JP3440370B2 - リフターマグネット - Google Patents

リフターマグネット

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JP3440370B2
JP3440370B2 JP02625995A JP2625995A JP3440370B2 JP 3440370 B2 JP3440370 B2 JP 3440370B2 JP 02625995 A JP02625995 A JP 02625995A JP 2625995 A JP2625995 A JP 2625995A JP 3440370 B2 JP3440370 B2 JP 3440370B2
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英夫 丹羽
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三明電機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はワークを磁力により吸着
して吊り上げ、そのワークを運搬する為に用いられるリ
フターマグネットに関する。
【0002】
【従来の技術】磁束発生用のコイルと搬送機への取付部
とを備えている本体の左右両側に、夫々下端がワーク吸
着部となっている吸着体を備えさせ、一方の吸着体にあ
っては、上記本体のコイルによって発生される磁束を受
けて下端のワーク吸着部をN極に磁化させ、他方の吸着
体にあっては、上記コイルの磁束を受けて下端のワーク
吸着部をS極に磁化させるようにしている(例えば特開
昭63−134492号公報参照)。
【0003】このようなリフターマグネットにあって
は、上記コイルへ通電すると各吸着体におけるワーク吸
着部がN極及びS極に夫々磁化するので、それらのワー
ク吸着部にワークを吸着でき、又通電を止めれば上記磁
化が解けるのでワークを解放でき、従ってワークの搬送
の用に供することが出来る。しかも上記ワークの吸着
は、本体の両側にある各吸着体の夫々のワーク吸着部に
よって相互に離れた2箇所で行えるので、マグネットに
対してワークが偏荷重となってもワークの安定な吸着状
態を維持でき、ワークを落とすことなく安全に搬送させ
ることが出来る。
【0004】しかしこの従来のリフターマグネットで
は、相互に離れたワーク吸着部が夫々N極及びS極とな
るので、上記吸着の場合、N極のワーク吸着部からから
出てワーク中を通りそしてS極のワーク吸着部に至る磁
束は、ワークの中に深く浸透する。この為、積み重ねら
れた多数の薄物のワークを最も上のワークから吸着して
搬送しようとする場合、上記磁束は2枚目や3枚目のワ
ークにも及び、その結果、最も上のワークに対してそれ
ら2枚目及び3枚目のワークが磁気的にくっつき、誤っ
てそれら2枚目及び3枚目のワークも一緒に運んでしま
う問題点があった。このことは例えば次々と搬送したワ
ークをプレスなどの加工機に次々とかける場合、2枚或
いは3枚のワークが重なったまま加工をしてしまって金
型を破損させたり不良品をつくってしまう問題点があっ
た。
【0005】上記問題点の解決のために本願発明者は、
上記両側の各ワーク吸着体の下端のワーク吸着部を、両
ワーク吸着部相互の間隔に比べて著しく小さい間隔の一
対のワーク吸着用磁極でもって構成し、それら一対のワ
ーク吸着用磁極を異極に磁化させるようにしたリフター
マグネットを案出した。
【0006】このようなリフターマグネットにおいて
は、ワークを吸着する場合、各吸着体において、一方の
ワーク吸着用磁極から出てワーク中を通りそして他方の
ワーク吸着用磁極に至る磁束は、それらのワーク吸着用
磁極の間隔が小さいのでワークの中に浅くしか浸透せ
ず、従って上記のような積み重ねられた状態の多数の薄
物のワークをその上部の物から吸着して搬送しようとす
る場合、最上部のワークから的確に1枚ずつ吸着して搬
送することが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記リフターマ
グネットでは、図1或いは図6に示すように上面に高部
2bと低部2cを有するワーク2を吸着しようとする場合、
一方のワーク吸着用磁極と他方のワーク吸着用磁極とが
夫々高部と低部に対向する位置関係となると、高部に対
向したワーク吸着用磁極がその高部の上面に接触するの
みで、他方のワーク吸着用磁極は低部の上面から離間し
た状態となってしまう。するとワークを吸着する面積が
一方のワーク吸着用磁極のみの狭い面積となって弱い吸
着力しか得られないばかりか、その高部の上面に接触し
ているワーク吸着用磁極での吸着力自身も弱くなる。即
ち他方のワーク吸着用磁極とワーク低部との間に空隙が
出来て磁路が開き、そこの磁気抵抗が大きくなるため、
上記高部に接触したワーク吸着用磁極を通る磁束も少な
くなってそこの吸着力が弱くなる。このことは、ワーク
の搬送中に誤ってワークを落下させてしまう危険性を高
める問題点がある。
【0008】本願発明のリフターマグネットは上記従来
技術の問題点(技術的課題)を解決する為に提供するも
のである。第1の目的は、コイルへの通電によりワーク
を吸着し、その吸着状態でワークを搬送した後は上記通
電を断つことにより上記ワークを解放することが出来
て、ワークの搬送の用に供することの出来るリフターマ
グネットを提供することである。第2の目的は、上記ワ
ークを吸着して搬送する場合、リフターマグネットに対
してワークが偏荷重となる場合でも、ワークの吸着状態
を安定に保持できるリフターマグネットを提供すること
である。第3の目的は、ワークが薄物でそれが多数積み
重ねられた状態で準備されていても、それらのワークを
最も上のものから的確に1枚ずつ吸着して搬送できるリ
フターマグネットを提供することである。第4の目的
は、上面に高部と低部とを有するワークを吸着する場合
でも、両側の各吸着体における夫々一対の吸着片が上下
に相対移動して何れもワークに接し、両者でのワークの
吸着によって大きい吸着力を得ることが出来るようにし
て、ワーク搬送中においてそのワークの吸着状態を確実
に維持できるようにすることである。第5の目的は、上
記高部と低部とを有するワークを吸着する場合、両側の
各吸着体における夫々一対の吸着片が上下に相対移動し
て何れもワークに接して、一対の吸着片とワークとの間
に閉じた磁路を形成しそこに大きい吸着力を得ることが
出来て、上記搬送中でのワークの吸着状態の維持をより
確実化出来るようにすることである。他の目的及び利点
は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明ら
かになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明におけるリフタ
ーマグネットは、磁束発生用のコイルと、搬送機への取
付部を備えている本体と、コイルの左右両側に夫々ワー
ク吸着の為に配置された吸着体とを備えているリフター
マグネットにおいて、上記のコイルは軸芯を上下方向に
向けて配置し、上記コイルの軸芯位置には上記本体にお
ける主極を位置させ、主極の上方及び下方位置には夫々
両側に備える吸着体に向かって夫々延びる端極を備えさ
せ、上記コイルの両側に位置させた各吸着体は、何れも
相互に離間させた状態に並設させた2つ一対の吸着片か
ら構成してあり、しかも各吸着体における上記2つ一対
の吸着片は夫々の下端がワーク吸着用磁極となっている
と共に、各吸着体にあっては、一方の吸着片は主極の上
方に位置する端極に対向させ、他方の吸着片は主極の下
方に位置する端極に対向させてあり、さらに2つ一対の
吸着片における下端に夫々備えさせたワーク吸着用磁極
の相互の間隔は、上記コイルの両側に位置させた上記両
吸着体相互の間隔に比べて著しく小さくしてあり、更に
上記両吸着体における夫々の2つ一対の各吸着片は、下
端の吸着用磁極が夫々ワークに接し、かつ、上記コイル
に通電されて磁束が発生した状態においては、主極と、
主極の上方に位置する端極と、一方の吸着片と、ワーク
と、他方の吸着片と、主極の下方に位置する端極と、主
極とに渡って磁束伝達路が形成されるものである。また
本願発明にあっては、磁束発生用のコイルと、搬送機へ
の取付部を備えている本体と、コイルの左右両側に夫々
ワーク吸着の為に配置された吸着体とを備えているリフ
ターマグネットにおいて、上記のコイルは軸芯を上下方
向に向けて配置し、上記コイルの軸芯位置には上記本体
における主極を位置させ、主極の上方及び下方位置には
夫々両側に備える吸着体に向かって夫々延びる端極を備
えさせ、上記コイルの両側に位置させた各吸着体は、何
れも相互に離間させた状態に並設させた2つ一対の吸着
片から構成してあり、しかも各吸着体における上記2つ
一対の吸着片は、一方又は両方を上下動自在に構成する
と共に夫々の下端はワーク吸着用磁極となっており、各
吸着体にあっては、一方の吸着片は主極の上方に位置す
る端極の端面に形成される磁極に対向させ、他方の吸着
片は主極の下方に位置する端極の端面に形成される磁極
に対向させてあり、さらに2つ一対の吸着片における下
端に夫々備えさせたワーク吸着用磁極の相互の間隔は、
上記コイルの両側に位置させた上記両吸着体相互の間隔
に比べて著しく小さくしてあり、更に上記両吸着体にお
ける夫々2つ一対の各吸着片は、下端の吸着用磁極が夫
々ワークに接し、かつ、上記コイルに通電されて磁束が
発生した状態においては、主極と、主極の上方に位置す
る端極と、端極の端面に形成される磁極と、この磁極に
吸着されて拘束される一方の吸着片と、2つの吸着片に
おける下端に夫々備えさせたワーク吸着用磁極に吸着さ
れて一体化するワークと、他方の吸着片と、主極の下方
に位置する端極の端面に形成されて他方の吸着片を拘束
する磁極と、主極の下方に位置する端極と、主極とに渡
って磁束伝達路が形成されるようにしたものである。
【0010】
【作用】コイルに通電すると本体の左右の各一対の吸着
片におけるワーク吸着用磁極が磁化しワークを吸着す
る。コイルへの通電を断つと、上記磁化が解け、ワーク
は解放される。ワークの吸着の場合、本体の左右の離れ
た場所でワークの吸着が行われるので、該リフターマグ
ネットに対するワークの偏荷重に対して耐える力が大き
く、ワークの吸着状態を安定維持可能である。本体両側
における各ワーク吸着用磁極は間隔が狭幅でしかも異極
に磁化されるので、ワークが薄物でしかも複数枚重合状
となっていても、一方のワーク吸着用磁極からワークに
入りそして他方のワーク吸着用磁極に至る磁束はその殆
どが最上部のワーク内を通る。従って最上部のワークの
みを吸着することが出来る。ワークがその上面に高部と
低部とを有するワークである場合、一対の吸着片はそれ
らの高低に応じて相対的に上下に位置ずれして何れの吸
着片のワーク吸着用磁極も夫々ワークの上面に接触し、
ワークを吸着する。その結果ワーク吸着用磁極とワーク
との吸着面積は広く維持され大きい吸着力が得られる。
又一対の吸着片の各ワーク吸着用磁極が共にワークの上
面と接触するので、一方の磁極からワークに入りそして
他方の磁極に至る経路での磁気抵抗は小さく保たれ、そ
の結果、両ワーク吸着用磁極共に大きい吸着力でワーク
を吸着できる。
【0011】
【実施例】以下本願の実施例を示す図面について説明す
る。図1はリフターマグネットの使用状態の一例を示
す。1はワーク2の準備場所、3はワーク2を工作する
ための工作機として例示するプレス装置である。4はプ
レス装置に対するワーク2の装入装置を示す。4aはワー
ク2の搬送場所を示し、上記装入装置4の上面を例示す
る。5はワーク2を準備場所1からから搬送場所4aに運
ぶ為の搬送機を示すものであって、その搬送動作を行う
為のアームの先端部を例示する。6はアーム5に取付け
たリフターマグネットを示す。上記ワーク2は磁気によ
る吸着が可能な材料で形成されている薄板材で例えば薄
鋼板であり、上面2aに高部2bと低部2cとを有する物を例
示する。平坦な物であっても良い。平面的な大きさは例
えば40〜50cm角程度、厚みは例えば1mm程度で
ある。
【0012】次に上記リフターマグネット6を詳細に示
す図2〜図5について説明する。該リフターマグネット
6は、本体Aとその本体Aの左右両側に備えさせた吸着
体Bとから構成している。本体Aは吸着体Bを支えるベ
ースとなるとともにその吸着体Bに対する磁束の印加を
行う為のもので、主体部A1とその主体部に対して吸着体
Bを添設状態に保持する為の保持部A2とから構成してい
る。先ず主体部A1は符号11〜18で示す要素から構成して
おり、各々について説明する。11は磁束の通路となるた
めの鉄心で、主極12とその一端及び他端に取付けた端極
13,14とから構成している。主極12はコイルに対する磁
心となる為のものであり、又端極13,14は主極12からの
磁束を複数の吸着体Bに分配する為のヨークとなる為の
ものであり、何れも磁性材料例えば鋼材で構成してい
る。15,16は夫々吸着体Bに磁束を伝達する為の第1及
び第2の磁束伝達部を示し、端極13,14の端面をもって
構成した例を示す。これらの磁束伝達部15,16は後述す
るように吸着体Bを吸着してその上下動を拘束する為の
拘束面としても機能する。17は該リフターマグネット6
を搬送機5に取付けるための取付部として例示するねじ
孔である。次に18は磁束発生の為のコイルで、主極12に
周設している。
【0013】次に保持部A2は符号20〜34で示す要素から
構成しており、各々について説明する。20は吸着体Bに
おける第1の吸着片41を支える為の支え部材で、21はそ
の吸着片41を受ける為の受面を示す。22は第1の磁束伝
達部15と上記受面21との間に上記第1の吸着片41を存置
させるための間隔を確保する為のスペーサである。上記
間隔の大きさは、第1の吸着片41の円滑な上下動を自在
にする為に、第1の吸着片41における同方向の寸法より
も僅かに大きくしている。23は上記支え部材20を上記ス
ペーサ22を介して端極13に取付ける為のボルトである。
25は吸着体Bにおける第2の吸着片42を支える為の支え
部材であると共に、その吸着片42と上記第1の吸着片41
との間隔を保持する為の間隔保持部材でもあり、26は第
2の吸着片42を受ける為の受面、27は第1の吸着片41の
位置規制をする為の位置規制面を示す。28は第2の磁束
伝達部16と上記受面26との間に上記第2の吸着片42を存
置させるための間隔を確保する為のスペーサである。上
記間隔の大きさは、第2の吸着片42の円滑な上下動を自
在にする為に、第2の吸着片42における同方向の寸法よ
りも僅かに大きくしている。尚30は後述の補助ヨーク36
の支持部材で、上記スペーサ28と一体に形成した例を示
すが別体形成であっても良い。次に31は第1の吸着片41
を支える為の支え部材で、32はその吸着片41を受ける為
の受面を示す。33は位置規制面27と上記受面32との間に
上記第1の吸着片41を存置させるための間隔を確保する
為のスペーサである。上記間隔の大きさは、第1の吸着
片41の円滑な上下動を自在にする為に、第1の吸着片41
における同方向の寸法よりも僅かに大きくしている。34
は上記支え部材31,25を上記スペーサ33,28を介して端
極14に取付ける為のボルトである。上記のような保持部
A2を構成する各要素は、吸着片に磁気的な影響を与えぬ
よう何れも非磁性材料例えばアルミニウム或いは真鍮製
である。
【0014】次に36は吸着片41,42の上下動を拘束する
拘束力を増大させる為に設けた補助ヨークで、磁性材料
製例えば鋼材製であり、第1の吸着片41を拘束する為の
第1の補助拘束面37をその一面に、第2の吸着片42を拘
束する為の第2の補助拘束面38を反対面に備える。39は
上記補助ヨーク36を支持部材30に取付ける為のボルトで
ある。
【0015】次に吸着体Bについて説明する。該吸着体
Bは、上面に凹凸のあるワークに対して広い接触面積を
確保した状態でそれを吸着できるようにする為に、図
4、図5に示すように夫々幅W1の寸法が小さいものを夫
々複数ずつ備えさせている。本体Aの両側に夫々一つず
つでも良い。各吸着体Bは、夫々異極に磁化させる一対
のワーク吸着用磁極を得る為に、何れも磁性材料製の第
1の吸着片41と第2の吸着片42との一対の吸着片によっ
て構成しており、各々の吸着片の下端面がワーク吸着用
磁極43,44となっている。上記第1の吸着片41と第2の
吸着片42とは、吸着するワーク2が図1、図6に示され
るような上面2aに高部2bと低部2cとを有していてもその
高低に応じて両吸着片41,42が上下に位置替えして各々
のワーク吸着用磁極43,44が何れもワークの上面2aに接
触するよう、相互の相対的な上下動が自在な状態で前述
の保持部A2により保持している。本例では両吸着片41,
42共に上下動自在にしているが、一方が固定で他方のみ
が上下動可能な構成であっても良い。W2は上記両ワーク
吸着用磁極43,44の幅を示し、ワークを吸着するときの
磁束がワークに浸透する深さを浅くする為に、何れも小
さく、例えば吸着予定のワークの厚みと同程度例えば1
mm程度に形成する。W3は両ワーク吸着用磁極43,44の間
の間隙の大きさを示し、ワークを吸着するときの磁束が
ワークに浸透する深さを浅くする為に、本体Aの両側の
吸着体B,B相互の間隔Lよりも著しく小さく、例えば
吸着予定のワークの厚みと同程度例えば1mm程度に形成
する。
【0016】次に45は第1の吸着片41において上記第1
の磁束伝達部15から磁束を受る為の第1の被伝達部で、
磁束伝達部15と対峙する面である。この面45は拘束面15
によって第1の吸着片41が拘束される場合には、被拘束
面として機能する。46はワーク吸着用磁極43を磁化させ
るための磁束をワーク吸着用磁極43に向け伝達する為の
磁束伝達路の存在を示し、吸着片41において上記被伝達
部45から磁極43までの部分が該伝達路となっている。47
は前記補助拘束面37による拘束を受る為の補助の被拘束
面で、上記補助拘束面37と対峙する面である。48は拘束
専用磁束の通路の存在を示し、上記被伝達部45から被拘
束面47までの部分が該磁束通路となっている。49は本体
に対する第1の吸着片41の上昇限度を規定するためのス
トッパである。
【0017】次に51は第2の吸着片42において上記第2
の磁束伝達部16から磁束を受る為の第2の被伝達部で、
磁束伝達部16と対峙する面である。この面51は拘束面16
によって第2の吸着片42が拘束される場合には、被拘束
面として機能する。52はワーク吸着用磁極44を磁化させ
るための磁束をワーク吸着用磁極44に向け伝達する為の
磁束伝達路の存在を示し、上記被伝達部51から磁極44ま
での部分が該伝達路となっている。53は前記補助拘束面
38による拘束を受る為の補助の被拘束面で、上記補助拘
束面38と対峙する面である。54は拘束専用磁束の通路の
存在を示し、上記被伝達部51から被拘束面53までの部分
が該磁束通路となっている。55は本体Aからの第2の吸
着片42の抜け落ちを防止する為のストッパである。
【0018】次に上記構成のリフターマグネット6によ
るワーク2の搬送を説明する。コイル18への非通電状態
において、図1の状態ではマグネット6における多数の
吸着片41,42は何れもその下限位置に位置している。こ
の状態からマグネット6を矢印61の如く下降させ、多数
の吸着片41,42の各下端をワーク2の上面に当接させ
る。アーム5の下降は上記当接後、本体Aに対し吸着片
41,42が相対的に上方に動いた状態となる位置まで行う
と良い。次にその状態でコイル18に直流電流を通電す
る。するとコイル18から発生される磁束によって各吸着
片41,42のワーク吸着用磁極が磁化され、ワーク2がそ
れらに吸着されると共に、各吸着片41,42の上下動が拘
束される。次にアーム5の動作によって、マグネット6
を矢印62の如く上昇させ、上記吸着したワーク2を持ち
上げる。次にマグネット6を矢印63の如く搬送場所4aの
上方位置まで横移動させ、矢印64の如く下降させる。矢
印64の下降は吸着されているワーク2が装入装置4の上
面に未だ当接しない位置まで行っても、或いは当接する
位置まで行っても良い。次にコイル18への通電を断つ。
するとワーク2の上面は吸着片41,42による吸着から解
放されてワーク2は装入装置4の上に乗る。このときマ
グネット6の各吸着片41,42は、上下動の拘束が解けて
何れも自由下降が可能となる。次にアーム5の動作によ
ってマグネット6を矢印65,66の如く戻す。又装入装置
4からは上記搬送されたワーク2を矢印67の如くプレス
機3に送り込み、プレス加工を行う。上記のような動作
を次々と繰り返し多数のワーク2の加工を行う。
【0019】上記の場合、吸着片41,42によるワーク2
の上面の吸着は図1における本体Aの左右両側において
夫々行われる。即ち大きい間隔Lを隔てた2箇所におい
て行われる。従って例えワーク2の重心からやや外れた
位置を吸着してそれを持ち上げたり、或いは搬送中にお
いてワーク2に対し風圧が作用したりして、マグネット
6に対してワーク2が偏荷重となっても、ワークの吸着
状態を安定に保持して、ワークを落とすことなく安全に
搬送させることが出来る。尚上記間隔Lは、一つのリフ
ターマグネットによってワークの持上を行う場合、ワー
クの1辺の長さの20%程度以上あると良い。
【0020】上記リフターマグネット6の下降によって
各吸着片41,42の下端がワーク2の上面2aに接触する場
合、図6に示すようにワーク2の上面2aに高部2bや低部
2cがあっても、各吸着片41,42は上下動が自在なので、
何れも夫々の下端のワーク吸着用磁極43,44を上面2aに
接触させることができる。例えば図示のように、ワーク
吸着用磁極43が低部2cの内の斜面部2c’に接触し、ワー
ク吸着用磁極44が高部2bに接触する。従ってそれら両ワ
ーク吸着用磁極43,44によってワークを吸着できる。
【0021】次に上記ワークの吸着及び吸着片の拘束に
ついて説明する。図6に示すように、本体Aのコイル18
に直流電流を供給することにより、コイル18は磁束Φ1
を発生する。該磁束Φ1の方向は例えば図6の矢印方向
である(通電方向が反対になれば磁束の方向も当然反対
となる)。上記磁束Φ1は鉄心11を通って磁束伝達部1
5,16に至る。この場合、磁束伝達部15はコイルから出
てきた側の磁束を伝達する伝達部となり、磁束伝達部16
はコイルに戻る側の磁束を伝達する伝達部となる。上記
磁束Φ1は、磁束伝達部15から第1の吸着片41の被伝達
部45に至る。その磁束の内の一部の磁束Φ2は、ワーク
吸着用磁束として磁束伝達路46を通ってワーク吸着用磁
極43に至る。そしてその磁束Φ2はワーク吸着用磁極43
からワーク2内に入り、そこを通ってワーク吸着用磁極
44に向かう。更にその磁束はワーク2からワーク吸着用
磁極44に戻り、磁束伝達路52を通って被伝達部51に至
る。一方、上記第1の吸着片41の被伝達部45に至った磁
束の内の他の部分の磁束Φ3は、拘束専用磁束として磁
束通路48を通って被拘束面47に至る。そしてその磁束Φ
3は被拘束面47から補助ヨーク36に至る。更にその磁束
は補助ヨーク36から第2の吸着片42における被拘束面53
に至る。そして磁束通路54を通って被伝達部51に至る。
上記被伝達部51に至った磁束は一緒になってそこから本
体Aの伝達部16に至り鉄心11に戻る。
【0022】上記のように磁束が通る結果、ワーク吸着
用磁極43はN極に、又ワーク吸着用磁極44はS極に夫々
磁化し、ワーク2の上面を吸着する。一方磁束伝達部15
はN極に磁化して第1の吸着片41の被伝達面45を吸着
し、拘束部として該吸着片41の上下動を拘束する。この
場合、磁束伝達部15を通る磁束の全て(上記ワーク吸着
用磁束Φ2及び拘束専用磁束Φ3)が該拘束の為に機能
する。又磁束伝達部16はS極に磁化して第2の吸着片42
の被伝達面51を吸着し、拘束部として該吸着片42の上下
動を拘束する。ここにおいても磁束伝達部16を通る磁束
の全てが該拘束のために機能する。更に、補助拘束部3
7,38は夫々S極及びN極に磁化して被拘束面47,53を
吸着し、夫々第1の吸着片41及び第2の吸着片42の上下
動の拘束力を増大させる。これらの拘束力は上記のよう
に吸着したワーク2を持ち上げて搬送する過程での各吸
着片41,42のずり下がりを防止し、ワーク2を吸着した
ときの姿勢を保ったままで搬送場所4aに与えることを可
能にする。
【0023】次に上記ワーク吸着用磁極43,44によるワ
ークの吸着について説明する。上記ワーク吸着用磁極4
3,44の間隔W3は上記のような狭い間隔にしているの
で、上記のように磁束Φ2がワーク2に及ぼされる場
合、ワーク吸着用磁極43からワーク2内に入った磁束Φ
2は、ワーク2内を短い距離だけ通ったのみですぐさま
その上面2aからもう一方のワーク吸着用磁極44に戻る。
従って上記磁束Φ2の浸透深さは非常に浅い。この為、
図示のようにワーク2が薄物で多数が積み重ねられてい
ても、上から2枚目以下のワークには磁束は殆ど入らな
い。その結果、最上部のワーク2とその下に重なるワー
クとの間には磁気的な吸引力は殆ど働かず、確実に最上
部のワーク2のみを吸着して持ち上げることが出来る。
【0024】
【発明の効果】以上のように本願発明にあっては、コイ
ル18へ通電するとワーク吸着用磁極43,44が磁化してそ
こにワーク2を吸着でき、その吸着状態でワーク2を搬
送した後は、その搬送先でコイル18への通電を断つと上
記磁極43.44の磁化が解消して上記ワーク2を解放でき
るので、ワークの搬送の用に供することが出来る効果が
ある。
【0025】しかも上記ワーク2を吸着して搬送する場
合、本体Aの両側の互いに離れた2箇所においてワーク
2を吸着できるので、該リフターマグネット6に対して
ワーク2が偏荷重となる場合でもそのワーク2の吸着状
態を安定に保持できる効果がある。
【0026】更に本願発明にあっては、本体Aの両側の
互いに離れた、広い間隔の、2箇所においてワーク2を
吸着できるように構成されているものであっても、夫々
の相互に離れた一カ所にあっては、相互に異極(S,
N)となる、狭い間隔の、ワーク吸着用磁極43,44でも
って各一つの吸着部を構成するものであるから、ワーク
2を吸着する場合、本体Aの両側における広い間隔の吸
着部においては、夫々狭い間隔W3の一対のワーク吸着用
磁極43,44が異極に磁化して、それらの磁極43,44から
ワークに及ぼされた磁束Φ2は、図6から明らかなよう
に、ワーク2内を通る深さを非常に浅くすることが出来
る優れた特長がある。このことはワーク2が薄物で、し
かもそれが多数積み重ねられた状態となっていても、そ
れらのワーク2を最も上のものから的確に1枚ずつ吸着
して搬送する上に、画期的な効果がある。
【0027】更にその上、本体Aの両側における夫々一
対の吸着片41,42は、相対的な上下動を可能にしている
ので、ワーク2の吸着の場合、ワーク2がその上面2aに
高部2bと低部2cとを有するワーク2である場合には、上
記一対の吸着片41,42がそれらの高低に応じて相対的に
上下に位置ずれして、何れの吸着片41,42のワーク吸着
用磁極43,44も夫々ワーク2の上面2aに接触しワーク2
を吸着する特長がある。
【0028】しかも上記の場合、一対の吸着片41,42の
各ワーク吸着用磁極43,44が共にワーク2の上面2aと接
触するので、一方の磁極43からワーク2に入りそして他
方の磁極44に至る経路の閉じた磁路が形成されてその磁
路での磁気抵抗は小さく保たれ、その結果、両ワーク吸
着用磁極43,44共に大きい吸着力でワーク2を吸着でき
て上記搬送中でのワークの吸着状態の維持をより確実化
出来る効果がある。
【0029】しかも本願発明にあっては、上記のように
本体Aの両側における夫々一対の吸着片41,42を、相対
的な上下動を可能にしたものであっても、各吸着体にあ
っては、一方の吸着片は主極の上方に位置する端極の端
面に形成される磁極に対向させ、他方の吸着片は主極の
下方に位置する端極の端面に形成される磁極に対向させ
た構成であるから、コイルに通電されて磁束が発生した
状態においては、一方の吸着片は 一方の端極の端面に
形成される磁極に吸着されて一体化して磁気的に拘束さ
れ、他方の吸着片は、他方の端極の端面に形成される磁
極と一体化して磁気的に拘束され、夫々の面45、51は拘
束面15、16に対して夫々被拘束面として機能する特長が
ある。このように本願発明にあっては、 上下動自在の
吸着片41,42は、夫々コイル通電時には、自ずと本体と
一体化して端極13、14の端面15、16に一体化して磁気的
に拘束される特長があり、上下動自在の吸着片41,42を
吸着に先立って機械的手段によって拘束する為の複雑な
手段も、それを操作させるための手間も必要性のない作
業効率上の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用状態を示す正面図。
【図2】半断面図。
【図3】分解斜視図。
【図4】図2におけるIV−IV線端面図。
【図5】一部破断側面図。
【図6】磁気的作用を説明するための図。
【符号の説明】
A 本体 B 吸着体 41,42 吸着片 43,44 ワーク吸着用磁極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁束発生用のコイルと搬送機への取付
    部を備えている本体と、コイルの左右両側に夫々ワーク
    吸着の為に配置された吸着体を備えているリフターマ
    グネットにおいて、上記のコイルは軸芯を上下方向に向けて配置し、上記コ
    イルの軸芯位置には上記本体における主極を位置させ、
    主極の上方及び下方位置には夫々両側に備える吸着体に
    向かって夫々延びる端極を備えさせ、 上記コイルの両側に位置させた各吸着体は、何れも相互
    に離間させた状態に並設させた2つ一対の吸着片から構
    成してあり、しかも各吸着体における上記2つ一対の吸
    着片は夫々の下端がワーク吸着用磁極となっていると共
    に、各吸着体にあっては、一方の吸着片は主極の上方に位置
    する端極に対向させ、他方の吸着片は主極の下方に位置
    する端極に対向させてあり、さらに2つ一対の吸着片に
    おける下端に夫々備えさせた ワーク吸着用磁極相互の
    間隔は、上記コイルの両側に位置させた上記両吸着体相
    互の間隔に比べて著しく小さくしてり、 更に上記両吸着体における夫々の2つ一対の吸着片
    は、下端の吸着用磁極が夫々ワークに接し、かつ、上記
    コイルに通電されて磁束が発生した状態においては、主
    極と、主極の上方に位置する端極と、一方の吸着片と、
    ワークと、他方の吸着片と、主極の下方に位置する端極
    と、主極とに渡って磁束伝達路が形成されるようにして
    あることを特徴とするリフターマグネット。
  2. 【請求項2】 磁束発生用のコイルと搬送機への取付
    部を備えている本体と、コイルの左右両側に夫々ワーク
    吸着の為に配置された吸着体を備えているリフターマ
    グネットにおいて、上記のコイルは軸芯を上下方向に向けて配置し、上記コ
    イルの軸芯位置には上記本体における主極を位置させ、
    主極の上方及び下方位置には夫々両側に備える吸着体に
    向かって夫々延びる端極を備えさせ、 上記コイルの両側に位置させた各吸着体は、何れも相互
    に離間させた状態に並設させた2つ一対の吸着片から構
    成してあり、しかも各吸着体における上記2つ一対の吸
    着片は、一方又は両方を上下動自在に構成すると共に
    々の下端はワーク吸着用磁極となっており各吸着体にあっては、一方の吸着片は主極の上方に位置
    する端極の端面に形成される磁極に対向させ、他方の吸
    着片は主極の下方に位置する端極の端面に形成される磁
    極に対向させてあり、さらに2つ一対の吸着片における
    下端に夫々備えさせた ワーク吸着用磁極相互の間隔
    は、上記コイルの両側に位置させた上記両吸着体相互の
    間隔に比べて著しく小さくしてり、 更に上記両吸着体における夫々2つ一対の吸着片は、
    下端の吸着用磁極が夫々ワークに接し、かつ、上記コイ
    ルに通電されて磁束が発生した状態においては、主極
    と、主極の上方に位置する端極と、端極の端面に形成さ
    れる磁極と、この磁極に吸着されて拘束される一方の吸
    着片と、2つの吸着片における下端に夫々備えさせた
    ーク吸着用磁極に吸着されて一体化するワークと、他方
    の吸着片と、主極の下方に位置する端極の端面に形成さ
    れて他方の吸着片を拘束する磁極と、主極の下方に位置
    する端極と、主極とに渡って磁束伝達路が形成されるよ
    うにしてあることを特徴とするリフターマグネット。
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