JP3433200B2 - 眼鏡の伸縮テンプル構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は眼鏡のテンプル構造に関
し、特に伸縮可能としたテンプル構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の伸縮テンプル構造として
は、以下のような従来例が知られている。

【０００３】図４（ａ）は第１の従来例を示すもので
（実開昭６１ー９２９２２号公報参照）、前端がフロン
トフレーム１００に固定されるテンプル本体１０１と、
このテンプル本体１０１の後端に連結されるモダン１０
２とに分割構成されている。テンプル本体１０１にはそ
の後端に開口する空洞部１０３が設けられ、空洞部１０
３にモダン１０２に設けられた連結軸部１０４が軸方向
に移動自在に挿入されている。空洞部１０３には連結軸
部１０４を空洞部１０３内に常時引き入れる方向に付勢
するスプリング１０５が収納され、このバネ付勢力によ
って、通常はテンプル本体１０１に対して連結軸部１０
４を最大限引き入れて、テンプル全長を最短長さとして
いる。

【０００４】そして、使用する際には、スプリング１０
５のばね力に抗してモダン１０２の連結軸部１０４を空
洞部１０３から各人の頭部寸法に合わせて所定長さだけ
引き出し、モダン１０２を耳に引っ掛けて使用するもの
である。

【０００５】図４（ｂ）は第２の従来例を示すもので
（実開昭５９ー８２２２３号公報参照）、この例は、テ
ンプル本体２０１の後端をモダン２０２の前端に設けた
空洞部２０３に摺動自在に挿入して長さ調節可能とし、
調節した位置で、テンプル本体２０１を挿入部位２０４
をネジ部材２０５によって締め付け固定するものであ
る。

【０００６】図４（ｃ）は第３の従来例を示すもので
（実開昭５９ー８２２２３号公報参照）、この例は、テ
ンプル本体３０１とモダン３０２の対向端部にネジ軸３
０４，３０４を突設し、このネジ軸３０４，３０４を、
テンプル本体３０１とモダン３０２の間に介在させた引
締め部材３０３のネジ穴にそれぞれねじ込み、引締め部
材３０３を回転させることによってテンプル本体３０１
とモダン３０２の間隔を変化させてテンプル長さを調節
するものである（実開昭５９ー８２２２３号公報参
照）。

【０００７】図４（ｄ）は第４の従来例を示すもので
（特開昭５９ー２０１０１８号公報参照）、空洞部を備
えた固定テンプル４０１に可動テンプル４０２が摺動自
在に挿入され、固定テンプル４０１の端部外周に、可動
テンプル４０２を固定テンプル４０１に対して固定する
ための締付ナット４０３が螺合されている。長さ調節
は、締付ナット４０３を緩めて固定テンプル４０１に対
する可動テンプル４０２の差込み量を調節した後、締付
ナット４０３を締め付けて固定するようになっている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術の場合には、次のような問題があった。

【０００９】すなわち、第１の従来例の場合には、使用
時にモダン１０２を介して耳にスプリング１０５のばね
力が常時加わることになり、耳に不快な圧迫感がある。
また、長時間使用していると、圧迫されている部分が痛
み出すという問題もあった。

【００１０】第２及び第３の従来例の場合には、第１の
従来例のようにスプリングのばね力による耳への圧迫の
問題は無いものの、固定用のネジ部材２０５あるいは引
締め部材３０５等が使用者の耳等に当り不快感を与え、
また外部に露出しているために外観が悪いという問題が
あった。

【００１１】さらに構造が複雑で加工，組立時の工数が
増大し、製造コストが上がるという問題があった。

【００１２】一方、第４の従来例のように締付ナット４
０３を用いる場合には、長時間使用では締付ナット４０
３が緩み、可動テンプル４０２の固定保持力が弱くなっ
てしまうという問題があった。

【００１３】また、固定テンプル４０１側のネジ加工
や、締め付け構造を加工する必要があり、第２，第３従
来例と同様に製造時の工数が多く、コスト高となるとい
う問題もあった。

【００１４】本発明は、上記した従来技術の問題を解決
するためになされたもので、その目的とするところは、
簡単な構成で、容易に長さ調節を行うことができ、しか
も固定力を長期間維持し得る眼鏡の伸縮テンプル構造を
提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にあっては、２つのテンプル構成部材と、該
２つのテンプル構成部材を伸縮自在に連結するねじりコ
イルバネ形状の継手部材と、を備え、前記継手部材の一
端には一方のテンプル構成部材を固定し、前記継手部材
の他端側内周には他方のテンプル構成部材の端部を軸方
向に挿入すると共に該挿入部位の外周面を継手部材のね
じりばね力によって締め付けて支持したことを特徴とす
る。

【００１６】一方のテンプル構成部材には、他方のテン
プル構成部材が軸方向に移動可能に挿入される中空穴が
設けられ、該中空穴内に継手部材が収納されており、該
継手部材の一端側外周が中空穴内周に軸方向かつ回転方
向に移動不能に圧入固定され、他端側の前記他方のテン
プル構成部材を支持する部分が外周は中空穴内周に対し
て自由状態となっていることを特徴とする。

【００１７】

【作用】本発明にあっては、伸縮調節する際には、他方
のテンプル構成部材と継手部材とを前記継手部材のコイ
ル巻き方向と反対方向に相対回転させる。この回転によ
って、継手部材はその締め付け力が緩む方向、すなわち
巻き径が拡大する方向にねじられることになり、他方の
テンプル構成部材と継手部材間の摩擦抵抗が減少して軸
方向に簡単にスライド可能となる。

【００１８】一方、テンプルの長さ調節が終了した後、
他方のテンプル構成部材と継手部材とを前記継手部材の
コイル巻き方向と同一方向に相対回転させると、継手部
材のテンプル構成部材に対する締め付け力が増大して緩
まないように所定位置に確実に固定される。

【００１９】また、テンプル構成部材は継手部材のねじ
りばね力によって締め付けられているので緩まない。

【００２０】継手部材を一方のテンプル構成部材に設け
た中空穴内に収納しておけば、外部から継手部材が隠れ
て見栄えがよくなる。

【００２１】

【実施例】以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。

【００２２】図３は本発明の一実施例に掛かる眼鏡の伸
縮テンプル構造が適用された眼鏡の一例を示している。
この眼鏡１は、左右一対のレンズ２，２を有するフロン
ト部４に接続されるヨロイ３，３に、丁番部６，６を介
してテンプル５，５が開閉自在に連結されている。

【００２３】テンプル５，５は丁番部６，６を介してヨ
ロイ３，３に開閉自在に取り付けられている。

【００２４】テンプル５は、第１のテンプル構成部材と
してのテンプル本体７と、第２のテンプル構成部材とし
てのモダン８と、このテンプル本体７とモダン８とを伸
縮自在に連結する継手部材９と、から構成されている。

【００２５】モダン８の連結端部には軸方向に延びる中
空穴１０が開口形成され、テンプル本体７の端部が挿入
され、この挿入量を調節することでテンプル５全体の長
さを調整可能としている。

【００２６】継手部材９はねじりコイルバネ形状の円筒
状部材で、モダン８の中空穴１０内周に圧入固定され、
上記テンプル本体７の端部は、この継手部材９を介して
モダン８の中空穴１０内に同軸的に支持される。

【００２７】継手部材９はテンプル本体７の外周を継手
部材９のねじりばね力によって締め付けて支持してお
り、テンプル本体７の挿入端部外周面と継手部材９内周
面との接触面間は摩擦によって、相対回転方向及び軸方
向に移動が規制される。

【００２８】一方、継手部材９の一端部はモダン８に対
して移動不能に固定されている。

【００２９】この実施例では継手部材９とテンプル本体
７とが接触する部分は奥端側の所定長さ分のすべり可能
係合部９１で、このすべり可能係合部９１の外周と中空
穴１０内周間は若干の隙間をあって互いにフリー状態と
なっている。尚、すべり可能係合部９１の外周側と中空
穴１０内周とが接触していても、継手部材９のねじり方
向の動きを阻害しないようになっていればよい。このす
べり可能係合部９１は断面円形状で、テンプル本体７も
断面円形状の丸軸によって構成されている。テンプル本
体７の丸軸部分は継手部材９と接触する部分だけあれば
よい。

【００３０】継手部材９のモダン８の中空穴１０とのす
べり不能係合部９２は、継手部材９の他端側の領域で、
このすべり不能係合部９２は中空穴１０内周に圧入固定
されている。

【００３１】すなわち、継手部材９のすべり不能係合部
９２の外径は、中空穴１０の内径よりも大径に成形さ
れ、継手部材９のすべり可能係合部９１の内径はテンプ
ル本体７の外径よりも小径となっている。

【００３２】この実施例では、継手部材９は、図１
（ｄ）に示すように、テンプル本体７とのすべり可能係
合部９１からモダン８の中空穴１０とのすべり不能係合
部９２に向かって大径となるようなテーパ形状に成形さ
れている。この継手部材９の形状としては、テーパ状に
しないで、図１（ｅ）に示すような段付き形状の継手部
材９’としてもよく（図中９３が大径のすべり不能係合
部で、９４が小径のすべり可能係合部である。）、ま
た、図１（ｆ）テーパ形状のすべり不能係合部９５と円
筒形状のすべり可能係合部９６を組み合わせた形状の継
手部材９”とすることもできる。また、継手部材９のコ
イルの断面形状は丸形状でなく、図１（ｇ）に示すよう
に断面矩形状９７としてもよい。

【００３３】上記実施例にあっては、伸縮調節する際に
は、テンプル本体７と継手部材９とを継手部材９のコイ
ル巻き方向と反対方向に相対回転させる。この回転によ
って、継手部材９にはその締め付け力が緩む方向、すな
わち巻き径が拡大する方向にねじられることになり、テ
ンプル本体７と継手部材９のすべり可能係合部９１との
間の摩擦抵抗が減少して軸方向に簡単にスライド可能と
なる。

【００３４】一方、テンプル５の長さ調節が終了した
後、テンプル本体７と継手部材９とを継手部材９のコイ
ル巻き方向に相対回転させる。すると、継手部材９のす
べり可能係合部９１とのテンプル本体７に対する締め付
け力が増大して強固に固定される。この調節した位置で
継手部材９のすべり可能係合部９１がテンプル本体７に
対して継手部材のねじりばね力によって常時締め付けら
れているので、常に一定の摩擦係合力を維持される。

【００３５】図２は本発明の眼鏡の伸縮テンプル構造の
他の実施例が示されている。

【００３６】この実施例はモダン８の中空穴１０の開口
部を閉塞する小口１１を有するもので、継手部材９のす
べり不能係合部９２の端部を小口１１に係合し、継手部
材９の一端を小口１１を介してモダン８に固定したもの
である。

【００３７】すなわち、小口１１はテンプル本体７が摺
動自在に挿入されるリング状部材で、その一端部内周に
環状の受口１２を有し、中空穴１０の開口端部には前記
受口１２にインロウ嵌合する環状の差し口１３が突設さ
れている。継手部材９の一端は差し口１３と受口１２の
間に挟み込まれるように固定される。

【００３８】もっとも、図２（ｅ）に示すように、中空
穴１０の開口端部に差し口１３を設けないで、継手部材
９のすべり不能係合部９２の固定は中空穴１０に圧入固
定することで行うことができる。その場合には小口１１
は継手部材９を介してモダン８に固定される。もっと
も、小口１１を別途モダン８に対して接着材等で固定し
てもよい。

【００３９】なお、上記実施例では継手部材９の一端部
外周を所定長さ分だけ中空穴１０に対して圧入固定して
すべり不能係合部９２を構成したが、圧入固定するので
はなく、要するに一端がモダン８に対して固定されてい
ればよく、継手部材９の内周を全長にわたってテンプル
本体７に圧接させてすべり可能係合部とし、一端のみを
モダン８に対して回転不能に係止して回り止めを図る構
成としてもよい。

【００４０】また、上記実施例ではテンプル本体７の奥
端側の部分をすべり可能係合部としたが、中空穴１０の
開口側の端部をすべり可能係合部としてもよい。

【００４１】さらに、この実施例では中空穴１０に継手
部材９を収納する構成としたが、継手部材を外部に露出
させておいて、その両端にテンプル構成部材を係合させ
るようにしてもよい。その場合にも、一方のテンプル構
成部材を継手部材の一端部内周に挿入してすべり可能係
合部とし、他方のテンプル構成部材については継手部材
の他端にすべり不能に固定すればよい。このすべり不能
係合部は要するにテンプル構成部材と継手部材を回転方
向および軸方向に相対すべり不能に固定すればよく、継
手部材の内周側あるいは外周側いずれに固定してもよ
い。

【００４２】さらにまた、上記実施例ではテンプル構成
部材として、テンプル本体とモダンとに分割したが、テ
ンプルをどこの部分で分割してもよい。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明にあって
は、ねじりコイルバネ形状の継手部材を用いて２つのテ
ンプル構成部材を連結し、通常は継手部材のばね力によ
ってテンプル構成部材を締め付けて所定位置にて支持
し、長さ調節時には継手部材のコイル巻き方向と逆方向
に相対回転させて他方のテンプル構成部材と継手部材間
をスライドさせる構成なので、従来の引っ張りスプリン
グのように耳にばね力が作用せず、耳の圧迫感は全く無
い。

【００４４】また、テンプル構成部材を継手部材に嵌合
させるだけなので、構造が極めて単純化でき、コスト低
減を図ることができる。

【００４５】さらに、長さ調節後、テンプル構成部材は
継手部材のねじりばね力によって常時締め付けられて緩
まないので、信頼性の高い伸縮構造を実現できる。

【００４６】継手部材を一方のテンプル構成部材に設け
た中空穴内に収納しておけば、外部から継手部材が隠れ
て見栄えがよくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の眼鏡の伸縮テンプル構造の一実
施例を示すもので、同図（ａ）はテンプルの要部分解斜
視図、同図（ｂ）は要部拡大断面図、同図（ｃ）は要部
切断斜視図、同図（ｄ）〜（ｇ）は継手部材の各種形状
例を示す図である。

【図２】図２は本発明の他の実施例に掛かる眼鏡の伸縮
テンプル構造を示すもので、同図（ａ）はテンプルの要
部分解断面図、同図（ｂ）はテンプルの要部正面図、同
図（ｃ），（ｄ）は小口を示す図、同図（ｅ）はモダン
の部分断面図である。

【図３】図３は本発明の眼鏡の伸縮テンプル構造が適用
される眼鏡の一例を示す図である。

【図４】図４（ａ）〜（ｄ）は各種従来の眼鏡の伸縮テ
ンプル構造を示す図である。

【符号の説明】

１ 眼鏡 ２ レンズ ３ ヨロイ ４ フロント部 ５ テンプル ６ 丁番部 ７ テンプル本体（第１のテンプル構成部材） ８ モダン（第２のテンプル構成部材） ９ 継手部材 １０ 中空穴 １１ 小口 １２ 受口 １３ 差し口

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２つのテンプル構成部材と、該２つのテン
   プル構成部材を伸縮自在に連結するねじりコイルバネ形
   状の継手部材と、を備え、 前記継手部材の一端側に一方のテンプル構成部材を固定
   し、前記継手部材の他端側内周に他方のテンプル構成部
   材の端部を軸方向に挿入すると共に該挿入部位の外周面
   を継手部材のねじりばね力によって締め付けて支持した
   ことを特徴とする眼鏡の伸縮テンプル構造。
2. 【請求項２】一方のテンプル構成部材には、他方のテン
   プル構成部材が軸方向に移動可能に挿入される中空穴が
   設けられ、該中空穴内に継手部材が収納されており、該
   継手部材の一端側外周が中空穴内周に軸方向かつ回転方
   向に移動不能に圧入固定され、他端側の前記他方のテン
   プル構成部材を支持する部分が外周は中空穴内周に対し
   て自由状態となっている請求項１に記載の眼鏡の伸縮テ
   ンプル構造。