け部材と、前記レストバーに、平行
   四辺形リンク構造体を介して垂直回動可能に取付けられ
   て、クランプ時には、クランプ駆動手段により上下動可
   能な移動部材の直線的な押し込み力により上方回動して
   前記背圧受け部材と前記ガイドホルダとの間に嵌入され
   る一方、クランプ解除時には、前記クランプ駆動手段に
   より前記移動部材が引き抜かれることで、前記ガイドホ
   ルダから離反する下方向へ自重回動するクランプ爪とを
   備えたことを特徴とする請求項１記載のユニバーサル圧
   延機のガイド装置。