JP3434114B2 - レーヨンファンシーヤーンの製造法 - Google Patents

レーヨンファンシーヤーンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用、特に、最
近汎用されるようになったアウターウエアー向けレーヨ
ン糸に関する。 【0002】 【従来の技術】最近、レーヨン糸は、裏地分野からポリ
エステル繊維と複合などにより、アウターウエアー分野
に多く用いられるようになった。一方、ポリエステル繊
維など合成繊維の分野においては、天然繊維の有する風
合、光沢、色調に近づけるために、繊維断面を異形断面
としたり、長さ方向に太細斑を有するシックアンドシン
としたり、2種以上のポリマーを複合紡糸するなど種々
の方法が提案され、ファショナブルな新素材が積極的に
開発されている。 【0003】しかし、ポリエステル繊維に比べ、レーヨ
ン糸は湿式紡糸であることの繁雑さや紡糸、延伸性の制
限から、複合紡糸、混合紡糸、異形断面、太細斑のどれ
をとってもイメージ通りの形態のものとすることが極め
て難しい。例えば、2種のビスコースの混合紡糸が、特
開平2−293405号公報に提案されているが、かか
る技術は斑のない均一な糸条を得る為のものであり、ア
ウター向けの変化に富んだファショナブルな素材を得よ
うとする試みは殆どなされていないのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、レー
ヨン糸をよりファショナブルなアウターウエアー用素材
として活性化することであり、フィラメント間及びフィ
ラメントの長さ方向に単一的ではなく、ファジーな染め
斑や光沢斑を有し、表情豊かな織編物となる新しいレー
ヨン糸を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、2種以
上のビスコースを混合し紡出製糸するに際し、異種のビ
スコースをキャンドルフィルターと紡糸ノズルの間に設
けられた2〜8枚のエレメントを備えるスタティックミ
キサーを通過させ、同一口金から押し出し、製糸するこ
とを特徴とするレーヨンファンシーヤーンの製造法であ
る。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に図1を用いて本発明の紡糸
方法を説明する。先ず、A種の原料ビスコース〔VA
をシャフト〔SA 〕によって作動せるギャーポンプ〔G
A 〕から押し出し、キャンドルフィルター〔CFA
を通して混合部〔JM〕へと送り込む。同じように、シ
ャフト〔SB 〕によって作動せるギャーポンプ〔G
B 〕から他種のビスコース〔VB 〕をキャンドルフィ
ルター〔CFB 〕を通して混合部〔JM〕へ送り出す。 【0007】それら両者の圧力で、紡糸管〔ST〕を通
過させ、可及的紡糸口金に近く湾曲部手前の配管部に設
けたスタティックミキサー〔SM〕を通したのち、紡糸
ノズル〔NZ 〕から凝固、再生浴〔BL〕中へ吐出す
る。このスタティックミキサー〔SM〕の中に混合子と
なる2〜8枚のエレメントが組み込まれている。この方
法によって本発明によるファンシーヤーン〔YAB〕が得
られる。 【0008】異なる2種のビスコースの種類や組み合わ
せに就いては後述するが、基本的に2種のビスコースを
等量ずつ混合する場合について以下詳細に説明する。も
ちろん、風合い、好み、状況によって混合の比率を変化
させても差し支えない。 【0009】A及びBの2種のビスコースは、注入され
た時点(例えば、紡糸管〔ST〕内)では、配管断面に
於いて半分ずつほぼ半円形の面積を占めている。これを
そのまま混合することなく、また、紡糸口金直前のフィ
ルターを用いることなく紡出したとすると、大部分の場
合、A、B、2種の異なるフィラメント単糸が得られ、
結果的に2種のビスコースレーヨンからなる混繊糸条が
得られることとなる。それは、1回の紡出で得られると
いう合理性はあっても、別々に作成した2糸条をあとで
混合することと同じ結果となり効果及び変化表情に乏し
い。 【0010】また、逆に、あまり過度に均一に混合する
と、霜降り調の細かな斑模様から、目立たない一色化と
なる。このことから、単糸フィラメントの長さ方向に1
mm以上、好ましくは5mm以上の長さをもつ斑であること
が望ましい。本発明においては、異種のビスコースを紡
糸配管断面方向と配管長さ方向に、変化に富んだ比較的
大きな不均一混合状態として紡出ノズル面から押し出す
ことにより、多色性と変化に富んだ糸条を生みだすこと
ができる。 【0011】このスタティックミキサーで得られる混合
状態は、前述の如く、エレメントの枚数により大きく変
化し、少数枚では2種の紡糸原液が断面的に少層から多
層に分割された状態となり、多枚数では海島あるいは分
散状の細かい均一化混合となる。そこで、あまり細かい
模様は好ましくなく、エレメント数として2〜8枚が必
要である。1枚以下では、それぞれ異なったビスコース
による単糸フィラメントが集合的に混繊された傾向とな
り易く、9枚以上では、2種のビスコースが分散状態と
なり細かい模様となり過ぎる傾向となる。従って、4〜
6枚程度がより好ましく、この範囲のエレメントを用い
たスタティックミキサーで混合された結果得られる糸条
は、それぞれ異なった単糸フィラメントがばらばらに、
あるいは一部集合的に混合されるだけではなく、A及び
Bの異種ビスコースが長さ方向に継続的に入れ換わった
斑糸ができ3種の単糸フィラメントの混繊糸となり、2
種原料ビスコース混合の糸条でありながら3種あるいは
それ以上の中間の光沢あるいは中間色の多彩な混合糸が
得られる。 【0012】また、これら2種の原料ビスコースから得
られる糸条は、紡出に用いる紡糸ノズルの孔の数及び配
列、配置によっても異なる。すなわち、孔が万遍なくノ
ズル平面に数多く存在していることが好ましく、孔の数
が少なかったり、孔のない部分面積が偏在するような場
合には、一種の液溜まり混合がなされ、細かい模様と為
りやすく好ましくない。逆に、あまり孔数が多く、紡糸
管中の混合ビスコースの流れをそのまま全く何の抵抗も
なく、多ホールのノズル孔から吐出したとすれば、この
スタティック.ミキサーの特徴、特に、エレメントの少
ない場合、流れと平行な混合傾向が強い為、長さ方向の
斑が期待し難い。従って、ノズル平面における孔密度と
しては0.25〜1.0ケ/mm2 程度が好ましい。 【0013】フィルターなどを通過すると混合され過ぎ
る傾向となるので、エレメントの少ない場合ほど紡糸ノ
ズルでの孔のない部分の内側での流れの淀みによる混合
も効果が出る場合もある。そこで通常の2重又は3重の
多重円配列のノズルが好ましく、混合されたビスコース
の状態と流れをそのまま反映しやすい。まして、ノズル
直前に通常用いる布製フィルターなどを用いると完全に
近く混合される傾向となるため、用いないほうがよく、
原料ビスコースを混合する以前に濾過しておく必要があ
る。 【0014】スタティックミキサーとしては、通常の市
販の規格のもので差し支えないが、レーヨン製糸時の紡
糸管とあまり大差ない管径であり、接続部で混合ビスコ
ースの流れを乱さないほうが好ましい。 【0015】また、このスタティックミキサーの中を通
過させる流体の粘性に就いても、混合状態に影響を与え
るが、通常のビスコースは粘度がおよそ40ポイス程度
の比較的高い方であるが、エレメントの枚数は2〜8枚
が適している。 【0016】本発明の方法において採用しうる異なった
原料ビスコースの組み合わせとしては、特に限定されな
いが、例えば、次のようなものが考えられる。 ブライトビスコースとダルビスコース;この組み合わ
せは、同色及び異色を問わず、フィラメント間あるいは
フィラメント及びヤーンとしての長さ方向の光沢斑や混
合光沢を期待するものである。 原染めビスコースと通常のビスコース;種々の色と原
染め糸と無染色の白糸との組み合わせを期待する場合に
は後の工程での染色の必要はなく、原染め色と別の色と
の組み合わせを期待するならば、後工程での染色はレー
ヨンの通常の直接染色1回で異色性、即ち染め斑や多色
性が表現できる。但し、この場合、原染め糸も後工程で
の染色により重ね染色される結果となるので注意を要す
る。 分散染料によって染色可能なビスコースと通常のビス
コース;この場合、分散染色と直接染色2回の染色、染
料の違いによる異色性が期待されるが、分散可染レーヨ
ン糸が直接染料にも可染であるため上と同様、重ね染め
に注意を要する。あるいは、この場合、先に直接染色し
た後、分散染色した方が通常レーヨン糸側の色が変化し
ない利点がある。 原染めビスコースと分散染料によって染色可能なビス
コース;異色性、2色性以上の斑糸を期待した場合、こ
の組み合わせが後工程の合理性としてもっとも容易であ
り、1回の分散染色により重ね染めの心配もなく達成さ
れる。 セルロース濃度、アルカリ濃度その他組成や性質の異
なるビスコースの組み合わせ;断面形状の変化や捲縮な
どの発現の期待はできるが、視感的な光沢斑や染色斑は
期待できない。これら原料ビスコースの組み合わせとそ
の結果得られる糸条の期待効果を表1にまとめる。 【0017】 【表1】 【0018】また、用いるスタティック.ミキサーのエ
レメントの使用枚数と得られる糸条の特徴を整理したの
が次表である。 【0019】 【表2】 【0020】この表の如く、スタティックミキサー内部
のエレメントの使用枚数によって、得られる単糸フィラ
メントの構成変化からトータルとしてのヤーン糸条の混
合斑の状況が変わることが分かる。そして、本発明によ
って得られる糸条は、単糸フィラメントC2が多く含ま
れ、A、B、C1、C2が種々の割合で混合された糸条
でもあり、数mm以下の繰り返しとなるC3は好ましく
ない。以上のことからエレメントの使用枚数は、2〜8
枚が好ましい。 【0021】 【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は何らこれらに限定されるものではな
い。 【0022】実施例1〜3、比較例1 用いた原料ビスコースは次の2種である。 VA ;常法により調整された酸化チタン(TiO2 )1
%を含むセミダルビスコース(セルロース濃度;8.0
%、アルカリ濃度;6.0%、粘度;38.8ポイズ) VB ;常法により調整されたブライトビスコース(セル
ロース濃度;8.0%、アルカリ濃度;6.0%、粘
度;37.1ポイズ)と平均粒径20ミリ.ミクロンの
カーボンブラック15%を含む水性分散液を予め1:6
に混合した濃厚カーボン.ビスコース液を紡糸直前に、
更に、前者ブライトビスコースと1:20の割合で混合
(カーボン濃度/ビスコース;約0.1%、粘度;3
8.3ポイズ) 【0023】これらA、B2種のビスコースを図1に示
す如く、両ギヤーポンプ(GPA &GPB )から等量ず
つ(4.68cc/分)押し出し、0.07mm×40
ホールの口金(Nz)から吐出し、紡糸速度100m/
分にて100デニールの糸条を得るべく連続紡糸方式に
より製糸巻き取りを行った。用いた口金ノズル(Nz)
の規格は、吐出面12mmφ、3重配列孔で内側8孔、
中円12孔、外円20孔の40ホールである。その際、
紡糸管ストレート部に設けた内径11.0mm、外径1
2.7mm、長さ及び内部葉状片枚数の異なるスタティ
ックミキサー(SM)を通過させ、A、B、2種のビス
コースを混合した。使用した凝固、再生浴(BL)の組
成は、H2 SO4 ;130g/l、ZnSO4 ;20g
/l、Na2 SO4 ;250g/lである。尚、浸漬長
は、各々150mmに調整した。また、紡糸機各部の回
転速度は、延伸ローラー85m/分、精練ローラー10
0m/分、乾燥ローラー100.3m/分とし、然るに
延伸率は15%である。 【0024】各例に使用したスタティック.ミキサー
(SM)の規格を次に示す。 【0025】 【表3】 【0026】比較例1では、一部のフィラメントに就い
ては、処々白や黒の斑点が入った斑糸が見られるが、お
よそ半分ずつ白と黒の単糸フィラメントが混繊された糸
条となり、筒編み地を作成した結果、ヤーンのねじれに
より1〜8cm程度の筋走り状の模様が発現した。しか
し、模様が粗く、別々に作成した白と黒の糸条を編み地
作成時に混繊した筒編み地で得られる数cmから10c
m程度の模様より若干短い程度であった。 【0027】エレメント2枚を用いた実施例1では、白
と黒それぞれ単色の単糸フィラメントが分割混合された
糸条の中に、処々色の異なる斑点糸が多くなるとともに
長さ方向の斑の繰り返しの大きな単糸が一部混入される
傾向が見られる。筒編み地では、白黒反転の周期及び模
様が1〜5cmと若干短く細くなり、一部斑点模様や中
間的な鼠色の部分が所々見られ、変化表情のある斑模様
が得られた。 【0028】エレメント4枚を用いた実施例2の場合、
原料A及びBそれぞれかならなる単糸フィラメントと処
々長さ方向に斑がある単糸と共に、斑の繰り返しが数c
mと比較的大きい単糸が加わり、一部繰り返しの短い単
糸も見られる。この糸条からの筒編み地は、全体の斑模
様が数cmと短くなると共に、数mmの霜降りや鼠色の
部分があり、白い部分の割合が少なくなっている中に、
逆に、白く光る筋状模様や黒い模様が走るなど、変化表
情のあるものであった。 【0029】エレメント8枚を使用した実施例3の場
合、長さ方向の斑が数cm程度の単糸が主流をなす中
に、一部処々に斑がある単糸や数mm以下の繰り返しの
斑単糸が加わり、この糸条から得られる筒編み地では、
全体に鼠色がかかり、おとなしい視感となっているが、
所々1〜2cmの白や黒の細い筋走りが有る模様が得ら
れた。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の製造法に使用される紡糸装置の一例を
示す斜視図である。 【符号の説明】 VA ,VB :原料ビスコース SA ,SB :シャフト GPA ,GPB :ギャーポンプ CFA ,CFB :キャンドルフィルター JM :混合部 ST :紡糸管 SM :スタティックミキサー NZ :紡糸ノズル BL :凝固、再生浴 YAB :ファンシーヤーン

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 2種以上のビスコースを混合し紡出製糸
    するに際し、異種のビスコースをキャンドルフィルター
    と紡糸ノズルの間に設けられた2〜8枚のエレメントを
    備えるスタティックミキサーを通過させ、同一口金から
    押し出し、製糸することを特徴とするレーヨンファンシ
    ーヤーンの製造法。
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JP4895401B2 (ja) * 2008-07-23 2012-03-14 倉敷紡績株式会社 セルロース/ゼラチン複合ビスコースレーヨンフィラメントとその製造方法及びこれを含む繊維製品
CN104963026B (zh) * 2015-07-24 2017-01-04 湖北蕲艾堂科技有限公司 一种艾草杆基粘胶丝纤维的制备方法

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