JP3439611B2 - シールドルームの扉装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種の電磁波発生
機器を収容するための電磁波シールドルーム、電算機
室、測定実験用の電波暗室等のシールドルームの開口
部、例えば出入り口に使用される扉装置に関する。 【０００２】 【従来の技術とその課題】従来のシールドルームの扉装
置は、代表例として、図１０（Ａ）に示すシールドフィ
ンガーによるシールド、あるいは図１０（Ｂ）に示す面
接触によるシールドによって電磁波の遮蔽が行われてい
る。シールドフィンガーを用いたシールドの場合はシー
ルドパネル１固定されたドア枠２と、蝶番３により開閉
自在に取着された、シールドドアを構成するドア本体４
との重なり合う部分において、ドア枠側の全周囲に導電
性のシールドフィンガー５を配置するとともに、一方ド
ア本体側の全周囲にはドア枠のシールドフィンガーに差
し込まれる導電性部材６が設けられている。ドア本体４
を閉じると導電性部材６がシールドフィンガーに差し込
まれて電気的に接続されることにより、ドア枠２とドア
本体４の間、つまりシールドルームの内外の電磁波を遮
蔽する。また、面接触によるシールドの場合はドア枠２
とドア本体４が重合う部分において、互いにスズ溶射面
７Ａ及び７Ｂを対向させて形成し、ドア本体４を閉じた
とき互いの溶射面７Ａ，７Ｂを接触状態にして電気的な
接続をすることにより、上記同様の電磁波の遮蔽を行う
ものである。 【０００３】上記、従来のドア装置ではドア本体の開閉
方向でドア枠とドア本体の電気的な接続が行われるの
で、フロア側の電気的な接続部分をフロア面より高い位
置に設けなければならなかった。その為、シールドルー
ムの出入り口にフロア面より高い出張りができてしま
い、人の出入りや機器を搬出入する際に支障を来してい
た。本発明の目的は、建物の構造に合わせてシールドル
ームの開口部のドアを構成することができ、かつ確実に
電磁波の遮蔽を行うことができるシールドルームの扉装
置を提供することにある。また他の目的は、フロアと同
じレベル面の出入り口を構成することができ、かつ確実
に電磁波の遮蔽を行うことができるシールドルームの扉
装置を提供することにある。 【０００４】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、シールドルームの開口部に開閉可能に取
着され、閉じたとき電磁波を遮蔽する扉装置において、
シールドルームの開口部を構成し、内周側の内部全体に
導電性シールド材を有するドア枠と、該ドア枠に開閉可
能に設けられ、外周側の内部全体に導電性シール材を有
するドア本体と、ドア枠又はドア本体のいずれか一方に
配置され、他方に向けて突出可能に設けられ、該突出時
にドア本体の導電性シール材とドア枠の導電性シールド
材を電気的に接続する導電性のナイフプレートと、ナイ
フプレートを突出させる機構とを備え、ナイフプレート
は、ドア枠又はドア本体の四隅に配置されたナイフプレ
ートと、左右側部に配置された辺部分のナイフプレート
と、上下側部に配置された辺部分のナイフプレートとか
ら成り、各ナイフプレートが隣接するナイフプレートの
一部で摺接移動可能に重なり合って配置されていると共
に、四隅に配置されたナイフプレートがドア枠又はドア
本体の各々の四隅に向けて突出するよう構成されている
ことを特徴とする。 【０００５】 【発明の作用・効果】本発明によれば、ドア枠又はドア
本体の周側全体から外に向けてナイフプレートをドア本
体又はドア枠の周側全体ニ突出させ、その周側全体にお
いて導電性シール材に接触させ、ドア本体又はドア枠側
の導電性シール材との間をナイフプレートを介して電気
的に接続する扉構造としたことにより、ドア枠の下辺を
フロア面とほぼ同じレベルか、それより若干低いレベル
に位置させることができる。その為、シールドルームの
出入り口の沓掛部分をフロアとほぼ同じレベルに設ける
ことができ、人の出入りや機器の搬出入が安全かつ容易
になる。またナイフプレートを複数のナイフプレートで
構成し、各ナイフプレートが隣接するナイフプレートの
一部で摺接移動可能に重なり合う部分を設けたことによ
り四隅のナイフプレートと辺部分の直線状のナイフプレ
ートの動きの違いに応じたプレート突出機構を構成する
ことができるとともに、隣接するナイフプレートとの重
なり合う部分における電磁波を確実に遮蔽することがで
きる。 【０００６】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照し
ながら説明する。図１にシールドルームの開口部に装着
した状態の扉装置の正面図を示す。図２はＡ−Ａ断面
図、図３はＢ−Ｂ断面図である。本実施形態はスイング
タイプの扉装置に適用したものであるが、スライドタイ
プの扉装置にも当然適用可能である。シールドパネルで
構成されるシールドルームの開口部、例えば出入り口に
取り付けられたドア枠２に、ドア本体４が蝶番３によっ
て開閉自在に装着されている。ドア本体４はシールドル
ームの外部に位置される外側パネル４ａとその内部に位
置される内側パネル４ｂを備えており、シールドドア構
造になっている。 【０００７】図４において、ドア枠２はドア枠外パネル
２ａとドア枠内パネル２ｂにより構成されており、ドア
本体４に対向する側、つまり図示の扉が閉じたとき、そ
のドア本体４の周側部３ｃに対向する全内周が開放され
た開放部２ｃを有する。ドア枠２の開放部２ｃ近傍のパ
ネルの内側にはドア枠２の全周にわたって導電性シール
ド材としてシールドフィンガー５が対向して配設されて
おり、シールドフィンガー５は、例えばベリリウム銅で
作製させている。 【０００８】ドア本体４の周側部３ｃにはドア枠２の開
放部２ｃに対向するドア側開放部３ｄが全周に形成され
ており、このドア側開放部３ｄの近傍のパネル内側に、
例えばベリリウム銅からなるシールドフィンガー７が配
設されている。ドア側開放部３ｄには常時シールドフィ
ンガー７に電気的な接触状態で導電性のナイフプレート
８が設けられ、エアシリンダー９より図示の矢印方向に
出没自在に構成されている。ナイフプレート８はＬ形の
連結部材１０を介してエアシリンダー８のシリンダロッ
ド８ａに連結されている。シールドフィンガー５及び７
はこの種のシールド材として既知であり、ドアの開閉時
のワイピング効果によって常に導電性が維持される。 【０００９】扉が閉じられたとき、ナイフプレート８が
突出してドア枠の開放部２ｃのシールドフィンガー５に
差し込まれ、ドア枠２とドア本体４を電気的に接続する
ことにより、シールドルームの内外の電磁遮蔽を行う。
ドア本体４の内部には、図５に示すように複数のナイフ
プレート８、一部のナイフプレート８を移動させる為の
複数のエアシリンダ９、図示を省略した各エアシリンダ
９へのエア供給をＯＮ−ＯＦＦする為のエアバルブ、ド
アの開閉を操作するハンドル（図１の符号１１）をルー
ム内から自動操作するためのエアシリンダ及びそのバル
ブ（図示せず）等が配置されている。ナイフプレート８
はドア本体４の四隅に配置されるＬ形のナイフプレート
８Ａ、左右側部に配置される長いナイフプレート８Ｂ、
上下側部に配置される短いナイフプレート８Ｃからな
り、それぞれのナイフプレートは図中の符号１２で示す
部分で隣接するナイフプレートと一部重なり合うように
配置される。 【００１０】各ナイフプレートは、図７に矢印で示す方
向に移動可能になっている。特に、四隅のナイフプレー
ト８Ａと辺部分のナイフプレート８Ｂと８Ｃは異なる動
きをするため、その重なり合う部分１２のドア本体側
（ナイフプレートがドア枠側に配置されている場合はド
ア枠側となる）にはナイフプレートが接触するドア本体
側のシールドフィンガーとナイフプレートとの間に薄い
導電性プレート、例えば薄い銅プレート等を介在させ
る。これにより、隅のナイフプレートが隣接するナイフ
プレートとの重なり合う部分において４５°の摺接移動
する際に、隅のナイフプレートの側方エッジ部分が介在
された薄い銅プレート上を摺動することによりシールド
フィンガーに引っ掛かるのを防止でき、動作の信頼性を
高めることができる。 【００１１】ナイフプレート８Ａはエアシリンダ９Ａに
よってドア枠２の内コーナに向けて動かし突出させる。
ナイフプレート８Ｂはその中央にエアシリンダ９Ｂが連
係され、そのエアシリンダ９Ｂを挟んで上下に離間して
スプリング機構１３（１３Ａ〜１３Ｃ）が連係されてい
る。また上下のナイフプレート８Ｃは両側方にあるナイ
フプレート８Ａに係合され、エアシリンダ９Ａの作動に
よりナイフプレート８Ａを突出させるとき、その動きに
合わせてドア枠方向に突出させる。ナイフプレート８Ａ
と７Ｃの係合構造は、一例としてナイフプレート８Ｃと
重なり合うナイフプレート８Ａのドア本体の内部側のエ
ッジ部分に係合片（図示せず）を設け、この係合片をナ
イフプレート８Ａのエッジ部分に係合させ該部分でナイ
フプレート８Ｃを押す。ナイフプレート８Ａとナイフプ
レート８Ｂ，７Ｃを同じ突出量にする為、エアシリンダ
９Ａと８Ｂのピストンのストローク調整がなされてい
る。スプリング機構１３は、圧縮スプリングが用いられ
ており、エアシリンダ９へのエア供給のＯＮにより突出
したナイフプレート８をエアシリンダ９へのエア供給を
ＯＦＦした時、圧縮スプリングの圧縮力によりナイフプ
レート８をドア本体内に引っ込める作用、つまり元の位
置に戻す機能を持っている。 【００１２】図６において、ドアがＯＰＥＮ位置にある
とき、ナイフプレート８はスプリング機構１３によって
ドア本体４の内部に引っ込められており、一方ドアがＣ
ＬＯＳＥ位置にあるとき、ナイフプレート８はエアシリ
ンダ９によってドア本体４から突出しドア枠２のシール
ドフィンガー５に差し込まれて電気的に接続され、電磁
波の遮蔽で行われる。図７から図９において、ナイフプ
レート８は図７の実線で示す位置、つまりドアを開いた
状態（ＯＰＥＮ）にあるときは図８と図９に示すように
ドア本体４の内部に引っ込められており、一方ドアを閉
じた状態（ＣＬＯＳＥ）にあるときは図７の矢印方向に
動いて破線で示す位置にあって、図８と図９に示すよう
にドア本体４から突出してドア枠２内のシールドフィン
ガー５に差し込まれ電気的に接触状態になる。 【００１３】ドアを閉めるとき、図８のＣＬＯＳＥ時に
エアを供給してエアシリンダ９を作動させることにより
ナイフプレート８が図示の矢印方向に動いてドア本体４
から突出し、ドア枠２の内部に差し込まれシールドフィ
ンガー５に電気的に接続される。このとき図９に示すス
プリング機構１３はエアシリンダ９Ｂ（図５参照）に連
結されたナイフプレート８Ｂ、または隣接する四隅に配
置されたナイフプレート８Ａに連係されたナイフプレー
ト８Ｃの動きによってスプリング力に抗して伸張する。
ドアを開けるとき、図８のＯＰＥＮ時にエアの供給を停
止してエアシリンダ９を非作動にすることにより図９に
示すスプリング機構１３のスプリングの圧縮力でナイフ
プレート８Ａ，８Ｂをドア本体内に引っ込め、ドア枠と
の電気的な接続を断つ。 【００１４】ナイフプレート８の配置はドア本体側に限
定されるものでなく、シールドルームの設置場所や構造
等の仕様によってドア枠側にすることもできる。この場
合、ナイフプレートを作動させる機構は上述のドア本体
側に設けたものと同様な機構を採用することができるの
で、その図示を省略する。特に、ナイフプレートをドア
枠側に配置すると、プレート作動手段を構成する部品、
例えばエアシリンダ、バルブ、配管等が固定側になるた
め、ドア本体が軽量化され、ドアのスイング機構やスラ
イド機構、ドア本体の強度的な構造設計がし易くなり、
コスト低減が図れる。 【００１５】上記の実施形態では導電性シールド材（シ
ールドガスケット）としてシールドフィンガーを用いた
もので説明したが、ＥＭＩシールドとして標準的に用い
られるワイヤメッシュ、又はエラストマー芯入りのワイ
ヤーメッシュ、あるいはソフトシールドとして用いられ
る、圧縮容易なウレタンフォームの芯材にシルバーコー
ティングナイロンを被覆したシュレーゲルＥＭＩガスケ
ット、又は圧縮容易なウレタンフォームの芯材に導電布
を被覆したシュレーゲルＩ／Ｏガスケット等を用いるこ
とができる。 【００１６】またナイフプレートをドア枠に向けて突出
させ、またはドア本体側に引っ込めるプレート作動手段
としては、複数のエアシリンダを用いたもので説明した
が、これに限定されるものでなく、各種の機構によって
構成することができる。例えば、各ナイフプレートをリ
ンク機構によって作動させるものとし、それぞれのリン
ク機構に１つのエアシリンダの駆動力を伝達して作動さ
せるもの、又は前記リンク機構に代えてギア機構を用い
たもの、あるいはドアハンドルの回転操作力をベルトに
より各ナイフプレートの直線運動変換機構、例えばカム
の回転により作動体を直線的に往復動させ、この作動体
にナイフプレートを連係させるもの、また各ナイフプレ
ートを膨張部材に連係し、この膨張部材へのエア供給を
制御すること、つまり膨張させることにより突出させ、
一方収縮させることにより引っ込める構造とすることも
できる。更に、建物の構造上、ドア枠をフロア面より高
くしなければならない場合であっても従来の扉装置に比
べてその高さを低くすることができる。また、本発明の
扉装置はシールドドアと同様の構造を必要とするシール
ドルームの出入り口以外の開口部の開閉装置にも好適で
ある。

【図面の簡単な説明】 【図１】 本発明を適用した、シールドルームの開口部
に装着した状態の扉装置の正面図である。 【図２】 図１のＡ−Ａ断面図である。 【図３】 図１のＢ−Ｂ断面図である。 【図４】 電磁波遮蔽部分の拡大図である。 【図５】 ドア本体内部の構造を示す部分的な平面図で
ある。 【図６】 実施形態の作用を説明する図である。 【図７】 ドア開閉時のナイフプレートの動きを示す説
明図である。 【図８】 図７のＣ−Ｃ断面による、ドア開閉時のエア
シリンダの作動を示す説明図である。 【図９】 図７のＤ−Ｄ断面による、ドア開閉時のスプ
リング機構の作動を示す説明図である。 【図１０】 従来のシールドドアの説明である。 【符号の説明】 １…シールドパネル、２…ドア枠、３…蝶番、４…ドア
本体、５…ドア枠側のシールドフィンガー、７…ドア本
体のシールドフィンガー、８…ナイフプレート、９…エ
アシリンダ、１１…ハンドル、１３…スプリング機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−287962（ＪＰ，Ａ) 特公 平５−21360（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭55−31195（ＪＰ，Ｙ２) 国際公開96／17507（ＷＯ，Ａ１)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 シールドルームの開口部に開閉可能に取
   着され、閉じたとき電磁波を遮蔽する扉装置において、 前記シールドルームの開口部を構成し、内周側の内部全
   体に導電性シールド材を有するドア枠と、 該ドア枠に開閉可能に設けられ、外周側の内部全体に導
   電性シール材を有するドア本体と、 前記ドア枠又は前記ドア本体のいずれか一方に配置さ
   れ、他方に向けて突出可能に設けられ、該突出時に前記
   ドア本体の導電性シール材と前記ドア枠の導電性シール
   ド材を電気的に接続する導電性のナイフプレートと、前記ナイフプレートを突出させる機構と、 を備え、 前記ナイフプレートは、前記ドア枠又は前記ドア本体の
   四隅に配置されたナイフプレートと、左右側部に配置さ
   れた辺部分のナイフプレートと、上下側部に配置された
   辺部分のナイフプレートとから成り、前記各ナイフプレ
   ートが隣接するナイフプレートの一部で摺接移動可能に
   重なり合って配置されていると共に、前記四隅に配置さ
   れたナイフプレートが前記ドア枠又は前記ドア本体の各
   々の四隅に向けて突出するよう構成されていることを特
   徴とするシールドルームの扉装置。