JP3434524B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP3434524B2
JP3434524B2 JP10701492A JP10701492A JP3434524B2 JP 3434524 B2 JP3434524 B2 JP 3434524B2 JP 10701492 A JP10701492 A JP 10701492A JP 10701492 A JP10701492 A JP 10701492A JP 3434524 B2 JP3434524 B2 JP 3434524B2
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知由 笹川
順久 北川
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宏之 百武
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体、特に色素
を含有する膜を記録層とし、該記録層の上に反射層及び
保護層が設けられた単板型で大容量の情報が記録可能
で、且つ市販のコンパクトディスクプレーヤーと互換性
を有する光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の急速な情報化社会の進展に伴い、
磁気記録媒体に比べ格段に高密度記録が可能な光記録媒
体の利用・研究が盛んに行われている。この光記録媒体
としては、あらかじめ情報が記録されており再生のみが
可能な再生専用型、利用者によって情報の記録および再
生が可能な追記型、および情報の記録・再生・消失が可
能な書換え型が知られている。なかでも追記は、書換
え型よりも一般に安価で保存性に優れるため、大量のデ
ータをコンパクトに保存しておく媒体として広く普及し
つつある。
【0003】この追記型の光記録媒体は、Te、Biな
どの金属膜や、シアニン、フタロシアニンなどの色素膜
等を基板上に記録層としてもっており、レーザー光を照
射してこの記録層に物理的および/あるいは化学的変化
を起こさせてピットを形成することによって情報を記録
し、このピットを記録時よりも十分に弱いレーザー光に
よって読みだして再生を行うものである。
【0004】追記型の光記録媒体の中で、最近コンパク
トディスク(CD)プレーヤーと互換性を有する(再生
できる)媒体が開発され普及しつつある。このCDプレ
ーヤーで再生できる追記型の媒体は、例えば Optical D
ataStorage 1989 Technical Digest Series Vol.1 45(1
989) やEP-353393 等に提案されており、単板型で、有
機色素からなる記録層、金属の反射層及び保護層からな
る。しかしながら、記録層にはシアニン色素が用いられ
ているために耐光性、耐湿熱性の点で問題があった。
【0005】更に、EP-0373643号にはフタロシアニン系
色素を記録層としたCDプレーヤーで再生出来る追記型
の媒体が開示されている。フタロシアニン系色素、特に
非極性溶媒に可溶ナフタロシアニン系色素を記録層に用
いれば、耐光性や耐湿熱性には優れるが、これまでは十
分な記録信号特性が得られなかったり、特に、例えば1
00枚以上、或は1000枚以上製造した際の媒体の記
録信号特性の安定性(再現性)に欠けたり、記録感度が
悪いなどの問題があった。一方、前記したような色素を
記録層とする媒体に於て、記録層を成膜するには通常有
機色素溶液を塗布する方法、中でもスピンコート法が成
膜の容易さや経済性等の点から一般的である。
【0006】しかしながら、塗布方法で記録層を成膜し
た際の記録層中の残留溶媒量や記録層を成膜した後の乾
燥条件に関しては殆ど検討されていなかった。特開平2
−16083号には記録層に、色素単独でなく、溶媒和
した色素を用いる光記録媒体が開示されている。そし
て、極性溶媒を少なくとも0.01重量%以上、通常5
重量%以下で溶媒和せしめた色素が、ジッターやエラー
レートの点から好ましいとする。しかしながら、該光記
録媒体は、色素記録膜の上には反射層や保護層が形成さ
れてない媒体であり、且つシアニン系色素と極性溶媒に
関するだけで、非極性溶媒に可溶なフタロシアニン色素
を記録層に用い、記録層の上に反射層及び保護層が形成
された媒体に関しては何にも開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、非極性
溶媒に可溶なフタロシアニン色素を記録層に用い、該記
録層の上に反射層及び保護層が形成されたCDプレーヤ
ーで再生出来る追記型の媒体に関し、上記した課題を解
決すべく鋭意検討を重ねた結果、記録層中に残留する溶
媒の量、及び記録層の成膜後の乾燥条件が、大きく上記
問題に影響していることを見出し、本発明に至ったもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
板上に記録層、反射層、及び保護層がこの順に設けられ
た単板型光録媒体であって、上記記録層が非極性溶媒
に可溶性の置換フタロシアニン色素を非極性溶媒を用い
て塗布法により形成され、記録層中の色素の量が80〜
100重量%であり、且つ反射層及び保護層を形成した
後の記録層が含有する残存非極性溶媒が5重量%以下に
制御されていることを特徴とする光記録媒体を要旨とす
るものである。
【0009】本発明の光記録媒体の構成は、基本的に、
必要に応じてプリグループ(案内溝)を形成した透明な
基板の上に、レーザー光を吸収してピットを形成する記
録層が設けられており、その記録層の上に反射率を増大
させるための反射層が設けられており、さらにその上に
記録層および反射層を保護するために保護層が設けられ
ているものである。上記基板の材質としては、半導体レ
ーザーの光を実質的に透過し、通常の光記録媒体に用い
られる材料ならばいかなるものも使用できる。たとえ
ば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、アモルファスポリオレフィンなどの高分子材料、
あるいはガラスなどの無機材料等を利用できる。必要に
応じてこれらの材料を射出成形によって、あるいはフォ
トポリマーを用いる方法などによってプリグルーブを形
成した基板とする。本発明に於て記録層に用いられる色
素としては、半導体レーザーの発振波長との整合性及び
媒体の耐光性、耐湿熱性等を考慮すれば非極性溶媒可溶
の置換フタロシアニン色素が好ましい。しかして、本発
明に用いられる非極性溶媒に可溶性の置換フタロシアニ
ン色素としては、例えば、アルキル置換フタロシアニ
ン、アルコキシ置換フタロシアニン、アルキルチオ置換
フタロシアニン、トリアルキルシリル置換フタロシアニ
ン及びこれらのハロゲン化フタロシアニン等が挙げら
れ、中でもアルコキシ置換フタロシアニン、アルキルチ
オ置換フタロシアニン及びそれらをハロゲン化したフタ
ロシアニンが好ましい。これらの置換フタロシアニン色
素のより具体例は、EP- 0337209、EP-0373643号等に記
載されているものが好適である。この置換フタロシアニ
ン色素は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0010】次に本発明において前記した色素を溶解す
るのに用いられる非極性の有機溶媒は、特に限定はない
が、要するに用いる色素を溶解し、且つ塗布する際に基
板にダメージを与えない溶剤であればよい。ポリカーボ
ネート樹脂やアクリル樹脂基板等の通常よく用いられる
基板を考慮すれば、その溶解度パラメーターが8.5未
満の非極性有機溶媒が好ましい。溶解度パラメーターが
8.5以上の有機溶媒を用いた場合は、有機溶媒の種
類、塗布条件および記録位置制御用の案内溝の形状など
によって異なるが、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹
脂基板に塗布した場合、記録位置制御を十分に行うこと
が出来ず、信号の記録や読み出しがうまく行えない場合
が生じたり、エラーが増加するので好ましくない。これ
は、おそらく塗布時に基板のグループになんらかのダメ
ージが生じるものと推定される。なお、本発明における
溶解度パラメーターとは、δ={(△H−RT)/
L 1/2 [ ここでδ:溶解度パラメーター、△H:蒸
発熱、VL :モル体積を表す] の式により求めた値と
し、 △Hは、Hidebrandruleにより沸点より計算され
る。△H298 =23.7Tb+0.020Tb2 −29
50の値とする(ただしTb:沸点)。従って、溶解度
パラメーターも298°Kの値とする。尚、Hidebrand
ruleにより沸点が求められた溶解度パラメーターの具体
例は、例えば浅原照三編、講談社発行、溶剤ハンドブッ
ク62〜63頁に一部具体的に記載されている。又Hide
brand ruleによる溶解度パラメーターの計算方法に関し
ては、J.H.Hildebrand," Solubility of Nonelectrol
ytes"424−427(1950),Reinhold Publishi
ng Co. に記載されている。
【0011】本発明に用いられる溶解度パラメーターが
8.5未満の有機溶媒の具体例としては、例えばペンタ
ン、n−ヘキサン、イソヘキサン、3−メチル−ペンタ
ン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプ
タン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−
エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−
ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3
−ジメチルペンタン、2,2,3,−トリメチルブタ
ン、n−オクタン、イソオクタン及びオクタンの他の異
性体、ノナン及びその異性体、デカン及びその異性体、
ウンデカン、ドデカンなどの飽和脂肪族炭化水素;ペン
テン、ヘキセン及びその異性体、ヘキサジエン及びその
異性体、ヘキサトリエン、ヘプテン及びその異性体、ヘ
プタジエン及びその異性体、ヘプタトリエン、オクテン
及びその異性体、オクタジエン、オクタトリエン、ノネ
ン、ノナジエン、ノナトリエン、デセン、ウンデセン、
ドデセンなどの不飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、
エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキ
サン、イソプロピルシクロヘキサン、シクロヘプタン、
シクロオクタンなどの飽和脂環式炭化水素;シクロペン
テン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、メチルシ
クロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、エチルシクロ
ヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジ
エン、シクロヘプテンなどの不飽和脂環式炭化水素;更
にテルペン系炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロピル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジイソブチルエーテル、ジペンチルエーテルなどの
鎖状エーテル類;トリクロロトリフルオロエタン、塩化
プロピルなどが挙げられるが、中でも前記した飽和脂肪
族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環式炭化水
素、不飽和脂環式炭化水素や鎖状エーテル類が好まし
く、それらの中でも沸点が180℃以下のものが記録層
の形成のしやすさの点で特に好ましい。これらの溶媒は
1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】本発明においては前記した溶解度パラメー
ターが8.5未満の有機溶媒以外に溶解度パラメーター
が8.5以上の溶媒を該8.5未満の溶媒と混合して使
用してもよい。例えばベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢
酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノエチル
エーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒;エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ベンジル
アルコールなどのアルコール系溶媒;クロロホルム、四
塩化炭素、塩化メチレン、メチルクロロホルム、トリク
レン、テトラクロルエチレン、ジクロルエチレン、ジク
ロルエタン、テトラクロルエタン、テトヒドロフラン、
ジオキサン、シグライム、ジメチルホルムアミドなどの
溶解度パラメーターが8.5以上の溶媒を8.5未満の
溶媒と混合して使用してもよいのである。もちろんこの
場合でも、混合した溶媒の溶解度パラメーターが8.5
未満になるように混合割合を調整しなければならないこ
とは言うまでも無い。
【0013】本発明において、溶媒を混合して用いる場
合には、混合した溶媒の溶解度パラメーターは混合した
各溶媒の体積分率と各溶媒の溶解度パラメーターとの積
の和すなわち下記の(1)式で求めた値とする。 δ=V1 δ1 +V2 δ2 +V3 δ3 +・・・+Vn δn ・・・・(1) ここで、 V1 ,V2 ,V3 ,・・,Vn :混合溶媒中の各溶媒の
体積分率 δ1 ,δ2 ,δ3 ,・・,δn :混合溶媒中の各溶媒の
溶解度パラメータ 本発明における前記色素溶液の濃度は溶媒の種類及び記
録膜の形成方法によって異なるが、通常0.1〜10重
量%、好ましくは0.3%〜5重量%である。この際本
発明の効果を阻害しない範囲において、すでに公知の例
えば芳香族又は不飽和脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香
族又は不飽和脂肪族ジオール系金属錯体、ポリメチン系
色素、スクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、ア
ントラキノン系色素類等を好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは20重量%以下混合して使用することが
できる。これらの色素を添加する際はこれらと本発明の
色素との両方の色素を溶解するように溶媒を選択しなけ
ればならない。
【0014】本発明においては記録膜を形成する際に記
録膜の平滑性を高めるためや、ピンホール等の欠陥を少
なくするために本発明の置換フタロシアニン色素の溶液
もしくは必要ならば置換フタロシアニン色素と前記した
他の色素との溶液にニトロセルロース、エチルセルロー
ス、アクリル樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、酢酸ビ
ニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラー
ル、ポリエステル樹脂などの可溶性の樹脂やレベリング
剤、消泡剤などの添加剤を加えてもよい。しかしなが
ら、これらの樹脂や添加剤を必要以上に多量に添加する
と、記録層の反射率が低下したり、記録膜において色素
が均一に溶解せず分散状態になったりして記録感度が低
下したり反射率が低下することになる。これらの点より
樹脂バインダー及び添加剤の添加量は記録膜中の20重
量%未満、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは
5重量%以下である。いいかえれば、本発明において記
録層中の置換フタロシアニン色素の量と前記したような
混合して用いることの可能な色素の合計量は少なくとも
80重量%〜100重量%、好ましくは90重量%〜1
00重量%、さらに好ましくは95重量%〜100重量
%である。これらの物質を上記基板上に均一な膜として
成膜し、記録層を形成させる。このとき、反射膜を形成
後に十分な反射率が得られるように、あらかじめ記録層
の膜厚を調整する。
【0015】本発明において、この記録層を形成する方
法としては、スピンコート法、ディップコート法、バー
コート法などの塗布法を用いることができるが、スピン
コート法が一般的である。すなわち、置換フタロシアニ
ン色素を主体とし、これを非極性溶媒に溶解して、塗布
液を調製し、これを上記基板上に塗布後、乾燥して記録
層を形成するものである。本発明においては、反射層お
よび保護層を形成した後の媒体の記録層中の残留溶媒濃
度を5重量%以下に制御しなければならない。残留溶媒
の量が5重量%を越える場合は、十分な記録信号特性が
得られなかったり、特に、例えば100枚以上、或は1
000枚以上製造した際の媒体の記録信号特性の安定性
(再現性)に欠けたり、記録感度が悪くなり好ましくな
い。残留溶媒濃度の下限は特に規定していないが、生産
性などの点から0.05重量%以上が適当である。残留
溶媒を5重量%以下にするには記録層を形成後乾燥すれ
ばよい。乾燥する際の温度は条件は室温でも又は加熱し
てもよい。しかして、本発明者らの検討によると、乾燥
時間及び乾燥温度は、T×t1/2 (Tは温度( ℃ )、t
は時間( hr)を表す)が50以上が好ましく、100以
上がより好ましい。T×t1/2 の上限は特にないが、生
産性などの点からは300以下が好ましい。更に、媒体
の生産性や媒体の記録信号特性の安定性からは乾燥温度
は50℃以上が好ましく60℃以上が最も好ましい。乾
燥温度の上限は基板の耐熱性などを考慮すれば100℃
以下が好ましい。記録層を50℃以上で乾燥した場合は
基板や記録層に残留する応力が緩和され本発明の効果が
より一層顕著に発現するものと考えられる。又、乾燥時
間は通常15分〜25時間程度である。一方、乾燥時の
圧力は常圧又は減圧で行ってもよい。本発明に於ける記
録感度とは最適記録パワーのことを言い、EFM変調信
号を記録し、該信号を交流で読み出した際の信号(AC c
oupled HF signal)振幅の上端部をA1、下端部をA2とし
たとき β=(A1−A2)/(A1+A2)とし、β=0.04と
なる記録パワーを言う。一般に、記録感度はピットの形
成の速さに関係し、例えば、記録層に溶剤が残留し、色
素の溶融温度が低下したり、熱分解温度が低下すれば記
録感度は良好となるとする。しかしながら、本発明で定
義した記録感度においては、9種のピット、特に最長ピ
ットと最短ピットの形成され方に依存し、必ずしも色素
の溶融温度が低下したり、熱分解温度が低下しても記録
感度は良好にはならないことに注意すべきである。媒
体、すなわち、反射層及び保護層を形成した後の記録層
の残留溶媒濃度を測定するには、反射層及び保護層を剥
離した後、記録層中の残留溶媒を別の溶媒で抽出した
り、密封系で加熱して追い出し、ガスクロマトグラフィ
ーにより定量出来る。また、重量減少の測定により求め
る方法や赤外分光法によるピーク強度比から測定する方
法を用いることも可能である。
【0016】本発明においては、上記のごとき記録層と
基板との間に、塗布溶媒に対する耐性を向上させるた
め、記録層の劣化防止などのため各種の下地層を設ける
ことも可能である。この下地層としては、たとえば、ポ
リカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレ
ンなどの高分子物質、SiO2 、SnO2 、Al
2 3 、AlNなどの無機物を用いることができる。こ
れらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよ
い。また、多層膜として2種以上を重ねて使用しても構
わない。本発明においては、記録層を形成した後、該記
録層の上に反射層を成膜する。反射層としては、例え
ば、Au、Ag、Al、Pt、Cu等の金属又はこれら
金属の酸化物の薄膜が挙げられる。又、これら金属は1
種又は2種以上の合金でもよい。更に、前記した金属以
外に、例えば、Cr、Ni、Si、Ge、Pb、Pd、
Sn、Sb等の他の金属を副成分として用いてもよい。
反射層を成膜するには、通常、真空蒸着、スパッター、
イオンプレーティング等の方法が用いられる。反射膜の
膜厚は通常20〜200nm程度である。この記録層と
反射層の間に反射率を向上させるため、記録層と反射層
の間の接着力を向上させるため等の目的でさらに中間層
を設けることもできる。この中間層として用いる事がで
きる物質の例としては、ポリカーボネート、ポリメタク
リル酸メチル、ポリスチレンなどの高分子物質;SiO
2 、SnO2 、Al2 3 、AlNなどの無機物;シラ
ンカップリング剤などを挙げることができる。これら
は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。ま
た、多層膜として2種以上を重ねて使用しても構わな
い。本発明においては、上記反射層上には保護層を設け
る。この保護層は記録膜および反射膜を保護できるもの
ならば特に限定されない。例えば、ポリカーボネート、
アクリル、ポリスチレン、塩化ビニル、エポキシ、ポリ
エステルなどの高分子材料、あるいはSiO2 、Al2
3 、AlNなどの無機物を用いることができる。なか
でも、紫外線硬化アクリル樹脂やエポキシ樹脂は、容易
に保護層を形成できるので好適である。これらは、単独
で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、多層
膜として2種以上を重ねて使用しても構わない。保護層
の膜厚は通常2〜20μm程度である。又、本発明の光
記録媒体は、保護層の上に印刷などを行うこともでき
る。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明の実施の態様はこれにより限定される
ものではない。実施例1 厚さ1.2mm、直径120mmのスパイラル状のグル
ーブ(深さ120nm、巾0.5μm、ピッチ1.6μ
m)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂基板上に、
Pd−テトラー(1,2−ジメチルプロポキシ)−フタ
ロシアニンのブロム(平均4.2個/1分子)化色素の
2重量%のn−ヘキサン溶液を滴下したのち、この樹脂
基板を1100rpmの速度で20秒間回転した。同じ
条件で作製したこの塗布基板の色素中の溶媒濃度を分析
したところ、10重量%含有していた。分析は色素を剥
離した後トルエンに溶解して、ガスクロマトグラフィー
により求めた。次の上記塗布基板を80℃で10時間
(T×t1/2 =253)熱風乾燥して記録層を形成し
た。この記録層の上に反射層として厚さ120nmの
薄膜をスパッタにより成膜した後、保護層として3μm
の紫外線硬化樹脂層を成膜し、媒体を作製した。この媒
体の保護層及び反射層を剥離し、記録層中の残留溶媒量
をガスクロマトグラフィーで測定したところ、1.2重
量%であった。このようにして作製した光記録媒体に、
780nmの発振波長を有する半導体レーザを搭載した
光学ヘッドを有する光ディスク記録装置を用いて、線速
度1.4m/秒、記録レーザーパワー可変でEFM変調
信号を記録し、最適パワーを求めた。更に、同じ方法で
合計100枚の媒体を製作し、同じようにして信号を記
録した後、レーザー出力を1mWにして記録信号を読み
出し、100枚の媒体のジッターの平均値及び標準偏差
を求めた。結果を表1に纏めた。実施例2 実施例1において、n−ヘキサンの代わりにジメチルシ
クロヘキサンを用い、25℃で2日間乾燥(T×t1/2
=173)する以外は実施例1と同じ方法で媒体を製作
し評価した。結果は表1に示す。尚、記録層中には乾燥
前は12重量%溶剤が残留していたが、保護層を成膜し
た後は3重量%に減少した。実施例3 実施例1において、n−ヘキサンの代わりにメチルシク
ロヘキサン95重量%、ジオキサン5重量%からなる混
合溶媒( Sp値は依然として8.5 未満であり、非極性溶媒
とみなせた )を用い、60℃で5時間(T×t1/2 =1
34)真空乾燥する以外は実施例1と同じ方法で媒体を
製作し評価した。結果は表1に示す。尚、記録層中には
乾燥前は15重量%溶剤が残留していたが、保護層を成
膜した後は1.5重量%に減少した。
【0018】比較例1 実施例1において、塗布後乾燥せずに直ちに反射層及び
保護層を形成し媒体を製作した。媒体の記録層中の残留
溶媒濃度は7重量%であった。実施例1と同様、評価し
た結果を表1に示す。記録層中の残留溶媒の濃度が5重
量%を越えると本願発明の目的を達成することができな
いことがわかる。比較例2 実施例2において、記録膜を形成した後、25℃で2時
間乾燥(T×t1/2 =35)し、その後さらに反射層及
び保護層を形成し媒体を製作した。媒体の記録層中の残
留溶媒濃度は6.5重量%であった。実施例1と同様、
評価した結果を表1に示す。比較例3 実施例3において、記録膜を形成した後、60℃で30
分間乾燥(T×t1/2 =42)し、さらに反射層及び保
護層を形成し媒体を製作した。媒体の記録層中の残留溶
媒濃度は5.5重量%であった。実施例1と同様、評価
した結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明の基板上に記録層、反射層、及び
保護層が設けられた単板型光記録媒体においては、記録
層を非極性溶媒に可溶性の置換フタロシアニン色素を非
極性溶媒を用いて塗布法によって形成し、且つ記録層が
含有する残存非極性溶媒を5重量%以下に制御すること
によって、記録感度及びジッター等の信号特性及び大量
の枚数を製作した場合その再現性を顕著に改善すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 正士 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 百武 宏之 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−16083(JP,A) 特開 昭62−41085(JP,A) 特開 平2−2067(JP,A) 特開 平4−369557(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 G11B 7/24 516 G11B 7/26 531

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に記録層、反射層、及び保護層が
    この順に設けられた単板型光録媒体であって、上記記
    録層が非極性溶媒に可溶性の置換フタロシアニン色素を
    非極性溶媒を用いて塗布法により形成され、記録層中の
    色素の量が80〜100重量%であり、且つ反射層及び
    保護層を形成した後の記録層が含有する残存非極性溶媒
    が5重量%以下に制御されていることを特徴とする光記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 非極性溶媒が溶解度パラメ−タ−が8.
    5未満の溶媒である請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 記録層を形成後、(温度)×(時間)
    1/2 が50以上の条件で乾燥した後、反射層及び保護層
    を形成することにより作られた請求項2記載の光記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 乾燥温度が50〜100℃である請求項
    3記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 (温度)×(時間)1/2 が100以上の
    条件で乾燥した請求項3記載の光記録媒体。
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