JP3428001B2 - 磁石ロータとその製造方法 - Google Patents
磁石ロータとその製造方法Info
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Description
ト・マグネット型(PM型)のステッピングモータや回
転数センサ等に用いられる磁石ロータとその製造方法に
関する。
外周にリング状磁石を一体的に備えたものがある。例え
ば図8に示す従来の磁石ロータでは、アルミニウム製ま
たは鉄製のホイール100の外周面にリング状磁石10
1が接着剤で固着され、そのホイール100の中心部に
軸102が挿入されている。
ホイールの外周にリング状磁石を圧入して一体化したも
のも開示されている。
示した磁石ロータでは、ホイール100の加工費、材料
費、接着に要する工程等により製造コストが高く、その
低廉化が困難であった。また、圧入によってリング状磁
石をホイールの外周に一体化する場合でも、圧入のため
の工程、並びに圧入可能とするためにリング状磁石やホ
イールを高精度に加工する必要等があるところから、や
はり相当のコストを要していた。
開するため、リング状磁石と中心軸間に樹脂を射出して
樹脂ホイールを一体射出成形する試みを行ってきたが、
リング状磁石の強度が弱いため、射出成形時にその磁石
に割れが発生し、実用化できない状況で現在に至ってい
る。
て、樹脂の一体成形による磁石ロータの実用化を図った
ものである。
石の内側に必要に応じて中心軸を配置して樹脂ホイール
を金型によって一体成形することにより磁石ロータとす
るとともに、そのリング状磁石は樹脂ホイールを成形す
る金型のキャビティに形成したテーパ内周面と一致し
て、その金型のテーパ内周面の所定の位置に密着固定で
きるテーパを付した外周面を有することを特徴とする。
このテーパの付与形態としては、リング状磁石そのもの
をテーパリング状のものとすること、あるいはリング状
磁石の外周面のみにテーパを付し、内周面には付さない
形態等が含まれる。
lを、それぞれリング状磁石の大径部外径、小径部外径
及び軸方向長さとした場合、(a−b)/lが0.00
02〜0.05の範囲とすることが望ましい。
d(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)系、Sm
(サマリウム)−Co(コバルト)系、Sm−Fe−N
(窒素)系、Sm−Fe−C−N系より選ばれた一の希
土類系プラスチック磁石、あるいはフェライト系プラス
チック磁石が好ましい。
グ状磁石を外周側に保持するリムと中心側のボス部と
が、3本以上の放射状のリブにより連結された形態が好
適である。
に樹脂ホイールを樹脂成形によって一体化する磁石ロー
タを射出成形する際には、テーパ状の内周面を有するキ
ャビティを射出成形金型内に形成し、リング状磁石の外
周面にはテーパ状内周面に一致するテーパを形成し、そ
のリング状磁石の外周を金型のテーパ状の内周面に密着
嵌合して固定し、そのキャビティ内に樹脂を射出して樹
脂ホイールを一体成形することができる。
側に樹脂ホイールを一体射出成形する場合、リング状磁
石の外周面と金型のキャビティ内面との間にわずかなギ
ャップ(クリアランス)が生じやすく、このクリアラン
スの発生のために、内側から大きな射出圧力を受けるリ
ング状磁石が割れてしまう傾向があった。ところが、本
発明のようにリング状磁石にテーパを付することによ
り、リング状磁石と金型との密着性が向上し、そのため
内側から大きな射出成形圧力を受けても、それが金型の
テーパ状のキャビティ面でほぼクリアランスなく受けら
れ、それによりリング状磁石の割れが防止される。
(a−b)/lが0.0002未満であると、その割れ
を防止する効果が充分に得られないことから、そのテー
パは0.0002以上とすることが望ましい。またテー
パが大きいほど割れに対しては好ましいが、テーパが大
き過ぎることによる弊害、例えばリング状磁石に対する
着磁が不均一になる等の問題、さらにはモータ等の特性
が損なわれる等の問題が生じる場合は、テーパの上限を
そのような弊害が生じないように、例えば0.05程度
に設定することが望ましい。
体成形される樹脂ホイールが、外周側のリムと中心側の
ボスとを3本以上のリブで連結する形態とされた場合
は、必要な強度を確保しつつ樹脂体積の減少が図られる
ため、射出成形時にリング状磁石に作用する樹脂圧力が
軽減される。このこともリング状磁石の割れ防止に寄与
し、特に上記テーパの付与との組合せにより相乗的な割
れ防止効果が得られる。
明する。図1は、本発明の一実施例である磁石ロータ1
を概念的に示すものである。この磁石ロータ1は、全体
的にテーパが付された円錐筒形態のリング状磁石2と、
これと同心的に配置された中心軸3と、これらリング状
磁石2と中心軸3との間に一体射出成形により設けられ
た樹脂ホイール4とを備えたものである。なお、リング
状磁石2のテーパは概念的にわかりやすくするため、実
施例より誇張して描かれている。リング状磁石2は、希
土類系合金(例えば、Fe−Nd−B合金)の粉末、あ
るいはフェライト系合金粉末を主体とし、これらとエポ
キシ樹脂の混合物から成形されたプラスチック磁石であ
り、その大径部外径をa、小径部外径をb、軸方向長さ
をlとした時、そのテーパを規定する(a−b)/l
は、0.0002〜0.05での範囲で設定されてい
る。
ェニレンサルファイド)樹脂、またはPBT(ポリブチ
レンテレフタレート)樹脂やPET(ポリエチレンテレ
フタレート)樹脂あるいはフェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂等の射出成形体であり、その外周面におけるリング
状磁石2との接合面は、その磁石2に対応するテーパと
なっている。中心軸3は樹脂ホイール4の中心部を貫通
して両方向に突出しているが、樹脂ホイール4に埋設さ
れた部分の外周面にはローレット掛け部3aが形成さ
れ、これが軸方向の抜け止めおよび周方向の回り止めと
なっている。
体的な実施例を説明する。この磁石ロータ11は、テー
パが付されたリング状磁石12、これと同心的に配置さ
れた中心軸13及びこれらの間に一体射出成形された樹
脂ホイール14とを含むものである。リング状磁石12
は一定の肉厚で全体がテーパリング(円錐筒)形態で形
成され、そのテーパを規定する図4の(a−b)/l
は、例えば0.003程度に設定されている。
12を外周部に保持するリム14aと、中心軸13が挿
入された中心部のボス14bと、これらリム14aおよ
びボス14bを放射状に連結する6本のリブ14cと、
これらリブ14cの軸方向の中間部に形成された薄肉部
14dと、この薄肉部14dにおいて円弧状に膨出する
断面でボス14bと同心的に形成された円環状リブ14
eとを含み、これらが一体射出成形で形成されている。
は、その磁石12に対応するテーパ面で形成されてお
り、またボス14bから等角度間隔に放射状に延びる6
本のリブ14cは、その中間部を仕切る薄肉部14dに
関して、図3に示すように一方の側のリブ片14c1と
他方の側のリブ片14c2に分けられ、一方の側のリブ
片14c1は内側に切り込まれて、他方の側のリブ片1
4c2より幅寸法(薄肉部14dを基準とする高さ寸
法)が低いものとなっている。
部分には、2本の環状溝13aが軸方向の抜け止めのた
めに形成され、また平面取り部13b及びローレット掛
け部13cが、軸方向の抜け止めおよび周方向の回り止
めのために形成されている。
部14dによりリム14a及びボス14bが連結された
構造により、樹脂ホイール14の樹脂体積は強度を確保
しつつ無垢の場合に比べて著しく減少している。そのた
め、樹脂ホイール14の射出成形時に、外側のリング状
磁石12に作用する内圧負荷(成形圧力)が軽減され、
このこともリング状磁石12がテーパ形態で形成されて
いることと相俟って、射出成形時におけるリング状磁石
12の割れを防止することに寄与する。また、薄肉部1
4dに形成された円周方向の円環状リブ14e上に、等
角度間隔に例えば3個の樹脂射出用のゲートが設定さ
れ、そこから射出された樹脂が円環状リブ14eに沿っ
て流れ易くなる。つまりこの円環状リブ14eは一種の
ランナの役割を果たしている。
の実施例を説明する。
量%と、エポキシ樹脂3重量%を混合し、その混合物を
テーパ:(a−b)/l=0.003を付与した金型を
用いて、圧縮成形により9ton/cm2の成形圧力を加え
て、大径部外径φ24mm、小径部外径φ21mm、軸方向
長さ10mmのテーパリング状磁石を成形した。その後、
大気中においてこれを150℃で1時間保持して硬化さ
せ、その後、電着コーティングにより塗装し、最終的な
テーパリング状磁石を得た。
003のテーパを有する金型を用いて、中心軸と一体射
出成形した。図6は、これを概念的に例示するもので、
その金型20のテーパ内周面21にリング状磁石12が
密着状態で嵌合される。また中心軸13が同心的に配置
され、金型20、22が型締めされた状態で所定の樹
脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂
がノズル24からキャビティ23に射出される。その
際、リング状磁石12は、その成形圧力に基づき拡径方
向の内圧負荷を受けるが、リング状磁石12にはテーパ
が付されて、金型20のテーパ内周面21に密着してい
るため、そのテーパ内周面21がリング状磁石12に作
用する拡径方向の負荷を直ちに受け止め、リング状磁石
12が内圧負荷で割れることを防止する。
図7はその態様を示すものである。
し熱衝撃試験を実施した。この試験は、磁石ロータを−
40℃で1時間放置した後、120℃に加熱して1時間
保持し、これを1サイクルとして30回繰り返した。表
1に、この熱衝撃試験の結果を上述の射出成形の結果と
ともに、従来法と比較して示した。この従来法は、テー
パの付されていないリング状磁石および射出成形金型を
用いて射出成形を行ったものである。
いリング状磁石及び射出成形金型により得られた磁石ロ
ータでは、樹脂ホイールの射出成形時に80%以上のリ
ング状樹脂が割れている。割れなかった約20%のリン
グ状磁石も、射出成形時に受けた圧力で内部歪みを生じ
ているため、後の熱衝撃試験では全てに割れが発生し
た。これに対し本発明の場合は、一体射出成形時におい
て割れが発生したリング状磁石は1個もなく、また熱衝
撃試験でも割れが生ずるものはなかった。
グ状磁石には、目的に応じて多極に着磁処理が施され
る。そして、例えばPM型ステッピングモータや回転数
センサのロータ等として使用に供されることとなる。
に示した磁石ロータ11では中間部に薄肉部14dが形
成されていたが、これを省略することにより個々のリブ
14cの間を軸方向に貫通する空所とすることもでき
る。
とも外周面にテーパを付すことにより、その内側に樹脂
ホイールを一体成形する際、リング状磁石の割れを有効
に防止することができる。したがって、従来のような個
々に製作された金属ホイールとリング状磁石を接着剤で
固着したり、あるいは圧入したりする等の工程を必要と
せず、テーパの付されたリング状磁石の内側に樹脂ホイ
ールを一体成形するだけで、樹脂ホイールの成形および
その樹脂ホイールとリング状磁石との精度の良好な一体
化が同時に行なわれ、コストが大幅に低廉化された磁石
ロータが実現する。
イールの樹脂量を減少させて、そのリムとボスを3本以
上の放射状のリブで連結した構造とすることにより、そ
の樹脂ホイールの射出成形時にリング状磁石に作用する
内圧負荷が軽減され、上述のテーパの付与と相乗的に作
用して、リング状磁石の割れが一層効果的に防止され
る。
示す断面図。
図。
面図。
Claims (7)
- 【請求項1】 リング状磁石の内側に樹脂ホイールが金
型によって一体成形された磁石ロータであって、前記リ
ング状磁石は樹脂ホイールを成形する金型のキャビティ
に形成したテーパ内周面と一致して、その金型のテーパ
内周面の所定の位置に密着固定できるテーパが付与され
た外周面を有することを特徴とする磁石ロータ。 - 【請求項2】 前記樹脂ホイールの中心部に中心軸が貫
通して一体に固定されている請求項1記載の磁石ロー
タ。 - 【請求項3】 前記テーパとして、(a−b)/lが
0.0002以上(ただし、a、b及びlは、それぞれ
前記リング状磁石の大径部外径、小径部外径及び軸方向
長さである)とされている請求項1又は2記載の磁石ロ
ータ。 - 【請求項4】 前記リング状磁石が、Nd−Fe−B
系、Sm−Co系、Sm−Fe−N系、Sm−Fe−C
−N系より選ばれた一の希土類系プラスチック磁石、ま
たはフェライト系プラスチック磁石である請求項1ない
し3記載の磁石ロータ。 - 【請求項5】 前記樹脂ホイールは、前記リング状磁石
を外周側に保持するリムと、中心側のボスと、これらリ
ム及びボスを放射状に連結するように形成された3本以
上のリブとを備え、これらを含んで一体成形されたもの
である請求項1ないし4のいずれかに記載の磁石ロー
タ。 - 【請求項6】 リング状磁石の内側に樹脂ホイールを樹
脂成形によって一体化する磁石ロータの成形方法であっ
て、 テーパ状の内周面を有するキャビティを射出成形金型内
に形成し、前記リング状磁石の外周面には前記テーパ状
内周面に一致するテーパを形成し、そのリング状磁石の
外周を金型のテーパ状の内周面に密着嵌合して固定し、
前記キャビティ内に樹脂を射出して前記樹脂ホイールを
一体射出成形することを特徴とする磁石ロータの製造方
法。 - 【請求項7】 前記樹脂ホイールの中心部に中心軸を配
置した状態で、前記キャビティ内に樹脂を射出して前記
樹脂ホイールを一体射出成形することを特徴とする請求
項6記載の磁石ロータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22070793A JP3428001B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 磁石ロータとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22070793A JP3428001B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 磁石ロータとその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0759305A JPH0759305A (ja) | 1995-03-03 |
JP3428001B2 true JP3428001B2 (ja) | 2003-07-22 |
Family
ID=16755246
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22070793A Expired - Lifetime JP3428001B2 (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 磁石ロータとその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3428001B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4848580B2 (ja) * | 2000-07-13 | 2011-12-28 | パナソニック株式会社 | 永久磁石電動機の製造方法 |
JP2002058229A (ja) * | 2001-06-25 | 2002-02-22 | Hitachi Ltd | 永久磁石型ブラシレス電動機とそれを用いたエアコン装置 |
KR101341537B1 (ko) * | 2013-07-01 | 2013-12-13 | 최교선 | 모터 회전자 제조용 금형장치 및 이를 이용한 모터 회전자의 제조방법 |
JP7261955B2 (ja) * | 2019-03-11 | 2023-04-21 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | モータシャフト、回転子、モータ、送風機 |
-
1993
- 1993-08-11 JP JP22070793A patent/JP3428001B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH0759305A (ja) | 1995-03-03 |
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