JP3441095B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は単位体積あたりの容量が
大きい固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の軽薄短小化に伴い、それに使
用する電子部品の一種である固体電解コンデンサにおい
ても小型化が要求されている。このような固体電解コン
デンサとしては、図1および図2に示すように、表面に
誘電体酸化皮膜2を有するアルミニウム、タンタル、ニ
オブ等の弁作用金属1の表面に陽極部となる一部7を除
いて半導体層3およびその上に陰極部となる導電体層4
を順次形成した固体電解コンデンサ素子5を形成し、次
いでこのコンデンサ素子5をリードフレーム6に接続す
るにあたっては、リードフレーム6の2ヶ所のリード引
出し部6a、6bを間隔を置いて対向させ、6a、6b
に前記コンデンサ素子5の陽極部7と導電体層4を載置
し、前者は熔接等で、後者は銀ペースト等の導電材8で
6a、6bに電気的、かつ機械的に接続した後、外装樹
脂9で角型形状に封止外装されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで前述した固体
電解コンデンサの容量は、使用した弁作用金属のうち陽
極部以外の導電体層形成部の表面積によって決定される
ため、固体電解コンデンサの大きさが一定ならば、でき
るだけ導電体層形成部表面積を大きくして固体電解コン
デンサ内に入れることが望まれていた。
【0004】本発明者等は、固体電解コンデンサ内への
弁作用金属の配置について鋭意検討した結果、特殊な配
置方法を採ることによって固体電解コンデンサの外装体
積を変えることなく容量の増大をはかることができるこ
とを見い出した。本発明は上記の発見によってなされた
もので、単位体積あたりの容量が大きい固体電解コンデ
ンサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 [1] 固体電解コンデンサにおいて、誘電体酸化皮
膜層2を形成させた箔状または板状の弁作用金属1の陽
極基体のうち、陽極部7とすべき部位を除く残部の誘電
体酸化皮膜層2上に半導体層3、さらにその上に導電体
層4を積層したコンデンサ素子5を、角型形状の封止成
形体の最大外装面に交わり、かつ該最大外装面に次いで
大きい外装面の対角線を含み、該最大外装面の短い方の
一辺を含んでなる面上に配置し、外装体積を変えること
なくコンデンサ素子5の導電体層形成部表面積を大きく
した単位体積あたりの容量の大きいことを特徴とする固
体電解コンデンサ、 [2] 弁作用金属1がエッチングされたアルミニウム
箔である上記[1]に記載の固体電解コンデンサ、及び [3] 弁作用金属1が、アルミニウム、タンタル、ニ
オブ、チタンあるいはこれらを基質とする合金の少なく
とも1種である上記[1]または[2]に記載の固体電
解コンデンサ、を開発することにより上記の課題を解決
した。
【0006】本発明に係る固体電解コンデンサ(以下コ
ンデンサという。)においては、固体電解コンデンサ素
子を、リードフレームの陽極リード引出し部と陰極リー
ド引出し部とに載置して接続させた後、絶縁樹脂で封止
外装するにあたり、該コンデンサ素子をコンデンサ外装
面に対して斜めに配置することを容量増大をはかる手段
とした。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明においてコンデンサの陽極として用いられる弁作用
を有する陽極基体としては、アルミニウム、タンタル、
ニオブ、チタンあるいはこれらを基質とする合金等、弁
作用を有する金属がいずれも使用できる。これら陽極基
体は、表面がエッチングされていてもよく、エッチング
の方法としては、電気化学的にエッチングする等公知の
方法が用いられる。陽極基体の形状としては、箔状ある
いは板状のものが使用できる。
【0008】陽極基体の表面に設ける誘電体酸化皮膜層
は、陽極基体の表面上に設けられた他の誘電体酸化物の
層であってもよいが、特に陽極基体金属自体の酸化物か
らなる層であることが好ましい。いずれの場合において
も、酸化物層を形成する方法としては、電解液を用いた
陽極化成法など公知の方法を用いることができる。例え
ば陽極基体としてアルミニウム箔を用いる場合、アルミ
ニウム箔の表面を電気化学的にエッチングし、さらにほ
う酸およびほう酸アンモニウムの水溶液で電気化学的に
処理すれば、アルミニウム箔上にアルミナの誘電体から
なる酸化皮膜層が形成される。
【0009】次に、表面に誘電体酸化皮膜層2を形成さ
せた陽極基体のうち陽極部7とすべき部位を除く残部の
誘電体酸化皮膜層2上に半導体層3さらにその上に導電
体層4を積層して形成する。また本発明では前述した陽
極部7と半導体層3並びに導電体層4との境界部に絶縁
性樹脂により、はち巻き状に絶縁樹脂帯を形成していて
もよい。
【0010】誘電体酸化皮膜層上に設けられる半導体層
の種類には特に制限は無く、公知の半導体層が使用でき
るが、とりわけ本願出願人の出願による二酸化鉛、また
は二酸化鉛と硫酸鉛からなる半導体層(特開昭62−2
56423号公報、特開昭63−51621号公報)
が、作製したコンデンサの高周波性能が良好なために好
ましい。また酸化剤として有機酸を用いて気相重合によ
ってポリアニリン、ポリピロール等の電導性高分子化合
物を半導体層として形成させる方法(特開昭62−47
109号公報)や、タリウムイオンおよび過硫酸イオン
を含んだ反応母液から化学的に酸化第2タリウムを半導
体層として析出させる方法(特開昭62−38715号
公報)もその一例である。
【0011】このような半導体層上には、例えばカーボ
ンペーストおよび/または銀ペースト等の公知の導電ペ
ーストを積層する方法あるいはメッキ、金属蒸着、耐熱
性の導電樹脂フィルムの積層など公知の方法によって導
電体層が形成される。
【0012】このようにして作製されたコンデンサ素子
5は、リードフレーム6の2カ所の互いに向きあったリ
ード引出し部6a、6bにコンデンサ素子5の陽極部7
と導電体層4をそれぞれ載置し、前者は、熔接等で、後
者は銀ペースト等の導電材8で6a、6bに電気的かつ
機械的に接続した後、外装樹脂9で角型形状に封止外装
してコンデンサとする。
【0013】尚、リードフレームとしては、陽極基体を
接続できる機能と強度を有すれば特に制限はなく、例え
ば、鉄、銅、アルミニウムおよびこれらを基質とする合
金等があげられる。また、外装樹脂としては、エポキシ
樹脂等外装封止に適する樹脂を用い、トランスファー成
形機などで角型形状に封止成形が行なわれるが、本発明
においては、第3図で一例を示したように、前記コンデ
ンサ素子5を封止成形体外装面に対して斜めに配置して
おくことが肝要である。尚、第1図乃至第3図はコンデ
ンサ素子やコンデンサ等の構成を示したものであり、寸
法についてはわかりやすく表示したため実物とは異なっ
ている。
【0014】
【作用】コンデンサ素子を封止成形体の外装面に対して
斜めに配置することにより、同一体積の封止成形体であ
れば封入するコンデンサ素子の長さを長くとれるため、
必然的に導電体層の大きさを大きくすることができ、そ
の結果、単位体積あたりの容量が大きいコンデンサとな
る。
【0015】
【実施例】以下、実施例および比較例を示して本発明を
説明する。 実施例1 りん酸とりん酸アンモニウム水溶液中で化成処理して表
面に誘電体酸化皮膜層を形成した45μF/cm2 のア
ルミニウムエッチング箔(以下、化成箔と称する。)の
小片5.5×3mmのうち2×3mmの部分を陽極部と
し、残り3.5×3mmの部分を、酢酸鉛三水和物2.
4モル/lの水溶液と過硫酸アンモニウム4.0モル/
l水溶液の混合液に、小片の3.5×3mmの部分が浸
漬するように漬け、60℃で20分放置し、二酸化鉛と
硫酸鉛からなる半導体層を形成した。このような操作を
3回行った後、半導体層上にカーボンペーストおよび銀
ペーストを順に積層して導電体層を形成し、固体電解コ
ンデンサ素子を作製した。一方、別に用意した厚さ0.
1mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの互いに
対向した陽極および陰極リード引出し部に前述したコン
デンサ素子の陽極部と導電体層(陰極部)を各々載置
し、前者は熔接で、後者は銀ペーストで接続した。この
ようにしてリードフレームに接続したコンデンサ素子
を、最終的に角型に封止外装する固体電解コンデンサの
最大外装面に交わりかつ該最大外装面に次いで大きい外
装面の対角線を含み、該最大外装面の短い方の一辺を含
んでなる面上に配置した後、エポキシ樹脂をトランスフ
ァー成形して7.3×4.3×2.8mmの角型形状の
コンデンサを作製した。尚、コンデンサ素子は、上記の
配置面上の、角型封止体の角から1.1mmの位置に配
置した。
【0016】比較例1 従来法によるコンデンサの例として、実施例1で化成箔
の大きさを5×3mmとし、陽極部を除いた部分の大き
さを3×3mmとして、コンデンサ素子を作製し、コン
デンサ素子を、最終的に角型に封止外装する固体電解コ
ンデンサの最大外装面に平行な面上に配置した以外は、
実施例1と同様にして7.3×4.3×2.8mmの角
型形状のコンデンサを作製した。尚、コンデンサ素子
は、配置面上の、角型封止体表面から1.1mmの位置
に配置した。
【0017】実施例2、比較例2 実施例1および比較例1で半導体層を形成するにあた
り、酢酸鉛三水和物2.0モル/l水溶液に化成箔を浸
漬して陽極とし、別途用意した白金板を陰極として電気
化学的に化成箔上に二酸化鉛層を形成した以外は、実施
例1および比較例1と同様にしてコンデンサを作製し
た。
【0018】実施例および比較例で得られたコンデンサ
の電気性能を一括して表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】表1より明らかなように、本発明のコンデ
ンサの単位体積あたりの容量は従来法によるコンデンサ
より大きい。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコンデン
サは、内部のコンデンサ素子が角型形状の封止成形体の
外装面に対して斜めに配置されているため容量が大きく
取れる。即ち、同一容量ならばより小型化した固体電解
コンデンサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リードフレームのリード引出し部にコンデンサ
素子を載置した平面図である。
【図2】従来のコンデンサの縦断面図。
【図3】本願の一例を示すコンデンサの縦断面図。
【符号の説明】
1 弁作用金属 2 誘電体酸化皮膜層 3 半導体層 4 導電体層(陰極部) 5 固体電解コンデンサ素子(コンデンサ素子) 6 リードフレーム 6a リードフレームの陽極リード引出し部 6b リードフレームの陰極リード引出し部 7 陽極部 8 導電材 9 外装樹脂

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解コンデンサにおいて、誘電体
    酸化皮膜層を形成させた箔状または板状の弁作用金属
    1の陽極基体のうち、陽極部とすべき部位を除く残部
    の誘電体酸化皮膜層上に半導体層3、さらにその上に
    導電体層を積層したコンデンサ素子を、角型形状の
    封止成形体の最大外装面に交わり、かつ該最大外装面に
    次いで大きい外装面の対角線を含み、該最大外装面の短
    い方の一辺を含んでなる面上に配置し、外装体積を変え
    ることなくコンデンサ素子の導電体層形成部表面積を
    大きくした単位体積あたりの容量の大きいことを特徴と
    する固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 弁作用金属がエッチングされたアルミ
    ニウム箔である請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 弁作用金属1が、アルミニウム、タンタ
    ル、ニオブ、チタンあるいはこれらを基質とする合金の
    少なくとも1種である請求項1または2に記載の固体電
    解コンデンサ。
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