JP3427673B2 - 車両の環境状態推定装置 - Google Patents

車両の環境状態推定装置

Info

Publication number
JP3427673B2
JP3427673B2 JP13315197A JP13315197A JP3427673B2 JP 3427673 B2 JP3427673 B2 JP 3427673B2 JP 13315197 A JP13315197 A JP 13315197A JP 13315197 A JP13315197 A JP 13315197A JP 3427673 B2 JP3427673 B2 JP 3427673B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
estimation
road environment
road
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13315197A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10324174A (ja
Inventor
良雄 伊藤
泰也 中村
喜三郎 早川
浩之 吉田
正敬 大澤
満寿治 大嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP13315197A priority Critical patent/JP3427673B2/ja
Publication of JPH10324174A publication Critical patent/JPH10324174A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3427673B2 publication Critical patent/JP3427673B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両の環境状態を推定
するための環境状態推定装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、エンジンの出力を制御するエン
ジン出力制御装置、自動変速機の変速比或いはギヤ段を
制御する変速制御装置、車両のパワーステアリングの操
舵力や操舵角を制御する操舵制御装置、車両懸架装置の
ショックアブソーバの減衰力やばね特性を制御するサス
ペンション制御装置などのような車両に搭載された制御
装置では、エンジン出力、駆動トルク、ステアリングの
操舵力や操舵角、ショックアブソーバの減衰力或いはば
ねの特性を、車両の環境状態を反映させて制御すること
が望まれる。 【0003】これに対し、たとえば、スロットル開度の
微分値が所定の大きさを越えた時点から始まる有限の期
間中に所定の時間間隔毎にそれぞれ取得される、アク
セル踏込み角度(スロットル弁開度)、ブレーキ踏込み
角度、ステアリング角度等の運転操作量と、エンジン
回転数、車速、上下・横・前後方向の加速度等の車両状
態量とを入力とするニューラルネットワークによる推定
出力に基づいて、車両の環境状態を推定する環境状態推
定装置が提案されている。特開平4−293626号公
報に記載された装置がそれであり、乗員数等に依存して
変化する車両重量や路面の傾斜角度等を推定するもので
ある。 【0004】 【発明が解決すべき課題】しかしながら、上記のような
従来の環境状態推定装置においては、ニューラルネット
ワークの入力となる上記運転操作量や車両状態量に、た
とえば車両の加速を重視する加速指向、燃費を重視する
燃費指向、それらの中間である中間指向等の運転者の運
転指向と密接に関連した量が含まれておらず、また、そ
の運転指向に依存する上記運転操作量や車両状態量の変
化を考慮したニューラルネットワークの学習等も行われ
ていないために、運転者の運転指向のばらつきが外乱と
なって環境状態の推定精度が十分に得られない恐れがあ
った。 【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、運転者の運転指
向のばらつきに影響されることなく車両の環境状態を十
分な精度で推定できる環境状態推定装置を提供すること
にある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、以上の課
題を解決しようとして種々検討を重ねた結果、車両の加
速操作時における加速操作量の最大変化率と車両の制動
操作時における車両の最大減速度とが運転者の運転指向
と密接に関連し、それらの少なくとも一方に基づいて車
両の環境状態の推定を行なうと、運転者の運転指向のば
らつきに影響されることなく精度の高い推定結果が得ら
れることを見いだした。本発明はこのような知見に基づ
いて為されたものである。 【0007】すなわち、本発明の要旨とするところは、
車両の環境状態を推定するための環境状態推定装置であ
って、前記車両の運転者により操作される運転操作量お
よび車両状態量の少なくとも一つの統計値を所定時間毎
に算出する統計値算出手段と、その統計値算出手段によ
り算出された前記運転操作量および車両状態量の少なく
とも一つの統計値と、前記車両の加速操作時における加
速操作量の最大変化率と車両の制動操作時における車両
の最大減速度との少なくとも一方とに基づいて車両の環
境状態を推定する環境状態推定手段を含むことにあ
る。ここで、上記運転操作量は、アクセル踏込み角度、
ブレーキ踏込み角度、ステアリング角度等の運転者の操
作に直接関連する量であり、上記車両状態量は、エンジ
ン回転数、車速、上下・横・前後方向の加速度、車両の
水平方向に対する傾斜角度(路面の傾斜角度に関連す
る)等の車両の状態を示す量である。 【0008】 【発明の効果】本発明によれば、運転者の運転指向に密
接に関連した車両の加速操作時における加速操作量の最
大変化率と車両の制動操作時における車両の最大減速度
に加えて、上記統計値算出手段により算出された運転
操作量および車両状態量の少なくとも一つの統計値を考
慮した推定が行えることになり、運転者の運転指向のば
らつきに影響されることなく精度の高い車両の環境状態
の推定結果が得られる。 【0009】 【0010】【発明の他の態様】 ここで 、好適には、前記環境状態推
定手段は、前記車両の加速操作時における加速操作量の
最大変化率および前記車両の制動操作時における車両の
最大減速度の少なくとも一方と、前記統計値算出手段に
より所定時間毎に算出された前記運転操作量および車両
状態量の少なくとも一つの統計値とを含む情報を入力と
し、車両の環境状態の推定結果を出力する環境状態推定
用ニューラルネットワークを含むようにされる。このよ
うにすれば、前記統計値算出手段により所定時間毎に算
出された前記運転操作量および車両状態量の少なくとも
一つの統計値のみを入力とする従来のニューラルネット
ワーク道路環境推定系による推定に比較して推定精度が
向上する利点がある。 【0011】また、好適には、前記環境状態推定手段
は、前記統計値算出手段により所定時間毎に算出された
前記運転操作量および車両状態量の少なくとも一つの統
計値を含む情報を入力とし、運転者の運転指向の推定結
果を出力する運転指向推定用ニューラルネットワーク
と、その運転指向推定用ニューラルネットワークによる
運転指向の推定結果を含む情報を入力とし、車両の環境
状態の推定結果を出力する環境状態推定用ニューラルネ
ットワークとを含む。このようにすれば、環境状態推定
用ニューラルネットワークは、運転指向用ニューラルネ
ットワークの出力を入力としているので、加速操作量の
最大変化率および制動操作時の車両の最大減速度の少な
くとも一方を直接入力させる場合に比較して、一層信頼
性の高い運転指向を示す情報を反映させることができる
利点がある。 【0012】また、好適には、前記環境状態推定手段
は、ステアリング操作角度の変化率に基づいて車両の環
境状態を推定するものである。このようにすれば、運転
者の運転指向に密接に関連したステアリング操作角度の
変化率に基づいて車両の環境状態を推定できる。 【0013】また、好適には、前記環境状態推定手段
は、たとえば渋滞路を含む市街地路、郊外路、山間路、
高速路等の車両走行中の道路環境を車両の環境状態とし
て推定する道路環境推定手段を含む。 【0014】また、好適には、前記環境状態推定手段に
より推定された環境状態に基づいて制御内容が変更され
る車両の制御装置が車両に備えられる。このようにすれ
ば、車両の制御装置の制御は、環境状態推定結果に基づ
いて好適に行なわれる利点がある。 【0015】また、好適には、上記車両の制御装置は、
上記環境状態推定手段により推定された環境状態に基づ
いてスロットル弁開度が制御される電子スロットル弁制
御装置、上記環境状態推定手段により推定された環境状
態に基づいて変速比が制御される車両用自動変速機の変
速制御装置、上記環境状態推定手段により推定された環
境状態に基づいて車両のパワーステアリングの操舵力と
操舵角との少なくとも一方が制御される操舵制御装置、
或いは、上記環境状態推定手段により推定された環境状
態に基づいて車両懸架装置のショックアブソーバの減衰
力とばね特性との少なくとも一方が制御されるサスペン
ション制御装置等である。 【0016】また、好適には、前記電子スロットル弁制
御装置は、前記道路環境推定手段により車両が渋滞路を
含む市街地路を走行中であると推定された場合に、渋滞
路を含む市街地路以外を走行中であると推定された場合
に比較してアクセルペダル操作量に対するスロットル弁
開度を小さくするスロットル弁開度抑制手段を含むよう
にされる。このようにすれば、一般に渋滞時において大
きくする必要性が小さいスロットル弁開度を抑制できる
ため、エンジンの燃料消費量を好適に抑制することがで
きる利点がある。 【0017】また、好適には、前記変速制御装置は、前
記道路環境推定手段により車両が渋滞路を含む市街地路
を走行中であると推定された場合に、車両発進時のギヤ
段を最低速ギヤ段より上段のギヤ段に変更するギヤ段変
更手段を含むようにされる。このようにすれば、渋滞時
における自動変速装置の変速回数を低減でき、車両の走
行をより滑らかにすることができる利点がある。 【0018】また、好適には、前記変速制御装置は、前
記道路環境推定手段により車両が山間路を走行中である
と推定された場合に、山間路以外を走行中であると推定
された場合に比較してシフトアップ線を高車速側に移動
させるシフトアップ線移動手段を含むようにされる。こ
のようにすれば、山間路の登坂やワインディングロード
においては所謂シフトハンチングを防止できる一方、エ
ンジンブレーキ力が強められて制動操作が減少するの
で、操縦性を向上させることができる利点がある。 【0019】また、好適には、前記変速制御装置は、前
記道路環境推定手段により車両が高速路を走行中である
と推定された場合に、高速路以外を走行中であると推定
された場合に比較してダウンシフト線を高車速側に移動
させるダウンシフト線移動手段を含むようにされる。こ
のようにすれば、高速路での追越し時等において容易に
ダウンシフトができるために加速性が高められ、操縦性
を向上させることができる利点がある。 【0020】また、好適には、前記操舵制御装置は、前
記道路環境推定手段により車両が高速路を走行中である
と推定された場合に、高速路以外を走行中であると推定
された場合に比較して操舵力を抑制する操舵抑制手段を
含むようにされる。このようにすれば、一般に高速路に
おいて車速が大きいために抑制されることが望ましい操
舵力および操舵角の少なくとも一方を抑制することがで
きるため、操縦安定性を向上できる利点がある。 【0021】また、好適には、前記サスペンション制御
装置は、前記道路環境推定手段により車両が山間路を走
行中であると推定された場合に、山間路以外を走行中で
あると推定された場合に比較して前記車両懸架装置のシ
ョックアブソーバの減衰力およびばねの特性の少なくと
も一方を高硬度側に変更する減衰力・ばね特性変更手段
を含むようにされる。このようにすれば、山間路におい
て、一般に高硬度側に変更することが望ましい車両懸架
装置の硬度を高硬度側に変更できるため、操縦安定性を
向上できる利点がある。 【0022】また、好適には、前記道路環境推定手段に
よる道路環境の推定繰返し周期は、前記運転指向推定手
段による運転指向の推定繰返し周期よりも長くされる。
このようにすれば、運転者の意思に依存して急激に変動
し得る運転指向が推定される周期よりも車両走行中に急
激に変動することが少ない道路環境が推定される周期の
方が長くなるので、運転指向および道路環境の推定を計
算機を用いて行なう場合、運転指向の推定に比較して道
路環境に推定のための計算時間を短縮できる利点があ
る。また、たとえば、運転指向の推定結果を道路環境の
推定に使用する場合においては、運転指向の推定結果を
道路環境の推定に反映させる応答性が確保できる利点が
ある。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。 【0024】図1には、車両のエンジン10、自動変速
機14、エンジン10のスロットル弁開度を調節するス
ロットルアクチュエータ90、図示しない油圧式パワー
ステアリング装置の操舵力すなわち運転者のステアリン
グ操作力の補助となる力の大きさを制御する操舵力制御
弁に作動液を供給する作動液供給ポンプ92、図示しな
いショックアブソーバの減衰力或いは制振力を制御して
車体の上下振動を動的に制御する減衰力制御弁94、そ
れらを制御する電子制御装置42等が示されている。 【0025】図1において、車両のエンジン10から出
力された動力は、トルクコンバータ12、自動変速機1
4、および図示しない差動歯車装置および車軸を経て図
示しない駆動輪へ伝達されるようになっている。 【0026】上記トルクコンバータ12は、クランク軸
16に連結されたポンプ翼車18と、自動変速機14の
入力軸20に連結され且つ流体を介してポンプ翼車18
から動力が伝達されるタービン翼車22と、一方向クラ
ッチ24を介して位置固定のハウジング26に固定され
た固定翼車28と、ポンプ翼車18およびタービン翼車
22をダンパ30を介して直結するロックアップクラッ
チ32とを備えている。このロックアップクラッチ32
は、解放側油室33と係合側油室35との圧力差により
係合制御される。 【0027】上記自動変速機14は、たとえば前進4速
或いは5速のギヤ段が達成される遊星歯車式の多段変速
機である。前進4速である場合の自動変速機14は、同
軸上に配設された3組のシングルピニオン型遊星歯車装
置34,36,38と、前記入力軸20と、遊星歯車装
置38のリングギヤとともに回転する出力歯車39と前
記差動歯車装置との間で動力を伝達するカウンタ軸(出
力軸)40とを備えている。それら遊星歯車装置34,
36,38の構成要素の一部は互いに一体的に連結され
るだけでなく、3つのクラッチC0 ,C1 ,C2 によっ
て互いに選択的に連結されている。また、上記遊星歯車
装置34,36,38の構成要素の一部は、4つのブレ
ーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 によってハウジング26に
選択的に連結されるとともに、さらに、構成要素の一部
は3つの一方向クラッチF0 ,F 1 ,F2 によってその
回転方向により相互に若しくはハウジング26と係合さ
せられるようになっている。 【0028】上記クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキ
0 ,B1 ,B2 ,B3 は、例えば多板式のクラッチや
1本または巻付け方向が反対の2本のバンドを備えたバ
ンドブレーキ等にて構成され、それぞれ図示しない油圧
アクチュエータによって作動させられるようになってい
る。後述の電子制御装置42からの指令に従って作動す
る油圧制御回路44によりそれ等の油圧アクチュエータ
の作動がそれぞれ制御されることにより、図2に示すよ
うに変速比γ(=入力軸20の回転速度/カウンタ軸4
0の回転速度)がそれぞれ異なる前進4段・後進1段の
変速段が得られる。図2において、「1st」,「2n
d」,「3rd」,「O/D(オーバドライブ) 」は、それぞ
れ前進側の第1速ギヤ段,第2速ギヤ段,第3速ギヤ
段,第4速ギヤ段を表しており、上記変速比は第1速ギ
ヤ段から第4速ギヤ段に向かうに従って順次小さくな
る。なお、上記トルクコンバータ12および自動変速機
14は、軸心に対して対称的に構成されているため、図
1においては入力軸20の回転軸線の下側およびカウン
タ軸40の回転軸線の上側を省略して示してある。 【0029】上記油圧制御回路44には、自動変速機1
4のギヤ段を制御するための変速制御用油圧制御回路
と、ロックアップクラッチ32の係合を制御するための
係合制御用油圧制御回路とが設けられている。変速制御
用油圧制御回路は、ソレノイドNo.1およびソレノイドN
o.2によってそれぞれオンオフ駆動される第1電磁弁4
6および第2電磁弁48を備えており、それら第1電磁
弁46および第2電磁弁48の作動の組み合わせによっ
て図1に示すようにクラッチおよびブレーキが選択的に
作動させられて前記第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のう
ちのいずれかが成立させられるようになっている。 【0030】また、上記係合制御用油圧制御回路は、ロ
ックアップクラッチ32を解放状態とする解放側位置と
ロックアップクラッチ32を係合状態とする係合側位置
とに切り換える図示しないクラッチ切換弁をオンオフ作
動させる切換用信号圧を発生する第3電磁弁50と、係
合側油室35および解放側油室33の圧力差ΔPを調節
してロックアップクラッチ32のスリップ量を制御する
図示しないスリップ制御弁を作動させるスリップ制御用
信号圧を電子制御装置42からの駆動電流に従って発生
させるリニアソレノイド弁54とを備えている。 【0031】前記電子制御装置42は、CPU60、R
AM62、ROM64、図示しない入出力インターフェ
ースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、そ
れには、エンジン10の吸気配管66に設けられたスロ
ットル弁68の開度TAを決定する基礎となるアクセル
ペダル58の踏込み角度を検出するアクセルペダル踏込
角度センサ70、エンジン10の回転速度を検出するエ
ンジン回転速度センサ72、自動変速機14の入力軸2
0の回転速度を検出する入力軸回転速度センサ74、車
速Vを検出するために自動変速機14のカウンタ軸40
の回転速度を検出する車速センサ76、シフトレバー7
8の操作位置、すなわちL、S、D、N、R、Pレンジ
のいずれかを検出する操作位置センサ80、ブレーキペ
ダル82の操作を検出するブレーキスイッチ84、車両
のヨーレートを検出するヨーレートセンサ86から、ア
クセルペダル踏込角度θACC を表す信号、エンジン回転
速度NE を表す信号、入力軸回転速度NINを表す信号、
出力軸(カウンタ軸40)の回転速度NOUT を表す信
号、シフトレバー78の操作位置PS を表す信号、ブレ
ーキペダル82の操作を表すブレーキ操作信号SBK、車
両のヨーレートγを表す信号がそれぞれ供給されるよう
になっている。 【0032】上記電子制御装置42のCPU60は、予
めROM64に記憶されたプログラムに従って上記入力
信号を処理し、その処理結果に基づいて、たとえば車両
の加速を重視する加速(スポーツ)指向、燃費を重視す
る燃費(エコノミー)指向、それらの中間である中間
(ノーマル)指向等の運転者の運転指向や、渋滞路を含
む市街地路、郊外路、山間路、高速路等の車両走行中の
道路環境等を、後述の手順に基づいて環境状態として推
定する。また、上記入力信号の処理結果、上記運転指向
の推定結果、上記道路環境の推定結果の少なくとも一つ
に基づいて、たとえば前記自動変速装置14の変速制
御、上記スロットルアクチュエータ90を制御する電子
スロットル弁制御、図示しないパワーステアリング装置
による操舵力を制御する操舵制御、図示しないショック
アブソーバの減衰力を制御するサスペンション制御等を
実行する。 【0033】したがって、本実施例においては、上記電
子制御装置42が、後述の道路環境推定手段により推定
される道路環境等に基づいてスロットル弁開度が制御さ
れる電子スロットル弁制御装置、上記道路環境等に基づ
いて変速比が制御される車両用自動変速機の変速制御装
置、上記道路環境等に基づいて車両のパワーステアリン
グの操舵力が制御される操舵制御装置、或いは、上記道
路環境等に基づいて車両懸架装置のショックアブソーバ
の減衰力或いは制振力やばね特性が制御されるサスペン
ション制御装置等からなる車両の制御装置や、運転者の
運転指向を推定する運転指向推定装置、或いは上記道路
環境推定装置等として機能している。 【0034】上記電子制御装置42の変速制御や前記ロ
ックアップクラッチ32の係合制御を行なうロックアッ
プクラッチ制御では、予めROM64に記憶された複数
種類の変速線図すなわち図3の加速(スポーツ)指向の
変速線図、図4の中間(ノーマル)指向の変速線図、図
5の燃費(エコノミー)指向の変速線図から、推定され
た運転指向や道路環境に対応する変速線図が選択され、
その選択された変速線図から車速センサ76により検出
された実際の車速Vおよびスロットル弁開度TAに基づ
いて所定のギヤ段へのシフト判定或いはロックアップオ
ンオフ判定が行われる。たとえば、図4の通常の変速線
図において、実際の車速Vおよびスロットル弁開度TA
を示す点がアップシフト線或いはダウンシフト線と交差
するとアップシフト判定或いはダウンシフト判定が行わ
れる。そして、そのシフト判定が行われたギヤ段を成立
させるように、図1に示す第1電磁弁46および第2電
磁弁48が駆動され、或いはロックアップクラッチ32
の係合制御のために第3電磁弁50およびリニアソレノ
イド弁54が駆動されることによって、自動変速機14
のギヤ段を切換制御する。 【0035】上記図3、図4および図5において、実線
はシフトアップ線を示し、破線はシフトダウン線を示
し、1点鎖線はロックアップクラッチの係合線を示し、
2点鎖線はロックアップクラッチの開放線を示してい
る。図3の加速指向の変速線図では、図4と比較して、
高車速(高エンジン回転速度)で変速が実行されるよう
に変速線が設定されている。また、図5の燃費指向の変
速線図では、図4と比較して、低エンジン回転速度で変
速が実行されるように変速線が設定されている。なお、
これら三つの変速線図のうちの一つが、上記推定された
運転指向や道路環境に対応して選択される方法について
は後述する。 【0036】前記電子制御装置42の電子スロットル弁
制御では、予めROM64に記憶された図6に一例を示
す予め記憶された複数の関係すなわち複数本のスロット
ル開度線から、推定された運転指向や道路環境に対応す
るスロットル開度線が選択され、その選択されたスロッ
トル開度線から前記アクセルペダル踏込角度センサ70
により取得される実際のアクセルペダル踏込角度θACC
に基づいて所定のスロットル弁開度TAが決定され、ス
ロットルアクチュエータ90に対応する信号が出力され
る。たとえば、道路環境が車両が渋滞路を含む市街地路
を走行中であると推定された場合等においては、図6の
市街地路用スロットル開度線が選択され、道路環境の推
定結果が車両が渋滞路を含む市街地路を走行中でない場
合等においては、通常スロットル開度線が選択される。
また、たとえば運転指向の推定結果が燃費指向である場
合においても、図6の市街地路用スロットル開度線が選
択されるようにしてもよい。 【0037】前記電子制御装置42の操舵制御では、予
めROM64に記憶された図示しない操舵力パターンか
ら、推定された道路環境に対応する操舵力が決定され、
その決定された操舵力に相当する作動液圧に対応する信
号が前記作動液供給ポンプ92に出力される。たとえ
ば、道路環境が車両が高速路を走行中であると推定され
た場合は、それ以外の場合に比較して操舵力すなわち運
転者のステアリング操作力の補助となる力が抑制されて
ステアリングが重くされる。 【0038】前記電子制御装置42のサスペンション制
御では、予めROM64に記憶された図示しない減衰力
パターンから、推定された道路環境に対応する減衰力が
決定され、その決定された減衰力に対応する信号が前記
減衰力制御弁94に出力される。たとえば、道路環境の
推定結果が車両が山間路を走行中である場合は、その他
の場合に比較して車輪懸架装置のスプリングを制振する
ショックアブソーバの減衰力が高められる。 【0039】前記電子制御装置42は、図7にその機能
ブロック線図を示すように、前記スロットル弁開度T
A、エンジン回転速度NE 等を読み込む信号読込手段1
00と、その信号読込手段100により読み込まれた信
号を処理する前処理手段102と、その前処理手段10
2により処理された結果に基づいて、たとえば車両の加
速を重視する加速指向、燃費を重視する燃費指向、それ
らの中間である中間指向等の運転者の運転指向を推定す
る運転指向推定手段104と、たとえば渋滞路を含む市
街地路、郊外路、山間路、高速路等の車両走行中の道路
環境を環境状態として推定する道路環境推定手段105
と、それら運転指向推定手段104および道路環境推定
手段105の推定結果に基づいて車両に関する各種の制
御を行なう車両制御手段106とを含んでいる。本実施
例では、上記道路環境推定手段105が環境状態推定手
段として機能している。 【0040】上記前処理手段102は、運転者が行なう
各種の操作たとえばアクセルペダル58やブレーキペダ
ル82の踏み込み等の運転操作に関連する運転操作量等
の情報を算出する運転操作毎の入力算出手段110と、
車両の走行状態等に関連する車両状態量等の情報を所定
時間毎に算出する所定時間毎の入力算出手段112とを
備えている。また、上記車両制御手段106は、前記エ
ンジン10の出力の制御を行なう電子スロットル弁制御
手段118、前記自動変速機14の制御を行なう変速制
御手段120、前記作動液供給ポンプ92の吐出圧を制
御する操舵制御手段122、前記減衰力制御弁94を切
換制御するサスペンション制御手段124を含んでい
る。 【0041】前記信号読込手段100は、図8に詳しく
示すように、(1) 上記アクセルペダル踏込角度センサ7
0からのアクセルペダル踏込角度θACC を示す信号と図
6に示した複数のスロットル開度線のうち現在選択され
ているスロットル開度線とから現在のスロットル弁開度
TA、(2) 前記車速センサ76から前記自動変速装置1
4の出力軸の回転速度NOUT すなわち車速Vを示す信
号、(3) 前記エンジン回転速度センサ72からエンジン
回転速度NE を示す信号、(4) 前記入力軸回転速度セン
サ74から入力軸回転速度NINを示す信号、(5) 前記操
作位置センサ80からシフトレバーの操作位置PS を示
す信号、(6) 前記ヨーレートセンサ86からヨーレート
γを示す信号、(7) 前記ブレーキスイッチ84からブレ
ーキ操作信号SBKを示す信号、をそれぞれ比較的短い所
定の時間間隔たとえば1ミリ秒毎に読み込む。 【0042】前記運転操作毎の入力算出手段110は、
図9に詳しく示すように、車両発進時の出力操作量すな
わち車両発進時のスロットル弁開度TASTを算出する発
進時出力操作量算出手段110a、加速操作時における
出力操作量の最大変化率すなわちスロットル弁開度最大
変化率ACCMAX を算出する加速操作時出力操作量最大変
化率算出手段110b、車両の制動操作時における車両
減速度の最大値すなわち最大減速度GNMAXを算出する制
動時最大減速度算出手段110c、車両の惰行走行時間
COAST を算出する惰行走行時間算出手段110d、車
速一定走行時間TVCONSTを算出する車速一定走行時間算
出手段110e、運転開始以後における最大車速VMAX
を算出する最大車速算出手段110f等を備えている。 【0043】前記所定時間毎の入力算出手段112は、
図10に詳しく示すように、前記スロットル弁開度TA
の統計値TA* を算出するスロットル弁開度統計値算出
手段112a、前記車速Vの統計値V* を算出する車速
統計値算出手段112b、前記ヨーレートγの統計値γ
* を算出するヨーレート統計値算出手段112c、水平
方向と車両の前後方向とのなす角度である車両勾配θM
の統計値θM * を算出する車両勾配統計値算出手段11
2d、前記エンジン10の回転数NE の統計値NE *
算出するエンジン回転数統計値算出手段112e、車両
の前後方向の加速度Gの統計値G* を算出する前後加速
度統計値算出手段112f等をそれぞれ備えて、それら
スロットル弁開度統計値TA* 、車速統計値V* 、ヨー
レート統計値γ* 、車両勾配統計値θM * 、エンジン回
転数統計値NE * 、前後加速度統計値G* 等を、所定時
間たとえば1秒毎に算出する。上記統計値としては、最
大値、最小値、平均値、分散等を算出する。上記車両の
前後加速度Gの値は、上記車速Vの時間変化率として、
また、上記車両勾配θM の値は、上記スロットル弁開度
TAの変化率と車両の前後加速度Gとに基づいて算出さ
れる。このように、上記所定時間毎の入力算出手段11
2は、統計値算出手段として機能する。 【0044】本実施例では、上記運転指向推定手段10
4の運転指向の推定は、たとえば図11に示す運転指向
推定用ニューラルネットワークNNDRV により実行され
る。また、上記道路環境推定手段105の道路環境の推
定は、たとえば図12に示す道路環境推定用ニューラル
ネットワークNNRDにより実行される。 【0045】ニューラルネットワークは、コンピュータ
プログラムによるソフトウエアにより構成しても、電子
的素子の結合から成るハードウエアによって構成しても
よいが、本実施例の上記道路環境推定用ニューラルネッ
トワークNNRDおよび上記道路環境推定用ニューラルネ
ットワークNNRDは、前記電子制御装置42のROM6
4に記憶され、CPU60によりRAM62等を使用し
つつ実行されるプログラムとして構成されている。 【0046】上記運転指向推定用ニューラルネットワー
クNNDRV および上記道路環境推定用ニューラルネット
ワークNNRDは、r個の神経細胞要素(ニューロン)X
i (X1 〜Xr )から構成された入力層と、s個の神経
細胞要素Yj (Y1 〜Ys )から構成された中間層と、
t個の神経細胞要素Zk (Z1 〜Zt )から構成された
出力層とから構成された3層構造の階層型である。そし
て、上記入力層から出力層へ向かって神経細胞要素の状
態を伝達するために、結合係数(重み)WXijを有して
上記r個の神経細胞要素Xi とs個の神経細胞要素Yj
とをそれぞれ結合する伝達要素DXij と、結合係数(重
み)WYjk を有してs個の神経細胞要素Yj とt個の神
経細胞要素Zk とをそれぞれ結合する伝達要素DYjk
設けられている。 【0047】上記運転指向推定用ニューラルネットワー
クNNDRV および上記道路環境推定用ニューラルネット
ワークNNRDは、その結合係数(重み)WXij 、結合係
数(重み)WYjk を所謂誤差逆伝搬学習アルゴリズムに
よって学習させられたパターン連想型のシステムであ
る。その学習は、走行実験によって予め完了させられて
いるので、車両組み立て時では、上記結合係数(重み)
Xij 、結合係数(重み)WYjk は固定値が与えられて
いる。 【0048】図11に示したように、上記運転指向推定
用ニューラルネットワークNNDRVの出力層の数tは1
であり、運転指向の推定結果は、その一つの神経細胞要
素Z 1 の出力値NNDRVOUTに基づいて決定される。たと
えば、出力値NNDRVOUTが「0」に近いほど強い燃費指
向を示し、「0.5」に近いほど強い中間指向を示し、
「1」に近いほど強い加速指向を示すようにされる。本
実施例においては、出力値NNDRVOUTが「0.33以
下」である場合は燃費指向、「0.33より大且つ0.
66以下」である場合は中間指向、「0.66より大」
である場合は加速指向と推定されるが、たとえば出力値
NNDRVOUTが「0.25以下」である場合は燃費指向、
「0.25より大0.75以下」である場合は中間指
向、「0.75より大」である場合は加速指向と推定さ
れるようにしてもよい。 【0049】このような運転指向の推定結果を得るため
に、上記運転指向推定用ニューラルネットワークNN
DRV の結合係数WXij および結合係数WYjk の値を、前
記誤差逆伝搬学習アルゴリズムに基づく学習によって決
定する必要がある。たとえば、複数の運転者についてそ
れぞれ燃費(エコノミー)指向、加速(スポーツ)指
向、それらの中間的な中間(ノーマル)指向の運転が実
施され、そのときの運転指向を教師信号とし、教師信号
と各種センサ信号を前処理したn個の指標(入力信号)
とが上記運転指向推定用ニューラルネットワークNN
DRV に入力させられる。そして、その際の上記教師信号
の値は、燃費指向の場合に「0」、中間指向の場合に
「0.5」、加速指向の場合に「1」とされるのであ
る。なお、上記入力信号は−1から+1までの間あるい
は0から1までの間の値に正規化して用いられる。 【0050】図12に示したように、前記道路環境推定
用ニューラルネットワークNNRDの出力層の数tは4で
あり、道路環境の推定結果は、それら四つの神経細胞要
素Z 1 ないしZ4 の出力値NNRD1 ないしNNRD4 に基
づいて決定される。それら四つの出力値NNRD1 ないし
NNRD4 は、それぞれ別の道路環境の推定結果に対応し
ている。本実施例においては、出力値NNRD1 が「1」
と見なされ且つその他の出力値が「0」と見なされる場
合に車両が渋滞路を含む市街地路を走行中であると推定
し、出力値NNRD2 が「1」と見なされ且つその他の出
力値が「0」と見なされる場合に車両が郊外路を走行中
であると推定し、出力値NNRD3 が「1」と見なされ且
つその他の出力値が「0」と見なされる場合に車両が山
間路を走行中であると推定し、出力値NNRD4 が「1」
と見なされ且つその他の出力値が「0」と見なされる場
合に車両が高速路(ハイウェイ)を走行中であると推定
するように、上記道路環境推定用ニューラルネットワー
クNNRDの結合係数WXijおよび結合係数WYjk が決定
される。 【0051】たとえば、各道路環境についてそれぞれ複
数の様々な運転が実施され、そのときの運転指向を教師
信号とし、教師信号と各種センサ信号を前処理したn個
の指標(入力信号)とが上記道路環境推定用ニューラル
ネットワークNNRDに入力させられ、その際の上記教師
信号の値は、渋滞路を含む市街地路の場合に「1、0、
0、0」、郊外路の場合に「0、1、0、0」、山間路
の場合に「0、0、1、0」、高速路の場合に「0、
0、0、1」とされるのである。 【0052】なお、上記四つの出力値NNRD1 ないしN
RD4 の値は、それぞれ「0.7以上」である場合に
「1」と見なされ、「0.3以下」である場合に「0」
と見なされる。また、「0.3より大且つ0.7未満」
である場合は不定と見なされる。したがって、たとえ
ば、出力値NNRD1 ないしNNRD4 の組が、「0.2、
0.75、0.15、0.2」である場合は「0、1、
0、0」と見なされて郊外路と推定されるが、「0.
2、0.65、0.15、0.2」である場合は出力値
NNRD2 の値が不定であるので、道路環境の推定結果も
不定とされる。 【0053】以下、図7に示した前記前処理手段102
の運転操作毎の入力算出手段110および所定時間毎の
入力算出手段112、前記運転指向推定手段104およ
び道路環境推定手段105、前記車両制御手段106の
電子スロットル弁制御手段118、変速制御手段12
0、操舵制御手段122およびサスペンション制御手段
124の各手段に対応する前記電子制御装置42の処理
内容について説明する。 【0054】まず、上記前処理手段102の運転操作毎
の入力算出手段110に対応する信号処理の作動例につ
いて説明する。図13ないし図18は、上記電子制御装
置42のROM64に予め記憶され、CPU60によっ
てRAM62等を使用しつつ図示しない車両のイグニッ
ションスイッチがONにされた直後からそれぞれ独立に
実行されるルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。 【0055】図13は、前記発進時出力操作量算出手段
110aに対応するものであって、車両発進時のスロッ
トル弁開度TASTを算出する発進時出力操作量算出処理
ルーチンを示している。図14は、前記加速操作時出力
操作量最大変化率算出手段110bに対応するものであ
って、加速操作時すなわちアクセルペダル58操作時の
スロットル弁開度最大変化率ACCMAX を算出する加速操
作時出力操作量最大変化率算出処理ルーチンを示してい
る。図15は、前記制動時最大減速度算出手段110c
に対応するものであって、前記制動操作時の最大減速度
NMAXを算出する制動時最大減速度算出処理ルーチンを
示している。図16は、前記惰行走行時間算出手段11
0dに対応するものであって、惰行走行時間TCOAST
算出する惰行走行時間算出処理ルーチンを示している。
図17は、前記車速一定走行時間算出手段110eに対
応するものであって、車速一定走行時間TVCONSTを算出
する車速一定走行時間算出処理ルーチンを示している。
図18は、前記最大車速算出手段110fに対応するも
のであって、たとえば図示しないイグニッションスイッ
チがONとされてからの車速Vの最大値である最大車速
MAX を算出する最大車速算出処理ルーチンを示してい
る。 【0056】図13に示す上記発進時出力操作量算出処
理ルーチンにおいては、ステップSA1(以下、ステッ
プを省略する)では、停車フラグXV0の値が停車中でな
いことを示す「0」に初期設定され、停車時間の長さを
示す停車時間タイマTC1の値が「0」に初期設定され
る。続くSA2では、車両が停止中であるか否かすなわ
ち車側Vが「0」であるか否かが判断される。前記図示
しないイグニッションスイッチがONにされた当初は車
両が停止中であり、このSA2の判断が肯定されるの
で、SA3において停車時間タイマTV0の内容に「1」
が加算された後、SA4において停車時間タイマTV0
内容が予め設定された判断基準値TV01 以上となったか
否かが判断される。この判断基準値TV01 は、車両が確
実に停車したか否かを判断するためのものであり、0.
2秒程度の値に設定される。上記SA4の判断が否定さ
れた場合はSA2からの処理が繰り返し実行されるが、
肯定された場合にはSA5において停車フラグXV0の内
容が車両が停車中であることを示す「1」に設定された
後、SA2からの処理が繰り返し実行される。なお、上
記図示しないイグニッションスイッチがONにされた直
後は、車両は0.2秒以上停車していることが普通であ
り、当初はSA4の判断は肯定されてSA5の処理が実
行される。 【0057】車両が走行した場合には、上記SA2の判
断が否定されるので、SA6において停車フラグXV0
内容が車両が確実に停止したことを示す「1」であるか
否かが判断される。発進当初はその停車フラグXV0の内
容が「1」であることから上記SA6の判断が肯定され
るので、SA7において車速Vが予め設定された設定車
速V1 以上となったか否かが判断される。この設定車速
1 は車両発進時を判定するためのものであり、たとえ
ば10km/h程度の値に設定される。発進時の車速Vが設
定車速V1 に到達しないうちはSA7の判断が否定され
てSA2からの処理が繰り返し実行されるが、発進時の
車速Vが設定車速V1 以上となると、SA7の判断が肯
定され、続くSA8においてそのときのスロットル弁開
度TAが発進時のスロットル弁開度TASTとして記憶さ
れた後、SA1からの処理が繰り返し実行される。 【0058】図14に示す前記加速操作時出力操作量最
大変化率算出処理ルーチンにおいては、SB1では、加
速操作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX の内容
が「0」に初期設定される。続くSB2では、スロット
ル弁開度変化率(たとえば数十ミリ秒程度の所定周期で
読みこまれるスロットル弁開度TAの差分)A
CCTA(%)が予め設定された判断基準値KACTAMXを越え
たか否かが判断される。この判断基準値KACTAMXは、緩
やかなアクセルペダル58の踏み込みを除去するために
予め設定された値であり、たとえば6%程度に設定され
る。上記SB2の判断が否定された場合はSB2の判断
が繰り返し実行される。しかし、上記SB2の判断が肯
定された場合には、SB3において、上記SB2の判断
が肯定された後のスロットル弁開度変化率ACCTAの極大
値であるスロットル弁開度変化率極大値A CCTApeakが取
得される。 【0059】続くSB4においては、上記SB3でスロ
ットル弁開度変化率極大値ACCTApe akが取得されてから
所定時間TWAITたとえば0.3秒程度一時停止された
後、SB5において、スロットル弁開度変化率ACCTA
加速操作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX とし
て更新される。その後に、SB2からの処理が繰り返し
実行される。なお、上記SB3およびSB4の処理は、
たとえば運転者の意思に反してアクセルペダル58が操
作された場合等において急激に変動したスロットル弁開
度変化率ACCTAの最大値として加速操作時のスロットル
弁開度最大変化率ACCMAX として取得しないようにする
ために、上記スロットル弁開度変化率極大値ACCTApeak
が取得されてから所定時間TWAIT(たとえば0.3秒)
だけ経過した後のスロットル弁開度変化率ACCTAを加速
操作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX として取
得するための処理である。 【0060】図15に示す前記制動時最大減速度算出処
理ルーチンにおいては、SC1では、制動時における車
両の前後加速度Gの負の最大絶対値である前記制動操作
時の最大減速度GNMAXの内容が「0」に初期設定され
る。続くSC2では、ブレーキ操作信号SBKがブレーキ
ペダル58が操作されていることを表す「1」であるか
否かが判断される。このSC2の判断が肯定された場合
には、SC3において車両の前後加速度Gが予め設定さ
れた設定値Gthよりも小さいか否かが判断される。上記
設定値Gthは、その絶対値が制動操作時の最大減速度G
NMAXとして算出される上限値であって、たとえば−0.
25G程度の値が用いられる。このSC3の判断が肯定
された場合は、SC4において車両の前後加速度Gの絶
対値が制動操作時の最大減速度GNMAXよりも大きいか否
かが判断される。このSC4の判断が肯定された場合
は、SC5において今回のサイクルで算出された車両の
前後加速度Gの絶対値が制動操作時の最大減速度GNMAX
として更新された後、SC2からの処理が繰り返し実行
される。 【0061】図16に示す前記惰行走行時間算出処理ル
ーチンにおいては、SD1では、惰行走行時間の長さを
示す惰行走行タイマTCOの値が「0」に初期設定され、
惰行走行時間の計測時刻TCO1 の値が予め設定された計
測時刻TCO1init に初期設定される。この計測時刻T
CO1init は、たとえば1秒に相当する値とされている。
続くSD2では、たとえばスロットル弁開度TAが零で
あるときに車速Vが正の値を示すことなどに基づいて惰
行走行中であるか否かが判断される。このSD2の判断
が否定された場合は、加速走行あるいは減速走行など惰
行走行でない状態であるので、SD1からの処理か繰り
返し実行される。 【0062】上記SD2の判断が肯定された場合は、S
D3において、上記惰行走行タイマTCOの内容に「1」
が加算された後、SD4において惰行走行タイマTCO
内容が上記計測時刻TCO1 以上となったか否かが判断さ
れる。このSD4の判断が否定された場合は、SD2か
らの処理が繰り返し実行されるが、肯定された場合に
は、SD5において今回のサイクルの惰行時間タイマT
COの値が惰行走行時間T COAST として更新され、上記計
測時刻TCO1 の内容に上記計測時刻TCO1init の内容が
加えられた後、SD2からの処理が繰り返し実行され
る。つまり、惰行走行が継続している期間中において、
SD4の判断が1秒毎に肯定されるので、惰行走行時間
COAST は1秒毎に更新されることになる。 【0063】図17に示す前記車速一定走行時間算出処
理ルーチンにおいては、SE1では、車速一定走行時間
の長さを示す車速一定走行タイマTA0の値が「0」に初
期設定され、車速一定走行時間の計測時刻TA01 の値が
予め設定された計測時刻TA0 1init に初期設定される。
この計測時刻TA01init は、たとえば1秒に相当する値
とされている。続くSD2では、たとえばスロットル弁
開度TAが35%以下であり且つ車速Vの変化率すなわ
ち前後加速度Gが0.1G以下であるか否か等に基づい
て車速一定走行中であるか否かが判断される。このSE
2の判断が否定された場合は、加速走行や減速走行等、
車速一定走行でない状態であるので、SE1からの処理
か繰り返し実行される。 【0064】上記SE2の判断が肯定された場合は、S
E3において、上記車速一定走行タイマTA0の内容に
「1」が加算された後、SE4において車速一定走行タ
イマT A0の内容が上記計測時刻TA01 以上となったか否
かが判断される。このSE4の判断が否定された場合
は、SE2からの処理が繰り返し実行されるが、肯定さ
れた場合には、SE5において今回のサイクルの惰行時
間タイマTA0の値が車速一定走行時間TVCONSTとして更
新され、上記計測時刻TA01 の内容に上記計測時刻T
A01init の内容が加えられた後、SE2からの処理が繰
り返し実行される。つまり、車速一定走行が継続してい
る期間中において、SE4の判断が1秒毎に肯定される
ので、車速一定走行時間TVCONSTは1秒毎に更新される
ことになる。 【0065】図18に示す前記最大車速算出処理ルーチ
ンにおいては、SF1では、最大車速VMAX の値が
「0」に初期設定された後、SF2において車速Vが最
大車速V MAX よりも大きいか否かが判断される。このS
F2の判断が否定された場合には、SF2からの処理が
繰り返し実行されるが、肯定された場合には、SF3に
おいて今回のサイクルの車速Vの値が最大車速VMAX
して更新された後、SF2からの処理が繰り返し実行さ
れる。 【0066】以上に説明したように、運転指向と密接に
関連した車両発進時のスロットル弁開度TAST、加速操
作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX 、制動操作
時の最大減速度GNMAX、惰行走行時間TCOAST 、車速一
定走行時間TVCONSTおよび最大車速VMAX が、前記運転
指向推定用ニューラルネットワークNNDRV へ入力され
るために、運転指向の推定結果の信頼性が一層高められ
る。 【0067】次に、前記前処理手段102の所定時間毎
の入力算出手段112に対応する信号処理の作動例につ
いて説明する。図19および図20は、上記電子制御装
置42のROM64に予め記憶され、CPU60によっ
てRAM62等を使用しつつ図示しない車両のイグニッ
ションスイッチがONにされた直後からそれぞれ独立に
実行されるルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。 【0068】図19および図20は、前記スロットル弁
開度統計値TA* 、前記車速統計値V* 、前記ヨーレー
ト統計値γ* 、前記車両勾配統計値θM * 、前記エンジ
ン回転数統計値NE * および前記車両の前後加速度統計
値G* を算出する、所定時間毎の入力算出処理1ルーチ
ンおよび所定時間毎の入力算出処理2ルーチンの内容を
示すフローチャートである。なお、上記各統計値を算出
する元となる前記スロットル弁開度TA、前記車速V等
のそれぞれに対する処理内容は同じであるため、図19
および図20のフローチャートは、それらスロットル弁
開度TA、車速V等を代表する代表変数αに対する処理
として示されている。実際には、この代表変数αの代わ
りに、上記スロットル弁開度TA、上記車速V等の値が
それぞれ置き換えられて図19および図20の処理が実
行されることになる。 【0069】図19に示す上記所定時間毎の入力算出処
理1ルーチンにおいては、SG1では、経過時間を示す
経過時間タイマTSAの値が「0」に初期設定された後、
SG2でその経過時間タイマTSAの内容に「1」が加算
される。続くSG3では、上記経過時間タイマTSAの値
が予め設定された所定時間TSA1 以上であるか否かが判
断される。この所定時間TSA1 は、たとえば10ミリ秒
に相当する値とされる。このSG3の判断が否定された
場合は、未だ所定時間に達していないのでSG2からの
処理か繰り返し実行される。所定の時間が経過して、上
記SG3の判断が肯定された場は、SG4において、代
表変数αが暫定代表変数最大値αMAXtmpより大きいか否
かが判断される。このSG4の判断が肯定された場合
は、SG5において暫定代表変数最大値αMAXtmpの内容
が、今回のサイクルの代表変数αとして更新される。 【0070】上記SG4の判断が否定された場合または
上記SG5の処理が完了した後、SG6において代表変
数αが暫定代表変数最小値αMINtmpより小さいか否かが
判断される。このSG6の判断が肯定された場合は、S
G7において暫定代表変数最小値αMINtmpの内容が、今
回のサイクルの代表変数αとして更新される。上記SG
6の判断が否定された場合または上記SG7の処理が完
了した後、SG8において、暫定代表変数合計値α
SUMtmp に今回のサイクルの代表変数αの値が加算さ
れ、続くSG9において、暫定代表変数2乗合計値α2
SUMtmpに今回のサイクルの代表変数αの2乗が加算され
る。そして、SG9において、本ルーチンの繰り返し実
行回数を示す指標idxがインクリメントされた後、S
G1からの処理が繰り返し実行される。つまり、本所定
時間毎の入力算出処理1ルーチンは、所定時間TSA1
設定された時間間隔(たとえば10ミリ秒)毎に、上記
暫定代表変数最大値αMAXtmp、暫定代表変数最小値α
MINtmp、暫定代表変数合計値αSUMt mp、暫定代表変数2
乗合計値α2 SUMtmpおよび指標idxの内容をそれぞれ
更新する処理である。 【0071】図20に示す前記所定時間毎の入力算出処
理2ルーチンにおいては、SH1では、経過時間を示す
経過時間タイマTSBの値が「0」に初期設定された後、
SH2でその経過時間タイマTSBの内容に「1」が加算
される。続くSH3では、上記経過時間タイマTSBの値
が予め設定された所定時間TSB1 以上であるか否かが判
断される。この所定時間TSB1 は、たとえば1秒に相当
する値とされる。このSH3の判断が否定された場合
は、未だ所定時間に達していないのでSH2からの処理
か繰り返し実行される。 【0072】上記SH3の判断が肯定された場合は、続
くSH4において、代表変数最大値αMAX および代表変
数最小値αMIN の内容に、図19に示した所定時間毎の
入力算出処理1ルーチンにおいて算出された暫定代表変
数最大値αMAXtmpおよび暫定代表変数最小値αMINtmp
値が設定される。次に、SH5において、代表変数平均
値αMEANの内容に、上記所定時間毎の入力算出処理1ル
ーチンにおいて算出された暫定代表変数合計値αSUMtmp
の値を前記指標idxの値で除した値が設定される。続
くSH6においては、代表変数分散値αVAR の内容に、
上記所定時間毎の入力算出処理1ルーチンにおいて算出
された暫定代表変数2乗合計値α2 SUMt mpの値とよく知
られた次式とに基づいて算出された値が設定される。 αVAR ←α2 SUMtmp/idx−(αMEAN2 ・・・(1) 【0073】続いて、SH7において、上記暫定代表変
数最大値αMAXtmpおよび暫定代表変数最小値αMINtmp
内容が、それぞれ対応する代表変数αの取り得る最大値
αma x および最小値αmin として初期設定されるととも
に、上記暫定代表変数合計値αSUMtmp、暫定代表変数2
乗合計値α2 SUMtmpおよび指標idxの内容に初期値
「0」が設定された後、SH1からの処理が繰り返し実
行される。つまり、本所定時間毎の入力算出処理2ルー
チンは、所定時間TSB1 に設定された時間間隔(たとえ
ば1秒)毎に、上記代表変数最大値αMAX 、代表変数最
小値αMIN 、代表変数平均値αMEANおよび代表変数分散
値αVAR の内容をそれぞれ更新する処理である。 【0074】次に、前記運転指向推定手段104および
前記道路環境推定手段105に対応する信号処理の作動
例について説明する。図21および図22は、上記電子
制御装置42のROM64に予め記憶され、CPU60
によってRAM62等を使用しつつ図示しない車両のイ
グニッションスイッチがONにされた直後からそれぞれ
独立に実行されるルーチンの一例を示すフローチャート
である。 【0075】図21は、前記運転指向推定手段104に
対応するものであって、前記運転指向推定用ニューラル
ネットワークNNDRV を用いた運転指向の推定を開始さ
せる運転指向推定開始処理ルーチンを示している。図2
2は、前記道路環境推定手段105に対応するものであ
って、前記道路環境推定用ニューラルネットワークNN
RDを用いた道路環境の推定を開始させる道路環境推定開
始処理ルーチンを示している。 【0076】図21に示す上記運転指向推定開始処理ル
ーチンにおいて、SI1では、経過時間を示す経過時間
タイマTDRV の値が「0」に初期設定された後、SI2
において、経過時間タイマTDRV の内容に「1」が加算
された後、SI3において、上記経過時間タイマTDRV
の値が予め設定された所定時間TDRV1以上であるか否か
が判断される。この所定時間TDRV1は、たとえば3秒に
相当する値とされる。このSI3の判断が否定された場
合は、未だ所定時間に達していないのでSI2からの処
理か繰り返し実行されるが、肯定された場合は、SI4
において図13ないし図18に示した運転操作毎の入力
算出手段110の各処理に基づいて算出された入力算出
結果が上記運転指向推定用ニューラルネットワークNN
DRV の入力としてフェッチされた後、SI5において運
転指向の推定が開始される。 【0077】続くSI6においては、図14および図1
5にそれぞれ示した、前記加速操作時出力操作量最大変
化率算出処理ルーチンおよび前記制動時最大減速度算出
処理ルーチンを一旦停止させた後に再度起動させる再起
処理が実行される。このSI6の再起処理によって、運
転操作毎の入力である加速操作時のスロットル弁開度最
大変化率ACCMAX と制動操作時の最大減速度GNMAXとの
値が、それぞれ図14のSB1および図15のSC1に
おいて一旦「0」に初期設定されるので、上記SI5に
おいてフェッチされる加速操作時のスロットル弁開度最
大変化率ACCMA X および制動操作時の最大減速度GNMAX
の値が、上記SI3の判断が肯定される毎に区切られる
区間内のスロットル弁開度TAの最大変化率および前後
加速度Gの負の最大値として取得される。なお、上記S
I6の処理内容は、単に上記加速操作時のスロットル弁
開度最大変化率ACCMAX および制動操作時の最大減速度
NMAXの内容に「0」を設定する処理としてもよい。こ
のように、本運転指向推定開始処理ルーチンは、所定時
間TDRV1に設定された値に相当する時間間隔(たとえば
3秒)毎に、運転指向の推定を行わせる処理である。 【0078】図22に示す前記道路環境推定開始処理ル
ーチンにおいて、SJ1では、上記加速操作時のスロッ
トル弁開度最大変化率ACCMAX の暫定値である暫定スロ
ットル弁開度最大変化率ACCMAXtmpと経過時間を示す経
過時間タイマTRDとの値が「0」に初期設定された後、
SJ2において上記加速操作時のスロットル弁開度最大
変化率ACCMAX の値が上記暫定スロットル弁開度最大変
化率ACCMAXtmpより大きいか否かが判断される。このS
J2の判断が肯定された場合は、SJ3において上記暫
定スロットル弁開度最大変化率ACCMAXtmpが上記加速操
作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX として更新
される。上記暫定スロットル弁開度最大変化率A
CCMAXtmpは、前記運転指向推定開始処理ルーチンのSI
6においてたとえば3秒毎に「0」に初期設定される上
記加速操作時のスロットル弁開度最大変化率A
CCMAX の、本道路環境推定開始処理ルーチンの繰り返し
実行時間(たとえば10秒)毎の最大値を記憶させるた
めに導入された変数である。上記SJ2の判断が否定さ
れた場合は、上記SJ3の処理は実行されない。続くS
J4においては、経過時間タイマTRDの内容に「1」が
加算された後、SJ5の処理が実行される。SJ5にお
いて、上記経過時間タイマTRDの値が予め設定された所
定時間TRD1 以上であるか否かが判断される。この所定
時間TRD1 は、たとえば10秒に相当する値とされる。 【0079】上記SJ5の判断が否定された場合は、未
だ所定時間に達していないため、SJ2からの処理か繰
り返し実行されるが、肯定された場合は、SJ6におい
て図15、図19および図20に示した各処理に基づい
て算出された入力算出結果すなわち制動操作時の最大減
速度GNMAX、スロットル弁開度統計値TA* 、車速統計
値V* 、ヨーレート統計値γ* 、車両勾配統計値
θM * 、エンジン回転数統計値NE * および前後加速度
統計値G* の値と、上記暫定スロットル弁開度最大変化
率ACCMAXtmpの値とが、上記道路環境推定用ニューラル
ネットワークNNRDの入力層の神経細胞要素Xi への入
力としてそれぞれフェッチされた後、SJ7において道
路環境の推定が開始される。つまり、本道路環境推定開
始処理ルーチンは、所定時間TRD1 に設定された時間間
隔(たとえば10秒)毎に、道路環境の推定を行わせる
処理である。 【0080】次に、前記車両制御手段106に対応する
信号処理の作動例について説明する。図23ないし図2
6は、上記電子制御装置42のROM64に予め記憶さ
れ、CPU60によってRAM62等を使用しつつ図示
しない車両のイグニッションスイッチがONにされた直
後からそれぞれ独立に実行されるルーチンの一例を示す
フローチャートである。 【0081】図23は、前記電子スロットル弁制御手段
118に対応するものであって、道路環境の推定結果と
アクセルペダル踏込角度θACC とに基づいて前記スロッ
トル弁68のスロットル弁開度TAを制御する電子スロ
ットル弁制御処理ルーチンを示している。図24は、前
記変速制御手段120に対応するものであって、運転指
向および道路環境の推定結果に基づいて前記自動変速機
14の制御内容を変更する変速制御処理ルーチンを示し
ている。図25は、前記操舵制御手段122に対応する
ものであって、道路環境の推定結果に基づいて前記作動
液供給ポンプ92の吐出圧を変更する操舵制御処理ルー
チンを示している。図26は、前記サスペンション制御
手段124に対応するものであって、道路環境の推定結
果に基づいて前記減衰力制御弁94を切換制御するサス
ペンション制御処理ルーチンを示している。 【0082】上記図23に示す電子スロットル弁制御処
理ルーチンにおいて、SK1では、前記道路環境推定手
段105による道路環境の推定結果が、車両が渋滞路を
含む市街地路を走行中であることを示す結果であるか否
かが判断される。このSK1の判断が肯定された場合
は、SK2において、図6に示した二つのスロットル開
度線のうち、同じアクセルペダル踏込角度θACC の値に
対して通常スロットル開度線よりも小さいスロットル弁
開度TAを示す市街地路用スロットル開度線が選択され
る。上記SK1の判断が否定された場合は、SK3にお
いて、図6に示した通常スロットル開度線が選択され
る。 【0083】前記図24に示す変速制御処理ルーチンに
おいて、SL1では、前記運転指向推定手段104によ
る運転指向の推定結果が判断される。SL1の判断結果
が、加速指向であると判断された場合は、SL2におい
て、図3に示した加速指向の変速線図が選択される。S
L1の判断結果が、中間指向であると判断された場合
は、SL3において、図4に示した中間指向の変速線図
が選択される。また、SL1の判断結果が、燃費指向で
あると判断された場合は、SL4において、図5に示し
た燃費指向の変速線図が選択される。図3ないし図5の
変速線図のいずれかが選択された後、SL5において、
道路環境の推定結果が判断される。 【0084】上記SL5の判断結果が、道路環境が車両
が渋滞路を含む市街地路を走行中であることを示す場合
は、SL6において、車両発進時のギヤ段を最低速ギヤ
段より上段のギヤ段に変更するギヤ段変更処理が実行さ
れる。本実施例においては、最低速ギヤ段より上段のギ
ヤ段として第2段が選択されるものとする。つまり、車
両は2速発進させられるようになる。SL5の判断結果
が、道路環境が車両が山間路を走行中であることを示す
場合は、SL7において、山間路以外を走行中であると
推定された場合に比較してシフトアップ線を高車速側に
移動させるシフトアップ線移動処理が実行される。SL
5の判断結果が、道路環境が車両が高速路を走行中であ
ることを示す場合は、SL8において、高速路以外を走
行中であると推定された場合に比較してダウンシフト線
を高車速側に移動させるダウンシフト線移動処理が実行
される。 【0085】上記SL6ないしSL8の各処理は、前回
の本変速制御処理ルーチンのサイクルで他の処理が実行
された場合は、その前回の処理内容を解除した後に実行
される。また、SL5の判断結果が、道路環境が車両が
郊外路を走行中であることを示す場合、または道路環境
の推定結果が不定である場合、SL9において、前回の
本変速制御処理ルーチンのサイクルで上記SL6ないし
SL8のいずれかの処理が実行された場合は、そのいず
れかの処理内容が解除される。上記SL6ないしSL9
のいずれかの処理が実行された後、SL1からの処理が
繰り返し実行される。 【0086】前記図25に示す操舵制御処理ルーチンに
おいて、SM1では、前記道路環境推定手段105によ
る道路環境の推定結果が、車両が高速路を走行中である
ことを示すものであるか否かが判断される。このSM1
の判断が肯定された場合は、SM2において、予め前記
ROM64に記憶された操舵力パターンから、通常状態
における操舵力パターンよりも操舵力が抑制された操舵
力パターンが選択される。上記SM1の判断が否定され
た場合は、SM3において、通常の操舵力パターンが選
択される。 【0087】前記図26に示すサスペンション制御処理
ルーチンにおいて、SN1では、前記道路環境推定手段
105による道路環境の推定結果が、車両が山間路或い
は高速路を走行中であることを示すものであるか否かが
判断される。このSN1の判断が肯定された場合は、S
N2において、予め前記ROM64に記憶された減衰力
パターンから、通常状態における減衰力よりも減衰力が
増加させられた減衰力が選択される。上記SN1の判断
が否定された場合は、SN3において、通常の操舵力パ
ターンが選択される。 【0088】次に、上記のように構成された道路環境推
定手段105による道路環境の推定結果の一例を具体的
に説明する。 【0089】まず、前記道路環境推定手段105の道路
環境推定用ニューラルネットワークNNRDへ入力される
もののうち、前記加速操作時のスロットル弁開度最大変
化率ACCMAX が道路環境の推定に効果的に寄与する場合
について説明する。 【0090】図27は、山間路を加速指向で走行した場
合の走行データの一部を示すグラフである。図28は、
図27に示した走行データに基づいて、従来より行われ
ている所定時間毎の入力値のみを入力として構成したニ
ューラルネットワーク道路環境推定系による道路環境の
推定結果(たとえば10秒毎の時間応答)であって、そ
れぞれ渋滞路を含む市街地路、郊外路、山間路、高速路
に対応する前記四つの神経細胞要素Z1 ないしZ4 の出
力値NNRD1 ないしNNRD4 を○で示したグラフであ
る。上記ニューラルネットワーク道路環境推定系は、図
12に示した本実施例の道路環境推定手段105の入力
のうち、加速操作時のスロットル弁開度最大変化率A
CCMAX と制動操作時の最大減速度GNMANとを省略したも
のに相当する。図29は、図27に示した走行データに
基づいて、図12に示した本実施例の道路環境推定手段
105の道路環境推定用ニューラルネットワークNNRD
による推定結果を示すグラフである。なお、図27ない
し図29において経過時間を示す横軸は、図22に示し
た前記道路環境推定開始処理ルーチンによって10秒毎
に開始させられる道路環境推定処理の推定結果と、上記
従来のニューラルネットワーク道路環境推定系による推
定結果とが、10秒の倍数の時間で得られるように原点
が調整されている。 【0091】図28および図29を比較すると、図28
の上記従来のニューラルネットワーク道路環境推定系に
よる40秒時点における推定結果が不定となり、正しい
推定結果が得られていないのに対して、図29の本実施
例の上記道路環境推定用ニューラルネットワークNNRD
による推定結果では、正しく山間路を示す推定結果が得
られている。図27の走行データのスロットル弁開度変
化率ACCTAに着目すると、30秒時点より少し手前およ
び40秒時点過ぎにおいてスロットル弁開度変化率A
CCTAが大きく増加しており、アクセルペダル58が大き
く踏み込まれていることがわかる。図14に示した加速
操作時出力操作量最大変化率算出処理ルーチンは、30
秒時点より少し手前および40秒時点過ぎの大きく増加
したスロットル弁開度変化率ACCTAの値を、それぞれ3
0秒時点から40秒時点までの区間および40秒時点か
ら50秒時点までの区間の加速操作時のスロットル弁開
度最大変化率ACCMAX として算出する。30秒時点より
少し手前の大きく増加しているスロットル弁開度変化率
CCTAの値が20秒時点から30秒時点までの区間の加
速操作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX として
算出されていないのは、図14のSB4における所定時
間TWAITだけ一時停止する処理等のために加速操作時の
スロットル弁開度最大変化率ACCMAX の算出が若干遅れ
るためである。 【0092】上記30秒時点より少し手前の大きく増加
しているスロットル弁開度変化率A CCTAの値として算出
された加速操作時のスロットル弁開度最大変化率A
CCMAX は、40秒時点における道路環境の推定に用いら
れることになる。その結果、図29に示した本実施例の
道路環境推定手段105の道路環境推定用ニューラルネ
ットワークNNRDによる道路環境の推定結果が、40秒
時点においても正しい推定結果になっていると考えられ
る。つまり、加速操作時のスロットル弁開度最大変化率
CCMAX を道路環境推定用ニューラルネットワークNN
RDの入力として使用したことが、運転者の運転指向のば
らつきすなわちこの場合においてはアクセルペダル58
の急操作に影響されることなく、正しい推定結果を得る
ために寄与しているのである。なお、30秒時点から4
0秒時点までの区間における前後加速度Gの値は、ブレ
ーキペダル68の操作が行われていないために大きな減
少を示していないので、制動操作時の最大減速度GNMAN
は、40秒時点における道路環境の推定には寄与してい
ない。つまり、制動操作時の最大減速度GNMANを入力と
して使用しなくとも正しい推定結果が得られることにな
る。 【0093】次に、前記道路環境推定手段105の道路
環境推定用ニューラルネットワークNNRDへ入力される
もののうち、上記制動操作時の最大減速度GNMANが道路
環境の推定に効果的に寄与する場合について説明する。 【0094】図30は、郊外路を燃費指向で走行した場
合の走行データの一部を示すグラフである。図31は、
図30に示した走行データに基づいて、前記従来のニュ
ーラルネットワーク道路環境推定系による道路環境の推
定結果(10秒毎の時間応答)であって、それぞれ渋滞
路を含む市街地路、郊外路、山間路、高速路に対応する
前記四つの神経細胞要素Z1 ないしZ4 の出力値NN
RD1 ないしNNRD4 を○で示したグラフである。図32
は、図30に示した走行データに基づいて、図12に示
した本実施例の道路環境推定手段105の道路環境推定
用ニューラルネットワークNNRDによって実行された推
定結果を示すグラフである。 【0095】図31および図32を比較すると、図31
の上記従来のニューラルネットワーク道路環境推定系に
よる10秒時点における推定結果が不定となり、正しい
推定結果が得られていないのに対して、図32の本実施
例の上記道路環境推定用ニューラルネットワークNNRD
による推定結果では、正しく郊外路を示す結果が得られ
ている。図30の走行データの前後加速度Gに着目する
と、2.5秒時点付近においてブレーキ操作信号SBK
ONにされ且つ前後加速度Gが減少を開始しており、ブ
レーキペダル82が踏み込まれたことがわかる。その
後、前後加速度Gの値は減少を続け、前記設定値G
th(たとえば、−0.25)よりも小さくなり、7秒時
点付近において極小値となっている。図15に示した制
動時最大減速度算出処理ルーチンは、上記7秒時点付近
の前後加速度Gを0秒時点から10秒時点までの区間に
おける制動操作時の最大減速度GNMANとして算出する。 【0096】上記制動操作時の最大減速度GNMANは、1
0秒時点における道路環境の推定に用いられることにな
る。その結果、図32に示した本実施例の道路環境推定
手段105の道路環境推定用ニューラルネットワークN
RDによる道路環境の推定結果が、10秒時点において
も正しい推定結果になっていると考えられる。つまり、
制動操作時の最大減速度GNMANを道路環境推定用ニュー
ラルネットワークNN RDの入力として使用したことが、
運転者の運転指向のばらつきすなわちこの場合において
はブレーキペダル68の急操作に影響されることなく正
しい推定結果を得るために寄与している。なお、0秒時
点から10秒時点までの区間におけるスロットル弁開度
変化率ACCTAの値は大きな増加を示していないので、加
速操作時のスロットル弁開度最大変化率ACCMAX は、1
0秒時点における道路環境の推定には寄与していない。
つまり、加速操作時のスロットル弁開度最大変化率A
CCMA X を入力として使用しなくとも正しい推定結果が得
られることになる。 【0097】このように、本実施例の道路環境推定手段
105は、前記加速操作時のスロットル弁開度最大変化
率ACCMAX および前記制動操作時の最大減速度GNMAN
少なくとも一方と、前記所定時間毎の入力算出手段11
2により算出された前記車両状態量の統計値とを含む情
報を入力とし、車両の道路環境の推定結果を出力する前
記道路環境推定用ニューラルネットワークNNRDを含ん
でいるので、所定時間毎の入力算出手段112により算
出された前記車両状態量の統計値のみを入力とする前記
従来のニューラルネットワーク道路環境推定系による推
定に比較して推定精度が向上する利点がある。 【0098】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の説明において、前述の実施例と共通する部分
には同じ符号を付して説明を省略する。 【0099】図33は、本実施例の電子制御装置の機能
ブロック線図であり、図7に示した前述の実施例の前記
電子制御装置42の機能ブロック線図に相当する図であ
る。本実施例の電子制御装置は、前述の実施例の前記電
子制御装置42の図7の運転指向推定手段104および
道路環境推定手段105を、図33の運転指向推定手段
150および道路環境推定手段152に置き換えたもの
である。したがって、本実施例では、上記道路環境推定
手段152が環境状態推定手段として機能する。 【0100】上記運転指向推定手段150は、図34に
詳しく示すように運転指向推定用ニューラルネットワー
クNNDRV を備え、上記道路環境推定手段152は、図
35に詳しく示すように道路環境推定用ニューラルネッ
トワークNNRDを備えている。 【0101】図34に示した本実施例の運転指向推定用
ニューラルネットワークNNDRV の出力層の数tは1で
あり、前述の実施例の図11に示したものと同様に、運
転指向の推定結果はその一つの神経細胞要素Z1 の出力
値NNDRVOUTに基づいて決定される。ただし、本実施例
の運転指向推定用ニューラルネットワークNNDRV の入
力層の神経細胞要素Xi には、図9に示した運転操作毎
の入力算出手段110により算出された各値に加えて、
図10に示した前記所定時間毎の入力算出手段112の
うち、前記スロットル弁開度統計値算出手段112a、
前記車速統計値算出手段112b、前記エンジン回転数
統計値算出手段112eおよび前記前後加速度統計値算
出手段112fによりそれぞれ算出される、スロットル
弁開度統計値TA* 、車速統計値V* 、エンジン回転数
統計値NE * および前後加速度統計値G* も入力され
る。本実施例の運転指向推定用ニューラルネットワーク
NN DRV の学習は、図11に示した前述の実施例の運転
指向推定用ニューラルネットワークNNDRV と同様に実
行される。 【0102】図35に示した本実施例の前記道路環境推
定用ニューラルネットワークNNRDの出力層の数tは4
であり、図12に示した前述の実施例の道路環境推定用
ニューラルネットワークNNRDと同様に、道路環境の推
定結果は、それら四つの神経細胞要素Z1 ないしZ4
出力値NNRD1 ないしNNRD4 に基づいて決定される。
ただし、本実施例の道路環境推定用ニューラルネットワ
ークNNRDの入力層には、図12に示した前述の実施例
の道路環境推定用ニューラルネットワークNN RDの入力
として用いられていた、図9に示した運転操作毎の入力
算出手段110の加速操作時出力操作量最大変化率算出
手段110bと制動時最大減速度算出手段110cとに
よりそれぞれ算出される加速操作時出力操作量最大変化
率ACCMA X および制動操作時の最大減速度GNMAXの代わ
りに、図34に示した本実施例の上記運転指向推定用ニ
ューラルネットワークNNDRV の出力層の一つの神経細
胞要素Z1 の出力値NNDRVOUTが入力される。本実施例
の道路環境推定用ニューラルネットワークNNRDの学習
は、図12に示した前述の実施例の道路環境推定用ニュ
ーラルネットワークNNRDと同様に実行される。 【0103】以上のように構成された本実施例の道路環
境推定手段152による道路環境の推定結果も、前述の
実施例の道路環境推定手段105と同様の推定結果が得
られる。 【0104】このように、本実施例の道路環境推定手段
152は、前記所定時間毎の入力算出手段112により
算出された前記車両状態量の統計値を含む情報を入力と
し、運転者の運転指向の推定結果を出力する前記運転指
向推定用ニューラルネットワークNNDRV と、その運転
指向推定用ニューラルネットワークNNDRV による運転
指向の推定結果を含む情報を入力とし、車両の道路環境
の推定結果を出力する前記道路環境推定用ニューラルネ
ットワークNNRDとを含んでいるので、加速操作量の最
大変化率ACCMAX および制動操作時の最大減速度GNMAN
の少なくとも一方を直接運転指向推定用ニューラルネッ
トワークNNDRV に入力させる場合に比較して、一層信
頼性の高い運転指向を示す情報を反映させることができ
る利点がある。 【0105】そして、以上に説明した各実施例の前記道
路環境推定手段105または152は、運転者の運転指
向に密接に関連した車両の加速操作時におけるスロット
ル弁開度最大変化率ACCMAX と車両の制動操作時におけ
る最大減速度GNMANとの少なくとも一方に基づいて車両
の道路環境を推定できるので、運転者の運転指向のばら
つきに影響されることなく精度の高い車両の道路環境の
推定結果が得られる。 【0106】また、前述の各実施例の前記道路環境推定
手段105または152に対応する処理を行なう前記電
子制御装置42等は、車両の運転者により操作される運
転操作量および車両状態量の少なくとも一つの統計値を
所定時間毎に算出する統計値算出手段すなわち前記所定
時間毎の入力算出手段112を含み、前記道路環境推定
手段105または152は、その所定時間毎の入力算出
手段112により算出された前記車両状態量の統計値
と、前記車両の加速操作時におけるスロットル弁開度最
大変化率ACCMAX および車両の制動操作時における車両
の最大減速度GNM ANとの少なくとも一方とに基づいて車
両の道路環境を推定するものであることから、上記車両
の加速操作時におけるスロットル弁開度最大変化率A
CCMAX および車両の制動操作時における車両の最大減速
度GNMANとの少なくとも一方に加えて、上記所定時間毎
の入力算出手段112により算出された車両状態量の統
計値を考慮した推定が行えることになり、より精度の高
い車両の道路環境の推定結果が得られる。 【0107】また、前述の各実施例の車両は、前記道路
環境推定手段105または152により推定された道路
環境に基づいて制御内容が変更される車両の制御装置す
なわち前記電子スロットル弁制御装置、前記車両用自動
変速機の変速制御装置、前記操舵制御装置、前記サスペ
ンション制御装置等を備えているので、車両の制御装置
の制御は、道路環境推定結果に基づいて好適に行なわれ
る利点がある。 【0108】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等の電子スロットル弁制御手段118は、前記道路
環境推定手段105または152により車両が渋滞路を
含む市街地路を走行中であると推定された場合に、渋滞
路を含む市街地路以外を走行中であると推定された場合
に比較してアクセルペダル踏込角度θACC に対するスロ
ットル弁開度TAを小さくするスロットル弁開度抑制手
段すなわち図23におけるSK2を含んでいるので、一
般に渋滞路を含む市街地路を走行中において大きくする
必要性が小さいスロットル弁開度TAを抑制できるた
め、エンジンの燃料消費量を好適に抑制することができ
る利点がある。 【0109】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等の変速制御手段120は、前記道路環境推定手段
105または152により車両が渋滞路を含む市街地路
を走行中であると推定された場合に、車両発進時のギヤ
段を最低速ギヤ段より上段のギヤ段に変更するギヤ段変
更手段すなわち図24におけるSL6を含んでいるの
で、渋滞路を含む市街地路を走行中の前記自動変速機1
4の変速回数を低減でき、車両の走行をより滑らかにす
ることができる利点がある。 【0110】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等の変速制御手段120は、前記道路環境推定手段
105または152により車両が山間路を走行中である
と推定された場合に、山間路以外を走行中であると推定
された場合に比較してシフトアップ線を高車速側に移動
させるシフトアップ線移動手段すなわち図24における
SL7を含んでいるので、山間路の登坂やワインディン
グロードにおいては所謂シフトハンチングを防止できる
一方、エンジンブレーキ力が強められて制動操作が減少
するので、操縦性を向上させることができる利点があ
る。 【0111】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等の変速制御手段120は、前記道路環境推定手段
105または152により車両が高速路を走行中である
と推定された場合に、高速路以外を走行中であると推定
された場合に比較してダウンシフト線を高車速側に移動
させるダウンシフト線移動手段すなわち図24における
SL8を含んでいるので、高速路での追越し時等におい
て容易にダウンシフトができるために加速性が高めら
れ、操縦性を向上させることができる利点がある。 【0112】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等の操舵制御手段122は、前記道路環境推定手段
105または152により車両が高速路を走行中である
と推定された場合に、高速路以外を走行中であると推定
された場合に比較して操舵力を抑制する操舵抑制手段す
なわち図25におけるSM2を含んでいるので、一般に
高速路において車速が大きいために抑制されることが望
ましい操舵力を抑制することができるため、操縦安定性
を向上できる利点がある。 【0113】また、前述の各実施例の前記電子制御装置
42等のサスペンション制御手段124は、前記道路環
境推定手段105または152により車両が山間路を走
行中であると推定された場合に、山間路以外を走行中で
あると推定された場合に比較して車両懸架装置のショッ
クアブソーバの減衰力およびばねの特性の少なくとも一
方を高硬度側に変更する減衰力変更手段すなわち図26
におけるSN2を含んでいるので、山間路において一般
に高硬度側に変更することが望ましい車両懸架装置の硬
度を高硬度側に変更できるため、操縦安定性を向上でき
る利点がある。 【0114】また、前述の各実施例の前記道路環境推定
手段105または152による道路環境の推定繰返し周
期は、前記運転指向推定手段104または150による
運転指向の推定繰返し周期よりも長くされていることか
ら、運転者の意思に依存して急激に変動し得る運転指向
が推定される周期よりも車両走行中に急激に変動するこ
とが少ない道路環境が推定される周期の方が長くなるの
で、運転指向および道路環境の推定を計算機を用いて行
なう場合、運転指向の推定に比較して道路環境に推定の
ための計算時間を短縮できる利点がある。また、たとえ
ば、前記道路環境推定手段152のように運転指向の推
定結果を道路環境の推定に使用する場合においては、運
転指向の推定結果を道路環境の推定に反映させる応答性
が確保できる利点がある。 【0115】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明は、以上に説明した各実施例とは別
の態様としても実施できる。 【0116】たとえば、前記道路環境推定手段105ま
たは152は、図示しないステアリング操作角度センサ
により取得されたステアリング操作角度の変化率に基づ
いて車両の道路環境を推定するものとしてもよい。この
ようにすれば、運転者の運転指向に密接に関連したステ
アリング操作角度の変化率に基づいて車両の道路環境を
推定できるので、運転者の運転指向のばらつきに影響さ
れることなく精度の高い車両の道路環境の推定結果が得
られる。 【0117】また、前述の各実施例の前記道路環境推定
手段105または152は、前記道路環境推定用ニュー
ラルネットワークNNRDにより構成されていたが、他の
推定手段たとえば論理演算に基づく推定手段や、ファジ
ー推論に基づく推定手段等を用いてもよい。 【0118】また、前記道路環境推定手段105または
152に替えて、渋滞路を含む市街地路、郊外路、山間
路、高速路に加えて、搭乗者数や積載物の重量等に依存
する車両重量等の車両走行環境を推定する機能を備えた
車両走行環境推定用ニューラルネットワーク或いは環境
状態推定用ニューラルネットワークNNENV を有する車
両走行環境推定手段或いは環境状態推定手段が設けられ
てもよい。 【0119】また、車両が四輪操舵装置(4WS)を備
えている場合は、前記車両制御手段106の前記操舵制
御手段122は、前記道路環境の推定結果が車両が高速
路を走行中であることを示す場合に、高速路以外を走行
中であることを示す場合に比較して、上記四輪操舵装置
(4WS)による操舵角の大きさを抑制する操舵角抑制
手段を含むようにしてもよい。 【0120】また、前記車両制御手段106の前記サス
ペンション制御手段124は、前記道路環境の推定結果
が車両が高速路を走行中であることを示す場合に、高速
路以外を走行中であることを示す場合に比較して、サス
ペンションのばね特性を高硬度側に変更するばね特性変
更手段を含むようにしてもよい。 【0121】以上に説明したものはあくまでも本発明の
一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の環境状態推定装置を備えた
車両の構成を説明する図である。 【図2】図1の車両の自動変速機におけるギヤ段とそれ
を成立させるための電磁弁或いは摩擦係合装置の作動状
態との組み合わせを示す図表である。 【図3】図1の車両の変速制御装置において用いられる
変速線図であって、運転が加速(スポーツ)指向である
と推定されたときに選択される変速線図である。 【図4】図1の車両の変速制御装置において用いられる
変速線図であって、運転が中間(ノーマル)指向である
と推定されたときに選択される変速線図である。 【図5】図1の車両の変速制御装置において用いられる
変速線図であって、運転が燃費(エコノミー)指向であ
ると推定されたときに選択される変速線図である。 【図6】図1の車両の電子スロットル弁制御において用
いられる複数のスロットル開度線を示すスロットル開度
線図である。 【図7】図1の電子制御装置の制御機能の要部を説明す
る機能ブロック線図である。 【図8】図7の信号読込手段の機能を詳しく説明する機
能ブロック線図である。 【図9】図7の運転操作毎の入力算出手段の機能を詳し
く説明する機能ブロック線図である。 【図10】図7の所定時間毎の入力算出手段の機能を詳
しく説明する機能ブロック線図である。 【図11】図7の運転指向推定手段の機能を詳しく説明
する機能ブロック線図である。 【図12】図7の道路環境推定手段の機能を詳しく説明
する機能ブロック線図である。 【図13】図9の発進時出力操作量算出手段に相当する
発進時出力操作量算出処理ルーチンの内容の一例を示す
フローチャートである。 【図14】図9の加速操作時の出力操作量最大変化率算
出手段に相当する加速操作時出力操作量最大変化率算出
処理ルーチンの内容の一例を示すフローチャートであ
る。 【図15】図9の制動時最大減速度算出手段に相当する
制動時最大減速度算出処理ルーチンの内容の一例を示す
フローチャートである。 【図16】図9の惰行走行時間算出手段に相当する惰行
走行時間算出処理ルーチンの内容の一例を示すフローチ
ャートである。 【図17】図9の車速一定走行時間算出手段に相当する
車速一定走行時間算出処理ルーチンの内容の一例を示す
フローチャートである。 【図18】図9の最大車速算出手段に相当する最大車速
算出処理ルーチンの内容の一例を示すフローチャートで
ある。 【図19】図10の所定時間毎の入力算出手段の一部に
相当する所定時間毎の入力算出処理1ルーチンの内容の
一例を示すフローチャートである。 【図20】図10の所定時間毎の入力算出手段の一部に
相当する所定時間毎の入力算出処理2ルーチンの内容の
一例を示すフローチャートである。 【図21】図11の運転指向推定手段による運転指向の
推定を開始させる運転指向推定開始処理ルーチンの内容
の一例を示すフローチャートである。 【図22】図12の道路環境推定手段による道路環境の
推定を開始させる道路環境推定開始処理ルーチンの内容
の一例を示すフローチャートである。 【図23】図7の電子スロットル弁制御手段に相当する
電子スロットル弁制御処理ルーチンの内容の一例を示す
フローチャートである。 【図24】図7の変速制御手段に相当する変速制御処理
ルーチンの内容の一例を示すフローチャートである。 【図25】図7の操舵制御手段に相当する操舵制御処理
ルーチンの内容の一例を示すフローチャートである。 【図26】図7のサスペンション制御手段に相当するサ
スペンション制御処理ルーチンの内容の一例を示すフロ
ーチャートである。 【図27】山間路を加速指向で走行した際に得られた走
行データの一例を示すグラフである。 【図28】図27の走行データに基づいて、図12の道
路環境推定手段105により推定された道路環境の推定
結果を示すグラフである。 【図29】図27の走行データに基づいて、従来の道路
環境推定手段により推定された道路環境の推定結果を示
すグラフである。 【図30】郊外路を燃費指向で走行した際に得られた走
行データの一例を示すグラフである。 【図31】図30の走行データに基づいて、図12の道
路環境推定手段105により推定された道路環境の推定
結果を示すグラフである。 【図32】図30の走行データに基づいて、従来の道路
環境推定手段により推定された道路環境の推定結果を示
すグラフである。 【図33】本発明の他の実施例の電子制御装置の制御機
能の要部を説明する機能ブロック線図である。 【図34】図33の運転指向推定手段の機能を詳しく説
明する機能ブロック線図である。 【図35】図33の道路環境推定手段の機能を詳しく説
明する機能ブロック線図である。 【符号の説明】 42:電子制御装置(環境状態推定装置) 104:運転指向推定手段 105:道路環境推定手段(環境状態推定手段) 110:運転操作毎の入力算出手段 112:所定時間毎の入力算出手段(統計値算出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B60G 17/015 B60G 17/015 A F02D 29/02 F02D 29/02 Z 41/34 41/34 W 45/00 370 45/00 370B F16H 61/02 F16H 61/02 G01C 21/00 G01C 21/00 A (72)発明者 吉田 浩之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大澤 正敬 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大嶋 満寿治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平7−101271(JP,A) 特開 平7−101272(JP,A) 特開 平1−113561(JP,A) 特開 平3−204468(JP,A) 特開 平7−259974(JP,A) 特開 平3−9048(JP,A) 特開 平2−37015(JP,A) 特開 昭64−53047(JP,A) 特開 平2−138560(JP,A) 特開 平4−341657(JP,A) 特開 平1−238748(JP,A) 特開 平2−271040(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/00 - 41/28 B60G 17/015 F02D 29/00 F02D 41/34 F02D 45/00 F16H 61/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両の環境状態を推定するための環境状
    態推定装置であって、 前記車両の運転者により操作される運転操作量および車
    両状態量の少なくとも一つの統計値を所定時間毎に算出
    する統計値算出手段と、 統計値算出手段により算出された前記運転操作量およ
    び車両状態量の少なくとも一つの統計値と、前記車両の
    加速操作時における加速操作量の最大変化率および車両
    の制動操作時における車両の最大減速度との少なくとも
    一方とに基づいて車両の環境状態を推定する環境状態推
    定手段とを含むことを特徴とする車両の環境状態推定装
    置。
JP13315197A 1997-05-23 1997-05-23 車両の環境状態推定装置 Expired - Fee Related JP3427673B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13315197A JP3427673B2 (ja) 1997-05-23 1997-05-23 車両の環境状態推定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13315197A JP3427673B2 (ja) 1997-05-23 1997-05-23 車両の環境状態推定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10324174A JPH10324174A (ja) 1998-12-08
JP3427673B2 true JP3427673B2 (ja) 2003-07-22

Family

ID=15097910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13315197A Expired - Fee Related JP3427673B2 (ja) 1997-05-23 1997-05-23 車両の環境状態推定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3427673B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4857518B2 (ja) * 2003-12-24 2012-01-18 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
JP2008074261A (ja) * 2006-09-21 2008-04-03 Toyota Motor Corp 運転指向推定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10324174A (ja) 1998-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6626797B2 (en) Vehicular control apparatus and method for controlling automatic gear change
US7160227B2 (en) Control apparatus and control method for vehicle
US7469178B2 (en) Deceleration control apparatus and method for a vehicle
JPH10138796A (ja) 車両の制御装置
US6725144B2 (en) Control apparatus and applicable control method and control program for vehicle
JPH0926026A (ja) 自動変速機における変速比変化の決定システム
JP4531876B2 (ja) 車輌の変速制御装置
JP4992303B2 (ja) 運転指向推定装置
JP3107752B2 (ja) 車両の運転指向推定装置および車両の駆動力制御装置
JP2008168733A (ja) 運転指向推定装置
JP4697990B2 (ja) 車輌の変速制御装置
JP3427673B2 (ja) 車両の環境状態推定装置
JP3631563B2 (ja) 車両の運転指向推定装置
JPH06344802A (ja) 自動車一定速走行制御装置
JP2003301941A (ja) 車両用自動変速機の制御装置
JP4531879B2 (ja) 車輌の変速制御装置
JP4557589B2 (ja) 車両の減速制御装置および車両
JP4531878B2 (ja) 車輌の変速制御装置
JP3394082B2 (ja) 車両用自動変速機の変速制御装置
JP2007016826A (ja) 運転者指向判定装置
JP2523451B2 (ja) エンジンのスロツトル弁制御装置
JPS622049A (ja) 自動変速機の制御装置
JP2007170444A (ja) 車両用駆動力制御装置
JP4617995B2 (ja) 車両用駆動力制御装置
JP3536430B2 (ja) 無段変速機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees