JP3440347B2 - 燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置 - Google Patents

燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置

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JP3440347B2 JP11027395A JP11027395A JP3440347B2 JP 3440347 B2 JP3440347 B2 JP 3440347B2 JP 11027395 A JP11027395 A JP 11027395A JP 11027395 A JP11027395 A JP 11027395A JP 3440347 B2 JP3440347 B2 JP 3440347B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料噴射ポンプのプリス
トローク制御装置にかかるもので、とくにガバナーのフ
ライウェイトを利用して進角特性を調整するにあたり、
フライウェイトとは独立にプリストロークを制御可能と
した、あるいはフライウェイトのリフトとは全く関係な
くプリストロークを制御可能とし、さらに、マグネット
カップリングを用いてガバナーのフライウェイトのリフ
トを変位伝達するようにした燃料噴射ポンプのプリスト
ローク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の燃料噴射ポンプにおいて、プリス
トロークを制御することにより燃料噴射の進角特性を調
整しているものがある。たとえば特開平3−23314
4号、実願平5−73755号などにおいてはガバナー
のフライウェイトの移動(リフト)を駆動源として、タ
イミングコントロールロッドを操作することにより、プ
リストロークを調整し、燃料噴射のタイミングを制御す
るようにしている。
【0003】ここで「プリストローク」とは、燃料噴射
ポンプにおいて、その軸方向に往復動することにより燃
料を吸入圧送するプランジャの下死点から燃料の圧送始
めまでのストロークをいい、このプリストロークを減少
させることにより燃料噴射開始のタイミングを早め(進
角し)、また増加させることにより遅くする(遅角す
る)ようにして、機関の運転状況に応じた燃料噴射特性
を得ることができるようにしている。
【0004】上記特開平3−233144号における燃
料噴射ポンプのプリストローク制御装置1について図3
9にもとづき概説する。図39は、燃料噴射ポンプのプ
リストローク制御装置1および従来からのメカニカルガ
バナー2の概略斜視図であって、ポンプ本体3側には、
プランジャ4と、制御スリーブ5と、タイミングコント
ロールロッド6と、制御スリーブ5の係合溝7に係合し
ているタイミングコントロールロッド6の係合ピン8と
を描いてある。
【0005】メカニカルガバナー2側では、ポンプ本体
3においてプランジャ4を往復動させるカムシャフト9
に、ガイドスリーブ10と、このガイドスリーブ10に
連結したフライウェイト11とを取り付けてある。
【0006】燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置
1は、このフライウェイト11と、フライウェイト11
の移動に応じて回動用固定軸12のまわりに回動するプ
リストローク制御用レバーとしてのテンションレバー1
3と、タイミングカム14と、タイミングコントロール
ロッド6に連結したカウンターウェイト15と、カウン
ターウェイト15に一体に形成したカム面当接片16
と、を有する。
【0007】タイミングカム14は、テンションレバー
13の先端部の連結レバー17を介してテンションレバ
ー13にこれを連結してあるもので、回動用固定軸18
のまわりに回動可能であり、このタイミングカム14の
カム面14Aにはカム当接片16のカム面当接端部16
Aがカウンターウェイトスプリング19(リターンスプ
リング)の付勢力により所定の押圧力で当接している。
【0008】なお、テンションレバー13の他の先端部
にはメカニカルガバナー2のガバナー機構20の一部で
あるトルクカム21を連結し、機関への負荷の変動に応
じて燃料噴射量を自動調節する所定のガバナー機構20
を構成しているが、この構成の説明はこれを省略する。
【0009】なおまた、トルクカム21に関連して噴射
量コントロールラック22を設けてある。この噴射量コ
ントロールラック22はプランジャ4をその軸まわりに
回動することにより噴射量を制御するものである。
【0010】こうした構成の燃料噴射ポンプのプリスト
ローク制御装置1において、機関の回転数(ポンプスピ
ード)の上昇にともなってフライウェイト11が遠心力
によってリフトし、ガイドスリーブ10がカムシャフト
9の軸方向に沿って図39中右方に移動する。したがっ
て、テンションレバー13が回動用固定軸12を軸とし
て回動し、メカニカルガバナー2が所定のガバナー機能
を果たすとともに、連結レバー17を介してタイミング
カム14が回動用固定軸18のまわりに回動する。
【0011】このタイミングカム14の回動にともなっ
てそのタイミング制御用のカム面14Aとカム当接片1
6のカム面当接端部16Aとの当接位置が変化し、カム
当接片16ないしカウンターウェイト15がタイミング
コントロールロッド6の軸線を回動軸線として回動す
る。
【0012】したがって、タイミングコントロールロッ
ド6も所定角度だけ回動することとなり、制御スリーブ
5を上下動させることにより制御スリーブ5とプランジ
ャ4との相対位置関係を変化させ、燃料噴射のタイミン
グすなわちプリストロークを変化させることができる。
【0013】上述のようにプリストローク制御装置1に
よって制御されるポンプ本体3の燃料の圧送始めは、制
御スリーブ5とプランジャ4との軸方向の相対位置を変
えることによりこれを制御するものであるが、こうした
制御スリーブ5の位置を変えるために上記タイミングコ
ントロールロッド6を操作するようにしている。さら
に、こうした制御スリーブ5の位置を変えるための上記
タイミングコントロールロッド6の操作には、ガバナー
機構20のフライウェイト11およびテンションレバー
13などを共用しているものである。
【0014】しかして、上記フライウェイト11を用い
る従来のプリストローク制御装置1においては、機関の
回転数の上昇によりこのフライウェイト11が移動する
ため、機関の回転数に依存してタイミングが変化するス
ピードタイマーとしての進角特性しか得ることができ
ず、外部環境が低温時における進角特性、あるいは機関
へのアクセル開度ないし負荷状況の変化に対応してプリ
ストロークを制御することは困難であるという問題があ
る。
【0015】また図40は、上記実願平5−73755
号による燃料噴射ポンプのメカニカルガバナー2とポン
プ本体3との連結部分(変位伝達部分23)の要部拡大
断面図であって、フライウェイト11からテンションレ
バー13その他を介してタイミングコントロールロッド
6に至る変位伝達軸24に、隔壁25を介してマグネッ
トカップリング26を設けてある。
【0016】マグネットカップリング26は、変位伝達
軸24の先端内壁部の駆動側外極磁石27と、従動側内
極磁石28とを有し、変位伝達軸24の回動によってマ
グネットカップリング26を介してタイミングコントロ
ールロッド6に回動力を伝達可能となっている。
【0017】こうした構成のマグネットカップリング2
6を用いることによって、トルクの伝達を行うものであ
るから、従来のメカニカルガバナー2における燃料シー
ル機構に比較して簡単かつ信頼性のあるものとすること
ができること、低温時の作動も可能であること、制御ス
リーブ5が何らかの原因により固着してもメカニカルガ
バナー2としての噴射量制御機能を失うことがないこ
と、外乱力をカウンターウェイト15(図39)により
キャンセル可能であること、制御対象(タイミングコン
トロールロッド6)に触れないので、アイドリング時に
もメカニカルガバナー2としての噴射量制御機能性に影
響がないこと、など各種のメリットがある。
【0018】しかして、メカニカルガバナー2側からポ
ンプ本体3側を見た図41に示すように、駆動側外極磁
石27と従動側内極磁石28とが相対した中立状態から
角度θだけずれた変位状態においては、復元トルクTが
生じ、その特性図は図42に示すようになる。なお、ト
ルクの伝達に使用する場合には、復元トルクのピーク値
が伝達可能なトルクである。
【0019】しかも、駆動側外極磁石27および従動側
内極磁石28などマグネットの磁力は、たとえばフェラ
イト磁石では低温で減磁し、ネオジウム磁石では高温で
減磁するように、温度によって変化するため入力側の駆
動側外極磁石27の変位に対して出力側の従動側内極磁
石28の変位は、それぞれの角度θ1、θ2、θ3に対
応して負荷トルク(タイミングコントロールロッド6の
リターンスプリング19(図39)の付勢力にほぼ相当
する)に応じた角度分だけ小さくなる。
【0020】こうして角度変位によるトルク伝達の場
合、復元トルクTに応じて角度θに「ずれ」が生じる。
したがって、雰囲気温度に影響されてその最小プリスト
ローク位置(最大進角位置)が変化してしまうという問
題がある。
【0021】すなわち、駆動側外極磁石27および従動
側内極磁石28の温度依存性の結果として、図43に示
すように、ポンプの回転数Npに対してタイミング進角
量(プリストローク)としては、最小プリストロークが
ばらつき、外部環境の温度によるタイミング進角量に不
安定性があるという問題がある。
【0022】さらに、当該マグネットカップリング26
を用いてメカニカルガバナー2側からポンプ本体3側に
トルクを伝達する場合に、プリストローク特性を制御す
るために所定のカム面を有する円筒カムなどの部材を介
在させることが考えられるが、このトルク伝達機能を十
分に発揮するとともにポンプ本体3側からメカニカルガ
バナー2側の噴射量コントロールラックの作動に悪影響
を与えないようにすることができる機構も要請される。
【0023】また、前記フライウェイト11の移動にと
もなってプリストロークを制御する場合に、そのプリス
トローク制御の開始時期もこれを調整可能とすることが
要請される。
【0024】さらに、上述のように、タイミングコント
ロールロッド6側において何らかの原因によりこれが固
着した場合には、マグネットカップリング26がセイフ
ティ機構となってテンションレバー13側の作動、つま
り噴射量コントロールラック22の制御機構としてのガ
バナー機構20の機能を確保することができるが、マグ
ネットカップリング26の部分において何らかの不具合
によりこれが固着した場合には、テンションレバー13
も可動不可能となり、メカニカルガバナー2(ガバナー
機構20)としての制御機能が働かなくなってしまうと
いう問題がある。
【0025】さらに述べると、もしテンションレバー1
3が動かなくなるようなことが起これば、メカニカルガ
バナー2による燃料噴射量の制御が不可能となって、オ
ーバーランなど大事故につながりかねない可能性があ
り、マグネットカップリング26機構自体に何らかのセ
イフティ機構を設けることは重要な問題である。
【0026】また、フライウェイト11の移動(リフ
ト)とは全く独立してプリストロークを制御可能とする
ことも要請される場合がある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明(第一の発明)
は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、マグ
ネットカップリングを採用して、その二次側(従動側内
極磁石)が一次側(駆動側外極磁石)のフライウェイト
の駆動力によらず所望の位置に制御することを利用し、
スピードタイマーとしての特性に加えて、温度あるいは
負荷に応じた進角制御を可能とするように進角特性の自
由度を増加した燃料噴射ポンプのプリストローク制御装
置を提供することを課題とする。
【0028】さらに本発明は、機関の回転数すなわちフ
ライウェイトのリフトとは独立して低温時進角あるいは
軽負荷時進角を可能とする燃料噴射ポンプのプリストロ
ーク制御装置を提供することを課題とする。
【0029】また本発明(第二の発明)は、マグネット
カップリングを採用してその利点を確保するとともに、
最小プリストローク位置が雰囲気温度によって変化する
ことを防止可能な燃料噴射ポンプのプリストローク制御
装置を提供することを課題とする。
【0030】また本発明(第三の発明)は、フライウェ
イトおよびマグネットカップリングを用いてメカニカル
ガバナー側からポンプ本体側にトルクを伝達する場合
に、プリストローク特性を制御するためにマグネットカ
ップリングを効率的に駆動してトルク伝達機能を十分に
発揮することができる燃料噴射ポンプのプリストローク
制御装置を提供することを課題とする。
【0031】また本発明(第四の発明)は、フライウェ
イトおよびマグネットカップリングを用いるとともにフ
ライウェイトの移動にともなってプリストロークを制御
する場合に、そのプリストローク制御の開始時期もこれ
を調整可能として、プリストローク制御特性の調整およ
びマッチング調整を可能とする燃料噴射ポンプのプリス
トローク制御装置を提供することを課題とする。
【0032】また本発明(第五の発明)は、メカニカル
ガバナーのフライウェイトのリフトをマグネットカップ
リングにより変位伝達し、プリストロークを制御するに
あたって、マグネットカップリングの部分が固着した場
合に、メカニカルガバナーの作動を保証することができ
るような燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置を提
供することを課題とする。
【0033】さらに本発明は、マグネットカップリング
が固着してもガバナー機構におけるテンションレバーが
作動することができるようにしたセイフティ機構を設け
た燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置を提供する
ことを課題とする。
【0034】また本発明(第六の発明)は、フライウェ
イトの移動とは全く独立して、アクセル開度に応じてプ
リストロークを制御可能とする燃料噴射ポンプのプリス
トローク制御装置を提供することを課題とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、マグ
ネットカップリングの伝達力より大きな操作力によりタ
イミングコントロールロッドを操作すれば、フライウェ
イトのリフトとは独立してタイミングコントロールロッ
ドを制御可能であること、およびメカニカルガバナーと
は反対側のタイミングコントロールロッド部分に進角調
整用付加デバイスを追加することに着目したもので、第
一の発明は、機関に連結したカムシャフトの回転に応じ
て往復動することにより燃料を吸入圧送するプランジャ
と、このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブ
と、この制御スリーブに連結したタイミングコントロー
ルロッドと、を有するとともに、このタイミングコント
ロールロッドを操作することにより上記プランジャと上
記制御スリーブとの軸方向の相対位置を変えてプリスト
ロークを調節するようにした燃料噴射ポンプのプリスト
ローク制御装置であって、上記カムシャフトの回転に応
じて移動するフライウェイトと、このフライウェイトと
上記タイミングコントロールロッドとの間の変位伝達部
分に設けたマグネットカップリングと、上記タイミング
コントロールロッドに係脱可能とするとともに、上記マ
グネットカップリングとは独立して上記プリストローク
を制御可能な進角調整用付加デバイスと、を有すること
を特徴とする燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置
である。
【0036】上記進角調整用付加デバイスはこれを、温
度に応じて上記プリストロークを制御可能な温度進角調
整部材とすることができる。
【0037】上記進角調整用付加デバイスはこれを、上
記機関への負荷に応じて上記プリストロークを制御可能
な負荷進角調整部材とすることができる。
【0038】また第二の発明は、最小プリストローク
(最大進角量)を決定可能な制限ストッパーを設けるこ
とに着目したもので、機関に連結したカムシャフトの回
転に応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプ
ランジャと、このプランジャに摺動自在に外嵌した制御
スリーブと、この制御スリーブに連結したタイミングコ
ントロールロッドと、を有するとともに、このタイミン
グコントロールロッドを操作することにより上記プラン
ジャと上記制御スリーブとの軸方向の相対位置を変えて
プリストロークを調節するようにした燃料噴射ポンプの
プリストローク制御装置であって、上記カムシャフトの
回転に応じて移動するフライウェイトと、このフライウ
ェイトと上記タイミングコントロールロッドとの間の変
位伝達部分に設けたマグネットカップリングと、上記タ
イミングコントロールロッドに取り付けたカウンターウ
ェイトと、このカウンターウェイト側に対向して設ける
とともに、上記マグネットカップリングとは独立して最
小プリストロークを決定可能な制限ストッパーと、を有
することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストローク
制御装置である。
【0039】また第三の発明は、メカニカルガバナー側
からポンプ本体側にトルクを伝達する部材としてマグネ
ットカップリングを設け、これを駆動可能であるととも
に所定のカム面を有するタイミングカムを設けることに
着目したもので、機関に連結したカムシャフトの回転に
応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラン
ジャと、このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリ
ーブと、この制御スリーブに連結したタイミングコント
ロールロッドと、を有するとともに、このタイミングコ
ントロールロッドを操作することにより上記プランジャ
と上記制御スリーブとの軸方向の相対位置を変えてプリ
ストロークを調節するようにした燃料噴射ポンプのプリ
ストローク制御装置であって、上記カムシャフトの回転
に応じて移動するフライウェイトと、このフライウェイ
トと上記タイミングコントロールロッドとの間の変位伝
達部分に設けたマグネットカップリングと、上記フライ
ウェイトの移動に応じて駆動可能なタイミングカムと、
このタイミングカムと上記マグネットカップリングとを
連結するフライウェイト側トルク伝達機構と、を有する
ことを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストローク制御
装置である。
【0040】上記フライウェイト側トルク伝達機構は、
上記マグネットカップリングの外面部に設けた連結ピン
と、この連結ピンに連結するとともに上記タイミングカ
ムのカム面に当接して揺動するタイミングレバーと、を
有することができる。
【0041】また第四の発明は、プリストロークの制御
開始時期を調整することに着目したもので、機関に連結
したカムシャフトの回転に応じて往復動することにより
燃料を吸入圧送するプランジャと、このプランジャに摺
動自在に外嵌した制御スリーブと、この制御スリーブに
連結したタイミングコントロールロッドと、を有すると
ともに、このタイミングコントロールロッドを操作する
ことにより上記プランジャと上記制御スリーブとの軸方
向の相対位置を変えてプリストロークを調節するように
した燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置であっ
て、上記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウ
ェイトと、このフライウェイトと上記タイミングコント
ロールロッドとの間の変位伝達部分に設けたマグネット
カップリングと、このマグネットカップリングと上記フ
ライウェイトとの間において該フライウェイトの移動に
応じてプリストロークの制御開始時期を調整するプリス
トローク制御開始時期調整機構と、を有することを特徴
とする燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置であ
る。
【0042】上記プリストローク制御開始時期調整機構
は、上記フライウェイトに連結するとともにその突出し
量を調整可能とした位相調整用ロッドと、この位相調整
用ロッドに連結した第1のレバーと、上記フライウェイ
トのリフト量に応じて所定のタイミングでこの第1のレ
バーを介して駆動可能とするとともに上記マグネットカ
ップリングに連結可能な第2のレバーと、を有すること
ができる。
【0043】上記第2のレバーに、初期位置制限用突起
および最終位置制限用突起を形成することができる。
【0044】また第五の発明は、マグネットカップリン
グを含むプリストローク制御機構と、フライウェイトお
よびテンションレバーなどを含む噴射量コントロールラ
ック制御機構との間にガバナー機構の作動を保証するこ
とができるセイフティ機構を設けることに着目したもの
で、機関に連結したカムシャフトの回転に応じて往復動
することにより燃料を吸入圧送するプランジャと、この
プランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、この
制御スリーブに連結したタイミングコントロールロッド
と、を有するとともに、このタイミングコントロールロ
ッドを操作することにより上記プランジャと上記制御ス
リーブとの軸方向の相対位置を変えてプリストロークを
調節するようにした燃料噴射ポンプのプリストローク制
御装置であって、上記カムシャフトの回転に応じて移動
するフライウェイトと、このフライウェイトと上記タイ
ミングコントロールロッドとの間の変位伝達部分に設け
たマグネットカップリングと、このマグネットカップリ
ングを含むプリストローク制御機構と、上記フライウェ
イトを含むガバナー機構との間に設けるとともに、この
マグネットカップリングの不具合時においても該フライ
ウェイトの移動にもとづくこのガバナー機構の作動を保
証可能なセイフティ機構と、を有することを特徴とする
燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置である。
【0045】上記セイフティ機構は、上記ガバナー機構
における上記フライウェイトに連動するテンションレバ
ーと、このテンションレバーに対して移動可能とした位
相調整用ロッドに連結したレバー(第1のレバー)との
間にこれを設けることができる。
【0046】上記セイフティ機構は、上記ガバナー機構
における上記フライウェイトに連動するテンションレバ
ーに連結した中間リンクにこれを設けることができる。
【0047】上記セイフティ機構は、上記ガバナー機構
における上記フライウェイトに連動するテンションレバ
ーに連結した中間リンクと該テンションレバーとの間、
あるいはこの中間リンクと上記マグネットカップリング
に当接するセンサーレバーとの間のいずれか一方にこれ
を設けることができる。
【0048】また第六の発明は、アクセル開度に追従し
て進角および遅角させることに着目したもので、機関に
連結したカムシャフトの回転に応じて往復動することに
より燃料を吸入圧送するプランジャと、このプランジャ
に摺動自在に外嵌した制御スリーブと、この制御スリー
ブに連結したタイミングコントロールロッドと、を有す
るとともに、このタイミングコントロールロッドを操作
することにより上記プランジャと上記制御スリーブとの
軸方向の相対位置を変えてプリストロークを調節するよ
うにした燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置であ
って、上記機関のアクセルワイヤに連結したスピードレ
バーと、このスピードレバーと上記タイミングコントロ
ールロッドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカ
ップリングと、上記スピードレバーにより駆動可能な斜
めレバーと、この斜めレバーと上記マグネットカップリ
ングとを連結するアクセルワイヤ側トルク伝達機構と、
を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
ーク制御装置である。
【0049】上記アクセルワイヤ側トルク伝達機構は、
上記マグネットカップリングの外面部に設けるとともに
上記斜めレバーにより駆動可能な当接ピンを有すること
ができる。
【0050】
【作用】本発明による燃料噴射ポンプのプリストローク
制御装置においては、とくに第一の発明においては、タ
イミングコントロールロッドをメカニカルガバナー側か
らフライウェイトのリフトによりマグネットカップリン
グを介して制御可能としているとともに、ポンプ本体側
においてタイミングコントロールロッドの回動を制御可
能な進角調整用付加デバイスを設けたので、とくに低温
時あるいは軽負荷時においてフライウェイトのリフトに
関係なくマグネットカップリングによるフライウェイト
の変位伝達から独立した状態で、タイミングコントロー
ルロッドを所定方向に回動させて制御スリーブを制御す
ることができ、機関の回転数に関係なく必要な噴射タイ
ミングを得るようにプリストロークを調整することがで
きる。
【0051】さらに第二の発明においては、マグネット
カップリングの出力側に、つまり変位を伝達される側で
あるタイミングコントロールロッド側に最小プリストロ
ークを決定可能な制限ストッパーを設けたので、外部雰
囲気温度によって磁石のトルクが変動しても、最小プリ
ストローク位置が変化することを防止し、これを安定し
て確保することができる。
【0052】かくして、機械的構成により電子制御によ
るプリストローク制御と同等の進角特性を安価に得るこ
とができる。
【0053】また第三の発明においては、メカニカルガ
バナー側からポンプ本体側にトルクを伝達する部材とし
てマグネットカップリングを設け、このマグネットカッ
プリングを駆動可能であるとともにプリストローク特性
を制御するための所定のカム面を有するタイミングカム
を設けるとともに、フライウェイト側トルク伝達機構を
設けてマグネットカップリングとタイミングカムとを連
結可能としたので、マグネットカップリングないしタイ
ミングコントロールロッド側からメカニカルガバナーへ
の反力もなく、つまりガバナー機能への悪影響もなく、
フライウエィトのリフトによってマグネットカップリン
グを円滑に作動させ、トルクの伝達を確実に行うことが
できる。
【0054】また第四の発明においては、フライウェイ
トのリフトに応じて、たとえば位相調整用ロッドの突出
し量を調整可能としたので、プリストロークの制御開始
時期を所定のタイミングとなるように調整して、プリス
トローク制御特性の調整およびマッチング調整を行うこ
とができる。
【0055】また第五の発明においては、マグネットカ
ップリングを含むプリストローク制御機構とガバナー機
構(噴射量コントロールラック制御機構)との間にセイ
フティ機構を設けたので、マグネットカップリングの部
分が何らかの原因によって固着しプリストローク制御機
構としては作動しなくなっても、このセイフティ機構部
分がガバナー機構自体の機能を果たすことを保証するこ
とができるため、マグネットカップリングの不具合によ
るメカニカルガバナーまで不具合となることを回避する
ことができる。
【0056】したがって、負荷の変動に応じて燃料噴射
量を自動的に制御するガバナー機構が正常に機能するこ
とが可能であり、不測の事故を防止することができる。
【0057】また第六の発明においては、機関のスピー
ドレバーによるアクセル開度に追従してマグネットカッ
プリングを駆動するとともに、斜めレバーの形状を任意
に設計することにより所定のプリストローク制御特性で
燃料噴射のタイミングを進角および遅角させることがで
き、フライウェイトのリフトとは全く独立に作動可能で
ある。
【0058】
【実施例】つぎに本発明(第一の発明)による燃料噴射
ポンプのプリストローク制御装置を図1および図2にも
とづき説明する。ただし、図39ないし図43と同様の
部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、燃料噴射ポンプ30の概略斜視図であり、この
燃料噴射ポンプ30は、列型の前記ポンプ本体3と、本
発明の基本的実施例(第1の実施例)によるプリストロ
ーク制御装置31と、前記メカニカルガバナー2と、を
有する。
【0059】図2は、メカニカルガバナー2とは反対側
のカウンターウェイトケース32側からみた側面断面図
であって、タイミングコントロールロッド6のメカニカ
ルガバナー2とは反対側の端部にU字レバー33と、カ
ウンターウェイト34と、当接レバー35とを取り付け
るとともに、当接レバー35に対向して進角調整用付加
デバイス36を設けてある。
【0060】進角調整用付加デバイス36は、デバイス
ハウジング37および制御シャフト38を有し、機関の
負荷状態ないしはアクセル開度その他の運転状態あるい
は雰囲気温度などに応じて制御シャフト38がデバイス
ハウジング37から出没ないしは移動して当接レバー3
5に当接することによってタイミングコントロールロッ
ド6の回動を規制することによってプリストロークを調
節制御可能としてある。
【0061】なお、圧縮スプリングにより構成したリタ
ーンスプリング19によりU字レバー33を介して、カ
ウンターウェイト34およびタイミングコントロールロ
ッド6を常時遅角方向に付勢している。
【0062】また、プリストローク制御装置31のメカ
ニカルガバナー2側においてはメカニカルガバナー2の
フライウェイト11を共用して機関の回転数(ポンプス
ピード)に応じてプリストロークを制御可能としてあ
る。
【0063】すなわち、前記テンションレバー13(図
39)に中間リンク39およびガイドレバー40を取り
付け、この中間リンク39に制御レバー41を取り付け
てある。
【0064】タイミングコントロールロッド6が対向す
るメカニカルガバナー2側の端部には円筒カム42を設
け、そのカム面42Aを制御レバー41の当接ピン43
に当接可能としてある。この円筒カム42には、前記マ
グネットカップリング26(図40)を内蔵し、円筒カ
ム42の回動に応じてタイミングコントロールロッド6
を回動可能とし、既述のようにプランジャ4に対して制
御スリーブ5を上下動させプリストロークを制御可能と
している。
【0065】なおカム面42Aの形状は、プリストロー
クの制御特性によって任意にこれを設計可能であるが、
図示の例ではたとえばタイミングコントロールロッド6
側から直線的に延びる平面部分とこれに続く曲面部分と
の組み合わせからなっている。
【0066】なおまた、トルクカム21に関連して噴射
量コントロールラック22を設けてある。この噴射量コ
ントロールラック22はプランジャ4をその軸まわりに
回動することにより噴射量を制御するものである。
【0067】こうした構成のプリストローク制御装置3
1において、図39の燃料噴射ポンプのプリストローク
制御装置1と同様に機関の回転数の上昇にともないフラ
イウェイト11が移動することによってこれを駆動源と
してテンションレバー13が回動し、中間リンク39お
よび制御レバー41が矢印のように回動する。
【0068】したがって、当接ピン43が円筒カム42
のカム面42Aを押して円筒カム42を図1中反時計方
向に回動させ、タイミングコントロールロッド6が係合
ピン8を介して制御スリーブ5を下方に移動させ、プリ
ストロークを減少させることにより、燃料噴射のタイミ
ングを進角させることができる。
【0069】このような進角特性は、ポンプ本体3の回
転数に依存したもので、いわゆるスピードタイマーとし
ての機能によるものであるが、円筒カム42の部分がマ
グネットカップリング26を採用しており、従来のプリ
ストローク制御装置1のように機械的に結合したいわゆ
る直動式ではないために、円筒カム42部分の駆動側外
極磁石27の回動にもかかわらず、従動側内極磁石28
を独立的に回動あるいは停止することが可能である。
【0070】すなわち、進角調整用付加デバイス36の
制御シャフト38を伸ばすことにより、フライウェイト
11の移動がまだ不十分であって円筒カム42がまだ回
動しないときであっても、タイミングコントロールロッ
ド6を図1中反時計方向に回動させて制御スリーブ5を
下降させ、燃料噴射のタイミングを進角させることが可
能である。したがって、回転数の上昇によるフライウェ
イト11の移動とは独立してプリストロークを制御する
ことができる。
【0071】図3および図4は、進角調整用付加デバイ
ス36部分として温度進角特性を可能としたプリストロ
ーク制御装置50(第2の実施例)を示すもので、プリ
ストローク制御装置50は、メカニカルガバナー2の部
分は図1のプリストローク制御装置31と同様であり、
カウンターウェイトケース32の部分において、進角調
整用付加デバイス36としてワックスデバイス51を採
用している。
【0072】さらに、前記制御シャフト38(図2)に
相当する制御シャフト52と当接レバー35との間に中
間レバー53およびこの中間レバー53を固定軸54の
まわりに反時計方向に付勢する圧縮スプリング55を設
けてある。
【0073】前記カウンターウェイト34には、カウン
ターウェイト34を遅角方向に付勢する引張りスプリン
グ56および遅角側ストッパー57を設けてある。
【0074】図4は、ワックスデバイス51の拡大断面
図であり、ワックスデバイス51は、デバイスハウジン
グ37と、上記制御シャフト52と、伸縮自在な伸縮用
ゴム材58と、伸縮用ゴム材58とデバイスハウジング
37との間に充填したワックス59と、を有する。
【0075】ワックス59は、高温において膨張するこ
とにより制御シャフト52を外方に突出させて中間レバ
ー53を時計方向に回動し、低温においては縮小するた
め圧縮スプリング55の圧縮付勢力により内部に引っ込
んで中間レバー53が反時計方向に回動する。
【0076】したがって、とくに低温時において制御シ
ャフト52が引っ込み、中間レバー53が反時計方向に
回動して当接レバー35つまりカウンターウェイト34
を時計方向に回動するので、タイミングコントロールロ
ッド6が制御スリーブ5を押し下げて進角特性を得るこ
とができる。
【0077】図5は、進角調整用付加デバイス36部分
として形状記憶合金を採用したプリストローク制御装置
60(第3の実施例)を示す断面図であって、進角調整
用付加デバイス36として形状記憶合金スプリング61
を当接レバー35に取り付けてある。形状記憶合金スプ
リング61は、感温性材料であれば任意の材料を選択可
能で、たとえばあるフェライト系磁石は一定温度より温
度が低下すると急激に減磁する。すなわち、図6に示す
ように低温において引張り力が大きく、高温になると引
張り力は小さくなる特性を利用することができる。
【0078】したがって、図3のプリストローク制御装
置50と同様に、低温時において進角特性を得ることが
できる。
【0079】図7は、プリストローク制御装置50およ
び60の進角特性を示すグラフであって、通常の温度に
おいてはメカニカルガバナー2部分における通常のスピ
ードタイマーとして機能し(図中実線を参照)、とくに
低温時においてこのメカニカルガバナー2における円筒
カム42部分の変位伝達とは独立してプリストローク制
御装置50および60のワックスデバイス51および形
状記憶合金スプリング61により低温時進角(図中点線
を参照)を達成することができる。
【0080】図8は、アクセル開度ないし負荷条件によ
る進角特性を得ることができるようなプリストローク制
御装置70(第4の実施例)の断面図、図9は図8のI
X−IX線断面図、図10は図9のX方向矢視図であっ
て、プリストローク制御装置70は、当接レバー35に
当接する第1のレバー71と、第2のレバー72および
第3のレバー73(図9および図10)と、引張りスプ
リング74と、を有する。
【0081】第1のレバー71と第2のレバー72とは
共通の第1の回動軸75を有し、第3のレバー73は第
2の回動軸76のまわりに回動する。
【0082】第3のレバー73にはアクセルワイヤ77
を取り付け、アクセル(図示せず)の踏込みにより第3
のレバー73を時計方向に回動させるが、アクセル開度
がたとえば0%から40%までの間においては第3のレ
バー73の押圧片73Aが第2のレバー72とは係合せ
ず、アクセルワイヤ77の作動が第2のレバー72およ
び第1のレバー71には伝達されない。
【0083】なお図8に示すように、第1のレバー71
には圧縮スプリング78およびレバーストッパー79を
設けてある。
【0084】したがって、図10に示すアクセル開度が
0%から40%までの間の、通常は軽負荷の状態では、
アクセルワイヤ77の伝達力が第1のレバー71すなわ
ち当接レバー35およびタイミングコントロールロッド
6まで伝達されず、図8に図示の状態を維持するため、
低開度進角(低アクセル開度進角)を実現することがで
きる。
【0085】図11は、プリストローク制御装置70に
おいてアクセル開度が40%をこえて上昇したときの断
面図、図12は、図10と同様の側面図であって、アク
セル開度が40%をこえると第3のレバー73の押圧片
73Aが第2のレバー72に係合し、第2のレバー72
とともに図12中時計方向に回動するので、図11に示
すように第1のレバー71が圧縮スプリング78の圧縮
付勢力に抗して当接レバー35から離れ、カウンターウ
ェイト34は引張りスプリング56により遅角方向に引
っ張られるため40%をこえたアクセル開度に応じて遅
角させることができる。
【0086】図13は、こうしたアクセル開度によるプ
リストローク制御(進角特性)および噴射量コントロー
ルラック22(図1)の位置制御(ガバナー特性)のグ
ラフであって、たとえばポンプスピード60%以下、か
つ負荷(あるいはアクセル開度)40%以下というある
低開度のアクセル開度(図中点線)以下において進角さ
せることができる(図中矢印を参照)。なお、ポンプス
ピードが60%をこえアクセル開度が40%をこえた場
合には、通常のスピードタイマーとしての進角特性に戻
るものである。
【0087】図14は、図13の場合とは逆に、あるア
クセル開度以上において進角させる場合の進角特性およ
びガバナー特性を示すグラフである。たとえばアクセル
を踏み込んで加速する場合に、アイドリング状態からガ
バナー特性曲線に沿って燃料噴射量を制御するとともに
(図中矢印を参照)、アクセル開度以上において進角さ
せ燃料噴射のタイミングを進角させることもできる(図
中点線を参照)。
【0088】こうした進角特性を得る構成としては図示
を省略するが、図8ないし図12に示したプリストロー
ク制御装置70とは逆の特性を有するような構成とすれ
ばよい。たとえば、第3のレバー73の回動範囲におい
て、あるアクセル開度以上で第2のレバー72との係合
を解除するように構成することにより、第3のレバー7
3のそれ以上の回動によっても遅角することなく、第2
のレバー72および第1のレバー71さらにはタイミン
グコントロールロッド6が進角状態に復帰するようにす
ればよい。
【0089】図15は、プリストローク制御装置50
(図3)あるいはプリストローク制御装置60(図5)
およびプリストローク制御装置70(図8)をすべて採
用した場合の進角特性およびガバナー特性を示すグラフ
であって、通常の回転数に対応した進角特性とともに、
この通常の進角特性とは独立して、低温時進角および軽
負荷時進角を実現可能である。
【0090】図16は、本発明の第5の実施例(第二の
発明)によるプリストローク制御装置80の断面図であ
って、従来の図40ないし図43における問題を解消す
るための構成を示す。すなわち、プリストローク制御装
置80においてはカウンターウェイト34に対向してカ
ウンターウェイトケース32の部分に、最小プリストロ
ーク位置規制用の制限ストッパー81を設けてある。
【0091】最小プリストローク(最大進角)を決定可
能なこの制限ストッパー81には、調整ナット82およ
びキャップナット83を設けてあり、カウンターウェイ
ト34とこの制限ストッパー81との間の間隔を微調整
可能としてある。
【0092】したがって、雰囲気温度によってマグネッ
トカップリング26における駆動側外極磁石27および
従動側内極磁石28の温度特性が変化しても、図43に
ハッチングにより示すように、最小プリストロークはこ
の制限ストッパー81により所定値に安定して確保する
ことができる。
【0093】さらに、上記制限ストッパー81は、これ
をカウンターウェイト34の真上からカウンターウェイ
トケース32内に臨ませるので、当該最小プリストロー
クの微妙な調整も可能であり、調整精度を向上させるこ
とができる。
【0094】つぎに、第三ないし第六の発明について図
17ないし図38にもとづき以下説明する。まず第三の
発明の実施例(第6の実施例)について図17ないし図
25(とくに図21ないし図23)にもとづき説明す
る。図17は、第一の発明における基本的実施例(第1
の実施例、図1)の円筒カム42部分をタイミングコン
トロールロッド6の軸方向からみた要部側面図、図18
は、同、要部断面正面図であって、図示のように、円筒
カム42の回動面に対する当接ピン43の移動方向がタ
イミングコントロールロッド6の軸方向に対して平行に
近くなる部分があるため、フライウェイト11のリフト
にもとづいくテンションレバー13の変位ないし作動力
が円筒カム42を回転させるために効率的に伝達され
ず、当接ピン43からカム面42Aへの駆動力の分力が
小さくなるため、円筒カム42を回動させるためにかな
りの力が必要となる。
【0095】したがって、円筒カム42からの反力がテ
ンションレバー13側に伝わり、ガバナー特性に不測の
影響を与えるという問題がある。
【0096】すなわち、第一の発明の実施例における円
筒カム42のカム面42Aがプリストロークの急勾配特
性を呈する場合には、当接ピン43により円筒カム42
つまりタイミングコントロールロッド6を確実に駆動し
てプリストロークを制御することが困難となるばかり
か、カム面42Aの部分からテンションレバー13方向
に発生する反力が極端に大きくなり、ガバナー特性(ラ
ック特性)を変えてしまうという問題がある。
【0097】図19は、ポンプスピードに対するそれぞ
れのアクセル開度に応じたプリストローク制御特性(進
角特性)(1)、(2)、(3)、(4)を示すグラ
フ、図20は、図19のそれぞれの進角特性(1)、
(2)、(3)、(4)に対応したガバナー特性を示す
グラフであって、図19のような二段進角特性の場合に
は、一段目および二段目の急勾配の影響が図20のガバ
ナー特性に現れてくることがわかる。
【0098】とくに図20に実線で示すように、既述の
第一の発明によるプリストローク制御装置を装備した燃
料噴射ポンプでは、装備していない場合(点線で示す)
とは異なり、タイミングコントロールロッド6側からテ
ンションレバー13が押し返されて、ガバナー特性が本
来のものからずれていることがわかる。
【0099】したがって、第三の発明は、マグネットカ
ップリング26を採用することを前提として、プリスト
ローク制御のためのカム面が急勾配であるプリストロー
ク制御特性においても、ガバナー特性に与える影響(変
化代)を極力少なくすることを可能とした、すなわち、
最も効率よくマグネットカップリング26を回動させ、
テンションレバー13側に与える反力を極力小さくする
ことを可能としたプリストローク制御装置に関するもの
である。
【0100】図21は、第三の発明によるプリストロー
ク制御装置90(第6の実施例)のテンションレバー1
3部分からマグネットカップリング26部分の要部斜視
図、図22は、同、要部正面図、図23は、同、要部側
面図であって、プリストローク制御装置90は、テンシ
ョンレバー13に連結した連結ロッド91と、第1のレ
バー92と、第2のレバー93と、リンク94と、タイ
ミングカム95と、タイミングレバー96と、マグネッ
トカップリング26の外周に設けた連結ピン97と、を
有する。
【0101】コイルスプリング98は、スプリングスト
ッパー99と第2のレバー93との間にこれを引っかけ
配置することにより第2のレバー93のみに作用して、
第2のレバー93を、フライウェイト11のリフトに応
ずるように第1の回動用固定軸100のまわりに反時計
方向に回動するように付勢してある。第1のレバー92
と第2のレバー93とは、互いに当接するまで独立に回
動する。
【0102】フライウェイト11のリフトが増加する
と、連結ロッド91がテンションレバー13の回動によ
り第1のレバー92を第1の回動用固定軸100のまわ
りに回動して、第2のレバー93方向に接近させ、第1
のレバー92が第2のレバー93の当接片93Aに当接
し、リンク94がタイミングカム95を第2の回動用固
定軸101のまわりに回動させる。
【0103】タイミングカム95の回動にともない、タ
イミングカム95のカム面95Aをタイミングレバー9
6が第3の回動用固定軸102のまわりに回動してその
当接片96Aがなぞるように移動することにより、連結
ピン97を介してマグネットカップリング26を所定量
だけ回動させてトルクの伝達を行い、タイミングコント
ロールロッド6を所定量だけ回動して、たとえばプリス
トロークを増加させて燃料噴射のタイミングを遅角し、
あるいはプリストロークを減少させてタイミングを進角
する。すなわち、上記タイミングレバー96および連結
ピン97により、タイミングカム95からマグネットカ
ップリング26へのフライウェイト側トルク伝達機構1
03を構成している。
【0104】かくして、マグネットカップリング26の
外周面に連結ピン97を立て、タイミングカム95のカ
ム面95Aに沿ってこの連結ピン97を駆動するタイミ
ングレバー96を設けたので、タイミングカム95の回
動運動をタイミングレバー96の上下方向の変位に変換
し、マグネットカップリング26を容易に駆動すること
ができる。
【0105】マグネットカップリング26の回動半径R
を大きくとれば、駆動力をさらに有効に活用してマグネ
ットカップリング26を軽く回動することができる。
【0106】さらに、タイミングカム95を鈎の手状に
形成するとともに、リンク94側の腕の長さL1をタイ
ミングレバー96側の腕の長さL2より大きく形成し、
タイミングカム95の支点(第2の回動用固定軸10
1)を利用し、てこの原理を応用可能とすることによっ
て、テンションレバー13側からタイミングカム95に
与える力が小さくてすむようにしてある。
【0107】なおタイミングレバー96は、カウンター
ウェイト34側のリターンスプリング19(たとえば図
2)の付勢力によって図中下方向(遅角方向)に押し寄
せられているので、これを下側から押して上方向に駆動
するタイミングカム95を設け、タイミングレバー96
の下方から効率的に駆動するようにしてある。
【0108】かくして、図19および図20と同様な進
角特性およびガバナー特性をそれぞれ示した図24およ
び図25に示すように、テンションレバー13側からマ
グネットカップリング26を最も効率的に回動すること
ができ、進角の急勾配特性(1)〜(11)に対応する
ガバナー特性(1)〜(11)に与える影響を極力少な
くすることができる(図25の仮想線で囲んだ部分を参
照)。
【0109】さらに、タイミングレバー96はタイミン
グカム95に当接するセンサーレバーとしての機能を有
することになるため、タイミングカム95のカム面95
Aのプロフィールを設計することによってプリストロー
クの制御特性を比較的自由に設定することができる。
【0110】すなわち、第一の発明における実施例(図
1)では、プリストローク制御特性を得るための手段と
して円筒カム42(マグネットカップリング26)に直
接形成したカム面42Aを採用していたが、このカム面
42Aのプロフィール作成は比較的困難であり、コスト
がかかるが、この第三の発明によるプリストローク制御
装置90においては、マグネットカップリング26から
カム面を除去し、代わりにカム面95Aを有するタイミ
ングカム95およびタイミングレバー96を採用したの
で、メカニカルガバナー2におけるトルクカム21(図
39)と同様の要領で製作することが可能であり、コス
ト低減が可能である。
【0111】つぎに第四の発明は、プリストローク制御
特性の調整機構に関するもので、この調整機構により、
要求される目標特性に適合することができる。第四の発
明の実施例(第7の実施例)によるプリストローク制御
装置110を図26ないし図28にもとづき説明する。
なお、このプリストローク制御装置110には、第五の
発明によるプリストローク制御装置におけるセイフティ
機構をも設けてある。
【0112】すなわち、図26は、プリストローク制御
装置90(第6の実施例)を示した図21と同様の、テ
ンションレバー13部分からマグネットカップリング2
6部分の要部斜視図であって、このプリストローク制御
装置110は、前記連結ロッド91の部分においてプリ
ストローク制御開始時期調整機構111、および上記セ
イフティ機構112を設けてある点においてプリストロ
ーク制御装置90とは異なっており、他の部分は同一で
ある。
【0113】このプリストローク制御開始時期調整機構
111は、とくに図27の要部断面図に示すように、前
記第1のレバー92および第2のレバー93(図21)
と、位相調整用ロッド113と、固定ブロック114
と、コイルスプリング115と、調整用キャップナット
116と、締付け用ボルト117と、を有する。
【0114】セイフティ機構112は、第1のレバー9
2と、位相調整用ロッド113と、固定ブロック114
と、コイルスプリング115と、からこれを構成する。
【0115】位相調整用ロッド113は、連結ロッド9
1(図21)の代わりであって第1のレバー92に連結
し、固定ブロック114内に往復調整可能にこれを挿通
しその先端部において調整用キャップナット116に螺
合してある。
【0116】固定ブロック114は、テンションレバー
13にこれを固定するとともに、第1のレバー92との
間にコイルスプリング115を設けてある。
【0117】調整用キャップナット116は、位相調整
用ロッド113の先端部および締付け用ボルト117を
螺合するとともに、固定ブロック114とは別体として
ある。
【0118】こうした構成のプリストローク制御開始時
期調整機構111において、メカニカルガバナー2のガ
バナーハウジング118に形成した調整用開口部118
Aから調整用工具(図示せず)により締付け用ボルト1
17を調整用キャップナット116に対してねじり、さ
らに調整用キャップナット116を位相調整用ロッド1
13に対してねじることにより、固定ブロック114に
対する位相調整用ロッド113の相対位置を調整するこ
とによって、固定ブロック114側から第1のレバー9
2に対する位相調整用ロッド113の突出し量を変化さ
せることができる。なお、位相調整用ロッド113の位
置決めののちは、締付け用ボルト117を締め付けて調
整用キャップナット116に対して位相調整用ロッド1
13を固定する。
【0119】かくして、図21のプリストローク制御装
置90において述べたように、テンションレバー13の
回動にともなう第1のレバー92と第2のレバー93と
の接触点(当接開始時期、あるいは進角始め時期)を調
整設定することができる。
【0120】すなわち、図28に示すように、ポンプス
ピードに対して進角開始時期を調整することができ、機
関のトルク特性およびエミッション特性などを満足する
ことが可能となる。
【0121】しかも、ガバナーハウジング118の外部
からその調整用開口部118Aを通して位相調整用ロッ
ド113の突出し量の調整作業が可能であり、調整工数
の短縮、および調整作業の簡便さを期待することができ
る。
【0122】さらに位相調整用ロッド113は、従来か
らのメカニカルガバナー2のトルクカム位相調整用ロッ
ドをそのまま流用することが可能であるため、調整用工
具を含めて、部品の共通化およびコストダウンを行うこ
とができる。
【0123】また、上述のセイフティ機構112を設け
てあるので、何らかの原因により万一、マグネットカッ
プリング26が固着して動かなくなった場合に(すなわ
ちプリストローク制御機構としては作動しなくなって
も)、テンションレバー13の作動を保証することによ
ってトルクカム21およびメカニカルガバナー2として
の機能の発揮を確保することができる。
【0124】具体的には、マグネットカップリング26
の部分が固着してこの部分が動かなくなった場合に、フ
ライウェイト11の移動によるテンションレバー13の
回動にともない、コイルスプリング115の付勢力に抗
してテンションレバー13とともに固定ブロック114
が調整用キャップナット116との接触状態から離れて
第1のレバー92方向に移動するため(図27中の仮想
線を参照)、テンションレバー13の移動つまりメカニ
カルガバナー2としての機能(燃料噴射量の制御)を保
証することができる。
【0125】つぎに、第四の発明の他の実施例(第8の
実施例)によるプリストローク制御装置120を図29
にもとづき説明する。図29は、プリストローク制御装
置110(第7の実施例)を示した図26と同様の、テ
ンションレバー13部分からマグネットカップリング2
6部分の要部斜視図であって、プリストローク制御装置
120は、前記第2のレバー93の部分における構成が
プリストローク制御装置110とは異なっており、他の
部分は同一である。
【0126】すなわちプリストローク制御装置120に
おいては、第2のレバー93の下方端部にストッパーピ
ン121を設けるとともに、第2のレバー93の回動に
ともなってこのストッパーピン121に当接する部位に
初期位置制限用突起93Bおよび最終位置制限用突起9
3Cを突出形成してある。
【0127】なお、このストッパーピン121にコイル
スプリング98の一方の端部を係合し他方の端部を第2
のレバー93の当接片93Aに係合することにより、第
2のレバー93を、フライウェイト11のリフトに対抗
するように第1の回動用固定軸100のまわりに時計方
向に回動するように付勢してある。
【0128】したがって、フライウェイト11がまだリ
フトしない初期状態においては、第2のレバー93は、
その初期位置制限用突起93Bがストッパーピン121
に当接しており、第1のレバー92と第2のレバー93
とは互いに離れた状態にあるとともに、タイミングカム
95のカム面95Aおよびタイミングレバー96の当接
片96Aの間は若干のクリアランスが形成されている。
【0129】フライウェイト11のリフトにともなって
テンションレバー13および第1のレバー92が第2の
レバー93方向に回動し、その当接片93Aに第1のレ
バー92が当接してからプリストロークの制御が開始さ
れる。
【0130】さらに、第2のレバー93が回動して最終
位置制限用突起93Cがストッパーピン121に当接す
ると、第2のレバー93はそれ以上の回動を制限される
ことになる。
【0131】かくして、初期位置制限用突起93Bおよ
び最終位置制限用突起93Cの回動範囲内において任意
の範囲にプリストロークの制御範囲を設定可能であると
ともに、タイミングカム95のカム面95Aおよびタイ
ミングレバー96の当接片96Aの摺接運動を適切な範
囲に押さえておくことができる。
【0132】つぎに、第五の発明の他の実施例(第9の
実施例)によるプリストローク制御装置を図30および
図31にもとづき説明する。
【0133】図30は、燃料噴射ポンプ130の概略斜
視図であり、この燃料噴射ポンプ130は、列型の前記
ポンプ本体3と、上記プリストローク制御装置131
と、前記メカニカルガバナー2と、を有する。
【0134】プリストローク制御装置131のメカニカ
ルガバナー2側において、メカニカルガバナー2のフラ
イウェイト11を共用して機関の回転数(ポンプスピー
ド)に応じてプリストロークを制御可能としてある。
【0135】すなわち前記テンションレバー13に中間
リンク132および前記ガイドレバー40(図1)を取
り付け、この中間リンク132に前記センサーレバー4
1を取り付けてある。
【0136】タイミングコントロールロッド6が対向す
るメカニカルガバナー2側の端部には前記円筒カム42
(図1)を設け、さらにそのカム面42Aをセンサーレ
バー41の当接ピン43に当接可能としてある。この円
筒カム42には、前記マグネットカップリング26(図
40)を内蔵し、円筒カム42の回動に応じてタイミン
グコントロールロッド6を回動可能とし、既述のように
プランジャ4に対して制御スリーブ5を上下動させプリ
ストロークを制御可能としている。
【0137】テンションレバー13とセンサーレバー4
1との間における上記中間リンク132においてセイフ
ティ機構137を設けてある。このセイフティ機構13
7は、何らかの原因により万一、円筒カム42が固着し
て動かなくなった場合に、テンションレバー13の作動
を保証することによってトルクカム21およびメカニカ
ルガバナー2としての機能の発揮を確保するものであ
る。
【0138】図31は、セイフティ機構137の具体的
構成を示す要部拡大側面図であって、セイフティ機構1
37は、これをテンションレバー13側に連結した第1
の中間リンク138と、センサーレバー41側に連結し
た第2の中間リンク139とに分割するとともに、その
間に圧縮スプリング140を介装してある。
【0139】したがってテンションレバー13が図31
において回動用固定軸12のまわりに時計方向に回動す
るとき、第1の中間リンク138は圧縮スプリング14
0を圧縮しつつ第2の中間リンク139にその変位を伝
達してセンサーレバー41を時計方向に回動させ、さら
に、センサーレバー41の当接ピン43が円筒カム42
を回動させるものである。
【0140】こうした構成のプリストローク制御装置1
31において、図39の燃料噴射ポンプのプリストロー
ク制御装置1と同様に、機関の回転数の上昇にともない
フライウェイト11が移動することによってこれを駆動
源としてテンションレバー13が回動し、中間リンク1
32およびセンサーレバー41が矢印のように回動す
る。
【0141】したがって、当接ピン43が円筒カム42
のカム面42Aを押して円筒カム42を図30中反時計
方向に回動させ、タイミングコントロールロッド6が係
合ピン8を介して制御スリーブ5を下方に移動させ、プ
リストロークを減少させることにより、燃料噴射のタイ
ミングを進角させることができる。
【0142】もし万が一、円筒カム42ないしマグネッ
トカップリング26の部分が固着してこの部分が動かな
くなった場合に、フライウェイト11の移動によるテン
ションレバー13の回動にともない、第2の中間リンク
139は回動しなくても圧縮スプリング140の付勢力
に抗して第1の中間リンク138が第2の中間リンク1
39方向に所定量だけ移動回動するので、テンションレ
バー13のガバナー機構20の機能に必要な変位は確保
され、ガバナー機構20による燃料噴射量の制御が不能
に陥ることはない。もちろん、図31においてテンショ
ンレバー13の反時計方向の回動も保証されている。
【0143】図32は、第五の発明の他の実施例(第1
0の実施例)によるプリストローク制御装置におけるセ
イフティ機構150の要部拡大斜視図であって、このセ
イフティ機構150においては、テンションレバー13
と中間リンク132の接続部分において中間リンク13
2に長孔151を形成して中間リンク132の回動軸1
52を遊嵌するとともに、テンションレバー13の第1
のスプリングシート153と、中間リンク132の第2
のスプリングシート154との間に上記圧縮スプリング
140を介装してある。
【0144】こうした構成のセイフティ機構150にお
いて、セイフティ機構137と同様に円筒カム42部分
の不具合による固着時にあっても、テンションレバー1
3の作動を確保することができる。
【0145】図33は、第五の発明の他の実施例(第1
1の実施例)によるプリストローク制御装置におけるセ
イフティ機構160の要部拡大斜視図であり、このセイ
フティ機構160においては、中間リンク132とセン
サーレバー41の接続部分において中間リンク132に
長孔161を形成してセンサーレバー41の回動軸16
2を遊嵌するとともに、中間リンク132の第1のスプ
リングシート163と、センサーレバー41の第2のス
プリングシート164との間に圧縮スプリング140を
介装してある。
【0146】こうした構成のセイフティ機構160にお
いて、セイフティ機構137と同様に円筒カム42部分
の不具合による固着時にあっても、テンションレバー1
3の作動を確保することができる。
【0147】なお第五の発明におけるセイフティ機構
は、これを他のリンク接続部分、たとえば中間リンク1
32とテンションレバー13との間に設けてもよく、要
するにフライウェイト11の移動にともなうテンション
レバー13の回動を保証することができればよいもので
ある。
【0148】つぎに第六の発明は、既述の他の発明(第
一の発明ないし第五の発明)とは異なって、ガバナーレ
バー(スピードレバー、第1サポーチングレバー)を制
御することにより、プリストロークをフライウェイト1
1とは全く無関係に制御して進角特性を制御することが
できる。したがって、低温時進角あるいは軽負荷時進角
などの特性を機械的に得る他の構造と並存して採用する
ことができる。
【0149】当該第六の発明の実施例(第12の実施
例)によるプリストローク制御装置170を図34ない
し図37にもとづき説明する。図34は、プリストロー
ク制御装置170の要部斜視図、図35は、同、要部側
面図、図36は、同、プリストローク制御装置90(図
21)と組み合わせた状態の要部斜視図であって、プリ
ストローク制御装置170は、前記アクセルワイヤ77
(第一の発明における図10を参照)により所定のアク
セル開度に回動するスピードレバー171と、このスピ
ードレバー171の一端部に取り付けた調整用スクリュ
ー172と、調整用スクリュー172の下端部に当接可
能な斜めレバー173と、この斜めレバー173の下方
からこれに当接可能であるとともにマグネットカップリ
ング26の外側面部に固定した当接ピン174と、斜め
レバー173を上方に付勢するコイルスプリング175
と、を有する。
【0150】アクセルワイヤ77によってスピードレバ
ー171を所定のアクセル開度だけ回動させれば、調整
用スクリュー172が斜めレバー173の上面を移動し
てゆくため、コイルスプリング175の付勢力に抗して
斜めレバー173が回動軸176のまわりに回動し、マ
グネットカップリング26の当接ピン174を押し下
げ、マグネットカップリング26を所定角度だけ回動
し、進角させることとなる。すなわち、上記斜めレバー
173に当接する当接ピン174が、スピードレバー1
71側からマグネットカップリング26へのアクセルワ
イヤ側トルク伝達機構177を構成している。
【0151】したがって、図37に示すように、フライ
ウェイト11のリフトとは関係なく、あるいは低温時進
角や軽負荷時進角などにおけるオイル温度検知や冷却水
温度の検知などの電気的制御に関係なく、アクセル開度
に追従して(本実施例ではアクセル開度が「小」のとき
進角)機械的に進角および遅角制御が可能である。図3
7においては、アクセル開度(1)、(2)、(3)に
進角量(1)、(2)、(3)が対応しており、アクセ
ル開度が大きいほど進角量は少ないことを示している。
【0152】しかも、斜めレバー173の断面形状を任
意に設定することにより、そのプリストローク制御特性
を選択可能であるとともに、調整用スクリュー172を
外部から操作して当該プリストローク制御特性を調整可
能である。
【0153】さらに、本第12の実施例によるプリスト
ローク制御装置170は、メカニカルガバナー2に取付
けおよび取外しが可能な付加的装置としてこれを採用す
ることができる。
【0154】なお、第六の発明はこの第12の実施例に
限定されず、図38に示すような第13の実施例のよう
に構成することができる。図38は、第13の実施例に
よるプリストローク制御装置180の要部側面図であっ
て、プリストローク制御装置180は、プリストローク
制御装置170における当接ピン174、スピードレバ
ー171および調整用スクリュー172の相互の位置関
係を変更したものである。
【0155】すなわち、プリストローク制御装置180
は、スピードレバー171と、調整用スクリュー172
と、調整用スクリュー172の下端に取り付けたローラ
ー181と、斜めレバー173に相当する斜めレバー1
82と、当接ピン174と、コイルスプリング175
と、を有する。
【0156】スピードレバー171の回動により斜めレ
バー182が上下して、当接ピン174を介してマグネ
ットカップリング26を回動させ、図34の第12の実
施例におけるプリストローク制御装置170とは異な
り、ローラー181が斜めレバー182の下面を当接ピ
ン174方向に移動するアクセル開度が「大」(フル方
向踏み込み方向)のときにも進角させることができる。
【0157】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、マグネッ
トカップリングを採用してその長所を発揮させることが
できる。とくに第一の発明によれば、フライウェイトの
移動とは独立して進角調整用付加デバイスを設けること
が可能であり、かつこうした進角調整用付加デバイスを
設けることにより低温時進角あるいは軽負荷時進角(低
アクセル開度進角)も可能とし、進角特性の自由度を増
すことができる。
【0158】また、第二の発明によれば、タイミングコ
ントロールロッドに結合してあるカウンターウェイトの
部分に制限ストッパーを設けたので、最小プリストロー
ク(最大進角)位置を規制することができ、マグネット
カップリングの駆動側外極磁石および従動側内極磁石の
温度依存性に影響なく、最小プリストロークを安定して
確保することができる。
【0159】第三の発明によれば、プリストローク制御
特性を規制するカム面を有するタイミングカムを採用し
たので、フライウェイトのリフトを有効かつ確実にタイ
ミングコントロールロッド側に伝達することができる。
【0160】第四の発明によれば、プリストローク制御
開始時期調整機構を設けたので、プリストローク制御特
性の調整およびマッチングを行うことができる。
【0161】第五の発明によれば、マグネットカップリ
ングを含むプリストローク制御機構と、フライウェイト
からテンションレバーなどを含むガバナー機構との間に
セイフティ機構を設けたので、マグネットカップリング
が何らかの不具合により固着するような事態となって
も、ガバナー機構内の部材たとえばテンションレバーは
その動きを保証されているため、ガバナー機構としての
燃料噴射量制御機能を保持しておくことができる。
【0162】第六の発明によれば、アクセル開度に応じ
てタイミングコントロールロッドを駆動可能としたの
で、フライウェイトのリフトに関係なくプリストローク
を制御することができる。
【0163】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第一の発明)の基本的実施例(第1の
実施例)によるプリストローク制御装置31を装備した
燃料噴射ポンプ30の概略斜視図である。
【図2】同、メカニカルガバナー2とは反対側のカウン
ターウェイトケース32側からみた側面断面図である。
【図3】同、進角調整用付加デバイス36部分として温
度進角特性を可能としたプリストローク制御装置50
(第2の実施例)を示す側面断面図である。
【図4】同、ワックスデバイス51の拡大断面図であ
る。
【図5】同、進角調整用付加デバイス36部分として形
状記憶合金を採用したプリストローク制御装置60(第
3の実施例)を示す断面図である。
【図6】同、形状記憶合金スプリング61の温度特性を
示すグラフである。
【図7】同、プリストローク制御装置50および60の
進角特性を示すグラフである。
【図8】同、アクセル開度ないし負荷条件による進角特
性を得ることができるようなプリストローク制御装置7
0(第4の実施例)の断面図である。
【図9】同、図8のIX−IX線断面図である。
【図10】同、図9のX方向矢視図である。
【図11】同、プリストローク制御装置70においてア
クセル開度が40%をこえて上昇したときの断面図であ
る。
【図12】同、図10と同様の側面図である。
【図13】同、アクセル開度によるプリストローク制御
(進角特性)および噴射量コントロールラック22(図
1)の位置制御(ガバナー特性)のグラフである。
【図14】同、図13の場合とは逆に、あるアクセル開
度以上において進角させる場合の進角特性およびガバナ
ー特性を示すグラフである。
【図15】同、プリストローク制御装置50(図3)あ
るいはプリストローク制御装置60(図5)およびプリ
ストローク制御装置70(図8)をすべて採用した場合
の進角特性およびガバナー特性を示すグラフである。
【図16】第二の発明によるプリストローク制御装置8
0(第5の実施例)の断面図である。
【図17】第一の発明における基本的実施例(第1の実
施例、図1)の円筒カム42部分をタイミングコントロ
ールロッド6の軸方向からみた要部側面図である。
【図18】同、要部断面正面図である。
【図19】同、ポンプスピードに対するそれぞれのアク
セル開度に応じたプリストローク制御特性(進角特性)
(1)、(2)、(3)、(4)を示すグラフである。
【図20】同、図19のそれぞれの進角特性(1)、
(2)、(3)、(4)に対応したガバナー特性を示す
グラフである。
【図21】第三の発明によるプリストローク制御装置9
0(第6の実施例)のテンションレバー13部分からマ
グネットカップリング26部分の要部斜視図である。
【図22】同、要部正面図である。
【図23】同、要部側面図である。
【図24】同、図19と同様な、ポンプスピードに対す
るそれぞれのアクセル開度に応じたプリストローク制御
特性(進角の急勾配特性(1)〜(11))を示すグラ
フである。
【図25】同、図20と同様な、図24のそれぞれの進
角の急勾配特性(1)〜(11)に対応したガバナー特
性を示すグラフである。
【図26】第四の発明の実施例(第7の実施例)による
プリストローク制御装置110の、テンションレバー1
3部分からマグネットカップリング26部分の要部斜視
図である。
【図27】同、プリストローク制御開始時期調整機構1
11の要部断面図である。
【図28】同、ポンプスピードに対する進角特性を示す
グラフである。
【図29】第四の発明の実施例(第8の実施例)による
プリストローク制御装置120の、テンションレバー1
3部分からマグネットカップリング26部分の要部斜視
図である。
【図30】第五の発明の実施例(第9の実施例)による
プリストローク制御装置131を装備した燃料噴射ポン
プ130の概略斜視図である。
【図31】同、セイフティ機構137の具体的構成を示
す要部拡大側面図である。
【図32】第五の発明の実施例(第10の実施例)によ
るプリストローク制御装置におけるセイフティ機構15
0の要部拡大斜視図である。
【図33】第五の発明の実施例(第11の実施例)によ
るプリストローク制御装置におけるセイフティ機構16
0の要部拡大斜視図である。
【図34】第六の発明の実施例(第12の実施例)によ
るプリストローク制御装置170の要部斜視図である。
【図35】同、要部側面図である。
【図36】同、プリストローク制御装置90(第6の実
施例、図21)と組み合わせた状態の要部斜視図であ
る。
【図37】同、ポンプスピードに対する進角特性および
ガバナー特性を示すグラフである。
【図38】第六の発明の実施例(第13の実施例)によ
るプリストローク制御装置180の要部側面図である。
【図39】従来の燃料噴射ポンプのプリストローク制御
装置1および従来からのメカニカルガバナー2の概略斜
視図である。
【図40】従来の他の燃料噴射ポンプのメカニカルガバ
ナー2とポンプ本体3との連結部分(変位伝達部分2
3)におけるマグネットカップリング26の要部拡大断
面図である。
【図41】同、メカニカルガバナー2側からポンプ本体
3側を見たマグネットカップリング26の、駆動側外極
磁石27と従動側内極磁石28とが相対した中立状態お
よび角度θだけずれた変位状態を示す要部概略断面図で
ある。
【図42】同、変位角度θと復元トルクTとの関係を示
す特性図である。
【図43】同、ポンプの回転数Npに対するタイミング
進角量(プリストローク)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置 2 メカニカルガバナー 3 ポンプ本体 4 プランジャ 5 制御スリーブ 6 タイミングコントロールロッド 7 係合溝 8 係合ピン 9 カムシャフト 10 ガイドスリーブ 11 フライウェイト 12 回動用固定軸 13 テンションレバー(プリストローク制御用レバ
ー) 14 タイミングカム 14A タイミングカム14のカム面 15 カウンターウェイト 16 カム当接片 16A カム当接片16のカム面当接端部 17 連結レバー 18 回動用固定軸 19 カウンターウェイトスプリング(タイミングコン
トロールロッド6のリターンスプリング) 20 メカニカルガバナー2のガバナー機構 21 トルクカム 22 噴射量コントロールラック 23 変位伝達部分 24 変位伝達軸 25 隔壁 26 マグネットカップリング 27 駆動側外極磁石 28 従動側内極磁石 30 燃料噴射ポンプ 31 燃料噴射ポンプ30のプリストローク制御装置
(第1の実施例、第一の発明、図1) 32 カウンターウェイトケース 33 U字レバー 34 カウンターウェイト 35 当接レバー 36 進角調整用付加デバイス 37 デバイスハウジング 38 制御シャフト 39 中間リンク 40 ガイドレバー 41 制御レバー(センサーレバー) 42 円筒カム 42A 円筒カム42のカム面 43 当接ピン 50 プリストローク制御装置(第2の実施例、第一の
発明、図3) 51 ワックスデバイス 52 制御シャフト 53 中間レバー 54 固定軸 55 圧縮スプリング 56 引張りスプリング 57 遅角側ストッパー 58 伸縮用ゴム材 59 ワックス 60 プリストローク制御装置(第3の実施例、第一の
発明、図5) 61 形状記憶合金スプリング 70 プリストローク制御装置(第4の実施例、第一の
発明、図8) 71 第1のレバー 72 第2のレバー 73 第3のレバー 73A 第3のレバー73の押圧片 74 引張りスプリング 75 第1の回動軸 76 第2の回動軸 77 アクセルワイヤ 78 圧縮スプリング 79 レバーストッパー 80 プリストローク制御装置(第5の実施例、第二の
発明、図16) 81 制限ストッパー 82 調整ナット 83 キャップナット 90 プリストローク制御装置(第6の実施例、第三の
発明、図21) 91 連結ロッド 92 第1のレバー 93 第2のレバー 93A 第2のレバー93の当接片 93B 第2のレバー93の初期位置制限用突起 93C 第2のレバー93の最終位置制限用突起 94 リンク 95 タイミングカム 95A タイミングカム95のカム面 96 タイミングレバー 96A タイミングレバー96の当接片 97 連結ピン 98 コイルスプリング 99 スプリングストッパー 100 第1の回動用固定軸 101 第2の回動用固定軸 102 第3の回動用固定軸 103 フライウェイト側トルク伝達機構 110 プリストローク制御装置(第7の実施例、第四
の発明、図26) 111 プリストローク制御開始時期調整機構 112 プリストローク制御装置110のセイフティ機
構(第五の発明、図26) 113 位相調整用ロッド 114 固定ブロック 115 コイルスプリング 116 調整用キャップナット 117 締付け用ボルト 118 メカニカルガバナー2のガバナーハウジング 118A ガバナーハウジング118の調整用開口部 120 プリストローク制御装置(第8の実施例、第四
発明、図29) 121 ストッパーピン 130 燃料噴射ポンプ 131 燃料噴射ポンプ130のプリストローク制御装
置(第9の実施例、第五の発明、図30) 132 中間リンク 137 セイフティ機構 138 第1の中間リンク 139 第2の中間リンク 140 圧縮スプリング 150 セイフティ機構(第10の実施例、第五の発
明、図32) 151 長孔 152 回動軸 153 第1のスプリングシート 154 第2のスプリングシート 160 セイフティ機構(第11の実施例、第五の発
明、図33) 161 長孔 162 回動軸 163 第1のスプリングシート 164 第2のスプリングシート 170 プリストローク制御装置(第12の実施例、第
六の発明、図34) 171 スピードレバー 172 調整用スクリュー 173 斜めレバー 174 当接ピン 175 コイルスプリング 176 回動軸 177 アクセルワイヤ側トルク伝達機構 180 プリストローク制御装置(第13の実施例、第
六の発明、図38) 181 ローラー 182 斜めレバー R マグネットカップリング26の回動半径 L1 タイミングカム95のリンク94側の腕の長さ L2 タイミングカム95のタイミングレバー96側の
腕の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 香取 勉 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株式会社ゼクセル 東松山工場内 (72)発明者 大澤 照男 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株式会社ゼクセル 東松山工場内 (56)参考文献 特開 平3−260342(JP,A) 特開 平3−237224(JP,A) 特開 平2−55569(JP,A) 特開 平3−233144(JP,A) 実開 昭62−78079(JP,U) 特公 昭51−27806(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 1/04 F02D 1/18 F02M 59/28

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関に連結したカムシャフトの回転に
    応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラン
    ジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウェイ
    トと、 このフライウェイトと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 前記タイミングコントロールロッドに係脱可能とすると
    ともに、前記マグネットカップリングとは独立して前記
    プリストロークを制御可能な進角調整用付加デバイス
    と、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  2. 【請求項2】 前記進角調整用付加デバイスはこれ
    を、温度に応じて前記プリストロークを制御可能な温度
    進角調整部材としたことを特徴とする請求項1記載の燃
    料噴射ポンプのプリストローク制御装置。
  3. 【請求項3】 前記進角調整用付加デバイスはこれ
    を、前記機関への負荷に応じて前記プリストロークを制
    御可能な負荷進角調整部材としたことを特徴とする請求
    項1記載の燃料噴射ポンプのプリストローク制御装置。
  4. 【請求項4】 機関に連結したカムシャフトの回転に
    応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラン
    ジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウェイ
    トと、 このフライウェイトと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 前記タイミングコントロールロッドに取り付けたカウン
    ターウェイトと、 このカウンターウェイト側に対向して設けるとともに、
    前記マグネットカップリングとは独立して最小プリスト
    ロークを決定可能な制限ストッパーと、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  5. 【請求項5】 機関に連結したカムシャフトの回転に
    応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラン
    ジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウェイ
    トと、 このフライウェイトと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 前記フライウェイトの移動に応じて駆動可能なタイミン
    グカムと、 このタイミングカムと前記マグネットカップリングとを
    連結して前記マグネットカップリングを所定角度だけ回
    動可能とするフライウェイト側トルク伝達機構と、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  6. 【請求項6】 前記フライウェイト側トルク伝達機構
    は、 前記マグネットカップリングの外面部に設けた連結ピン
    と、 この連結ピンに連結するとともに前記タイミングカムの
    カム面に当接して揺動するタイミングレバーと、を有す
    ることを特徴とする請求項5記載の燃料噴射ポンプのプ
    リストローク制御装置。
  7. 【請求項7】 機関に連結したカムシャフトの回転に
    応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラン
    ジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウェイ
    トと、 このフライウェイトと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 このマグネットカップリングと前記フライウェイトとの
    間において該フライウェイトの移動に応じてそのトルク
    の伝達のタイミングを変化させることによりプリストロ
    ークの制御開始時期を調整するプリストローク制御開始
    時期調整機構と、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  8. 【請求項8】 前記プリストローク制御開始時期調整
    機構は、 前記フライウェイトに連結するとともにその突出し量を
    調整可能とした位相調整用ロッドと、 この位相調整用ロッドに連結した第1のレバーと、 前記フライウェイトのリフト量に応じて所定のタイミン
    グでこの第1のレバーを介して駆動可能とするとともに
    前記マグネットカップリングに連結可能な第2のレバー
    と、を有することを特徴とする請求項7記載の燃料噴射
    ポンプのプリストローク制御装置。
  9. 【請求項9】 前記第2のレバーに、初期位置制限用
    突起および最終位置制限用突起を形成したことを特徴と
    する請求項7記載の燃料噴射ポンプのプリストローク制
    御装置。
  10. 【請求項10】 機関に連結したカムシャフトの回転
    に応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラ
    ンジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記カムシャフトの回転に応じて移動するフライウェイ
    トと、 このフライウェイトと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 このマグネットカップリングを含むプリストローク制御
    機構と、前記フライウェイトを含むガバナー機構との間
    に設けるとともに、このマグネットカップリングの不具
    合時においても該フライウェイトの移動にもとづくこの
    ガバナー機構の作動を保証可能なセイフティ機構と、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  11. 【請求項11】 前記セイフティ機構は、前記ガバナ
    ー機構における前記フライウェイトに連動するテンショ
    ンレバーと、このテンションレバーに対して移動可能と
    した位相調整用ロッドに連結したレバーとの間にこれを
    設けたことを特徴とする請求項10記載の燃料噴射ポン
    プのプリストローク制御装置。
  12. 【請求項12】 前記セイフティ機構は、前記ガバナ
    ー機構における前記フライウェイトに連動するテンショ
    ンレバーに連結した中間リンクにこれを設けたことを特
    徴とする請求項10記載の燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  13. 【請求項13】 前記セイフティ機構は、前記ガバナ
    ー機構における前記フライウェイトに連動するテンショ
    ンレバーに連結した中間リンクと該テンションレバーと
    の間、あるいはこの中間リンクと前記マグネットカップ
    リングに当接するセンサーレバーとの間のいずれか一方
    にこれを設けたことを特徴とする請求項10記載の燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置。
  14. 【請求項14】 機関に連結したカムシャフトの回転
    に応じて往復動することにより燃料を吸入圧送するプラ
    ンジャと、 このプランジャに摺動自在に外嵌した制御スリーブと、 この制御スリーブに連結したタイミングコントロールロ
    ッドと、を有するとともに、 このタイミングコントロールロッドを操作することによ
    り前記プランジャと前記制御スリーブとの軸方向の相対
    位置を変えてプリストロークを調節するようにした燃料
    噴射ポンプのプリストローク制御装置であって、 前記機関のアクセルワイヤに連結したスピードレバー
    と、 このスピードレバーと前記タイミングコントロールロッ
    ドとの間の変位伝達部分に設けたマグネットカップリン
    グと、 前記スピードレバーにより駆動可能な斜めレバーと、 この斜めレバーと前記マグネットカップリングとを連結
    して前記マグネットカップリングを所定角度だけ回動可
    能とするアクセルワイヤ側トルク伝達機構と、 を有することを特徴とする燃料噴射ポンプのプリストロ
    ーク制御装置。
  15. 【請求項15】 前記アクセルワイヤ側トルク伝達機
    構は、 前記マグネットカップリングの外面部に設けるとともに
    前記斜めレバーにより駆動可能な当接ピンを有すること
    を特徴とする請求項14記載の燃料噴射ポンプのプリス
    トローク制御装置。
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