JP3433591B2 - 拡管組立式中空カム軸 - Google Patents

拡管組立式中空カム軸

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JP3433591B2
JP3433591B2 JP28436195A JP28436195A JP3433591B2 JP 3433591 B2 JP3433591 B2 JP 3433591B2 JP 28436195 A JP28436195 A JP 28436195A JP 28436195 A JP28436195 A JP 28436195A JP 3433591 B2 JP3433591 B2 JP 3433591B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復動内燃機関な
どに用いる中空カム軸の構造に関し、特に中空軸から成
るカム軸に駆動力伝動部材を一体に結合組立てした拡管
組立式中空カム軸に関する。
【0002】
【従来の技術】カムロブとカム軸用中空軸を機械的に結
合して組み立てた中空カム軸は、種々の構造が知られて
いる。その一つとして、カムロブの内径に中空軸を隙間
を持って通し、カムロブの位置、位相を決めてから、中
空軸の中にその内径よりも大きな外径(少なくとも部分
的に)を持つマンドレルを通し、中空軸を拡管して中空
軸とカムロブを固定してカム軸を構成するもの(米国特
許第4,781,076号明細書、特公平6−8680
3号)が知られている(以下、第1の方式とする)。
【0003】この第1の方式では中空軸とカムロブを締
まりバメとするためには、拡管時中空軸は比較的降伏点
の低い硬さの材料であり、カムロブは中空軸に比較して
降伏点の高い硬い材料であることが望ましい。カムロブ
の外周面は摩耗面であり、耐面圧性を要求されるところ
から硬い方が良く(HRC55〜64)、そのためカム
ロブを焼き入れとして全体を硬くすると、拡管固定強度
は容易に得られるが材料の伸びが少なくなり(1〜2
%)、中空軸やカムロブ内径の加工精度のバラツキによ
っては、拡管時に応力が最大となるカムロブ内径部から
割れてしまうという問題がある。この問題を避けるため
には設計的に応力を下げるか、各部品の加工寸法精度を
熱処理後でも充分な精度に押さえなければならず、前者
の場合には必然的に大きな寸法となり、後者の場合には
高価なものとなる。
【0004】又、上記の様な割れを防止するために、中
空軸の硬さ約HRB90〜100に対して、拡管時に応
力が高くなるカムロブ素材の内径部の硬さを調質硬さで
(HRC32〜40)、外周部の摩耗面を高周波焼き入
れ等により部分的に硬さHRC55〜64程度まで硬く
したものでは割れに対する危険度が著しく緩和されるた
め、このような硬さのものが実用化されている。しか
し、それでも拡管固定強度を安定化させるためには、高
周波焼き入れ時の内径部の熱処理変形を最小に押さえる
必要があり、完全にこれを防ぐためには、高周波焼き入
れ後にカムロブ内径部を加工する必要がある。しかし、
調質硬さが高いために工具寿命が短くなり、特殊で高価
な加工あるいは工具を必要とするという欠点がある。
【0005】更に、マンドレルによる拡管固定の方法に
は、マンドレルの半径方向断面形状が円形で、マンドレ
ルの外径部全面で拡管して行くものと、マンドレルの半
径方向断面がスプライン形状で、スプラインの歯の先端
のみで拡管するものとが知られている。前者はマンドレ
ルがカムロブの位置にあるとき、中空軸の塑性変形時の
逃げが軸方向にしか無く、拡管時にその部分の中空軸が
伸びてカムロブ間の寸法に誤差が出易いという欠点があ
る。又、後者に比して拡管抵抗(拡管時のマンドレル押
し込み力)が大きく、容量の大きな拡管組立機が必要な
ばかりでなく、細くて長いカム軸ではマンドレルの軸が
座屈し易く、拡管時にカム軸が曲がり易いという欠点が
ある。
【0006】よく知られた第2の方式として、カム軸用
中空軸にカムロブを圧入する組立方式がある。しかし、
単一の外径を持った中空軸に単一の内径を持ったカムロ
ブを2枚以上、安定な締め代を持って圧入することは不
可能であるため、多数のカムロブを有するカム軸を組み
立てるには、よく知られた方法(特公昭63−2977
07号等)では次のようにしている。即ち、先ず中空軸
にローレット加工等によって未加工部分より外形の大き
い部分を形成し、ここに一枚のカムロブを圧入し、その
後更に中空軸外径の必要部分にローレット加工を行ない
次のカムロブを圧入するといった作業を、必要とするカ
ムロブの枚数だけ繰り返すことにより、必要な枚数のカ
ムロブを持ったカム軸を組み立てている。この様な組立
作業(第2の方式)は手間が掛かり、前記第1の方式に
より一回の中空軸の拡管で全カムロブを同時に固定する
方法よりもコスト的に不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記第1及び第2の方
式のカム軸の組立方法とその問題点に対して、本発明は
コスト的に有利な上記第1の方式の拡管固定法を採用
し、更に拡管組立時のマンドレル押し込み力が低く、カ
ム軸の伸び及び曲がりが小さく精度の良い組立が可能な
半径方向断面形状がスプライン型をしたマンドレルを使
用し、その歯の先端部で中空軸を拡管する方式を採用し
ている。そして、拡管時にカムロブ内径部の硬さを中空
軸に比較し特に硬くする必要のない、従ってカムロブの
摩耗面の熱処理後にもカムロブ内径面の加工が容易で、
精度の良い加工が可能であり、加工精度が良いために、
拡管固定強度が安定して信頼性の高い特に低コストな拡
管組立式中空カム軸の構造を提供することを目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、外周面のカム
ロブ固着位置に摩擦係数増加手段を設けた中空軸に前記
カムロブを隙間をもって通して位相決めを行なっ後、
断面がスプライン形状の加工頭部を有するマンドレルを
前記中空軸の内径に押し通し、前記加工頭部の歯の先端
部で前記中空軸を拡管することにより、前記中空軸と前
記カムロブとを一体に結合組立てて成る拡管組立式中空
カム軸に関し、本発明の上記目的は、前記カムロブの外
周部硬さHRC55以上に、内周部硬さHRB85
乃至HRC28とする一方、前記中空軸の硬さHRB
90乃至HRB100とし、かつ前記摩擦係数増加手段
を平目若しくはアヤ目のローレット加工とすることによ
って達成される。
【0009】更に本発明の上記目的は、前記摩擦係数増
加手段を、サンドブラストによる加工、又は高強度な微
細粒子による塗布とすることにより、より効果的に達成
できる。
【0010】
【発明の実施の形態】前記第1の方式の拡管固定方式に
おいては、拡管時の中空軸及びカムロブ内径部の硬さ
は、それぞれの寸法精度が高く、カムロブ内径部の応力
が弾性範囲内に良くコントロールされるという条件なら
ば、中空軸に比較してカムロブ内径部が硬い程有利であ
る。カムロブを焼き入れ(全体を硬さHRC60前後)
とすることは前述のような問題があるため、外径部を高
周波焼き入れとして、内径部の硬さをHRC32乃至4
0程度にしているのが一般的であり、これで実用化され
ている。
【0011】しかしながら、実際の拡管では、硬さHR
B90〜100の硬さの中空軸に対し硬さHRB85の
カムロブも拡管固定可能である。これは、中空軸内径部
からマンドレルにより拡管すると、マンドレルが接触す
る中空軸内径部が最大応力となり、カムロブ外径部を最
小応力とする応力勾配が形成されるため、拡管条件によ
っては必ずしも中空軸よりカムロブ内径部の硬さを高く
しなくても、マンドレルを除去した後にもカムロブから
中空軸を締付ける締め代が発生することを示している。
この硬さレベルの拡管組立加工により、小型自動車用エ
ンジンに許容される寸法で可能となる拡管固定トルクは
約5Kgf・m程度であり、実用トルクレベルではある
が品質上の余裕としてやや不足している。
【0012】上記実用トルクレベルを向上する手段とし
て、本発明では上記前提において、カムロブが係合する
中空軸外径部の軸方向位置に、実質的な摩擦係数の増加
(材料のせん断による効果も含む)手段を設ける。具体
的には、カムロブ幅にほぼ合致するローレット加工を行
なうのが実用的である。ただし、ローレット加工後もロ
ーレット部を含む中空軸外径はカムロブ内径より小さ
く、拡管組立に際しては中空軸の所定位置に自由にカム
ロブを配置し、一回のマンドレルによる中空軸の拡管で
全カムロブを固定する方式としている。
【0013】ローレットの形状は平目又はアヤ目のいず
れでも良く、モジュールは0.5以下が望ましい。平目
では耐トルク強度が増し、アヤ目では耐トルク強度及び
耐軸方向抜け強度が向上する。拡管固定時の材料の硬さ
は、中空軸ではHRB90〜100であるのに対し、カ
ムロブの内径部の硬さは下限HRB85から上限HRC
28程度が望ましい。尚、上限硬さは一般的な加工機械
(この場合、内径ブローチ加工)により、一般的工具を
使用してカムロブの内径加工を容易に行ない得る硬さで
ある。中空軸の所定位置にローレット加工を行なう意味
は、中空軸の硬さがカムロブ内径部の硬さより低い範囲
では、有効なカムロブ側の締め付け応力によりローレッ
トによる突起はカムロブの内側からカムロブ内径部に高
面圧で押し付けられ、突起部の若干の塑性変形とカムロ
ブ内径面の弾性変形とにより実質的に摩擦係数が増加
し、中空軸外径部にローレット加工がない場合に比べ有
効に拡管固定トルクを増加させることができる。中空軸
の硬さがカムロブ内径部の硬さより高い範囲では、ロー
レットによる突起はカムロブの内側からカムロブ内径部
に食い込み、突起部のせん断力によりトルクに耐え実質
的な摩擦係数の増加となり、上記と同様に中空軸外径部
にローレット加工がない場合に比べ有効に拡管固定トル
クを増加させることができる。
【0014】この様に本発明では中空軸をカムロブの内
側から拡管し、その接触面の摩擦係数を実質的に上げる
ことを目的としているので、中空軸の所定位置のローレ
ット加工は特にローレット加工に限定するものではな
く、サンドブラスト等により中空軸外径面を所定の粗さ
に加工するようなものであっても良いし、カーボランダ
ムのような高強度の粒子を拡管時に中空軸とカムロブ内
径との間に挟み込むような手段であっても良い。
【0015】前記第2の方式の圧入方法によるローレッ
ト加工と本発明との相違は、第2の方式では、ローレッ
ト加工は固定するカムロブの数だけローレット加工とカ
ムロブの圧入を繰り返さなければならないのに対し、本
発明によれば予め一回の加工で全ローレットを中空軸の
所定位置に加工しておくことができることである。圧入
は原理的に中空軸とカムロブ内径部の材料との相対的な
硬さ(強さ)による固定トルクに対する影響は少ない
が、中空軸外径のローレット加工による圧入方式で、材
料のせん断力を利用して実質的に圧入面の摩擦係数を増
大させる手段を付設する場合には、相対的な硬さの使い
分けが必要である。
【0016】カムロブ側の強度を特に重視する場合、あ
るいはカムロブの熱処理をズブ焼き入れで済ます場合
は、必然的にカムロブ側が硬く中空軸側が柔らかくなっ
ている。この場合、中空軸に加工するローレットは半径
方向断面が丸であり、軸方向断面に凹凸を加工して実質
的に中空軸外径を増大させ、圧入締め代を得る方法が知
られている。その上で硬さの高いカムロブの内径側に予
め熱処理前にスプラインを加工しておき、圧入時には硬
さの高いカムロブ内径部のスプラインの先端部が、中空
軸側のローレット加工された部分に切り込んで行く方式
となっている。逆にカムロブ内径部の硬さを下げ、相対
的に中空軸の硬さをカムロブ内径部より上げた場合に
は、中空軸側のローレット加工を平目(セレーション)
として、圧入時にカムロブ内径に切り込んで行く方式が
知られている。この様に圧入方式における実質的な摩擦
係数増加手段は切り込みが前提となるので、切り込み側
が硬く、切り込み側の形状は軸方向には断面形状が変化
しない形状、つまりスプラインか平目のローレット加工
が原則となる。尚、拡管方式によるトルク増加手段は、
断面形状の制約を受けることはない。
【0017】以下、添付図面を参照しながら、本発明の
一実施例を詳細に説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施例に基づくエンジ
ン用カム軸の構造例を示す要部断面図である。カム軸1
は、中空管から成る中空軸2と、この中空軸2の外周面
の軸線方向に所定間隔をもって固着されたカム軸構成要
素であるカムロブ31,32とを具備しており、中空軸
2の一端部はノーズピース2Aとなっている。又、中空
軸2の外周面のカムロブ31,32の固着位置には、摩
擦係数増加手段としてアヤ目のローレット加工41,4
2がそれぞれ施され、その凹凸部で中空軸2を繋一体
的に固定するようになっている。ローレット加工は平目
あっても良く、ローレット加工の他にサンドブラスト
よる加工であっても良く、更には中空軸2の外径表面
高強度な微細粒子を塗布しても、中空軸2の外径とカ
ブロブ31,32の内径との間の摩擦係数を大きくする
ことが可能である。
【0019】図2は、本発明によるカム軸(図1)の組
立途中の様子を示す要部断面構造図であり、本例は中空
軸2の内径途中にマンドレル10が押し通された状態を
示している。マンドレル10の先端は、断面がスプライ
ン形状の加工頭部11を有している。ここにおいて、中
空軸2の外径所定位置(本例ではローレット加工41,
42が施されている)に隙間5をもってカムロブ31,
32を通して位相決めを行なって後、マンドレル10を
中空軸2の内径に押し通す。この場合、個々のカムロブ
31,32はそれらを所望の位相及び間隔で予め位置決
めする固定治具にセットされ、マンドレル10を中空軸
2にスムーズに押し通すために、その中心軸線が同一軸
線上に合わされる。このようにしてマンドレル10を中
空軸2の内径に押し通すことにより、マンドレル10の
加工頭部11の歯の先端部で中空軸2を拡管し、中空軸
2とカムロブ31,32とを一体に結合組み立てること
ができる。本例ではA−A位置まで拡管されており、カ
ムロブ32は一体に結合組立てられているが、カムロブ
31は未だ一体に結合組立てられていない様子を示して
いる。A−A線の断面矢視図は図3又は図4のようにな
っている。図3はカムロブ32にスキャロップが付せら
れていない例を示し、図4はカムロブ32にスキャロッ
プ32A(本例では8個)が付せられている例を示して
いる。尚、上述では2個のカムロブ31,32を中空軸
2に固着する例を示しているがカムロブ数は任意であ
り、カムロブに付せられているスキャロップ数も任意で
ある。
【0020】本発明では、拡管固定強度を安定で信頼性
の高いものとするため、カムロブ31,32の外周部硬
さをHRC55以上とし、内周部硬さをHRB85〜H
RC28にすると共に、中空軸2の硬さをHRB90〜
HRB100としている。ここで、図5を参照して、拡
管固定法によるカム軸では一般的に中空軸の硬さよりカ
ムロブの硬さが高い方が有利であることについて説明す
る。
【0021】縦軸σtはカム軸及びカムロブ断面の円周
方向応力を、横軸δは歪(伸び)をそれぞれ表してい
る。点0、a、bを通る実線は中空軸の応力歪線であ
り、点d、eを通る実線はカムロブAの応力歪線であ
り、カムロブAは中空軸に比べ充分硬さが高い(強度が
大きい)ことを示している。中空軸もカムロブも鋼材で
あることには変わりないので、弾性係数(応力歪線の直
線部の傾き)はほぼ同じと考えられる。そして、横軸δ
の線分0dは中空軸とカムロブの隙間を表している。今
隙間0dで中空軸にカムロブを通し、マンドレルにより
歪量δ1まで拡管してマンドレルを引き抜いたとする
と、中空軸は点aで降伏し、点bまで変形してからマン
ドレルが引き抜かれることで点cへ戻って来る。
【0022】一方、カムロブは点dから変形が起こり降
伏することなく点eに達し、マンドレルが引き抜かれる
ことにより再び点dに戻って来ようとする。厳密に言え
ば中空軸は永久変形量ocを残しているので、カムロブ
は点dへは戻り得ないし、又カムロブが点dへ戻れない
ことによりカムロブには引張り応力が残留するため、中
空軸には圧縮応力が生じ、歪量は点cより更に小さくな
るであろう。しかし、説明を分かり易くするために概略
的に説明すれば、各々中空軸の歪は点cへ戻り、カムロ
ブは変形を残すことなく点dへ戻ると考える。すると、
歪寸法の差dcは中空軸とカムロブの締め代を表し、カ
ムロブに残留する中空軸を締付ける応力の値は大略σ1
と言える。
【0023】カムロブBに示す応力歪線は、カムロブの
硬さを中空軸の硬さと同一にした場合を示す。そして、
上述と同様の説明を行なうと、中空軸の拡管後の残留歪
量は点cであるのに対し、カムロブBでは変形は点dか
ら始り点a’で降伏し、点b’まで変形してマンドレル
が引き抜かれることにより点c’へ戻って来る。従っ
て、この線図上では締め代は発生せず、隙間cc’が発
生し、中空軸とカムロブを固定することはできないこと
を示している。中空軸の硬さよりカムロブの硬さが低け
れば、隙間は更に増大することになる。この様な拡管固
定の原理から、一般的には拡管固定では中空軸の硬さよ
りカムロブの硬さを高く設定する。
【0024】図6により、実際には中空軸の硬さとカム
ロブの硬さが同一でも、あるいは若干であればカムロブ
の硬さが低くても、拡管固定が可能であることを説明す
る。図6は中空軸20とカムロブ21を組合わせ、単純
化のため断面が円形のマンドレル22で拡管中の、弾性
範囲内で中空軸20及びカムロブ21に発生する円周方
向の応力σt(イ、ロ、ハ)の分布を示している。
【0025】今、中空軸20とカムロブ21の硬さを同
一と仮定し、中空軸20とカムロブ21との境界の応力
及び変形量について図5の線図上で考えてみると、中空
軸20及びカムロブ21の肉厚を無視すると、図5にお
ける説明と全く同一になり、隙間cc’により拡管固定
はできない。(図5における前述の拡管原理の説明は、
この状態を説明したものである。)しかし、図6の様な
肉厚及び応力分布を考慮すると、中空軸20とカムロブ
21の境界に比べ中空軸20の内径側の応力は高いから
(点ロに比べ点イの方が大きい)、塑性変形は中空軸2
0の内径部より進み、マンドレル22が除去されても永
久変形が多く残り、中空軸20の外径部の変形量が点c
へ戻ることに抵抗する。従って、中空軸20の外径部に
は引張り応力が残り、残留する変形量はδ1側に寄るこ
とになる。
【0026】同様にカムロブ21の外径部では内径部よ
り応力σtは低く、拡管仕様によってはカムロブ21の
内径付近より外径側のほとんどを弾性域に残すことがで
きるから、カムロブ21の内径部より外径部のほとんど
は図5の線図上の点dへ戻ろうとする。従って、カムロ
ブ21の内径部は外周側から圧縮応力を受け、残留変形
量は点c’よりd側に寄ることになる。その結果点c及
びc’の位置関係は逆転し、境界部には締め代が生ずる
ことになり拡管固定が可能となる。
【0027】
【発明の効果】本発明は拡管方式であるので一度の拡管
で全カムロブを固定できるため、加工工数が少なく低コ
ストなカム軸を提供できる。拡管に使用するマンドレル
の半径方向断面形状がスプライン形状で、その先端の加
工頭部で拡管する方式としているので、低いマンドレル
押し込み力で拡管でき、カムロブの軸方向固定精度、中
空軸の曲がりの少ない組立が可能である。カムロブは高
面圧を要求される外周の摩擦面を高周波焼き入れとして
硬さを上げ、内径部の硬さを下げているので(必要によ
っては中空軸より低く)、熱処理後の内径加工が極めて
安価に高精度に可能であり、その結果低コストで拡管固
定強度の安定したカム軸を製造することができる。同時
にカムロブ内径部の硬さを下げているので拡管時のカム
ロブの割れを防止でき、又、中空軸とカムロブの接触面
の摩擦係数を実質的に上げる摩擦係数増加手段を設けて
いるので、カムロブに発生する低い応力で高い結合強度
を得ることが可能になる。
【0028】尚、摩擦係数増加手段としては、中空軸に
ローレット加工することが実用的であるが、平目のロー
レット加工やスプライン加工に制約されることはない。
拡管方式であるが、摩擦係数増加手段を設けているの
で、所定の範囲では中空軸とカムロブの相対的な硬さの
差に結合強度が影響を受けることは少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に基づくエンジン用カム軸の
組立後の構造例を示す要部断面図である。
【図2】本発明によるカム軸の組立途中の様子を示す要
部断面構造図である。
【図3】図2におけるカム軸拡管中のカムロブ部のA−
A断面矢視図である。
【図4】図2におけるカム軸拡管中のカムロブ部のA−
A断面矢視図である。
【図5】本発明による拡管固定原理の模型的な説明図で
ある。
【図6】本発明による拡管固定原理の模型的な説明図で
ある。
【符号の説明】
1 カム軸 2,20 中空軸 2A ノーズピース 21,31,32 カムロブ 41,42 ローレット加工 10,22 マンドレル 11 加工頭部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16H 53/02 F16H 53/02 A (72)発明者 田中 正美 群馬県前橋市総社町一丁目8番1号 日 本精工株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−299808(JP,A) 特開 平6−264990(JP,A) 特開 昭62−104661(JP,A) 特公 平4−65729(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/04 B21D 39/14 B23P 9/02 B23P 21/00 301 F16H 53/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面のカムロブ固着位置に摩擦係数増
    加手段を設けた中空軸に前記カムロブを隙間をもって通
    して位相決めを行なっ後、断面がスプライン形状の加
    工頭部を有するマンドレルを前記中空軸の内径に押し通
    し、前記加工頭部の歯の先端部で前記中空軸を拡管する
    ことにより、前記中空軸と前記カムロブとを一体に結合
    組立てて成る拡管組立式中空カム軸において、前記カム
    ロブの外周部硬さHRC55以上に、内周部硬さ
    RB85乃至HRC28とする一方、前記中空軸の硬さ
    HRB90乃至HRB100とし、かつ前記摩擦係数
    増加手段を平目若しくはアヤ目のローレット加工とした
    ことを特徴とする拡管組立式中空カム軸。
  2. 【請求項2】 前記摩擦係数増加手段が、サンドブラス
    トによる加工である請求項1に記載の拡管組立式中空カ
    ム軸。
  3. 【請求項3】 前記摩擦係数増加手段が、高強度な微細
    粒子による塗布である請求項1に記載の拡管組立式中空
    カム軸。
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