JP3430543B2 - 連続真空蒸着装置用ルツボ - Google Patents

連続真空蒸着装置用ルツボ

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JP3430543B2
JP3430543B2 JP04420893A JP4420893A JP3430543B2 JP 3430543 B2 JP3430543 B2 JP 3430543B2 JP 04420893 A JP04420893 A JP 04420893A JP 4420893 A JP4420893 A JP 4420893A JP 3430543 B2 JP3430543 B2 JP 3430543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続真空蒸着装置用ル
ツボに係わり、更に詳しくは、イオンプレーティングを
含む連続真空蒸着装置において使用するルツボに関す
る。
【0002】
【従来の技術】連続真空蒸着装置は、真空チャンバー内
に設けたルツボに蒸着材料を入れ、これに電子銃により
電子ビームを照射して蒸発材料を溶融・蒸発させ、連続
的にガイドロールを介して供給される鋼板などの走行基
板に蒸着するようになっている。なお、電子銃には中空
陰極プラズマ電子ビーム銃或いはHCDプラズマ銃を含
み、上記連続真空蒸着装置は、かかる電子銃により蒸着
材料を溶解・蒸発させる装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる連続真空蒸着装
置で使用するルツボは、例えば図10、図11に示すよ
うに、通常幅方向に細長い容器であり、長時間連続運転
していると溶湯表面に不純物14の薄い層(いわゆる皮
ズリ)ができる。不純物14は、溶融した蒸着材料5と
ルツボ壁やチャンバー中の残存ガスとの反応生成物、或
いは供給される蒸着材料11(以下供給材料という)が
持ち込む不純物、などであり、これらの不純物は通常、
溶融している蒸着材料5よりも軽く、また融点(沸点)
も高いため溶解(蒸発)せず、最表面に浮かぶ。この不
純物14は時間の経過とともに増加し、ルツボ表面を覆
ってくる。すると本来の蒸着材料の蒸発面積が減り、所
定の膜厚の成膜ができなくなったり、スプラッシュ(蒸
発できず過熱された蒸着材料や皮ズリが飛び散る現象)
が起こり走行基板にスプラッシュ痕を残すため、走行基
板の品質が低下し製品価値を失う問題点があった。
【0004】また、連続真空蒸着装置の運転をメンテナ
ンス等のため中断してルツボが冷却後、再度、加熱/溶
解する時、電子ビーム4が当たる電子ビーム照射部13
を不純物14が覆っているため、スプラッシュを発生さ
せたり、溶解までに時間がかかったり、場合によっては
電子銃3の出力を大幅に上げないと溶解できなくなる問
題点があった。
【0005】かかる問題点を解決するために、従来、特
開昭63−119837号、特開昭64−21067
号、特開平3−170662号、特開平2−29826
2号、特開平2−23525号、等が提案されていた。
特開昭63−119837号公報(同位体分離装置)
は、ルツボ内を金属原料供給室と溶融金属蒸発室とに区
画形成し、溶融金属液面下に金属原料供給室と溶融金属
蒸発室との連通穴を設けることにより、同位体を効率よ
く分離する、ものであるが、ルツボが傾動できないため
不純物の除去ができず、かつ蒸発面に発生する不純物の
除去もできない問題点があった。
【0006】特開昭64−21067号公報(連続真空
蒸着装置)は、「蒸着基板の移送経路から離隔した位置
に配設された電子銃と、この電子銃から発した電子ビー
ムを前記蒸着基板の表面に沿って平行に導く手段と、こ
の手段により蒸発ルツボ上方位置まで導かれた前記電子
ビームを偏向し上記蒸発ルツボ内の蒸着金属に照射する
電子ビーム偏向装置とを具備した」ものであるが、ルツ
ボは傾動することなく固定されており、不純物の除去が
できない問題点があった。
【0007】特開平3−170662号公報(蒸着装置
および蒸着方法)は、蒸発ルツボの溶湯内に挿入した導
入管を通して蒸着材料を供給することにより、異物の混
入,スプラッシュの発生及び急激な組成と温度の変化を
防ぎ,組成と膜厚が均一な金属薄膜を得る、ものである
が、パイプ内に材料供給するため供給材料パイプ内に付
着した不純物除去ができず、かつ蒸発面に発生した不純
物の除去もできない問題点があった。
【0008】特開平2−298262号公報(薄膜製造
装置)は、坩堝の電子が照射される蒸発領域と,蒸着材
料の供給領域の間に,蒸着材料溶湯上層の流れを堰止め
下層を連通させる堰を設けることにより,均一で且つ完
成度の高い薄膜の製膜を可能にする、ものであるが、ス
キンマが付いていても、供給蒸着材料が持ち込む不純物
の広がり防止用であり、蒸発面で新たに発生する不純物
用としては用をなさなかった。
【0009】特開平2−23525号公報(磁気記録媒
体の製造方法)は、蒸発源に隔壁を設け,電子ビームの
非照射領域に板状のCrを連続的に供給することにより
Crの飛散を防止し、均一な特性を得る、ものである
が、蒸着材料供給装置およびスキンマがついていてもス
キンマが昇降できず固定されているため、蒸発面に発生
する不純物の除去ができない問題点があった。
【0010】更に、蒸着装置とは技術分野が異なる溶解
炉用ルツボでは、出湯時ルツボが傾斜するものがある
が、溶解炉用ルツボは蒸発が目的でなく、かつ傾動して
出湯する時は電子銃の運転を止めるため上述した連続真
空蒸着装置には適用できず、本発明とは本質的に異なる
ものである。
【0011】本発明は、かかる問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、
着材料の蒸発量の変動が生じないようにルツボを傾動さ
せるようにして、溶湯表面に発生する不純物を除去し、
不純物の除去作業時も蒸発の変動をなくすことができる
連続真空蒸着装置用ルツボを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、真空中
で電子ビーム(4)を照射して蒸着材料(5)を蒸発さ
せ走行基板(9)の表面に膜を形成する連続真空蒸着装
置用のルツボ(6)であって、溶融した蒸着材料(5)
の湯面高さでかつ湯面幅のほぼ中心に設けたルツボ傾動
(21)と、溶融した蒸着材料(5)の湯面を長さ方
向に区分し、かつ前記ルツボ傾動軸(21)の軸心の両
側にそれぞれ設けられた2つのスキンマ(25a,25
b)と、を備え、前記スキンマ(25a,25b)は前
記軸心から間隔を隔てた2つのスキンマ揺動軸(27
a,27b)を中心にそれぞれ上下動可能に設けられ、
前記ルツボ傾動軸(21)と前記2つのスキンマ揺動軸
(27a,27b)は、ルツボ(6)の傾動時、傾動方
向下側のみがルツボ(6)の傾動と連動して、ルツボ
(6)内の溶湯と接触しない位置まで動くようになり、
これにより傾動した下方のルツボ端部より湯面上の不純
物を排出するように構成した、ことを特徴とする連続真
空蒸着装置用ルツボが提供される。
【0013】本発明の好ましい実施例によれば、前記湯
面表面に照射する電子ビーム(4)の照射中心は、上記
ルツボ傾動軸(21)の軸心と一致する。また、傾動し
た際に湯面に接触するルツボ(6)の内面形状は、前記
ルツボ傾動軸(21)の軸線について軸対称である。
【0014】
【作用】上記本発明の構成によれば、ルツボ(6)が溶
融した蒸着材料(5)の湯面高さでかつ湯面幅のほぼ中
心にルツボ傾動軸(21)を有し、このルツボ傾動軸
(21)の軸心を中心に傾動可能に設けられているの
で、ルツボ(6)をルツボ傾動軸(21)の軸心を中心
に傾動させて傾動した下方のルツボ端部より湯面上の不
純物を排出することができる。即ち、溶融した蒸着材料
(5)の湯面を長さ方向に区分し、かつ前記軸心の両側
にそれぞれ設けられた2つのスキンマ(25a,25
b)を備え、ルツボ(6)の傾動時、傾動方向下側のみ
がルツボ(6)の傾動と連動して、ルツボ(6)内の溶
湯と接触しない位置まで動くように構成されているの
で、電子ビーム(4)が照射される湯面を保持し、連続
真空蒸着を実施しながら湯面表面から不純物を除去する
ことができる。
【0015】特に、溶融した蒸着材料(5)の湯面を長
さ方向に区分し、かつ軸心の両側にそれぞれ設けられた
2つのスキンマ(25a,25b)とスキンマ揺動軸
(27a,27b)により、ルツボ(6)の傾動時、傾
動方向下側のみがルツボ(6)の傾動と連動して、ルツ
ボ(6)内の溶湯と接触しない位置まで動くようになっ
ているので、ルツボ(6)を傾動させても電子ビーム照
射部(13)が変動しないため、蒸着材料(5)の蒸発
量の変動をなくすことができる。そこで、走行基板
(9)への成膜速度も一定となり、膜厚の変動をなくす
ことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。図1は本発明によるルツボを備えた連続
真空蒸着装置の全体構成図(A)とその平面図(B)で
ある。図1において、連続真空蒸着装置は、連続して走
行する薄板帯状の走行基板9と、電子ビーム4を放射す
る電子銃3と、蒸着材料5を収容するルツボ6と、走行
基板及びルツボを内蔵し10-1〜10-3Paに真空排気
2された真空チャンバー1とを備え、電子銃3により電
子ビーム4を放射し、図示しない磁界により電子ビーム
4の方向を曲げてルツボ6内の蒸着材料5を加熱して溶
融蒸発させ、蒸発流7を走行基板9の表面に凝固させて
成膜するようになっている。また走行基板はガイドロー
ラ10を介して水平に走行する。
【0017】蒸着材料5は蒸着材料供給装置8によって
蒸発量に見合って連続供給され、ルツボ内の湯面高さが
常に一定になるようにする。本図ではルツボの長手方向
に沿って3ケ所からワイヤ状の材料を供給している。な
お、イオンプレーティングの場合(図示せず)は、図1
における蒸発流7にイオン化プローブ法、高周波法、等
により電子を衝突させて一部の蒸発流7をイオン化し、
走行基板9に負の電圧を印加させ、イオン化された蒸発
流7を引き寄せて成膜させる。
【0018】また蒸発流7の近傍に反応性ガス(例えば
窒素(N2 )や酸素(O2 )を導入し、併せてイオン化
させ、蒸発流7と共に、走行基板上に成膜させることに
より、通常の湿式めっきでは扱えなかった窒化物、炭化
物、酸化物などの蒸着も可能である。
【0019】図2は、本発明による連続真空蒸着装置用
ルツボの部分平面図、図3は図2のB−B線における側
面断面図、図4(A)、(B)、(C)は、それぞれ図
2のC−C線、D−D線、E−E線における断面図であ
る。これらの図において、ルツボ6は真空中で電子ビー
ム4を照射して蒸着材料5を蒸発させ走行基板9の表面
に膜を形成する連続真空蒸着装置用のルツボ6であり、
このルツボ6は、溶融した蒸着材料5の湯面高さでかつ
湯面幅のほぼ中心にルツボ傾動軸21を有し、ルツボは
ルツボ傾動軸21の軸心を中心に傾動可能に設けられ、
これにより傾動した下方のルツボ6の端部より湯面上の
不純物を排出するようになっている。
【0020】なお、湯面表面に照射する電子ビーム4の
照射中心は、上記ルツボ傾動軸21の軸心と一致するよ
うになっている。すなわち、20はルツボ傾動・スキン
マ回転装置であり、ルツボ幅(走行基板9の走行方向の
幅)の中心線上で、かつ通常操業する湯面高さにルツボ
傾動用のルツボ傾動軸21がルツボ両側に設けられ、こ
のルツボ傾動軸21は軸受22を介して真空チャンバー
1を貫通し、軸受22がルツボ6の荷重を支え、かつ真
空シールしている。
【0021】溶融した蒸着材料5の湯面を長さ方向に区
分し、かつ前記軸心の両側にそれぞれ設けられた2つの
スキンマ25a、25bを備え、前記スキンマ25a、
25bは前記軸心から間隔を隔てた2つのスキンマ揺動
軸27a、27bを中心にそれぞれ上下動可能に設けら
れ、ルツボ傾動軸21と、前記2つのスキンマ揺動軸2
7a、27bは、ルツボ6の傾動時、傾動方向下側のみ
がルツボ6の傾動と連動して、ルツボ6内の溶湯と接触
しない位置まで動くように、それぞれ部分的に噛合する
歯を有した歯車23、29a、29bを有している。
【0022】なお、蒸着材料供給装置8で供給材料11
を供給する側にはスキンマ25aは設けるが供給材料1
1を供給しない側はスキンマ25bを設けなくても良い 図4(C)に示すように、ルツボ傾動軸21には歯車2
3が取り付けられ、後述する歯車29a若しくは29b
と所定の減速比で噛み合う。歯車23、29a、29b
は、部分的に歯を有する歯車であり、ルツボ6が傾動せ
ず水平を保持している時は歯車23は歯車29aとも2
9bとも噛み合わず、歯車23が時計方向或いは反時計
方向に適当な角度回転すると、歯車23と歯車29a
(又は29b)が噛み合うようになっている。従って、
図4(C)で歯車23が時計方向に回転した時は歯車2
9bと噛み合いスキンマ25bが上方に持ち上がる。こ
の場合、歯車23と歯車29aは噛み合わず、従ってス
キンマ25aは動かない。一方、歯車23が反時計方向
に回転した時は歯車23と歯車29aが噛み合いスキン
マ25aが上方に持ち上がる。この場合、歯車23と歯
車29bは噛み合わずスキンマ25bは動かない。
【0023】図4(B)に示すように、スキンマ25a
はアーム26aを介してスキンマ揺動軸27aに接続さ
れている。スキンマ揺動軸27aは軸受28aを介して
真空チャンバー1を貫通する。軸受28a(図2)はス
キンマ揺動軸27aにかかる荷重を支え、かつ真空シー
ルする。スキンマ揺動軸27aには更に歯車29aが取
り付けられ、上述したように歯車23と噛み合う。スキ
ンマ25bについても同様である。
【0024】ルツボ傾動軸21はルツボ傾動モータ24
(図2)により所定の角度(10°〜20°程度)回転
することができる。図4(C)に示すように、歯車29
aにはアーム30aが付いており、ストッパ31aによ
り反時計方向に回転しないようにしてある。スキンマ2
5aはスキンマ揺動軸27aに対して偏心しているた
め、スキンマ25aやアーム26aの荷重によりスキン
マ揺動軸27aは反時計方向に回転しようとする。これ
をアーム30a、ストッパ31aにより阻止し、スキン
マ25aを所定の位置(例えば図4(A)に示すスキン
マ25aの位置)に保持する。アーム30b、ストッパ
31bの機能も同様である。
【0025】上述した構成により、ルツボをルツボ傾動
軸の軸心を中心に傾動させて傾動した下方のルツボ端部
より湯面上の不純物を排出することができる。なお、図
8、図9に示すように、ルツボ6を傾斜してルツボの縁
端より不純物14を滴下させる下に不純物捕集用ポット
15a、15bを設置するのがよい。図5(A)〜
(D)は種々のルツボの断面形状を示している。ルツボ
の断面形状は、傾動した際に湯面に接触する内面形状
が、前記ルツボ傾動軸21の軸線について軸対称に構成
されている。かかる構成により、ルツボを傾動させても
湯面高さがほとんど変動せず、傾動による蒸着特性への
影響をほとんどなくすことができる。
【0026】次に、本発明の使用例を、図面を参照して
説明する。図6は、本発明による連続真空蒸着装置用ル
ツボの全体平面図であり、図7は図6のF−F線におけ
る断面図、図8及び図9は傾動時における図7と同様の
断面図である。図6及び図7はルツボが水平状態にある
場合であり、図7において、スキンマ25aは、供給さ
れる蒸着材料11(供給材料)をルツボ6に供給する時
に発生する不純物14がルツボ中心部に移動するのを阻
止している。
【0027】供給材料11を供給しない場合もルツボ壁
や真空チャンバー中の残存ガスが反応生成物を形成する
ため、不純物が発生し、不純物14がないきれいな蒸発
面部を狭くする。この時、図8のようにルツボ6を傾動
させて不純物14を不純物捕集用ポット15aに落と
し、不純物14がほぼ排出されたところでルツボを水平
に戻す。この時、電子ビーム照射部13の中心とルツボ
傾動中心32は一致しており、また図5(A)〜(D)
に示したように、ルツボを傾動したとき、ルツボ傾動中
心32線上の左右で溶湯の量の変化がないため(図13
でルツボ傾動中心32を中心として左右の面積が同
じ)、湯面の上下動がなく、また湯面幅(走行基板9の
走行方向の幅)の中心が傾動前と変動しない。
【0028】従って、電子ビーム照射部13は傾動前と
変化しないため、湯面変化による膜厚変化(湯面変化→
電子ビーム照射部13変化→蒸発量変化→走行基板9に
成膜される膜厚変化)をほとんどなくすことができる。
なお、連続真空蒸着装置で、例えばアルミニウム(A
l)を蒸発させる場合、電子ビーム照射部13部の温度
は1500〜1700℃である。この時、電子ビーム照
射部13部の温度が±10〜20℃変化すると、蒸発速
度が±10%変化する。従って、ルツボの傾動により、
電子ビーム照射部13の場所が変わるとき電子ビーム照
射部13の温度が変わり、膜厚変化(電子ビーム照射部
13の場所変化→電子ビーム照射部13の温度変化→蒸
発量変化→走行基板9に成膜される膜厚変化)を生じさ
せてしまう。蒸着した走行基板9の膜厚変動の許容量は
所定膜厚±10%以下であるため、電子ビーム照射部1
3部の場所が変動しないことは極めて重要である。
【0029】供給材料11の供給部は供給材料11に付
着している不純物、等により図8に示すように、スキン
マ25aの左側にも不純物14が発生する。一方、操業
時間の経過に伴って、スキンマ25aの内側(中心側)
にも不純物14が発生してくる。この時は図9のように
左側にルツボを傾動して不純物14を不純物捕集用ポッ
ト15bに排出し湯面をきれいにする。
【0030】図8の時の傾動時、スキンマ25aの内側
(ルツボ傾動中心32側)の不純物14、及び図9の時
のスキンマ25bの内側の不純物14はいずれもルツボ
傾動中心32側に寄ってこない。これは電子ビーム照射
部13部が高温のため、ルツボ内の溶湯が対流を発生
し、溶湯表面では電子ビーム照射部13から両側(ルツ
ボ壁部方向)へ向かう流れが発生して不純物14を押し
広げる力が働くことと、本発明の方法で適宜不純物14
を排出することにより、残存量を少なくすることができ
るため、この押し広げる力により充分押し広げる力が発
揮できるからである。
【0031】図8、図9に示した、左右の傾動により不
純物14を排出することにより、図6、図7に示したよ
うに、スキンマ25a、25bに囲まれた中心部がきれ
いになり、蒸発が安定して行えるようになる。ルツボの
傾動時、傾動する側のスキンマ25が持ち上がり、傾動
側の不純物14の流れを阻止しない一方、反対側のスキ
ンマ25は持ち上がらず、不純物14が中心側により流
れにくくする。
【0032】スキンマ25aは設けるがスキンマ25b
を設けない場合は、図8のように傾動する際、不純物1
4を全部排出するようにすると良い。
【0033】
【発明の効果】上述した本発明によれば、以下の効果を
得ることができる。 ルツボを傾動させても電子ビーム照射部13が変動
しないため、蒸着材料5の蒸発量の変動をなくすことが
できる。この結果、走行基板9への成膜速度も一定とな
り、膜厚の変動をなくすことができる。この傾動は装置
の運転をなんら中断する必要がなく、生産に支障をきた
さない。
【0034】 長時間連続運転の場合は、ルツボへの
蒸着材料の供給が不可欠であり、これに伴う不純物14
の発生、或いはルツボ壁やチャンバー中の残存ガスとの
反応による不純物14の発生は避けられないが、本発明
の傾動により不純物14のスムースな排出により不純物
14を蒸発面からなくすことが可能となる。この結果、
従来のルツボ(図10、図11)のように不純物14が
電子ビーム照射部13に進入してきて、蒸発を阻害して
走行基板9への成膜速度を小さくしたり、電子ビーム4
が不純物14に照射されてスプラッシュを起こし、走行
基板9にスプラッシュ痕を残すことをなくすことができ
る。
【0035】 傾動に合わせて持ち上がるスキンマ2
5aもしくはスキンマ25bの機構の採用により傾動し
て不純物14を排出する時、排出側の不純物14はスム
ースに排出し、反対側の不純物14は中心に流れ易くす
るのを抑制することができ、これにより通常は左右の傾
動各1回で、ルツボの蒸発面より不純物14を除くこと
ができる。
【0036】 何らかの都合で運転を中断してルツボ
が冷却された後、ルツボを再加熱して再溶解する場合
も、電子ビーム照射部13に不純物14がないため、ス
プラッシュを発生したり溶解に時間を要することなく短
時間でスムースに立ち上げて準備完了ができる。
【0037】以上要約すれば、本発明により、ルツボを
ルツボ傾動軸の軸心を中心に傾動させて傾動した下方の
ルツボ端部より湯面上の不純物を排出することができ、
かつ電子ビームが照射される湯面を保持し、連続真空蒸
着を実施しながら湯面表面から不純物を除去することが
できる。従って、本発明は、長時間連続運転ができ、か
つ溶湯表面に発生する不純物を除去し、不純物の除去作
業時も蒸発の変動をなくすことができる、等の優れた効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるルツボを備えた連続真空蒸着装置
の全体構成図(A)とA−A線におけるその平面図
(B)である。
【図2】本発明による連続真空蒸着装置用ルツボの部分
平面図である。
【図3】図2のB−B線における側面断面図である。
【図4】図2のC−C線、D−D線、E−E線における
それぞれの断面図(A)、(B)、(C)である。
【図5】ルツボの断面形状の実施例である
【図6】本発明による連続真空蒸着装置用ルツボの全体
平面図である。
【図7】図6のF−F線における断面図である。
【図8】傾動時における図7と同様の別の断面図であ
る。
【図9】傾動時における図7と同様の別の断面図であ
る。
【図10】従来のルツボの平面図(A)とそのG−G線
における断面図(B)である。
【図11】従来のルツボの別の平面図(A)とそのH−
H線における断面図(B)である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 真空排気 3 電子銃 4 電子ビーム 5 蒸着材料 6 ルツボ 7 蒸発流 8 蒸着材料供給装置 9 走行基板 10 ガイドローラ 11 供給材料 12 スキンマ 13 電子ビーム照射部 14 不純物 15 不純物捕集用ポット 20 ルツボ傾動・スキンマ回転装置 21 ルツボ傾動軸 22 軸受 23 歯車 24 ルツボ傾動モータ 25a、25b スキンマ 26a、26b アーム 27a、27b スキンマ揺動軸 28a、28b 軸受 29a、29b 歯車 30a、30b アーム 31a、31b ストッパ 32 ルツボ傾動中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中で電子ビーム(4)を照射して蒸
    着材料(5)を蒸発させ走行基板(9)の表面に膜を形
    成する連続真空蒸着装置用のルツボ(6)であって、 溶融した蒸着材料(5)の湯面高さでかつ湯面幅のほぼ
    中心に設けたルツボ傾動軸(21)と、 溶融した蒸着材料(5)の湯面を長さ方向に区分し、か
    つ前記ルツボ傾動軸(21)の軸心の両側にそれぞれ設
    けられた2つのスキンマ(25a,25b)と、を備
    え、 前記スキンマ(25a,25b)は前記軸心から間隔を
    隔てた2つのスキンマ揺動軸(27a,27b)を中心
    にそれぞれ上下動可能に設けられ、 前記ルツボ傾動軸(21)と前記2つのスキンマ揺動軸
    (27a,27b)は、ルツボ(6)の傾動時、傾動方
    向下側のみがルツボ(6)の傾動と連動して、ルツボ
    (6)内の溶湯と接触しない位置まで動くようになり、
    これにより傾動した下方のルツボ端部より湯面上の不純
    物を排出するように構成した、ことを特徴とする連続真
    空蒸着装置用ルツボ。
  2. 【請求項2】 前記湯面表面に照射する電子ビーム
    (4)の照射中心は、上記ルツボ傾動軸(21)の軸心
    と一致する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続真
    空蒸着装置用ルツボ。
  3. 【請求項3】 傾動した際に湯面に接触するルツボ
    (6)の内面形状は、前記ルツボ傾動軸(21)の軸線
    について軸対称である、ことを特徴とする請求項1に記
    載の連続真空蒸着装置用ルツボ。
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