JP3427448B2 - 超薄膜積層体 - Google Patents
超薄膜積層体Info
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Description
機能の改善のために、切削工具、耐摩工具等の硬質部材
の表面、或いは電気、電子、摺動、機械の各部品の表面
に形成される超薄膜積層体に関するものである。
めとする各種の耐摩部品は、一般に、WC基等の超硬合
金、TiC系等の各種サーメント、セラミックス、高速
度鋼等の鋼や硬質合金で構成され、その表面の耐摩耗性
を向上させるために、従来基材表面に、PVD法やCV
D法によって、Ti、Hf、Zrの炭化物や窒化物、炭
窒化物、或いはAlの酸化物から成る硬質被覆層を一層
又は複合して多層に形成することが行なわれている。
には、耐熱性に優れる結晶構造が同じ高融点金属化合物
を積層することにより、異種物質の物性を組合せ、耐摩
耗性を向上させる提案がなされている。
被覆層を構成する物質固有の特性で決まり、通常ビッカ
ース硬度でHv2000〜3000程度の範囲に止まっ
ている。しかし、この程度の特性では、十分な耐摩耗性
が得られず、産業界において年々高まっている高能率化
の要望に対して、切削条件や寿命等に充分に満足のいく
結果をもたらすことができない。
おいて、磁気媒体をはじめ様々な部品の表面に、真空蒸
着法やイオンプレーティング法、メッキ法、スパッタリ
ング法などによって、Co−Ni、Co−P、μ−Fe
2 O3 、SiO2 、Si3 N4 、Al2 O3 等の酸化物
や窒化物又はカーボン膜から成る耐摩耗膜や保護膜を形
成することが行なわれているが、しかし、この従来の被
膜は、磁気媒体の高密度化に伴う高速度の要望等に対
し、耐摩耗性や硬度、耐食性の点で充分なものとは云え
なかった。
の化合物の超薄膜を、交互に周期的に積層し、その積層
構造により、積層界面における格子歪エネルギーの効果
によって化合物や合金を超える高硬度を実現する技術
が、例えばJ.Vac.Sci.Technol.A.
1992/2などにより提案されている。
は、化合物同士が整合する必要があるため、格子定数の
不整合において制限があり、化合物の選択が限られたも
のになる問題がある。このため、高硬度を得るための化
合物を選択すると、他の特性が犠牲になり、例えば工具
等に必要な耐酸化性などの特性を付与することが非常に
困難になる問題がある。
を積層する周期(2材質を積層する場合は1層ずつの各
層の厚みの和)に大きく依存し、特に硬度が最大となる
付近では、周期の微妙な変化により硬度が大きく変化す
る。このため、通常の製造管理では性能のバラツキが大
きくなり、特に超薄膜積層体の被覆過程においては、周
期の管理を非常に厳しいものにする必要がある。すなわ
ち、上記の超薄膜積層体は、実際の生産において製品間
の性能に大きなバラツキが生じやすく、このバラツキを
抑制するためには生産量を抑えなければならない問題が
ある。
切削工具や耐摩工具等の耐摩耗性や耐酸化性を向上さ
せ、また、電気、電子、摺動、機械の各部品の耐摩耗膜
や保護膜として優れた特性を有し、しかも容易に安定し
た性能が得られる超薄膜積層体を提供することを目的と
している。
めに、この発明は、周期律表IVa族、Va族、VIa
族の金属元素の群およびAlから選択される1種以上の
元素と、B、C、N、Oから選択される1種以上の元素
とによって構成される3種類以上の化合物を繰り返して
積層し、その積層する各層の厚みを0.5nm〜20n
mとした構造を採用したのである。
5nm〜10μmとするのがよく、切削工具や耐摩工具
の被覆層として用いる場合、その超薄膜積層体を、WC
基超硬合金、サーメット、セラミックス、高速度鋼等の
硬質基材の全表面又は切刃部分を含む表面の一部に被覆
するようにする。
動、機械部品の耐摩耗膜あるいは保護膜として使用する
場合は、電気、電子部品においては全体の膜厚を5nm
〜2μm程度とし、摺動、機械部品にあっては0.1μ
m〜10μm程度とするのが望ましい。
示すように、例えば4層の化合物A、B、C、Dを繰り
返して積層した場合、各A、B、C、Dの厚さt1 、t
2 、t3 、t4 を云い、また、各層の厚みの和λ=t1
+t2 +t3 +t4 を以下繰り返しの周期という。
体、2は基材を示している。
ぞれ異なる4種類の化合物であってもよいが、そのうち
隣り合わない2層の化合物を同じものとし、例えばA、
B、C、Bという組み合わせでもよい。
るものでも構わないし、構成元素の一部もしくは全部が
等しく、単に組成比の異なるものであってもよい。
る場合、図2に示すように、基材2と超薄膜積層体2の
間に界面層3を設けるのがよく、この界面層3は、周期
律表IVa族、Va族、Va族の金属元素の群から選択
される1種以上の元素と、C、Nから選択される1種以
上の元素の組み合せから成る化合物の少なくとも1種以
上からなる膜厚0.05μm〜5μmのものとするのが
好ましい。
パッタリングやイオンプレーティング法等のPVD法や
CVD法があり、特にPVD法は、基材の強度を容易に
維持することができ、積層物質間における拡散の影響を
小さくできる点で好ましい。
いては、各層の厚みが0.5nm〜20nmと極めて薄
い3種類以上の化合物を繰り返し積層することにより、
各層間の界面の整合性と各層に蓄積される格子歪みエネ
ルギーの効果によって硬度上昇が発現し、ビッカース硬
度が3500kgf/mm以上という従来にない高硬度を得
ることができる。
場合、化合物同士の接する界面の影響が大きくなり、各
層に蓄積される格子歪みエネルギーが増大する効果等に
よって硬度が上昇するものと考えられる。また、各層の
厚さが0.5nm以下の場合には、界面での相互拡散等
の影響により隣接化合物との混合層となり、顕著な積層
効果が現われにくく、逆に、20nmを超えると各層の
界面に効果が小さくなり、格子歪みエネルギーが蓄積さ
れずに積層の効果が現われない。
る化合物同士が整合した擬似エピタキシャル構造を持
ち、かつ各層に蓄積される格子歪みエネルギーを解放
し、減少させる界面の転位密度を低く抑えることが必要
である。
整合が10%を超える場合、界面の転位密度が増大し、
格子歪みエネルギーが減少し積層効果が期待できない。
もしくは格子定数が全く一致する場合、格子歪みエネル
ギーの効果による硬度上昇ができない。しかし、化合物
の組み合わせによっては硬度上昇が発現する。これは、
積層構造による電子構造の変化の効果であると考えられ
る。したがって、この発明は隣接する化合物の格子定数
の不整合の下限を規定しない。
合、硬度上昇を発現させる界面は、その2種の化合物に
よって形成される1種類の界面しかないため、硬度は格
子歪みと転位のバランスする狭い範囲の層厚でのみ高硬
度を持ち、超薄膜積層体の層厚が、上記層厚から離れる
と、急激に硬度が低下する。
た場合、広範囲の膜厚において高硬度を維持する。これ
は、積層する化合物の種類が3種以上となることによ
り、形成される界面の種類は2種以上になり、格子歪み
と転位のバランスする範囲が2箇所以上にわたるためと
考えられる。このように広範囲の膜厚において高硬度を
維持できるということは、生産における層厚のバラツキ
に対して安定した耐摩耗特性をもつ製品が容易に得られ
る事につながる。
薄膜積層体の場合、直接隣接しない化合物間の相互の影
響を考えると、電子構造の変化にあたえる影響は期待で
きないので、格子歪みエネルギーを十分蓄積させる必要
がある。これについて発明者が検討した結果、隣接しな
い化合物間で十分な格子歪みエネルギーを蓄積できる不
整合の下限は4%であることが判明した。また、隣接し
なくても化合物間の格子定数の不整合が20%を超える
場合は、界面の転位密度が増大し、格子歪みエネルギー
を蓄積できず、硬度上昇は見られない。
と、ZrNの例で示すと、TiNの格子定数は0.42
4nm、ZrNの格子定数は0.461であるので、次
の式が得られる。
うな非常に薄い層厚で積層すると、界面における化合物
同士の整合性により一方の結晶構造が変化し、各層を積
層した膜全体では単一の結晶構造を持つようになる。こ
れにより、化合物単体による物質固有の状態では示さな
い特性、例えば、従来にない高硬度や耐酸化性の向上が
実現できる。このため、この発明の超薄膜積層構造を切
削工具や耐摩工具の被膜層として使用した場合、従来で
は得られない優れた耐摩耗性を発揮し、長期間優れた切
削性能を維持できる。
ては、上述のような高硬度を実現する2種の化合物の積
層に、他の優れた特性を持つ第3の層を加えることがで
きる。特に、摩耗が問題となるようなこの発明の適用分
野においては、耐熱性が被覆膜に要求されることが多
く、耐酸化性を向上させることが性能向上の重要な面と
なる。積層する化合物のうち、少なくとも1種を、その
酸化開始温度が600℃であるような化合物で選択した
場合、超薄膜積層体の酸化開始温度は、この化合物の酸
化開始温度に支配され、耐熱性が大きく向上する。逆
に、酸化開始温度が600℃未満であるような場合に
は、切削工具のような用途には耐熱性の向上が十分では
なく、切削性能等の上での性能向上にはならない。
厚が0.5μm未満では耐摩耗性の向上はほとんど見ら
れず、10μm以上の膜厚では膜中の残留応力が大きく
なり、基材との密着強度が低下するため、工具として適
用するには全膜厚が0.5μm〜10μmの範囲が望ま
しい。
した場合には、基材との密着強度が従来のコーティング
膜に比べて劣ることがある。この時、基材と超薄膜積層
体との間に、周期律表IVa族、Va族、VIa族金属
元素から選択される1種以上の元素と、C、Nから選択
される1種以上の元素とによって構成される化合物の少
なくとも1種からなる界面層を形成すると、超薄膜積層
体と基材間の密着強度を改善することができる。また、
基材と超薄膜積層体というの特性の大きく異なる物質の
間に、中間的な特性の界面層を設けることにより、特性
の変化を段階的に制御でき、膜の残留応力の低減などの
効果も期待できる。
05μm未満では密着強度の向上が見られず、逆に5μ
mを超えても密着強度の更なる向上は見られなかった。
よって、特性および生産性の観点より、界面層の膜厚は
0.05〜5μmの範囲を採用するのが望ましい。
等の耐摩耗被膜に適用した場合、その耐摩耗被膜の最上
層に、厚さ0.1μm以上5μm以下の表面層を設ける
と、耐摩耗性の上で好ましい結果が得られる。これは、
耐摩耗被膜の最表面が、非常に過酷な環境に晒される事
が多いため、雰囲気もしくは摩耗相手材との反応が起こ
り易く、被膜表面が改質されて耐摩耗特性が損なわれる
からである。一方、超薄膜積層体を構成する成分は、必
ずしも反応性の低い成分とは限定しないので、雰囲気及
び相手材との耐反応性の優れている成分から成る表面層
を設けることにより、表面反応による摩耗を抑制でき
る。
電子部品・摺動・機械部品の耐摩耗膜、保護膜として
も、切削工具に適用した場合と同様に優れた耐摩耗性を
発揮することができる。
摩耗膜や保護膜としては、全膜厚が5nm未満では耐摩
耗性の向上が充分ではなく、逆に、10μm以上の厚膜
では基材との密着強度の低下によって充分な密着強度が
得られなくなるため、全膜厚を5nm〜10μmの範囲
に設定するのが望ましい。
各種の実施例について説明する。
面層を形成する場合、nmオーダーの各層の層厚の測定
は、透過電子顕微鏡(TEM)による観察で行ってい
る。また、周期は小角X線回折法によっても行ってお
り、層厚の長い積層構造に関しては高分解能走査電子顕
微鏡による測定も可能である。
高分解能EDXによって行い、各層の化合物の結晶構造
は透過電子線回折(TED)により、超薄膜積層体全体
の結晶構造は、薄膜X線回折法により行っている。
格P30、形状がJIS SNG432の超硬合金製切
削チップを用意し、その表面に、真空アーク放電による
イオンプレーティング法を用いて超薄膜積層構造を形成
した。
たものであり、超薄膜積層構造の製作は、成膜装置4内
に複数個のターゲット5、6を配置し、ターゲットの中
心点を中心としてこれらのターゲット間で回転する基材
保持具7に、上記切削チップ8を装着し、切削チップの
回転数と真空アークの放電電流(ターゲット材料の蒸発
量)の一方または両方を調整することにより、各層の層
厚を制御した。これは、まず、成膜装置4内の真空度を
10-5Torrの雰囲気とし、この状態からAr(アル
ゴン)ガスを導入して10-2Torrの雰囲気に保持し
ながら、500℃まで加熱し、切削チップに−1000
Vの電圧をかけて洗浄を行った後、Arガスを排気し
た。次に、成膜装置4内にN2 ガス、CH4 ガスのいず
れか一種類あるいは数種類を、基材回転に合わせた時間
制御により200cc/minの割合で導入し、この状
態で真空アーク放電により周期律表IVa、Va、VI
a族の金属元素、およびTi−Al化合物のターゲット
を蒸発、イオン化させることにより、回転する切削チッ
プがターゲットの前を通過する際に、ターゲット材料と
導入ガス中のC、Nとの化合物層を切削チップ上に形成
した。
料21〜30)を作製し、また、比較のため、表1に示
す従来例(試料1〜20)を用意した。ここで、試料1
〜10は、複数のTi蒸発源をターゲットとして作製
し、試料11〜20は、複数TiとAlの蒸発源を交互
に配して作製し、試料21〜30は同様にTi、Cr、
Al、Crの順に複数の蒸発源を配置して作製した。
の構造を示している。
2が、第2欄に「/」で区切られている3種類の化合物
TiN、CrN、AlNを、TiN、CrN、AlN、
CrN層の順序で、その4層を1周期として繰り返して
積層されていることを示している。また、この時の各化
合物の層厚は、第3欄に「/」で区切られて示されてお
り、この場合1.3nm、1.2nm、1.3nm、
1.2nmである。また、第4欄には、周期が5.0n
mである事が示されている。
合物しか示されていない場合は、2層ないしは3層の化
合物を1周期とする積層体であることを示す。
試料の硬度を測定した。この硬度の測定は、公知のビッ
カース硬度の測定方法により行ない、荷重は25gfと
した。なお、試料1〜10、試料11〜20、試料21
〜30は、それぞれ一度の製造によって作製された多数
の試料から任意に10個を選んで硬度を測定したもの
で、それぞれの硬度のバラツキは、通常の製造で得られ
る品質のバラツキと正の相関があることが確認されてい
る。
度にバラツキはないものの一様に低い硬度を示してい
る。また試料11〜20は、高硬度であるもののバラツ
キが大きい特性を示した。それに対して、実施例である
試料21〜30は、試料11〜20よりも高硬度であ
り、非常にバラツキの小さい特性を示した。このことか
ら、本発明品が耐摩耗性にすぐれ、品質の安定性にも優
れていることが分かる。
1と同様の方法で、表3及び表4に示す試料1〜46を
作製した。また、試料47を、通常のCVD法により上
記と同じ組成と形状の切削チップの表面に単独の硬質被
覆層を形成して製造した。ここで、試料4、9、12、
36、45〜47は比較のために作製した従来材であ
り、これらを除いたものが本発明例である。
表1、2に準ずるが、積層されている化合物において、
格子定数の不整合が最大となる組み合わせの不整合と、
積層した時のそれぞれ隣接した化合物間の不整合の欄
を、超薄膜積層体の構造の欄に付け加えている。
た。また、酸化開始温度は、熱天秤を用いて昇温速度5
℃/minで1200℃まで昇温した場合に、顕著な重
量変化が起こった温度とした。具体的には、図4に一例
をあげると、重量変化が緩やかな区間イ−ロの接線イ−
ハと、重量変化の最も大きな区間ハ−ニの接線ホ−ヘを
引き、その両接線の交点トの温度を酸化開始温度とし
た。
以上であるAlN層を含む試料6〜44(試料21、2
2は除く)は、酸化開始温度が830℃前後と耐熱性に
優れていることが分かる。
削チップ試料について、表5の条件による連続切削試験
と断続切削試験を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定し
た。その各切削試験の結果を表6に示す。
プ試料のうち、硬質被覆層をPVD法で形成した試料
4、9、12、36、45、46は、耐摩耗性に劣り、
またCVD法で形成した試料47は、基材の靭性劣化に
より刃先の耐欠損性が低下した。これに対し、本発明例
の表面被覆切削チップ(試料21、22は除く)は、連
続切削および断続切削の両方において優れた耐摩耗性を
有すると同時に、基材の靭性が維持され、優れた耐欠損
性を示した。
の格子不整合が4%以上、試料44〜52の結果より、
隣接する化合物の格子不整合が10%以下であることが
適切であることが明らかである。また、試料12〜20
の結果より、超薄膜積層体の層の厚みは0.5nm〜2
0nmが最適であり、また、界面層の厚みは0.05μ
m〜5μmが適当であることが試料29〜35より分か
る。
1の結果を見ると、全ての固有の結晶構造が同じNaC
l型である試料1〜5に較べ、固有の結晶構造が他と異
なるWurtzite構造であるAlNを含む試料6〜
11の摩耗が大幅に小さく、このことから、積層効果に
よる結晶構造の変化は、耐摩耗性を大きく改善すること
が分かる。
造を薄膜X線回折法により調べたが、その結果はNaC
l構造を示すもので、Wurtzite構造を示す結果
は得られなかった。
(試料21、22は除く)は、連続切削において非常に
優れた特性をもつことが分かる。
品の耐摩耗膜や保護膜に適用した場合の耐摩耗性を確か
めるため、磁気ヘッドの表面に超薄膜積層体を被覆し、
その磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触摩耗試験を行な
った。
てアルミニウムと炭化チタンからなる焼結体(ビッカー
ス硬度4000kgf/mm2 )を用い、これを磁気ディス
ク表面の保護膜上に荷重600kgf/mm2 で押し付け、
次に磁気ディスクを磁気ヘッドが浮上するまで高速回転
させ、浮上後回転を停止し、再びヘッドをディスク面に
接触させることを繰り返すCSS試験を行った。ここ
で、CSS試験とは、磁気ヘッドと磁気記録媒体を接触
状態でセットした後、磁気記録媒体を回転浮上させ、そ
の後回転を停止し、磁気ヘッドと磁気記録媒体を接触さ
せるサイクル試験である。
の繰り返し試験を行なった場合の結果を示している。
10、11、13〜25、27〜33は、この発明に係
る超薄膜積層体の例であり、その作製に際しては、スパ
ッタリング法を用いた。また、試料4、9、11、2
6、34は比較例であり、2種の化合物の超薄膜積層体
およびSiO2 を保護膜として用いたものである。な
お、被覆層の硬度は非常に薄いため測定できず、真空中
でのArイオンビーム(加圧電圧3kV)による層のエ
ッチング速度と硬度とは経験的に正の相関が認められる
ため、エッチング速度を硬度の代替値として示した。
来にはない高い硬度を実現でき、耐摩耗性及び耐酸化性
の上で優れた特性を有するので、切削工具や耐摩工具等
に適用することにより、基材の強度を維持しつつ従来よ
りも優れた耐摩耗性を付与することができ、特に高速切
削においてその切削寿命を著しく延長できる利点があ
る。
発明の超薄膜積層体は、電気や電子部品、或いは摺動、
機械部品の表面の被覆層として用いることにより、耐摩
耗性や耐食性に優れた耐摩耗膜、保護膜を形成すること
ができる。さらに、この発明の超薄膜積層体を用いれ
ば、光磁気記録媒体や光学レンズ等に対する表面保護
膜、或いは光学特性及び電気特性に優れた薄膜を、提供
することができる。
被覆した状態を示す模式図、(b)はその部分拡大図
介して被覆した状態を示す模式図
果の一例を示す図
Claims (9)
- 【請求項1】 周期律表IVa族、Va族、VIa族の
金属元素の群およびAlから選択される1種以上の元素
と、B、C、N、Oから選択される1種以上の元素とに
よって構成される3種類以上の化合物を繰り返して積層
し、その積層する各層の厚みを0.5nm〜20nmと
した超薄膜積層体。 - 【請求項2】 上記積層体の全体の膜厚を、5nm〜1
0μmとした請求項1に記載の超薄膜積層体。 - 【請求項3】 上記隣接する化合物層の格子定数の不整
合を、10%以下とした請求項1又は2に記載の超薄膜
積層体。 - 【請求項4】 上記3種類以上の化合物のうち少なくと
も1種類以上の化合物が、常温・常圧下で他の化合物と
異なる結晶構造の型を持ち、上記3種類以上の化合物が
全体として単一の結晶構造を有するものとした請求項1
乃至3のいずれかに記載の超薄膜積層体。 - 【請求項5】 上記積層体のビッカース硬度が、荷重2
5gfで3500kgf/mm2 以上である請求項1乃至4
のいずれかに記載の超薄膜積層体。 - 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の超薄
膜積層体を、基材の表面に被覆した超薄膜積層体の被覆
物。 - 【請求項7】 上記超薄膜積層体と基材との間に、周期
律表IVa族、Va族、VIa族の金属元素の群から選
択される1種以上の元素と、C、Nから選択される1種
以上の元素との組み合せからなる化合物の少なくとも1
種以上からなる膜厚0.05μm〜5μmの界面層を有
する請求項6に記載の超薄膜積層体の被覆物。 - 【請求項8】 上記基材を、WC基超硬合金、サーメ
ット、セラミックス、高速度鋼のいずれかからなる硬質
基材とした請求項6又は7に記載の超薄膜積層体の被覆
物。 - 【請求項9】 上記基材が電気、電子、摺動、機械の各
部品のいずれかに用いられ、上記超薄膜積層体を耐摩耗
膜あるいは保護膜として機能させる請求項6乃至8のい
ずれかに記載の超薄膜積層体の被覆物。
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1993
- 1993-11-08 JP JP27841193A patent/JP3427448B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Title |
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金原 あきら編,薄膜<その機能と応用>,日本,日本規格協会,1991年 4月20日,第1版,p.235−243,254−256 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07133111A (ja) | 1995-05-23 |
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