JPWO2004003635A1 - 眼鏡丁番 - Google Patents

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Abstract

本発明は、レンズ、係止杆、鼻当てパッドなどの一部の眼鏡部品を除いて、眼鏡全体に単一の金属素材を使った眼鏡において、テンプルがヨロイに対して回動する機構を備え、かつテンプルが開いた状態およびテンプルが閉じた状態においてテンプルのガタツキを解消して安定した開状態あるいは閉状態を維持する、ネジを用いない丁番機構を提唱するために、テンプルとヨロイがともに線状の金属で構成されていて、前記テンプルの先端を環状に成形して枢軸孔とし、該枢軸孔をヨロイを構成する線材を屈曲させて構成した枢軸部に嵌入させてテンプルの回動を可能とさせるとともに、該ヨロイの枢軸部からテンプルに沿って延長して先端部がテンプルの内側に入り込むように屈曲させて、テンプルを開いた状態でテンプルが内側に倒れることを防ぐテンプル開時保持部を設けた眼鏡丁番とする。

Description

本発明は、レンズ、係止杆(テンプルエンド)あるいは鼻当てパッドなどの一部の眼鏡部品を除いて、眼鏡全体に単一の金属素材を使った眼鏡において、テンプルがヨロイに対して回動する機構を備え、かつテンプルが開いた状態およびテンプルが閉じた状態においてテンプルのガタツキを防止する、ネジを用いない眼鏡丁番機構に関する。
眼鏡は、左右一対のレンズと、この一対のレンズをレンズ側面から保持し眼鏡フレームの本体部となる本体リムと、眼鏡装用者の鼻や耳等に係止するための、鼻当てパッドやテンプルおよび係止杆(テンプルエンド)などの部品により構成されている。
このようなリム式の眼鏡では、使用しないときに上記テンプルを折り畳み可能とするために、本体リムの両外側にロー付けでヨロイを取り付け、このヨロイとテンプルとを丁番で連結する方法が一般的に採用されている。ここで、ヨロイに対するテンプルの回動は、抵抗無く動くのではなく、むしろ適度な抵抗感を有していることが好ましい。眼鏡の分野では、ヨロイに対してテンプルを回動させたときの当該抵抗感の度合いをあがき特性と呼んでいる。
リム式の眼鏡に対して、広い視野の確保や軽量化を図るため、眼鏡フレームを上記本体リムを用いずに成したリムレス式の眼鏡も存在する。このリムレス式の眼鏡では、徹底した軽量化の要請に基づき、フレームの部材を金属等の細い線材で形成したり、ヨロイをレンズに対して直接取り付けたり、さらには上記丁番を用いずにテンプルの回動を可能とするようヨロイが工夫されている。
ヨロイに対するテンプルの回動機構を丁番を用いないで構成した例としては、『メガネフレームのツル継手構造』(実登3015058)がある。この考案では、線材からなるヨロイの端部を曲げて、縦部材を有する角型リングを形成し、ツル(テンプル)の端部のリングにパイプ片を固定して軸受けとし、該軸受けの軸孔をヨロイ端部の縦部材に嵌入して連結することによって、ネジを用いない丁番機構を実現している。また『眼鏡における回動方法及びその回動機構』(特開平08−50264)に記載の技術では、構造的には実登3015058と似ているが、ヨロイに対するテンプルの回動に抵抗感を与える構造を提唱している。具体的には、テンプル端(テンプルのヨロイ側の端)の軸部をブラケット(ヨロイ)に圧接することにより、当該軸部の回動に抵抗力を付与している。
『眼鏡フレーム』(特開2000−221452)に記載の丁番機構では、テンプルの回動構造は前記特開平08−50264と同様であるが、テンプルの枢軸孔をヨロイの接続子取付部の間に合成樹脂接続子を介して嵌入させ、その際に枢軸孔の締め付け度合いを微調整することによって、テンプルの回動時の適度な摩擦抵抗を発生させる構造となっている。
上記の『メガネフレームのツル継手構造』や『眼鏡における回動方法及びその回動機構』に記載の、通常のネジ構造の丁番を用いないタイプの眼鏡開閉構造は、ヨロイに対してテンプルを取り付けた後でなければ回動時の抵抗感が分からない。また、調整を行うためにはテンプルをヨロイから取り外さなければならないので調整は困難である。これに対して『眼鏡フレーム』では、ヨロイに対してテンプルを取り付ける前に予めあがき特性の微調整が容易に行える構造となっている。しかし、ヨロイの接続子とテンプル(該発明では“ツル”と表記)の接続子取付部の間に合成樹脂を介して回動時の摩擦抵抗力を発生させている。
金(ゴールド)は人気のある眼鏡フレームである。しかし金だけの単一金属素材を用いた部品で眼鏡を作るとなると重量が問題となり、軽量化が要求される。この軽量化、構造の単純化を可能にした構造が上記の考案や発明の技術である。しかし、上記の技術においては、テンプルを開いたときあるいは閉じたとき、テンプルを安定して固定するという点において問題がある。『眼鏡における回動方法及びその回動機構』においては、ブラケット(ヨロイに相当)の一端に凹部を設けてテンプルの軸を圧接する構造を提唱しているが、テンプルを安定して固定するというよりは、回動機構に力学的な無理が掛からない程度の配慮に留まっている。また『眼鏡フレーム』では回動部の締め付け具合による摩擦抵抗を利用して適度の開閉を可能にし、安定感を生んでいるが、接続部に合成樹脂を使っている。
本発明が解決しようとする課題は、上記の技術を踏襲しながらも、単一素材の眼鏡部品で構成する眼鏡を作り、しかもテンプルを開いたとき、あるいはテンプルを閉じたときに、テンプルのガタツキを解消して安定した開状態あるいは閉状態を維持することを目的とした、ネジを用いない丁番機構を提唱することである。なお本発明で使用する“丁番機構”という用語は、回動接続構造を有する眼鏡部位の機能という意味であり、丁番という独立した眼鏡部品の意味ではない。従って、本発明でいう“ネジを使用しない丁番”とは、従来型の丁番(ネジ止めによる丁番)を用いない、テンプルとヨロイの接続部位であり、回動機能(ヒンジ機能)を有する部位という意味である。
丁番はテンプルとフロントをつなぎ、テンプルの開閉機能を有する部位である。通常丁番は、リムとテンプルの間にチ(ヨロイ、ヨロイチ)を介してヨロイとテンプルをネジで止めてテンプルをリムに固定することにより、テンプルの開閉機構を可能にしている。ネジ止めによる丁番では、ネジの締め方の調整によってあがき特性を微調整することができ、テンプルの開状態あるいは閉状態のときでもガタツキの防止が可能となっている。
従来技術で見てきた『眼鏡フレーム』では回動機構部に合成樹脂を用い、枢軸孔の締め付け具合で摩擦抵抗を調整できるようにしている。これに対して本発明では合成樹脂も使用しないシンプルな構造とするために、別の方法でテンプルの開状態、閉状態時のテンプルの安定を考えなければならない。そこで本発明は上記課題を解決するため、テンプルが開状態あるいは閉状態のときにテンプルをヨロイの一部で押さえる丁番機構にする。具体的には以下の通りである。
金属製テンプルが金属製ヨロイに対して回動する眼鏡において、テンプルとヨロイがともに線状の金属で構成されていて、前記テンプルの先端を環状に成形して枢軸孔とし、該枢軸孔をヨロイの枢軸部に嵌入させてテンプルの回動を可能とさせるとともに、ヨロイのテンプル側最先端部がテンプルの開きを制御し、なおかつテンプルを開いた状態でテンプルが内側に倒れることを防ぐテンプル固定手段を備えた眼鏡丁番機構とする。
上記の線状の金属は、中空のものが強度の点では都合がよい。断面形状については略円筒状のものが製造が容易であるが、これに限るものではない。例えば、楕円筒状の断面形状を持つものでも良い。
図1は、本発明の実施例における開時保持部を備えた丁番機構の説明図である。
図2は、本発明の実施例における開時保持部を備えた丁番機構の説明図である。
図3は、本発明の開時湾曲凹状保持部を備えた丁番機構の斜視図である。
図4は、本発明の開時湾曲凹状保持部を備えた丁番機構において、保持部にテンプルを保持する方法を説明するための断面図である。
図5は、本発明の開時湾曲凹状保持部を備えた丁番機構の斜視図である。
図6は、本発明の開時湾曲凹状保持部と閉時保持部を備えた丁番機構の斜視図である。
図7は、本発明の実施例における丁番機構の回動部の説明図である。
図8は、本発明の開時保持部を備えた丁番機構を有するリムレス眼鏡の斜視図である。
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例における開時保持部を備えた丁番機構の説明図である。図では、ヨロイはリムに取り付けられた状態である。リム3とヨロイ1とはロー付けされている。ヨロイは線状部材を折曲げて細工し、接続取付部(枢軸)110とテンプル開時のテンプルを保持するフック状の開時保持部120を作っておく。一方、テンプル2の端部に環状部すなわち枢軸孔210を作っておき、枢軸孔210をヨロイの開時保持部120の先端から通して枢軸110で保持する。
図2はテンプルが開いたときの状態である。開時保持部120はテンプルの少し内側に配置され、テンプル2の軸をつかむ形になっているために、テンプルは固定される。開示保持部先端部121のテンプルが収まる箇所に、必要に応じて図1の部分断面図に示すように凹部(ストッパー)を設け、テンプルが開いたときより安定して固定されるようにしてもよい。
以上はヨロイの端部をフック状にし、テンプルを引っかける形状による保持部を示したが、図3のように湾曲凹部を作って保持部とすることもできる。開時湾曲凹状保持部120は、テンプルを開いたときに、テンプル2の軸を挟み込んでテンプルを固定する部位である。テンプルをヨロイに連結するには、枢軸孔210を開示保持部先端部121から嵌入してヨロイの枢軸110で固定する(図の(b)参照)。ヨロイの開示保持部先端部121を外向きに曲げてあるのは、嵌入口122が湾曲してテンプルを挿入しやすいようにするためである。
嵌入口122の開きは、テンプルの軸径(円柱の場合は直径)よりも若干小さくしておく。図4は、開示保持部とテンプルの軸を示す断面図である。嵌入口122はテンプルよりも若干狭く作ってあり、テンプルを開示保持部120に嵌入するときは押し込むようにする((a)参照)。ヨロイは素材の弾力で嵌入口が広がるために、容易に嵌入できる((b)参照)。テンプルは完全に開示保持部に嵌入した形になるために、ガタツキは解消される。テンプルを閉じるときも同様に、ヨロイの弾性力で容易に保持部から外すことができる。
開時湾曲凹状保持部の場合には、図5の形状にすることも可能である。しかしながら、これまで述べてきたヨロイの形状では開時(テンプルを開いた状態)のテンプルの固定は行えても、テンプルを閉じたとき(閉時)にはテンプルはガタツキが生じる。そこで、図5の形状からさらにヨロイの先端を延ばし、テンプル閉時の保持部を作る。図6はフック状の保持部にした例である。従って、ヨロイは開時保持部120と閉時保持部130を持つことになる。図6の(b)はテンプルを閉じたときに閉時保持部130がテンプル2の軸を引っかけて固定する形になっている。もちろん閉時保持部130は図4のような湾曲凹状の形状にすることも可能である。
なお、図6では閉時保持部130を、枢軸110の延長上に、しかもヨロイの軸の上を単純に越した形で延ばしているが、ヨロイの軸に巻き付けるようにすることによって、閉時保持部130をより安定させることもできる。
図7は本発明の実施例における丁番機構の回動部の説明図である。本発明のテンプルを表す図(a)と、テンプルの枢軸孔をヨロイの枢軸110に嵌入したときの様子を示した上面図(b)と、その側面図(c)である。
図8は本発明の開時保持部を備えた丁番機構を有するリムレス眼鏡の斜視図である。本発明で用いる線材としては、熱処理した14Kなど、金合金のように形状が安定していて、かつ弾性のある金属とするのが望ましい。金属線材の弾性のおかげで、テンプルはより安定して収まることができる。
本発明は、丁番部を金属線材を使用して構成するため、単一の金属線材で眼鏡枠を構成することができるので、軽量化が図れる。とくに、顧客には好まれているが重量のある金を用いた場合、軽量化と共に、金以外の金属部品の使用を抑えることができ、製造コストを低減することができる。
本発明の丁番部は、あがき特性については通常の丁番のような特性を持たせることは困難であるが、開いた状態の安定性は良好であり、使用上の問題はない。また、枠が細線で全て構成されているので、すっきりした構造となり、外観上も望ましい。また、構造上、回動軸と開時保持部の2点間でテンプルを保持するので、特に応力が集中する箇所が無く、破損しにくい構造となっている。
このほか、本発明を用いることによって得られる効果をまとめると以下の通りである。
・単一金属素材による、ネジを用いない丁番機構を実現できる。
・軽量でシンプルなデザインが可能である。
・丁番機構部に樹脂などの特別な処置を施さなくても、テンプルの安定した開閉状態を保つことができる。
・ヨロイの構造が単純で、テンプルの交換も容易に行える。
などがあげられる。

Claims (3)

  1. テンプルとヨロイがともに線状の金属で構成されていて、前記テンプルの先端を環状に成形して枢軸孔とし、該枢軸孔をヨロイを構成する線材を屈曲させて構成した枢軸部に嵌入させてテンプルの回動を可能とさせるとともに、該ヨロイの枢軸部からテンプルに沿って延長して先端部がテンプルの内側に入り込むように屈曲させて、テンプルを開いた状態でテンプルが内側に倒れることを防ぐテンプル開時保持部を設けたことを特徴とする眼鏡丁番。
  2. 前記テンプル開示保持部にテンプルが収まる凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載の眼鏡丁番。
  3. 前記テンプル開示保持部にテンプルが収まる湾曲部を設けたことを特徴とする請求項1記載の眼鏡丁番。
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