JP3429594B2 - 回路用金属基板 - Google Patents
回路用金属基板Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回路用金属基板に関し、
特に放熱性,耐電圧性,耐熱性を要求する電子機器回路
に有用な回路用金属基板に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、電子機器回路に用いられる回路用
金属基板として、ガラス銅張積層板,多層銅張積層板が
用いられている。また、最近では、部品の小型化,軽量
化,信頼性向上、更に表面実装技術が進歩した結果、金
属ベースの回路用基板、金属コア回路用基板が機器の小
型化に大きく貢献している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回路用金属基板によれば、パワーモジュールを用いるイ
ンバータ,DC−DCコンバータの電源機器では、パワ
ーモジュールの局所的発熱を放熱する部分の回路と信号
回路は、同一金属基板上での回路形成が不可能であっ
た。この理由の一つが放熱性と耐電圧性と耐ノイズ性に
優れた金属基板がなかったからである。従って、これら
設計的な制約を解決するため、複数の基板が用いられて
いた。 【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、放電用金属ベースと導電層間の絶縁体を第1絶縁層
と該第1絶縁層と同一面に近接して形成した第2絶縁層
と前記第1絶縁層と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した
第3絶縁層から構成し、前記第1絶縁層はガラス繊維不
織布に酸化アルミニウム50〜72重量部,窒化ホウ素
1〜25重量部,二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性
樹脂20〜50重量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗
布したものとし、前記第2絶縁層は芳香族ポリアミド繊
維不織布もしくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維
不織布に熱硬化性樹脂を塗布したものとし、前記第3絶
縁層は酸化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素
1〜25重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性
樹脂20〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を
0.02〜0.10mmの一様な厚さに塗布してなる構
成とすることにより、放熱性、耐電圧性、耐ノイズ性に
優れた回路用金属基板を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、放熱用金属ベ
ースと、この金属ベースの少なくとも片面に絶縁体を介
して設けられた導電層とを具備する回路用金属基板にお
いて、前記絶縁体が、第1絶縁層と、該第1絶縁層と同
一面に近接して形成した第2絶縁層と、前記第1絶縁層
と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した第3絶縁層からな
り、前記第1絶縁層が、ガラス繊維不織布に酸化アルミ
ニウム50〜72重量部,窒化ホウ素1〜25重量部,
二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性樹脂20〜50重
量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗布したものであ
り、前記第2絶縁層が、芳香族ポリアミド繊維不織布も
しくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維不織布に熱
硬化性樹脂を塗布したものであり、前記第3絶縁層が、
酸化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素1〜2
5重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性樹脂2
0〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を0.02
〜0.10mmの一様な厚さに塗布してなることを特徴
とする回路用金属基板である。 【0006】この発明において、回路用金属基板は、電
気機器の構成部品として、次の現象を引き起こす。つま
り、前記絶縁体の両面を電極で挟み、交流電圧を課電し
た場合、絶縁体のもつ静電容量(C)と抵抗(R)を単
純な直列回路とすると、次の誘電体損失(W)が生じ
る。 【0007】 W=V・I・tanδ=ω・C・V・tanδ 但し、Vは電圧、Iは電流、δは充電電流と全電流の相
差角、ω=2πf(π=円周率3.14、fは周波数) 従って、強電体損失Wは誘電正接tanδに比例するか
ら、tan=ωCRとなる。従って、本発明の請求項1
に係る第1絶縁層は、放熱性を目的として誘電率の大き
い充填材,酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化ケイ
素と均一な絶縁を保つために合成樹脂エポキシ樹脂等の
熱硬化性樹脂が用いられる。 【0008】高周波領域で使用される電気機器は、内外
からの耐ノイズ性を防止するため、静電容量(C)を小
さくする必要が生じる。この要求特性を維持するために
は、絶縁体の厚さを厚くするか、上記充填材の混合比率
を少なくする必要がある。いずれの場合も、電気機器が
大型化するため、好ましくない。因みに、本発明の請求
項1に係る第1絶縁層を構成する各素材の誘電率(ε)
は、エポキシ樹脂は3〜5,ガラス繊維は5〜5.5,
酸化アルミニウム8.5〜9,窒化ホウ素は3.9〜
5.3,二酸化ケイ素は3〜3.5である。 【0009】絶縁体の誘電率(ε)は、絶縁体の静電容
量(Cx )を同じ厚さと面積を持つ空気の静電容量(C
0 )で除した値で、一般には空気の誘電率(εはほぼ1
に等しい)より大きく、金属基板に必要な放熱性も誘電
率が大きくなるほど大きい。 【0010】一例では、熱伝導率(Watt /m・℃)
は、空気:0.026,エポキシ樹脂:0.3〜0.
8,二酸化ケイ素:1.38〜2.0,ガラス繊維:
1.10,酸化アルミニウム:20,窒化ホウ素:12
0〜135となる。また、金属ベースの熱伝導率は、
銅:329,アルミニウム:237,鉄:52となる。 【0011】これらの特性を組み合わせた金属基板が本
発明の骨子で、静電容量と絶縁厚さの関係は下記表1の
ようになる。表1で、誘電率7.2,誘電率6.3の絶
縁体は本発明の請求項1の第1絶縁層と静電容量との関
係を示し、誘電率4.4と,誘電率3.5は第1絶縁層
に近接する第2絶縁層の静電容量と厚さの関係を示し
た。 【0012】 【表1】【0013】静電容量は、誘電率と絶縁厚さに関係す
る。つまり、絶縁厚さが増すと静電容量が小さくなり、
絶縁厚さが薄くなると静電容量は大きくなる。放熱面の
絶縁は、本発明の特許請求の範囲の請求項1の第1絶縁
層からなり、この絶縁組成は、充填材80重量部(最
大),熱硬化性樹脂20重量部(最小)の混合樹脂を含
浸塗布したガラス繊維不織布で構成しているため、誘電
率は6.3〜7.2になる。 【0014】本発明の骨子は、同一平面上に、放熱性面
と耐電圧性,耐ノイズ性面の2つの境界を持つ絶縁構成
のため、本発明の第1絶縁層の誘電率は6〜7.5とな
り、第2絶縁層の誘電率は3.8〜4.5となる。 【0015】図1は、放熱特性を調べるための説明図を
示す。但し、図1において、符号1はヒートシンク(ア
ルミブロック)2上に載置された回路用金属基板であ
り、符号3はこの基板1上にセットされたトランジスタ
である。前記基板1は、厚さ1.5mmのベース金属板
(銅板)4と厚さ300μmの絶縁層5と厚さ70μm
の導電層(銅箔)6とから構成される。 【0016】絶縁層が0.30mmの場合、図1の測定法
では第1絶縁層は1.4℃/W,第2絶縁層は6℃/W
であった。但し、T1 −T2 =ΔT、ΔT/W=熱抵抗
(放熱性)であり、前記T1 はトランジスタ3の発熱面
の温度、前記T2 はヒートシンク2とベース金属板4の
境界である熱伝導面の温度である。 【0017】本発明において、第1絶縁層の充填材を最
大で80重量部に保った理由は、充填材を含まない第2
絶縁層の絶縁耐力(一例:18KV)に比べて、無機充
填材80重量部,樹脂20重量部の場合で、絶縁耐力
(一例:12KV)が同じ絶縁厚さで比較して67%と
なるために上限の充填材を最大で80重量部,樹脂20
重量部に保った。下限の無機充填材を50重量部に保っ
た理由は、図2の熱抵抗の実測例から決めた。 【0018】本発明において、無機充填材混合樹脂中に
酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化珪素を含ませた
のは、次の理由による。即ち、熱伝導性(Watt /m・
℃)で比較すると、窒化ホウ素は120〜135,酸化
アルミニウムは約20,二酸化珪素は約2,樹脂は約
0.8で、これらの混合樹脂はこれらの混合比例で決定
される。ここで、前記熱誘電率とは、1メータの距離を
持つ物体が1℃上昇する時の熱エネルギーから換算した
数値で、大きい程熱をよく伝導することを意味する。 【0019】一方、価格面では二酸化珪素が安く、次は
酸化アルミニウム,窒化ホウ素は高価な為、単一での使
用は考えられない。本発明の第1絶縁層は8〜9Watt
/m・℃で、実用上は実施例2の配合が示す通り酸化ア
ルミニウムと樹脂が主体になる。 【0020】本発明において、窒化アルミニウム(1〜
25重量部)と二酸化珪素(1〜10重量部)の樹脂混
合は前述の誘電率(ε)を低下させる為に使用される
が、請求項1の下限に近い範囲が絶縁特性(耐電圧)の
向上のために効果的である。因みに、これら無機材料単
体の誘電率は、窒化ホウ素9〜9.5、酸化アルミニウ
ム8.5〜9、二酸化珪素3〜3.5である。誘電率を
低く、熱伝導性を改善するために、本発明の配合比を選
んだ。 【0021】本発明においては、特許請求の範囲の請求
項2のように、第3絶縁層の厚みを0.02〜0.10
mmとするのは、第1絶縁層と第2絶縁層の近接する境界
部絶縁の信頼性向上のためにより効果的であるからであ
る。 【0022】しかも、高誘電率,高熱伝導率をもつ第1
絶縁層の信頼性を向上させ、かつ第2絶縁層の低誘電率
層の持つ特徴,即ち低誘電率,低熱伝導率を妨げない範
囲は、第2絶縁層が300μmの場合,導電層側の第3
絶縁層が0.02mm(20μm)では約6%の比率,
0.1mmでは25%の比率となり、低誘電率,低熱伝導
率の特徴を大きく妨げない。 【0023】本発明において、高温多湿(例えば、85
℃85%RH湿度雰囲気)中における直流電圧の課電時
における,マイグレーション現象(銅イオンの絶縁体中
への移行と,これに基づく絶縁破壊)の抑制に効果があ
る。 【0024】本発明において、熱硬化性樹脂の配合割合
を20〜50重量部としたのは、樹脂比率が20重量部
未満の場合十分な耐電圧性が得られず、50重量部を越
えると、十分な放熱性が得られないからである。従っ
て、十分な耐電圧性を必要とする場合、前記耐電圧性絶
縁体中の樹脂の割合を20〜20重量部とする。勿論,
樹脂比率が高ければ耐電圧性はより一層向上するが、本
発明で求める高熱伝導性絶縁体と接する同一平面上に形
成された耐電圧性絶縁層は、絶縁体中の熱硬化性樹脂と
充填剤の比率の内、樹脂を20〜50重量部に保つ。そ
の理由は、十分な放熱性と耐電圧性を保つ為には、必要
不可欠な条件である。 【0025】一方、放熱性を必要とするエリアは耐電圧
性をある程度犠牲にして、絶縁体の主成分である樹脂と
充填剤の比率のうち、充填剤の割合を50重量部以上に
保つ。その理由は、充填剤の割合が50重量部未満の場
合、十分な放熱性が得られないからである。従って、十
分な放熱性を望む場合は、前記高熱伝導性絶縁体中の充
填剤の割合を50重量部以上とする。 【0026】本発明において、無機充填材混合樹脂中の
各充填材,即ち酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化
珪素,珪酸マグネシウムを,熱硬化性樹脂を上記のよう
に限定したのは、下記の理由による。 【0027】(1) 絶縁体の一部を構成する第1絶縁層の
引張弾性率は1100〜1800Kgf/mm2、高熱伝導率の元
で、十分な剛性と低い膨脹係数,高いガラス転移点(T
g)が必要とされている。ここで、膨脹係数,Tgは、
金属ベ−スとして1.5mmのアルミニウム板を用い、導
電層として0.035mm の厚さの銅箔を用い、この間に絶縁
体を構成する第1〜第3絶縁層を介在させた金属基板に
ついて測定した結果、第1絶縁層についてはTgは140
℃、膨脹係数(Tg以下の温度)は1.61〜5.9 ×10-5/
℃であり、また第2・第3絶縁層の引張弾性率は600 〜
900 Kgf/mm2 で第1絶縁層に比べてTgは100 ℃,線
膨脹係数は1.5 〜3.8 ×10-5/℃で柔軟性に富んで構成
されている。 【0028】(2) 上記第1〜第3絶縁層を同一平面上に
構成する場合、第1絶縁層が異常にオ−バ−ヒ−トされ
たとき、高いTg(140 ℃)と低い線膨脹係数1.61〜5.
9 ×10-5/℃が基板の反り,ねじれを吸収し、第2・第
3絶縁層のガラス転移点100℃,線膨脹係数は3.8 ×10
-5/℃でこれに接する第1絶縁層の線膨脹係数は2.77×
10-5/℃である。金属ベ−スのアルミニウムは2.4 ×10
-5/℃で、お互いの材料がバランスに富む点が本発明の
無機充填材を選択した理由である。 【0029】(3)第1絶縁層に含まれる酸化アルミニ
ウムは、上述したように50〜72重量部に設定すると
十分な熱伝導性が得られる。しかし、酸化アルミニウム
は樹脂に対して硬さが増し、引張弾性率が高く、金属基
板の絶縁体としては単独では充填率を高くすることが困
難である。従って、酸化アルミニウム以外に、前記二酸
化硅素,窒化ホウ素を夫々1〜10重量部配合して柔軟
性と剛性を兼ね備えるようにした。また、これら無機充
填材の熱硬化性樹脂に対する比率を、最大で80:20
を上限とすることが各無機充填材の特性を生かす上で効
果的である。 【0030】 【作用】本発明において、熱伝が優れた絶縁層と熱伝が
劣る絶縁層が同一平面上に構成された導電層を持つ回路
用金属基板であるため、パワー部品の放熱性を改善し、
しかも、近接する熱伝が劣る絶縁層上の導電層上の部品
実装に対する熱煽りが低減された。パワー部品の放熱は
下部ベース金属を通して真下に放熱される結果、部品実
装に最適で信頼性が一段と向上した。 【0031】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)図3(A),(B)を参照する。ここで、
図3(A)は回路用金属基板の断面図、図3(B)は図
3(A)の絶縁層の平面図を示す。 【0032】図中の31は、厚さ2.0mmで銅製の金属ベ
ースである。この金属ベース31上には、厚さ0.30mm
の絶縁体32を介して厚さ0.07mmの複数の電極(導電
層)33が設けられている。ここで、前記絶縁体32は、厚
み0.30mmの第1絶縁層32aと、この第1絶縁層32a
に接して設けられ,かつ第1絶縁層32aと同じ厚みの第
2絶縁層32bからなる。 【0033】前記第1絶縁層32aは、厚さ0.11mmの
ガラス繊維不織布(25g/m2 )に、下記表2に記載
したイミダゾール(硬化促進剤),無機充填材(酸化ア
ルミニウム,窒化ホウ素,二酸化珪素)及び熱硬化性樹
脂(樹脂1〜樹脂3)の混合樹脂を塗布して仕上がり厚
さ0.15mmを2枚用いたものである。 【0034】前記第2絶縁層32bは、厚さ0.05mmの
芳香族ポリアミド繊維不織布(20g/m2 )に、充填
材の入らない熱硬化樹脂を塗布して仕上がり厚さ0.0
6mmを5枚用いたものである。 【0035】 【表2】【0036】但し、表2において、樹脂1はフェノール
ノボラック形エポキシ樹脂、樹脂2はビスフェノール型
エポキシ樹脂、樹脂3はクレゾールノボラック形エポキ
シ樹脂を示す。なお、表2中の熱抵抗(Watt/℃)は、
厚み1.5mm,形状30(L1 )mm×30(L1 )mmの
ベース金属(銅板)41上に厚さ0.3mmの絶縁体42を介
して厚さ0.07mm,形状10(L2 )mm×14(L
3 )mmの銅箔43を形成した図4の試験片で、図1の試験
方法で測定した。但し、図4において、符号41は厚みT
1 :1.5mmのベース金属、符号42は横L1 :30mm,
縦L1 :30mmで厚みT2 :0.3mmの絶縁体、符号43
は横L2 :10mm,縦L3 :14mmで厚みT3 :0.3
mmの銅箔を示す。また、表2中の誘電率は、図5に示す
ように試料を配置して測定した(但し、符号52は主電
極,符号53は電極を示す)。高温多湿(例えば、85
℃,85%RH湿度雰囲気)中における直流電圧の課電
時のおける、電圧と寿命の関係は、下記表3に示す通り
である。 【0037】 【表3】 【0038】このように、上記実施例1に係る回路用金
属基板は、金属ベ−ス31と、この金属ベ−ス31上に形成
された絶縁体32と、この絶縁体32上に形成された電極33
とを具備し、前記絶縁体32が、第1絶縁層32aと該第1
絶縁層32aに近接して形成されかつ第1の絶縁層32aと
同一面の第2絶縁層32bとからなり、前記第1絶縁層32
aが、ガラス繊維不織布に上記表2に記載した所定の熱
硬化性樹脂及び無機充填剤を混合した樹脂を塗布したも
のであり、前記第2絶縁層32bが、ガラス繊維混抄の芳
香族ポリアミド繊維不織布に所定の熱硬化性樹脂を塗布
含浸したものであり、更に前記第1絶縁層32aと第2絶
縁層32bが同一熱硬化反応機能を有する絶縁体である構
成となっている。 【0039】しかるに、前記第1絶縁層32aは無機充填
材として窒化ホウ素,二酸化珪素及び酸化アルミニウム
を含むため、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果
が得られた。また、第2絶縁層32bがガラス繊維混抄の
芳香族ポリアミド繊維不織布に所定の熱硬化性樹脂を塗
布含浸したものであるため、低誘電率,低静電容量,低
熱伝導性に顕著な効果が得られた。事実、実施例1に係
る回路用金属基板に関する電極のピール強度,半田耐熱
などの特性は下記表4に示す通りである。 【0040】 【表4】【0041】(実施例2〜4)実施例2〜4に係る回路
用金属基板は、金属ベース,第1絶縁層及び第2絶縁層
からなる絶縁体,及び電極の基本的な構成は実施例1と
同じであり、無機充填材としての酸化アルミニウム,窒
化ホウ素,二酸化ケイ素は前記した表3の通りである。 【0042】実施例2〜4についても、実施例1と同様
に、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果が得られ
るとともに、低誘電率,低静電容量,低熱伝導性に顕著
な効果が得られた。 【0043】(比較例1)比較例1に係る回路用金属基
板は、金属ベース,第1絶縁層及び第2絶縁層からなる
絶縁体,及び電極の基本的な構成は実施例1と同じであ
り、酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化ケイ素は前
記した表3に示す通りである。 【0044】表3から明らかのように、比較例1の場合
は実施例1〜4と比べて、熱抵抗が高く、逆に誘電率が
低いことが確認できた。従って、表3より本発明が比較
例と比べて優れていることが明らかである。 【0045】(実施例5)図6(A),(B)を参照す
る。ここで、図6(A)は回路用金属基板の断面図、図
6(B)は図6(A)の絶縁層の平面図を示す。なお、
図3と同部材は同符号を付して説明を省略する。 【0046】図中の符号61は厚さ0.30mmの絶縁体32
上に形成された第3絶縁層であり、この上に複数の電極
33が形成されている。前記第3絶縁層61は、上記実施例
1の第1絶縁層と同じ組成となっている。上記実施例5
に係る回路用金属基板に関する電極のピール強度,半田
耐熱などの特性は下記表5に示す通りである。 【0047】 【表5】 上記表5より、実施例5に係る本発明が、実施例1と同
様に、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果が得ら
れ、低誘電率,低静電容量,低熱伝導性に顕著な効果が
得られることが確認できた。 【0048】 【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、放電
用金属ベースと導電層間の絶縁体を第1絶縁層と該第1
絶縁層と同一面に近接して形成した第2絶縁層と前記第
1絶縁層と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した第3絶縁
層から構成し、前記第1絶縁層はガラス繊維不織布に酸
化アルミニウム50〜72重量部,窒化ホウ素1〜25
重量部,二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性樹脂20
〜50重量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗布したも
のとし、前記第2絶縁層は芳香族ポリアミド繊維不織布
もしくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維不織布に
熱硬化性樹脂を塗布したものとし、前記第3絶縁層は酸
化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素1〜25
重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性樹脂20
〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を0.02〜
0.10mmの一様な厚さに塗布してなる構成とするこ
とにより、放熱性、耐電圧性、耐ノイズ性に優れた回路
用金属基板を提供できる。
特に放熱性,耐電圧性,耐熱性を要求する電子機器回路
に有用な回路用金属基板に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、電子機器回路に用いられる回路用
金属基板として、ガラス銅張積層板,多層銅張積層板が
用いられている。また、最近では、部品の小型化,軽量
化,信頼性向上、更に表面実装技術が進歩した結果、金
属ベースの回路用基板、金属コア回路用基板が機器の小
型化に大きく貢献している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回路用金属基板によれば、パワーモジュールを用いるイ
ンバータ,DC−DCコンバータの電源機器では、パワ
ーモジュールの局所的発熱を放熱する部分の回路と信号
回路は、同一金属基板上での回路形成が不可能であっ
た。この理由の一つが放熱性と耐電圧性と耐ノイズ性に
優れた金属基板がなかったからである。従って、これら
設計的な制約を解決するため、複数の基板が用いられて
いた。 【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、放電用金属ベースと導電層間の絶縁体を第1絶縁層
と該第1絶縁層と同一面に近接して形成した第2絶縁層
と前記第1絶縁層と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した
第3絶縁層から構成し、前記第1絶縁層はガラス繊維不
織布に酸化アルミニウム50〜72重量部,窒化ホウ素
1〜25重量部,二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性
樹脂20〜50重量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗
布したものとし、前記第2絶縁層は芳香族ポリアミド繊
維不織布もしくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維
不織布に熱硬化性樹脂を塗布したものとし、前記第3絶
縁層は酸化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素
1〜25重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性
樹脂20〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を
0.02〜0.10mmの一様な厚さに塗布してなる構
成とすることにより、放熱性、耐電圧性、耐ノイズ性に
優れた回路用金属基板を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、放熱用金属ベ
ースと、この金属ベースの少なくとも片面に絶縁体を介
して設けられた導電層とを具備する回路用金属基板にお
いて、前記絶縁体が、第1絶縁層と、該第1絶縁層と同
一面に近接して形成した第2絶縁層と、前記第1絶縁層
と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した第3絶縁層からな
り、前記第1絶縁層が、ガラス繊維不織布に酸化アルミ
ニウム50〜72重量部,窒化ホウ素1〜25重量部,
二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性樹脂20〜50重
量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗布したものであ
り、前記第2絶縁層が、芳香族ポリアミド繊維不織布も
しくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維不織布に熱
硬化性樹脂を塗布したものであり、前記第3絶縁層が、
酸化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素1〜2
5重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性樹脂2
0〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を0.02
〜0.10mmの一様な厚さに塗布してなることを特徴
とする回路用金属基板である。 【0006】この発明において、回路用金属基板は、電
気機器の構成部品として、次の現象を引き起こす。つま
り、前記絶縁体の両面を電極で挟み、交流電圧を課電し
た場合、絶縁体のもつ静電容量(C)と抵抗(R)を単
純な直列回路とすると、次の誘電体損失(W)が生じ
る。 【0007】 W=V・I・tanδ=ω・C・V・tanδ 但し、Vは電圧、Iは電流、δは充電電流と全電流の相
差角、ω=2πf(π=円周率3.14、fは周波数) 従って、強電体損失Wは誘電正接tanδに比例するか
ら、tan=ωCRとなる。従って、本発明の請求項1
に係る第1絶縁層は、放熱性を目的として誘電率の大き
い充填材,酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化ケイ
素と均一な絶縁を保つために合成樹脂エポキシ樹脂等の
熱硬化性樹脂が用いられる。 【0008】高周波領域で使用される電気機器は、内外
からの耐ノイズ性を防止するため、静電容量(C)を小
さくする必要が生じる。この要求特性を維持するために
は、絶縁体の厚さを厚くするか、上記充填材の混合比率
を少なくする必要がある。いずれの場合も、電気機器が
大型化するため、好ましくない。因みに、本発明の請求
項1に係る第1絶縁層を構成する各素材の誘電率(ε)
は、エポキシ樹脂は3〜5,ガラス繊維は5〜5.5,
酸化アルミニウム8.5〜9,窒化ホウ素は3.9〜
5.3,二酸化ケイ素は3〜3.5である。 【0009】絶縁体の誘電率(ε)は、絶縁体の静電容
量(Cx )を同じ厚さと面積を持つ空気の静電容量(C
0 )で除した値で、一般には空気の誘電率(εはほぼ1
に等しい)より大きく、金属基板に必要な放熱性も誘電
率が大きくなるほど大きい。 【0010】一例では、熱伝導率(Watt /m・℃)
は、空気:0.026,エポキシ樹脂:0.3〜0.
8,二酸化ケイ素:1.38〜2.0,ガラス繊維:
1.10,酸化アルミニウム:20,窒化ホウ素:12
0〜135となる。また、金属ベースの熱伝導率は、
銅:329,アルミニウム:237,鉄:52となる。 【0011】これらの特性を組み合わせた金属基板が本
発明の骨子で、静電容量と絶縁厚さの関係は下記表1の
ようになる。表1で、誘電率7.2,誘電率6.3の絶
縁体は本発明の請求項1の第1絶縁層と静電容量との関
係を示し、誘電率4.4と,誘電率3.5は第1絶縁層
に近接する第2絶縁層の静電容量と厚さの関係を示し
た。 【0012】 【表1】【0013】静電容量は、誘電率と絶縁厚さに関係す
る。つまり、絶縁厚さが増すと静電容量が小さくなり、
絶縁厚さが薄くなると静電容量は大きくなる。放熱面の
絶縁は、本発明の特許請求の範囲の請求項1の第1絶縁
層からなり、この絶縁組成は、充填材80重量部(最
大),熱硬化性樹脂20重量部(最小)の混合樹脂を含
浸塗布したガラス繊維不織布で構成しているため、誘電
率は6.3〜7.2になる。 【0014】本発明の骨子は、同一平面上に、放熱性面
と耐電圧性,耐ノイズ性面の2つの境界を持つ絶縁構成
のため、本発明の第1絶縁層の誘電率は6〜7.5とな
り、第2絶縁層の誘電率は3.8〜4.5となる。 【0015】図1は、放熱特性を調べるための説明図を
示す。但し、図1において、符号1はヒートシンク(ア
ルミブロック)2上に載置された回路用金属基板であ
り、符号3はこの基板1上にセットされたトランジスタ
である。前記基板1は、厚さ1.5mmのベース金属板
(銅板)4と厚さ300μmの絶縁層5と厚さ70μm
の導電層(銅箔)6とから構成される。 【0016】絶縁層が0.30mmの場合、図1の測定法
では第1絶縁層は1.4℃/W,第2絶縁層は6℃/W
であった。但し、T1 −T2 =ΔT、ΔT/W=熱抵抗
(放熱性)であり、前記T1 はトランジスタ3の発熱面
の温度、前記T2 はヒートシンク2とベース金属板4の
境界である熱伝導面の温度である。 【0017】本発明において、第1絶縁層の充填材を最
大で80重量部に保った理由は、充填材を含まない第2
絶縁層の絶縁耐力(一例:18KV)に比べて、無機充
填材80重量部,樹脂20重量部の場合で、絶縁耐力
(一例:12KV)が同じ絶縁厚さで比較して67%と
なるために上限の充填材を最大で80重量部,樹脂20
重量部に保った。下限の無機充填材を50重量部に保っ
た理由は、図2の熱抵抗の実測例から決めた。 【0018】本発明において、無機充填材混合樹脂中に
酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化珪素を含ませた
のは、次の理由による。即ち、熱伝導性(Watt /m・
℃)で比較すると、窒化ホウ素は120〜135,酸化
アルミニウムは約20,二酸化珪素は約2,樹脂は約
0.8で、これらの混合樹脂はこれらの混合比例で決定
される。ここで、前記熱誘電率とは、1メータの距離を
持つ物体が1℃上昇する時の熱エネルギーから換算した
数値で、大きい程熱をよく伝導することを意味する。 【0019】一方、価格面では二酸化珪素が安く、次は
酸化アルミニウム,窒化ホウ素は高価な為、単一での使
用は考えられない。本発明の第1絶縁層は8〜9Watt
/m・℃で、実用上は実施例2の配合が示す通り酸化ア
ルミニウムと樹脂が主体になる。 【0020】本発明において、窒化アルミニウム(1〜
25重量部)と二酸化珪素(1〜10重量部)の樹脂混
合は前述の誘電率(ε)を低下させる為に使用される
が、請求項1の下限に近い範囲が絶縁特性(耐電圧)の
向上のために効果的である。因みに、これら無機材料単
体の誘電率は、窒化ホウ素9〜9.5、酸化アルミニウ
ム8.5〜9、二酸化珪素3〜3.5である。誘電率を
低く、熱伝導性を改善するために、本発明の配合比を選
んだ。 【0021】本発明においては、特許請求の範囲の請求
項2のように、第3絶縁層の厚みを0.02〜0.10
mmとするのは、第1絶縁層と第2絶縁層の近接する境界
部絶縁の信頼性向上のためにより効果的であるからであ
る。 【0022】しかも、高誘電率,高熱伝導率をもつ第1
絶縁層の信頼性を向上させ、かつ第2絶縁層の低誘電率
層の持つ特徴,即ち低誘電率,低熱伝導率を妨げない範
囲は、第2絶縁層が300μmの場合,導電層側の第3
絶縁層が0.02mm(20μm)では約6%の比率,
0.1mmでは25%の比率となり、低誘電率,低熱伝導
率の特徴を大きく妨げない。 【0023】本発明において、高温多湿(例えば、85
℃85%RH湿度雰囲気)中における直流電圧の課電時
における,マイグレーション現象(銅イオンの絶縁体中
への移行と,これに基づく絶縁破壊)の抑制に効果があ
る。 【0024】本発明において、熱硬化性樹脂の配合割合
を20〜50重量部としたのは、樹脂比率が20重量部
未満の場合十分な耐電圧性が得られず、50重量部を越
えると、十分な放熱性が得られないからである。従っ
て、十分な耐電圧性を必要とする場合、前記耐電圧性絶
縁体中の樹脂の割合を20〜20重量部とする。勿論,
樹脂比率が高ければ耐電圧性はより一層向上するが、本
発明で求める高熱伝導性絶縁体と接する同一平面上に形
成された耐電圧性絶縁層は、絶縁体中の熱硬化性樹脂と
充填剤の比率の内、樹脂を20〜50重量部に保つ。そ
の理由は、十分な放熱性と耐電圧性を保つ為には、必要
不可欠な条件である。 【0025】一方、放熱性を必要とするエリアは耐電圧
性をある程度犠牲にして、絶縁体の主成分である樹脂と
充填剤の比率のうち、充填剤の割合を50重量部以上に
保つ。その理由は、充填剤の割合が50重量部未満の場
合、十分な放熱性が得られないからである。従って、十
分な放熱性を望む場合は、前記高熱伝導性絶縁体中の充
填剤の割合を50重量部以上とする。 【0026】本発明において、無機充填材混合樹脂中の
各充填材,即ち酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化
珪素,珪酸マグネシウムを,熱硬化性樹脂を上記のよう
に限定したのは、下記の理由による。 【0027】(1) 絶縁体の一部を構成する第1絶縁層の
引張弾性率は1100〜1800Kgf/mm2、高熱伝導率の元
で、十分な剛性と低い膨脹係数,高いガラス転移点(T
g)が必要とされている。ここで、膨脹係数,Tgは、
金属ベ−スとして1.5mmのアルミニウム板を用い、導
電層として0.035mm の厚さの銅箔を用い、この間に絶縁
体を構成する第1〜第3絶縁層を介在させた金属基板に
ついて測定した結果、第1絶縁層についてはTgは140
℃、膨脹係数(Tg以下の温度)は1.61〜5.9 ×10-5/
℃であり、また第2・第3絶縁層の引張弾性率は600 〜
900 Kgf/mm2 で第1絶縁層に比べてTgは100 ℃,線
膨脹係数は1.5 〜3.8 ×10-5/℃で柔軟性に富んで構成
されている。 【0028】(2) 上記第1〜第3絶縁層を同一平面上に
構成する場合、第1絶縁層が異常にオ−バ−ヒ−トされ
たとき、高いTg(140 ℃)と低い線膨脹係数1.61〜5.
9 ×10-5/℃が基板の反り,ねじれを吸収し、第2・第
3絶縁層のガラス転移点100℃,線膨脹係数は3.8 ×10
-5/℃でこれに接する第1絶縁層の線膨脹係数は2.77×
10-5/℃である。金属ベ−スのアルミニウムは2.4 ×10
-5/℃で、お互いの材料がバランスに富む点が本発明の
無機充填材を選択した理由である。 【0029】(3)第1絶縁層に含まれる酸化アルミニ
ウムは、上述したように50〜72重量部に設定すると
十分な熱伝導性が得られる。しかし、酸化アルミニウム
は樹脂に対して硬さが増し、引張弾性率が高く、金属基
板の絶縁体としては単独では充填率を高くすることが困
難である。従って、酸化アルミニウム以外に、前記二酸
化硅素,窒化ホウ素を夫々1〜10重量部配合して柔軟
性と剛性を兼ね備えるようにした。また、これら無機充
填材の熱硬化性樹脂に対する比率を、最大で80:20
を上限とすることが各無機充填材の特性を生かす上で効
果的である。 【0030】 【作用】本発明において、熱伝が優れた絶縁層と熱伝が
劣る絶縁層が同一平面上に構成された導電層を持つ回路
用金属基板であるため、パワー部品の放熱性を改善し、
しかも、近接する熱伝が劣る絶縁層上の導電層上の部品
実装に対する熱煽りが低減された。パワー部品の放熱は
下部ベース金属を通して真下に放熱される結果、部品実
装に最適で信頼性が一段と向上した。 【0031】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)図3(A),(B)を参照する。ここで、
図3(A)は回路用金属基板の断面図、図3(B)は図
3(A)の絶縁層の平面図を示す。 【0032】図中の31は、厚さ2.0mmで銅製の金属ベ
ースである。この金属ベース31上には、厚さ0.30mm
の絶縁体32を介して厚さ0.07mmの複数の電極(導電
層)33が設けられている。ここで、前記絶縁体32は、厚
み0.30mmの第1絶縁層32aと、この第1絶縁層32a
に接して設けられ,かつ第1絶縁層32aと同じ厚みの第
2絶縁層32bからなる。 【0033】前記第1絶縁層32aは、厚さ0.11mmの
ガラス繊維不織布(25g/m2 )に、下記表2に記載
したイミダゾール(硬化促進剤),無機充填材(酸化ア
ルミニウム,窒化ホウ素,二酸化珪素)及び熱硬化性樹
脂(樹脂1〜樹脂3)の混合樹脂を塗布して仕上がり厚
さ0.15mmを2枚用いたものである。 【0034】前記第2絶縁層32bは、厚さ0.05mmの
芳香族ポリアミド繊維不織布(20g/m2 )に、充填
材の入らない熱硬化樹脂を塗布して仕上がり厚さ0.0
6mmを5枚用いたものである。 【0035】 【表2】【0036】但し、表2において、樹脂1はフェノール
ノボラック形エポキシ樹脂、樹脂2はビスフェノール型
エポキシ樹脂、樹脂3はクレゾールノボラック形エポキ
シ樹脂を示す。なお、表2中の熱抵抗(Watt/℃)は、
厚み1.5mm,形状30(L1 )mm×30(L1 )mmの
ベース金属(銅板)41上に厚さ0.3mmの絶縁体42を介
して厚さ0.07mm,形状10(L2 )mm×14(L
3 )mmの銅箔43を形成した図4の試験片で、図1の試験
方法で測定した。但し、図4において、符号41は厚みT
1 :1.5mmのベース金属、符号42は横L1 :30mm,
縦L1 :30mmで厚みT2 :0.3mmの絶縁体、符号43
は横L2 :10mm,縦L3 :14mmで厚みT3 :0.3
mmの銅箔を示す。また、表2中の誘電率は、図5に示す
ように試料を配置して測定した(但し、符号52は主電
極,符号53は電極を示す)。高温多湿(例えば、85
℃,85%RH湿度雰囲気)中における直流電圧の課電
時のおける、電圧と寿命の関係は、下記表3に示す通り
である。 【0037】 【表3】 【0038】このように、上記実施例1に係る回路用金
属基板は、金属ベ−ス31と、この金属ベ−ス31上に形成
された絶縁体32と、この絶縁体32上に形成された電極33
とを具備し、前記絶縁体32が、第1絶縁層32aと該第1
絶縁層32aに近接して形成されかつ第1の絶縁層32aと
同一面の第2絶縁層32bとからなり、前記第1絶縁層32
aが、ガラス繊維不織布に上記表2に記載した所定の熱
硬化性樹脂及び無機充填剤を混合した樹脂を塗布したも
のであり、前記第2絶縁層32bが、ガラス繊維混抄の芳
香族ポリアミド繊維不織布に所定の熱硬化性樹脂を塗布
含浸したものであり、更に前記第1絶縁層32aと第2絶
縁層32bが同一熱硬化反応機能を有する絶縁体である構
成となっている。 【0039】しかるに、前記第1絶縁層32aは無機充填
材として窒化ホウ素,二酸化珪素及び酸化アルミニウム
を含むため、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果
が得られた。また、第2絶縁層32bがガラス繊維混抄の
芳香族ポリアミド繊維不織布に所定の熱硬化性樹脂を塗
布含浸したものであるため、低誘電率,低静電容量,低
熱伝導性に顕著な効果が得られた。事実、実施例1に係
る回路用金属基板に関する電極のピール強度,半田耐熱
などの特性は下記表4に示す通りである。 【0040】 【表4】【0041】(実施例2〜4)実施例2〜4に係る回路
用金属基板は、金属ベース,第1絶縁層及び第2絶縁層
からなる絶縁体,及び電極の基本的な構成は実施例1と
同じであり、無機充填材としての酸化アルミニウム,窒
化ホウ素,二酸化ケイ素は前記した表3の通りである。 【0042】実施例2〜4についても、実施例1と同様
に、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果が得られ
るとともに、低誘電率,低静電容量,低熱伝導性に顕著
な効果が得られた。 【0043】(比較例1)比較例1に係る回路用金属基
板は、金属ベース,第1絶縁層及び第2絶縁層からなる
絶縁体,及び電極の基本的な構成は実施例1と同じであ
り、酸化アルミニウム,窒化ホウ素,二酸化ケイ素は前
記した表3に示す通りである。 【0044】表3から明らかのように、比較例1の場合
は実施例1〜4と比べて、熱抵抗が高く、逆に誘電率が
低いことが確認できた。従って、表3より本発明が比較
例と比べて優れていることが明らかである。 【0045】(実施例5)図6(A),(B)を参照す
る。ここで、図6(A)は回路用金属基板の断面図、図
6(B)は図6(A)の絶縁層の平面図を示す。なお、
図3と同部材は同符号を付して説明を省略する。 【0046】図中の符号61は厚さ0.30mmの絶縁体32
上に形成された第3絶縁層であり、この上に複数の電極
33が形成されている。前記第3絶縁層61は、上記実施例
1の第1絶縁層と同じ組成となっている。上記実施例5
に係る回路用金属基板に関する電極のピール強度,半田
耐熱などの特性は下記表5に示す通りである。 【0047】 【表5】 上記表5より、実施例5に係る本発明が、実施例1と同
様に、誘電率の低下,熱抵抗の低下に顕著な効果が得ら
れ、低誘電率,低静電容量,低熱伝導性に顕著な効果が
得られることが確認できた。 【0048】 【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、放電
用金属ベースと導電層間の絶縁体を第1絶縁層と該第1
絶縁層と同一面に近接して形成した第2絶縁層と前記第
1絶縁層と第2絶縁層の両絶縁層上に形成した第3絶縁
層から構成し、前記第1絶縁層はガラス繊維不織布に酸
化アルミニウム50〜72重量部,窒化ホウ素1〜25
重量部,二酸化珪素1〜10重量部,熱硬化性樹脂20
〜50重量部からなる無機充填剤混合樹脂を塗布したも
のとし、前記第2絶縁層は芳香族ポリアミド繊維不織布
もしくはガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維不織布に
熱硬化性樹脂を塗布したものとし、前記第3絶縁層は酸
化アルミニウム50〜75重量部、窒化ホウ素1〜25
重量部、二酸化珪素1〜10重量部、熱硬化性樹脂20
〜50重量部からなる無機充填材混合樹脂を0.02〜
0.10mmの一様な厚さに塗布してなる構成とするこ
とにより、放熱性、耐電圧性、耐ノイズ性に優れた回路
用金属基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランジスタの熱抵抗を測定するための方法を
示す説明図。 【図2】この発明の回路用金属基板に係る絶縁体を構成
する第1絶縁層の放熱性を示す特性図。 【図3】この発明の実施例1に係る回路用金属基板の説
明図であり、図3(A)は断面図、図3(B)は図3
(A)の平面図。 【図4】この発明に係る回路用金属基板の熱抵抗を測定
するための説明図。 【図5】この発明に係る回路用金属基板の誘電率を測定
するための説明図。 【図6】この発明の実施例5に係る回路用金属基板の説
明図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は図6
(A)の平面図。 【符号の説明】 31…金属ベ−ス、 32…絶縁体、 32
a…第1絶縁層、32b…第2絶縁層、 33…電
極、 61…第3絶縁層。
示す説明図。 【図2】この発明の回路用金属基板に係る絶縁体を構成
する第1絶縁層の放熱性を示す特性図。 【図3】この発明の実施例1に係る回路用金属基板の説
明図であり、図3(A)は断面図、図3(B)は図3
(A)の平面図。 【図4】この発明に係る回路用金属基板の熱抵抗を測定
するための説明図。 【図5】この発明に係る回路用金属基板の誘電率を測定
するための説明図。 【図6】この発明の実施例5に係る回路用金属基板の説
明図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は図6
(A)の平面図。 【符号の説明】 31…金属ベ−ス、 32…絶縁体、 32
a…第1絶縁層、32b…第2絶縁層、 33…電
極、 61…第3絶縁層。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 今村 一彦
神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号
富士電機株式会社内
(72)発明者 岡本 健次
神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号
富士電機株式会社内
(56)参考文献 特開 平6−90071(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H05K 1/05
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 放熱用金属ベースと、この金属ベースの
少なくとも片面に絶縁体を介して設けられた導電層とを
具備する回路用金属基板において、前記絶縁体が、第1
絶縁層と、該第1絶縁層と同一面に近接して形成した第
2絶縁層と、前記第1絶縁層と第2絶縁層の両絶縁層上
に形成した第3絶縁層からなり、 前記第1絶縁層が、ガラス繊維不織布に酸化アルミニウ
ム50〜72重量部,窒化ホウ素1〜25重量部,二酸
化珪素1〜10重量部,熱硬化性樹脂20〜50重量部
からなる無機充填剤混合樹脂を塗布したものであり、 前記第2絶縁層が、芳香族ポリアミド繊維不織布もしく
はガラス繊維混抄芳香族ポリアミド繊維不織布に熱硬化
性樹脂を塗布したものであり、前記第3絶縁層が、酸化アルミニウム50〜75重量
部、窒化ホウ素1〜25重量部、二酸化珪素1〜10重
量部、熱硬化性樹脂20〜50重量部からなる無機充填
材混合樹脂を0.02〜0.10mmの一様な厚さに塗
布してなる ことを特徴とする回路用金属基板。
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