JP3442975B2 - 陰極線管装置 - Google Patents

陰極線管装置

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JP3442975B2 JP22034597A JP22034597A JP3442975B2 JP 3442975 B2 JP3442975 B2 JP 3442975B2 JP 22034597 A JP22034597 A JP 22034597A JP 22034597 A JP22034597 A JP 22034597A JP 3442975 B2 JP3442975 B2 JP 3442975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カラー陰極線管
などの陰極線管装置に係り、特に偏向電力を有効に低減
し真空外囲器の耐気圧強度を確保できる陰極線管装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管の一例として、図8にカラー受
像管を示す。このカラー受像管は、表示部101がほぼ
矩形状のガラス製パネル102、このパネル102に連
接された漏斗状のガラス製ファンネル103及びこのフ
ァンネル103に連接された円筒状のガラス製ネック1
04からなる真空外囲器を有する。また、ネック104
側からファンネル103側にかけて偏向ヨーク109が
装着されており、ファンネル103はネック104との
連接部から偏向ヨーク109の装着される位置までの径
小部、いわゆるヨーク部110を有する。パネル102
の内面には、青、緑、赤に発光するドット状またはスト
ライプ状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン10
5が設けられ、この蛍光体スクリーン105に対向し
て、その内側に多数の電子ビーム通過孔の形成されたシ
ャドウマスク106が配置されている。
【0003】ネック104内には3電子ビーム107を
放出する電子銃108が配設されており、電子ビーム1
07を偏向ヨーク109の発生する水平、垂直偏向磁界
により水平、垂直方向に偏向し、シャドウマスクを介し
て蛍光体スクリーン105を水平、垂直走査することに
より、カラー画像を表示する構造に形成されている。
【0004】このような受像管において、電子銃108
を同一水平面上を通る一列配置の3電子ビーム107を
放出するインライン型とし、この電子銃から放出される
一列配置の3電子ビーム107を、偏向ヨーク109の
発生する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁
界をバレル形として、これら水平、垂直偏向磁界により
偏向することにより、格別の補正手段を要することな
く、画面全体にわたり、一列配置の3電子ビーム107
を集中するセルフコンバーゼンス・インライン形カラー
受像管が広く実用化されている。
【0005】このような陰極線管においては、偏向ヨー
ク109が大きな電力消費源であり、陰極線管の消費電
力の低減に当たっては、この偏向ヨーク109の消費電
力を低減することが重要である。すなわち、スクリーン
輝度を上げるためには、最終的に電子ビームを加速する
陰極電圧を上げなければならない。また、HD(HighDef
inition) TVやPC(Personal Computer) などのOA
機器に対応するためには、偏向周波数を上げなければな
らないが、これらは、いずれも偏向電力の増大を招く。
【0006】一方、オペレーターが陰極線管に接近して
対応するPCなどのOA機器については、偏向ヨーク1
09から陰極線管外に漏洩する漏洩磁界に対する規制が
強化されている。この偏向ヨーク109から陰極線管外
に漏洩する磁界の低減手段には、従来、補償コイルを付
加する方法が一般に用いられている。しかしこのように
補償コイルを付加すると、それに伴ってPCの消費電力
が増大する。
【0007】一般に偏向電力の低減や漏洩磁界の低減に
は、陰極線管のネック径を小さくし、偏向ヨークの装着
されるヨーク部外径を小さくして、偏向磁界の作用空間
を小さくし電子ビームに対して偏向磁界が効率良く作用
するようにすると良い。
【0008】しかし従来の陰極線管では、電子ビームが
偏向ヨークの装着されるヨーク部内面に接近して通過す
るため、ネック径やヨーク部110外径をさらに小さく
すると、図9(a)に示すように、最大偏向角をとる蛍
光体スクリーン105の対角部に向かう電子ビーム10
7がヨーク部110内壁に衝突し、同( b) に示すよう
に、蛍光体スクリーン105上に電子ビーム107の衝
突しない部分111ができる。したがって、従来の陰極
線管では、ネック径やヨーク部110外径を小さくし
て、偏向電力を低減させることが困難である。また、ヨ
ーク部110内壁に電子ビーム107が衝突し続ける
と、ガラスがとけるほどその部分の温度が上昇し、爆縮
する危険が生ずる。
【0009】この問題を解決する手段として、特公昭4
8−34349号公報(USP3,731,129号明
細書)には、蛍光体スクリーン上に矩形状のラスターを
描く場合、偏向ヨークの装着されるヨーク部内側におけ
る電子ビームの通過領域もほぼ矩形状になるとの考えか
ら、図10(a)に示す陰極線管113について、その
B−B乃至F−F断面を同(b)ないし(f)に示した
ように、偏向ヨークの装着されるファンネル103のヨ
ーク部110をネック104側からパネル102方向に
円形から次第にほぼ矩形状に変化する形状にしたものが
示されている。このように偏向ヨークの装着されるヨー
ク部110を角錐状に形成すると、偏向ヨークの長軸
(水平軸:H軸)および短軸(垂直軸:V軸)方向の径
も小さくできるため、偏向ヨークの水平、垂直偏向コイ
ルを電子ビームに近づけて、効率良く偏向し偏向電力を
低減することができる。
【0010】しかしこのような陰極線管は、偏向電力を
効果的に低減するため、ヨーク部を矩形に近づけるほ
ど、図11に示すように大気圧荷重Fによりフラットな
ヨーク部水平軸近傍115及び垂直軸近傍116が図中
破線117で示す方向に歪みを生じるため、ヨーク部水
平軸及び垂直軸外面では圧縮応力σH、σVが、ヨーク
部対角軸118近傍外面では大きな引張応力σDが生
じ、真空外囲器の耐気圧強度を低下させ、安全性が損な
われる。
【0011】また、現在は外光の映り込みや画像の見易
さ等が強く要求されており、パネルのフラット化が必須
となっているが、陰極線管のパネル面をフラット化する
とバルブ強度が劣化するため、従来の用いられたヨーク
部を角錐状としたファンネルをそのまま用いても、安全
上必要なバルブ強度を確保できない。
【0012】従来はこのような理由から、偏向電力を十
分に低減するほどのヨーク部矩形化ができないか、ある
いは平坦なパネルに適用できないほどバルブ強度が弱い
といった問題があった。
【0013】ここで前述したヨーク部を角錐化する技術
について出願人は1970年頃、偏向角110度/ネッ
ク径36.5mmでパネル対角径が18" 、20" 、22" 、2
6" 、偏向角110度/ネック径29.1mmで16" 、20"
の2つのシリーズを開発、量産した。当時は、パネル
外面はほぼ球面でパネル外面の曲率半径が、スクリーン
有効径の約1.7倍である1R管と称するものに適用し
たものであった(以下、1R角型ヨーク管と称する)。
しかし、パネル外面形状がスクリーン有効径の2倍以上
の陰極線管については、ヨーク部形状との関連がバルブ
強度との関係で不明であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前記のように近年、陰
極線管の偏向電力及び漏洩磁界の低減が求められている
が、これをHDTVやPCなどのOA機器に要求される
高輝度化、高周波化を満足させながら行うことは極めて
困難である。従来、その偏向電力を低減する構造とし
て、偏向ヨークの装着されるヨーク部にネック側からパ
ネル方向に円形から次第にほぼ矩形状に変化する角錐状
のヨーク部を形成したものが提案されている。
【0015】しかしながら、従来は十分なバルブ強度、
特にスクリーン有効径の2倍以上の外面曲率半径を有す
るフラットなパネルを用いたバルブ強度と十分な偏向電
力低減を両立させる真空外囲器を得ることはできなかっ
た。
【0016】この発明は、前記問題点を解決するために
なされたものであり、ヨーク部を角錐化しても、真空外
囲器の耐気圧強度を十分に確保でき、かつ偏向電力を有
効に低減して、高輝度化や高周波偏向の要求を満たす陰
極線管装置を構成することを目的とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、蛍光体スクリ
ーンを内面に有したパネル部と、前記スクリーンに対向
して配置された電子銃を内部に有したネック部と、前記
ネック部のスクリーン側に連接されたヨーク部と、を備
え、前記パネル部の外面形状は前記スクリーン中央から
前記スクリーン対角端での管軸方向の前記ネック部側へ
の落差をもとに円近似するとき、前記円近似のパネル外
面形状の曲率半径が前記スクリーン対角有効径の2倍以
上の平坦度である真空外囲器と、前記ヨーク部から前記
ネック部にかけての前記真空外囲器の外面に配置され、
前記電子銃から放出される電子ビームを、アスペクト比
M:N(スクリーンの垂直軸方向長さと水平軸方向長さ
の比)の略矩形状スクリーン領域に偏向走査する偏向ヨ
ークと、を具備した陰極線管装置において、前記ヨーク
部は、前記ネック部の連接位置から少なくとも前記偏向
ヨークのスクリーン側端までとし、管軸に垂直な断面に
おいて管軸と前記ヨーク部外面の間隔をヨーク部外径と
するとき、前記ヨーク部の前記ネック部連接位置から少
なくとも前記偏向ヨークのスクリーン側端までの間で、
前記管軸に垂直な少なくとも1つの断面は、前記スクリ
ーンの垂直軸方向及び水平軸方向の間に最大となるヨー
ク部外径を有する非円形状をなし、前記M:Nのスクリ
ーン対角端と管軸の前記スクリーンより電子銃側の点を
結ぶ直線と、管軸とのなす角度が前記陰極線管の偏向角
の1/2であるような管軸上の点を偏向基準位置とする
とき、前記偏向基準位置での垂直軸方向ヨーク部外径を
SA、水平軸方向ヨーク部外径をLA、最大ヨーク部外
径をDAとすると、 (M+N)/(2(M2+N21/2)<(SA+LA)/(2DA)≦ 0.86 であり、前記偏向基準位置での管軸に垂直な断面の前記
ヨーク部外面形状断面は、前記スクリーンに準じた略矩
形状であり、前記略矩形状を垂直軸上に中心を持つ半径
Rvの円弧と水平軸上に中心をもつ半径Rhの円弧と最
大外径となる点と管軸を結ぶ直線上近傍に中心をもつ半
径Rdの円弧で近似するとき、RhまたはRvが900
mm以下、および 5mm ≦ Rd ≦ 15mm である構成とした。
【0020】
【発明の実施の形態】発明者らはヨーク部および偏向ヨ
ークを角錐化した場合の偏向特性、真空応力の考察と種
々の実験により偏向電力と強度を両立する最適形状を見
出した。
【0021】本発明に係わる陰極線管外囲器は、図4に
示すようにスクリーン中央17aからスクリーン対角端
17dでの管軸Z方向のネック部15側への落差dをも
とに円近似してパネル外面の平坦度を示すと、円近似の
外面形状の曲率半径がスクリーン対角有効径の2倍以上
の平坦度を有しているものに適用される。
【0022】図3に管軸に垂直なヨーク部断面を示す。
【0023】断面において管軸Zからスクリーンの水平
方向の軸H、垂直方向の軸V、ヨーク部断面の対角方向
の軸Dでそれぞれヨーク部外面までの距離をLA、S
A、DAとすると、角錐状ヨーク部14ではLA及びS
AがDAより小さくなり、結果として水平、垂直軸近傍
の偏向コイルを電子ビームに近づけて偏向電力を低減す
ることができる。ここで最大径となる断面の対角軸距離
DAはスクリーンの対角軸方向であるが、厳密に一致し
ないこともある。
【0024】上述の3軸以外の形状は、水平軸上に中心
を持ち半径Rhの円弧と垂直軸上に中心を持ち半径Rv
の円弧と対角軸上近傍に中心を持ち半径Rdの円弧でつ
ないだ形状とする。その他に種種の数式を用いて略矩形
状の断面を作ってもよい。
【0025】以上のようにヨーク部の横断面は矩形の長
辺L、短辺Sよりも管軸方向に突出しない非円形形状で
あり、一例としてたる型断面を有している。
【0026】ヨーク部断面形状を矩形状に近づけるほ
ど、真空外囲器としての強度は劣化し、偏向電力が低減
することは前に述べた。そこで矩形度を表す指標として (LA+SA)/(2DA) ・・・・・・・・・・(1) を設定する。通常の円錐状ヨーク部であればLA、SA
はDAに等しいから前記値は1である。
【0027】ヨーク部を角錐化する場合、DAは最外電
子ビーム軌道との余白確保からほぼ一定であるが、L
A、SAは小さくなり、前記値は小さくなる。完全に角
錐化した場合は、矩形状のアスペクト比をM:Nとする
と、 (M+N)/(2(M2 +N2 1/2 )・・・・・・・・・(2) となる。
【0028】前記指標は水平、垂直方向ヨーク部外径縮
小分を合わせた形であるが、シミュレーション解析結果
では水平方向のみを矩形化した場合でも垂直方向のみを
矩形化した場合でもほぼ同様の偏向電力低減効果があ
り、LA、SAのいずれかを重視すべき必要は無く、前
記指標で問題は無い。
【0029】また、管軸位置の違いによるヨーク部矩形
化の効果も解析し、結果として図4に示すように偏向基
準位置( 通常リファレンスラインと称する) 25から偏
向ヨーク20のスクリーン側端21の領域の矩形化が重
要であることを見出した。
【0030】ここで偏向基準位置とは、図6(a)
(b)に示すように管軸を挟んだスクリーン対角両端1
7dから管軸Zのある点Oに直線を結んだ場合に2直線
が成す角度が陰極線管規定の最大偏向角θであるような
管軸上位置で、偏向の中心となる位置である。
【0031】図4は、ヨーク部ネック側の偏向コイル2
0による電子ビーム22のスクリーン対角端17dへ照
射する電子ビーム軌道の変化を示したものである。この
場合、偏向磁界が偏向基準位置25よりネック側15に
近付けると磁界がネック側で強まるために電子ビーム2
2が早く偏向されヨーク部内壁に衝突する。逆に偏向基
準位置25よりスクリーン17側であれば電子ビーム2
2とヨーク部内壁の余裕が増えることになり、その分だ
け偏向ヨークネック側を延長して更に偏向電力を低減す
ることができる。
【0032】また、ネック径の異なる陰極線管において
もヨーク部形状の差は概ね偏向基準位置25までであ
り、それよりスクリーン側のヨーク部形状はほぼ同一と
なるため、解析結果は概ね同一である。
【0033】まず偏向電力の低減効果について説明す
る。
【0034】図7は、前記矩形度の指標値に対する偏向
電力の低減度合いを示したものである。ここでは偏向ヨ
ークの仕様を固定し、ヨーク部が矩形化された分だけ偏
向コイル、コアを近づけて計算した。偏向電力について
は、水平偏向電力を用いた。
【0035】図より指標値が概ね0.86より小さくな
ると急激に軽減効果が現れ、円錐状ヨーク部に対して約
10〜30%の電力削減となる。逆に0.86以上であ
れば軽減効果は10%以下に過ぎなくなる。
【0036】前述した従来の1R角型ヨーク部管では2
9.1mmシリーズで前記指標値が0.84となるが、3
6.5mmシリーズでは0.88である。
【0037】従来の1R角型ヨーク部管では0.84〜
0.88が実現できたが、バルブ強度の面でより厳しい
フラットなパネルをもつ陰極線管において、偏向ヨーク
の角錐化に伴う困難度を考慮すれば、低減効果は10%
以上、すなわち指標値で0.86以下の矩形度が実現で
きなければ利点とはならない。
【0038】前記0.86以下の指標値を実現する場合
の問題点は真空応力である。平坦なパネルの場合におい
ては、パネル面衝撃時の強度特性面も考慮し従来の1R
角型ヨーク部管より低い真空応力に押さえる必要があ
る。
【0039】表1は、従来の1R角型ヨーク部管と本発
明実施例のヨーク部の偏向基準位置における特性を比較
したものである。
【0040】従来の1R角型ヨーク部管では、対角軸近
傍のヨーク部外面形状をネック径より大きい曲率半径で
緩やかにつないでいたため、29.1mmシリーズ(比較
例1、表1参照)では垂直軸近傍がフラット、36.5
mmシリーズ(比較例2、表1参照)では前述の指標値が
小さい、すなわち偏向電力低減効果が小さいという欠点
があった。
【0041】勿論、対角近傍のヨーク部断面形状の曲率
半径は小さすぎれば応力を増大させる。また、偏向ヨー
クの種類や個々のばらつきによって最外電子ビーム軌道
の対角位置も変化するため、曲率半径が小さければ最大
径となる範囲が小さくなり、電子ビームとヨーク部内壁
の衝突を起こしやすくなる。
【0042】応力実験を重ねた結果、他の形状要因にも
左右されるがRdに関しては概ね5mm以上であれば、過
度の応力集中の防止、およびヨーク部最大径の最小領域
の確保が可能であることを確かめた。表1の実施例では
Rdを8mm以上とし余裕をもたせて設定した。
【0043】なお、表1において比較例1、2は従来の
1R角型ヨーク部管、比較例3はパネル外面曲率半径が
スクリーン対角径の2倍以上であるフラットなパネルを
従来の1R角型ヨーク部管である比較例1の真空外囲器
に適用した場合の陰極線管、実施例1〜4は同様のフラ
ットなパネルを用いた本発明の実施例の陰極線管であ
る。
【0044】
【表1】 図5に、実施例1ないし4、比較例3のヨーク部(偏向
基準位置)断面形状の最大曲率半径と最大真空応力を示
す。
【0045】表1のRh、Rv、Rdは偏向基準位置で
の管軸に垂直な断面の各々の曲率半径である。一方、図
5はヨーク部の中で最も径の大きい部分(最大曲率半
径)における実施例1〜4の応力データより推定した最
大曲率半径と最大真空応力の相関を示す曲線である。図
では、偏向角やRd等が若干異なるためばらつきがある
が、概ね最大曲率半径の増大につれて最大真空応力が増
大していく。外面曲率半径を従来の約2倍にフラット化
したパネルを用いる場合、真空外囲器の最大応力値は経
験的に1200psiである。図よりヨーク部断面形状
の最大曲率半径が900mm以下であれば、ヨーク部の最
大応力は目安の1200psiを下回ると解析される。
また、従来の1R角型ヨーク部管(比較例1)にフラッ
トなパネルを適用した比較例3では1200psoを上
回ると予想され、従来の1R角型ヨーク管の設計ではフ
ラット性とバルブ強度と偏向電力低減を満足することが
困難であった。
【0046】これらの解析事項は、一般的に妥当と思わ
れるガラス肉厚(パネル中央肉厚で10〜14mm、ヨー
ク部肉厚で2〜8mm:対角部は薄/水平・垂直軸近傍は
厚)を対象に得られたものである。当然ながら、ガラス
肉厚を増大していけば真空応力は低減していくと思われ
るが、陰極線管重量を考えると現実的では無い。
【0047】以上をまとめると、偏向電力の低減と真空
応力・強度の確保を両立できる方法として、偏向ヨーク
の走査する略矩形のスクリーン比をM:Nとして、偏向
基準位置( リファレンスライン) での、管軸に垂直な断
面で垂直方向ヨーク部外径をSA、水平軸方向ヨーク部
外径をLA、最大ヨーク部外径をDAとしたとき、 (M+N)/(2(M2 + N2 ) 1/2 ) < (SA+LA) /(2DA) ≦
0.86 となるようにヨーク部形状を構成する。
【0048】またこのとき、偏向基準位置での管軸に垂
直な断面のヨーク部外面形状断面を、管軸方向に突出し
ない略矩形状とし、この矩形形状を垂直軸上に中心を持
つ半径Rvの円弧と、水平軸上に中心をもつ半径Rhの
円弧と、最大外径となる点と管軸を結ぶ直線上に中心を
もつ半径Rdの円弧で近似したとき、RhまたはRvが
900mm以下となるようにヨーク部形状を構成する。
【0049】または、 5mm ≦ Rd ≦ 15mm となるようにヨーク部形状を構成する。
【0050】以上のことはスクリーンのアスペクト比
4:3以外にも16:9や3:4などにも適用可能であ
る。
【0051】
【実施例】
(実施例1)図1ないし図4により、本発明の実施例1
(表1)を説明する。ここに、図4は図1を管軸Zに沿
って対角軸D面で切ったときの上半分の断面略図であり
図中に偏向ヨークを付加している。
【0052】この陰極線管10は、表示部がほぼ矩形状
のガラス製パネル部12、このパネル部12に連接され
た漏斗状のガラス製ファンネル部13およびこのファン
ネル部13の径小部に連接されたヨーク部14とこのヨ
ーク部14に連接された円筒状のガラス製ネック部15
を管軸Zに沿って配置してなる真空外囲器16を有す
る。そのパネル12の表示部の内面には、蛍光体スクリ
ーン17が設けられている。またネック部15内に電子
銃18が配置されている。そして、ヨーク部14からネ
ック部15の外側にかけて、偏向ヨーク20が装着さ
れ、この偏向ヨーク20の発生する水平、垂直偏向磁界
により、上記電子銃から放出される電子ビーム22を水
平、垂直方向に偏向して、シャドウマスク19を通して
蛍光体スクリーン17を水平、垂直走査することによ
り、画像を表示する構造に形成されている。
【0053】特にこの陰極線管10においては、上記偏
向ヨーク20が装着されるヨーク部14が略角錐状に構
成されている。ここに、偏向ヨーク20は漏洩磁界の少
ないサドル−サドル型であり、筒状の合成樹脂フレーム
で垂直、水平コイルおよびコアを固定している。
【0054】また、外囲器16の管軸Zに沿う外面形状
はファンネル部13からネック部15にかけてファンネ
ル部で外方に凸、ヨーク部で凹の略S字曲線をしてお
り、ファンネル部13とヨーク部14の境界は同曲線の
変曲点23である。偏向ヨーク20は、そのパネル側の
端縁21をこの変曲点23の近傍に位置するように装着
され、実質上のヨーク部14は少なくともネック部15
との連接部24から端縁21までとなる。
【0055】図2にこのヨーク部14形状を示す。曲線
26はネック部15との連接部24から偏向ヨーク20
のスクリーン側端21にかけての対角軸方向外径DA、
曲線27は長軸方向外径LA、曲線28は短軸方向外径
SAである。これら曲線26〜28に示されているよう
に、ヨーク部14はネック部15との連接部24ではネ
ックとほぼ同形の円形状であるが、スクリーン側17に
近づくに従って対角軸方向外径DAに対して長軸、短軸
方向外径LA、SAが徐々に小さくなるように変化し、
管軸に垂直な断面での形状が略矩形状(非円形状)とな
っている。
【0056】この場合、スクリーン17のアスペクト比
M:N=4:3である。
【0057】さらには、偏向基準位置25におけるヨー
ク部断面において、 DA=28.4mm, LA=25.2mm, SA=2
1.0mm であり、 (LA+SA)/(2DA)=0.81 としており、偏向電力は円錐状のヨーク部をもつ陰極線
管に対して約25%ほど低減することができた。
【0058】また、偏向基準位置における断面でヨーク
部外面の曲率半径はそれぞれ、 Rh=113mm, Rv=312mm, Rd=8.8mm であり、ヨーク部の真空応力最大は1170psiであ
り強度面でも問題は無い。
【0059】さらには、ヨーク部のガラス肉厚も対角軸
で2.5〜2.8mm、長軸及び短軸で2.5〜5.7mm
であり、パネル中央肉厚も12.5mmと通常量産品と同
等であり、重量面でも問題は無い。
【0060】(実施例2)同様に前記表1記載の実施例
2に関し、スクリーンアスペクト比M:N=4:3、 DA=29.9mm, LA=26.7mm, SA=2
2.3mm であり、 (LA+SA)/(2DA)=0.82 としており、偏向電力は円錐状のヨーク部をもつ陰極線
管に対して約22%ほど低減することができた。
【0061】また、偏向基準位置における断面でヨーク
部外面の曲率半径はそれぞれ、 Rh=101mm, Rv=439mm, Rd=10.2
mm であり、ヨーク部の真空応力最大は1000psiであ
り強度面でも問題は無い。
【0062】(実施例3)同様に前記表1記載の実施例
3に関し、スクリーンアスペクト比M:N=4:3、 DA=30.2mm, LA=27.1mm, SA=2
2.5mm であり、 (LA+SA)/(2DA)=0.82 としており、偏向電力は円錐状のヨーク部をもつ陰極線
管に対して約20%ほど低減することができた。
【0063】また、偏向基準位置における断面でヨーク
部外面の曲率半径はそれぞれ、 Rh=75mm, Rv=174mm, Rd=8.7mm であり、ヨーク部の真空応力最大は920psiであり
強度面でも問題は無い。 (実施例4)同様に前記表1記載の実施例4に関し、ス
クリーンアスペクト比M:N=4:3、 DA=30.2mm, LA=27.5mm, SA=2
2.5mm であり、 (LA+SA)/(2DA)=0.83 としており、偏向電力は円錐状のヨーク部をもつ陰極線
管に対して約17%ほど低減することができた。
【0064】また、偏向基準位置における断面でヨーク
部外面の曲率半径はそれぞれ、 Rh=61mm, Rv=199mm, Rd=9.0mm であり、ヨーク部の真空応力最大は1140psiであ
り強度面でも問題は無い。
【0065】
【発明の効果】本発明によるヨーク部形状構成により、
ヨーク部を角錐化しても真空外囲器の耐気圧強度を十分
に確保でき、かつ偏向電力を有効に低減して、高輝度化
や高周波偏向の要求を満たす陰極線管装置とすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である陰極線誉の構成を示
す斜視図である。
【図2】図1の陰極線管のヨーク部の形状を説明するた
めの曲線図である。
【図3】図3は偏向基準位置を通る管軸に垂直なヨーク
部の横断面略図である。
【図4】図4は図1のIV−IV線に沿い矢印方向に見
た断面略図で、上半分を示す図である。
【図5】実施例および比較例のヨーク部の最大曲率半径
と最大真空応力の関係を示す特性図である。
【図6】図6(a)および(b)はそれぞれ偏向中心の
位置を説明するための図である。
【図7】ヨーク部形状と偏向電力との関係を示す図であ
る。
【図8】従来のカラー受像管の構成を示す一部切欠斜視
図である。
【図9】図9(a)および(b)はそれぞれネック径と
フアンネルのネック側径小部の径を小さくした場合に生
ずる問題を説明するための図である。
【図10】図10(a)ないし(f)はそれぞれ既知の
カラー受像管の外囲器の形状を説明するための図であ
る。
【図11】ヨーク部に生ずるストレスを説明するための
図である。
【符号の説明】
10: 陰極線管 12: パネル部 13: ファンネル部 14: ヨーク部 15: ネック部 16: 外囲器 17: スクリーン 17a:スクリーン中央 17d:スクリーン対角端 18: 電子銃 20: 偏向ヨーク 21: 偏向ヨークのスクリーン側端縁 23: 変曲点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/86

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体スクリーンを内面に有したパネル
    部と、前記スクリーンに対向して配置された電子銃を内
    部に有したネック部と、前記ネック部のスクリーン側に
    連接されたヨーク部と、を備え、前記パネル部の外面形
    状は前記スクリーン中央から前記スクリーン対角端での
    管軸方向の前記ネック部側への落差をもとに円近似する
    とき、前記円近似のパネル外面形状の曲率半径が前記ス
    クリーン対角有効径の2倍以上の平坦度である真空外囲
    器と、 前記ヨーク部から前記ネック部にかけての前記真空外囲
    器の外面に配置され、前記電子銃から放出される電子ビ
    ームを、アスペクト比M:N(スクリーンの垂直軸方向
    長さと水平軸方向長さの比)の略矩形状スクリーン領域
    に偏向走査する偏向ヨークと、を具備した陰極線管装置
    において、 前記ヨーク部は、前記ネック部の連接位置から少なくと
    も前記偏向ヨークのスクリーン側端までとし、管軸に垂
    直な断面において管軸と前記ヨーク部外面の間隔をヨー
    ク部外径とするとき、 前記ヨーク部の前記ネック部連接位置から少なくとも前
    記偏向ヨークのスクリーン側端までの間で、前記管軸に
    垂直な少なくとも1つの断面は、前記スクリーンの垂直
    軸方向及び水平軸方向の間に最大となるヨーク部外径を
    有する非円形状をなし、 前記M:Nのスクリーン対角端と管軸の前記スクリーン
    より電子銃側の点を結ぶ直線と、管軸とのなす角度が前
    記陰極線管の偏向角の1/2であるような管軸上の点を
    偏向基準位置とするとき、 前記偏向基準位置での垂直軸方向ヨーク部外径をSA、
    水平軸方向ヨーク部外径をLA、最大ヨーク部外径をD
    Aとすると、 (M+N)/(2(M2+N21/2)<(SA+LA)/(2DA)≦ 0.86 であり、 前記偏向基準位置での管軸に垂直な断面の前記ヨーク部
    外面形状断面は、前記スクリーンに準じた略矩形状であ
    り、 前記略矩形状を垂直軸上に中心を持つ半径Rvの円弧と
    水平軸上に中心をもつ半径Rhの円弧と最大外径となる
    点と管軸を結ぶ直線上近傍に中心をもつ半径Rdの円弧
    で近似するとき、 RhまたはRvが900mm以下、および 5mm ≦ Rd ≦ 15mm であることを特徴とする陰極線管装置。
  2. 【請求項2】 前記パネル部と前記ヨーク部との間にフ
    ァンネル部が設けられている請求項記載の陰極線管装
    置。
  3. 【請求項3】 管軸に垂直な断面において、前記ヨーク
    部外面形状断面がたる(バレル)型である請求項1また
    は2記載の陰極線管装置。
  4. 【請求項4】 前記ヨーク部と前記ファンネル部との境
    界が、前記外囲器の管軸に沿う曲面の変曲点である請求
    記載の陰極線管装置。
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