JP3441376B2 - 分析方法及びキット - Google Patents

分析方法及びキット

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JP3441376B2
JP3441376B2 JP23200298A JP23200298A JP3441376B2 JP 3441376 B2 JP3441376 B2 JP 3441376B2 JP 23200298 A JP23200298 A JP 23200298A JP 23200298 A JP23200298 A JP 23200298A JP 3441376 B2 JP3441376 B2 JP 3441376B2
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義雄 石森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中に存在する
特定の物質を特異的に分析する方法とキットに関する。
さらに詳しく言えば、本発明は、試料中に存在する特定
の物質を濃縮し、これと特異的に結合し得る物質を利用
して、定性・定量するための分析方法とキットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、試料中に存在する被検物質を
特異的に分析するために様々な方法やキットが開発され
ている。
【0003】例えば、分子量や化学的性質から被検物質
を分析する方法やキット、免疫反応を利用して分析する
方法やキット等が知られている。
【0004】分子量や化学的性質から被検物質を分析す
るには、複数の分析が必要となり時間を要することが多
く、正確さの点も問題がある。
【0005】細菌、ウイルス等の分析においては培養試
験による分析も行われており、低コストかつ高感度であ
るため現在の主流となっている。しかし培養試験は、細
菌培養に時間を要し、培養設備や培養操作が必要である
ため、迅速かつ簡便に行える試験方法ではない。正確な
同定という点では、遺伝子分析が最も優れており感度も
良好である。しかし、試料が少量であると、結果を得る
までに時間がかかる上、所定の設備や操作が必要であり
コストも高く、迅速かつ簡便に行い得るものではない。
【0006】最近のO−157大腸菌による食中毒に見
られるように、細菌検出には、迅速性および簡便性が強
く求められている。すなわち、食中毒の発生から死に至
るまでの期間が短い等、患者の診断に急を要すると、現
在行われている分析方法では診断の確定が間に合わない
ことがある。また食中毒の予防には調理器具あるいは食
材の菌検査が有効と考えられるが、時間を要しまた現場
で簡便に行うことができない方法では効果がない。
【0007】ここで、免疫分析は、特異的結合を利用す
るため、正確な分析ができ、一般には培養分析や遺伝子
分析より早く結果を得ることができる。
【0008】免疫分析においては、例えば、抗原を認識
する抗体を予め作製しておき、抗原と抗体の結合によっ
て生じた抗原―抗体複合体の有無を調べる。
【0009】抗原―抗体複合体を検出するには、放射性
同位体を標識した抗体を利用したラジオイムノアッセイ
(RIA)、酵素を標識した抗体を利用したエンザイム
イムノアッセイ(EIA)、蛍光物質等を標識した抗体
を利用した蛍光抗体法による分析等が行なわれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、RIAは放射
性同位体を使用し、資格を有するオペレ−タが操作する
専用の機器を設置しなければならず、どこでも簡単に行
える試験法とはいえない。しかも廃棄物の処理にも特別
の注意を要するという問題がある。また、従来のEIA
や蛍光抗体法は、極微量の被検出物質を分析するには感
度が不充分である。
【0011】血清やタンパク質を含有する試料の分析を
行う際に、抗原―抗体反応以外に非特異的反応が生じ正
確な分析ができないことがある。非特異的反応による影
響を避けるには、試料を適当に希釈して分析を行う必要
があるが、結果として試料中に含まれる被検出物の濃度
が低くなり、放射性同位体を使用することなしにEIA
等で検出を行うことは難しかった。
【0012】食品中あるいは飲料中のO−157大腸菌
を検出する際は、単位重量あるいは単位容量あたりに含
まれる菌の数は非常に少ないことが予想されるため、わ
ずかな被検物質を、雑多な物質を含む試料から検出する
ことが必要となる。こうした場合に、試料を特別な前処
理に付すことなく分析することは難しかった。
【0013】本発明は、こうした問題点を解決するため
になされたものであり、高感度な分析が行える分析方法
及び分析キットを提供することを目的とする。
【0014】また、試料の特別な前処理を必要とせず、
高感度な分析が簡便に短時間で行える分析方法及び分析
キットを提供することを目的とする。
【0015】さらに、安全に高感度な分析が行える分析
方法及び分析キットを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
分析方法は、被検物質を、この被検物質と特異的に結合
し得る第1の物質を所定の部位に配置した媒質に接触さ
せる接触工程と、前記媒質において、前記被検物質を前
記所定の部位に濃縮しつつ移行させる被検物質の濃縮・
移行工程と、前記被検物質と前記第1の物質を前記所定
の部位において結合させ結合体を得る結合工程と、次い
で前記結合体をあらかじめ検出手段を配置した前記媒質
における検出部位に移行させる結合体の濃縮・移行工程
と、前記検出部位において前記結合体を検出する検出工
程とを有し、前記検出工程が、前記結合体を、前記検出
部位に前記媒質を挟持するように配置された一対の対向
電極の少なくとも一方の電極の対向面に固定された、前
記被検物質と特異的に結合し得る第2の物質と結合させ
る工程と、前記結合体と前記第2の物質との結合により
前記対向電極間に生じる電気容量の変化を検出する工程
とを有することを特徴とする。
【0017】本発明の請求項2に係る分析方法は、被検
物質とこの被検物質と特異的に結合し得る第1の物質と
を結合させ結合体を得る結合工程と、次いで、前記結合
体を、検出手段を所定の検出部位に配置した媒質に接触
させる接触工程と、前記媒質において、前記結合体を前
記検出部位に濃縮しつつ移行させる結合体の濃縮・移行
工程と、前記検出部位において、前記結合体を検出する
検出工程とを有し、前記検出工程が、前記結合体を、前
記検出部位に前記媒質を挟持するように配置された一対
の対向電極の少なくとも一方の電極の対向面に固定され
た、前記被検物質と特異的に結合し得る第2の物質と結
合させる工程と、前記結合体と前記第2の物質との結合
により前記対向電極間に生じる電気容量の変化を検出す
る工程とを有することを特徴とする。
【0018】請求項3に係る分析方法は、請求項1また
は2記載の分析方法において、前記第1の物質があらか
じめ第3の物質と結合させられていることを特徴とす
る。
【0019】請求項4に係る分析方法は、請求項1また
は2記載の分析方法において、前記第2の物質が前記第
1の物質と同じ物質であることを特徴とする。
【0020】請求項5に係る分析方法は、請求項1また
は2記載の分析方法において、前記結合工程において前
記第1の物質があらかじめ第3の物質と結合させられて
おり、前記検出工程において前記第2の物質が前記第1
の物質と同じ物質であることを特徴とする。
【0021】請求項6に係る分析方法は、一対の対向電
極の少なくとも一方の電極の対向面に、被検物質と特異
的に結合し得る第1の物質を固定する固定工程と、媒質
における検出部位に、前記対向電極の間隙に前記媒質が
挟持されるように前記対向電極を配置する配置工程と、
前記被検物質を前記媒質に接触させる接触工程と、前記
媒質において前記被検物質を前記検出部位へ濃縮させつ
つ移行させる被検物質の濃縮・移行工程と、前記被検物
質を前記第1の物質と結合させる結合工程と、前記被検
物質と前記第1の物質の結合により前記対向電極間に生
じる電気容量の変化を検出する工程とを有することを特
徴とする。
【0022】請求項7に係る分析方法は、請求項1、2
または6記載の分析方法において、前記対向電極間の所
定の領域には前記媒質が存在しないことを特徴とする。
【0023】請求項8に係る分析方法は、請求項1乃至
7のいずれか1項記載の分析方法において、前記第1の
物質として抗体、酵素、核酸、レセプター、ホルモン、
これらの一部、またはこれらの2種以上を使用すること
を特徴とする。
【0024】請求項9に係る分析方法は、請求項1また
は2記載の分析方法において、前記第2の物質として抗
体、酵素、核酸、レセプター、ホルモン、これらの一
部、またはこれらの2種以上を使用することを特徴とす
る。
【0025】請求項10に係る分析方法は、請求項3ま
たは5記載の分析方法において、前記第3の物質が金
属、金属コロイド、導電性物質、半導体、吸光物質、蛍
光物質、発光物質、放射性物質、糖類、補酵素、これら
のいずれかを封入されたマイクロカプセル、またはこれ
らの2種以上であることを特徴とする。
【0026】請求項11に係る分析方法は、請求項10
記載の分析方法において、前記第3の物質が前記マイク
ロカプセルであり、前記検出工程が、前記マイクロカプ
セルを破壊する工程と前記マイクロカプセルから放出さ
れた物質を検出する工程とを有することを特徴とする。
【0027】請求項12に係る分析方法は、請求項10
または11記載の分析方法において、前記マイクロカプ
セルが、それぞれ異なる物質を封入された2種以上のマ
イクロカプセルからなることを特徴とする。
【0028】請求項13に係る分析キットは、被検物質
を濃縮しつつ移行させる媒質と、前記媒質に配置され
た、前記被検物質と特異的に結合し得る第1の物質と、
前記被検物質と前記第1の物質との結合体を検出する検
出手段を有し、前記検出手段が、微少間隙を置いて対向
する一対の対向電極と、少なくとも一方の前記対向電極
の対向面に固定された、前記被検物質と特異的に結合し
得る第2の物質と、前記結合体と前記第2の物質との結
合により前記対向電極間に生じる電気容量の変化を検出
する手段とを有することを特徴とする。
【0029】請求項14に係る分析キットは、請求項1
3記載の分析キットにおいて、前記第1の物質があらか
じめ第3の物質と結合させられていることを特徴とす
る。
【0030】請求項15に係る分析キットは、請求項1
3記載の分析キットにおいて、前記第2の物質が前記第
1の物質と同じ物質であることを特徴とする。
【0031】請求項16に係る分析キットは、請求項1
3乃至15のいずれか1項記載の分析キットにおいて、
前記第1の物質が、抗体、酵素、核酸、レセプター、ホ
ルモン、これらの一部、またはこれらの2種以上である
ことを特徴とする。
【0032】請求項17に係る分析キットは、請求項1
3記載の分析キットにおいて、前記第2の物質が、抗
体、酵素、核酸、レセプター、ホルモン、これらの一
部、またはこれらの2種以上であることを特徴とする。
【0033】請求項18に係る分析キットは、請求項1
4記載の分析キットにおいて、前記第3の物質が金属、
金属コロイド、導電性物質、半導体、吸光物質、蛍光物
質、発光物質、これらのいずれかを封入されたマイクロ
カプセル、またはこれらの2種以上であることを特徴と
する。
【0034】請求項19に係る分析キットは、請求項1
8記載の分析キットにおいて、前記マイクロカプセル
が、それぞれ異なる物質を封入された2種以上のマイク
ロカプセルからなることを特徴とする。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】図1に本発明を適用した1例を示す。被検
物質と特異的に結合する第1の物質をゾーン2に配置し
たクロマトグラフィーのような、被検物質や結合体を濃
縮させつつ移行させるために用いる媒質1の一端に、被
検物質を含む試料を添加する。試料の溶媒の展開に伴っ
て、試料に含まれる物質は、各々の吸着性や分配係数に
基づく移動速度の差により分離され、各物質ごとに濃縮
されつつ移動していく。このとき被検物質も濃縮されて
帯状のスポットを形成しつつ移動していく。
【0040】被検物質がゾーン2に達すると、被検物質
と第1の物質が結合し、結合体を生成する。生じた結合
体は、吸着性や分配係数に基づく移動速度の差により、
未結合の第1の物質のような、他の物質と分離されつつ
帯状のスポット3を形成し、さらに移動を続ける。所定
の検出部位に達したスポット3中の結合体を、何らかの
検出手段で検出すれば被検物質が試料中に存在すること
を確認できる。
【0041】なお、被検物質と結合しなかった未結合の
第1の物質は、結合体より分子量が小さく、結合体より
先に移動する。したがって、結合体のスポット3と未結
合の第1の物質のスポット4との両方の存在を確認すれ
ば、被検物質と第1の物質が不足なく結合し、生じた結
合体と未結合の第1の物質とが分離されたと確認でき
る。
【0042】また、被検物質を第1の物質とあらかじめ
結合させた後に、媒質1で濃縮させつつ移行させてもよ
い。媒質1に第1の物質を配置しておく必要がなく、さ
らに簡便に分析を行える。
【0043】被検物質としては、例えば、核酸、蛋白質
等の高分子化合物、ペプチド、ウイルス、細菌、薬物、
低分子化合物等が検出可能であるが、特にこれらに限定
されるものではなく、その物質と特異的に結合できる第
1の物質が作成可能なものであればよい。
【0044】具体的には、体液中の腫瘍マーカ[AF
P、塩基性フェトプロテイン(BFP)、ガン胎児性抗
原(CEA)、肺ガン胎児性抗原(POA)等]や免疫
グロブリン(IgG、IgE、IgD、IgM等の抗
体)、酵素等の蛋白質、ホルモン(インシュリン、T3
等)、核酸、細菌、ウイルス、及び麻薬等の薬物や火薬
等が挙げられる。
【0045】被検物質を濃縮しつつ移行させる媒質とし
ては、被検物質を効率良く濃縮できるものであれば特に
限定されないが、クロマトグラフィが好ましく使用され
る。クロマトグラフィとしては、ペーパークロマトグラ
フィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフ
ィー等の様々のクロマトグラフィーが利用できるが、簡
便さ、コストが低い等の点からペーパークロマトグラフ
ィーが好ましい。また、媒質の形状は、図1に示すよう
に、上部へ移行するにしたがって徐々に幅が細くなる先
細りであることが望ましい。こうした形状により、一層
効率良く被検物質を濃縮できるからである。
【0046】第1の物質としては、被検物質と特異的に
結合できる物質であれば特に限定されないが、被検物質
に対する抗体の他、酵素やホルモンのレセプタ−、これ
らの一部等が好ましく用いられる。例えば、細菌を検出
するには、菌体内に存在する物質(酵素など)あるいは
菌の代謝産物(大腸菌O−157に対するベロ毒素な
ど)等に特異的に結合し得る物質を第1の物質としても
よい。これらは1個の菌に対して多数の分子が存在し、
より高感度な検出が可能となる。
【0047】第1あるいは第2の物質として抗体を使用
するのであれば、ポリクロナル抗体よりもモノクロナル
抗体の方が検出感度を高くでき好ましい。抗体のFc部
分を蛋白質分解酵素(ペプシン)で除去して得たF(a
b′)抗体、あるいはさらにF(ab′)を還元し
て得たFab´でもよい。
【0048】第1の物質として、2種類以上の物質を使
用してもよい。試料中に、2種類以上の被検物質が含ま
れていても、それぞれの被検物質に対応する第1の物質
を使用すれば、これらを検出できる。
【0049】試料中に多量の被検物質が含まれていれ
ば、被検物質と第1の物質との結合体が形成するスポッ
ト3を、肉眼で確認できるが、超微量の被検物質を検出
するには、検出感度をさらに向上させることが望まし
い。
【0050】例えば、結合体の存在により対向電極間に
生じる電気化学的変化を検出することで感度の向上を図
れる。
【0051】一対の電極間に生じる電気容量は次のよう
に表される。
【0052】
【数1】 C:電気容量、Q:電気量、V:電極間の電位差 さらに、
【数2】 C:電気容量、εo :誘電率、S:電極の面積、d:電
極間の距離 と表すことができる。つまり、電極間の誘電率が変化す
ることによって、電気容量も変化する。
【0053】図2、3に示すように、一対の対向電極8
の一方の対向面に第2の物質17を固定しておく。第1
の物質と同じ物質を第2の物質として使用してもよい。
対向電極8の微小間隙に被検物質5が存在すると、図3
に示すように、被検物質5が第2の物質17と結合し電
極間に保持されるため、図2に示すように被検物質が存
在しない状態とでは電極間の誘電率が異なり、検出器9
で検出される電気容量も異なってくる。したがって、電
極間に生じる電気容量の変化を検出して、被検物質の分
析を行うことができる。
【0054】測定に際しては、試料中に含まれる被検物
質以外の雑多な物質や電気化学活性を有する物質が測定
に及ぼす影響を除くために、電気化学的検出を行う前に
充分時間をおいたり、再度緩衝液等を媒質に添加したり
して、第2の物質に結合した被検物質以外を対向電極間
から移動させておくことが望ましい。
【0055】対向電極の材料としては、白金が好ましい
が、これに限られるものではなく、目的とする電極間の
電気容量の変化を検出できるものであればよい。
【0056】こうした対向電極を、媒質1の2個所以上
に配置し、2種以上の第2の物質を使用すれば、2種以
上の被検物を検出できる。それぞれの対向電極ごとに、
異なる被検物質と特異的に結合する第2の物質を対向面
に固定する。
【0057】また、図4に示すように、対向電極間の媒
質を除去してもよい。媒質に含まれる極性分子が、電極
間の誘電率に与える影響を除き、さらに感度を向上させ
ることができる。電極間隔は、対向電極間に毛管現象が
生じるように設定し、試料がもれないように、対向電極
の周囲をシーリングする。
【0058】第1の物質を第3の物質でさらに標識し、
第3の物質を結合させた第1の物質と被検物質との結合
体を検出すれば、感度を一層向上させることができる。
【0059】第3の物質としては、第1の物質と結合で
き、かつ何らかの手段でその存在が検出し得るものであ
ればよい。2種以上の物質を第1の物質として使用する
と、これに対応して、2種以上の第3の物質を使用する
ことになる。
【0060】第3の物質として、吸光物質、蛍光物質、
発光物質等を使用すれば、発色、発光、蛍光、反射光、
蛍光偏光、消光、円偏光二色性等の変化で、被検物質の
存在を分析することができる。
【0061】吸光物質として色素のような、可視光線で
認識できる物質を第3の物質として使用すれば、変化を
肉眼で検出できる。蛍光物質を使用するのであれば、蛍
光測定装置で変化を検出する。
【0062】例えば、図1の媒質1のゾ−ン2より先端
寄りの適当な部分に、被検物質と特異的に結合し得る第
2の物質を固定した固定ゾ−ンを設ける。色素(第3の
物質)を標識した第1の物質と被検物質との結合体は、
第2の物質と結合してこの固定ゾ−ンにとどまるため、
試料中に被検物質が存在すれば、固定ゾ−ンの色素を肉
眼で確認できる。
【0063】図3に示す場合には、第3の物質7とし
て、金属、金属コロイド、導電性物質、半導体等の、電
気化学的に活性な物質を用いれば、電極間の誘電率の変
化がさらに大きくなり、電気容量の変化を容易に検出で
きる。電気的に可逆な酸化還元反応を起こす物質を中心
金属として含有する金属錯体を、第3の物質7として用
いれば、さらに誘電率の変化を大きくできる。
【0064】第3の物質を検出するために、2種以上の
検出手段を併用してもよい。例えば、大腸菌に対する抗
体を第2の物質として、電極の対向面に固定しておく。
大腸菌の中でも病原性大腸菌に対する抗体(第1の物
質)を蛍光物質(第3の物質)で標識し、媒質における
所定の部位に付着させる。試料を媒質の一端に添付する
と、試料の溶媒の展開に伴い、電極間には病原性の有無
に関係なく大腸菌が捕捉されるが、蛍光抗体と結合して
いるのは病原性大腸菌のみである。したがって、電極間
の電気容量の変化と電極間隙の蛍光を調べれば、試料中
の大腸菌の有無と病原性大腸菌の有無の両方を検出でき
る。電極間隙の蛍光は、ファイバ−スコ−プを利用して
検出できるが、例えば、ITO(indium tin
oxide)を使用した透明電極を対向電極とすれ
ば、ファイバ−スコ−プがなくても蛍光を容易に確認す
ることができる。
【0065】通常、第1の抗体に結合できる第3の物質
の分子数は1個から数個程度であるが、電気化学的活性
物質、吸光物質、蛍光物質、発光物質等をマイクロカプ
セルに封入したものを第3の物質とすれば、少なくとも
1000個以上の分子を、第1の物質と結合させたこと
になり、検出感度を一層向上させることができる。
【0066】マイクロカプセルとしては、直径0.1μ
m〜10μm程度のものが用いられるが、好ましくは直
径1μm〜10μmである。
【0067】図5、6に示すように、第3の物質として
マイクロカプセル10に蛍光物質11を封入したものを
使用してもよい。検出部位に達した結合体が、対向電極
14の対向面に固定された第2の物質17と結合した後
に、対向電極間に電源15で電圧を印加してマイクロカ
プセル10を破壊する。漏出してきた蛍光物質11を蛍
光検出器16で検出すれば、被検物質12を高感度に分
析できる。
【0068】このように、吸光物質、蛍光物質、発光物
質等が封入されたマイクロカプセルを破壊し、これらの
放出による変化を検出する場合には、ファイバースコー
プで、電極間の発色、発光、蛍光、反射光、蛍光偏光、
消光、円偏光二色性等の変化を調べることもできる。ま
た、前述したように、ITO透明電極を対向電極とすれ
ば、発色、蛍光、発光等を、容易に確認できる。
【0069】電気化学的活性物質を封入したマイクロカ
プセルを使用すれば、電気化学的活性物質の放出による
電気化学的変化を検出して、被検物質を非常に高感度に
分析できる。また、マイクロカプセルを破壊するために
は、電圧を印加する以外に、電極間隙を加熱してもよ
い。
【0070】第3の物質として、それぞれ異なる物質を
封入された2種以上のマイクロカプセルを用いてもよ
い。各マイクロカプセルから放出された物質が反応して
生成する物質を検出すれば、被検物質を検出できる。例
えば、呈色反応を生じる2種の物質を、それぞれ別のマ
イクロカプセルに封入しておけば、マイクロカプセルが
破壊されて起こる呈色反応を検出することで、被検物質
の存在を容易に確認できる。
【0071】このように、本発明においては、試料中に
含まれる被検物を、まず他の物質から分離・濃縮してか
ら抗体と結合させているため、試料中の被検物が微量で
あったり、試料中に雑多な物質が含まれていても、被検
物と抗体との結合効率を高めることができる。次いで、
生じた結合体を未結合の第1の物質等とさらに分離して
から検出することで、検出効率を向上させることができ
る。
【0072】したがって、こうした分離・濃縮を行わな
い場合と比較して、微量の被検物を、特別の前処理な
く、短時間で、高い感度で検出できる。
【0073】例えば、試料中に含まれる数種類の細菌か
ら、特定の細菌を検出しようとすると、細菌同士は比較
的分子量が近いため、クロマトグラフィーによる分離・
濃縮のみで、目的の細菌を検出することは難しい。しか
し、本発明によれば、目的とする細菌のみを容易に検出
できる。
【0074】また、第1の物質を第3の物質で標識すれ
ば、さらに感度を向上させられる。特に、第3の物質と
して、マイクロカプセルを使用すれば、一層高い感度を
達成できる。
【0075】本発明によれば、分離・濃縮過程を別に設
ける必要がなく、簡便に、短時間で分析を行うことがで
きる。また、分離・濃縮のために、余分の器具・装置等
を使用する必要もなく、分析に要するコストも高くな
い。したがって、現場でも容易に使用することができ実
用性の非常に高いものである。
【0076】また、被検物質の定量に際しては、あらか
じめ既知濃度の被検物質を用いて、電極間の電気容量、
発光度等の信号量の検量線を作成しておき、次いで、同
一条件下で未知量の被検物質を含む試料を用いて電気容
量、発光度等の信号量を測定すれば、検量線に基づいて
被検物質を定量できる。
【0077】被検物質と抗体の結合や、濃縮・分離に要
する時間及び温度などの条件は、被検物質、第1の物
質、第2の物質、第3の物質、試料に含まれる他の物質
の種類、特性、量、等によって異なる。このため、個々
の場合に応じて、最適反応時間、温度等を設定すること
が望ましい。例えば、前述した検量線を作成する際に特
定濃度の被検物質を含む試料を用いて反応条件を設定す
る予備測定を行うことができる。
【0078】
【発明の実施の形態】次に本発明の具体的な実施例につ
いて説明する。
【0079】(実施例1)被検物質として、エッシエリ
ヒア・コリHB101(Escherichiacol
HB101、以下「大腸菌HB101」と記す)、
被検物質と特異的に結合する第1の物質として抗大腸菌
・ウサギポリクローナル抗体(ダコ社製、以下「抗大腸
菌抗体」と記す)を用いた。
【0080】図7を用いて本実施例を説明する。No.
51B(東洋濾紙社製)のクロマトグラフィー用ろ紙
を、先細型に形成したものをろ紙21として使用した。
ろ紙21の長さは200mm、一端(最大幅端)が幅1
00mm、これに対向する他端(最小幅端)が8mmで
あり、最大幅端から最小幅端に向かって徐々に幅が狭く
なっている。
【0081】このろ紙21の試料添加端から約20mm
の部位に抗体付着部位22を設け、約20ngの抗大腸
菌抗体を付着させた。抗体付着部位22の大きさは、ろ
紙21の長さ方向の幅約3mm、これに直交する方向の
幅約50mmとした。
【0082】抗体付着部位22の位置や幅、付着する抗
体の量は、予備実験から最適な条件を求めた。例えば、
抗体付着部位22と、試料を添加する最大幅端部の距離
が長すぎると、試料中の大腸菌HB101が抗体付着部
位22に到達する前に、抗体が移動してしまうし、抗体
の量が大腸菌HB101の量より少ないと、充分な検出
ができない等、検出の感度、精度等に影響を及ぼすから
である。
【0083】抗体付着部位22より先端方向の検出部位
23に、一対の白金電極を配置した。各白金電極の対向
面には、約20ng/1面の抗大腸菌抗体を固定した。
【0084】まず、電極配置部位(5.0×20mm)
をくり貫いたパイレックスガラス(厚さ1.0mm)
で、ろ紙21を両側から挟んだ。さらにその外側を、対
向する一対の白金電極(10×25mm)で、パイレッ
クスガラスの開口部を覆うように挟み、これらを固定し
て動かないようにした。電極間距離は1mmとした。
【0085】検出部位23の位置、幅等についても、予
備実験を行い最適な条件を求めた。
【0086】それぞれの白金電極を、ディジタルマルチ
メータ7544−02及び静電容量測定アダプタ752
1一03(横川電機製)に接続した。
【0087】PBS(NaCl、KCl、NaHPO
、KHPO、pH7.4)緩衝液中に、大腸菌H
B101をそれぞれ、500 CFU/mL、1000
CFU/mL、10000 CFU/mL懸濁させた
試料を用意し、各々の試料について、下記の実験を行っ
た。
【0088】試料を容器25へ移し、図7に示すよう
に、ろ紙21の最大幅端部を、容器25内の試料に浸し
た。
【0089】大腸菌HB101懸濁液がろ紙21上を展
開するのに伴い、試料中の大腸菌HB101は、分配係
数に基づく移動速度の差により他の物質と分離され、濃
縮されつつ移動した。この際、ろ紙21の幅が徐々に狭
くなっているため、幅が一定のろ紙を使用する場合と比
較して、大腸菌HB101の濃縮がさらに効率良く行わ
れた。
【0090】こうして抗体付着部位22に達した大腸菌
HB101は、付着させられている抗大腸菌抗体と結合
した。この結合により形成された大腸菌HB101と抗
大腸菌抗体の結合体は、分配係数に基づく移動速度の差
により、未結合の抗大腸菌抗体等、他の物質と分離され
つつさらに移動を続けた。
【0091】試料をろ紙21に添加してから約5分後
に、複合体のスポットが検出部位23に達した。結合体
を構成する大腸菌HB101は、白金電極の対向面に固
定された抗大腸菌抗体と結合し、白金電極間に保持され
た。白金電極間に存在する結合体以外の物質を移動させ
るために、ろ紙21の最大幅端部をPBSに浸した。約
5分後に、ディジタルマルチメータ7544−02及び
静電容量測定アダプタ7521一03(横川電機製)を
用いて、対向する白金電極間の電気容量を測定した。
【0092】その結果、10000 CFU/mLの試
料については、電気容量の変化が検出され、大腸菌HB
101の存在が確認できた。また、未結合の抗大腸菌抗
体によるスポット24が、複合体によるスポットより先
端部に認められたため、この量の抗大腸菌抗体で大腸菌
HB101と抗体が不足なく結合できたことが確認でき
た。
【0093】(比較例1)ろ紙21として、抗大腸菌抗
体を付着していないものを使用した以外は、実施例1と
同様に実験を行った。
【0094】大腸菌HB101濃度10000 CFU
/mLの試料でも、電気容量の変化は見られず、大腸菌
HB101の検出を行うことはできなかった。
【0095】(実施例2)抗大腸菌抗体をフェロセンカ
ルボン酸と結合させた標識抗体を用いて、実施例1と同
様の実験を行った。
【0096】1000 CFU/mLと10000 C
FU/mLの試料については、電気容量の変化が検出さ
れ、大腸菌HB101の存在が確認できた。
【0097】(実施例3)抗大腸菌抗体を蛍光物質を封
入したリポソームで標識して、大腸菌HB101の検出
を行った。
【0098】本実施例において用いた試薬のうちジパル
ミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)、ジパル
ミトイルフォスファチジルエタノ一ルアミン(DPP
E)、コレステロールはシグマ社製のものを用いた。他
の試薬は市販品(特級)を精製せずに使用した。なお、
水は全てイオン交換水を用いた。
【0099】[抗大腸菌抗体(Fab´)固定化リポソ
−ム(スペ−サ−付き官能基脂質及びステアリルアミン
含有)の調製] 第1工程 NH−C−DPPEの合成 (a)Boc−5−アミノ吉草酸の合成 5−アミノ吉草酸(Aldrich社製)1.17g
(10mM)にトリエチルアミン(TEA)3ml(約
20mM)及び水10mlを加えて溶解した。これにア
ミノ基の保護基となるBoc−ON(ペプチド研究所
製)2.7g(11mM)をジオキサン10mlに溶解
した溶液を添加し、室温で3時間撹拌した。反応液をロ
ータリーエバポレ−タで濃縮し、酢酸エチル、5%炭酸
水素ナトリウム水溶液、5%クエン酸水溶液の順で抽出
・精製した。最後に、無水硫酸ナトリウムで脱水し、低
温で結晶化させてBoc−5−アミノ吉草酸を得た。収
率は約70%(重量)であった。
【0100】(b)Boc−5−アミノ吉草酸サクシン
イミドエステルの合成 前記Boc−5−アミノ吉草酸0.23g(1mM)を
クロロホルム20mlに溶解し、N−ヒドロキシサクシ
ンイミド(HSI;ペプチド研究所製)0.13g
(1.1ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(DCCD;ペプチド研究所製)0.25g(1.2
mM)を添加後、室温で3時間撹拌した。反応後、ロ−
タリ−エバポレ−タで溶媒を除去し、生成物に酢酸エチ
ル30mlを加えて溶解し、瀘過して沈殿物を除去し
た。再びロ−タリ−エバポレ−タで溶媒を除去し、得ら
れた生成物をクロロホルム5mlに溶解し、Boc−5
−アミノ吉草酸サクシンイミドエステル溶液(約0.2
mM/ml)として以下の反応に使用した。
【0101】(c)NH−C−DPPEの合成 DPPE70mg(100μM)をクロロホルム20m
lに懸濁し、TEA50μl及び前記Boc−5−アミ
ノ吉草酸サクシンイミドエステル溶液1ml(約200
μM)を加え、20℃で一晩撹拌しつつ反応させた。反
応後、メタノ−ル及び3%クエン酸水溶液を用いて、T
EAを抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、ロ−タリ
−エバポレータを用いて溶媒を除去した。得られた生成
物に1M塩酸/酢酸1.5mlを加えて溶解し、37℃
で1時間放置した。これをロ−タリ−エバポレータで濃
縮した後、メタノ一ル及びクロロホルムで繰り返し洗浄
し、塩酸及び酢酸を除去した。次いで、シリカゲルの分
取用薄層クロマトグラフィ−(#5717、Merck
社製)を用い、クロロホルム/メタノ−ル=7/3混合
溶媒を展開溶媒として、生成物を精製した。収率は約6
0%(重量)であった。
【0102】第2工程 ブロモアセチル(BrAc)
−NH−C−DPPEの合成 ブロモ酢酸140mg(1mM)をクロロホルム30m
lに溶解し、HSI140mg(1.2mM)及びDC
CD250mg(1.2mM)を添加し、室温で3時間
反応させた後、ロ−タリ−エバポレータで溶媒を除去
し、酢酸エチル30mlを加えた。生じた白色沈殿を瀘
別し、再びロ−タリ−エバポレータで溶媒を除去した
後、クロロホルム10mlに再溶解させた。
【0103】得られた溶液1ml及びTEA50μlを
前記第1工程で調製したNH−C−DPPEのクロ
ロホルム溶液約10ml(50μM)に加え、室温で1
晩反応させた。反応後、溶媒をロ−タリ−エバポレータ
で濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィを用い、クロロ
ホルム・メタノ−ル=7/3混合溶媒を展開溶媒として
生成物を精製した。収率は約50%(重量)であった。
得られた最終生成物をクロロホルムで希釈し、濃度1m
Mとした。
【0104】第3工程 リポソームの調製 脂質及び脂肪族アミンは、全てクロロホルムまたはクロ
ロホルム/メタノ−ル(2/1)混合溶媒に溶解して使
用した。5mMのDPPC200μl、10mMのコレ
ステロ−ル100μl、前記第2工程で調製した1mM
のBrAc−NH−C−DPPE50μl及び5mM
のステアリルアミン25μlを、10ml容量のナシ型
フラスコに入れ、更にクロロホルム2mlを加えてよく
混合した。次に、約40℃の水浴中でロータリーエバポ
レータにより溶媒を除去した。再びクロロホルム2ml
を加えて充分に攪拌した後、再度ロータリーエバポレー
タにより溶媒を除去した。この操作を数回繰り返すと、
フラスコ壁面に均一な脂質薄膜が形成された。続いて、
フラスコをデシケ−タ中に移して真空ポンプで約1時間
吸引することにより溶媒を完全に除去した。
【0105】次いで、0.1Mのカルボキシフルオレセ
イン(イーストマン・コダック社製、pH7.4)10
0μlを添加し、フラスコ内部を窒素で置換した後、密
栓して約60℃の水浴中に約1分間浸潰した。続いて、
Vortexミキサを用い、フラスコ壁面の脂質薄膜が
完全に消失するまで、フラスコを激しく振盪した。この
操作により、カルボキシフルオレセインを封入した多重
層リポソ−ム(スペ−サ−付き官能基脂質及びステアリ
ルアミン含有)懸濁液が調製された。
【0106】得られたリポソ−ム懸濁液に緩衝液[HE
PES(10mM)]を少量添加した後、すべて10m
l容量の遠心チュ−ブに移し、4℃において15000
rpmで20分間遠心分離する操作を数回繰り返した。
最後に、リポソ−ムを10mMのホウ酸緩衝液(pH
9.0、0.85%NaCl含有:以下、BBSと記
す)に懸濁させてからセラムチュ−ブ(コ−ニング社
製)に移し、1度遠心分離(4℃、15000rpm、
20分間)により上澄を除去した後、後述するヒトIg
G固定化反応に使用するまで冷蔵庫に保存した。
【0107】第4工程 抗大腸菌抗体の修飾 抗大腸菌抗体10mgを0.1Mの酢酸緩衝液(pH
4.5)1mlに溶解し、ペプシン(シグマ社製)10
0μgを添加し、37℃で1時間反応させた。次に、高
速液体クロマトグラフィ−によりF(ab´)分画の
みを分取した。このF(ab´)分画[0.1Mリン
酸緩衝液(pH6.0)中]にメルカプトエチルアミン
・塩酸塩10mgを加え、37℃で90分間反応させ、
ゲル濾過(セファデックスG−25使用、BBS)によ
り遊離のSH基を含有したタンパク分画(Fab´)の
みを分取した。このタンパク分画溶液の濃度は、OD
280 nm=1であった。
【0108】第5工程 IgG(Fab´)のリポソ
−ムへの固定化 上記の工程で得られたリポソ−ム懸濁液とFab´の溶
液とを混和し(リポソ−ム:Fab´=1:1)、20
℃で44時間撹拌・反応させた。反応後、ゼラチン・ベ
ロナ−ル緩衝液(以下、GVBと記す)で3回洗浄し
た。最後に、得られたリポソ−ムをGVB2mlに懸
濁させて4℃で保存した。
【0109】[大腸菌HB101と抗大腸菌抗体(Fa
b´)リポソーム標識抗体との結合体の検出]第5工程
で作製した抗大腸菌抗体(Fab´)リポソーム標識抗
体を用いて、実施例1と同様の実験を行った。本実施例
では、白金電極間の電気容量の変化の代わりに蛍光を検
出することで、大腸菌HB101の存在を確認した。
【0110】すなわち、白金電極間に電圧を印加して
(200V、0.5秒間)、電極間に保持されたリポソ
ームを破壊し、放出されるフルオレセインの蛍光を、蛍
光分光光度計(日立製作所製、F−2000)で測定し
た。測定は、励起波長480nm、蛍光波長530nm
の条件で行った。
【0111】500 CFU/mLと1000 CFU
/mLの試料については、蛍光が検出され、大腸菌HB
101の存在が確認できた。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
超微量の被検物質を、特別な前処理することなしに、安
全、簡便でかつ、短時間で高感度に分析することができ
る。従って、生化学、医療分野等において特定分子を認
識する分析方法として極めて有効な手段である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を模式的に示す図。
【図2】試料中に被検物質を含まない場合の電極間の電
気容量の変化を模式的に示す図。
【図3】試料中に被検物質を含む場合の電極間の電気容
量の変化を模式的に示す図。
【図4】対向電極間の媒質を除去した構成を模式的に示
す断面図。
【図5】試料中に被検物質を含まない場合の電極間の電
気容量の変化を模式的に示す図。
【図6】試料中に被検物質を含む場合の電極間の電気容
量の変化を模式的に示す図。
【図7】本発明の1実施例の構成を模式的に示す図。
【符号の説明】
1・・・媒質、2・・・ゾーン(第1の物質配置)、3
・・・スポット(結合体)、4・・・スポット(未結合
の第1の物質)、5、12・・・被検物質、6、13・
・・第1の物質、7・・・第3の物質、8、14・・・
対向電極、9・・・検出器、10・・・マイクロカプセ
ル、11・・・蛍光物質、15・・・電源、16・・・
蛍光検出器、17・・・第2の物質、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−327582(JP,A) 特開 昭64−63865(JP,A) 国際公開98/32018(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 G01N 27/22 G01N 33/544 G01N 33/566

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検物質を、この被検物質と特異的に結
    合し得る第1の物質を所定の部位に配置した媒質に接触
    させる接触工程と、 前記媒質において、前記被検物質を前記所定の部位に濃
    縮しつつ移行させる被検物質の濃縮・移行工程と、 前記被検物質と前記第1の物質を前記所定の部位におい
    て結合させ結合体を得る結合工程と、 次いで前記結合体をあらかじめ検出手段を配置した前記
    媒質における検出部位に移行させる結合体の濃縮・移行
    工程と、 前記検出部位において前記結合体を検出する検出工程と
    有し、 前記検出工程が、前記結合体を、前記検出部位に前記媒
    質を挟持するように配置された一対の対向電極の少なく
    とも一方の電極の対向面に固定された、前記被検物質と
    特異的に結合し得る第2の物質と結合させる工程と、 前記結合体と前記第2の物質との結合により前記対向電
    極間に生じる電気容量の変化を検出する工程とを 有する
    ことを特徴とする分析方法。
  2. 【請求項2】 被検物質とこの被検物質と特異的に結合
    し得る第1の物質とを結合させ結合体を得る結合工程
    と、 次いで、前記結合体を、検出手段を所定の検出部位に配
    置した媒質に接触させる接触工程と、 前記媒質において、前記結合体を前記検出部位に濃縮し
    つつ移行させる結合体の濃縮・移行工程と、 前記検出部位において、前記結合体を検出する検出工程
    とを有し、 前記検出工程が、前記結合体を、前記検出部位に前記媒
    質を挟持するように配置された一対の対向電極の少なく
    とも一方の電極の対向面に固定された、前記被検物質と
    特異的に結合し得る第2の物質と結合させる工程と、 前記結合体と前記第2の物質との結合により前記対向電
    極間に生じる電気容量の変化を検出する工程とを 有する
    ことを特徴とする分析方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の物質があらかじめ第3の物質
    と結合させられていることを特徴とする請求項1または
    記載の分析方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の物質が前記第1の物質と同じ
    物質であることを特徴とする請求項1または2記載の分
    析方法。
  5. 【請求項5】 前記結合工程において前記第1の物質が
    あらかじめ第3の物質と結合させられており、前記検出
    工程において前記第2の物質が前記第1の物質と同じ物
    質であることを特徴とする請求項1または2記載の分析
    方法。
  6. 【請求項6】 一対の対向電極の少なくとも一方の電極
    の対向面に、被検物質と特異的に結合し得る第1の物質
    を固定する固定工程と、 媒質における検出部位に、前記対向電極の間隙に前記媒
    質が挟持されるように前記対向電極を配置する配置工程
    と、 前記被検物質を前記媒質に接触させる接触工程と、 前記媒質において前記被検物質を前記検出部位へ濃縮さ
    せつつ移行させる被検物質の濃縮・移行工程と、 前記被検物質を前記第1の物質と結合させる結合工程
    と、 前記被検物質と前記第1の物質の結合により前記対向電
    極間に生じる電気容量の変化を検出する工程とを有する
    ことを特徴とする分析方法。
  7. 【請求項7】 前記対向電極間の所定の領域には前記媒
    質が存在しないことを特徴とする請求項1、2または6
    記載の分析方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の物質として抗体、酵素、核
    酸、レセプター、ホルモン、これらの一部、またはこれ
    らの2種以上を使用することを特徴とする請求項1乃至
    のいずれか1項記載の分析方法。
  9. 【請求項9】 前記第2の物質として抗体、酵素、核
    酸、レセプター、ホルモン、これらの一部、またはこれ
    らの2種以上を使用することを特徴とする請求項1また
    は2記載の分析方法。
  10. 【請求項10】 前記第3の物質が金属、金属コロイ
    ド、導電性物質、半導体、吸光物質、蛍光物質、発光物
    質、放射性物質、糖類、補酵素、これらのいずれかを封
    入されたマイクロカプセル、またはこれらの2種以上で
    あることを特徴とする請求項3または5記載の分析方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第3の物質が前記マイクロカプセ
    ルであり、前記検出工程が、前記マイクロカプセルを破
    壊する工程と前記マイクロカプセルから放出された物質
    を検出する工程とを有することを特徴とする請求項10
    記載の分析方法。
  12. 【請求項12】 前記マイクロカプセルが、それぞれ異
    なる物質を封入された2種以上のマイクロカプセルから
    なることを特徴とする請求項10または11記載の分析
    方法。
  13. 【請求項13】 被検物質を濃縮しつつ移行させる媒質
    と、 前記媒質に配置された、前記被検物質と特異的に結合し
    得る第1の物質と 前記被検物質と前記第1の物質との結合体を検出する検
    出手段を有し、 前記検出手段が、微少間隙を置いて対向する一対の対向
    電極と、 少なくとも一方の前記対向電極の対向面に固定された、
    前記被検物質と特異的に結合し得る第2の物質と、 前記結合体と前記第2の物質との結合により前記対向電
    極間に生じる電気容量の変化を検出する手段とを有する
    ことを特徴とする分析キット。
  14. 【請求項14】 前記第1の物質があらかじめ第3の物
    質と結合させられていることを特徴とする請求項13
    載の分析キット。
  15. 【請求項15】 前記第2の物質が前記第1の物質と同
    じ物質であることを特徴とする請求項13記載の分析キ
    ット。
  16. 【請求項16】 前記第1の物質が、抗体、酵素、核
    酸、レセプター、ホルモン、これらの一部、またはこれ
    らの2種以上であることを特徴とする請求項13乃至1
    のいずれか1項記載の分析キット。
  17. 【請求項17】 前記第2の物質が、抗体、酵素、核
    酸、レセプター、ホルモン、これらの一部、またはこれ
    らの2種以上であることを特徴とする請求項13記載の
    分析キット。
  18. 【請求項18】 前記第3の物質が金属、金属コロイ
    ド、導電性物質、半導体、吸光物質、蛍光物質、発光物
    質、これらのいずれかを封入されたマイクロカプセル、
    またはこれらの2種以上であることを特徴とする請求項
    14記載の分析キット。
  19. 【請求項19】 前記マイクロカプセルが、それぞれ異
    なる物質を封入された2種以上のマイクロカプセルから
    なることを特徴とする請求項18記載の分析キット。
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