JP3433633B2 - 酸性リン酸エステルの製造方法 - Google Patents

酸性リン酸エステルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸性リン酸エステル
混合物の有用な製造方法、並びにリン酸モノエステルと
リン酸ジエステルの組成比の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リン酸モノエステル及びリン酸ジエステ
ルを主成分とする、酸性リン酸エステル化合物は、重合
触媒、界面活性剤、金属結合溶剤、繊維の帯電防止剤等
様々な分野で用いられている。この中でも、特に分子中
にアクリル基等の重合性基を持つ酸性リン酸エステル重
合性単量体は、良好な重合性、脱灰性、金属への密着性
等の特徴から、繊維処理剤、塗料、歯科材料用途等で用
いられてる。
【0003】上記酸性リン酸エステル化合物は、一般
に、リン酸とアルコールとのエステル化反応、五酸化二
リンとアルコールとの反応により合成されるが、リン酸
モノエステル及びリン酸ジエステルを選択的に合成する
ことは困難である。このため、高純度のリン酸モノエス
テル及びリン酸ジエステルを得るためには、カラムクロ
マトグラフィー等で単離精製を行う必要があった。ま
た、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物
を、任意の比率で安定的に供給することも困難であっ
た。
【0004】特に一分子中に重合性基を有する酸性リン
酸エステル重合性単量体を歯科用接着材等に用いる場
合、不純物の量、及びリン酸モノエステルとリン酸ジエ
ステルの比率が、歯質への接着力に大きく影響するた
め、より簡便な方法により、酸性リン酸エステル化合物
中の不純物を除去し、且つリン酸モノエステルとリン酸
ジエステルの比率を制御する方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カラムクロ
マトグラフィー精製を用いない、リン酸モノエステル及
びリン酸ジエステルの製造方法、及び任意の比率のリン
酸モノエステル及びリン酸ジエステルの混合物の安定的
な供給方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、リン酸モノエステルとリ
ン酸ジエステルの水及び塩基性化合物水溶液への溶解性
の差を利用することにより、抽出洗浄によって、任意の
割合のリン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物
が高純度で得られることを見い出し、本発明を提案する
に至った。
【0007】即ち、本発明によれば、リン酸モノエステ
ルとリン酸ジエステルを主成分とする酸性リン酸エステ
ル混合物と、水、非水溶性有機溶媒及び塩基性化合物を
混合処理して、酸性リン酸エステル混合物を水層に抽出
した後水層を分液し(第一抽出工程)、次いで該水層に
酸及び非水溶性有機溶媒を、または酸、非水溶性有機溶
媒及び無機塩をその量を制御しながら混合して、リン酸
エステルとリン酸ジエステルの組成比が制御された酸性
リン酸エステル混合物を非水溶性有機溶媒層に抽出(第
二抽出工程)することを特徴とする酸性リン酸エステル
の製造方法が提供される。
【0008】本発明の製造方法の対象となる酸性リン酸
エステル混合物としては、含まれるリン酸モノエステル
及びリン酸ジエステルの、水及び塩基性化合物水溶液へ
の溶解性を考慮して、炭素数1〜10の有機残基を有す
るリン酸モノアルキルエステルとリン酸ジアルキルエス
テルが好適なものとして挙げられる。
【0009】具体的には、リン酸モノエチルエステル及
びリン酸ジエチルエステルの混合物、リン酸モノプロピ
ルエステル及びリン酸ジプロピルエステルの混合物、リ
ン酸モノブチルエステル及びリン酸ジブチルエステルの
混合物、リン酸モノオクチルエステル及びリン酸ジオク
チルエステルの混合物、リン酸モノデシルエステル及び
リン酸ジデシルエステルの混合物、或いは下記構造で示
される基
【0010】
【化1】
【0011】(式中、Aは炭素数1〜3の2価の炭化水
素基、Rは水素又はメチル基である。)等の結合基を有
するリン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物等
が例示される。
【0012】炭素数が10より大きいと塩基性化合物に
て混合処理したときに、リン酸ジエステルが水層へ移動
しにくくなるため、リン酸モノエステルとリン酸ジエス
テルの存在比を制御することが困難になる傾向にある。
【0013】上記酸性リン酸エステル混合物に含まれる
リン酸トリエステル等の水に不溶な不純物は、水、非水
溶性有機溶媒、および塩基性化合物を加えて、リン酸モ
ノエステル及びリン酸ジエステルを塩にして水層に抽出
し、非水溶性有機溶媒と分液する第一抽出工程によって
容易に除去することができる。分液方法としては、通常
用いられる分液方法が何等制限無く用いられる。具体的
には、分液ロートを用いて上層と下層を分ける方法、ポ
ンプを用いて非水溶性有機溶媒層を除去する方法等が例
示される。
【0014】上記第一抽出工程に用いられる非水溶性有
機溶媒は、一般的に用いられる非水溶性有機溶媒が何ら
制限なく用いられる。具体的には、ヘキサン、ヘプタ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジ
エチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル等が例示され
る。上記非水溶性有機溶媒の量は酸性リン酸エステル混
合物を完全に溶解するために必要な量以上であれば、特
に制限無く用いることができるが、好ましくは酸性リン
酸エステル混合物100重量部に対して200〜500
0重量部である。
【0015】本発明に用いられる塩基性化合物は、使用
する酸性リン酸エステル混合物に応じて、一般的に用い
られる水溶性の塩基性化合物であれば何ら制限無く用い
られる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等が用いられる。特に、アクリル
基等の重合性基を持つ酸性リン酸エステル重合性単量体
混合物の製造を行う場合、エステル結合の加水分解を防
ぐ目的で、pHのコントロールが容易な炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム等の弱塩基性化合物を用いることが好ましい。ま
た、上記塩基性化合物の量は、水中でリン酸エステル混
合物をリン酸塩エステル混合物に置換するために必要な
量以上であれば問題ないが、好ましくは水溶液中のpH
が7〜9となる量が良い。
【0016】上記第一抽出工程に用いられる水の量は、
上記塩基性化合物を溶解するのに必要な量以上であれば
何等制限無く用いられるが、好ましくは酸性リン酸エス
テル混合物100重量部に対して200〜5000重量
部である。
【0017】上記第一抽出工程中の溶液の温度は特に制
限されないが、操作の簡便さから室温付近が好ましい。
混合処理に採用する攪拌速度および時間は、水層および
非水溶性有機溶媒層を完全に混合するのに十分な時間お
よび攪拌速度であれば、特に制限されるものではない。
また、酸性リン酸エステル混合物、非水溶性有機溶媒、
水および塩基性化合物の添加順序も特に制限されるもの
ではないが、操作の簡便さから酸性リン酸エステル混合
物を非水溶性有機溶媒に溶解した後に、塩基性化合物を
溶解した水を加える方法が好ましい。
【0018】上記第一抽出工程において得られたリン酸
モノエステル及びリン酸ジエステルの塩を含む水層に、
酸及び非水溶性有機溶媒を、或いは酸、非水溶性有機溶
媒及び無機塩を加えることによってリン酸モノエステル
及びリン酸ジエステルに戻し、非水溶性有機溶媒層に抽
出する第二抽出行程により、目的とするリン酸モノエス
テル及びリン酸ジエステルの混合物を得ることができ
る。
【0019】上記第二抽出工程に用いられる非水溶性有
機溶媒は、第一抽出工程にて用いる非水溶性有機溶媒と
して記載した有機溶媒が何ら制限なく採用できるが、ア
クリル基等の重合性基を持つ酸性リン酸エステル重合性
単量体混合物の製造を行う場合には、溶媒除去操作中の
熱による重合を防ぐために、ヘキサン、ヘプタン、ジク
ロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、酢酸メ
チル、酢酸エチル等の低沸点溶媒を用いることが好まし
い。また、非水溶性有機溶媒の量は、第一抽出工程同
様、酸性リン酸エステル混合物を完全に溶解するために
必要な量以上であれば、特に制限無く用いることができ
るが、好ましくは酸性リン酸エステル混合物100重量
部に対して200〜5000重量部である。
【0020】また、酸は、水に可溶でリン酸モノエステ
ル及びリン酸ジエステルの塩と塩交換し、且つ、塩交換
によってできた新たな塩が水溶性になる酸であれば何ら
問題なく使用される。具体的には、塩酸、臭酸、硫酸、
リン酸、硝酸、ぎ酸、酢酸等が例示される。また、酸の
量は、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルの塩を
リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルに置換するの
に十分な量であれば、特に制限されないが、完全に置換
を行うために、水溶液中のpHが4以下となる量にする
ことが好ましい。
【0021】上記第二抽出行程中において、水及び非水
溶性有機溶媒の量を調整することにより、リン酸モノエ
ステルとリン酸ジエステルの組成比を任意の割合で制御
することができる。上記水及び非水溶性有機溶媒の量は
リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの種類と抽出前
の組成比によって異なるので、あらかじめ、小スケール
の予備実験を行ってその相関を調べておき実操作に適用
すればよい。一般に非水溶性有機溶媒に対して水の量が
多いとリン酸モノエステルの存在比が小さくなり、非水
溶性有機溶媒に対して水の量が少ないとリン酸モノエス
テルの存在比が大きくなる。
【0022】また、上記第二抽出工程において、水に無
機塩を加えることによっても、リン酸モノエステルとリ
ン酸ジエステルの組成比を任意の割合で制御することが
できる。上記無機塩は、水に可溶な塩であれば問題なく
使用できるが、特に食塩、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム、臭化カリウム等の無機塩を用いることが好ましい。
上記無機塩の量は、リン酸モノエステルとリン酸ジエス
テルの種類と抽出前の組成比によって異なるが、あらか
じめ、小スケールの予備実験を行ってその相関を調べて
おき実操作に適用せればよい。一般に無添加だと、非水
溶性有機溶媒相中のリン酸モノエステルの存在比が小さ
くなり、添加量が増加するに従って、リン酸モノエステ
ルの存在比は大きくなる。
【0023】上記第二抽出工程中の溶液の温度は特に制
限されないが、操作の簡便さから室温付近が好ましい。
また、処理温度によってリン酸モノエステルとリン酸ジ
エステルの組成比が若干変化するので、あらかじめ、小
スケールの予備実験を行って決定しておくことが好まし
い。
【0024】上記第二抽出工程の混合処理に用いる攪拌
速度は、水層および非水溶性有機溶媒層を完全に混合す
るのに十分な時間および攪拌速度であれば、特に制限さ
れるものではない。
【0025】また、上記第二抽出工程により分液した非
水溶性有機溶媒層に、水洗を繰り返し行うことによりリ
ン酸ジエステルを単独に、第二抽出工程により分液した
水相に前記無機塩を飽和状態になるまで加えて非水溶性
有機溶媒で再抽出することにより、リン酸モノエステル
を単独に得る事ができる。
【0026】上記第二抽出操作により得られた非水溶性
有機溶媒相は脱水剤を加えることによって、非水溶性有
機溶媒相中の水分を取り除いた後、有機溶媒を除去して
目的の酸性リン酸エステル混合物を得ることができる。
脱水剤としては通常公知の脱水剤である無水硫酸ナトリ
ウム、無水硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カ
ルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブス等を用い
る事ができる。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法によって、リン酸モノ
エステルとリン酸ジエステルを主成分とする酸性リン酸
エステル混合物から、リン酸モノエステルとリン酸ジエ
ステル以外の不純物を除去することができ、更にリン酸
モノエステルとリン酸ジエステルの存在比を任意に制御
することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明はこの実施例によって何ら限定される物では
ない。
【0029】実施例1 高速液体クロマトグラフ(Inertsil ODS−
2、ガスクロ工業社製)分析による濃度が、リン酸ジメ
タクリロキシエチルエステルが35%、リン酸モノメタ
クリロキシエチルエステルが45%、その他の不純物が
15%からなる酸性リン酸エステル混合物(略称:P
M、共栄社油脂社製)100gを塩化メチレン(トクヤ
マ社製)400mlに溶解し、これを2lの分液ロート
に加えた。さらに、水500mlに炭酸ナトリウム(和
光純薬社製)43gを溶かした液をこの分液ロートにゆ
っくりと加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら1
分間混合した後に、30分間静置した。下層である塩化
メチレン層を除去し、この分液ロートに新たに塩化メチ
レン400mlを加え、これに水層が強酸性になるまで
濃塩酸(和光純薬社製)を加えた。分液ロートを発泡に
気を付けながら1分間混合した後に2時間静置した。塩
化メチレン層を1lの3角フラスコに取り、無水硫酸ナ
トリウム(和光純薬社製)20gを加え2時間攪拌し
た。塩化メチレン溶液を濾過し、塩化メチレンを除去す
ることによって透明粘調液体33.7gを得た。この生
成物中のリン酸ジメタクリロキシエチルエステルとリン
酸モノメタクリロキシエチルエステルの濃度比は49/
1であり、リン酸ジメタクリロキシエチルエステルとリ
ン酸モノメタクリロキシエチルエステルを合計した純度
は96.8%であった。
【0030】実施例2〜4 水及び新たに加える塩化メチレンの量を表1に示す通り
に変更した以外は、実施例1同様にして製造を行った。
生成物の収量、リン酸ジメタクリロキシエチルエステル
とリン酸モノメタクリロキシエチルエステルの濃度比及
び純度の結果を表1に示す。
【0031】実施例5〜6 酸性リン酸エステルを、高速液体クロマトグラフ分析に
よる濃度が、リン酸ジブチルエステルが39%、リン酸
モノブチルエステルが42%、その他の不純物が19%
からなる酸性リン酸エステル混合物(略称:PB、合成
品)100gに変更し、水及び新たに加える塩化メチレ
ンの量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1同
様にして製造を行った。生成物の収量、リン酸ジブチル
エステルとリン酸モノブチルエステルの濃度比及び純度
の結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例7 PM100gを塩化メチレン400mlに溶解し、これ
を2lの分液ロートに加えた。さらに、水500mlに
炭酸ナトリウム43gを溶かした液をこの分液ロートに
ゆっくりと加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら
1分間混合した後に、30分間静置した。下層である塩
化メチレン層を除去し、この分液ロートに新たに塩化メ
チレン400mlを加え、これに水層が強酸性になるま
で濃塩酸を加え、さらに食塩(和光純薬社製)25gを
加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら1分間混合
した後に1日静置した。塩化メチレン層を1lの3角フ
ラスコに取り、無水硫酸ナトリウム20gを加え2時間
攪拌した。塩化メチレン溶液を濾過し、塩化メチレンを
除去することによって透明粘調液体43.9gを得た。
この生成物中のリン酸ジメタクリロキシエチルエステル
とリン酸モノメタクリロキシエチルエステルの濃度比は
5.3/1であり、リン酸ジメタクリロキシエチルエス
テルとリン酸モノメタクリロキシエチルエステルを合計
した純度は95.4%であった。
【0034】実施例8〜9 食塩の量を表2に示す通りに変更した以外は、実施例5
同様にして製造を行った。生成物の収量、リン酸ジメタ
クリロキシエチルエステルとリン酸モノメタクリロキシ
エチルエステルの濃度比及び純度の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】実施例10 PM100gを塩化メチレン400mlに溶解し、これ
を2lの分液ロートに加えた。さらに、水500mlに
炭酸ナトリウム43gを溶かした液をこの分液ロートに
ゆっくりと加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら
1分間混合した後に、30分間静置した。下層である塩
化メチレン層を除去し、この分液ロートに新たに塩化メ
チレン400mlを加え、これに水層が強酸性になるま
で濃塩酸を加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら
1分間混合した後に2時間静置した。この時の塩化メチ
レン層中のリン酸ジメタクリロキシエチルエステルとリ
ン酸モノメタクリロキシエチルエステルの濃度比は48
/1であった。次いで水層を除去し、さらに水500m
lで2回洗浄を行った後に、塩化メチレン層を1lの3
角フラスコに取り、無水硫酸ナトリウム20gを加え2
時間攪拌した。塩化メチレン溶液を濾過し、塩化メチレ
ンを除去することによって透明粘調液体のリン酸ジメタ
クリロキシエチルエステル18.8gを得た。高速液体
クロマトグラフ測定による純度は97.2%であり、リ
ン酸モノメタクリロキシエチルエステルは0.3%以下
であった。
【0037】実施例11 PM100gを塩化メチレン400mlに溶解し、これ
を2lの分液ロートに加えた。さらに、水500mlに
炭酸ナトリウム43gを溶かした液をこの分液ロートに
ゆっくりと加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら
1分間混合した後に、30分間静置した。下層である塩
化メチレン層を除去し、この分液ロートに新たに塩化メ
チレン400mlを加え、これに水層が強酸性になるま
で濃塩酸を加えた。分液ロートを発泡に気を付けながら
1分間混合した後に2時間静置した。この時の塩化メチ
レン層中のリン酸ジメタクリロキシエチルエステルとリ
ン酸モノメタクリロキシエチルエステルの濃度比は49
/1であった。次いで塩化メチレン層を除去し、新たに
塩化メチレン500mlを加えた後に、食塩を飽和にな
るまで加えた。塩化メチレン層を1lの3角フラスコに
取り、無水硫酸ナトリウム20gを加え2時間攪拌し
た。塩化メチレン溶液を濾過し、塩化メチレンを除去す
ることによって透明粘調液体のリン酸モノメタクリロキ
シエチルエステル13.7gを得た。高速液体クロマト
グラフ測定による純度は98.6%であり、リン酸ジメ
タクリロキシエチルエステルは完全に除去されていた。
【0038】比較例1 高速液体クロマトグラフ分析による濃度が、リン酸ジメ
タクリロキシヘキシルエステルが25%、リン酸モノメ
タクリロキシヘキシルエステルが52%、その他の不純
物が23%からなる酸性リン酸エステル混合物(略称:
PHM、合成化合物)100gを塩化メチレン400m
lに溶解し、これを2lの分液ロートに加えた。さら
に、水150mlに炭酸ナトリウム39gを溶かした液
をこの分液ロートにゆっくりと加えた。分液ロートを発
泡に気を付けながら1分間混合した後に、30分間静置
した。下層である塩化メチレン層を除去し、この分液ロ
ートに新たに塩化メチレン150mlを加え、これに水
層が強酸性になるまで濃塩酸を加えた。分液ロートを発
泡に気を付けながら1分間混合した後に2時間静置し
た。塩化メチレン層を1lの3角フラスコに取り、無水
硫酸ナトリウム(和光純薬社製)20gを加え2時間攪
拌した。塩化メチレン溶液を濾過し、塩化メチレンを除
去することによって透明粘調液体27.2gを得た。こ
の生成物は97%がリン酸モノメタクリロキシヘキシル
エステルであり、リン酸ジメタクリロキシヘキシルエス
テルは不純物と共に第一抽出行程中の、塩化メチレン層
に残留するために精製できなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−135481(JP,A) 特開 昭60−258191(JP,A) 特開 昭59−13791(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09 C07F 9/11 C07F 9/113

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸モノエステルとリン酸ジエステル
    を主成分とする酸性リン酸エステル混合物と、水、非水
    溶性有機溶媒及び塩基性化合物を混合処理して、酸性リ
    ン酸エステル混合物を水層に抽出した後水層を分液し、
    次いで該水層に酸及び非水溶性有機溶媒を、または酸、
    非水溶性有機溶媒及び無機塩をその量を制御しながら混
    合して、リン酸エステルとリン酸ジエステルの組成比が
    制御された酸性リン酸エステル混合物を非水溶性有機溶
    媒層に抽出することを特徴とする酸性リン酸エステルの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 リン酸モノエステル及びリン酸ジエステ
    ルが、共に(メタ)アクリル基を含有するリン酸基含有
    重合性単量体である請求項1記載の酸性リン酸エステル
    の製造方法。
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